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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

 


S02E01 Vortex:渦巻き

プロローグ

宇宙船がトウモロコシ畑の上を飛び越して、竜巻の中へと突入していく。
竜巻に巻き込まれた残骸が宇宙船と接触し、八角形の金属がはずれる。
宇宙船はパワーを失い、地上に向かって落下しはじめる。

竜巻の下のほうでは、ラナの乗ったトラックが円を描いて回転している。
ラナが運転席から降り、床にうつぶせになると運転席側のドアがちぎれる。
クラークがトラックをつかんでいます。

クラーク::あーっ。

ラナは床に伏せたままでクラークのほうを見ていません。
クラークはハンドルをつかんで、車内に乗り込みます。
クラークはラナの体の上に覆いかぶさると、
トラックの車体が竜巻の力によって引き裂かれバラバラになっていきます。

場面は変わって、レックスの書斎。
竜巻の影響で、室内はひどい状態になっています。
ライオネルは柱の下敷きになっていて、レックスはその姿を見下ろしています。

ライオネル:レックス! 私はお前の父親だ!
       (レックスに向かって手を伸ばしますがレックスは動きません)
       息子よ。

ようやくレックスはひざまずき、柱を動かし始めます。
レックスがライオネルを引きずり出した直後、天井の破片が落下して二人のすぐそばに落ちます。

レックス:親父、親父!

場面は変わって森の中。
風が吹き荒れている中、ジョナサンがロジャーを追いかけています。

ロジャーはビデオカメラを手にして、つまづき倒れます。
立ち上がるとビデオカメラの中からテープを取り出します。

ジョナサン:ニクソン!

ジョナサンはロジャーの腰に抱きつき、地面に押し倒します。
ロジャーは立ち上がり、ジョナサンの顔を殴ります。
ジョナサンが殴り返すとロジャーは倒れます。

ジョナサン:カメラをよこせ!
ロジャー:俺に近づくな!

ロジャーはカメラを放り投げ逃げ出しはじめます
ジョナサンはビデオカメラに走り寄り、ふと上を見ると、
直方体のプレハブ住宅のようなモルタル製の簡易ハウスが彼らめがけて落下してきます。
ジョナサンはロジャーをつかんで地面に開いた穴に放り込むと、自分もその後を追って飛び込みます。
二人は地下シェルターの階段を転がり落ちていきます。
その直後、簡易ハウスが墜落して、地上への出口を塞いでしました。

場面変わって、地上。
気絶したラナの体が地面に横たわっている。
すぐ近くにクラークがいる。

クラーク:ラナ? ラナ!

クラークは周囲を見回す。
竜巻が遠ざかっていくのが見える。

第1幕 第1場

スモールヴィル医療センター
緊急治療室は、医者や看護婦や移動式ベッドに乗った怪我人でごった返している。
ラナを抱えたクラークが入ってくる。ラナは気絶したままである。

クラーク:助けてください! 先生はいませんか?
      (空の移動ベッドにラナを横たえて、医者の腕をつかむ)
      すぐに診てください!
女医:何があったの?
    (ラナの目にライトをかざして)
    瞳孔反応よし。呼吸は正常。脈拍も良好。
    すぐに良くなるわ。彼女の名前は?

突風の音がする。
女医が目を上げると、すでにクラークの姿はない。

場面変わって、クラークが自宅の地下室へと超スピードで走りこんでくる。

クラーク:母さん! 父さん!
     (振り向くクラーク。マーサの足が突き出しているのが目に入る)
     母さん! 母さん! 
     (マーサははっと目を覚ます)
     母さん、大丈夫?
マーサ:クラーク…お父さんを見つけてちょうだい。竜巻が直撃した時、外にいたのよ。
クラーク:母さんを病院に連れていかなきゃ。
マーサ:だめよ! クラーク、話を聞いて。あの記者が地下室にいたのよ。
クラーク:ニクソンが?
マーサ:宇宙船をビデオで撮ったわ。あなたの秘密を暴露するつもりよ。
     お父さんは彼を追いかけて嵐のなかに飛び出していったの。
クラーク:彼を見つけないと。
      (クラークは宇宙船がないのに気づく)
      母さん、宇宙船はどこ?

振り向くマーサ。そこに宇宙船の姿はない。

第1幕 第2場

スモールヴィル医療センター。
気絶しているライオネルの姿。首はギプスで固定され、頭には包帯が巻かれている。
レックスと医者が話をしている。

医者:脊椎の打撲により、足の神経系統が一部傷ついています。
    脾臓が破裂し、視神経にもひどい傷を負っています。
レックス:すぐにメトロポリスの病院に搬送してくれ。専門医のチームを集めて…
医者:あなたの父上は危険な状態にあります。動かすことはできません。
レックス:ここにいるのは普通の患者じゃないんだぞ。
医者:ライオネル・ルーサーが誰かは知ってますよ。でも、特別扱いはできません。
    それでなくても、人手が足りないんです。
レックス:そういうことを言ってるんじゃない。俺の父親なんだ。ベストを尽くしてくれ。

医者はうなずいて部屋を出て行く。

ライオネル:(囁くように)レックス…レックス…
レックス:親父、俺はここにいるよ。心配ない。
      メトロポリスから専門医を呼び寄せて、親父の治療にあたらせるから。
ライオネル:(弱々しく)お前の目を見て…わかったんだ…お前が何を考えていたのか。
       私などいないほうが…人生は楽になるって…
レックス:親父…すまない。

第1幕 第3場

クラークは農場周辺の畑でジョナサンを捜している。

クラーク:父さん! 父さん!

マーサが走り寄ってくる。

マーサ:家に戻らないと。

クラーク:警察に電話した? 病院には?
マーサ:電話が通じないの。
クラーク:父さんは竜巻の多い土地で育ったんだ。外にいるはずがない。
      まずシェルターに避難するはずだよ。
マーサ:あの人がまともに物を考えているかどうかわからないわ。
     あんなに怒った父さんを見たのははじめてよ。
     ニクソンに家族を壊されてたまるかって言ってたのよ。
クラーク:まさか父さんは…
マーサ:いいえ。決してそんなことはしないわ。

第1幕 第4場

ジョナサンは地下のシェルターの中で立ち上がる。
ロジャーは大きな金属製の花瓶の下敷きになっている。
ジョナサンは鉄パイプを持ち上げると、ロジャーに歩み寄る。

ニクソン:おい、やめろ! 息子のことは誰にも言わない!
      神かけて誓う! たのむ、殺さないでくれ!

ジョナサンは鉄パイプを振り上げ、振り下ろす。かたい音が響く。
鉄パイプの先端はロジャーのすぐそばの地面に当たっている。
ジョナサンは鉄パイプをてこにして、ロジャーの体から花瓶をどける。

ニクソン:ふう、助かった。殺されるかと思ったぜ。
ジョナサン:ああ、そうだろうとも。

ジョナサンはパイプを投げ捨てる。

第1幕 第5場

クロエがスモールヴィル医療センターの中を歩いている。
ラナの部屋の前で立ち止まる。ラナはかばんに荷物をつめている。

クロエ:やあ、ドロシー。オズの国から戻ってきたの?
ラナ:クロエ。
クロエ:何してるの? 1ヶ月くらい、入院してたほうがいいんじゃないの?
ラナ:大丈夫よ。ただの脳震盪だって。
   それに、あたし以上にこのベッドを必要としてる人がたくさんいるし。
クロエ:あなたが無事で良かったわ。何があったの?
ラナ:その、ホイットニーを送ってから戻ってくる途中で、風が強くなったの。
   メールボックスがフロントガラスに直撃して、車は道路からはずれたところで止まった。
   その時、竜巻が見えたの。あっと言う間にトラックごと飲み込まれたわ。
クロエ:ひどい。よくそれで、脳震盪だけですんだわね。
     スモールヴィルの基準から言っても驚きだわ。
ラナ:そう。ありえないわ。
クロエ:え?
ラナ:何でもない。で、気がついたらここにいたの。
クロエ:靴のかかとを鳴らして『我が家が一番』って言ったら、
     このスモールヴィル医療センターにいたわけね。
ラナ:クラークが運んできてくれたのよ。
クロエ:クラークが?
ラナ:ええ。ねえ、彼を見なかった?
クロエ:いいえ。ダンス会場から消えたっきり。
     かれこれ3時間くらい捜してるんだけど。
ラナ:春のダンス・パーティーは散々だったみたいね。
クロエ:まあね。でも、少なくともクラークがどこに向かったかはわかったわ。
ラナ:気休めに聞こえるかもしれないけど、二人ともすごくお似合いだったわ。
クロエ:そんなことない。でも、ありがと。

第1幕 第6場

その夜。
クラークは納屋のなかを必死で捜している。扉の開く音が聞こえる。

クラーク:父さん?
レックス:クラーク。病院で君のお母さんと会った。話は聞いたよ。
クラーク:この場所はくまなく捜した。森のなかに行ってみる。
レックス:クラーク、俺の親父が竜巻で怪我をした。重傷なんだ。
クラーク:(懐中電灯を取り出して)レックス、気の毒に。何か僕にできることはある?
レックス:いや、今は医者の手に任せてある。
      嵐の時、親父は柱の下敷きになったんだ。
      もし俺が助けなかったら死んでただろう。
      だが、俺は助ける前にためらったんだ。
      このまま親父が死んだほうが、俺の人生は良くなるんじゃないかって思ったんだ。
クラーク:でも、君は助けた。そこが大切なんだと思うよ。
レックス:いや。親父はそんなふうには考えないだろう。
      “許し”なんていう言葉は親父の辞書にはない。
      むしろ、俺が助けたことを、弱さの証拠だと考えるだろうな。
クラーク:これからどうするんだ?
レックス:友人の父親捜しの手伝いをするさ。もう一本、懐中電灯はあるか?

場面変わって、森のなかで捜索しているクラークとレックス。

クラーク:父さん!
レックス:ケントさん! ケントさん!
クラーク:父さん!

レックスは立ち止まり、周囲を見回す。
黒いしずくが頭に落ちてくる。
上を見るレックス。ロジャー・ニクソンの車が大きな木の枝にひっかかっている。
クラークもそれを見るが、ロジャーの車だとは気づかない。

クラーク:誰の車かわかる?
レックス:いや。分かれて捜したほうがいいだろう。
クラーク:そうだね。30分後にここで会おう。

クラークは歩き去る。

場面変わって、地下室の出口のところで扉をノックしているジョナサン。
手にはろうそくの灯った燭台を持っている。

ジョナサン:まいったな。
       (扉から離れる。ロジャーが何かを探している) 何をしている?
ニクソン:携帯電話を探してるんだよ。あれが唯一の命綱だ。
      人類史上最大の記事を手に入れたってのに、それを書くこともできないとはね。
ジョナサン:クラークは記事じゃない。私の息子だ。
       クラークの人生を破滅させるかわりに、お前を有名になどさせたりはしない。
ニクソン:だから俺を追ってきたのか? 何をするつもりだったんだ、ケント?
     俺を殴り殺して、地下墓地に埋めるつもりだったか?
ジョナサン:お前は私の土地に無断侵入し、トラックに乗った息子を殺そうとした!
ニクソン:お前は地球でもっとも素晴らしい存在に農作業をさせてるというわけか。
      なぜ彼を隠す? 世界中のやつらにも見せてやれよ!
ジョナサン:それは息子が大きくなってから、自分で決めるべきことだ。
ニクソン:そりゃいつの話だ? 18歳か? 20歳か?
ジョナサン:準備ができた時だ。
ニクソン:保護者づらするのはやめて、真実を認めたらどうだ?
      お前ら夫婦があいつを育てていたのは、自分の子供ができなかったからだろう。
ジョナサン:あの子を育てていたのは、あの子が私たちの息子で、愛しているからだ。
ニクソン:(笑う)あいつがあんたの息子のわけないだろ、マヌケ野郎。
      あいつは人間ですらないじゃないか。

ジョナサンはロジャーを殴りつけ、ロジャーは地面に倒れる。

ニクソン:殺したきゃ殺すがいい。
      だが、俺が正しいってことは、あんたにもわかってるはずだ。
      あんたのようなちっぽけな男には、息子の運命の大きさが理解できないのさ。
      (ジョナサンはロジャーを立たせ、両肩をつかむ)
      クラークはあんたのものじゃない。世界のものなんだ。

地面に落ちていたロジャーの携帯電話が鳴る。
ロジャーは携帯電話に駆け寄り、電話に出る。

ニクソン:もしもし? レックス!
レックス:(森のなかを歩きながら)ニクソン。一体どこにいるんだ?

ジョナサンはロジャーから携帯を奪うと、地下室の反対側へ放り投げて破壊してしまう。

ニクソン:この大バカ野郎! ここから出たくないのか?
ジョナサン:ここから出たいのはやまやまだが、
       お前がレックスとつるんでいるのがわかったからには、ここで死んだほうがましだ。
       お前たち二人に息子の人生を破滅させてたまるか。

場面変わって、森のなかのレックス。

レックス:(電話に向かって)ニクソン? 聞こえるか?
      (クラークが近づいてくる) クラーク、消防署に電話していたところだ。
      救助隊をここに派遣してもらおうと思って。
クラーク:(レックスの手から携帯電話を奪い)いや、違うね。
      ロジャー・ニクソンと話をしているのが聞こえたよ。
      今日あの男が農場を嗅ぎまわってたって母さんから聞いた。
      竜巻がやって来た時、父さんと一緒だったんだ。
レックス:クラーク、ニクソンが関係してるなんて知らなかったんだ。
クラーク:そんな台詞、信用できないよ。以前彼を知らないって嘘をついたじゃないか。
      (レックスは答えない) 君がためらうのは、今日はこれで二度目だ。
      レックス、父さんの言ってることが正しかったのかもしれないって思えてきたよ。

クラークは歩き去る。

レックス:クラーク、待ってくれ! 君は疲れて気が動転してるんだ。

クラーク:僕のせいにするのはやめてくれ! ここへ来たのは父さんを見つけるためか?
     本当はニクソンを見つけるためじゃなかったのか?
レックス:そんなわけないだろう。
クラーク:こんなことをしている暇はない。父さんを見つけなきゃ。
レックス:クラーク!

クラークは歩き続ける。

クラーク:父さん!

暗転

第2幕 第1場

タロンにて。
翌日。
店の看板には「竜巻救援センター」と書いてある。
店内では、マーサがジョナサンの写真を行方不明者の掲示板に貼りつけている。

マーサ:(クラークに向かって)新しい情報が入ってないかどうか、赤十字の人と話をしてみるわ。

マーサは歩き去る。

ラナ:クラーク。良い知らせはあった?
クラーク:(首を横にふって)一晩中捜したんだ。今朝、捜索隊が農場をくわしく調べてくれた。
      でも、何も見つからなかった。どうすればいいのかわからない。
      もう12時間以上行方がわからないんだ。
ラナ:必ず見つかるわ。きっと。
クラーク:ありがとう。君は自宅で休んでるかと思った。
ラナ:手伝いたいのよ。あの隕石事件の後、たくさんの人があたしを助けてくれたもの。
   すごくうれしかった。
クラーク:君が無事で良かったよ。
ラナ:ねえ…どうやってあたしを見つけたの?
クラーク:運が良かったんだよ。道路沿いの畑にいたんだ。
      きっとトラックから放り出されたんだよ。
ラナ:本当にそうだったの?
クラーク:ああ。どうして?
ラナ:おかしな物を見た気がするのよ。
    トラックが竜巻に巻き込まれて、そうしたら、あなたが…。

マーサがやって来る。

マーサ:クラーク、新しい情報はないそうよ。
ラナ:仕事に戻らなきゃ。お父さんはきっと見つかるわ。

ラナは歩き去る。

マーサ:わたしはここに残って電話番をしてるわ。
     もし誰かがジョナサンを見つけたら、通報してくれるはず。
     今朝だって、ガレージに閉じ込められたお年寄り夫婦が発見されたのよ。
     だから、まだ希望はあるわ。
クラーク:父さんは僕のせいで行方不明になった。僕のせいでこんなことに。
マーサ:自分を責めちゃだめ。自分を変えることはできないわ。
     あなたが生きている限り、あなたを利用しようとする人がいる。
     お父さんとわたしはできる限り長くあなたを守ってきたわ。
     でも、いつの日か、あなたのそばを離れる日が来る。
     その時、あなたはたった一人で自分の道を歩いていかなくちゃならないのよ。
クラーク:そんなこと言わないでよ。
マーサ:その時が来たら、きっとわたしたちはあなたのことを誇りに思うわ。
     さあ、外に行ってらっしゃい。

第2幕 第2場

地下シェルターのなかのジョナサンとロジャー。ジョナサンは壁を掘っている。

ジョナサン:こういう古い土台は…セメントを強化するために鉛を混ぜているんだ。
ニクソン:はあ? 鉛中毒で死ぬとでも言うのか。
ジョナサン:クラークは鉛を透視できないんだ。
ニクソン:あいつは固体を透視できるのか? 信じられん。
      他には何ができるんだ? そんな能力があれば、俺が何をすると思う?
      金。権力。一体どれだけ集まる? 想像すらできんよ。
ジョナサン:お前のような人間がいるから、あの力を秘密にしていたんだ。
ニクソン:俺じゃなくても、他の誰かが暴露したさ。世間に知れ渡るのも時間の問題だ。
ジョナサン:ああ。
ニクソン:人間には知る権利があるんだ。
ジョナサン:私の息子がどうなるか、これっぽっちも考えずにな。
ニクソン:ケントさん、大昔から人間は星空を見上げて、こう思ってきた。
      『あそこには何があるんだろう』って。クラークこそ、探し求めていた答えなんだよ。
ジョナサン:ここから出る方法がわかったぞ。
ニクソン:それが何か教えてくれるか。
ジョナサン:宇宙船を映したビデオテープを渡せ。そうすれば、教えてやる。
ニクソン:そいつはできない相談だ。
ジョナサン:お前の命か記事かだ。どっちが大事かよく考えることだ。私の答えは決まっている。

ロジャーはためらった後、ポケットからテープを取り出し、ジョナサンに投げ渡す。
ジョナサンは蓋を開け、フィルムを引き出す。

ニクソン:それで、計画は。

ジョナサンはロジャーに棒を渡し、壁際に連れていく。

ジョナサン:触ってみろ。さあ。
ニクソン:ここのモルタルが弱くなってる。
ジョナサン:そうだ。この壁を崩せば、地上までトンネルが掘れるぞ。

二人は掘り始める。

第2幕 第3場

家の外を歩いているクラーク。レックスが車にもたれて携帯電話をかけている。

レックス:切るぞ。
      (電話を切って) クラーク。
クラーク:何の用。
レックス:すぐに君に本当のことを言うべきだった。
      たしかに俺はロジャー・ニクソンを知っている。でも、君を守ろうとしたんだ。
クラーク:何から。
レックス:竜巻の前、ニクソンが俺に接触してきた。
      やつは君の家族に関する情報を俺に売りつけようとした。
クラーク:どんな情報。
レックス:今となっては、どうでもいいことだ。あいつは嘘つきだ。
      記事のためなら、どんなことでもする男だ。
      俺はやつに君の家族に近づくなと警告した。
      やつの車を見た時、君の親父さんの行方不明と何か関わっているんじゃないかと思ったんだ。
クラーク:なぜもっと早く言ってくれなかったんだ。
レックス:確証が持てるまで、君に心配をかけたくなかった。
クラーク:レックス、僕はもう何を信じたらいいのかわからないよ。
レックス:俺は君の友人だ。それを信じてくれ。君に見せたいものがある。

レックスは車に戻って、地図を取り出す。

クラーク:それは。
レックス:地図だ。正確には携帯電話の電波範囲図だ。部下に調べさせた。
      嵐の後も機能している電波中継塔は一つだけだ。
      つまり、ニクソンとおそらくは君の親父さんも、
      昨夜俺たちがいた場所から半径1マイル圏内にいるということだ。
      役に立つかどうかはわからんが、捜してみる価値はある。

第2幕 第4場

森のなか。
クラーク、ピート、クロエがジョナサンを捜している。

ピート:ケントさん。
クラーク:父さん。
クロエ:(地図を見ながら)ここが電波の届く境界線だわ。
ピート:地図には何の建物も載ってない。ここまでだな、クラーク。
クロエ:待って。あれは何。

3人は簡易ハウスを見つける。

ピート:竜巻がここに落としていったんだ。

クラークは透視能力を使って、家のなかをのぞく。ジョナサンの姿は見えない。

クラーク:ここにはいない。
クロエ:なあに、匂いでわかるわけ。
ピート:そうだよ、なんでわかるんだよ? ケントさん。

クロエ、地面に落ちていたロジャーのビデオカメラを見つけて拾う。

クラーク:父さん。
ピート:ケントさん。

場面変わって、地下シェルター。
ジョナサンとロジャーが地面へと続くトンネルを掘っている。

ニクソン:聞こえたか。
ジョナサン:子供たちだ! クロエ! ピート。
ニクソン:助けてくれ。
ジョナサン:地下にいるぞ。
ニクソン:聞こえない! 聞こえないんだ! もっと掘らないと。
ジョナサン:ロジャー、あわてるな! 地盤がゆるくなってるんだ。

トンネルが崩れ始める。

ジョナサン:ロジャー。

二人は後ろ向きに倒れ、半ば瓦礫に埋もれてしまう。

クロエ:何か聞こえなかった。

クラークは再び透視能力を使うが、何も見えない。

クラーク:さあ、最初からやり直そう。
クロエ:ケントさん。
クラーク:父さん。

地下シェルターのなか。
ジョナサンとロジャーが瓦礫に埋もれて気を失っている。
ロジャーの近くには、緑色に光る隕石のかけらがある。

暗転

第3幕 第1場

タロンにて。
ラナがテレビのニュースを見ている。

アナウンサー:竜巻の恐ろしい力の実例がここにあります。
         このトラックは文字通り引き裂かれています。
         信じられないことに、運転していたラナ・ラングさんは生きのびました。
         破壊のまっただなかにあっても、奇跡はおこりうるのだということを我々に教えてくれます

マーサ:(ラナに歩み寄り)大変だったでしょう。
ラナ:ええ、あんなに恐い目にあったのははじめて。
マーサ:無事で良かったわ。

二人は抱き合う。

ラナ:手伝ってくれてありがとうございます、ケントさん。今は大変な時なのに。
マーサ:わたしは聖女なのよ。
     (二人は笑う) なんだかはじめてのような気がしないのよ。
ラナ:隕石群の落下事件。
マーサ:そう。まるで昨日のことのように覚えてるわ。
ラナ:ええ、あたしも。
マーサ:ああ、ごめんなさい。嫌なことを思い出させるつもりじゃなかったのよ。
ラナ:いいんです。あの『TIME』の表紙に載ったあたしの写真。
   あれがあたしの人生そのものですから。
マーサ:気休めかもしれないけれど、
     あの日、妖精の格好をしたあなたは本当に願いをかなえてくれたのよ。
     隕石群が落下する直前、ジョナサンとわたしはネルの店で花を買っていた。
     カウンターの上では、羽を生やしたあなたが魔法の杖を持って座ってた。
     あなたは願いを叶えてほしいかと聞き、わたしははいと答えたわ。
     それからしばらくして、クラークがわたしたちのところにやって来たの。
     …このことはクラークにも話したことがないわ。
ラナ:お二人みたいな両親がいて、クラークは本当に幸運だわ。
   ずっとうらやましく思ってたの。お二人はとても心が広そうだから。
マーサ:あなたとクラークが親しくなってくれて、うれしいわ。
ラナ:ええ、あたしも。

第3幕 第2場

森のなか。
クラーク、ピート、クロエがジョナサンを捜している。

ピート:ケントさん。
クロエ:ケントさーん。
ピート:ケントさん。

ピートは歩き続け、クラークとクロエが残される。

クラーク:あの、クロエ?
      ずっと謝ろうと思ってたんだ。ダンス会場で君を置き去りにして…。
クロエ:ああ、あれ。言わなかったっけ。
     友達を助けるために出て行ったんだから、許してあげるわ。
     それに、その、もしあたしが同じ目に遭っても、あなたは助けてくれるでしょ。
クラーク:ああ、そりゃ、もちろんさ。で、どうやって埋め合わせをすればいいかな。
クロエ:実はね、考えてたの。
     自然災害にあって自分の人生を見つめなおすってのも変な話だけど、
     でも、あたしたち、友達のままでいるほうがいいんじゃないかな。
     そうじゃないと、なんだかややこしいことになっちゃって。
クラーク:ああ…うん、そうだね。良い考えだと思うよ。
クロエ:そう。
クラーク:ああ、うん、その、僕らの友情はとても大切だしね。壊したくないよ。
クロエ:うん、そうね。良かった。完璧。物事がはっきりして本当に良かったわ。
クラーク:こっちのほうを調べてくるよ。
クロエ:わかった。あたしは後で行く。足が痛くて。

クラークは歩き去る。クロエの目から涙がこぼれ始める。ピートが戻ってくる。

ピート:ケントさん!
    (クロエに向かって) よお。
クロエ:(顔をそむけて)やあ。
ピート:なに作り笑いしてんだよ。
クロエ:何でもない。クラークとあたしは友人でいるって確認しただけ。それだけよ。
ピート:クラークが友達でいようって言ったのか。
クロエ:ううん、言ったのはあたしのほう。傷つく前にね。
ピート:なあ、クロエ、落ち込んだっていいんだぜ。
    昨夜は特別な夜になるはずだったのに、台無しになっちまったんだからさ。
クロエ:あと一歩で完璧だったんだけどね…やだ、あたしったら。
     竜巻が来て、みんな大変な目にあってる。
     なのに、あたしときたら、クラークが夢を叶えてくれなかったって言って落ち込んでる。
     ひどい人間だって思うでしょうね。
ピート:ああ。まったく超がつくほどひどい女だね。さ、来いよ。

ピートはクロエの肩を抱き、二人は歩き去る。

第3幕 第3場

地下シェルターのなか。
瓦礫に埋もれたジョナサンとロジャーが目を覚ます。ロジャーが咳き込む。

ニクソン:息が苦しい。
ジョナサン:洞窟が崩れたせいで、外気と遮断されたんだ。
ニクソン:(座りなおし)地下墓地で死ぬのか。皮肉なもんだな。
      少なくともあんたは遺産が残せるわけだ…立派な息子がな。
ジョナサン:(倒れたまま)クラークがはじめてパワーを使ったのは、
       私の祖父が作った大きなベッドの下にもぐり込んだ時だった。
       私もベッドの下にもぐってクラークを引きずり出そうとした。
       突然ベッドが空中に浮かんだんだ。
       (笑う) よちよち歩きの子供が…
       そうだな、500ポンドぐらいの重さを持ち上げていたんだ。
ニクソン:で、どうしたんだ。
ジョナサン:医学研究者のところに…
       もっとちゃんとした設備を持った人のところに連れていこうと決めた。
       でも、オフィスの前に来た時に、マーサが…もしこの子を任せたら、
       彼らがこの子を奪い去って、もう二度と会えないかもしれないって言ったんだ。
       だから、私はクラークを家に連れて帰った。あれは間違いだったのかもしれん。
       だが、そんな間違いなら私は喜んで繰り返すつもりだ。

第3幕 第4場

病院にて。
ライオネルが手術室に運ばれていく。二人の医者の後からレックスが続く。

医者1:時間との戦いです。脊椎は治るかもしれません。
     ですが、時間が経てば経つほど、視神経へのダメージがひどくなるでしょう。
レックス:手術するしかないというわけか。
医者2:わたしは反対です。患者の容態が安定してから、手術をおこなうべきだと思います。
医者1:たしかに手術は危険です。ですが、今手術しないと、もっと悪くなる可能性があります。
医者2:あなたが決めてください。
レックス:やってくれ。
医者2:わかりました。

第3幕 第5場

ケント家の居間。
クラーク、マーサ、ピートが地図を調べている。

クラーク:ピート、この地図、どこで手に入れたんだ。
ピート:俺のお袋が地方開発局から借りてきてくれたんだ。
    1920年以降の全地区の変更箇所が載ってる。
クラーク:見て、1988年の地図に、ホブソン池の近くに古い教会が描いてある。
ピート:あの辺に教会なんかないぞ。
マーサ:隕石群で破壊されたからよ。
クラーク:この地図によると、教会の下に地下室があるって。
マーサ:お父さんは知っていたかも。
クラーク:その場所にいたんだ。簡易ハウスが入口を隠していたのかも。

クラークは急いで出かけようとする。

ピート:クラーク、一人で助け出すつもりか。
マーサ:ねえ、クラーク、わたしはピートと町に行って、救助隊を呼んでくるわ。
     向こうで落ち合いましょう。
クラーク:わかった。

走り出すクラーク。

場面変わって、クラークが超スピードで簡易ハウスのところにやって来る。
クラークはひざまずき、ハウスの端に手をかけると、ハウス全体をひっくり返す。
超スピードで入口からなかに入り、階段を降りる。

クラーク:父さん。
ジョナサン:クラーク。
クラーク:父さん。

クラークはジョナサンのそばに駆け寄る。ジョナサンは瓦礫に埋もれて倒れたままである。

ジョナサン:クラーク…クラーク。

クラークはジョナサンを瓦礫から引きずり出そうとする。
しかし、隕石の影響を受けて、地面に倒れこんでしまう。

ニクソン:ケント! 一体どうしたんだ。
ジョナサン:ロジャー、その隕石をクラークに近づけるな。クラークは隕石に弱いんだ。
       (ロジャーは隕石の一つを拾い上げる) さあ、クラークを外に連れていくんだ。

ロジャーは隕石を持ち、それをクラークの上着のポケットに入れる。

ジョナサン:何をしている。
ニクソン:テープなんか必要ない。必要な証拠はここに揃っている。

ロジャーはクラークを階段まで引きずっていく。

ジョナサン:何をする気だ? ニクソン! やめるんだ! その隕石は! クラーク…。

場面変わって、森のなか。
ロジャーがクラークを引きずっている。
ロジャーはクラークを下ろし、ポケットから車のキーを取り出す。ボタンを押す。
頭上から電子音が聞こえる。ロジャーの車は破壊されていて、使い物にならない。

ニクソン:ちくしょう…。

振り向くロジャー。
ジョナサンが飛びかかってくる。二人は地面に転がる。

ジョナサン:私の息子を…(ロジャーを殴る)…奪われて…(さらに殴る)…たまるか。

ロジャーはジョナサンを蹴り飛ばし、逃げ出そうとする。
ジョナサンはロジャーの足をつかんで立ち上がると、ロジャーの顔を樹の幹に叩きつける。
ロジャーはジョナサンのみぞおちに肘鉄を食らわせ、地面に突き刺さっていた金属の棒を引き抜く。
ロジャーは棒を振り回してジョナサンの顔に一撃を加える。
ジョナサンは別の樹に叩きつけられ、地面にくずれおちる。顔からは血が流れている。

ニクソン:言ったろう、人間には知る権利があるんだ。
      ケントさん、俺はあんたと違って、自分の信じるもののためなら、人殺しだってできるんだよ。

ロジャーは金属の棒を頭上に振り上げる。
突然、銃声が聞こえる。ロジャーは自分の胸を見下ろす。
左胸に銃弾の貫通した痕がある。
ロジャーはジョナサンの体の上に倒れる。
ロジャーの背後には、銃を構えたレックスが立っている。
ジョナサンはロジャーの体を押しのける。

ジョナサン:クラーク。
レックス:ケントさん、大丈夫ですか。
ジョナサン:ああ。
       (レックスはロジャーのところに歩み寄る)
       クラーク、しっかりしろ。
       (クラークの上着を脱がせて投げ捨てる)
       クラーク、大丈夫か。
クラーク:なんとかね。

ジョナサンはクラークを抱き寄せる。
レックスは銃を持ったまま、ロジャーの死体を見下ろしている。

暗転

第4幕 第1場

簡易ハウスの外にて。ロジャーが死体袋に入れられる。
クラークとマーサが話している。

マーサ:お父さんは肋骨が折れてるけど、でも、大丈夫よ。
クラーク:母さんの言ったとおり、タフな人だからね。
      母さんだってそうだよ。母さんがこんなに強いなんて知らなかったよ。
マーサ:ありがとう、クラーク。でも、すごく恐かったのよ。
クラーク:そんなふうには見えなかった。まるでスーパーママだよ。

二人は救急車のそばに行く。包帯を巻かれたジョナサンがシャツを着ているところである。

クラーク:父さん、気分はどう。
ジョナサン:(救急隊員に向かって)ありがとう。
       (クラークに向かって) 家に押しつぶされたみたいな感じだ。
クラーク:父さん、本当にうれしいよ。父さんが、その…。
ジョナサン:何だ? 私がニクソンを殺すとでも?
       まあ、正直言って、難しかったがね、なんとか思いとどまったよ。
       お前のことを考え、私と母さんが教えてきたことを思い出したんだ。
       もしそんなことをしたら、ニクソンが勝ったことになるってね。
クラーク:レックスがいてくれて良かった。
ジョナサン:クラーク、ニクソンはレックスに金を渡されて我々を探っていたと言ったぞ。
クラーク:レックスはニクソンに近寄るなって言ったそうだけど。
ジョナサン:どっちかが嘘をついてるのさ。
クラーク:大切なのは、どっちが父さんを殺そうとして、
      どっちが命を救ってくれたかってことじゃないのかな。
警官:(レックスに向かって)また質問があれば、連絡します、ルーサーさん。

警官は歩き去り、レックスは三人のところに近づいてくる。

レックス:ケントさん。
ジョナサン:レックス。
レックス:その…。
ジョナサン:レックス、君は私の命を救ってくれた。お礼を言わせてくれ。
レックス:(間)再スタートですね。

レックスは手を差し出す。ジョナサンはレックスの手を握り返す。

ジョナサン:ああ。

ほほえむクラークとマーサ。

第4幕 第2場

トーチにて。
クロエがパソコンの前に座っている。
モニターには、春のダンス・パーティーで踊っているクラークとクロエの写真が映っている。
クロエは涙をぬぐい、マウスをドラッグする。
「このファイルを削除してもよろしいですか」というダイアログボックスが出てくる。
クロエは「OK」をクリックする。別の写真が現れると、それも同じようにして削除していく。
「ゴミ箱には10個のファイルが入っています。これは5.4MBを使用しています。
 これらのファイルを削除してもよろしいですか」というダイアログボックスが出てくる。
クロエはいらだったように手を上げると、マウスを動かして「キャンセル」をクリックする。

第4幕 第3場

クラークが家の外を歩いている。ジョナサンのそばを通り過ぎる。

ジョナサン:クラーク。
       (クラークは立ち止まる) 竜巻のことは母さんから聞いたよ。
クラーク:あの時あの場所にいたたった一人の人間なのに、事実を打ち明けることもできないんだ。
ジョナサン:私がいるじゃないか。もし良かったら話を聞かせてくれないか。
クラーク:父さん、僕はいろんな目にあってきた。
      あの竜巻のなかにいた時…あんなに恐い思いをしたのははじめてだった。
      何も見えず、破片がぶつかってくる。自分ではどうしようもなかった。
      突風のせいだったのかもしれない。
      でも、突然、僕はトラックに向かって移動していった。
      自分の意思でやってるみたいだった…まるで空を飛んでるみたいだった。

第4幕 第4場

ライオネルの病室にて。
レックスが椅子に座っている。ベッドの上でライオネルが目を覚ます。

ライオネル:(囁き声で)レックス…レックス…。
レックス:親父?
      (ベッドのそばに行き)親父? 気分はどう?
      医者が手術結果を説明してくれないんだ。

ライオネル:(静かに)わかっている。わたしの口から伝えたかったんだ。
       足のほうは完全に良くなる可能性があるそうだ。
レックス:良いニュースじゃないか…そうだろ。
ライオネル:お前に伝えたいことがある。
       私が冷酷にふるまっていたなら、
       それは私の敵も同じようにするはずだとわかっていたからだ。
       レックス、お前はいつも我々を敵対関係にあるとみなしていたな。
       私が助けを必要としていた時…お前は私の命を救ってくれた。礼を言うぞ。
       (レックスは父親の手をとる) お前はすぐに手術するように決断を下したのだろう。
レックス:それが一番良い方法だと思ったから。
ライオネル:私も同じことをしただろう。だが…それは誤りだったかもしれんな。
レックス:どういうこと。
ライオネル:(息を吸いこんで)目が見えないんだ。手術は失敗した。
        もう二度と元には戻らん。
       私を助けずに、あのまま死なせてくれたほうが、良かったのかもしれない…。

レックスは父親の手をふりほどき、後ずさる。

ライオネル:(手を伸ばして)レックス…レックス…レックス…。

第4幕 第5場

ケント家の納屋にて。
クラークが座りこんでいる。ラナが入ってくる。

ラナ:クラーク、何をしてるの。
クラーク:ちょっと考え事。
ラナ:隠れてるみたい。
クラーク:普通の状態に戻るのをただ待ってるなんてできないよ。
ラナ:そんなふうにはならないわ。
クラーク:どうしてそう言えるの。
ラナ:隕石事件の後、ネルおばさんがよくそう言ってたの。
   でも、こういう事件は人を変えるわ。
   幻想を打ち砕いて、自分自身について気づかせてくれる。
クラーク:何に気づいたの。
ラナ:あたしはずっと若死にするって思ってたの。両親のせいかな。
   一人だけ生き残って罪悪感を感じてたから。
   竜巻を見た時、ああ、その時が来たんだって思ったの。
   遂に運命があたしを見つけたんだって。
   でも、あなたがトラックのなかに来て、あたしを抱きしめて『大丈夫だ』って言ってくれた…。
   (クラークが否定しようとする) わかってる。変な話よね。
   でも、あなたは他の時にも何度もあたしを助けてくれた。
   それで、思ったの。クラーク・ケントには何か秘密があるんじゃないかって。

クラーク:(しばらくラナを見つめた後、立ち上がり)
      ほんと。変な話だと思うよ。だって、僕はこの通り、普通の男なんだから。
ラナ:(立ち上がり)クラーク、あたしにはどんなことでも話してくれるでしょう。
クラーク:もちろんだよ、ラナ。でも、僕はトラックのなかにはいなかった。
ラナ:じゃあ、どうやってあたしは生きのびたの? ありえないわ。
クラーク:君は若死にする運命じゃないってことさ。
ラナ:忘れないで…ずっとここで隠れていることはできないのよ。

ラナはクラークのそばを通り過ぎ、階段を下りていく。
階段を下りきったところで、少しためらった後、納屋を出て行く。
クラークは階段の上で一人取り残される。

場面変わって、夕日に染まるトウモロコシ畑。
見渡す限りトウモロコシの列が続いている。
その畑の一角、茎がなぎ倒され広場のようになった場所に、
竜巻に巻き込まれ墜落した宇宙船の姿が見える…