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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.02Phoenix (2)[フェニックス]

第1幕プロローグ
ジョナサンとクラークはルーサー・コープの60階の窓から転落します。夜。
落ちる彼らの周りは壊れた窓ガラスの破片で囲まれています。
ジョナサンはクラークを掴んだまま放さず空中で戦いながら真直ぐにルーサー・コープの敷地に取り付けられた
スポットライトの強烈な円形の光の中へと落ちていきます。
二人はスポットライトのガラスに激突し巨大な地下の発電室に落ち大きな発電機の上に激突すると火花が二人を包み込みました。
ジョナサンはクラークの服を放さずにすぐ闘い始めると発電機の脇に落ちました。
コンクリートの柱にクラークを投げつけると粉々に粉砕された柱の瓦礫に埋もれます。
クラークが瓦礫から出てくると二人とも立ち上がり再びつかみ合います。
ジョナサンはクラークを木材の山に投げつけ彼の上にのしかかりました。

クラーク:年寄りのわりにやるもんだな!
ジョナサン:ジョー・エルと私は同じ見解だ。お前を家に連れて帰るということにな。
クラーク:そんなことはどうでもいいさ。俺を連れて行くことはできないからな。

ジョナサンはクラークのクリプトナイトのリングをつかむと指から外そうとします。
クラークがジョナサンを突き飛ばすと背中から背後のパイプに激突しパイプを破壊しました。
白い蒸気が地面から噴出しクラークは立ち上がるとジョナサンの飛ばされた場所に向かってゆっくりと近づきます。
ジョナサンは無傷で蒸気の中から立ちあがりました。

ジョナサン:クラーク!

クラークはジャケットを脱ぐとその下のシャツは汚れ破れていました。

ジョナサン:お前がそのリングをはめることがどれぐらい危険なのか分かってない!
クラーク:リングのせいじゃない。俺は生まれつきこうなんだよ。あんたはそのことを受け入れることがでないだけだ。

クラークはジョナサンを掴もうと猛スピードで前進します。
ジョナサンはクラークを掴むと振り回し足場のタワーに投げ飛ばしました。
足場が崩れクラークに降り注ぎます。
ゆっくりと彼は瓦礫の中から立ち上がるとシャツの背の部分はほとんど破れてしまっていました。
彼はシャツを掴むとシャツを剥ぎ取り向きを換えると胸にクリプトンのシンボルがあるのをジョナサンは見つけました。
ジョナサンの口は驚きで開きます。

ジョナサン:ジョー・エルはお前に一体何をしたんだ、クラーク?
クラーク:奴は自分が本当の父親が誰なのか忘れないようにしたのさ。

クラークは鉄パイプを拾い上げるとジョナサンに投げつけます。
ジョナサンはパイプを避けるためにしゃがみ込み立ち上がった時にはクラークは視界にいませんでした。
ジョナサンは向きを換え探そうとすると突然クラークは直ぐ脇にいて彼を鉄鋼製の柱に押し付けました。
クラークはジョナサンの首を掴み柱に押し付けると拳を振り上げます、
そしてその拳の指には赤いクリプトナイトのリングが鈍く輝いていました。
クラークはためらいました。

ジョナサン:やれ。さあ、やるんだ。私がお前を人殺しをするような息子に育てたなのら、私を殺せ!

クラークの握りこぶしは空中で震えます。

クラーク:うわぁー!

クラークは振り上げた拳をジョナサンに向かって叩きつけましたがそれはジョナサンではなく柱を打ち抜きクリプトナイトのリングを粉砕しました。
クラークが後ろ向きになるとジョナサンの体が一瞬白の閃光をまといジョナサンは意識を失って床に倒れました。
クラークは膝を落とし胸のシンボルが白熱し顔を上に向け獣のように吼えるとゆっくりと輝きは薄れ消えていきました。
クラークは束の間床に伏せるとジョナサンの方を見ました。

クラーク:[起き上がり]父さん。[ジョナサンの隣りでひざまずき]父さん?父さん。
ジョナサン:[小さな声で]クラーク。

ジョナサンは再び意識を失います。

クラーク:父さん。

第1幕 場面 1
マーサはリビングルームに座り、彼女とジョナサンとクラークの写った写真を見ています。夜。
部屋には箱が沢山積み上げられマーサは時折心配そうに電話の方を振り返ります。
突然ドアが開くとクラークはジョナサンに肩を貸し入っていきました。
マーサはクラークを見ると驚いたように口を開きました。
クラークはジョナサンを落ち着かせます。

マーサ:クラーク…。
クラーク:母さん。
マーサ:[泣きながら]ああ、クラーク。

マーサは息子を抱きしめます。

クラーク:母さん。

マーサはすすり泣きます。

クラーク:ごめん、母さん。赤ちゃんや他の事でも。
マーサ:私たちは決してあなたを責めないわ。

彼女はクラークの顔に手で包み彼らはお互い見つめあいます。
ジョナサンは椅子の中に大声をだして倒れるとマーサとクラークは彼の側に行きます。

マーサ:まあ、なんてこと!
クラーク:父さん。
マーサ:何があったの?
クラーク:ジョー・エルが父さんにした事に父さんの体が耐えられなかったんだ。
マーサ:ジョー・エル?
ジョナサン:大事な事はクラークが今私たちと一緒に家にいるということだ。

マーサはクラークを見るとクラークは不安そうに目をそらします。

第1幕 場面 2
ライオネル・ルーサーはルーサーコープのオフィスの中で警察が張ったテープの向こう側の壊れた窓を見ています。夜。
彼の背後から声が聞こえてきます。

声:アブラハムの子イサクは神に彼の信頼を証明するため薪を積み上げた。

ライオネルの目は驚きで丸くなり向きを変えました。
レックスはフードつきのスエットシャツを頭から被りオフィスに入って来ます。
レックスは銃を持っています。

レックス:あんたの言い訳は何だい?
ライオネル:レックス?

レックスはフードを後ろへおろします。

ライオネル:息子よ。

ライオネルが進み出るとレックスはライオネルの額に銃を向けます。

レックス:俺が地獄の業火に焼かれていないことに失望してるのか?
ライオネル:レックス。銃を下に下げてくれ。
レックス:悪かったな、あんたの計画を台無しにしてしまって。
ライオネル:私がなぜ血の繋がった身内を殺すというのだ?レックス、お前らしくもないじゃないか。
レックス:俺は今まで以上に本当の自分自身を感じている。ヘレンと組んで一体何をした?
ライオネル:彼女はまんまとお前の屋敷に住んでいる。彼女に尋ねてたらどうだ?
レックス:生きているのか?
ライオネル:ああ。そして彼女は生きのびるための涙ぐましい話をしたよ。死んだお前の英雄ぶりをな。

フラッシュバック、事故当夜。
レックス達の乗った飛行機は嵐の夜を飛んでいました。
レックスとヘレンは一緒に機内にいます。

ライオネルの声:彼女はパイロットがお前の金を奪い脱出したと言っていた。

ヘレン:レックス、墜落するわ!
レックス:パラシュートがあるはずだ!

レックスは機内のクロゼットを開けると1つのパックを引き出します。

レックス:1つだけか!さあ早く!
ヘレン:あなたを置いては行けない!

レックスはパックを彼女に押しつけ彼女の腰にバックルで締めました。

レックス:3つ数えたらこれを引くんだ。救出の飛行機が来るだろう。愛してる。[二人はキスします]さあ行くんだ。

ヘレンは飛行機から飛び降ります。

レックスがライオネルに銃を向けている場面に戻り。

ライオネル:なかなかの話とは思わないかね?どんな父親でも誇りに思う自己犠牲だ。
       だが何が起きたのか本当の事は私には分からない、レックス。私はお前に彼女を信頼しないよう警告した、レックス。

レックスは机の上の書類をぶちまけます。

レックス:ヘレンの事を言うな!あんたが俺の名前を墓石に刻もうとしたんだろう!
ライオネル:[手を上げ]私はお前を探させるために捜索隊に世界の半分を指示した。
レックス:間違った半分を選んだようだな。
ライオネル:お前の死から何を得るべきなのか?レックス、お前の未亡人としてヘレンは世界中で最も金持ちの女性の仲間入りをした。
レックス:ヘレンは決して金のことは気にしてなかった。
ライオネル:おお、だが彼女はそうしたんだよ、レックス。
       お前が彼女に血液サンプルの入ったビンを返した後何が起こったのか尋ねてみるといい。

レックスは父親の目を自信なく見つめました。

第1幕 場面 3
クラークとジョナサンは地下の洞穴で話をしています。日中。
クラークは落ちてくる流星のペトログリフに懐中電灯の光をあてるとジョナサンの方に向きます。

クラーク:父さん、僕にはわからないよ。
      ジョー・エルは僕が出て行くことを望んだのにどうして父さんが僕を連れ戻す手伝いをしたのか?

答えないジョナサンにクラークは悟りました.。

クラーク:父さん、あいつと取引をしたんだね?
ジョナサン:[手をクラークの肩の上に置き]クラーク、今最も大切なことは私の息子が人生を返してもらったということだ。
クラーク:僕はまだ取り戻したという確信がないけど。
     [ジョナサンから離れながら]それにカル・エルの時には自分がしたいことは何でもできた。
     すごい重圧が取れていくようだった。

ジョナサンはクラークの後を追い腕をクラークの背中に掛けました。

ジョナサン:いいかい、私は留まることがお前の全ての問題を解決するとは言っていない、
       だが少なくてもこのように私達は家族として一緒にその問題に直面することができるんだ。
クラーク:そうだだらいいけど。

クラークはポケットからルーサー・コープから盗んだ箱を引っ張りだしてジョナサンに手渡します。

ジョナサン:それは何だ?
クラーク:分からない。モーガン・エッジっていう男がそれを盗むために僕を雇ったんだ。
ジョナサン:クラーク、これは返さないと。
クラーク:父さん。ライオネル・ルーサーからそれを盗んだんだ。
ジョナサン:[しばらく箱を見つめ]中を確認したほうがいいな。

ジョナサンが箱を開け血液の入ったビンを取り出すとクラークの目は丸くなります。

クラーク:それは僕の血液じゃ?

ハイロフトに移動したジョナサンとクラーク。
クラークはジョナサンから離れ二階のはるか遠くに立ち、
ジョナサンは鉛の箱から緑のクリプトナイトを取り出して血液の入ったビンに近づけます。
クリプトナイトは輝き血液が沸騰し始めました。

ジョナサン:これはお前の血液だ。

ジョナサンがクリプトナイトを箱に戻すとクラークは階段から降りて来ました。

クラーク:ライオネルが何か知っていると思う?
ジョナサン:ヘレンはオフィスから盗まれる前にラベルは貼らなかったと言っていた。
クラーク:ライオネルはなぜ僕の血液が欲しいんだろう?

ジョナサンはビンを地面に投げつけ粉々にしました。

ジョナサン:今それは重要じゃない。
クラーク:彼が僕の本当の事について何を知っているんじゃないかと思うんだけど。
ジョナサン:クラーク、私達は今のところライオネル・ルーサーの一歩先を行っている。
       今は身近の人たちに焦点を合わせてはどうだ、ん?

ジョナサンはクラークの肩を軽くたたくと屋根裏を出て行きました。

第1幕 場面 4
ライオネルはルーサー・コープのオフィスで明るく黄色いそして赤い層状のドリンクを注ぐとモーガン・エッジにそれを手渡します。日中。

モーガン:俺はスコッチが好きなんだが。これは何だ?
ライオネル:それは我が家に伝わる年代物だ。シューイサイド(自殺)という名のな。
       [彼らはコップを合わせます]お前の好みが変ってなかったと思うが。
モーガン:何も変わっちゃいねえ、ライオネル。あんたがデザイナースーツを着る時やはペントハウスのオフィスでもな。
ライオネル:ああ、同じことが友情についても言えなくて悲しいがな。非常に創造的だ。

ライオネルはテーブルからマニラ紙の封筒を取り上げてソファーに座ります。
モーガンは封筒を開けて1枚の写真を引っ張りだしました。

ライオネル: 私の義理の娘を買収するのは、可能性は低いぞ、モーガン。

写真にはモーガンとヘレンが写っています。
写真にはモーガンがジャケットから封筒を取り出していました。

モーガン:[笑いながら]ああ、まあな…。[モーガンはライオネルの隣りに座ります]
ライオネル:分かった、分かった、当ててみようじゃないか。つまりビンを盗んでおいて相当の金額で私に買い戻せということかな?
モーガン:どうするね、俺を家宅侵入の罪で捕まえさせるか?
ライオネル:なぜ家宅侵入だと決め付けるんだ?永久に施設から出られないようにする事だってできるぞ。
モーガン:ああ、注意しなくちゃな、ライオネル。まあ、まあ、落ちついてくれ。
ライオネル:ああ、だが証拠を持っている。そして思い出してみろ、殺人での時効は決してありえない。
       そのビンを私に返すために24時間猶予をやろう。

モーガンはしてやられたと知りうなずきました。

第1幕 場面 5
ラナはタロンでバーの下のガラスショーケースにマフィンのプレートを陳列しています。日中。
ショーケースのガラス越しにクラークが入って来るのが見えました。
彼女は立ち上がると目をそらしました。

クラーク:ハイ。
ラナ:ハイ?何って言たらいいのか、クラーク。

ラナは彼に振り向こうとはせずお互い気まずい間がありました。

クラーク:すまないと思ってる。メトロポリスでの事は…。本当にめちゃくちゃにして。
ラナ:[彼に振り返り]自分にあれはあなたじゃなかったと言い聞かせてるけど、でもあれから起きた事を思い起こすわ、
   そしてあなたが本当にどういう人なのか知らないと分かったの。
クラーク:説明を必要だって分かってる。
ラナ:ううん、違うの。あなたは私に理解できない事を警告したわ。
    私はただそれを信じることができなかった。
クラーク:僕は君を守るために。
ラナ:何から?[突然もっと大きな声で]それが理解できないのよ、クラーク、私を傷つけているのはあなたよ。
   あなたが消える前に言ったわ…。[ささやきに近い声で]私がいなくて淋しくなかったの?

ラナは目をそらします。

クラーク:いつでも君がいなくて淋しかったさ。[ラナは彼を見ます]でも僕は君にそんな思いをさせたくない。
ラナ:させたくないって?
クラーク:ラナ、僕はずっとこの街に居続けるどうかわからない。

ラナの目は涙でいっぱいになります。

ラナ:じゃあ、決まったら私に知らせて。

彼女は立ち去って後方の開き戸を通り部屋の中に入っていきました。
ドアが彼女の後ろでゆっくりと左右に揺れ動くときクラークは彼女が泣きじゃくるのを見ました。

第1幕 場面 6
ヘレンはレックスの館内の書斎に入ります。夜。
彼女はエンドテーブルの上に鍵とハンドバッグを置くと照明のスイッチを入れました。
レックスが彼女の背後に近づきます。

レックス:懐かしの我が家だ。

ヘレンは向きを変えると息が止まります。

ヘレン:レックス…。あー、良かった。

彼女は彼を抱きしめます。

レックス:大丈夫、大丈夫だ。
ヘレン:でも救出は中止されたのに。どうやって…。
レックス:小さな漁船が狼煙を見つけてくれた。
ヘレン:私は決してあきらめなかったわ。
レックス:万一に備えて、俺を英雄に仕立て上げたことは確かに君にとって都合が良かったな。
ヘレン:ごめんなさい、レックス。皆に嘘をつくべきじゃなかったわ。
レックス:それじゃなぜ?
ヘレン:あそこで本当に起きたことに向き合うことができなかったのよ。

フラッシュバック、飛行機事故の夜に戻り。
パイロットが飛行機から飛び降りるときヘレンは目を覚ましました。

ヘレンの声:私が皆に話したのとまったく同じよ、
        私が目を覚ますとパイロットが飛行機からパラシュートで脱出しているのを見つけたの。
        でもあなたを起こすことができなかったわ。

ヘレンは椅子で眠るレックスを揺すり起こそうとしています。

ヘレン:レックス!レックス!レックス!

ヘレンの声:あなたは注いだシャンペンを飲み干したけど私は一口飲んだだけだった。
       睡眠薬が入っていたのかもしれない。飛行機が落ちていくことに私はパニックになったわ。

ヘレンはクロゼットから残っているパラシュートを取り出しそれを身につけます。

ヘレンの声:あなたはいつもそんな状況の場合勇敢に立ち回ると思う、
        でもそれが本当に起きたとき私はあなたのサバイバル能力に掛けたのよ。

現在に戻って。

レックス:適者生存。俺は今君が本当にルーサーなんだと思うよ。
ヘレン:私を信じないの?
レックス:君が親父のために働いたことは知っている。俺が君に血液を返し君に謝った後、君は返す刀でそれを奴に売った。
ヘレン:あなたのお父さんは血液を渡したら永久にほっておいてくれるって、取引を持ち掛けてきたのよ。
レックス:俺達は別々に仕事をした方がいいんじゃないかな。
ヘレン:もしあなたがこの結婚を望まないなら、あなたと別れるわ。
     [彼女は立ち去ろうとしますが足を止めて]でもこれだけは本当よ、あなたを愛してるわ。

ヘレンはレックスを書斎に残したまま出て行きました。

第1幕 場面 7
ケント農場の外に掛かる看板は担保物件差押えオークションという看板に差し替えられていました。日中。
クラークはアルバイトでスモールビル運送のトラックに乗っていると黒塗りの高級車が畜舎の隣りに停車しました。
クラークはトラックから降りると後部座席にモーガンが座っているのに気づきました。

モーガン:苦労したぜ、お前さんの手がかりはここが最後だったからな。
クラーク:どうやって見つけたんだ?
モーガン:俺のブツはどこだ?
クラーク:持ってない。
モーガン:警察はお前さんの居所を知りたがっていたな。

モーガンは携帯電話を引っ張り出すとダイアルし始めました。

クラーク:[ドアに手をたたきつけ]話を聞いてなかったのか!

彼は自動車のドアを開けるとモーガンを引きずり出し自動車に押しつけました。

クラーク:持っていないんだ!ルーサーは誰がそれをとったか知らない、そのことを忘れてくれ!

ドライバーはクラークの頭に銃を向けます。

ドライバ:今すぐ手をどけろ!今すぐだ!

モーガンはゆっくりと銃を押し返します。

クラーク:悪いけどメトロポリスに帰ってくれないか。二度とスモールビルに来ないでくれ。二度と。

モーガンとドライバーは自動車に戻ると去って行きました。

フェードアウト。

第2幕 場面 1
スモールビル高校の外では学生達が下校しています。日中。
トーチでクロエが作業をしているとクラークが入ってきました。

クロエ:[冷たく]誰かと思ったら不良少年のクラークじゃない?
クラーク:お礼を言いに来たんだ。
クロエ:ふーん、今日一日あたしがあなたと会っても無視してたから。
クラーク:クロエ、僕は君に味方になってくれなんて言わなかった。
      でも僕が夏の間中どこにいたか知っていたのに誰にも話さなかった。
クロエ:うん、まあ、それは友達だからだよ、クラーク。もうラナと話た?

クラークは机に座ります。

クラーク:話したよ。
クロエ:[皮肉に笑い]それで?二年もの間ラナを思ってきて、ベストを尽くせたの?ねえ。
クラーク:結果的にはかえって良かったと思う。
クロエ:[敏感に]あなたが居なくてって事。
クラーク:まだ分からないけど。
クロエ:逃げ続ける事なんてできないよ、クラーク。誰もが後悔するような事をしてる。
      時々あなたは心の中の悪魔に立ち向かわなきゃならないけどさ。

クラークはあいまいにうなずきました。

第2幕 場面 2
クラークは家から椅子を運び車道に駐車したトラックに載せています。日中。
レックスが彼の背後に近づいてきました。

レックス:農場の競売には早やすぎたかな?

クラークが振り向きます。

クラーク:[静かに]レックス?
レックス:3カ月もの間無人島にいたが今のお前の顔を見る価値はあったな。

レックスとクラークはお互いに歩み寄りクラークは満面の笑みをたたえ抱きしめました。
レックスは目を閉じます。

クラーク:ど、どうして!ああ、レックス、皆君が死んだと思っていた。
レックス:まあ、どうやら運命は俺の味方をしたらしい。
      農場の事は聞いた。何か俺にできる事は?
クラーク:いや、レックス、僕の父さんを知ってるだろ。
      [レックスは微笑します]君が無事で良かった。何が起きたんだい?
レックス:何があったのか俺にも分からない。
      皮肉だよ。最も遠い無人島で俺は敵を見つける事ができた。
      マラリアが引き起こした幻覚だと思うが俺が見つけた敵は本物だった。
      俺は常に無視しようとした自分自身、あるいは少なくともその一部分を見ることができて良かった。
クラーク:レックス、僕らは遅かれ早かれ自分の影の面を見たんじゃないかな。
レックス:問題はもしそれにのめり込んでしまえばどちらが本当の自分か見失うことだ。

第2幕 場面 3
タロンの外。日中。
看板には「ソネットサタデー、サービス中」と書いてあります。
中ではラナがテーブルの上の皿を片付けトレーに乗せているところにクロエが入ってきました。

クロエ:[明るく]やあ!

ラナは次のテーブルに移るとクロエが後に続きます。

クロエ:あたしを避け続けることは無理よ、ラナ。
ラナ:別に避けてなんかないわ。昨日夜遅くまでかかったから朝一で片付けなきゃならなかったのよ。
クロエ:朝の5時半に?
ラナ:本当の事を言って欲しいの?分かった。あなたはクラークの事で私に嘘をついたわ。
クロエ:それと何か共通点があるの。
ラナ:[怒りながら]クラークと私の事をあなたに話さなかった事で何度も謝ったじゃない。

ラナはバーに戻るとトレーを下に置きます。

クロエ:そうね、その通りよ。それならあたしにも謝らせて、そうすればお互い様って事になるでしょ。
ラナ:クロエ、これは私の時より重大なのよ。皆がどんなに心配していたか分かってるでしょ?
クロエ:でもさ、あたしが彼にもっと圧力かけたら、もっと離れていっちゃうから。
     つまりさあ、彼に会いに行ったんでしょ、ラナ。
     彼はあたし達が知ってる魅力的なフランネル王じゃなかった。まるで…。
ラナ:別人だったわ。
クロエ:うん。率直に言うとね、ラナ。
    クラークは「ローリング・ストーンズ」より多くの問題を抱えてる。
ラナ:クラークはいつもあなたと楽しそうに話をしていたものね。
クロエ:それは彼があたしに恋愛感情がないからだよ。

第2幕 場面 4
レックスは書斎に入ります。日中。
そこにはヘレンがいて彼女のバッグがピアノの上に置かれています。

レックス:長くはなかったな。
ヘレン:しばらくの間出て行くわ、考え直して欲しいの。

ヘレンはバッグに手を伸ばします。
レックスは彼女を止めて彼女の手を握ります。

レックス:なあ。俺はこれまでの数カ月十分に考え直す時間があった。
     誰かとその時間を共に過ごした方がいい。
     [間があり]俺はもう一度新婚旅行に行こうと思う。
ヘレン:あなたはそれでいいの、レックス。分かってくれたのね。
レックス:ああ、そうだ。俺達は似たもの同士だ、お互いに理解し合えるだろう。
     お互い様だろう。ひねくれた者同士お似合いだと思うが。
ヘレン:[笑顔で]あなたと一緒に居たいわ、レックス。
     でもあなたのお父さんは決して私達をほっておいてくれないわ。
レックス:心配しなくてもいい。奴はもう俺たちの生活に干渉しない気がする。

ヘレンは何か言いたそうに彼を見ました。

第2幕 場面 5
クラークが納屋に入ります。日中。

クラーク:ねえ、母さん!父さん!
モーガン:やあ、カル。

クラークは立ち停まり激怒しました。

クラーク:ここに戻って来ないように言ったはずだろ?
モーガン:君のご両親に会いに来たんだ。素敵な方だな。

モーガンが脇によけるとマーサが木の梁に縛り付けられていました。
モーガンの仲間の男の1人が銃を彼女の後頭部に突きつけていました。

クラーク:母さん…。

クラークが前に踏み出しました。

モーガン:もし俺ならそんな事はしないな。
ジョナサン:[クラークの後ろから]クラーク!

クラークが振り返るとモーガンの仲間の男のもう1人がイスに縛り付けられたジョナサンの首に銃を突きつけていました。

ジョナサン:何もするな。大丈夫だから。
モーガン:[クラークに]お前さんが速く動けることは知っている。だが両方同時に動く事はできまい。
クラーク:あんたの探し物は持ってない。
モーガン:俺にライオネルルーサーにそれを説明ろっていうのか?

マーサの隣りの男は銃の撃鉄を起こします。

ジョナサン:ダメだ、クラーク…。

ジョナサンの隣りの男はジョナサンの顔を銃で殴りました。

クラーク:待ってくれ。やめろ!

クラークはしばらくの間モーガンを見つめました。
それから彼は仕事台から空のビンを取り出して工具箱の上に置きました。
引き出しの1つを開けると鉛の箱を取り出しそれを下に置きます。
モーガンは何をしようとしているのか見るために近づきました。
クラークは左袖をたくし上げると一瞬戸惑いを見せました。
彼は箱を開けると中からそれから震えながら真赤なクリプトナイトつかみました。
彼は手首にクリプトナイトを押し付け痛みに呻きながら皮膚をこすると血がにじんできました。
彼はビンの上に手首を持っていくと血をビンに滴らせ床に崩れ落ちました。

マーサ:クラーク!

モーガンはビンを掴み上げます。

モーガン:これは一体何だ?
クラーク:[弱く]それがあんたの探しているものだ。
モーガン:それならばいいが。

モーガンはビンにふたをすると出て行きました。
クラークは疲れ切って頭を床に落としました。

フェードアウト。

第3幕 場面 1
メトロポリスで曇った日に黒塗りの自動車が埠頭を走っています。日中。
ライオネルが自動車から出てくるとモーガンは手に茶色の紙袋を持って彼を待っていました。
ライオネルに付き添ってきた男たち2人が彼の後から出てきました。

ライオネル:[息を吸い込み]ウーム!驚くべきかな、クレオソートと磯の匂いが、30年前に戻らせるな?
モーガン:ここには埋もれた記憶が多い。
ライオネル:ああ、その通りだな。私に無駄足を運ばせたと言わせないで欲しいものだ。
モーガン:そんなことはない。

モーガンがライオネルに紙袋を渡すとライオネルはその中から血液の入ったビンを取り出しました。

ライオネル:興味深い贈り物だな。
モーガン:問題なのはあの入れ物じゃないんだが。俺を信用しないなら。
ライオネル:信用?信用なんて一度も我々の友情にあったことはなかったはずだが。

ライオネルはビンを持って自動車に戻ると後部座席の黒窓が開き女性が座っていました、
そして彼女の膝の上には精密機器が詰まったブリーフケースが置かれていました。
ライオネルは女性にビンを手渡すと彼女はスポイトで血液のサンプルをとりブリーフケース内の機械にかけました。
しばらくするとビープ音がしました。

女性:同一のものです。
ライオネル:結構。
モーガン:よくは分からないがその血液は液体の金なのか。本当の価値が何なのか想像できねえ。
ライオネル:不幸にも出所は私にも謎だ。私の調べでもそうだったな、あー、非協力的だったよ。
モーガン:秘密にされたのか。

ライオネルはニヤッと笑って自動車に乗り込むとドアを閉じました。
モーガンが窓をノックすると窓が下がりました。

モーガン:もしこれが俺の盗んだサンプルじゃないと言ったらどうする?
      [ライオネルはモーガンを見ます]俺は大元からこれを手に入れた。

ライオネルの顔はわずかに微笑を持って輝きました。

第3幕 場面 2
クラークはまだ納屋の床の上に横たわっています。日中。
モーガンの仲間達はクラークのシャツを引き裂くとクリプトナイトをテープで胸に貼り付けました。
ジョナサンとマーサは顔を見合わせると突然ジョナサンは立ち上がって近くのテーブルにイスをぶつけて壊しました。
ジョナサンはクラークに手を伸ばしますがモーガンの仲間の1人がジョナサンの顔を蹴り上げ床に倒れたジョナサンに向かって銃を向けます。

マーサ:ジョナサン!

銃を持った男の携帯電話は鳴ると男は電話にでました。

男:はい?[間があり]了解しました。
  [彼は電話を切ると相棒を呼びます]エッジからだ。ガキを連れて来いとさ。

彼らはほとんど意識がないクラークの腕をつかんで納屋の外のトラックまで引きずっていきます。
彼らはクラークの背中に押して彼の手にテープを巻きつけるとスライドドアを閉めました。
そこへラナが自動車でやってきました。
彼女は何が起こっているか見ていませんでした。
彼女は自動車を降りると銃を持った男に近づきます。

ラナ:ケントさんがどこにいるか知りませんか?

銃を持った男はラナの背中に銃を押し付け納屋に入ってきました。

男:さっさと行け!
マーサ:ラナ。[男に]お願い、彼女は関係ないわ。

突然ラナは男の足を踏んづけると肘鉄を男の鼻柱に入れました。
彼女は走ってマーサを通り過ぎると男は彼女の後を追いかけます。
彼が通過するときマーサは足を突き出し男を転ばせました。
男は向きを変えてマーサに銃を向け撃とうとしたときラナがシャベルで男の背中を殴りつけ男は床に倒れました。
落とした銃に向かってラナが走ります。
彼女と男は同時に銃を掴みました。
彼女が男を蹴ると男は背中から壁に激突して仰向けに倒れました。
男の無言で口を開き干し草用のフォークの先端が男の胸から突き出ているのが見え男は死にました。

マーサ:ラナ…。

第3幕 場面 3
レックスのプライベートジェット機が空に舞い上がります。日中。
中ではレックスとヘレンがシャンペンの入ったグラスをカチンと鳴らしていました。

レックス:2番目のチャンスに。

彼はグラスを下に置きます。

ヘレン:飲んでないじゃない?
レックス:まあな、シャンペンに対する興味を失なったよ。昨日の夜はよく眠れたかい?
ヘレン:あの日から初めてゆっくり眠れたわ。
レックス:それはよかった。俺たちの新婚旅行なんだ、君が居眠りするのは残念だからな。
     目を覚ましたら俺がいなくなっているのを見つけるかもしれないからな。[彼は笑います]。
ヘレン:レックス、それは面白くない冗談だわ。
レックス:俺は君がそこにいなければならなかったと思う。わかるか?何か飲み物でも飲むか。[彼は立ち上がります]
ヘレン:どうしたの?
レックス:[シェリー酒を注ぎながら]俺はホッとしたんだ、血を盗んだことを許し非合理的な男でないこと知ってもらえてね。
ヘレン:あなたを愛するからこそよ。
    [レックスは返答しません]あなたはまだ私が殺そうとしたと思ってるの?どうして目の前の事実を見ようとしないの?
    あれはあなたのお父さんの飛行機だったわ。いつもあなたに脅かされていた。
レックス:その通りだ。だが、いいかい、俺は今までずっと事故について考えるのをやめたことはなかった、
     そして目の前にある真実は何なのか。もし親父が俺を殺したいんなら失敗することはなかっただろう。
ヘレン:妄想の後遺症だわ。それはマラリアに起こる普通の後遺症よ。
レックス:俺は3カ月以上もずっと妄想をいだいていたことを恐れている。だが俺は今もかなりクリアーに思い出すことができる。

フラッシュバック結婚式の後に飛行機に乗り込んでいるレックスとヘレン。

レックスの声:君は親父のパイロットを殺してこっそりと君の仲間とすり替えた。
        すり替ったパイロットは小さな島に君を降ろすために着陸したんだろう。

椅子で眠っているレックスの脇でヘレンはパイロットに札束を手渡します。
彼女は1度レックスに振り返えると飛行機から降りていきました。

レックスの声:君はパイロットに金を渡し計画通り再び俺を乗せて飛行機を飛ばした。

嵐の夜を飛んでいる飛行機。

レックスの声:パイロットは君の痕跡を残さないようにかなり遠くまで飛んだんだろう、そしてパイロットは飛び降りた。

パイロットはパラシュートを着用して飛行機から飛び降ります。

レックスの声:パイロットがパラシュートを開こうとしたときかなり見苦しく驚いたと思う。

フェードアウト。

レックス:正直に言って、俺が勇敢な英雄である君のバージョンの方が好みだが、しかしそれは君に十分な信用がないからな?
ヘレン:レックス、怖い話ね。
レックス:落ちたエリアは最初に積んだ燃料の量からしてそこまで飛ぶのは不可能だ。
     付近の島は全てチェックした。君はその夜7時59分にセント・クロイ島の上に着陸した。
ヘレン:あなたには分かるかしら、この最もこじれた原因が?
     その日あなたの頭に弾を撃ち込まなかった理由は私が本当にあなたを好きになったからよ。

彼女は蔭でハンドバッグの中に手を伸ばして銃を取り出しました。

ヘレン:でも心配しないで。私はミスから学ぶの。

涙がヘレンの頬をつたわりレックスに銃を向けます。

レックス:遠慮するな。俺は死から逃れることに非常に熟練しているからな。

ヘレンが後に下がると突然レックスは銃を掴みました。

ヘレン:きゃあ!

二人は銃を奪い合うために苦闘しますがレックスはヘレンの手から銃を奪うことができません。
レックスはヘレンに圧し掛かり銃身がコックピットに向けられた状態で握られたグリップを引き剥がそうとします。
ヘレンは思わず引き金を引いてしまい銃を離れた弾丸はコックピットに向かって飛んでいきました。
コックピットではパイロットの後ろのドアを突き破りパイロットの背中に当たると衝撃を受けました。
パイロットは胸を見下ろすとシャツには弾丸が貫通した痕があり血が噴出していました。
飛行機がガタガタと振動を始めレックスとヘレンは銃を落として床に倒れます。
レックスは銃を拾い上げるとコックピットへと走りパイロットが死んでいるのを見つけました。
レックスはパイロットの隣の席に座ってステアリングホイールを引き飛行機の急降下を元に戻そうとします。
機内で突然爆発音が響きレックスが振り返ると飛行機のドアが開きヘレンの姿はありませんでした。

フェードアウト。

第4幕 場面 1
スモールビル運送のトラックはメトロポリスの埠頭に向かってスピードを出します。日中。
後ろにはクラークが家からずっと箱に囲まれたまま胸にテープで貼り付けられたクリプトナイトで拘束されていました。
彼の上にある開いている箱の1つに彼と両親の写真が見えます。
彼は箱を蹴ると写真立て床に落ちガラスが割れました。
ガラスの破片をとると手首のテープを切り始めます。
モーガンは埠頭で待っているとライオネルが自動車の中からでてきました。
彼らは興奮して近づいてくるトラックを見ます。
トラックの中ではクラークが手を縛り上げているテープを外すことに成功し胸からクリプトナイトをはがすとトラックの荷台の端へと投げました。

ライオネル:[モーガンに、ほとんどふざけた感じで]私はミステリーは嫌いなんだが。そのことを忘れてしまったのかな?
モーガン:好きになるさ。

トラックが停止するとクラークはあたりを見回しパニックになりました。
ライオネルはモーガンの仲間と一緒にトラックへ近づきます。

ライオネル:それだけの価値があればいいがな、モーガン。

クラークはライオネルが近づいて来る事を知って探りをいれます。
彼はアセトンの入った燃えやすいコンテナを見つけました。
クラークの目は赤く輝き近くのコンテナにヒートビジョンを撃ち金属が融けだしコンテナを積んだトラックが爆発するとライオネルとモーガンの仲間は爆風に吹き飛ばされました。
すぐにライオネルのボディーガードは地面からライオネルを助け起こすと急いで彼を自動車へと移動させました。

ライオネル:[モーガンに]お前は図ったな。図ったんだろう!
モーガン:ライオネル!俺にも何が起きたか分からん!
ライオネル:計画的だ!そのトラックには誰もいなかった!誰も乗ってなっかたぞ!

モーガンの仲間がライオネルを撃ち始めるとライオネルのもう一人のボディーガードは銃を引き抜きました。
ライオネルを保護していたボディーガードは銃撃からライオネルを守るため木箱の後ろに隠れさせ、
もう一人のボディーガードはモーガンの仲間に向かって発砲するとモーガンの仲間の胸を弾丸は貫き倒しました。
モーガンは銃を引き抜くと自動車の陰に隠れライオネルのボディーガードとの銃撃戦になります。
ついにモーガンはボディーガードの撃った弾丸を受けバランスを崩し埠頭の下の水中へと落ちました。
ライオネルを守るボディーガードは木箱の後ろからライオネルを出します。
ボディーガードはライオネルを自動車へと導きながら言いました。

ボディーガード#1:ここから出ましょう!

ライオネルはためらいながら何が起きたか見まわします。

ライオネル:モーガンはどこだ?
ボディーガード#1:行きましょう、ルーサーさん!
ライオネル:モーガンはどこにいる?
ボディーガード#1:ここからあなたを脱出させなければなりません!

彼らは自動車に乗り込みます。

ライオネル:奴はどこにいるんだ?!。モーガンはどこなんだ?
ボディーガード#1:[ドライバに]出せ!行くんだ!早く!

エンジンはスタートし自動車は走り去ります。
その直後埠頭に上がってきたクラークはびしょ濡れでシャツはボロボロに引き裂かれていました。

第4幕 場面 2
レックスが書斎に入ってきました。日中。
オペラ音楽がかかっている中レックスは結婚指輪を外します。
ライオネルが背後のピアノに座っていました。

ライオネル:見事だ、レックス。見事だ。

レックスはポケットにリングを入れます。
ライオネルは立ち上がるとレックスのところまで歩いてきました。

ライオネル:それはルーサー家にふさわしい目的のためには手段を選ばない策略だったな。
レックス:お褒めの言葉は感謝するがあんたが何について話をしているのか分からないな。
ライオネル:ああ、冗談はよせ、レックス。
       私が飛行機に監視カメラを仕掛けているのはお前が一番よく知っているはずだ?

ライオネルは小さいビデオカセットを掲げるとニヤリと笑います。
レックスは返事もせずに飲み物を注ぎます。

ライオネル:哀れだなヘレンは。彼女のための捜索隊を送るべきかな?
レックス:俺が片をつけたんだ。
      だがもしヘレンが生きていても彼女が見つけて欲しいと願うまで誰も彼女を見つける事はできないだろうな。
ライオネル:いいか、レックス、私、あー、お前とヘレンが恋に落ちるなどとは全く想像もしていなかった。
       そうなった事は悲しい事だが、あまり自分自身を責めてはいかんぞ。
レックス:気味が悪いなあ?
ライオネル:そうかね。サバイバルは生きていく上で重要だ。
レックス:よく知ってるさ。[ライオネルに向き直り]もし俺が他の誰かの息子だったなら、その島で死んでいたかもな。
      あんたが俺にした全てのテスト…おかげで俺を生き延びる事ができた。
      もし俺がプライドという感情を押さえ込めばあんたから学ぶべき点はもっと沢山あることを知っている。

レックスが握手を求め手を差し出すとライオネルは驚いて見つめます。

ライオネル:私は、うむ、わ、私はお前が軽率な決定をするのはどうかと思うが、レックス。
       お前は信じられないほどの心の痛手となる苦難を経験したばかりだ。
レックス:違うな。俺は直感を信じることを学んだ。

ライオネルは一瞬の間じっとレックスの目を見つめると息子の手を取り引き寄せもう片方の手をその上に重ねました。

ライオネル:[静かに、誇りを持って]戻って来てくれてうれしい。息子よ。

レックスはゆっくりライオネルの腕の中に抱かれようと近づきました。
そして彼はあごを父親の肩に預け目を閉じました。
ライオネルの顔は混乱と躊躇の表情で固まります。

第4幕 場面 3
ジョナサンとマーサはケント家のリビングルームで箱をテープで留めています。日中。
クラークが箱を抱えて階段を降りて来ます。

ジョナサン:家を引っ越すとは思わなかったな。
クラーク:家庭を作るのは場所じゃないよ、父さん。
マーサ:それはあなたが私達と一緒に来てくれるってこと?
クラーク:僕の時間はメトロポリスで終わったようなものさ。
     [彼は箱を下に置き両親を見ます]僕は警察に電話をしてお金を盗んだのが僕だって言ったよ。
     現実問題家族なら父さん達は問題から逃げきれることはできないと思う。

ジョナサンは進み出てクラークの肩に手を置きます。

ジョナサン:なあ。クラーク、自分を責めちゃいけない。

その時レックスが網戸をノックしました。

マーサ:あら、レックス。

レックスは中に入ります。

クラーク:やあ、レックス、ガレージセールに遅れたな、でもマクラメのプラントホルダなら沢山残っているよ。
レックス:[笑顔で]ありがとう、クラーク、でも、うーん、俺は屋敷の周りの整理をしている最中でね。

レックスはジョナサン歩み寄って彼に1枚の書類を手渡します。
マーサとジョナサンは共にそれを見ます。

マーサ:あなたが私達の農場を買ったの?
レックス:証書にはあなたの名前を入れておきました。
ジョナサン:私達はこれを受けとることはできない。
レックス:受けとって貰わなくても結構ですが、感謝の気持ちです。
レックス:飛行機が落ちた後、俺は折れた翼に近づいたら。
     [レックスは島で持っていたアンティークなコンパスをかざします]
     このコンパス、あなたの結婚祝いは俺を避難港に導いてくれました。
     俺のできる最低限の事がこの農場を手放さないようにする手助けぐらいなんです。

ジョナサンはマーサを見ると直ぐにレックスに視線を戻しました。

ジョナサン:私らは君に返済をする方法を見つけるよ。
レックス:そのことは心配しないでください、ケントさん。
     それよりも厚かましいとは思いますが、俺を皆さんの家族の一人として扱っていただければと。

クラークは希望を抱いて両親を見ます。
マーサもジョナサンを見ます、そしてジョナサンは降参して微笑しました。
クラークがレックスにほほ笑みます。

第4幕 場面 4
はしごに登るクラークはケント農場の看板を元の位置に掛けなおしました。日中。
ラナが馬に乗って来ました。
クラークがはしごから降りて来ると彼女は馬から降ります。

クラーク:やあ、ラナ。
ラナ:あなたのご両親が2回目のチャンスを得られてうれしいわ。
クラーク:うん、僕が、うーん、今年はアルバイトでお金を稼がないとならないけど。
ラナ:[落ち着き望みを持ったように]それじゃあ、あなたはここに居るの?
クラーク:メトロポリスで起きた事は全て忘れようと思う。
ラナ:多分それはいい考えかも、私たちも忘れなくちゃね。
クラーク:僕もそのことを考えていた。

ラナはクラークに近づきます。

ラナ:クラーク、あなたが私を守ろうとしているのは分かったわ、でももう私を守らなくてもいいのよ。
   [彼女は手を伸ばし彼の手を掴みます]それが何であっても、自分でできる。
   [消え入りそうな声で]本当のあなたのことを知りたいのよ。

クラークは手を離します。

クラーク:ねえ、あのー、ラナ…。君はメトロポリスでの僕を見たんだよね、あー、愛想が尽きたんじゃない。
ラナ:ううん、混乱しただけよ。そのことで私を責めるの?
クラーク:責めてなんかないよ。でもまたあんな姿を君に見られたくないんだ。
ラナ:あれはあなたじゃないわ。
クラーク:うん、僕じゃなかった。
     ラナ、僕はその部分を押さえ込むことに決めた、これからもずっとね。
     僕を信じて欲しい、僕のことを知りたいと思うだろうけど僕は知って欲しくないんだ。
ラナ:クラーク、それは私が決めることよ。
クラーク:ラナ、ごめん。本当に知られたくないんだ。
     去年僕は君にふさわしい人になることが難しくて悩んだんだ。
     決してうまくいかない。

ラナは心痛な面持ちで目をそらしました。
彼女は涙を浮かべたまま瞬きして頷きました、それからクラークから離れると馬に跨りました。
彼女はクラークを見下ろします。

ラナ:クラーク、試してもみないのね。

ラナは馬の向きを変えるとゆっくりと走り去っていきました。
ラナの言ったことを考えるかのようにクラークは目を伏せました。
ラナが農道を沈んでいく太陽に向かい離れていき、クラークは長い間その場所で佇んでいました。

つづく