風の便り

風の便り

1.右のこぶしを握り締め、静かに空を見上げる
 閉じた睫毛を濡らすのは熱い夢の名残
 研いだ刀を胸に抱き、男は風になる
 焦がれる故の悲しみに、女は海になる

  せめて一夜の愛をください
  貴方に辿り着く為に
  生きて生きて生きぬいた
  誇り高き男達の
  切ない想い伝われと
  風が運ぶ便り

2.空を舞い散る一片(ひとひら)の、桜の白い花びら
 命はかなくその色は何故に人を誘う
 なぶる風に向かう様に、男は旅に発つ
 灯す明かりの淋しさに、女は夜に泣く

  せめて一夜の愛をください
  貴方に辿り着く為に
  寒い時代(とき)を堪えぬいた
  心強き女達の
  哀しき願い伝われと
  風が運ぶ便り

  寒い時代(とき)を堪えぬいた
  心強き女達の
  哀しき願い伝われと
  風が運ぶ便り