言葉のごった煮>トップへ

ANOTHER TRU CALLING
アナザー トゥルー・コーリング

The Mole:スパイ。

あらすじ。

デイビスがトゥルーにそれを話そうと努力します。彼はキャリーに秘密について知らせました。
けれども彼らは出来事が彼らの手からとられることに気付きます。
キャリーの過去が彼女につきまとうために戻って来る、そしてトゥルーに助けを求めるのは彼女自身であるとき.。


トゥルーは教授がどこにいるのか確かめようと、ドアの小さな窓ガラスから教室内をラボを見渡しました。
彼女は腕時計へ素早く目配せをすると10分も遅刻をしている事を告げています。
しかも今回はやり直しの日であることについての口実さえありませんでした。
教授がトゥルーのグループから離れて他の学生たちのグループへと移った瞬間に、
トゥルーはドアをそっと開け静かに教室に入るりジェンセン、エイブリー、タイラーの4人がいる解剖用の遺体のテーブルへと急ぎました。
「トゥルー、今晩ジェンセンを借りてもいい?」トゥルーが席に着くとすぐにエイブリーは尋ねました。
「いいわよ」とトゥルーはジェンセンにわけが分からないといった顔を向けて答えました。
「今晩何か用があったかしら?」
「彼がね、あなたのためにサプライズディナーを計画してたの」とエイブリーはジェンセンが口を開く前に答えました。
「キーワードであることはそこにありましたか?」とジェンセンは目を白黒させてエイブリーに言いました。
「僕は今晩まだとにかく君のモルモットになるって言ってないぞ」
「モルモットって何?」
サプライズディナーの話は楽しく聞いていたが何か話し合っている途中で入ってきたトゥルーには少しも内容が分からず尋ねました。
「退行催眠よ」とエイブリーは夢中になって微笑で言いました。
「私今までずっと薬の変わりになる治療法を探してたのよ、患者が別の選択肢をもてるものをね。
退行催眠は時々治療目的、例えば抑圧された幼年時代のトラウマの治療に使われるわ。
沢山勉強したのよ、でも誰かが催眠術の被験者にならないと。あなたはやってみたい、トゥルー?」
トゥルーはもし催眠をかけられたなら過去の心を覗かれる事に背筋が冷たくなるのを感じました、
一番最初に思い浮かんだのは母親の殺人事件のことでした。
彼女は新しいメディカル・スクールの友人達とより親しくはなってきたけれども、
まだ彼らに少なくともあの全ての事について話をするまでには至っていないと感じていました。
「トゥルーはやらないよ」とジェンセンが彼女の顔を見るや否や言いました。
「とにかくタイラーが君を手伝ってるんじゃなかったのか?」
「タイラーはあんまり良いテスト被験者じゃないわ」とエイブリーがため息と共に言いました。
「俺は正確に君が言ったようにしたよ」とタイラーが遺体の反対側から答えました。
「私があなたにろうそくを見つめて、リラックスして、そして目を閉じてトランス状態になるように誘導したら あなたは眠りにおちたじゃない」
「俺は眠ってなかったんだ」とタイラーが言うとジェンセンとトゥルーは目をそむけてくすくす笑いました。
「あなたは鼾をかいてたじゃない」とエイブリーが返答しました。
「ビショップ君」と教授の声がグループの後ろから聞こえ話を遮りました、トゥルーを含め全員が驚いて飛び上がりました。
「リー君の夜遊びは君たちには非常に面白いかもしれないが、
私は教室でそんな話をするより、目の前の作業に集中してもらいたいものだな」
「はい、教授」とエイブリーは頭を下げ謝っているように見えましたが、
トゥルーは彼女の垂れ下がった長いブロンドの髪の後ろで舌を出して笑ってる顔を見ました。
「そしてデイビーズ君」と教授が続けます。
「君が授業に出席してくれて嬉しいよ。君の新年の決意が君の未来の職業に適切な約束を示すだろう事を希望するよ」
「申し訳ありません、教授」とトゥルーはまだにやにや笑っているエイブリーの視線を避けるために頭を下げて答えました。
教授は一分ほどグループの周りをうろつきましたが作業においては何も言う事が見つからず
教授はついに別のグループへと移りました。
「それで今晩手伝ってくれるの?」
教授が他の学生の間違いを指摘しはじめるとすぐにエイブリーはジェンセンに尋ねました。
「オーケー」とジェンセンが同意しました。「トゥルーが気にしなければね?」
「いいわよ」とトゥルーが答えました。
「今晩はあたし、弟の新しいアパートへと行くつもりだったから。
あいつパパがその場所を見せたときからずっとあたしに見せびらかせたかったから」
「まだ見てなかったの?」エイブリーは驚いて尋ねました。
「彼がクリスマスパーティーでその事をずっと言ってたから、 私は彼がそこにあなたを引きずっていったのかと思ったわ」
「ちょうど新年に渡って本当に忙しかったのよ」とトゥルーが肩をすくめて答えました。
「それはもう聞いたわ」とエイブリーはジェンセンを素早くチラッと見て冗談を言って笑い始めると
もう一度教授の注意を彼らのテーブルに引きつけてしまいました。

--------------------------------------------------------------------------------

「もう彼女には話したのかしら?」キャリーはデイビスのオフィスに入ってくるなり尋ねました。
デイビスが難しい顔つきをしながらコンピュータから顔を上げました。
彼が一日をやり直すトゥルーの能力について彼女に打ち明けてからというもの、
彼女は毎日彼に同じ質問をしていました、そして毎日同じ解答していました。
彼は頭を振ってため息をつきました。
今日もいつもと同じかと思えました。
「遅かれ早かれ彼女に話さいといけないわ」とキャリーが指摘しました。
「もし彼女が私が知っていることを知らないで1日をやり直したらどうするの?
私が助けてあげられるかもしれないのに彼女はその事を知りさえしないのよ」
「分かってるよ、まだ彼女に話すチャンスがなかったんだ」
デイビスはキャリーから目をそらすと机の上にものを片付け始めました。
彼女は彼がトゥルーについて自分に話したことを後悔し、しかし戻ることはできないと感じました、
そしてそれがより早くすべて戸外に出ていたら、それだけそれは皆、特に彼女のためにもっと良いでしょう。
「彼女はクリスマスからずっと本当に忙しかったんだ」とデイビスが肩をすくめて続けました。
「彼女とジェンセンはかろうじて離れていた、そして彼は彼女の能力について知らないんだ」
「彼は知らないの?」キャリーは驚きを装って尋ねました。
キャリーはジャックからジェンセンはトゥルーのやり直しには関わっていないことを聞いていましたが
デイビスにその事を話すわけには行きませんでした。
「彼女はいつかは彼に話す事になるだろう、でもトゥルーは誰に話すかについては非常に注意深い」
「彼女はあなたに話したわ」とキャリーが指摘しました。「そして弟にもね」
「彼女は僕ではなく、ハリソンに話しをしたんだ。僕はその事を理解している」
デイビスはついに彼女の目をまっすぐに見ました、そしてキャリーは感心したような顔つきを見せます。
「本当に?」キャリーは尋ねました。
「彼女があなたに話さなかったのにやり直しの事が分かったていうの?」
「ああ」とデイビスがうなずきました。
「僕は以前彼女の母親に救われたんだ、そしてここで働いていて見たパターンが…」
彼の声は次第に弱まり、キャリーには少しいら立つように聞こえました。
事は簡単です、もしデイビスの周りに彼女がいたから少し緊張していて、
トゥルーを手助けする彼自身の役割についてもう少しオープンにそしてずっとあいまいになったのでしょう。
彼女はどのぐらい彼がトゥルーに手を貸してきたのか言いたくてむずむずしていました。
ジャックから聞いた話では彼がトゥルーにとって最初のやり直しの日という嵐が訪れた時の寄港地であったことを知っていました。
しかし彼女は彼が打ち明ける以前からやり直しの事を知っていたとは言う事ができませんでした。
「それは非常に立派よ」キャリーは少し近づいて彼の机の淵に腰をかけ微笑しながら言いました。
彼女は彼が椅子の上で落ち着かない感じになるのを見て落ち着かせようともっと安全な話題を探しました。

--------------------------------------------------------------------------------

トゥルーとジェンセンは死体安置所の外で止りました。
「ディナーを延期したこと、怒ってるかい?」ジェンセンは心配顔で尋ねました。
「いいのよ」トゥルーは笑顔で彼に応えます。
「とにかく今まで何日間かハリソンを放置していたから。遅れを取り戻す時期だったし、それにディナーの事は知らなかったもの」
「後で埋め合わせをするよ」とジェンセンは建物の外で言いました。
「エイブリーはもうすぐ催眠術のアイデアをあきらめると思う。結局はボランティアがいなくなるはずだから」
「その事で今晩の予定をあきらめるのが嫌だっていうような口振りね」トゥルーはコメントしました。
「いや、僕はエイブリーのために何でもやるさ、でも彼女が僕の頭の中身に何の興味も見つけるわけがないさ」
「彼女がどんなやましい秘密を見つけだしても、彼女に話すよう言うわね」トゥルーはからかいました。
「もし君がよければ、まだ参加することができるよ」とジェンセンが指摘しました。
「結構よ」とトゥルーは頭を激しく振りながら答えました。
彼女は今日すでにエイブリーの提案を断っていますし、もし彼女が今晩行ったなら被験者に誘われるだろうし、
特にジェンセンとタイラーへのテスト結果が悪ければ間違いなく被験者にさせられるのは目に見えていました。
「本当にハリソンの新しいアパートに行かなきゃならなのよ、誰かさんがあたしを誘拐してそこに引きずって行く前にね」
ジェンセンは笑いながら頭を振りました。
「まあ僕としては医療センターに行く方が良いんだけどね」
「そうね」とトゥルーはうなずきました。
「デイビスのところにも行かないと、最近少し放置していたから」
「オーケー」とジェンセンは応えるとトゥルーにさようならキスをするために頭をかがめました。
「後で電話をするよ」
トゥルーはジェンセンが医療センターに向かって歩き去るのを笑顔で見送ります。
彼女はその場に立って彼が見えなくなるまで見送っていました。
デイビスが彼女を待っているはずの死体安置所にドアを開きます。
彼女は回廊を歩きながら少し眉をひそめました。
デイビスがクリスマスの後以来何かについて話をしたそうな雰囲気を感じていました、
しかしまだ彼女はその時以来1人で彼に会っていませんでした。
ジェンセンが彼女と一緒であったり、キャリーが彼と一緒であったりしてタイミングが悪かったのです。
彼女はデイビスと話をしようと思っていましたがオフィスに入るとキャリーが机に寄りかかっていたことに驚き、
今日も話をするチャンスがないことに気づきました。
「やあ、トゥルー」デイビスはばつが悪そうな顔で女を迎えました。
「今日はジェンセンと一緒じゃないの?」キャリーはデイビスを意味ありげに見て尋ねました。
トゥルーは表情を曇らせその言葉に驚きました。
「いいえ、彼は医療センターに行ったわ」とトゥルーは応えます。
トゥルーはデイビスとキャリーを見て何かおかしな雰囲気を感じ、驚いて話を中断しました。
トゥルーは彼らが言い争っているのではと思いました、
そして彼女はクリスマスイブ以来やり直しをしていない事をありがたく思い、
だからデイビスが彼女に対する説明についてウソを言ってごまかしているのではと思いました。
「じゃあ、もうオフィスに戻る時間だから」とキャリーは明るい笑顔で言いました。
「また後で会に来てもいいでしょ、デイビス?」
「ああ、まあ、後で」とキャリーの意味ありげな言葉にデイビスはどもりながら答えたのをトゥルーは見逃しませんでした。

--------------------------------------------------------------------------------

ジャックはリチャードのオフィスにぶらりと入ってくると、彼の助言者は彼にわずかに厳しい目で睨みつけました。
「私はお前に距離を置くように言ったはずだが?」
リチャードはジャックが開けたドアの隙間を見て神経質そうに尋ねました。
「お互い”正式” にトゥルーのアパートで紹介されたじゃないか」とジャックが穏やかに答えました。
「不快だな、もし彼女かハリソンが俺たちが一緒にいるところへうっかり入ってきても、
トゥルーを通じてあんたと繋がってると思うはずだぜ」
「お前はよく分かってないな」とリチャードは部屋を歩き慎重にドアを閉じながら言いました。
「もしお前がここに度々来て見かけるようになれば、彼らは気付き始める。
我々は不注意だった繰り返しの日に人前で会うなんてな。次にはそれほど幸運ではないかもしれん」
「これからは迅速にやるさ」ジャックはリチャードと議論することのむなしさを知って、心を決め妥協しました。
「キャリーについてだ」
「彼女がどうかしたか?」
「彼女はあんたの助けを必要としてる」
ジャックはためらいました、リチャードは手伝う話になると何か思い悩んでいることを知っていました、
しかしこのことはやり直しのための手助けではありませんでした。
「ナタリー・ギャラガー、今月仮釈放を予定されている元同僚についてか?」 リチャードは席に戻ると尋ねました。
ジャックは驚きました。
彼はリチャードがジャックとキャリー両方の調査をしていたことは知っていました、
しかしこれほど細かく調査をしているとは思ってもいませんでした。
「ナタリーが投獄されたとき、彼女はキャリーに復讐を誓った」とジャックがうなずきながら言いました。
「彼女が釈放されればすぐにキャリーのところへ来るはずだ。あんたの力で彼女を引き留めることができないか?」
「お前は私の力を過信している」とリチャードは頭を振りながら答えました。
「たとえ私の力で仮釈放審議会に手を下したとしても、ミス・ギャラガーは4日前に釈放されている」
「キャリーから聞いた話では来週のはずだったが?」
「彼女が間違っている」
「彼女はここに来るのか」とジャックは思ったほど落ち着いた様子で言いました。
「もう来たよ。私は彼女の釈放後の後見人になった」
「それで彼女は町にいるのか?」
「お前の新しいアパートから6ブロック先だ。どう思うね?」
「前のアパートから遠くないな」ジャックはリチャードがクリスマスのプレゼントとして、
あるいはもっと正確に言うなら彼らの痕跡を消すためにハリソンにそのアパートを与えた事を思い出ししかめっ面で答えました。
「誰が彼女を見張ってるんだ?」ジャックは難しい顔つきで尋ねました。
「ハリソンじゃないだろうな?」
「もちろんそんな事はしない」とリチャードが答えました。
「あまりにも危険だからな」
「キャリーにナタリーがすでに釈放されてると教えないと」とジャックは席からゆっくりと立ち上がって言いました。
彼はその話し合いに気が進みませんでした。
「もし彼女がキャリーに近づくようなら、事があまりひどくなる前に、我々が介入する」
リチャードはジャックがオフィスを出ようとしたとき言いました。
ジャックはうなずきましたがその言葉にほとんど希望を感じませんでした。

--------------------------------------------------------------------------------

「あなたとキャリーはうまくやって行っているようね」キャリーが死体安置所から姿を消した後トゥルーは笑顔で言いました。
「ああ」とデイビスは難しい顔つきを膝に落とし言いました。
「彼女は本当に特別な人だ」
「そうかもね」とトゥルーが答えました。
「あたしももっと良く彼女と知り合いになりたいわ。そしたらデイビス達とあたしとジェンセンとでダブルデートできるわね」
デイビスがついに彼女の言葉に驚いて顔を上げました。
「分かったよ、そんな事しなから」とトゥルーが笑いながら言いました。
「だが彼女が君の人生の中の大きな一部に関わってくるようになったら、俺としてはもっと良く彼女を知りたいね。
なあ、夜勤明けに彼女と外で会ってみないか?彼女が十分に君にとっていい人かどうか見分けるために」
デイビスは不安そうに笑いながら答えました。
「今晩はダメだわ、ハリソンの新しいアパートに行かないといけないの、あいつがあたしを無理矢理に引きずって行く前にね」
「キャリーに話す事なんだが…」デイビスはためらいがちな調子で始めました。
「まだよ」とトゥルーは彼の言葉をかわすために手を上げて話を遮りました。
「まだ?」デイビスが繰り返しました。
「という事は将来的には話すと…?」
「分かってる、彼女はあなたにとって意味のある人だから、だからいいわ」トゥルーは妥協しました。
「でも先の話だよ、あたしがもっと良く彼女を知ってからの事」
「オーケー」とデイビスはうなずきながら答えました。
トゥルーはデイビスを見るともっと何か言たそうでしたが彼が口を開かないため強制はしませんでした。
デイビスは時が来れば彼女に何を言いたいのか話すでしょう。

--------------------------------------------------------------------------------

「ハリソン!」 ハリソンは歩みを止めると誰が彼を呼んだのか確認するために振り向きました。
道路の向こう側から彼に向かって走ってくるのは彼の父親の法律事務所で働いた若者だと漠然と覚えていましたが
ハリソンは彼の顔を見て名前が浮かばず少し眉をひそめました。
彼はオフィスでは他の者とはあまり親しくはなく彼自ら距離を置くようなタイプの人間でした。
ハリソンはリチャード・デイビーズの側近のパートナーの1人ではないかと思いました。
「良かった、君に会えて」と黒っぽい髪の青年は息を喘ぎ喘ぎ言いました。
「手伝って欲しいんだ」
ハリソンは彼に話を持ちかけられて何の関係があるのかと思って再び眉をひそめました。
「君は今晩何か用でもあったかい?」と尋ねた青年の名前がディーンだとハリソンは思い出しました。
「どうして?」ハリソンはなぜ尋ねられたのか分からず何か危険な匂いが漂い用心深く返事しました。
「今晩ゲームのチケットを手に入れたんだ」とディーンは笑顔でジャケットからチケットを取り出しながら言いました。
「でも君のお父さんが僕に仕事を言いつけてね」
「だから俺の親父にあんたを仕事から放免するように頼みたいということか?」
ハリソンは呻くような声で尋ねました。
なぜ誰もが彼の父親の判断した事に対して抑制できると思っているんだろう?
「いや」ディーンはチケットをしまいながら頭を振り答えました。
「僕が試合を見に行っている間だけ僕の替わりに仕事を交代してもらいたいんだ。
君のお父さんには決して分からないはずだし、それに君次第だ」
「いくらだすんだ?」 決してチャンスを逃すべきではないとハリソンは尋ねました。
「お金じゃなくてさ」とディーンが答えました。
「その代わり君の仕事の事で少し手伝ってあげるよ、他の人達とあまりうまくいってないだろ。どうだい?」
ハリソンは少し考えました。
彼は父親の仕事を手伝っていたので、旧友達はまったく彼に電話さえしてきません、
仕事に関係ない人たちでさえ距離を置いていました。
答えはすでに分かっていました。
父親の元で働いる事と、誰も刑務所に入るようなリスクは犯したくはない事、新しいデイビーズチームへの誘いも。
今彼は仕事が終わった後の数時間手伝うだけで新しい友人を作るチャンスを持ちました。
「オーケー」とハリソンは同意しました。
「仕事は何だい?」
「君が正しい選択をすると思ったよ」とディーンはにっこり笑い
ハリソンにナタリー・ギャラガーを近くで見張りをすることについての説明をしました。

--------------------------------------------------------------------------------

「ウェルカム、ようこそ」ハリソンはアパートのドアを開け大げさに言うとトゥルーはリボンをかけたプレゼントを持って中に入りました 。
「これはなに?」
トゥルーは広く明るいアパートを見回して驚いて尋ねました。
トゥルーはアパートの住所を知っていたしその場所も知っていました、
しかし彼女はその地域がそれほどいい場所だとは思っていませんでした。
それは彼女の所と比較して小さくて粗末だと思っていました、
だから彼女はこのような素晴らしく新しいアパートを与えられた弟に取り乱し混乱して皮肉っぽく笑顔を向けました。
「応接間を見てみろって」とハリソンは彼女の肩を掴み向きを換えながら言いました。
彼女がそれを見て口笛を吹くとハリソンは音楽(少なくともハリソンの音楽の定義による)をかけました。
「これって全部パパがお金を出してくれたの?」
トゥルーは辺りを見回し尋ねました。全ての装飾や品物は、全てにおいて最高の品であり、そしてまったく新しかったために。
「まあね、トラックの荷台から落ちたのを拾ってきたんだ」とハリソンは後ろのソファーに腰を下ろし
テーブルの上に脚を乗せながら冗談を言いました。
「冗談だよ、親父には朝飯前のことだろ。まあ、座ってこれを見てくれよ」
トゥルーは弟の横に座ってにっこり笑いました、彼の情熱は伝染性でした、
そして彼女は彼のために幸せに振舞わないわけにはいきませんでした。
彼女が豪華な革のソファーに沈みこんむと大きなため息をつき目を閉じましたがすぐにテレビの音に目を開けました。
テレビの画面は壁の大半を占めスポーツチャンネルは今晩の試合の予告を放送していました。
「あれを見るの?」トゥルーはスクリーンを指して尋ねました。
「俺は仕事なんだ」とハリソンが言いました。
「でも姉さんはここで見てもいいよ。ジェンセンもそうしたいんじゃないかな」
「ジェンセンは今夜はエイブリーの手伝いよ」とトゥルーが言いました。
「それにあんたが今夜休みだと思ったから」
「そうだったんだけど、仕事仲間の1人が俺に代理を依頼してきたんだ」
「パパの会社であんた本当にうまくいってるの?」
トゥルーはハリソンが父親の会社に勤める事を聞いて初めて尋ねました。
彼女は他の人達が上司の息子を受け入れてくれているのかどうか尋ねるべきいい機会だと思いました。
「いい感じさ」ハリソンは答えましたが、トゥルーは個人的に彼の情熱さが
アパートに彼女を迎え入れた時と比べてウソっぽく聞こえました。
「本当?」トゥルーは念押しました。
「ああ」とハリソンが言いました。
「今年はいい年になるぞ…俺たちのな」
「わかったわ」とトゥルーが同意しました。
「それならお祝いするんならお客さんに飲み物ぐらいだしたらどう?」
ハリソンはうなずきソファーから跳び降ります。
そしてトゥルーは背中をもたれさせるとテレビのリモコンを拾い上げました。
ハリソンは飲み物を両手に持って戻ってきました。
そして彼女が彼からグラスを受け取ると彼は空いた方の手でリモコンを取り上げました。

--------------------------------------------------------------------------------

「あなた、今朝は彼女に話すチャンスがあったでしょ」とキャリーは険しい顔つきをしたデイビスに指摘しました。
「彼女はもっと良く君の事を知りたいと言っていたよ」とデイビスがぼそぼそ言いました。
「僕は、まあ、我々は彼女にもう少し時間を与えるべきだと思うんだ。
その上で彼女が何回かやり直すのを待ち、そして君が彼女の事を知らない振りして手伝うなら、
多分彼女はもっと寛容に受け入れると思うんだ」
「私から彼女に話したらどうかしら?」
キャリーは用心深く尋ねました。
「あなたがやったときと同じように、私もその事を理解した振りをするわ」
「ダメだ」とデイビスは慌てて頭を振って答えました。
「君が彼女に嘘をつくのは望んでない。彼女は君の事をよく知りたいと思っているんだ、もう少しの間そのままほおっておこうと思うんだ」
「オーケー」とキャリーが同意すると、彼女の携帯電話が鳴り驚きました。
彼女はハンドバッグから携帯電話を取り出すとナンバーを見て眉をひそめました。
ジャックは彼女がデイビスと一緒にいると知っていて電話をかけるほど愚かではなかったからです。
彼女はドアの方へ歩いてデイビスにそれがクライアントからの呼び出しであったことを示すと
デイビスは頷いて彼女にプライバシーを与えるために机で仕事を始めました。
「ジャック、デイビスに会ってるって言っといたじゃない」とキャリーはデイビスに聞こえない場所まで行ってから話しました。
「ナタリーは今週、それも早い時期に釈放されたぞ」とジャックは前置きなしで言いました。
「彼女は町にいる、リチャードが彼女の後見人になっている」
「あなたがリチャードなら彼女を出さないようにする事ができるって言ったじゃない?」
「俺が間違ってた」とジャックは皮肉っぽく答えました。
「もう既に遅かったんだ。ただお前に目をよく見開いておくように警告しておく」
「ありがとう」とキャリーは不成功に感謝するようにぼそぼそ言いました。
「それじゃあ、熱いデートに戻ってくれ」とジャックは言うと電話を切りました。
キャリーはジャックがルール違反をするような人物ではないのを知っているので眉をひそめました。
彼らが出会ったときからずっと良い友人でした。
彼女はガラス窓越しにデイビスをちらっと見るとオフィスの中に戻って微笑を浮かべました。
「大丈夫なのかい?」デイビスが心配して尋ねました。
「大丈夫よ」とキャリーが明るく答えました。
「何も問題はないわ」

--------------------------------------------------------------------------------

ハリソンは車の運転席に座りラジオで試合の経過を聞きながらナタリーのアパートを慎重にどんな動きも漏らさないように見ていました。
ナタリーの顔はディーンから預かった写真で確認済みでした。
彼は腕時計を見るとディーンが45分も交代の時間を過ぎていることにイライラしながらハンドルの上を指で叩き始めました。
彼は通りを見まわすと後ろの方に見知った人影を見て眉をひそめました。
ハリソンはキャリーをそれほどよく知らなかったし、数回彼女と話をした事があるだけでした、
しかしトゥルーが言っていた事では彼女はデイビスの家のかなり近くに住んでいてこの辺りではなかったはずでした。
ハリソンはキャリーがナタリーのアパートの前まで来たのを見ていました。
彼女は立ち止まると少しためらって1枚の書類をちらっと見ました。
そして向きを変えると出入り口の場所まで歩きました。
彼女がアパートの呼び鈴をを押して呼び出した相手との会話を聞くためハリソンはラジオの音を下げました。
ドアが開いた瞬間ナタリーと聞こえた事に彼は息を殺しました。
ハリソンはエンジンを止め素早く車から降りるとアパートへ走ってドアが閉まるのを阻止しました。
彼はキャリーがナタリーのアパートの2階へ上がって行くまで静かに廊下に潜み待ちました。
彼がドアの前に行く前に声が聞こえてきました。
「よくもあたしを貶めたわね、このメス犬!」
ハリソンが開いているドアに近づいたとき聞きなれない声が回廊に反響しました。
内へ大急ぎで姿を消す前にもう1つのアパートの年配の居住者がドアから彼女の頭を突き出しました。
「あなたはリスクを知っていたはずよ」とキャリーが叫び返しました。
「私達はお互いお金を手に入れたでしょ、そしてあなたがそのお金を使っても文句は言わなかったじゃない」
ハリソンは彼女らが何について話をしているのかと思いドアの外でひと呼吸おきました。
トゥルーはデイビスのそばにキャリーがいてやり直しのことを知りたいと言っていた、
しかし今彼女の言葉に耳をかたむけると彼はトゥルーが彼女を信頼しないことが正しかったのではちょ思いました。
彼はドアの隙間から覗くといつでも攻撃する用意が整っているかのように
キャリーとナタリーは部屋のすぐ内側に立って間合いをとって立っていました。
「あんたはあいつらがあたし達にすることを知っていたわ」とナタリーが叫びました。
「いい、そしてあたしに警告しないばかりかあんたは裏切り者になってあいつらがあたしを捕まえる手伝いまでした」
「それが唯一の方法だったのよ」とキャリーが冷静に答えました。
「あなたも同じことをしたはずよ」
「あたしがアイディアをだして、計画をたてたんじゃない、あんたが全部お膳立てしたような振りしてさ。
あんたはうまくやったわよ、何食わぬ顔で計画に気づいた振りして、そしてその時からずっとあんたが仕切ってた」
「私の人生もその時から変わった」とキャリーがため息と共に言いました。
「私の人生は変わったの、だからあなたも変わるべきなのよ」
「変わった?」 ナタリーは金切り声を上げました。
「ええ、そうでしょうとも。あんたは刑務所に送られないから前科がない、贅沢なことが言えるのよ、
実際にあんたはブラックマーケットの麻薬組織を撲滅させる手伝いまでして警察に表彰されてるじゃない。
そうよ、あたしはマスコミが書いた記事を見たわ。 あんたが言った言葉が気に入ったわ、何だと思う?
ええ、そうよあんたは「市民としての義務」って言ったのよ」
「それは昔のことでしょ」とキャリーが不快に言いました。
「私はその数年前に戻る事はできないのよ、そしてあなたもね。
あなたはただそれに対処しなければならないの」
「違うわ」とナタリーがキャリーと同じように不快に答えました。
「あんたも一緒に対処すべきよ」
ハリソンはキャリーが息をのむのを聞きました、
そして彼女がドアの方へと後ずさりしたときナタリーが手に銃を持ってキャリーに向けていたのを見ました。
彼は携帯電話に手を伸ばしましたが警察が間に合わないだろう事に気づきました、そして次の瞬間ドア越しに銃声が響きました。
ナタリーはドアを開け部屋から走り出てくるとハリソンを突き飛ばし恐怖の顔つきで彼を見ました。
ハリソンはキャリーのところへ急ぎました、しかし救急隊が駆けつけてくるにはあまりにも遅すぎました。
彼はトゥルーの番号をダイアルしました。今キャリーを救えるのは彼女だけだからです。

--------------------------------------------------------------------------------

トゥルーはアパートに急ぎました。
頭の中には色々な考えがよぎり、一体弟は何に巻き込まれたのかと。
トゥルーは急いで階段を上がると弟がアパートのドアのすぐ前に立っているのを見ました、
他には何も目に入っていませんでした。
「俺、ここで待ってた方がいいと思ってさ」とハリソンは到着したばかりのトゥルーに言いました。
「万一に備えてさ、姉さんが何も知らずにやり直しちまったら」
トゥルーは弟の言葉に微笑みました、彼は本当に抜け目のなさでよりいっそう彼女を驚かせ始めていました。
「キャリーが死んだって言ったわね」とトゥルーは声を落として言いました、
万一に見えない場所で誰かが聞いているかもしれないからです。
「その時あんたはここで何をしてたの?」
「仕事だって言っただろ」とハリソンがささやきました。
「俺はただこの女性、ナタリー・ギャラガーを見張ってたんだ。
ディーンが試合に行ってる間の数時間彼女の動きを見張ってたのさ」
「そして?」ハリソンがためらったときトゥルーは言葉を継ぎました。
「そしてそれは」とハリソンが続けました。
「もし彼女がアパートを出てったらディーンに電話をして彼女がどこに行ったか教えることになってたんだ」
「それでキャリーはどうしてここで死んでるの?」
「彼女はちょうど外に現れたんだ、俺は彼女だと分かって後をつけたのさ。
彼女はナタリーと口論してたよ、何があったのか見るのに他のアパートの部屋から一人顔を出すぐらいに激しくね。
そしたらナタリーは彼女を撃って逃げたんだ」
「そしてあんたはあたしに電話をして、ここで待ってたわけね」とトゥルーは言葉を結びました、
もし彼が素早く姿を消した女性の後を追いかけていたらトラブルに巻き込まれていたのではないかと一瞬思いました。
彼の仕事について選択を持っていたというわけではありませんが、彼女は彼の仕事がどれぐらい重要であったか知りませんでした。
「そのとおりだよ」とハリソンがうなずきました。
「二人が何について口論していたか分かる?」
「何かブラックマーケットの麻薬についてと、ナタリーが刑務所に入っている間キャリーはそうじゃなかったって」
「えっ?」トゥルーはショックを受けて尋ねました。
「分かるよ」とハリソンは頭の振りながら言いました。
「俺も彼女がそうだったとは思わなかった」
「もし他に何もないなら…」トゥルーはドアを押し開いてハリソンは彼女の後ろからついてくる形で部屋に入りました。
キャリーの遺体は床に横たわり、見開いた目は天井を見つめていました。
トゥルーは彼女のからだを検死の要領で確認すると銃弾傷と皮膚の色からついさっき死んだ事を物語っていました。
トゥルーが待つまでもなくキャリーの頭がゆっくりと彼女の方向に向きを変え「助けて」とささやきました。
日は巻き戻り、トゥルーはベッドの上で息を吸い込み目覚めました。
彼女は電話に手を伸ばすとデイビスの電話番号のはじめの3つをダイアルしましたがすぐに受信機を元に戻しました。
この事は自ら彼に会って言わなければならないと思いました。

--------------------------------------------------------------------------------

ジャックは巻き戻しから目を覚まして巻き戻してる最中に見たヴィジョンに不安を感じました。
彼はベッドに座り直し起きたことの成り行きを理解したとき気分が悪くなりました。
彼はキャリーに電話しようと電話に手を伸ばしましたが彼女の番号をダイアルし終える前に受話器を置きました。
彼は彼女に今日死ぬ運命だとは言うことができませんでした、
それにもっと悪い事にトゥルーが彼女を救うために行き
トゥルーが失敗したことを確認するのが彼の仕事だと言うことができませんでした。
キャリーは彼の仕事が何であったか知っていました、
しかしそれはそうでも彼は彼女の今日が終わる前に彼女と交わさなければならないかもしれない 話し合いを想像する気さえできませんでした。

--------------------------------------------------------------------------------

「パパの私的なファイルをあたしに調査できるように手配できない?」
二人はカフェで朝食を取りながらトゥルーの向かい側に座っているハリソンへ尋ねました。
あんたのオフィスもね」とトゥルーが微笑しながら付け加えました。
「追加調査できるかも」
ハリソンはまだ不安そうに見えましたが同意してうなずきました、
トゥルーは弟がどれほどよくこれまでの数カ月でうまくやって来ていたのか考え、
父親に嘘をつかなければならないかもしれない場所に入ることにトゥルーは罪悪感を感じました。
彼女は彼にリスクが大きすぎるかもと言おうと思いましたが、
ナタリー・ギャラガーの過去について調べる最も良い方法は
リチャード・デイビーズのファイルを詳細調査してリチャードがナタリーについて知っていることを探る事でした。

--------------------------------------------------------------------------------

「問題が発生した」ジャックは今回は慎重にドアを閉じたことを確認してリチャードのオフィスの中に入りながら前置きなしで言いました。
「私はお前に距離を置くように言ったはずだが?」
リチャードはジャックが開けたドアの隙間を見て神経質そうに尋ねました。
「俺たちのスパイが困った事になった」ジャックは始めました、しかしリチャードはすぐに彼を止めました。
「私はすでに人員を配置している」とリチャードが話を遮りました。
「ナタリー・ギャラガーを1日24時間見張りをつけている。彼女がアレン医師の近くには行きはせん」
「ナタリーは夕べ彼女を撃ち殺した」とジャックが突然に言いました。
「彼女はトゥルーに助けを求めたということか?」リチャードは尋ねました。
ジャックは返事の代わりにうなずきました。
「どうしたらいいんだ?」とジャックが尋ねるとリチャードは考え込んだまま静かにしていました。
「何も変わらん」とリチャードはさりげなく肩すくめて答えました。
「彼女を失うのは残念だが、ルールはルールだ。 ルールを破らないためにもお前はあまり近づくな」
「そう言うと思ったよ」とジャックが言いました。
「だがそれは難しいな。
デイビスは新しい恋人が死ぬことを阻止する決意が硬いだろうし、
トゥルーは彼女を救うためにできる限りの事をするだろう、
そして彼女は今日俺たちに手を貸すことはないだろうと思う」
「彼女に死ぬことになると言わないように忠告しておくぞ」とリチャードが思慮深い表情で言いました。
「そうするつもりはない」とジャックはリチャードならそうするかもしれないという考えに憤慨し刺々しく答えました。
「自己防衛は最大の本能だ、
そしてキャリーが関わってきている事で今日が終わるのを見届けるまで彼女は殺されないように遠くへ行くとは思えない」
「お前はお前の仕事がある」とリチャードは真剣な眼差しで伝えました。
ジャックは立ち去ろうとしましたが机の方へ振り向きました。
「俺はチャレンジが好きなんだ」と言うとジャックはドアを開けるました。
「そううまくいくかな」とリチャードは彼の背中に言いました。

--------------------------------------------------------------------------------

「オーケー、さあ早く」とハリソンはオフィスへの廊下に誰もいないことを確認して言いました。
同じくトゥルーは彼のすぐ後ろに続いてはじめからそこにいたように見せようとしました。
「やあ、ハリソン」彼らが通り過ぎたドアの1つから呼びかけられた声にハリソンは立ち止まり
トゥルーはハリソンの背中にぶつかりそうになりました。
「ディーンなの?」トゥルーは小さな声で尋ねました。
「そうだ」とハリソンは顔と名前を一致させようとした声で答えました。
「どうして分かった?」と彼はあやふやな考えで尋ねました。
「一度も会ったことがないし、誰からも紹介されてないのに間違ってるかも知れないじゃないか?」
「もう、そうしたの」トゥルーは笑みを浮かべうんざりといったように答えると、ディーンがハリソンと話をするために回廊へ出て来ました。
彼女は少し後ろに下がるとディーンはハリソンに自分がゲームに行っている間、仕事を交代して欲しいと頼みました。
彼女は心配して弟を見ると、ディーンは仕事上で彼にとってよりやり易くするのを手伝うと言いました。
ディーンが彼のオフィスに戻るとすぐに、彼女は素早く弟の腕に自分の腕を絡めま引っ張りました。
ハリソンはトゥルーの腕を外すと廊下を見回し
誰かが感情的になった姉を見ていないかどうか調べましたが彼女は彼の当惑を無視しました。
「こっちだ」と彼は足早に回廊を歩き出しながらぶっきらぼうに言いました。
トゥルーは頭を振って仕事場で中間たちとどんな風に付き合っていたのか後で聞こうと思い、彼の後に急ぎながら微笑しました。
二人は記録保管所と印のついたドアの前で停まると、
ハリソンは身をかがめ中に入り部屋の中を確認してトゥルーに手を振って合図しました。
「どこからはじめようか?」彼女は広い部屋の書類整理棚の膨大な量を見て尋ねました。
「ここからはどう?」ハリソンが指差した棚にはクライアント:E-Gと表示されていました。
トゥルーは肩をすくめてキャビネットの引き出しを開けファイルをつまみ出しました。
ギャラガーの下には何もありませんでした。
「ここから持ち出したってことない?」トゥルーは尋ねました。
「そうかも」とハリソンが答えました。
「彼女が町に戻ってきたから、誰かがそれを見てるのかもな」
「彼女の担当は誰?」トゥルーは尋ねました。
「ああ、ディーンだ親父直属のね、俺と同じだよ」ハリソンは眉をひそめました。
「それじゃあパパが持ってったのかも」とトゥルーは何か役に立つかもしないと部屋の中の他のキャビネットを物色しながら言いました。
「必要なら聞いてみるけど?」ハリソンはトゥルーの後に従いながら時折ドアに注意を払い言いました。
「ダメよ」トゥルーはすぐにそのアイデアを拒否しました。
彼女はハリソンが今まで以上に父親とうまくやっていることは分かっていました、
しかし何かがまだ彼女には引っかかるものがありました、それはかつて父親が娘が殺人犯だと疑いを持ったことを思い出しました。
一日が巻き戻りその日の出来事をハリソンと父親は覚えていませんでした。
ハリソンは指名手配された姉を父親に教える事はありませんでした。
そしてハリソンにその事実を教えようとは思いませんでした。
けれども昨日のごとくに彼女ははっきりと思い出しました、そして彼女は再び父親に助けを求める意思を持っていませんでした。
彼女は父親を遠ざけてなんとかやっていこうとしました。
「大丈夫なのか?」ハリソンが尋ねるとトゥルーは険しい表情から目下の問題に戻りました。
「ええ」トゥルーは不安を打ち消すかのように頭を振って言いました。
「パパの今日のスケジュールを知ってる?」
「ああ、でも何で?」
「オフィスから出て行くかしら?」
「昼食の時にね」とハリソンは言いました。
「何考えてんだ…?」
「長くはかからない、パパのオフィスにファイルがあるかどうか見るだけだから」とトゥルーは腕時計に目を走らせ言いました。
「パパが外に出るまで待ってそれから中に入るわ」
「また俺を無職にもどしたいのか」とハリソンは冗談を言いながら記録保管所を出て背後の廊下を見回しました。
「もしあたしのためにクビになったら、お昼ぐらいおごるわよ」とトゥルーが微笑みながら答えました。

--------------------------------------------------------------------------------

「あなた、また授業をサボったわね」とエイブリーはトゥルーがいないのに気付いて
見つけだすために半時間後に彼女に電話をしてきました。
「何か急用なの?」
「バレちゃった」とトゥルーはあいまいに答えました。
エイブリーはすでにトゥルーの異常な行動を探り当て、それ以来トゥルーのどんな奇妙な行動にも協力すると言っていました。
「うまくいってるの?」
「今回は家族のことだよ」とトゥルーが言いました。
「急用で弟のオフィスに行かなきゃならなかったの」
「俺のせいにするなよ」とハリソンは彼女のそばのオフィスの外のベンチに座りぼそぼそ言いました。
「姉さんの友達が俺をヘマばかりする奴だと思われたくないぜ」
トゥルーは彼を無視して電話に戻りました。
「教授は何かを言ってた?」
「あなたの新年の決意が未来の職業に適切な約束を示すだろうってさ」
トゥルーは教授が何を言ったのか想像するまでもなく目を泳がせました。
彼女はその場にいなかったにもかかわらずまた批判されたように感じました。
「今晩ジェンセンを借りてもいい?」エイブリーは尋ねました。
「もちろんよ」とトゥルーが答えました。
「ディナーならいつでもできるし」
「あなたがどうやってジェンセンがサプライズディナーを計画していたことを知ったのか聞くつもりはないわ」とエイブリーが言いました、
そして電話でさえトゥルーは彼女が自信満々に再びトゥルーのことを見破ったことに非常に喜んでいる声が聞こえました。
「タイラーが秘密を守れるわけないって知ってるでしょ」トゥルーは自分のミスを隠すため言いました。
「ええ、知ってるわ」とエイブリーが答えました。
「ジェンセンが話さなかった訳も同じよ」
「じゃあ、ジェンセンじゃなかったら、あなたがタイラーに口を滑らせたんじゃない」とトゥルーは言い訳をしました。
「あなたも同じで秘密を守れないでしょ」
「その通りよ」と笑いながらエイブリーが答えました。
「私なら口を滑らせたかも知れないわね、でも私はそんな事しなかったわ」
「彼がサプライズを計画して実行したら、驚いた振りをしておくわ」とトゥルーが言いました。
トゥルーは電話を切るとベンチに背をもたれかけて座りオフィスのドアに目を向けながらリチャードが出て行くのを待ちました。
「姉さんは彼女が知ってると思うかい?」ハリソンは尋ねました。
「彼女はかなり頭が良いぜ」
「分からない」とトゥルーはため息と共に言いました。
「彼女は物事に注意深くて、あたしと同じぐらいよく覚えてる、でも一日を繰り返しているなんて…」
「…誰にでも起こることじゃない」とハリソンはトゥルーの声が次第に小さくなっていく言葉を結びました。
「何でリンジーには話さなかったんだ?」
「分からない」とトゥルーは答えました。
もし彼女に自分の特殊な能力について親友に打ち明けていたなら、今頃違っていたかもしれないと思いました。
「そうだったらもっと簡単だったかもな」とハリソンが言いました。
「ゴメンね」とトゥルーは弟に振り返りながら言いました。
「もしあたしが彼女に話してたら、二人はまだ一緒だったかもしれないね」
ハリソンは大笑いしました。
リンジーの名前がでるといつも顔を曇らせてたハリソンにその影が見えないことでトゥルーは多少救われた思いでした。
「姉さんは、俺たちが不釣合いだって分かってただろ」と彼は笑うのをやめて言いました。
「今はエイブリーの方が…」
トゥルーは目を泳がせてもう一人の友人に目をつけた弟の考えに不満の声を上げました。
「真剣だぜ、トゥルー」とハリソンはいつも以上に真剣な調子で言いました。
「姉さんは俺やデイビスの代わりに全てを打ち明ける事のできる女性がいた方がいいかもしれないよ」
トゥルーは女性を仲間に加えれば何か変わるかもしれないと思いながら彼の言葉を聞いていました。
トゥルーはすぐにデイビスが言っていたことを思い出しました。
キャリーに秘密を話すこと、そしてそのことについてはいつも何かしらの不安を感じているという事に。
それから彼女はエイブリーが知っている可能性を思い、
そして直感的にためらっていたキャリーと違ってエイブリーの話しになると不安がないことに気づきました。
それは考慮に入れる価値を持ったアイデアでした。
「キャリーのことでデイビスと話しをしのかい?」ハリソンはあからさまの好奇心で尋ねました。
「ううん、まだだよ」とトゥルーが認めました。
「彼女についてデイビスと話す前に、彼女について全てを知りたいって言っておいた。
あの人は彼女にすごく保護意識が強いから、もし間違った選択をしたなら…」
「おい、事実を見つけだすチャンスが来たぜ」とハリソンはドアに向かって指差して言いました。
トゥルーがオフィスの方を見るとリチャードは社員二人と一緒に出て行くところでした、今が彼らのチャンスです。

--------------------------------------------------------------------------------

デイビスは死体安置所のドアの開く音に机から顔を上げました。
「トゥルー?」と彼は立ち上がって誰が入ってきたのか確かめるためにドアの方へ歩きながら呼びかけました。
「デイビス」ジャックは人を見下したようなイライラさせる笑顔でデイビスを迎えました。
「忙しそうだな。トゥルーでなくて残念だったな?また彼女はサボっているのか?」
「彼女が遅くに来るのは期待してない」とデイビスが言いました。
「お前の方は全く期待も必要もない」
「今のその言い方はお悔やみを言いに来た者への言い方かい?」
ジャックは椅子の1つの腰掛けて言いました。
「お悔やみ?」
デイビスは繰り返しました、彼はジャックがからかうことを知っていましたが、その言葉に思わず聞き返えしてしまいました。
「彼女はあんたに今日の犠牲者が誰なのか言っ てないのか?」
ジャックはデイビスが驚いたふりをしたので尋ねました。
それでもデイビスはトゥルーがまだやり直しの日だという事を聞いていない事に混乱した顔を見せることはしませんでした。
「彼女はあんたを守ろうとしているだな」ジャックが小さくうなずき独り言のように言います。
「あるいは彼女があんたを信用していなのか」
「トゥルーは俺を信頼してくれている、そしてもし俺の手助けが必要なら彼女は言ってくるさ。彼女は尋ねに来る。
もし彼女が今日尋ねに来なかったとしたら、それは彼女がもう手元に全てを持っていることを意味するに違いない」
「あるいはあんたは役に立つにはあまりにも深入りしすぎてると思ってるんじゃないか」とジャックが答えました。
「もう一度お悔やみを言わせて貰うよ」
デイビスはジャックが帰ろうと立ち上がったのを見つめていました。
デイビスは質問をやめませんでした。ジャックが答えを知っているために。
「犠牲者は誰なんだ?」
「ああ、あんたの新しい恋人、ドクター・アレンさ、間違いない」とジャックは微笑しながら言いました。
「うまくやっていたのにな」
その捨てぜりふと一緒に哀れっぽく頭を振りながらジャックは死体安置所を立ち去りました。
デイビスはイスに座ると何故トゥルーの代わりにジャックからこの事を聞いたのか不思議に思いました。

--------------------------------------------------------------------------------

「あったぞ!」 ハリソンは得意げにファイルを差し上げ叫びました。
二人がリチャードのオフィスにあると疑い、そして案の定ハリソンが簡単にそれを見つけました。
ハリソンがドアがちゃんと閉まってるいる事を確認している間に、トゥルーはファイルを受け取ると豪華な革張りのソファーに座りました。
トゥルーはファイルにざっと目を通して読むと謎であったパズルのピースがあるべき場所に納まり始めました。
キャリー・アレンは誰かが病院から薬を盗んで大きな利益を得るために
薬をブラックマーケットに横流ししているのではと警察によって調査中の病院で働いていました。
ナタリー・ギャラがーはすでに警察によって逮捕されていて、そしてリチャード・デイビーズが裁判での彼女の弁護士でした。
裁判は結審していました。
キャリーはナタリーの事件の鍵となる証人の1人でした。
ハリソンが前日に言っていたことからキャリーも盗難に深く関係していたようです。
それはキャリーがナタリーのところで何をしていたか明らかにしました。
唯一分からない事はリチャードが引き続き刑務所を出所したナタリーの後見人になったことです。
「役に立つかい?」ハリソンは出入り口から尋ねました。
「親父がもうすぐ戻ってくる、親父にここで何をしていたのか言い訳をするのはごめんだぜ」
「役に立ったわ」とトゥルーはハリソンが見つけた場所にファイルを戻しながら言いました。
「デイビスと話をしなきゃ、死体安置所へ車で送ってってよ、途中で説明するから」

--------------------------------------------------------------------------------

「デイビス、ハイ」デイビスが彼女のオフィスのドアから顔を出すとキャリーが明るい声で応えました。
「大丈夫かい」デイビスはホッとしたため息をつき彼女を迎えました。
「どうして?」キャリーは机の向こう側にあるイスを勧めながら尋ねました。
「あー」デイビスはほんの少しの間ためらって、トゥルーが今までどのように犠牲者に死ぬ運命を納得させたのだろうと思いました。
彼は去年、彼女が死んでしまったかも知れないと思った事件の彼女に知らせた時と同じケースだと思いました。
「一体どうしたのデイビス?」キャリーはためらいがちな微笑で言いました。
「何か悪い知らせ?」
「ああ」とデイビスはうなずきながら言いました。
「やり直しの日の事なんだが、そのー…」
「どうしたの?」
「その犠牲者はトゥルーが救って…まあそのー…うーん」
デイビスはドアの方や部屋の端にある本棚、
机の上に広がる書類に目をキョロキョロさせ真向かいに座っている女性に目をあわせようとはしません。
彼は「やり直しの日」と言った言葉に彼女の表情が驚く表情に変わらないのを見ました。
「その人はあなたが知っている人なの?」キャリーは同情的に尋ねました。
「あなたの親しい誰か?」
デイビスが静かにうなずくと深呼吸をして言葉を続けました。
「君なんだよ」
彼がついにキャリーの顔を見るとショックと恐怖で引きつった表情をしていました。
そして彼は彼女にそのことを告げた罪悪感により物凄い後悔の念を感じました。

--------------------------------------------------------------------------------

ハリソンが仕事のための戻るとトゥルーは死体安置所へと入っていきました。
もう先延ばしすることはできませんでした、
彼女はキャリーについてデイビスに話して、
そして彼にきっぱりとキャリーが秘密を託す事のできる人間だと思っていなかったことを知らせなければなりませんでした。
「デイビス?」トゥルーは死体安置所に入りながら呼びかけました。
デイビスは席にいませんでした。
いまだかつて彼女がこの時刻に死体安置所に来てデイビスが席について仕事をしていなかったのを知りませんでした。
トゥルーがデイビスの席に座って机の上を見ると書類が散乱し書きかけの書類さえありました。
明らかにデイビスは急いで出て行ったのが窺えます。
不安な感じが沸き起こり、デイビスが部屋に入ってくるとすぐに彼女の疑いははっきりと分かりました。
「ジャックがここに来たのね?」
トゥルーはデイビスの顔色を窺うと質問への答えを聞くまでもないことが分かりました。
デイビスは明らかに否定しようとはしませんでした。
「奴からキャリーの死について聞いた」
「あなたに話すつもりだったわ」トゥルーはすぐに応えました。
「彼女を救うために何が起きたのか調べて細かなピースをまとめるのに忙しかったのよ。
あなたのところに来る前にあたしは全ての事実が欲しかったの」
「君はすぐに俺に話すべきだったんだ」とデイビスはトゥルーが今まで見た興奮状態以上に興奮して言いました。
「そうするべきだったわ」トゥルーは妥協しました。
「でもキャリーは何かに混乱していたわ、だからあたしは完璧な事実を確認したかったの」
「何で混乱しているんだ?」デイビスの声は普通に戻り尋ねました。
「彼女は以前勤めていた病院でブラックマーケットの麻薬組織の捜査に関係していたわ」
「彼女がそんなことに関係しないだろ」
「関係あるのよ。彼女は組織に関係していた、そして関係していたもう1人の女性が今週刑務所から出所して、
それで昨夜キャリーを撃ったの」
「じゃあキャリーが、もし彼女が関係していたなら、なぜ刑務所に行かなかったんだ?」
デイビスは明らかに話を疑って尋ねました。
「彼女は女性を裏切って警察に手を貸したのよ」とトゥルーが言いました。
「それじゃあ彼女は組織を壊滅させるのを手伝ったんだ」とデイビスが言いました。
「それは彼女らしいじゃないか」。
「彼女は組織に関係していて、そして彼女自身の表面を守るために密告しましたのよ」とトゥルーはデイビスが当たり前のように
キャリーが病院で都合が悪い状況に関係していなかっただろうと想定していたことを悟って強く主張しました。
「どうやってその事を知ったんだ?」再びデイビスは声を荒げ尋ねました。
「どうして彼女が始めからずっと警察に協力してなかったと分かるんだ?」
「それは彼女が死んだときハリソンがそこにいたから、そのとき彼は会話を全て聞いてたの」
「ハリソンが?」デイビスは一瞬驚いて尋ねました。
「彼はそこで何をしていたんだい?」
「ナタリーを尾行してたのよ」とトゥルーが答えました。
「パパが裁判で彼女の弁護を務めて、そして彼女の釈放後に後見人になったのよ」。
「どうして?」
「分からないわ」とトゥルーが難しい顔つきで答えました。
「それにあたし達がこの情報を手に入れた方法が、パパのオフィスにあったファイルを調べたからパパに聞くわけにはいかないのよ」
「それじゃあどうやってキャリーを助けるつもりなんだ?」デイビスが尋ねました。
「何か俺にできることは?」
「あなたは今晩彼女を夕食に連れ出して。そして彼女をこの住所から遠ざけることよ」
トゥルーはデイビスの机の上にナタリーの住所を書いた紙を置きながら言いました。
「ただ彼女にことのことを話しちゃダメよ」。
「今晩はもう夕食の予定にしてある」 とデイビスが言いました。
「彼女のアイデアで」
「昨日はそんなことしなかったわ」トゥルーは恐怖の不吉な予感がして指摘しました。
「彼女に話したのね?」
「彼女は知る必要があったんだ」とデイビスは再び否定せずに言いました。
「いつ?」トゥルーは直感的にこの事に気付いたように尋ねました。
「クリスマスイブの時」とデイビスが答えました。
「だが彼女は全く君をそして他の事もあばこうとしなかった。
彼女を信頼すべきだ、特に今危機に面しているのは彼女の命なんだ」
「あたしは彼女に話さないように言ったじゃない」とトゥルーは部屋の中を行ったり来たりしながら大声で言いました。
「あたしは彼女を信頼してない、ハリソンが昨日聞いたことを考えると、あたしがそうしなかった事は正しかったと思うわ」
「ハリソンが?」デイビスが尋ねました。
「君は彼を信頼するのか、彼の前科を考えれば?」
「ハリソンあたしの弟よ、それに彼はもう生き方を変えてるわ」とトゥルーが抗議しました。
「それならキャリーもそうだ」とデイビスが返答しました。
「そう言う意味なら彼女だって…」
「もちろんそうよ」とトゥルーが言葉を遮りました。
「でもあたし達は彼女の事をよく知らないの、そしてあたしはよく知らない誰かを信頼しなければならないことは望んでないのよ。
今あたしが望んでもいないのにこうしているのはあなたのせいよ、話さないでって言ったでしょ」
「この話は後にしないか?」デイビスが言いました。
「まずはキャリーを救うのが先だ、それから落ち着いて話し合おうじゃないか。
彼女は知ってしまった、それは変わらない事実だ」
トゥルーはうなずきました。
しかしそれは彼女の問題が片付いたわけではありません。
デイビス、トゥルーが最も信頼した人物が彼女の秘密を裏切っていました、そして何も変わることはありません。
しかし後に彼女はその事を論じなければならないでしょう。

--------------------------------------------------------------------------------

「あなたはいつ私が昨日死んだと言おうとしたのかしら?」
キャリーはジャックに尋ねました。
二人はスタイリッシュ・カフェの誰にも会わない離れた場所に向かい合わせで座っていました。
「話すつもりはなかった」とジャックは答え、キャリーが到着する少し前に注文していたコーヒーをとりました。
「私を死なせるつもりじゃないんでしょうね?」
キャリーは裏切られたのではないかというためらいがちな微笑で尋ねました。
それが事実なのかどうか確かめるために答えを望みました.。
ジャックはテーブルの上に置いたカップに手を伸ばしゆっくりとコーヒーをすすりながらキャリーの答えを待つ目を見ました。
「どうなの?」キャリーは再び尋ねました。
「いや」ジャックは避難経路を捜すかのように振り返ってドアの方を見渡しぶっきらぼうに答えました。
「あなたはデイビスが私に話すことを知っていたのね」とキャリーが指摘しました。
ジャックはどう言っていいか分からず、多分全く何も言わない事はより安全だと思い肩をすくめることで返事をしました。
「私を死なせないんでしょ?」
キャリーはささやきよりも小さなほとんど聞こえない声で尋ねました。
「お前はすでに死んだんだ」とジャックは困った口調で答えました。
「お前は昨日死んだ、そしてトゥルーとお前のボーイフレンドが干渉してこなければ、お前は今日再び死ぬだろう」
「そしてあなたは私を?」キャリーは尋ねました。
「私はあなたサイドなのよ思い出して、私が彼らが何を知っているか見つけだすことへの繋ぎなのよ。あなたには私が必要なの」
ジャックは再びコーヒーを取るとやり直す前の話題を避けようともうひと口すすりました。
あなたは俺が必要なのよ」とキャリーの声は真実を理解し始め少し大きくなりながら繰り返しました。
「運命はお前が誰なのか、あるいはお前が何をするのか気にしてはいない」とジャックが静かな声で言いました。
「運命はただ昨日と同じように終わることを気にするだけだ」
「でも昨日私は…死んだ」とキャリーがささやきました。彼女の話す声はおのずと不安の色が現われていました。
「それは個人的な事じゃない」とジャックはテーブルの向こうにあるキャリーの震える手を握り言いました。
「あなたは私を死なせるの?」キャリーは非難しました。
「それは非常に個人的な事だ」
彼女のジャックが掴んでいた手を引き戻すと立ち上がりました。
そして彼女の背筋をまっすぐに伸ばし威厳をいくらかを復活させカフェを去るために振り返りました。
ジャックは彼女を止めようとはせずに彼女が立ち去るのを見送りました、彼は正しいことをしたのかどうかと思いました。
たとえトゥルーが勝ったとしても彼らは最も強力な情報提供者を失うことになるはずです。
彼は最初の問いに答えたとき、すでに彼自身のルールを忘れていたことをのろいました。
ルールとは宇宙の秩序のために、誰とも親しくなってはいけない、
もし万一その人物の最後を垣間見たなら再びその人物に同じ最後を受けさせなければならないということだ。
彼自身、キャリーが友人やただの同僚ではなかったと納得させるのに十分ではありませんでした、
そしてやり直しの日がどれぐらい厳しいものか確認しようとしようとしていました。
リチャードはもっと強く天命に忠実であるようにと言うでしょう、しかしそれでもとどまっている疑いは残っていました。
そして彼はトゥルーとの戦いで、このラウンドは勝たせるべきなのかと考えました。

--------------------------------------------------------------------------------

トゥルーはハリソンと早くナタリーの尾行をするようにというデイビスに激怒していました。
トゥルーはハリソンがナタリーが来ていたという建物の反対のカフェでハリソンの真向かいに座っていました。
「あの人が彼女に話したなんて信じられない」と彼女は飲み物に何杯かの砂糖をスプーンで加えたながら言いました。
「それも言わないでって言っておいたのに!」
ハリソンは驚くほど静かでした。
結局はトゥルーとハリソンの意見が一致していなかったことを悟りました、実際彼はまったく何も言っていませんでした。
その代わりに彼は目下の仕事として彼女の凝視を避ける事とばかりにトゥルーを無視してじっと道の反対側の建物に集中していました。
「あんたも同じ考えでしょ?」
トゥルーが静かな声で尋ねると弟の注意を引きつけることに成功しました。
「俺はデイビスの言いたい事が分かるよ」とハリソンが肩すくめて答えました。
「それにデイビスも彼女の過去を知っていたわけじゃないし…」
「あたしは彼に彼女に話さないように言ったの」とトゥルーが再び繰り返しました。
ハリソンは口論中のコメントを拒否して再び肩をすくめました。
トゥルーは弟が短い間にいつこんなにも落ち着いた人物になったのかと思いました、
そして彼女の方が衝動的なそして激しやすくなっていました。
「俺は姉さんが過去を変える能力を持っていることを知ってる」ハリソンは慎重に言葉を選んでゆっくりと言いました。
「でもあまりにも遠ざかった事は元に戻すことができない。
彼女は知ってしまった、たとえまたやり直しても彼女はまだ知ってるだろう」
「でもその事を無視するわけにはいかないわ、そうでしょ?」
トゥルーは悔やんだような微笑で尋ねました。
「そうさ」とハリソンはうなずきました。
「それ以外姉さんの取るべき道はないんだ」
トゥルーはうなずいてマグカップを口に運ぶと甘過ぎる味に顔をしかめました。
彼女は話に夢中であまりにも多くの砂糖を入れすぎたのです。

--------------------------------------------------------------------------------

「デイビス?」キャリーが死体安置所に入りながら名前を呼ぶと机の前に座っていたデイビスは驚きました。
「大丈夫なのか?」
デイビスは席から跳び上がると今までに見たこともないような彼女の心配そうな青白い顔つきを見て尋ねました。
それは彼からの知らせのショックが次第になくなった代わりに、今恐怖がその地位をとっていることは明白でした。
「一人じゃ怖いのよ」とキャリーは神経質な微笑で言いました。
「電話が鳴るとビックリして、どうしていいのか分からなくて、仕事が手につかないのよ…」
キャリーは突然涙を流し始め椅子の1つに倒れました、そしてデイビスはティッシュボックスを持って彼女のところへと近づきました。
「トゥルーと話をした」とデイビスは慎重にキャリーが落ち着くと言いました。
「彼女は何が昨日起きたか言っていた、そして彼女に君が彼女の秘密について知っていると言った」
「彼女は何て?」キャリーは目を拭きながら尋ねました。
「彼女は僕が君に話した事を快く思ってないようだ」とデイビスは認めました。
「俺が彼女を裏切ったと思ってるだろう、それは多分彼女が正しいと思う」
「私の事は?」キャリーは尋ねました。
デイビスは彼女のいら立ったため息を聞きました、しかしそれについて彼女を責めるわけにはできません。
もちろん彼女は何が前日に起こったのか知ることを望みました。
彼は彼女に集中するあまり彼女を彼自身の問題に巻き込ませた愚かさに自分をのろいました。
「君の知り合いだ、ナタリーという名前の、昨夜君はブラックマーケットの麻薬組織での関係で復讐のため撃たれたんだ」
デイビスはあまりにも率直に、しかしほかにどのように彼女に話すべきか分からずに言いました。
彼は何度その事を考えたにもかかわらず、もし前の日に誰かに殺された人にどのように死んだのか話す事が簡単であれば、
彼らがそれを止めるためにアクションを起こす事などないだろうと思いました。
「デイビス、説明するわ」キャリーは話し出しましたがデイビスが手を上げ頭を振り彼女を止めました。
「必要ないよ」とデイビスが言いました。
「それは過去の事だ、それに誰もが二度目の可能性を持っている。
君は警察に手を貸した、そして僕は他に何も知る必要はない。 君のプライバシーを尊重するよ」
「でも説明しなきゃ」とキャリーはデイビスの不確かな話に強く主張しました。
デイビスは慎重に耳を傾けました、時折うなずいては彼女の話がトゥルーの話と一致していることを確認しながら。
全ての細部にいたるまで正確でした、何も欠けていませんでした。
そしてついに彼女が終わると彼女は再び静かに泣いて涙に塗れた顔をデイビスに向けると手の中に顔を埋めました。
デイビスが彼女にティッシュを手渡したときもう何も言わないようにしました。

--------------------------------------------------------------------------------

「どんな具合だ?」
リチャードが電話で尋ねるとジャックは返事をせずうんざりしたと聞こえるようにため息をつきました。
「俺はナタリーを追いかけてる」とジャックは慌しく交差点を横切りながら言いました。
「間違ってるぞ」とリチャードは批判しました。
「先に彼女を見つけるべきだった」
「俺はキャリーの最後の記憶で彼女を一瞬見ただけだ」とジャックが指摘しました。
「死体の最後の記憶だ」リチャードが冷淡に修正しました。
「もし俺にナタリーがどこにいるか教えてくれたら、それは助けになるかもしれないな」
ジャックはリチャードがこのやり直しに深く関係していたというずるいほのめかしを無視して指摘しました。
「前に話しただろう、お前は私から必要以上の助言を得ているんだ」
「じゃあ、俺がどうにかして偽IDを見つけるから、彼女の保護観察官に送られた振りしてあんたのオフィスで会おうじゃないか、
その時彼女のアドレスを貰うってのはどうだい?」
ジャックはリチャードが以上の皮肉を込めて尋ねました。
「あるいは今ここで俺に彼女がどこに住んでいるか言ってくれれば、そんな事しなくてすむがな」
「これが最後だぞ」とリチャードは口ごもりながら言うとジャックにナタリーの住所を教えました。
ジャックは電話へと笑いかけましたが言葉は皮肉にもリチャードが電話を切ったため通話音によって断絶されました。

--------------------------------------------------------------------------------

「問題発生だ」とハリソンは車の助手席に座っているトゥルーに言いました。
彼らはナタリーの後をつけ彼女のアパートの通りに面した反対車線側に10分ほど停車していると
彼らの方に向かってくるよく見知った顔、ジャック・ハーパーが近づいてきました。
「あいつに会うわ」とトゥルーは車から降りジャックの方へと歩き出しながら言いました。
「素晴らしい晩に散歩かい、トゥルー?」
ジャックは彼女が近づいてくると尋ねました。
「時間の無駄よ、キャリーはここには来ないから」トゥルーはジャックの行く手を遮るように立ちふさがりました。
「もしそれが本当ならね」とジャックはトゥルーの耳に近づくと芝居がかったささやき声で言いました。
「君はここで何をしてるんだ?」
「あんたに対する俺たちの防衛策の賭けだよ」とハリソンはトゥルーの脇に立ちながら言いました。
「また賭け事かい、ハリソン」とジャックは悲しいとばかりに頭を振りからかいました。
「もうお前はそのやましい喜びをやめたんだと思っていたんだが」
「ああ、まだ時には賭けるぜ」とハリソンは微笑しながら答えました。
「賭けてもいいぜ、なんなら今でもさ、今日はトゥルーが勝つ事になってるんだから」
「本当か、ハリソン、俺はお前の金をむしり取ろうとは思わないがな」とジャックが微笑しながら言いました。
「そんなに簡単な事じゃないんだ」
「キャリーはここにはいないわ」とトゥルーが話を遮りました。
「彼女はここには来ないし、死なないわ」
「そして君は彼女の旧友が現われなければナタリーがどこにも行かないことを知ってるんだな?」
「キャリーはナタリーには近づかないさ」とハリソンがきつい口調で言いました。
「視野が狭いな」とジャックは頭を振りながら言いました。
「運命は誰が殺されたのか、そして何故なのかは気にしていない。
運命が気にかける事は結果が同じだということだ」
トゥルーはそう宣言するジャックの顔に偽りの表情を見て取って立ち尽くしました。
そして車に戻っていきました。
「ハリソン」と彼女はまだジャックを通そうとしない弟に向かって叫びました。
「あいつは何かしたわ、彼女がトラブルに陥っているはず、行かないと」
ハリソンは素早く車に乗り込みエンジンを始動させると、
トゥルーは携帯電話を取り出しデイビスに電話してイライラと彼が電話に出るのを待ちました。

--------------------------------------------------------------------------------

ジャックは車が走り去るのを見送るとナタリー・ギャラガーのアパートの通りをぶらぶらと歩きました。
ジャックはアパートのブザーを押し彼女が中に入れてくれるのを待ちました。
彼のポケットはその午後競馬で勝ち取った現金の封筒でふくれました。
彼は階段を登りながら果たして正しいことをしているのかどうかと迷いました。
リチャードならノーと言うに決まっていると彼は思いました。
けれども彼自身はそれほど確かではありませんでした。
キャリーはトゥルーが最も信頼する協力者であるデイビスの信頼を受け入れられることに成功していたという点で
ジャックが果たせなかったものを持っていました。
彼女がいなくなってしまう事で彼は間違いなくトゥルーに負けるかもしれません。
彼がしなければならない事は彼女を生かすことです。
そして彼女はこれ以降の何カ月もの間トゥルーを手伝う事になるかもしれません。
それはすべてバランスでした、そして犠牲とこれは今の彼のゲームでした、リチャードではありません。
彼がしなければならない事はトゥルーに、もちろん彼女には知られないように今回は勝たせ、
次にナタリーが今の情勢から姿を消す事を確信することでした。
ジャックはナタリーが復讐を忘れることに十分な金を与えるようと思いました。
彼はドアをノックして待っていると、ナタリーが疑い深い顔つきでドアを開けました。
彼はリチャードが何と言うか分かっていました、しかし彼はリチャードではありません、
そしてジャックはナタリーにどこにキャリーがいるか言うつもりはありませんでした。

--------------------------------------------------------------------------------

「死体安置所にテイクアウトを注文したのか?」ハリソンは驚いて尋ねました。
「あたしだって夕食は外食してると思ったわよ」とトゥルーが肩すくめて答えました。
「予約を入れられなかったんじゃない」
「でも死体安置所にか」ハリソンはため息をつきました。
「最もロマンチックじゃないセッティングだな」
「まあ、デイビスだからね」とトゥルーが言うと、ハリソンはスピードを出したままカーブを曲がり彼女はダッシュボードをつかみました。
彼らは記録的な速さで到着しました、そしてトゥルーは車から飛び出ると建物の中に走り、彼女の後ろをハリソンが追いかけました。
彼女は死体安置所へと廊下を疾走し部屋に入るとデイビスとキャリーはテーブルを挟んで座っていました。
「俺たちは大丈夫だと言っといただろ」とデイビスは息が切らした彼女を見て言いました。
「間違いないのね?」トゥルーは尋ねました。
「ジャックが言ったことはかなり明確だったわ。どこから食料を持ってきたの?それは大丈夫なの?」
「食べ物はおいしいわ、トゥルー」とキャリーは肉をひとかじりしながら言いました。
「こっちに来て一緒にどお?」
「そうだな」とデイビスがうなずきました。
「座って話そうじゃないか、我々は全員チームなんだから」
トゥルーは彼の言葉に息切れが止まりませんしかしハリソンの手が彼女を落ち着かせ
テーブルに少しずつ押されると彼女は唇をかみました。
「自由に食っていいのか」ハリソンはテーブルの上に沢山のごちそうを見てにっこり笑いました。
トゥルーはデイビスが二人だけの夕食にいくらを注文してたのか見て微笑まないわけにはいきませんでした。
デイビスが再び自分の席に着き、ハリソンが座って落ち着いて食べ物に手を出すとトゥルーもイスを引き寄せ座りました。
彼女は何か言おうとしましたがキャリーの前では心地悪く感じてどう話すべきかと思いました。
デイビスがなんと言おうと彼女はチームの一員ではありませんでした、そしてキャリーを信頼する気になれませんでした。
「トゥルー?」キャリーは静かにそしてためらいがちに言いました。
「あなたの事を私に話したデイビスに賛成しないことは分かるわ、えーと、天命の事よ、
でも私はあなたに分かって欲しいの、全て証明して見せるわ、私が本当にチームの一員になるためにね」
「あなたの過去からそれ以上のどんな驚く事があるって言うの?」トゥルーはぶっきらぼうに尋ねました。
「トゥルー!」デイビスはキャリーの硬い表情に同情し代弁しました。
「いいのよ」キャリーはデイビスに言うとトゥルーに顔を向けました。
「ないわ、私の過去からはそれ以上のどんな驚きもないわ、
私の人生のその部分はずっと前に終わったの、そして私は今前進したわ。
私は新しい人生を手に入れたの、誠実な友人たちと私はもうチームの一員のように感じてる。
あなたがまだ私を信頼しないことは分かってるわ、でもいつか時がたてば信頼してもらえると思う」
トゥルーは慎重にスピーチを聞きました。それはリハーサルをされたと確信しました。
言葉の中に不誠実な言葉を見つけようとしましたが不可能でした.。
トゥルーはうなずいて乾杯をするためにグラスを上げました。
「チームに」と彼女が言いました。みんなは彼女の言葉に共感し自分達のグラスをあわせました。
多分トゥルーがキャリーを信頼する日は来るでしょう、しかしその時までトゥルーは新たな協力者から目を離さないででしょう。

--------------------------------------------------------------------------------

「生きているな、結構だ」バーの止まり木にジャックと彼女が座りジャックがバーテンを身振りで呼びながら言いました。
「結構よ」とキャリーは共謀者をにらみつけてぼそぼそ言いました。
「本当にこれは俺の感謝の気持ちだ」とジャックが独りよがりの笑みで言いました。
「ナタリーにはトラブルに対する多額の金を払って旅行に行ってこの町にはいない」
「何ですって?」キャリーは驚いて尋ねました。
「町から出すために彼女に金を渡した」とジャックが言います。
「彼女は行った、そして二度と戻ってこないだろう」
「私は死ぬはずだったんじゃ」とキャリーは疑い深い声で尋ねました。
「それが運命の判断なんじゃないの」
「運命は決まっている」とジャックが言いました。
「だが俺は決定に逆らってお前のために規則を破った。俺にはお前が死ぬことより生きている事の方が大事なんだ」
「でもリチャードは?」
「リチャードとは意見が合わない」ジャックは眉をひそめ、前の日の朝のリチャードとの会話を思い出しました。
ジャックの助言者が彼であった事が不幸というにはあまりにも控えめな表現でした、しかし今さら変えることはできません。
「もし俺がお前ならしばらくの間、奴に近づかないようにする、俺ならそうするな」
「あなたは思ってないの、彼が…」キャリーは言葉を最後まで言う気になれませんでした。
「いや、奴はお前を殺さないだろう」とジャックが彼女に答えました。
「チャンスは過ぎた、奴はそのことを知ってる、そして奴自身の手にあまる問題は扱わないはずだ」
「私が生きている事によって私がどれぐらい貴重なのか証明しなければならないわね」とキャリーは飲み物をとって言いました。
「公式にトゥルーによって仲間入りをしたんだから、あなたがリチャードにそのことを話せば証明することができるはずよ。
第一に彼女と他の人たちはリチャードがなぜナタリーの後見人になったのかを知りたがってたわ。
あなたはリチャードに彼らが尋ねる場合に備えて、架空の話を準備するか、あるいは調査を始めるよう警告したほうがいいわ」
「そうだな」とジャックが答えました。
「やっぱり、お前はすでに役に立ってるじゃないか。リチャードもまもなく分かってくれるだろう」
「彼ならそうすると思ってるわ」キャリーはグラスを飲み干すとジャックをバーに1人残したまま立ち去りました。

おしまい