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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン


このエピソードはプロローグ部分までです.


#207 Lineage

プロローグ

ケント家の台所。マーサ・ケントがビジネススーツに身を包み、革のブリーフケースを持っている。マーサはブリーフケースをカウンターの上において、呼びかける。

マーサ「クラーク! 遅刻するわよ!」

マーサは階段のほうに向かうが、クラークの姿は見えず、2階から声が聞こえてくる。

クラーク「わかった。できるだけ急いで行くよ」

突然、クラークが超スピードで階段を下りてきて、手すりのところからジャケットを取ると、マーサの前で急停止する。

マーサ「そんなに素早く動ける人がどうしていつも遅いのかしら?」

クラーク(笑って)「時々、自分でもよくわからないんだ」

マーサはため息をつく。クラークはバックパックを下ろして、カウンターに行き、食パンを一切れ取り出す。

ジョナサン(コーヒーを飲みながら)「つい最近、目覚まし時計を直したばかりじゃなかったか?」

クラークは食パンを持ち上げ、ヒートビジョンを使って、焼き始める。片面が焼きあがると、反対側も同じようにして焼く。

クラーク「うん。でも、今朝アラームを止めようとして壊したんだ。僕は朝型の人間じゃないんだよ」

ジョナサン「きっと母さんゆずりだな」

ジョナサンはクラークの手から焼きあがったトーストを奪い取る。トーストはかなり熱く、ジョナサンは指を火傷する。

ジョナサン「熱っ! マーサは自分の結婚式にも遅刻するようなタイプだからな。 (マーサに笑いかけ、クラークに生の食パンを渡す) 実際、遅刻したんだし」

クラークとジョナサンは笑いあう。

マーサ(コートを着ながら)「おんどりに育てられなかった人もいるのよ」

クラーク(食パンをトーストしながら)「夕べは試験勉強で遅かったんだ。ギリシャ悲劇のテストがあるんだ」

ジョナサン(コートを着ながら)「これから母さんを仕事に送っていくところだ。お前も乗るか?」

クラーク(ピーナツバターの瓶を開けて)「いや。僕が乗ると、速度が落ちるよ」

ジョナサンは車のキーをつかんで、ドアに向かう。

マーサ(ジョナサンに)「ありがとう、あなた」

ジョナサンとマーサが出て行く。クラークはトーストにピーナツバターを塗り、かぶりつく。腕時計を見て、慌てた表情になる。

クラークはジャケットを着て、バックパックを肩にかけ、片手にトーストを持って、家を出る。クラークは超スピードで走り出し、スモールヴィル高校へと向かう。一方、ジョナサンとマーサの乗ったトラックも私道を出て、町に向かって走り出す。

トラックが走り去った後、干し草の山のかげから一人の女性が姿を現す。それはレイチェル・ダンレビーという名の、40代後半の赤毛の女性である。レイチェルは感情を抑えきれない様子でケント家を見る。

レイチェル「ああ…」

レイチェルは少しあたりを見回してから、ケント家の母屋へと歩き出す。レイチェルは鍵のかかっていない裏口から中に入り、台所を見回す。居間に入ったレイチェルは壁際の机の上に、ケント一家の写真が飾られているのに目をとめる。レイチェルは一枚の写真を取り上げる。それは最近撮られたクラークの写真である。レイチェルは写真に写ったクラークの顔をやさしくなでる。レイチェルは笑顔を浮かべると、顔をあげて、窓の外を見る。

場面変わって、スモールヴィル高校の廊下。廊下は生徒でごった返している。クロエとピートが教室から出てくる。クロエは、試験の予習をしてこなかったピートにギリシャ悲劇について説明をしている。二人の後ろから、クラークも続く。

クロエ「だから、ヘラが激怒したのは、ゼウスが浮気をしたからよ。たとえ相手が人間の女性でもね。で、ヘラはヘビの大群を送り込んで、赤ん坊のヘラクレスを殺そうとしたの」

ピートは困惑した表情を浮かべている。

クロエ「ディオニソス的な家族の問題よ」

ピートは理解できない様子である。クラークはピートの肩をたたいて、クロエの隣りに並ぶ。

ピート「まるで昼のメロドラマみたいな話だな」

クロエ「ヘラの行為を正当化するつもりはないけど、でも、ゼウスが結婚の誓いを破ったことは確かだし」

クラーク「でも、子供を殺すことはないだろう」

クラークは自分のロッカーのところで立ち止まり、クロエとピートは歩き続ける。

クロエ(クラークに向かって)「クラーク、コケにされた女の怒りほど恐ろしいものはないのよ」

ピートとクロエは次の授業に向かう。クラークはロッカーの中に教科書を投げ入れ、扉を閉める。扉の陰に隠れるようにしてレイチェルが立っているのを見て、クラークは驚く。

レイチェル「こんにちは、クラーク」

クラークは困った顔をして、弱々しくほほえむ。

クラーク「どこかで会いましたっけ?」

レイチェル「(目をふせて) いいえ。 (顔をあげて、クラークを見ながら) ええ、あるわ」

クラークは眉をあげて、続きをうながす。

レイチェル「クラーク、わたしはあなたの母親よ」

[オープニング・タイトル]