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ANOTHER TRU CALLING
アナザー トゥルー・コーリング

The Broken Rewind:崩れたルール。

あらすじ。
遺体を見たトゥルーはその遺体が以前食事をしたレストランのウエートレスと分かり
やり直すがいつの時間に戻ったのかに気がついて驚きます。その時間彼女は眠っていなかったのです。
トゥルーは何が原因で支障をきたしたのか理解しようとするとき再びやり直して、更には時間を飛び超えさえします。
 

「今晩の夕食の事を思い出させるのに電話したんだけど」トゥルーは周りの自動車の騒音に大声で携帯電話へ叫びました。
「夕食?」 ハリソンはぼんやりと返事しました。
「例の日かい、それで俺が忘れたとか?」
「違う」とトゥルーが笑いながら答えました。
「あんたの事をよく知ってるから、先週計画しておいたの忘れてるでしょ」
「俺ってそんなにバカかな?」 ハリソンは傷ついた振りをして尋ねました。
「ええ」とトゥルーが笑いながら言いました。
「今急いでるの、授業に遅刻だわ」
「姉さんが遅刻するのは家系だって言い続けてるだろ」とハリソンが冗談を言いました。
クラスに到着した時トゥルーはまだ笑っていました、教授は不快な顔をし彼女の遅刻に気付くと再びいやな顔をしました。

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「教授はあたしを嫌ってるんだわ」トゥルーはその午後遅くデイビスに不平を言いました。
「教授はあたしが授業を聴講するのがいやなのよ、それにあたしのやる事なす事全て突っついてくるんだから」
「学校に話してやろうか」とデイビスはトゥルーの長ったらしい苦情を聞き終え
彼女が死体安置所のオフィスのソファに腰掛けると渋い顔つきで言いました。
「違うの、そうじゃない」とトゥルーは頭の振りながら言いました。
「特別待遇を望んでるわけじゃないわ。ただ時々誰かにグチを聞いてもらわないと。気にしちゃった?」
「もちろん違うさ」とデイビスは彼女の真向かいに座って答えました。
「いいかい、君はどんな悩みでも俺に話していいんだ」
「ありがとう、デイビス」全ての不満をぶちまけたトゥルーは気分良く感じて微笑しました。
彼女は彼女自身と教授の間にある深い溝の事を知っているジェンセンに打ち明ける事もできたでしょう、
しかし彼女は彼と過ごすわずかな時間さえ自由にすることはできませんでした。
ハリソンなら耳をかたむけてくれるだろうと分かっていましたが、
彼はメディカル・スクールには通っていないため理解できない事も分かっていました。
どんよりした表情がハリソンの顔に訪れ、そして彼女が間違った人物に話をしていたことを悟るまで彼女は彼に話をしていました。
デイビスが助けを申し出たのを断りはしたもののデイビスは本当に彼女がグチを言っても心許せる唯一の人でした。
「それでキャリーとはどう?うまくやってるの?」 トゥルーは話題をもっと軽いものに変えようとして尋ねました。
「まあね」とデイビスは目をそらして書類を眺めながら答えました。
「彼女は過去を忘れて、今の自分の生活を続けている」
「いいことだと思うわ」とトゥルーはうなずきながら答えました。
「彼女が知ってしまった事はもういいのかい?」 デイビスはほとんどささやきに近い声で尋ねました。
トゥルーは返事しようと口を開いてためらいました。
彼らの議論は先週デイビスがキャリーにやり直しの事を話してしまった事で、トゥルーの心の中ではまだ新しい事でした。
「済んでしまった事は仕方ないわ」とトゥルーも同じように静かな声で答えました。
「彼女が聞かなかった事にはできないわ、それより彼女が知った事に対処しなきゃ」
「彼女は俺たちに手を貸してくれるかもしれない」とデイビスはまた言いました。
「あたしがもっと良く彼女を知るまで、まだどちらかと言えば彼女はこのままにしておいた方がいいわ」トゥルーは頭を振り強く主張しました。
「彼女が知ったことについて何もすることができないわ、でもあたしは…」
「彼女の助けはいらないのか?」
「もし沢山の人が知るなんてそんなリスクは望んでないの。かぎ回っていたレポータを覚えてるでしょ?」
「彼女がマスコミに話を持っていくと思ってるのか?」
「そうじゃないけど」とトゥルーは渋りました。
「でもマスコミに話を持ちかけられるかもしれないわ、それに誘惑にかられるかも」
「君は俺とハリソンを信頼してるんだろ」
「彼女の事よりあなたとハリソンの事はよく知ってるわ」
「じゃあ、彼女を知ることもできるはずだ」
「そうね」とトゥルーはうなずいて言いました。
「でもその時までこのまま保った方がましよ」
「オーケー」とデイビスが同意しました。
「それじゃ、俺たちはいいのか?」
「あなたに話さないように言ったように、話して欲しくはなかったわ」とトゥルーは失望して言いました。
「でもあなたが何故そうしたのか理解できるわ。このまま放っておいてどうなるのか成り行きを見るべきだよ」
デイビスは同意してうなずきました。
トゥルーは腕時計をチェックすると帰るために立ちました。
二人はさようならを言い、トゥルーはシフトを見ると次のシフトで彼に会うことを確認しました。
死体安置所を去って、彼女は二人の間はまだ完全ではなく簡単な事ではないと分かっていました。
しかし少なくとも口論する代わりに話し合いをしたという感覚を感じました。
そして彼女は元に戻るのもそう遠くないことだろうと希望しました.。

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「奴らはまだ疑ってないのか?」 ジャックはバーテンを呼びながらキャリーに尋ねました。
キャリーは足の長いスツールに腰掛けると愛想笑いをするバーテンに飲み物を注文しました。
「全然」と彼女は微笑しながら答えました。
「間違いなくお前のことを調べだすと思ったんだがな」ジャックは隣に座る過小評価した女性に頭を振り笑みを歪めました。
「少しばかり頭を回転させて、涙を沢山流せば」 キャリーは肩をすくめて微笑しました。
「彼らは何も考えてないのよ」
「奴らは今、お前の過去を完璧ではないにせよ知っている」とジャックが指摘しました。
「どのぐらいその事を誰が追求してくると思う?」
「デイビスじゃないわね」とキャリーは独りよがりの微笑で答えました。
「彼は信じてるわ、私が言った事をね、彼何て言ったと思う?『君のプライバシーを尊重するよ』ですって」
ジャックは大声で笑いました。
「それじゃ、奴がお前のプライバシーを尊重している間に、奴らの秘密全て、どんな小さな事も調べあげる事ができるな?」
「皮肉が好きね」とキャリーが言うと、ジャックはバーテンに金を払い彼女は持ってきた飲み物を受け取りました。

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「それから俺はそいつを見失っちまったと思ったんだ、でも次の角を曲がったところにいんだぜ」ハリソンはトゥルーに最近父親に与えられた任務の事を話しました。
トゥルーは頷いてはいましたが完全に上の空で聞いていました、
しかし彼が誇らしげに自分の仕事がどうであったか話すのを聞いていて弟に気づかせまいと努力しました。
「それでパパはあんたに満足してるの?」と彼女は上の空だったため何故注文したのか分からないデザートを弄びながら尋ねました。
「ああ」ハリソンはテーブルの向こう側ににっこり笑いました。
「だからさ、俺の新しいアパートを見に来いよ」
「もう見たよ」とトゥルーは微笑しながら言いました。
「一回行ったでしょ、思い出しなさいよ」
「姉さんが見たって言うのは聞いて知ってるけど、俺は姉さんが来た事なんて知らないんだ、それは数に入らないよ」
トゥルーは目を泳がせて遅かれ早かれアパートを訪問しなければならない事を受け入れ父親が用意したおしゃれな内装を思い出しながらハリソンへ笑顔を向けました。
「次のやり直しの日に行ったらどう?」と彼女が言いました。
「そうでもなきゃやり直しの日が起こるたびに数日ごとにツアーを組まされそうでさ」
「いいじゃん」ハリソンは微笑しました。
「じゃあ、姉さんがやり直しの日に俺のアパートを見に来ることになるんだな」
「時間が許せばね」とトゥルーは訂正しました。
「例外はなしだぜ」とハリソンは修正しました。
「たとえそれが翌朝の早い時間でもいいじゃないか。これならいけるだろ」
トゥルーは頭を振って微笑しました。 彼の言うとおりでしたそれ以外彼女が行く方法はありませんでした。

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「もう、遺体が来たの?」 トゥルーは今日のシフトに入ったばかりで死体安置所の中に入りながら尋ねました。
「強盗の犠牲者だ、IDを持ってない、彼女の首からチェーンを引きちぎったようだ」
「彼女の死因は?」トゥルーは遺体を点検しながら尋ねました。
首についたチェーンの擦過傷以外に犠牲者の体には目に見える傷害がないように見えました。
「頭部外傷だ」とデイビスはトゥルーを遺体の脇に移動させながら答えました。
「彼女は抵抗したのかもしれないな、後ろ向きで壁に激突したように見受けられる。彼女は現場で死んでいるところを発見された」
「どうして抵抗したのかしら、持ち物を渡さずに?」トゥルーはデイビスよりも自分に言うように尋ねました。
「命の方が財布よりも大事なはずよ」
「それは君があの力で戻らない事には知るのは難しいな」とデイビスが言いました。
まもなく助けを求めてくる場合に備えてトゥルーは犠牲者の全てを細部にいたるまでを記憶しようと近づいて見ました。
「ねえ、彼女を知ってるわ」とトゥルーは驚いて言いました。
「あたしとハリーが食事していたレストランのウエイトレスよ。あたし達が出てからまだ30分よ」
「名前は?」デイビスが尋ねました。
トゥルーはレストランを思い起こしました。 女性は自分たちの担当ではなかったが彼女はそこで働いていました。
「ニッキーよ」とトゥルーが突然思い出しました。
「従業員が彼女が婚約したことを祝っていたとき、ウエイターの1人が彼女をニッキーと呼んだわ」
トゥルーはニッキーの手を見てあの時に誇らしげに見せていた婚約指輪がなくなっていたことに注目しました。
手首の周りにうっすらと腕時計の痕とは異なり彼女の指にはまだその指輪の日焼けの痕すらついていません。
「少なくともスタートする場所があるわけだな」とデイビスが言いました。
「もし彼女が求めてくれば…」
トゥルーがいつものよく知った雰囲気を感じたときデイビスはかろうじて話を終えていました。
ニッキーは彼女に顔を向けると「助けて」とささやき時間が巻き戻っていきました。

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「例外はなしだぜ」とハリソンがテーブルの向こう側から話しかけていることにトゥルーはショックを受けました。
「たとえそれが翌朝の早い時間でもいいじゃないか。これならいけるだろ」
「どうして…?」トゥルーは驚いて慌ててレストランを見回しました。
「姉さん?」ハリソンが声をかけましたが、トゥルーは席から立ち上がり店内を見回し、そして再び席に沈み込みました。
「たった今やり直しが起きた」とトゥルーは混乱して言いました。
「今朝はやり直しの日じゃないって言ったろ」とハリソンが指摘しました。
「違うの、たった今起きたのよ、でも数時間だけ戻った、ここに」
「最後に目を覚ました時間に戻るはずだったんじゃ?」
「そうよ」
「それじゃ俺の仕事の話に眠気が襲ったのか?」
ハリソンは今回のやり直しについて全く信じないという言い方でトゥルーに笑いかけました。
「眠ってなんかないわ」と彼女は言いました。
「でもこの時間までしか戻って来れなかった、どうしてなのか分からないけど。こんな事、前には一度も起きたことがないのに」
「それじゃ今日俺のアパートに来る事になるな?次のやり直しのときに来るって言ったの俺は忘れてないぜ」ハリソンは尋ねました。
「どうしてこんな事に?」トゥルーはため息と共に外に目を向けました。
「何が起きたのか分からない。ここを出て仕事に行った、やり直して、そして突然ここにいた。昨日の夜に眠って、今朝普通に目を覚ましたのに」
「犠牲者を救うのに時間があるのか?」 ハリソンは腕時計をちらっと見て尋ねました。
「そうだ、彼女はここで働いていたんだ…」トゥルーは店内を見回すと他のテーブルに応対している金髪のニッキーを見つけました。
「あそこにいたわ」
ハリソンはトゥルーが見た方向を見ました。
「それで彼女を救うのに何をするんだ?」
「彼女は襲われたのよ、あたし達がここを出た直後だと思う。彼女はまだユニフォームを着ていた。おそらく仕事から家に帰る途中だったんだわ」
「それじゃ、彼女が襲われるのを止めればいいんだな。簡単じゃないか」
「そしてジャックとは違ってあたし達はここにいる利点があるわ」
「多分それが姉さんがこの時間へ戻ってきたんだよ、それに彼女を救う時間もある、でもジャックには邪魔をする時間がないんだ」
「面白い説ね」トゥルーは微笑しました。
「彼女はあと15分でここを出るわ、あたし達がすることは彼女をつけて強盗を見張ることよ」
「それじゃ、15分後任務が終わったら俺のアパートに来るんだな」ハリソンはにっこり笑いました。
「今晩は仕事よ」とトゥルーが指摘しました。
「今晩、犠牲者を救ったら死体安置所に届く遺体はないだろ、例外はないって思い出せよ」

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「もうじき彼女が帰るな」とハリソンはニッキーがレストランの入口で接客主任に話をしているのを見て言いました。
トゥルーは腕時計を確認すると同意してうなずきました。
「あと5分で帰るわ、清算して。彼女の後を追いかけるわよ、強盗に襲われても近くにいれば十分止めることができるわ」
ハリソンがウエイトレスを呼ぶとトゥルーは席を立ちドアの近くで見張り続けました。
ニッキーが従業員用のクロークから現れてドアに向かったのはほとんど正確に5分後でした。
冷たい1月の空気の中に出たトゥルーとハリソンは彼女の後に近づきました。
「いい夕食だったかい?」
トゥルーは気に障るウソっぽい陽気なジャック・ハーパーの声を聞きうなりました。
「遅れるぞ」とハリソンは彼らの前に立ちふさがるジャックから離れようとしながらそっけない調子で言いました。
「魚は食べてみたか?」 ハリソンが話てなかったかのようにジャックは続けました。
「お勧めの一品だ。それにあそこのコーヒーも非常にうまい」
トゥルーはジャックを無視してジャックの背後のニッキーを目で追いました。
「先に行って、ハリソン」とジャックがハリソンの前からどき彼女の行く手を阻むように立ちふさがるとトゥルーは言いました。
「おい、おい、トゥルー、失礼じゃないか。 俺はただ友達として俺の心配を伝えるために来たんじゃないか」
「あんたがウソの心配をし過ぎているんじゃない」とトゥルーが返事をすると、
ハリソンはついにジャックをすり抜け角を曲がって姿を消したニッキーの後を追いかけました。
「俺は冗談を言ってるわけじゃないぞ、トゥルー」とジャックは見せかけの心配した渋い顔つきで言いました。
「そんなふうに君の仕事の直前に眠りにおちるなんて。物凄く疲れてるんじゃないか。
医学校に行って死体安置所で死から救ってくれと求める全ての人を助けるなんて。
全てはできないんだ、今晩が君にとっての証明じゃないか。彼女が今の時間より前に死んでいたらどうするんだ?
それだと全てできない事が分からないのか?」
「あんたが何について話をしているのか分からないわ」とトゥルーが答えました。
彼女はもっと何か言い返そうと考えました。そして彼女はそうすればそうしようとするほど痛みを感じました。
けれども彼にそのことを知られるてしまうのもしゃくでした。
彼女はその時眠っていなかったと言おうかと迷いましたが彼の不利は決定していました。
彼女は彼が秘密を持っていることが分かりました。今彼女は一歩リードしていました。
「それが君のベストか?」ジャックは悲しい振りをして頭を振りました。
「もしそれしか口答えできないなら、君は相当疲れているんだ。家に帰った方がましだぜ、とにかく今となっちゃ遅すぎる」
「知らないくせに」とトゥルーは彼を押しのけてブロックの方に急ぎました。
「実は俺はそのことを知っている」ジャックは彼女を呼び止めました。
トゥルーは彼と議論して浪費した時間を知って彼を無視しました。
彼女は歩行者をかわし急いで角を曲がるとハリソンが彼女に振り向きました。
「ゴメン」とハリソンは彼女にすぐに言いました。
「彼女を見失った。彼女はここを曲がったんだ。それは分かったんだ、彼女を見たんだ。
でも俺がここに着いたときにはもう彼女はいなかった。どこに行っちまったのか分からない」
トゥルーは路地を見回りました、アパートへの階段がありましたがニッキーには誰も訪ねる時間はなかったはずです。
そしてついに路地の隙間から数ブロック先でニッキーが強盗に襲われているのを見つけました。
しかし路地から覗く事以外に手が届きません。
「来て」とトゥルーは路地から急いで戻るとハリソンに言いました。
そして強盗の現場へと疾走するとハリソンはすぐ後からついて来ます。
現場に到着するのに時間はかかりませんでしたが二人が到着した時には既に遅すぎました。
ニッキーは舗装道路の上に横たわっていました。一人の女性がニッキーの脇に跪き震える手でニッキーの脈を調べていました。
トゥルーは遅すぎであった事を知りました。そして女性が手当てをしようと出てきてくれたことが分かりました。
「アパートに絶叫が聞こえてきたのよ」女性は酷いショックを受けた顔でトゥルーを見て呟きました。
「男があっちに逃げて行ったわ」
トゥルーは彼女が指さした方向を見ました、しかし視界には誰もいませんでした。
ハリソンはその方向に行こうとしましたがトゥルーは彼の腕にしがみつき止めました。
ニッキーはすでに間に合いませんでした。
そして弟が勇敢に立ち向かってもニッキーと共に死体安置所に加わることになるのを望みませんでした。
「警察を呼んで、ハリー」と不審そうにトゥルーを見るハリソンに言ました。
ハリソンはうなずくと電話を取り出しました。
ハリソンがダイヤルしようとした時トゥルーがニッキーをもう一度が見下ろすとニッキーは目を開き「助けて」とささやき再びやり直す事になりました。

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トゥルーはベッドの上で目を覚ましました。
彼女が最初に思ったのは1年以上も夢を見ていたのではないかと思いました。
彼女は何はともあれデイビスに話をするため死体安置所に急ぎました。
彼女は最初にやり直しが起きたときデイビスと話をするチャンスがあったらいいのにと思いました。
けれどもすでに済んでしまった後でした、それにやり直しの変則について後で彼と話をすることができる思いました。
今が後なのか先なのややっこしく思えてきました。

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「それじゃあ、お前は最初は数時間だけ戻って、そして次には初めからやり直したと言うのか?」
ジャックはリチャードのオフィスに座って頷きました。
ジャックは自分に起きた現象を自分と同じぐらい当惑している助言者を見て沸々と喜びを感じました。
「そして私の娘が現場に到着するのを阻止ししたんだな?」
「彼女が現場に間に合うはずはなかった」とジャックが言いました。
「間に合わなかったのをそのままにしておいた」
「だが、不注意だったな、もう一度やり直す可能性を与えるとは」
「そう思うよ」とジャックはリチャードが彼の過失ではなかったという意見を聞いて安心しました。
「だが何が起こっているのか知らなくてはならんな、私の考えではトゥルーが何がを知っているかもしれん」
「どうやって、彼女が情報提供をするような協力性はないと思うが」
「それはお前の社交術にかかってるんじゃないかね?」
リチャードは独りよがりの微笑で答えました。その笑みはジャックがトゥルーに見せる笑みと驚くほど似ていました。
ジャックはその笑みが自分に似ていると認め眉をひそめ立ち上がりました。
「私が数ヶ月前にお前に話したことを思い出しみろ。
お前が娘に打ち明けなければ、トゥルーはお前がやり直す力を持っている事を知らなかったはずだ。
娘が知らないままの方がいっそう実用的だったかもしれんのに」
ジャックはドアに歩きながら彼を無視しました。
それはリチャードが力を持っていた時もそれほどうまくやっていたようには聞こえなかったからです。

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「それで君は数時間だけ戻った?」デイビスはいつも通りの冷静さで尋ねました、
それはトゥルーの不安感をいくらか和らげるものでした。
「そして間違いなく君はウトウトともしなかったんだな?」
「確かよ」トゥルーは死体安置所の中を行ったり来たりしながら答えました。
「いつもは最後に目を覚ました時点に戻って行くのに」
「いつもじゃないよ」とデイビスは机に向かって座り顎を鉛筆を軽く叩きながら指摘しました。
「マークの時を思い出してみるんだ」
トゥルーはその時の事を思い出して彼が正しい事を悟りました。
マークが死んだ時間彼女は眠っていました。しかし最後に起きた時間ではなくその日の朝に戻っていました。
「でももし最後に目を覚ました時に戻っていたら遅すぎだったわ」とトゥルーが指摘しました。
「多分これは何か類似点があるんだろう」とデイビスが提案しました。
「運命は所定の人々を救うため君にもう1つのチャンスを与える、
しかしマークのケースでは君にその可能性を与えるためにルールを変更したんじゃないだろうか」
「それじゃ、なぜいつもは起きないの?」 トゥルーは尋ねました。
「それは他の時はルールを曲げる必要がなかったからじゃないか。
その日はもしルールが曲げられなかったら、君は何もする事ができなかった。
君がその時眠っていたのは誰の過失でもない、君はマークが助けを求めようとしていたことなんて知っていたはずがないんだから。
それでルールは君に彼を救うチャンスを与えるため崩れたんだ。
しかしジャックの存在がいくらかルールを変える事になるんだと思う。
それがどんな力なのか分からないが、二人にやり直しの力を与え、ジャックが干渉する。それは変わる事はない。
だが最初の頃はジャックが関係していなかったんだったな?」
「ええ」とトゥルーが答えました。
「それじゃあ、あなたはまたそんな事が起きると思う?運命がルールを曲げる事が?」
「他に何かもっと説明のつく理論があるかい?」
「ううん、でもなぜ朝じゃなくてあの時点に戻されたのか?それじゃ意味をなしてないわ。
それにジャックが先回りしてそこに着くのを阻止していたのか?」
トゥルーはソファに体を深く沈めると起きたことを考えましたが何も浮かんではきませんでした。
「それは俺も知りたいものだな」とジャックは入り口付近の壁に寄りかかって立っていました。
「何者かが我らのトゥルーのためにルールを曲げた、俺はそれが何なのか知りたい」
トゥルーは彼女に向かう不審な、あまりにも気楽そうに見えるジャックの影に目を向けました。
ジャックもトゥルーと同じぐらい困惑していましたがそれを見せようとしない努力をしていました。
「それであんたはルールについて何か知ってるって言うの?」 トゥルーもさりげなく尋ねました。
ジャックが何かを知っていても口を滑らせるような奴だとは思いませんでしたがトゥルーは自分の思いを口に出さずにはいられませんでした。
「俺は君が知っているよりも分かっているつもりだ」とジャックは部屋の中に入って彼女の座るソファの脇に腰を下ろしながら言いました。
トゥルーがジャックから少しずつ離れると彼のにやけた顔に気づきました。
ジャックはわざとトゥルーの座る席を侵略して彼女が嫌がるのを楽しんでいることが分かりました。
彼女は立ち上がると部屋の向こう側にいるデイビスの方へと移動しました。
「それであんたはあたし達に何か情報を話しにきたの?それともただその場所に座っているだけ?」 トゥルーはきつく言いました。
「おい、それが友達に会いに来た者に言う言葉かい?」
「抜けてるわね」とトゥルーはわずかににやっとして言いました。
「昨日もそのセリフを使ったわ」
「そういえばそうだな」とジャックが答えました。
「どうして一緒に仲良くやっていけないのか分からないな。
俺たちはお互い自分の仕事をしているだけだ、ただ目的に対する意見が異なるだけということがどうして分からないんだ?
君とデイビスだって常に意見が一致するわけじゃない事は認めるだろ?」
トゥルーは顔をデイビスに向けるとすぐに二人ともキャリーの事を思い浮かべました。
トゥルーはジャックの独りよがりの満足そうな顔つきを見ると、デイビスへのいらだった一瞬の感情を包み隠そうとしました。
彼女はジャックに出て行くように言いたかった。
今日の計画をデイビスと話し合うために彼女は彼が出て行くことを望みました。
けれども実際はジャックを出ていかせれば先に犠牲者に到達しジャックを優位にさせる事はできませんでした。
そして彼女はデイビスに向いてどう言おうか考えました。
ジャックに何も情報を与えずに今晩彼女を不利にしないようにする必要がありました。
「ニッキーが仕事を始める前にが彼女を抑えるわ」とトゥルーが言いました。
ジャックへ一瞬目を向けてその日犠牲者がいつ仕事を始めたのか分からない事を願って言いました。
トゥルーはニッキーが仕事を終わったときに彼女が話をしているのを聞いて知っていました。
ただジャックが知らないことを祈りました。
「彼女は生きることになるわ」
デイビスは彼女の心の言葉に応えてうなずきました、そしてトゥルーはジャックに振り返ると鋭くジャックをにらみつけました。
トゥルーはジャックが少し奇妙な訳知り顔で顔を上げるのを見て、彼女が知らない何かを知っているように静かにほくそえんでいたました。
「ニッキーは生きることになる」とトゥルーそう言った瞬間、再びコントロールのきかないやり直しが襲ってきました。

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「例外はなしだぜ」とハリソンがテーブルの向こう側から話しかけていることにトゥルーはショックを受けました。
「たとえそれが翌朝の早い時間でもいいじゃないか。これならいけるだろ」
「こんな事が起きるはずがないわ」とトゥルーが言うと、心配で顔を覗き込む弟を無視して店内を急いで見回しました。
「俺の新しいアパートに来るのがそんなにいやなのか?」ハリソンは微笑んで尋ねました。
「日が…」トゥルーは前よりさらに自信なさそうに話し出しました。
「前に進んだ」
「はぁ?」 ハリソンは混乱して尋ねました。
「前に進んだって?」
「何が起きたのか分からない」とトゥルーはニッキーを探し店内を見回しながら言いました。
「この時間に進んだ、最初の時間まで、死体安置所にいたのにこの時間まで飛び越した」
「まぁまぁ」
「それに『助けて』の言葉さえなかった」とトゥルーはニッキーを見つめて言いました。
今回は彼女に有利だとはいえませんでした。
もし今回もジャックがトゥルーの邪魔をするとすれば運命はジャックの手助けをするのか。

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「ばかばかしい」とリチャードはにらんで言いました。
「時間が進むことはできん、それはありえん」
「だがそうなった」とジャックはイライラしながらにらんで答えました。
「俺はトゥルーとデイビスは一緒に死体安置所にいた、そして再び晩に進んでしまった」
リチャードは口をきかず机に着きました、そんな彼を見れたジャックは喜んでいました。
「今回はいつもと違って妙なんだ」とジャックはリチャードが答えを持っていることに期待しながら言いました
「だがそれは問題ではなかろう」とリチャードは薄く笑みを浮かべて言いました。
「お前が今まで経験した中でこんな事はなかったのか?
ディーラの選択だ。お前はつい最近にそういうことがあったんだと思うが」
「それとは違う」とジャックは話が違う方向にずれていく事に業を煮やしました。
ジャックは何が起きたのか確実にリチャードが何かを知っていればいいと思いました、
時々彼はもしかしたらリチャードは自分と同じでただ知ったかぶりをするのがうまいのではと思いました。
「すでに先に進むことはないと言ったはずだ。だがそれはあまりに多くの問題を起こすことになるな。
もし誰かが時を超える瞬間を目撃したのならな?」
「デイビスだ!」 ジャックは席から跳び上がって少なくともデイビスは何か奇妙なことが起こったことを見ている可能性がある事を悟りました。
時間が戻れば経験した事は覚えているはずはないが、しかし時間が進むということは目撃者は覚えているはずです。
「ジャック?」 ジャックがドアに着いたときリチャードは彼を呼び止めました。
ジャックはリチャードが何を言うのかと向きを変えました。
「お前はルールが曲がったとき何を見たんだ?」
「それじゃ、俺を信じるのか?」 ジャックはにやにや笑いました。
「何を見たんだ?」 リチャードは繰り返しました。
「ただいつも通りさ、犠牲者の一日のフラッシュバックだ」とジャックが答えました。
「いつもと何も変わってないぜ」
リチャードが頷くとジャックはオフィスを後にして死体安置所へ向かいました。

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「それじゃ、時間が進む前はデイビスと一緒だったんだ」トゥルーが正確に何が起きたのかハリソンに説明するとハリソンは尋ねました。
「そうよ、あたし達、ジャックと一緒に死体安置所にいたわ」
「奴はそこに何をしにきたんだ?」
「いつものように詮索しにきたのよ」トゥルーはあまりにも注意力が散漫になっていて半分も弟の話を聞いていませんでした。
「それじゃ何を見たと思う?」 ハリソンは尋ねました。
「誰が?」
「デイビスだよ」ハリソンは彼女が知っている事を話して欲しいと辛抱強くため息をはきながら言いました、
「あたしは…」トゥルーはためらいました。ニッキーが先ほど二人の前を通り過ぎたので彼女は目をドアから離す事ができませんでした。
「彼が何を見たかわからない」
「聞いた方がいい」とハリソンが強く主張しました。
「俺がそこにいたらよかたのにな」
「どうして?」
「覚えていられるじゃないか」ハリソンは返事しました。
「姉さんが時間を巻き戻す瞬間をさ」
「じゃあ、デイビスに全部説明してもらいなさいよ」とトゥルーが言うとニッキーがドアから出てきて出口へと向かって歩いていきました。
今回は見失う事はしないと思いました。

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「ジャック、ここに何しにきたの?」 ジャックがキャリーのオフィスの中に急いで入って来てドアを閉じるとキャリーは尋ねました。
「デイビスと少し話をしてもらいたいんだ、俺のために必要なことだ」ジャックはデイビスがすぐ近くで盗み聞きしているかのように小さな声で言いました。
「どういう事?」キャリー紛れもなく彼を手伝うことがうれしくて微笑しながら尋ねました。
「トゥルーと俺が奴の前で先の時間に進んだ後から見た事だ」
「何ですって?」キャリーは混乱して尋ねました。
「進んだって?」
「ああ」とジャックが言いました。
「今までで一番訳の分からないやり直しが起きた、俺の言うことを信じろ。
俺たちが時間を進んだ時デイビスは俺たちと一緒にいた。奴が何を見たか知りたいんだ」
「昼食の時にその事については何も言ってなかったわ」とキャリーがわずかに顔をしかめて言いました。
「多分奴もお前が思うほど信頼してないんじゃないのか?」 ジャックは言いました。
「彼は完全に私を信頼してるわ」とキャリーが返答しました。
「でもどうやって彼に疑いを持たせないままその事を聞けばいいの?」
「お前が何か考えてくれ」ジャックはドアから出て行きながら微笑して言いました。
「何か分かったらすぐに連絡してくれ」

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「少なくとも今日は邪魔するジャックは近くにいないわ」とトゥルーはさりげなくニッキーの後をつけながら言いました。
「デイビスに電話をして何を見たか聞いたらどうだ?」二人はニッキーの後を着かず離れずの状態を保ちながらハリソンは尋ねました。
「今は気が散る事はしたくない」とトゥルーが否定しました。
「何を急ぐ必要があるの?」
「また姉さんが少しだけ戻るのか進むのか分からないけど完全にやり直してデイビスが何を見たのか消え去る前に聞いておいた方がいいと思うんだ」
「もし時間がまたあたしを引きずり回すんならその時に話せばいいわ」とトゥルーは答えました。
彼女は今回のミッションから気をそらさない決意が硬いものでした。

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「ハイ、デイビス」キャリーはデイビスを笑顔で迎えましたが、デイビスはキャリーの意外な登場に驚きと混乱の顔つきをしました。
「昼食からあなたがいないのが淋しかったわ」とキャリーが言いました。
「今まで一緒にいる時間がなかったじゃない ? あなたが私を避けているのかと思ったわ」
「一緒に昼食を食べたじゃないか」とデイビスはその一言ですべてを説明するかのように答えました。
「あなたはほとんど2つの言葉しか使わなかったじゃない」とキャリーはがっかりしたように小さなため息をつきました。
「今は少し都合が悪いんだよ」
「今は私がやり直しの事を知ってるってトゥルーも分かってるわ」キャリーは頷いて言いました。
「彼女はまだ同意するのに少しの時間が必要なんだ」とデイビスはにコーヒーを注ぎながら言いました。
「彼女がもし私が助けることができるのを見た」キャリーはほのめかしました。
「彼女が私を信頼できるように、彼女に分からないように少しづつ手助けさせてくれないかしら」
「うーん」とデイビスがあいまいに答えました。
「あなたがやり直しの日を教えてくれるって約束してくれれば手伝ってあげられるわ」
キャリーが少し黙って待っているとデイビスはうなずき今日の事について話そうとしているのが分かりました。
「トゥルーがなぜ私を信頼しないか分かるわ」と彼女が言いました。
「あなたがしたように私も彼女の信頼を受けないといけないわ。手伝ってもらえないかしら、デイビス」
彼女は愛らしく微笑むと彼を攻略したことが分かりました。そしてデイビスはやり直しの出来事について説明し始めました。

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「彼女はそこに住んでたのね」とトゥルーはニッキーが入ったアパートを見上げて言いました。
トゥルーがジャックとやりあってる間にハリソンが追いかけて彼女を見失った路地にアパートはありました。
「でももし彼女が今家にいて安全なら、今日の何かが変わったんだぜ」 ハリソンは路地を見回して立っていました。
「姉さんは確かここから数ブロック離れた場所で襲われたって言ってなかったけ」
「彼女は…そうよ」とトゥルーの頭は混乱を増すばかりでした。
「多分姉さんが間違ったんじゃないか」とハリソンが言いました。
「彼女は家の中に間違いなく入ったし、俺たちは何も変えるような事はしないんだから」
「デイビスに話をしに行く必要があるわね」とトゥルーは言うと踵を返し路地を出て死体安置所へと向かいました。

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「彼は覚えてないわ」キャリーは数分前に姿を消したデイビスをドアの近くで見張ながら電話の中にささやきました。
「何も覚えてないのか?」ジャックは納得できずに質問しました。
「彼はあなたとトゥルーがここ、死体安置所にいたのは覚えてるの。
ルールが変化して曲がってしまった事について話をしてた。彼、面白い理論を持ってたわ」
「その後の事について話してくれ」とジャックが言いました。
「俺たちが時間を進んだ時はどうだったんだ?」
「それが覚えていないのよ」とキャリーが説明しました。
「彼はあなたがそこにいたのは覚えてるの、話をしたのもね。
でも私がトゥルーとあなたがその後どうなったのか聞いても彼は知らないのよ、
肝心の部分が空白なの、でもその後の事は覚えてたわ。
二人が消えてしまった事を見てるのに忘れてしまったみたいだったわ」
「あるいは記憶を変えられたのか」とジャックが提案しました。
「奴の心は不可能なことを見て対処できずに記憶をふさいでしまったのかも」
「心は非常にデリケートよ」とキャリーが同意しました。
「それは確かにありえるわ。彼が何を見たのか分かることが本当に不可欠なの?」
「そうじゃないが」とジャックが答えました。
「奴が思い出すことができないとかではなく、問題は奴がそれを見てどう違っているように思ったかだ」
「他に何かする事はある?」キャリーは尋ねました。
「いや」とジャックが答えました。
「いつも通りの仕事をしてくれ」
「分かったわ」

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トゥルーは机に着いてデイビスに起こった事の全てを伝えました。
その朝死体安置所から時間を進んだ事をデイビスは聞いて驚いているようでした。
そしてトゥルーとハリソンは非常にがっかりしました。デイビスは何が起きていたのか覚えていないようでした。
「全く思い出すことができないのか?」ハリソンは疑い深くカウンターの上に腰をかけて尋ねました。
「トゥルーがここにいたのは覚えてる、そしてジャックがここに来て我々と話をした…」
「それで次には何も」とトゥルーが肩すくめて言いました。
「今日は何が起きてももう驚かないわ」
「でも何かを見た事は確かだ」とハリソンが強く主張しました。
「話をしてる最中にこの死体安置所から姿を消したのに気付かなかったって!」
「それは重要じゃないわ」とトゥルーはハリソンの言葉に傷ついたデイビスを見て彼女は口に出さず無言で謝罪の顔をデイビスに向けました。
「それで何が犠牲者に起きたんだ?」デイビスが尋ねました。
「どうして間に合わなかったんだ?」
「俺たちは彼女の後をつけて家に行ったよ…」ハリソンはトゥルーが抑えようとしましたが話し出してしまいました。
「俺たちがまるで失敗したみたいな言い方だぜ」
「まあ、ついさっきここに来たんだが、今朝君が言ったのと全く同じような強盗の犠牲者だ」
「えっ、そんな事はないはずよ」とトゥルーは席から跳び上がって遺体安置へと急いで行きました。
そしてニッキーを保管してあるドアを開けようとしましたが彼女が助けを求めれば時間が繰り返される事になるのを用心しました。
トゥルーの背後にはハリソンとデイビスが来ていて、彼女はドアを開いて今回で3回目の遺体、まったくの同一人物を引き出しました。
「でもあたし達は彼女が無事に家に入るのを見たわ」トゥルーは混乱した頭を振り他の人たちに言うよりも自分に言いました。
「アー、姉さん」とハリソンがためらいがちに言いました。
「何か間違いがあったんじゃないか」
「何?」トゥルーはハリソンが何か言うのを望まないかのようにおどおどして弟に振り向き返事をしました。
「その人は俺たちがレストランから後をつけていた女性じゃないんだ」と彼がついに言いました。
「えっ、それは」とトゥルーは再び遺体を見てそれから弟へと振り返って言いました。
「まだユニフォームを着てるし彼女よ」
「彼女じゃないんだ」とハリソンが強く主張しました。
「彼女は双子なんだ、でもその人は俺たちの追っていた人じゃない」
「どうして分かったの?」トゥルーは間違っていると悟ると彼が正しのではと思い聞きました。
「一つにユニフォームが違ってる」とハリソンが言いました。
「ネックラインを見て」
トゥルーがユニフォームのネックラインを見るとニッキーが着用していたユニフォームと全く同じに見えるけれども実際はずっとハイカットであったことが分かりました。
「ニッキーのユニフォームはもっとローカットだ」とハリソンは不必要とは思ったが付け加えました。
「それじゃ、あたし達は今まで間違った女性を追い回していたの」とトゥルーは彼らの過失であるかのように2人の男性たちをにらみつけて言いました。
「そしてジャックはそれを知ってた」
ジャックは間違いなくトゥルーが間違った情報で動いている事を知っていたのが分かりました。
「多分それが君をレストランを呼び戻し続けた理由なんだろう」とデイビスが言いました。
「それで君は彼女ではなかったことに気付かなかったのか?」
「あたししか分からないでしょ?」トゥルーはきつく言いました。
「そんな間違に気づくわけないわ。ミスをするはずじゃなかったのに」
「誰もがミスを犯すんだ、トゥルー」とデイビスが指摘しました。
「時折のミスをすることは人間的なんだ」
「そうだよ」とハリソンが明るく言いました。
「俺を見ろよ、俺はいつも失敗ばかりさ」
「じゃあ、あんたがやれば?」トゥルーはにらみつけて言いました。
「あんたがミスをしてもあたしが回復することができるけど、あたしがミスをしたら、そしたら人が死ぬのよ」
彼女は怒鳴り終えると弟の傷ついた表情を見てすぐに言葉を後悔しました。
そのような事を言うのは彼女らしくありませんでした、それは奇妙なやり直しと反対側のジャックに感じたストレスのせいだと思い込むことができただけでした。
「ハリー、ゴメン、あたしは何が問題なのかも分からないのよ」
彼女が彼を抱きしめようと手を伸ばすと彼が謝罪を受け入れてくれて安心しました。
「疲れてるんだよ」とハリソンが答えました。
「それに姉さんが正しいよ、俺のミスを片づけるにはあまりにも姉さんに頼りすぎてた」
「最近はないわよ」とトゥルーは目に涙を浮かべ頬に伝う前に止めようとして鼻をすすり上げました。
「あんたは本当によくやってるわ、それなのにあたしは何て…」
「分かってるよ」とハリソンが言いました。
「俺はその前に借りを返さないとな。借りを返す手始めとして犠牲者について助言する事だ。
2つ目は俺の新しいアパートでリラックスした晩をすごす事だよ」
「ちょっと待ってて、彼女がまた助けを求めるかどうか試してみる」とトゥルーは動かない遺体に振り返りながら言いました。
「彼女は君にはもう助けを求めないだろうな、トゥルー」とジャックは出入り口で誰も気付かないように話を聞いていて割り込んできました。
「彼女は君に助けを求めてきたのに君は彼女がほかの誰かと思い込んだ、
そして何らかの理由で君にミスを気づかせたくて繰り返されたチャンスを与えられたのに気づかなかった。
どうしてもう一度チャンスがあると思うんだ?」
「あんた、あたし達が間違っていたことを知ってたわね」とトゥルーは不用意に言いました。
「もちろんその通りさ」とジャックは遺体の横たわる場所へと歩きながら答えました。
「ルールは今日君のために捻じ曲がったんだ、なのに君は彼女を救うことができなかった。
もうあきらめて自然の流れに逆らわないことを考えるべきだ」
「ヒントを教えにきたのならあんたからはいらないから帰ってくれないかしら」とトゥルーは声を和らげ言いましたが失敗しました。
彼女はジャックが何かを答えようとした事がわかりました。
しかしジャックが言葉を口に出す前に彼女は空気の静けさを感じて彼が間違っていると感じました。
彼女はもう1度チャンスを掴みましたそして彼女はそれを無駄にしないように確かめようとしていました。
「助けて」と女性が助けを求めるとトゥルーはいつものやり直しと同じようにベッドで目覚めました。

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「どうして路地で違う女性だったと気づかなかったの?」トゥルーはハリソンに尋ねました。
「路地じゃ気づかなかったのにどうして死体安置所では違いに気づいたわけ」
「そりゃ、その人の事さえ覚えてないのに、違いを見分けたことをどうして覚えてるって思うんだ?」
トゥルーはその答えに頭を振りました。彼女はいつもその事を覚えていたから。
彼女とジャックだけが昼間に戻った事を覚えている唯一の者なのか ?
「多分暗かったんじゃないか」と彼が言いました。
「それに時間もなくて、俺はあせってたんじゃないかな」
「多分、彼女がコートを着てたから彼女のユニフォームのネックラインが見えなかったのかも」とトゥルーはいつもの彼女らしく目を泳がせて答えました。
「ああ、多分そうだよ」とハリソンは答え、トゥルーはニッキーのアパートのドアをノックして彼女がでてくるのを待ちました。

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「理論って?」キャリーは尋ねコーヒーをひと口飲みました。
「何の理論なの?」
「クソッ」ジャックはやり直す前にキャリーからデイビスの理論についての情報を手に入れなかったことに対して落胆しました。
ジャックはトゥルーの最後のチャンスであるやり直しをしても皆の記憶が完全に抹消されないと思っていました。
「理論って何なの?」キャリーは繰り返しました。
「俺とトゥルーが不規則なやり直しをした事に関する理論をデイビスが掴んでいたんだ。
その事をデイビスはお前に話したんだが、またやり直しが起きる前に俺はお前から聞いていなかったんだ」
「それじゃあ私がもう一度それを聞き出せばいいのね」とキャリーは推測して事務的にうなずきました。
「それでいいんでしょ」
「それでこそ俺のパートナーだ」ジャックはにっこり笑いました。
「だがこの次に俺が後にしろって言ったら、今の話し何が何でも俺に思い出させてくれ」
彼女はコーヒーを飲み終えると立ち上がり笑顔で返事を返し、死体安置所に向かって出発しました。

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「ビビはもうここに住んでいませんよ」とニッキーが言いました。
「2カ月前にボーイフレンドと一緒に引っ越したわ。あなた達は友達?」
トゥルーは姉妹が同じアパートに住んでいるかもしれないという推測が正しかったという安堵のため息をついて彼女の質問にすぐに答えました。
「近くまできたので、彼女がどうしているか立ち寄ってみたんだけど。
じゃあ、彼女の仕事先に行ってみるわ…あのー名前を忘れてしまったんですけど…仕事先の…」
「コルベットよ」とニッキーが答えました。
「そうね彼女はまだそこにいるわ。そこに行けば彼女に会えると思うわ、今晩はまだ働いているはずだから」
「ありがとう」トゥルーは微笑して立ち去ろうと振り返ると何か言いたそうなハリソンを引っ張って歩きました。
「姉さんがあんなにも簡単に人から情報を引き出すのがうまいなんて信じらんないぜ」とハリソンはレストランに向かいながら考えました。
「まあ言えば一種の超能力ってやつ、全て聞き出しちまうんだからな」
「才能って言ってよ」トゥルーはにやっと笑いました。
「その能力が俺にあればって思うよ」とハリソンが答えました。
「そうすれば姉さんに競馬の勝馬の名前を聞き出すのに使うんだけどな」
「ハリソン…」とトゥルーは警告するように言いました。
「冗談だよ」とハリソンは笑いながら答えました。
「俺がこの数カ月、競馬に行ってないのを知ってるだろ」
トゥルーはハリソンを誇りに思い抱きしめ以前ハリソンが彼女のためにサプライズ誕生日パーティーをした時の事を思い出させるのを防ぎました。
ジャックの影響がなかったらハリソンは競馬に行く気にはならなかったと思いました。
それがジャックが町から永久にいなくなればいいと思った理由の一つでもありました。
「親父は俺に仕事を押し付けすぎなんだよ」とハリソンが続けました。
「この間なんかさ…」
「あんた、仕事に遅れるんじゃないの?」 トゥルーは思いました。
「本当だ、今から行かないと間に合わねえや」
「それにもう見たくはないわ」彼女は急いで立ち去る弟を見て笑いかけ、一年前に味わった絶望を思い出しました。

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「君は今日授業があるんじゃないのか?」
トゥルーが何が起きたのか熱弁を振るって彼に説明しながら死体安置所の中に入った時デイビスが尋ねました。
「ええ、そうよ」とトゥルーは携帯電話を取り出すと欠席する事をエイブリーに伝えるため電話をしました。
「少なくてもあたしは何がミスだったのか分かってる」彼女は呼び出し音が鳴ると肩すくめて言いました。
「聞いてもいい?」とエイブリーは開口一番に言いました。
「何かが起きたと言うため電話してきたんでしょ、それで授業を休むって。違う?」
「その通りよ」とトゥルーが答えました。
「あたしのズル休みのことに気付き始めてるわね?」
「私達が知らないことを私達以上に知っていれば気づかないはずないじゃない」
「今晩の事を知ってるわ」とトゥルーがは疑い深いエイブリーが再び彼女の弁解を聞こうとすることを望んで言いました。
彼女の返答は少なくともこの時に彼女がそうしていたことを示しました。
「ジェンセンは私達みたいな良い時を見ていなかったと思うの?
今晩彼に会ったら彼に務めを思い出させなければならないわ」
「彼はまだあなたの催眠理論の手助けをしてるの?」
トゥルーは彼女との距離を置き身動き取れなくならないようにしておうことしたにもかかわらず記憶にある事を不思議と尋ねてしまいました。
「ええ、彼はあなたがとにかく今晩は忙しいって言ってたわ。彼を借りられない?」
「いいわ、今晩は仕事の前に夕食でハリソンに会うから。後でジェンセンに電話するわ」
「私から言っとく」とエイブリーは言うと急いで電話を切りました。
トゥルーは何故なのか尋ねる必要がありませんでした、バックグラウンドで教授のうるさい威圧的な口調が聞こえてきていました。
トゥルーはエイブリーへの電話が彼女を困難に陥れなかったことを望みました。
「それじゃ今日はやり直しの日なんだね?」 デイビスが尋ねました。
「俺は何をしたらいい?」
「犠牲者は助けられるわ」とトゥルーが彼に保証しました。
「でもまだ奇妙なのよ、それにあたし達その事について話すチャンスがなかった、全てはね」
「何回もの繰り返し」 デイビスがうなずきながら言いました。
「やり直し、時間の飛び越え、何か考えはない?」とトゥルーはうめくような声で言いました。
「この事についての唯一の良い点はジャックもあたしと同じぐらい混乱しているように思えることよ」

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デイビスは机に着くと眉をひそめ神経質に机の上をペン先で軽くたたきました。
「何かアイデアでも?」 トゥルーはデイビスが彼女の最新のやり直しの事を聞いて何か思いついたのかと思い尋ねました。
「一つだけ思い浮かんだ事がある」とデイビスは思慮深げに言いました。
「君が正確な時間にレストランに戻り続けたという事はやり直しさせる力が君にミスを気付かせようとしていたんじゃないかと思う」
「それはあなたが昨日言ったわ」とトゥルーがコメントしました。
「それはこういう事だ」とデイビスが続けました。
「君が犠牲者の運命を間違って識別したそれぞれの時間は君にミスを見せるために介入した」
「それには文句はないわ、でもそれはあたしには有利でもジャックには不公平になるんじゃないかしら?」
「多分彼女らが一卵性双生児だったから君には余分な助けを与えられ、ジャックは初めから誰が誰であったか知る十分な情報を持っていたに違いない。
君から見れば奴は君よりも有利だったわけだ」
「それじゃあこれはあたし達の戦いを公平にするために行われた事?」
「他に何かあるかい?」
「あたしには分からないわ」とトゥルーが答えました。
「それはあなたの専門でしょ」
「まあ、三人集まれば文殊の知恵ってね」とデイビスが言いました。
「それに新しい展望を得る助けとなる事もある」
トゥルーは三人目の意見を聞くべきであるというデイビスの無言の意見を聞き逃しませんでした。

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「なかなかの一日のようだな」とリチャードはジャックが再びその日の出来事を説明すると言いました。
「これは一体何なんだ?」
ジャックはイライラして尋ねました。
「あんたの娘は次々と可能性を得てるんだ、それに彼女が何をするかにかかわらず彼女が勝つまで続くのか?
俺たちは永久に同じ日を繰り返さなきゃならないのか?もし彼女が誰かを救っても俺には何も得るものはないんだ」
「彼女にそうさせない事をする方がもっと重要だな」
「それじゃあ、あんたは彼女が今までチャンスを得ていたことが奇妙だとは思わないのか?」
「いや」とリチャードが答えました。
「幾度ものやり直しは前も起きている、これからもまた起きるだろうな。
時間が前に進むようなやり直しは今までになかったが、それはお前が調べなくてはならないものだ。
とにかく彼女に対するかなりの利点を持っているはずだ」
「あんたの意見を聞きたいと思うのは当然だと思うが?」とジャックが答えました。
少なくともジャックの立場からすればその特別の利点が、どれぐらい重要なのかリチャードは実質的には非協力的でハリソンからの情報も得ていませんでした。
「もしルールが変化したなら、お前はそれに対する準備を整えておく必要がある」とリチャードが答えました。
「運命がお前に何を投げかけてもお前はお前の仕事を確実にやり遂げるのがお前の義務だ」
ジャックはリチャードが新たな助言は何もないと分かり立ち上がって去ろうとしました。
ジャックはもしこれがいつも通りの上に起きたなら、トゥルーのほくそえんでいる微笑を見るのではないかと思い、
この奇妙な日は一回限りのことであることを切望しました。
そして彼が維持しようとしていた運命はそれぞれの失敗したやり直しの日でコースを外れ、さらに方向を変えていくでしょう。

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トゥルーはアパートへ行く予定を快く変更してくれたハリソンと一緒にビビの働くレストランに到着しました。
二人は受付からニヤニヤしながら見ているジャックを見ながら入口を通り抜けました。
「連れが来た」と彼は案内係に言いました。
「テーブルは用意はできているかい?ハーパーの名前で3人だ?」
「違うわハーパーの名前は一人でデイビーズの名前で二人のはずよ」トゥルーはジャックににらみつけて訂正しました。
「いや、マナーについて話しておいただろ?」ジャックは残念そうに頭を振って言いました。
「3人だ」とジャックは混乱した案内係に繰り返して言うと、次にトゥルーにささやくように言いました。
「今はこんな場所でいさかいは望まないだろ?君らは追い出されるかもしれないし、そんな事は望んでないはずだ?
このレストランには4つの入口があることを知っていたか?」
トゥルーはいくつ入口があったかよく知っていました。今回の場合彼女が調査不足だと非難されるいわれはありませんでした。
レストランの建物正面に二つ、レストラン用とバー用の入り口がそれぞれ一つづつあり、
建物の反対の側面にレストラン用の二つ目のお客用入口と離れた場所に従業員の入口がありました。
レストランへの出入りを把握するにはレストラン内部からしか見る方法はありませんでした。
彼女が出て行くことはできない事をジャックは知っていました。
愛らしくほほ笑んだ彼女はのど元まで出かかった言葉を飲み込み、そしてそれが三人用のにテーブルであることを確認しました。
「ラム肉はどうだい?」とジャックはメニューにざっと目を通しながら言いました。
「それともステーキは?」
トゥルーはジャックの言葉を無視しビビが来ているかどうかレストランの中を見渡しました。
トゥルーがワインのひと口飲むとジャックは運転してはいけないことを言いましたが無視しました。
「ステーキがうまそうだな」とハリソンは隣のテーブルを見て言いました。
「あたし達が何のためにここに来ているのか忘れたの?」
トゥルーはテーブルの下でハリソンの足を強く蹴り、そしてハリソンが見張るはずのドアに向かって身振りで合図しました。
「ここにいる間は食べても問題はないだろ」とハリソンが答えました。
「特にジャックのおごりとなればさ」
「何だって?」ハリソンの考えが読めたジャックは一瞬顔を曇らせて言いました。
「そうね、あたし達友達だったよね…」とトゥルーはハリソンの考えを読み取り協力することに決めて言いました。
ジャックは一杯食わされたと悟って敗北の微笑を浮かべました。
トゥルーはただ強盗が今晩起きるのを阻止するときも同じぐらい簡単にテーブルをひっくり返すことができることを望みました。

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「もう1杯ワインを飲んだらどうだ、トゥルー」とジャックはトゥルーのグラスにワインを注ぎながら言いました。
彼女はすでにグラス1杯以上を飲んでいましたがジャックの努力もむなしくビビを救えないほど酔ってはいませんでした。
他方ハリソンは飲んでいましたが残念なことにジャックと同じぐらい飲む事をコントロールすることがうまかったとジャックは認めざるおえませんでした。
それは明らかに時間との戦いでした。
「あんたは今日の一通りのやり直しについてどう考えてるの?」トゥルーは突然尋ねました。
「まじか?」ジャックは会話の内容が変わったことに驚いて聞き返しました。
「まじめよ」とトゥルーは確認しました。
「罰なのかもな」とジャックが笑いながら言いました。
「君が最初にやり直したときは眠ってたのか?」
「いいえ」とトゥルーは肩すくめて答えました。
「今日は何が起きたのか分からないが、多分俺の推測で俺より君に対して少し利点のようなものを与えられたのかもな、
だがもうこんな事は起きて欲しくないね」
「それはお互い様よ」とトゥルーは笑いながら言いました。
「あたし達がパッと消えたとき、あんたはデイビスの顔を見した?あたしは見なかったけどあんたなら見たんじゃない」
「ほんの一瞬戸惑ったような顔をな。残念なことは、彼が忘れている事だ。何が起きて何を見たのか興味深い」
「どうして彼が覚えてないのを知ってるの?」トゥルーは混乱した日の出来事を思い出そうと眉をひそめて尋ねました。
「彼が覚えていないのは当然だろ」とジャックは不注意にトゥルーに話してしまった事を心の中でのろって言いました。
「人間の心は理解できない事が起きると、それを排除しようとするんだ。
彼が何かしら思い出す可能性はあるかもしれないが記憶はブロックされたということだ」
抑圧されている記憶を解き明かすことについてトゥルーはエイブリーの理論を思い起こして、
デイビスをエイブリーの被験者にすれば何か分かるかもしれないと思いました。
「じゃあ、デザートでも?」ジャックはウエートレスに合図しながら尋ねました。

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ジャックが再びメニューに目を向けるとトゥルーはそっとハンドバッグから携帯電話を取り出しました。
片目でハリソンを見、もう片目でビビを見ながら慎重にそして目立たないように連絡を待つデイビスに素早くメールを送りました。
そしてデイビスは全てのやり直しの手助けをしてくれる可能性を待っているはずでした。
彼女がハンドバッグの中に携帯電話を戻してもジャックは気づいていませんでした。
数分後、ハリソンの携帯電話が電子音を鳴らし周りのテーブルから睨みつけられました。
「マナーモードにしておきなさいって言っておいたでしょ」とトゥルーはジャックが聞いているのを知ってあえて声を潜めないで言いました。
「悪かったね」とハリソンは答え携帯電話にでました。
「今のご時世はあわただしい時代になったんだ、なあハリソン?」ジャックはハリソンが電話を終えると尋ねました。
「悪いけど、姉さん。俺行かなきゃならなくなった」とハリソンは立ち上がるとトゥルーは彼の腕をつかんだけれどもハリソンはテーブルから離れようとしました。
「ハリソン!」と彼女が非難しました。
「行っちゃダメよ、ここではあんたが必要なの、思い出して?」
「俺が君の姉さんを安全に家に送るから」とジャックが言って話を遮りました。
「強盗の心配はしなくてもいいぞ」
トゥルーはジャックの言葉の裏を読み取りなおさら彼をにらみつけました。
「姉さん、緊急事態なんだ」とハリソンが答えました。
「親父から…」
「パパが?」トゥルーはジャックが聞こえないようにハリソンの耳元でささやきました。
「デイビスがあんたに出て行く口実を与えたんじゃないの?」
「いや、親父の仕事の事さ」とハリソンが言いました。
「でも姉さんならなんとかやれるだろ?」
「できると思うけど」とトゥルーは頷きました。出口とビビ両方を見張るのが大変になるが、強盗のどんな行動も見逃すわけには行かなくなります。
「長くはかからないさ」とハリソンは彼女に言いました。
「もし全部が終わってたら俺の所に来るのを忘れないでくれよ。鍵を渡しておいたよな?」
トゥルーは頷くとハリソンが出口に向かって姿を消すのを見送りました。
彼女がジャックへ振り向いたときかろうじてビビが従業員のクロークを目指して進んでいるのを見ました。
ジャックが突然席を立ったので動き始めたと考えたトゥルーも同じく席を立ちました。
「俺を一人にするのか、トゥルー」とジャックは不必要に大きな声で言いました。
「考えろよ」
彼女は彼のそばを押しのけて通ろうとしましたが彼の腕は以外に力強く、
そしてジャックがしていたのと同じように、熱心にディスプレイを見ていたレストランの他の客から厳しい目で睨みつけられるのを感じました。
ビビは1分後に現れ、そしてデイビスがすでに張り込んでいるとトゥルーが知っていた出口に向かって歩きました。
彼女は安堵のため息をついて愛らしくジャックにほほ笑みました。
「あなたを置いていくわけないじゃない」と彼女は先ほどのジャックの声と同じぐらい大きな声で言いました。
「ちょっとお化粧を直してくるわ」
トゥルーはジャックをすり抜け、手洗いを目指して進むとドアから外に何気なく出て路地に向かって通りを疾走しました。
彼女はデイビスがすでに今までと同じぐらい信頼のできる救出に加わっているのを見るのにちょうど間に合いました。
そして警察のサイレンがすでに彼らの方へと向かっている事を示しました。

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トゥルーが姿を消した後ジャックは会計を済ませ、隣接するバーを目指して進みました。
キャリーが腰掛けて彼を待っていました。
「彼女はあれからお前を信頼し始めているのか?」彼女が微笑しながら彼の方に向いたときジャックは言いました。
「全くないわ」と彼女は言いました。
「4つの出口全てを確実に見張るために他に手はなかったのよ」
「4つの出口と4人の人間」とジャックが考えました。
「あるいは4つの出口を見張る2人の人間か」
「リチャードは?」
「ハリソンは親父が電話をするとすぐに出て行ったよ」とジャックが答えました。
「俺の推測ではハリソンが職員の出入口を見張らせるためにデイビスが奴を動かすはずだったんだろう」
「そして私がいなかったらこんな方法は取れなかったわ」とキャリーが答えました。
「ただ運が悪かったのは私を別の出口に配置した事…」
「ただリチャードがそのように受け取ることを望むだけだ」とジャックはリチャードに報告に行ったときの事を考え一瞬険しい表情を浮かべ答えました。

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「彼女は大丈夫だろう」とデイビスはトゥルーに言うとすぐに警察が到着しビビの注意は二人から離れ警官への質問に答えていました。
彼女は少し動揺していましたが無事でした。
「あたし達、やったわね。ジャックの努力も水の泡よ」とトゥルーが硬い微笑で答えました。
トゥルーはジャックが路地へとビビの後をつけて街路に向かって来るのを予想していましたがきていないことに驚きました。
「ハリソンはどうしたんだ?」とデイビスが尋ねました。
「電話をしたんだが何かがあったからと言っていたぞ」
「パパよ」とトゥルーが突然に答えました。
「それが重要な事だったとは思うんだけど」
トゥルーは事実はどうなのか分かりませんがうなずきました。
「少なくともあたし達は万一に備えて特別に人をカバーできたわ」とトゥルーが言うと、
デイビスの顔は喜びで明るくなりキャリーが単にミッションに加わっただけではなく彼女の任務を根気よくやっていたと言いました。
「彼女に飲み物でも買って渡してこようか?」とデイビスは言いました。
「おそらくまだそこで俺たちを待っていると思う」
「そうね、労ってあげるべきね」とトゥルーは同意しまし、そして彼らが警察と話をし終えるとすぐにバーに向かって歩きました。

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デイビスとキャリーをバーに残した後で、トゥルーはまだキャリーが彼女の秘密を知っているという心配の感じを振り払うことができずにハリソンのアパートに行きました。
トゥルーはハリソンが渡してくれたスペアキーを探そうとハンドバッグに手を入れましたが中から音楽が聞こえてきたのですでに帰って来てる事を知りドアをノックしました。
「緊急事態の仕事って何だったの?」とトゥルーはハリソンがドアを開けると尋ねました。
「俺がそこに着く前に片付いちまった」ハリソンは彼女が中に入ると謝罪の顔つきで答えました。
「あたしはパパがあんたをそんな風に仕事を与えてくれる事に感謝してるわ」とトゥルーがコメントしました。
「その通りだぜ」とハリソンが答えました。
「ただ、あたしがあんたの手を借りたいときにパパがそんな癖を作らないようにして欲しいけどね」
「俺が言えるわけないだろ?」ハリソンはにっこり笑いました。
「俺は人気者なんだ!さあグランドツアーなんかどうだい?」
そのグランドツアーから逃れる事ができないと知って、トゥルーは目を泳がせ彼にもう一度アパートを案内させました。

おしまい