言葉のごった煮>トップへ
SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン
シーズン3.06Relic[遺産]
第1幕 プロローグ
刑務所の外。日中。
ラナが刑務所内の病院で年をとった男、デクスター・マッカラムと話をしています。
彼は明らかに弱っていて白髪頭に鼻の下には酸素用の管を着けていました。
ラナ:ルイーズ・マッカラムさん。誰も本当の事を言ってくれないわ、ただ大伯母は若くして亡くなったって言うだけで。
デクスター:彼らは決して彼女に夫がいたとは言わなかっただろうな。
ラナ:いいえ。でもあなたが彼らに何か言う事はできないと思います。あなたは彼女の殺人について有罪と宜告されました。
デクスター:ああ。
ラナ:どうして私に会いたいって思ってたのにずっと手紙をくれなかったんですか?
デクスター:君のネル叔母さんがワシにそうしないように頼んだからだ。
ラナ: マッカムさん、失礼な言い方かもしれませんが
たとえ私があなたの話を信じたとしてもあなたが何を望んでいるのか分かりません。
デクスターの目は涙であふれ出します、そして彼の声は悲しみで震えます。
デクスター:ワシはただルイーズ家の誰かが本当にワシが妻を愛したことを知っていて欲しいんだよ、
それにワシは彼女を殺してはいない。
過去の回想、誰かが銃が数回発砲しているがその顔は見えません。若いデクスターは近くの家の玄関へと走ります。
デクスター:ルイーズ!
デクスターは男が小屋から逃げ出すのを見て小屋に走ります。
デクスター:ルイーズ!
回想のシーンに年老いたデクスターの声が重なります。
老デクスター:それは42年前だった、まだその時の銃声が耳から離れん。
若いデクスターは小屋に入ると地面から銃を拾い上げます。
彼は目の前の胸から血を流して横たわるルイーズの遺体を見て恐怖で立ち尽くします。
デクスター:ルイーズ…(彼は銃を持ったまま彼女の側に走ります。) ルイーズ!そんな!
彼は自分の腕の中に彼女を抱き上げ泣いていると、若いビリー・テイト保安官が小屋に入ってきました。
老デクスター:テイト保安官がやってきた。
テイト:デックス!ルイーズ!これは?
テイトはデクスターを見てショックで立ち止まります。ルイーズの顔はラナとそっくりでした。
老デクスター:テイトは銃とワシの腕の中で死んでいるルイーズを見つけた。
テイト:デックス… 何をしたんだ?
デクスターは信じられないと頭を振ってルイーズをギュッと抱きしめました。
老デクスター:君に誓おう。これがその夜起きたことだ。
刑務所の病院でラナと話すデクスターに戻り。
デクスター:ワシは新聞で君の写真を見た、そして君がルイーズにそっくりなのを知って会わずにはいられなかった。
ラナは膝の上に置いた二つ折りにされた古く黄色く変色した新聞をちらっと見ます。
見出しは「地方の美女が殺された、コミュニティは農場の最愛の妻の殺人に衝撃を与える」と伝えます。
ラナにそっくりなルイーズの写真が掲載されていました。
デクスター:ワシはもし君が彼女とそっくりなら、君なら理解してくれると思ったんだ。
ラナ:(静かに頭を振って)もしあなたが彼女を殺さなかったと言うなら、誰が犯人なの?
デクスター:ワシが小屋から逃げていくのを見た男は流れ者だ。そいつがワシのルイーズを殺した。
ラナは記事の一番下を見るために新聞をひっくり返します。
そこには警察が描いた流れ者の似顔絵がありました。
それはまさにクラーク・ケントにそっくりでした。
第1幕 場面。
ケント農場の外のショット。 日中。
屋根裏でクラークはラナと話をしながら流れ者の似顔絵を見ています。 彼は彼女に背を向けています。
クラーク:この男はどうなったの、流れ者は?
ラナ:捕まってないわ。皆はデクスターが作り話をしたんじゃないかって、自分に容疑が向けられないように。
クラーク:(ラナに振り返り)で君は彼を信じてるんだ。
ラナ:そうね、私に嘘をついても仕方ないでしょ?それに40年も前の終わった事だし。
クラーク:(懐疑的に) ラナ、有罪を宜告された殺人犯の半分は無罪を主張してるんだ。
ラナ:(クラークに近づき)クラーク、その似顔絵はあなたにそっくりよ。
デクスターが未来を予知できるはずはないから…そんなはずがないなら流れ者は本当にいた可能性があるわ。
(間があり)
もしかしたらあなたのおじいさんかもしれない。あなたのお父さんかも。
クラーク:(ラナから離れ冷静さを失います) それはありえない。
ラナ:どうして?あなたはどこかから来たはずよ。空から落ちて来たわけじゃないでしょ。
クラークがたじろぎます。
彼はもう一度新聞に目を向けると流れ者の首にメダルを見つけました。
それはクリプトンのシンボルでした。
第1幕 場面 2。
クラークとジョナサンは洞窟の地下に懐中電灯で壁を照らしながら入っていきました。 日中。
クラーク:僕はラナが言っている事が正しいと思う。 それはジョー・エルだよ。
ジョナサン:1961年にか?
クラーク:この洞窟の壁画はクリプトンから来た人間が以前にここにいた事を伝えてる。どうして僕の父親じゃないといえるのさ?
ジョナサン:クラーク、お前はあまりにもここと結びつけて考え過ぎていないか?
クラーク:身につけていたメダルを見たんだ。クリプトンのシンボルだった。
ジョナサン:分かった。それがジョー・エルで私が彼の事を全て知っていると仮定しても、
彼が誰かを殺すことができたとは思えんし飛躍しすぎている。
クラーク:それが問題なんだ、僕らは彼についてあまりよく知らないだろ。
今までずっとジョー・エルは何か遠くにいる強い持った存在だった、
でももし彼が同じコースをたどってこの街にいたとしたら、多分僕らとそれほど違ってないと思う。
僕らが考えるよりずっと人間的だと思うんだ。
ジョナサン:クラーク…
ジョナサンはクラークの後ろの壁の何かに気付きます。
ジョナサン:クラーク。
クラークが向きを変えると壁の上に流れ者のメダルと同じ大きなシンボルが描かれていました。
ジョナサン:それがお前の探しているものじゃないのか?
ジョナサンは岩肌に描かれた絵に近づき軽くそれに触れます。
クラーク:僕はここにあったのを見てたんだ。
クラークが岩絵に触れるとシンボルが突然回転しだしました。
すると壁の絵は穴となって開きました。
クラークとジョナサンはお互いを見交わすとクラークは穴の中に手を差し込みました。
明るい黄金の光が穴から輝きます、そしてクラークには理解できないほどの速さで通り過ぎて飛ぶ一連のイメージで溢れかえりました。
彼は女性の唇、大文字のTが付いたリング、流れ者とルイーズがキスをしている、
流れ者の首にクリプトンのメダル、小屋の外で争う男二人、タロンのマークが見える名前はナタリー・ウッド、発砲する銃。
クラークが突然現実へと戻りいくぶん呆然としながら壁の穴から手を引きました。
ジョナサン:クラーク。 クラーク!
クラークが手を開くと絵の中から銀のメダルをつかんでいました。
ジョナサン:それは何だ?
クラークは返答せずにジョナサンから壁へと目を向けました。
第1幕 場面 3。
クラークとピートはタロンから帰り道、反対側に歩道を歩いていました。 日中。
クラーク:僕が見たビジョンは過去の事に違いない。
ピート:クラーク、お前本当に深夜番組を見るの止めた方がいいぜ。
クラーク:からかっているわけじゃないさ、ピート。僕はフラッシュバックを見たんだ、でも物凄く早くて、その意味が理解できなかった。
3人の若者がピートとクラークの間を通り抜けて行きました。
若者:あっ、すまない。
クラークは歩道から外れて腕をメールボックスに置きました。
白い閃光とともに突然クラークは1961年に戻ってしまいました。
彼の服とテカテカとしたヘアスタイルは当時のスタイルを反映していました、
そして古い音楽がバックグラウンドに流れ街路には古い車があります。
クラークそっくりの流れ者が辺りを見回しながらゆっくりと歩道に沿って歩いていました。
彼は道路の反対側に「スプレンドール・イン・ザ・グラス、ナタリー・ウッド」と描かれた看板を見ました。
ラナそっくりのルイーズは雑誌を読みながらタロンから出てきました。
彼女のヘアスタイルも服も同じく当時のものでした。
男がルイーズに駆け寄り銃を突きつけるとハンドバッグをよこせというしぐさをしました。
男:それをよこせ!
ルイーズ:あっち行ってよ!
男はラナを地面に押し倒します。
男:金をよこせ!持っていることは分かってるんだ!さあよこせ!
流れ者は二人がハンドバックの取り合いをしているのを見ていました。
流れ者は超スピードで道路の反対側に行くと強盗を捕まえて街灯の柱へと投げつけました。
ちょうどその時警察がパトカーでやってきました。
流れ者はルイーズに手を貸し助け起こしました。
ビリー・テイト保安官がパトカーから出てくると強盗犯を逮捕しました。
ルイーズ:(流れ者に敬意を払い)ヒーローだわ。
流れ者:ヒーローなんかじゃないよ。
ラナ:ありがとうございました。
彼はルイーズが落とした雑誌を拾い上げて彼女に手渡します。
強盗犯:(テイトに) 見たか? 奴は俺を殺そうとしたんだ。
テイト:(車へ強盗犯を押し込みながら)その事は裁判官に言え。
ルイーズ:(流れ者に)ありがとうございました。私はルイーズよ。
流れ者:僕はジョーって呼んでくれればいい。
ルイーズ:よろしく、ジョー、今まで一番興奮したわ。
テイト:(車に押し込んでいる強盗犯に)頭に注意しろ。
強盗犯を車に押し込めるとテイトはドアを閉じてジョーとルイーズのところに来ました。
テイト:(ジョーに)やあ、皆を代表して君に感謝をするよ。私は保安官のビリー・テイトだ。君の力はすごいな。
二人は握手をしました。
ジョー:僕も驚いたよ。
テイト:君はスモールビルでは見かけない顔だな。
ジョー:家に帰る途中に寄っただけなんで。
ルイーズ:あなたはラッキーよ。
テイト:(優しく)ルイーズを許してやってくれ。彼女の目はいつもお星様が光ってるんだ。
ジョー:それは何も悪いことじゃないさ。
デクスターが車でやってきてドアを開けて出てくるとジョーとルイーズは一瞬沈黙しました。
デクスター:ルイーズ?
ルイーズは苛立った様子のデクスターに振り向きました。
デクスター:大丈夫か?
テイト:家に帰った方がいい、ルイーズ。デックスはトランプで負けたんだ。
後で立ち寄るからその時に君の供述書を書きにいくよ。
ルイーズ:(ジョーに) それじゃ、またね。
ルイーズが車にゆっくりと歩くのをジョーが見ています。
彼女は一度ジョーに振り向くと車の中に入りました。
そしてデクスターが運転して去るまで彼女は彼を見続けました。
テイト:君の強力に感謝するよ。
突然クラークは腕をメールボックスに置いている現在に戻って来ました。
ピート:クラーク、どうしたんだ?
クラーク:50年代に戻ったみたいだ。ちょうどここに、ジョーがいたところに立っていた。
ピート:ジョー?
クラーク:流れ者の名前だよ。ピート、僕が洞窟でフラッシュバックを見たことを覚えてるか?
(クラークはポケットからメダルを取り出します)
このメダルが彼のすべての記憶を僕にダウンロードしたと思う。
彼が触った物に触れるとそれが引き金になるみたいだ。
ピート:(懐疑的に) そうなのか。
クラーク:ルイーズもここにいた。流れ者は彼女を助けた。
ピート:まあ、もちろんそうなんだろうけど、クラーク!今は21世紀だ、それは白昼夢っていうんだよ。
クラーク:僕が見た事が事実なのか確かめないと。
第1幕 場面 4。
スモールビル高等学校の外。 日中。
クラークはクロエと一緒に廊下を歩きながら持っている古い本に付いたほこりをはたきます。
クラーク:いつから逮捕歴を市役所から取り寄せることができたんだい?
クロエ:事務員とその彼のガールフレンドと知り合いになったの、仕事の合間に警察ドロボウごっこしてね。
二人は笑いました。
クラーク:(本を開きます) まあ、強盗は1961年6月ごろなんだ。タロンで映画が上演されていた頃だから。
クロエ:オーケー、三度も聞いて分からないけど、どうしてそんな事知ってるの?
クラーク:クロエ、僕は流れ者がそこにいたことはただの直感だって言っただろ。
クロエ:ええ、それは聞いたわ。
彼らはトーチオフィスに入ります。
クロエ:でも普通の直感よりも詳しすぎるわ、ナタリー・ウッドの映画がやってるタロンの外で強盗があったなんて。
クラーク:まあ、運命の壁の管理人として僕についてきてよ。
クラークが机に座ります。
クロエ:オーケー。
クラーク:ルイーズ殺人事件の日から欠けているいくつかのページがあるな。
クロエ:誰かが巧妙に抜いたのね。
クラーク:(ページをめくります) ほら、強盗だ。
クロエ:あなたはどこでヒーローの流れ者を見たの?
クラーク:見てないよ、でも強盗の名前を見て。
クロエ:(読み) ラックラン・ルーサー。 レックスのおじいさんよ。
クラークが怪訝そうにクロエを見ます。
クロエ:ねえねえ、レックスのファイルが3メガバイトはあるんだけど。
彼の大好きなシリアルも知ってるわ。多分何かを知ってるはずよ。
クラーク:じゃあ、見つけておいてくれないか。僕はラナに会いにいくから。
ネルおばさんの屋根裏でルイーズの何かを見つけたんだ。
クロエ:待ってよ、クラーク、一人で船から水をかき出すようなもんだよ。
この前の時ルーサー家をリサーチしたときにはレックスは死にかけたんだからね。
クラーク:お願いだよ。遅かれ早かれ彼について探らないといけないんだ。
クラークはトーチオフィスを出ます。
第1幕 場面 5。
レックスの屋敷の外。 日中。
レックスは書斎の中二階でクロエと話をします。彼は本をぱらぱらとめくっています。
レックス:俺は常に親父の才能を受け継いだと思ってるよ、人から金をむしりとるな、だが…俺の一族が軽犯罪に走るとは思えんが。
彼は後方に棚に本を置きます。
クロエ:まあ、スモールビルはまったくラックラン・ルーサーさんの手が及んではいなかったわ。
あなたのおじいさんは逮捕されたんじゃないの。
レックス:クロエ。 親父がクリームコーン工場を買うまで、俺たち一族は誰もこの町に足を踏み入れていない。
昔の強盗事件を記事にしようと掘り起こすにしたってピントがずれてるんじゃないか?
クロエ:ああ、これは無料奉仕よ。 ラナが本当に大伯父さんことで心配してるの。
レックス:ラナのためじゃなく自分のためじゃないのか。
クロエ:(話題を変え)とにかくラックランさんが流れ者に会ったと思うの、それにあたし達は…
レックス:俺の一族が古い犯罪話を持っていて感謝祭に何もしないで過ごしていることか?
レックスは座ります。
クロエ:あなたの一族はノーマン・ロックウェルの絵のようじゃないわ。ねえ、レックス、あたし達はできる事を見つけようとしてるの。
(訳注:ノーマン・ロックウェル:http://www2.plala.or.jp/Donna/rockwell.htm)
レックス:君を手助けしてやりたいのは山々なんだが、クロエ、だが君が死ぬ目に会うのが怖いんだ。
クロエはイライラしているレックスを見ます。
第1幕 場面 6。
クラークが屋根裏に入ります。 夜。
ラナは彼を待っています。
ラナ:ハイ。
クラーク:やあ、ラナ。 あのさ、ゴメン今朝は少し言い過ぎたよ。
ラナ:謝らなくてもいいわ。突然あんな悪口みたいな事言ったら誰でも。
クラーク:君が養女だったのを忘れてたよ、君は自分がどこから来て実の親がどんなであったのかいつも想像していたんだね。
一番の悪夢は彼らが犯罪者だった事だった。
ラナ:私が一族だったって事に不思議な驚きがあって、それが簡単な事じゃないことは分かってる。
(間があり)
ルイーズの物が少しだけあるの。何か分かるんじゃないかと思って。
ラナは小さい箱を持ってソファーに座ります。
彼女が箱を開くと二人で中を調べ始めます。
一番上に数枚の写真がありクラークが取り出しました。
ラナは一枚の用紙を取り出しそれを読み終えると微笑しました。
ラナ:これはラブレターよ。デクスターが書いたんだわ。 うわーっ。彼ってそうだったんだ、ふーん…
クラーク:(肩越しに文を読みます) 情熱的だね?
文の最後に筆記体でJという文字が書かれていました。
ラナ:イニシャルだけ?
ラナは心配そうに手紙を箱に戻すと、他の物を調べ続けました。 ラナは微笑んで真珠のネックレスを取り出します。
ラナ:付けてもらってもいい?
ラナはクラークに背中を向け、後ろ髪を持ち上げてネックレスを首に当てるとクラークは微笑みました。
クラークがネックレスに触れるとすぐに過去に戻っていきました。
ジョーが小屋でルイーズの後ろに立っています。日中。
ジョーは彼女の肩の上に手を置き彼女の首筋にキスをしました。
ルイーズは彼に向きを変えるとジョーの手を引いて小屋の奥へと連れて行きました。
ルイーズ:一日中あなたの事を考えてたわ。
ジョーはルイーズを止めて彼女を抱き寄せ熱烈にキスをしました。
ジョー:僕もこんな風に感じた事は一度もないよ。僕は君とずっと一緒にいたい。
二人はもう一度激しいキスを交わします。
キスを終えるとルイーズは壁の近くの干し草の山へと歩きます。
ジョーは走って追いつくと彼女の向きを変えて木の梁に彼女をもたせ掛けました。
二人は息を荒げ狂ったようにキスをしながらルイーズはジョーのシャツのボタンを外し肩からシャツを脱がせます。
ジョーも彼女の首にキスしながらルイーズのシャツのボタンを外します、彼女もそれを容認していました。
ジョーが干し草の上の毛布の上に倒れこむとルイーズはジョーのタンクトップを脱がせながら
息つぎもせずにキスをしているジョーの上に体を重ねました。
キスを止めるとジョーは優しく彼女と体を入れ替え彼女の上に覆いかぶさりました。
ジョーが首からさげている銀のメダルは小屋の窓から差し込む日差しに輝いていました。
ジョーが再びルイーズにキスするために顔を近づけるとルイーズはジョーの頭に触れ
ジョーは彼女の背中へと腕を走らせます。彼女の手は彼の髪から背中へと動いていきます。
二人がもう一度見つめあうと、クラークは現在に戻りました。
ラナ:クラーク?
クラークは立ち上がってソファーから離れました。
クラーク:ラナ、僕はラブレターが彼女の夫からじゃないと思う。流れ者からだと思うんだ。二人は恋に落ちていた。
ラナは混乱してクラークを見上げます。
フェードアウト。
第2幕 場面 1。
ルーサー・コープの外。 日中。
ライオネルとレックスはライオネルのオフィスへと入っていきました。
ライオネル:おめでとう、レックス。素晴らしいプレゼンテーションだった。
委員会は感動していたぞ。まるでマジシャンのようだ、だが、うーん、うまくやったものだ。
ライオネルはテーブルの上に置いてある冷えたシャンペンを取り上げました。
レックス:何と言ったらいいのか?ライオネル一族は、うーん、ペテンがなりわいでしょう。
ライオネル:(笑いながら)今日は気分がいいな。
(シャンペンをポンと開けてグラスを注ぎます)
うーん、ペテンかね?
私が今まで何かについてお前をペテンにかけたと思っているのか?
ライオネルはレックスにグラスを手渡します。
レックス:教えて欲しい。
父さんはいつも祖父のラックラン・ルーサーはスコットランドの貴族からやって来た仕事のできる企業家だと話してましたね。
ライオネル:お前は何の話をしているんだ?
レックス:父さんならラックラン・ルーサーがなぜスモールビルで1961年に些細な強盗の容疑で逮捕されたか説明できると思って。
ライオネル:すべての企業家が正直で贅沢のできる地位を獲得したわけではない。
レックス:どうして一族の過去を隠すためにこのような事をするんですか?
ライオネル:私が若者だった時、あー、アイビーリーグ校生で世界での足場を得ようとする目的に躍起になっていた頃だ、
その事実を知ったのは。
シューイサイド・スラムのカクテルパーティーなんぞに興味なんかないそんな場所で私は生まれ育った。
ライオネルはソファーの上に座ります。
レックス:それで一族の家系図を書き直そうとした?
ライオネル:そうだ。何故私が父親の罪まで背負わねばならんのだ?
レックス:(真剣に)よくある話ですね、うーん、
シューサイド・スラムの周りを宛てもなくさまよう祖父母が我々一族の本当の姿だったんですね?
ライオネル:(ゆっくりと困ったように) いや、いや、彼ら…両親は二人とも安アパートの火災で死んだんだ。
(間があり)
私一人が生き残った理由は、火災が起きたとき、印刷店で夜間アルバイトをしていたからだ。
それからずっと、あー、仕事に没頭したよ、意識してな。
レックスが疑い深く彼を見つめるとライオネルは悲しそうな笑みを浮かべました。
第2幕 場面 2。
クラークとラナは小屋に入ります。 日中。
クラーク:ここがルイーズが撃たれた小屋だ。
クラークがものに手を触れますが過去のイメージは得られず小屋の中を歩きます。
ラナ:クラーク、40年も経ってるのよ。ここで何を見つけようとしてるの?
クラークは大きな物体が防水布によって覆われるのに気付きます。
それに近づいて防水布を引き剥がすとホコリまみれの古い青い車がでてきました。
クラークが手をボンネットの上に置くとすぐに過去へのイメージへと入っていきました。
ジョーが今ずっとより青いぴかぴかの車に手を置いています。
小屋の中でルイーズはジョーとキスをしながら車に寄りかかっています。夜。
ルイーズが自分のブラウスのボタンに手を伸ばすとキスを止めました。
ジョー:僕は今晩帰らないとならないんだ。
ルイーズ:あなたと一緒に行くわ。
ジョー:ルイーズ、前にも言ったけどそれはできないんだよ。
ルイーズ:私はこれ以上デックスと一緒に住んでられないわ、彼を愛してないのよ。あなたと一緒にいたいの。
ジョー:僕のところでは僕らは認められないんだ。
ルイーズ:私は他の人がどう思っても気にしないわ。一度もそう思った事がないの。 (笑い)デックスは私にとって疫病神なの。
ジョーがルイーズに近づくと彼女の顔に触れます。
ジョー:違うよ、ルイーズ。 それは運命だ。
ルイーズ:私達だって同じでしょ、ジョー。 行ってみたっていいじゃない。
ジョーが彼女から離れます。
ジョー:こんなはずじゃなかったんだ。僕は一人で帰らないといけないんだ。
ルイーズ:どうして?
ジョー:(ルイーズに向き直り)それが僕の運命だから。それを変えるわけにはいかないんだよ。
ジョーがルイーズに近づき自暴自棄な彼女の顔を抱きます。
ジョー:ルイーズ、君が欲しい、でもそれはできないんだ。
ルイーズの目から涙があふれ出します。
ジョー:父さんが前に僕の行動によって結果が変わると言っていた。これが父さんの言いたかった事なんだと思う。
ルイーズはジョーの首のメダルに指を這わせます。
ルイーズ:(ささやくように)そんなのってないわ。私達は一緒にいるべきなのよ。
ジョーはルイーズを引き寄せるとしっかりと彼女を抱きしめました。
ラックラン・ルーサーが銃を持って小屋の中に入ってきました、そしてジョーが彼を見ました。
ジョー:ルイーズ。
ラックランがジョーに次々と弾丸を発射するとジョーはルイーズを押しのけました。
弾丸はジョーの胸に当たりますがなんの傷も負いません。
ラックランとルイーズはショックで目を丸くしました。
それからラックランは銃を落として小屋から走り去ります。
ルイーズはゆっくりと自分の胸を見下ろすと胸には銃弾傷から血が流れ白いブラウスの赤く染めしたたり落ちていました。
ルイーズ:(ささやき) ジョー…
ジョーがルイーズの方を向き、そして彼女の脚が崩れ始めるのを抱きとめ地面にそっと寝かせました。
ジョー:ダメだ、ルイーズ?僕を一人にしないでくれ。
ルイーズ:(弱く)一人にはしないわ。あなたを愛しるんだもの。
ルイーズの目は閉じ息が止まりました。
ジョー:ルイーズ…バカな。こんなことが、ルイーズ。
涙がジョーの目から落ち彼はルイーズを抱きしめました。
ジョー:ルイーズ…
現実に戻り。クラークがラナの顔に触れています。
ラナ:(不安そうに) クラーク?
クラークが後ずさりします。
クラーク:誰が彼女を殺したのか分かったよ。
第2幕 場面 3。
レックスは引退した刑事、メイスンに話をしながら屋敷の中を歩きます。 日中。
彼はメイスンにファイルを手渡します。
レックス: エッジクリフマンションだ。これはルーサー・コープの所有物だが祖父母との関係に見落としがある。
彼らは書斎に入ってピアノの脇に立ちます。
メイソン:まあ、分譲アパートとコーヒーハウスの前だ、シューイサイドスラムの最も悪い場所だったな。
その高層ビルは…あんたの祖父母が死んだ安アパートの跡地の上に立ってる。
レックスはメイソンが言った高い建物の写真を見ます。
レックス:それで親父の話は本当なのか。火事で死んだというのは。
メイソン:(笑いながら)ああ、もしあんたが見ていたら、2ブロックもの窓ガラスを吹っ飛ばすほどの爆発だったんだぞ。
レックス:本当とは思えんな。
メイソン:俺はその地区の刑事だった。当時、その事件の捜査を中止するように言ったたのはあんたらじゃないか。
スラムの有力者は市役所をコントロールしていたんだ。
まあ、俺はもう引退してるがね。それは重要なことじゃない。
メイソンがピアノの上に封筒を落とします。
メイソン:俺のレポートを見れば考えが変わると思うぜ。
レックスは封筒からレポートを取り出して読むと彼はメイソンをしばらくの間見つめていました。
第2幕 場面 4。
クラークはスモールビル高校の廊下を歩きながらクロエとラナに話をしています。 日中。
クロエ:あなたの意見を無視するわけじゃないけど、クラーク、でもラックラン・ルーサーは殺人の容疑で刑務所にいたんだよ。
クラーク:僕にはそれが彼だった事がわかってるんだ。
ラナ:どうやって?あなたが私達にどうやって知ったのか教えてくれなければそんな変な直感に従い続けるわけにはいかないわ。
クラークはトーチオフィスの外で止まります。
クラーク:馬鹿げた事だといわれるからさ。
クロエ:その馬鹿げた4つのランダムな手がかりは以前にあった事なんだよ。
クラーク:僕がその新聞の記事を読んだときからずっと、1961年の記憶が見えたんだ。
ラナとクロエは困惑しながらお互いを見交わしました。
クラークは「そんな感じだよ」というように腕を上げてオフィスに入ります。 ラナとクロエは彼の後に続きました。
ラナ:何ですって?
クラーク:それは何か奇妙なデジャブーみないな。
クロエ:じゃあ、それってリインカネーションみたな?過去に生きていた時の記憶みたいな?
ラナ:(懐疑的に) クロエ。
クロエ:それとも、あのー、遺伝記憶。科学者が立てた理論なんだけど、あたし達の先祖の記憶がDNAに蓄積されてるって。
クラークがこれについて思慮深く見えます。
クロエ:とにかく…
クロエはコンピュータのモニタを見ます。
クロエ:まあ、あなたの直感がどこから来てるとしても、その情報は薄気味悪いくらい正確よ。
これを見て。
インターネットサイトで欠けていた日の新聞の警察逮捕記録簿を電子メールで送るように依頼したの。
クラーク:(モニタを覗き込み) ラックランはルイーズが殺された朝に刑務所から釈放されてる。
ラナ:彼はただ武装強盗として刑務所に2、3日入っただけなの?
クロエ:(ファイルキャビネットに歩きファイルを取り出し)ええ、そして彼を釈放した代理人の名前を見て。
クラーク:ビリー・テイトだ。
クロエ:今一番人気の偉大なウィリアム・テイト市長よ。
クロエがファイルからテイト市長の写真を取ってクラークに手渡しました。
第2幕 場面 5。
ラナはルイーズとデクスターとビリー・テイトの写った額入りの結婚式の日の写真を持っています。日中。
ラナとクラークはテイト市長のオフィスで話をしています。
テイト:デックスとルイーズは私の親友だった。
彼を逮捕したことは私が今までにした最も嫌なことだったよ。
(ラナに)
君は大伯母さんにそっくりだ。今までに誰か言われた事はないかね?
ラナは不安そうにテイトを見ます。
クラーク:テイト市長、ラックラン・ルーサーという名前が誰か覚えていますか?
彼はルイーズが死んだ同じ日に釈放されいるんです。
テイト:私の逮捕記録を調べるのは難しいな。
ラナ:私達はあなたの友人のデクスターに罪がないと思っています。
テイトは一瞬唖然としそれからクスクスと笑いました。
テイト:私を信じなさい、誰よりも私自身がその事を信じているんだから。
だがとうとう流れ者がいなかったことを認めなければならなかった。
彼は罪悪感のため話を補いました。
クラークは展示されているテイトの警察官バッジなどを注意して見回しました。
クラークがバッジに触れます。
低い位置の棚には額に入った証書がテイトをスモールビルの市長であると宣言しているのを見ます。
証書の下にはテイトの署名があります。
彼の姓である筆記体のTはラナが見つけたルイーズへのラブレターに書かれていた筆記体のJにそっくりでした。
クラークが証書に触れます。
テイト:それには気をつけてくれ、君。
テイトが手をクラークの肩の上に置くとクラークは過去を見始めました。
ジョーとルイーズはトウモロコシ畑の隣に駐車した車の中にいます、そしてビリー・テイトが窓からジョーの肩に手を伸ばしています。
ジョーが振り向きます。
テイト:おい、二人の恋人さんたち。
ルイーズ:ビリー、そんな風に見るのはやめて。ただ…
テイト:分かったよ。 (ジョーに) オーケー、車から降りるんだ。
ジョーが車からでました。
ジョー:これがあなたの仕事とは思えないけど…
テイト:(脅すようにジョーのシャツをつかみ)お前さんは限度を越えて長く居過ぎた思うがな。
お前がこれ以上問題を起こす前に出てった方がいいぞ。
ルイーズが車から出てきてジョーをテイトから遠ざけます。
ルイーズ:ビリー、彼はただ私を家に送ってくれただけよ。
テイト:こんな事をするのは君らしくない、ルイーズ。君は大変な事をしているんだ。
テイトはパトカーに戻ると運転して去っていきました。 ルイーズはジョーに振り返ります。
ルイーズ:私はデクスターと結婚する気なんてなかったの。
間違ってないと思ったわ、彼は…すてきだし、ただ…安心できる。
私、父に夢を話した事が失敗だったわ。
ハリウッドに行ってスターになることが夢だったの。
でも父は私とデックスを結婚させていい奥さんになるようにって言ったわ。
(ジョーから顔をそむけます。)。
ついに降参しちゃった。それで今の私がいるの。
ジョー:僕の父親と同じだ。
(車に寄りかかり)
ねえ、僕は君が思うほどいい息子じゃないんだ。
僕の父は勉強の一環としてここに来させたんだ。僕はここに来るのは嫌だった。
今はここに居たいけど。そうする事はできない。
ルイーズが彼のところに行きます。
ルイーズ:それなら私を連れて行って。
彼女は彼を車から引っ張って離すと彼の周りをクルクルとかわいらしく回りました。
ルイーズ:(くすくす笑いながら)私達「理由なき反抗」のジェームズ・ディーンとナタリー・ウッドみたい。ロマンチックでしょ。
ジョー:僕がスモールビルやここに住んでないって言っても君が理解できるとは思ってない。
ルイーズは理解できずにぼんやりとジョーを見ます。
ジョー:(厳かに) 僕は君たちが見たこともない場所から来たんだ。僕らの月は物凄く近くて空の半分をしめてる。
それに何時間もかかる日没もあるんだ。
ルイーズは一瞬の間真剣に彼を見ると笑いました。
ルイーズ:聞き入っちゃったわ。一瞬信じちゃった。
ジョーはゆっくりとルイーズに近づき腕の中に彼女を抱きしめます。
二人は互い見つめあい、月の青い光が二人の顔を照らし星が降ってきそうな空を見ます。
ルイーズが下を見下ろすと二人が地上から離れ高く空に浮いていることを悟ります。
ルイーズ:えっ、何なの?
二人は上がり続けルイーズの不安が喜びの微笑に変わると二人は星を見上げます。
彼女はジョーの目を愛をこめて見つめます。
フェイドアウト。
第3幕 場面 1。
ラナとクラークはアダムス保安官と歩きながら話をします。 日中。
アダムスは1枚の新聞を持っています。
アダムス:それであなた達は40年前もの捜査を私に蒸し返せというの?
クラーク:市長が話してくれた以上の事があるはずなんです。
アダムス:ああ、君の言う不思議な流れ者の事ね。
クラーク:ラックランが流れ者を殺したらテイト市長テイトはラックラン・ルーサーを釈放する取引をしたんじゃないかと思うんです。
彼らはデクスターに全責任を負わせようとしていた。
アダムス:まあ、素晴らし話しだわ、ケント君、でも君は刑事じゃないのよ。
(彼女は新聞をクラークに返します)
いいかしら、警察を動かすには最低でも動機と証拠の二つが必要なの。
クラークはポケットからのルイーズのラブレターを取り出します。
クラーク:見てください。警察記録に書かれている手書きの文字とこのラブレターの文字は一致するはずです。
それは同じ人物が書いたということですよね。
ラナ:彼も同じく彼女を愛してました。
流れ者が死んでデクスターが殺人で刑務所に入れば、テイト市長がルイーズをひとり占めすることができたはずです。
アダムス:君たち子どもがなんて事を言うの、自分たちが誰に向かって指を向けているか注意しなさい。
失礼するわ、今世紀に入ってなかなかないケースをみたわ。
アダムス保安官は車に乗り込みました。
第3幕 場面 2
ジョナサンが暖炉の上で沸騰した鍋からいくつかの桃のビンを取り出すと
マーサは既に調理台の上に置いてあるビンのところへと運びました。 日中。
ジョナサン:マーサ、私達が見たビジョンが真実なのかどうかわからない。
つまり、おそらく、ジョー・エルからの別のテストなんじゃないかと思うんだ。
マーサ:ジョナサン、あなたは今までに理由もなくこれほど決然としたクラークを見たことがある?
これが大変なことだとは分かってるわ、でも実の親の事を知たいと思っているクラークを責めるわけにはいかないわ。
ジョナサン:私がジョー・エルの名前を聞くといつも自分たちが実の親なんだと考えるんだ。
私達は彼を見つけて十分幸せだったと、それだけだ。
マーサ:でもクラークは私達と一緒にここにいるわ。
ジョナサン:そうだな。
クラークが入ります。
マーサ:クラーク。 もう少し何かビジョンが見えたの?
クラークが心配そうにジョナサンとマーサを見ます。
クラーク:いや。
ジョナサン:聞いてくれ、クラーク、父さんは、あー、謝るよお前を疑ったことを。
もしお前が望むなら一緒にマッカラムの小屋へ行ってお前が何かを見落としたのか見てみようじゃないか。
クラークはジョナサンの肩越しに壁に何かがあるのに気付きます。
マーサ:どうしたの?
三人は壁に掛かっているライフル銃を見ます。
クラーク:それはおじいさんの銃だ。洞窟の最初のビジョンでそれを見たんだ。
ジョナサンは壁から銃を下ろしてクラークに手渡しました。クラークがそれに触れるとフラッシュバックを起こしました。
ジョーが農家の外でタルに腰掛けていました。
男はジョーに歩み寄るとライフルの台尻でジョーの顔を殴ろうとしました。
ジョーはライフル銃をつかむと男を地面に倒し男の手から銃を奪いました。
その銃をジョーは男に向けます。
ジョー:問題は起こしたくない。僕はただあなたの農場を横切ってただけなんだ。
男:簡単な事だ。お前さんは町全体に殺人犯として指名手配されてるんだ。
ジョー:僕じゃない。 (男に銃を放って返し)僕は殺人者なんかじゃない。
彼女を愛してたんだ。彼女を傷つけるなんてことはない。ぼ、僕を信用して下さい。
男はゆっくりと立ち上がると握手をしようと手を伸ばします。
男:俺はヒルムだ。ヒルム・ケント。
ジョーがヒルムの手を握るとクラークはライフル銃に触れている現在に戻ってきました。
ジョナサン:どうした?
クラーク:流れ者がここにいたんだ。 おじいさんと一緒にここの畑にいた。
ジョナサンは当惑しているマーサをちらっと見ます。
屋根裏で床の上に置いたトランクを前にジョナサンとクラークとマーサがいます。
ジョナサン:これを開けたことはない…親父が死んだ日から。
マーサ:多分別の何かがこれで見えるかも知れないわ。
ジョナサンはトランクを開けます。中に入っていた大きなバックルのついたベルトを手を伸ばして取り出しました。
ジョナサン:クラーク、おじいさんは生前古い物を好んで使っていた。
クラークがベルトを受け取るとジョナサンはクスクス笑います。
ジョナサン:それはおじいさんの大好きなベルトだった。
マーサ:(クラークに) あなたがおじいさんに会うことができたらいいのにね。何か感じる?
クラークが茶色の革ジャケットを見てつかむと
ヒルムが台所でジョーにデニムのジャケットを着るのを手伝っている過去に入っていきました。夜。
ケント夫人はジョーに茶色い革の彼自身のジャケットを手渡します。
ケント婦人:少なくても、もし彼らがあなたを止めようとしてもそれなら目立たないわ。
ヒルム:俺はすべての裏道を知ってる。その道を使おう。
ジョー:助けていただいて本当に感謝します、でも後は一人でやります。
ヒルム:一人ではいかせられん。あんたはその友人とやらが来ている確信があるのかね?
ジョー:そこにいると思います。
ジョーはヒルムを通り越して台所のドアを開けます。
ヒルム:ここに留まってはっきり分かってからにしたほうがいいんじゃないか。
ジョー:これ以上ここにご迷惑をおかけするわけにはいきません。
ケント婦人:気をつけて。
ヒルム:(手をケント夫人のお腹に当て)さようなら、ジーン。
ヒルムは妊娠しているケント夫人のお腹の赤ん坊に話しかけました。
ケント婦人:この子の名前はジョナサンにするって言ったでしょ。
ヒルム:(ジョーに)まだ名前が決まってないんだ。
ヒルムはケント夫人の頬にキスをするとジョーの肩に手を置きました。
ヒルム:さあ早く、行くぞ。(歩き出します)
ジョー:(ケント夫人に) ありがとうございます。
ケント夫人が頷くとジョーは彼女に革ジャケットを渡します。
現在に戻って。
クラーク:おじいさんが彼を逃がす手伝いをしたんだ。
ジョナサン:今、見えたのか、お前を信じる、クラーク、だが…
クラーク:おじいさんは父さんの名前をジーンにしたかったんだ。
ジョナサンはぼう然としているマーサを見ます。
ジョナサン:(静かに) ジーン・オートリーにちなんでか。彼の古いレコードは全て持ってたからな、でも…母さんが勝ったのか。
マーサ:儀父さんは性格のいい善し悪しの分かる人だったわ、ジョナサン。彼が罪人だと思った人に手を貸すわけないわ。
ジョナサン:まあ、古いジャケットから何でも分かるとは思えないがな。
クラーク:僕もそれについてあまり確かじゃない。
クラークは何か考えが浮かんでジャケットとジョナサンを見ました。
第3幕 場面 3。
テイト市長は自宅の火の着いていない暖炉の前で本を読を見ながらブランデーを飲んでいました。夜。
ヒートビジョンの光線が火の着いていない暖炉に突然火を起こしました。
テイトは何が起こったのかと混乱してイスから立ち上がりました。
風が吹き始め机の上の書類をパラパラと音をたてさせながら部屋の中に散乱しました。
テイトは不安になり壁に向かっていくと警察を呼ぶスイッチを入れました。
突然一人の男が部屋の中に入ってきました。
男:テイト保安官。
テイトが振り返ると革ジャケットにメダル、そしてテカテカと光った髪形をした
1961年当時のジョー(クラークの変装)がそこに立っていて驚きます。
テイト:ケント君。ここにどうやって入って来たのかは知らんが、冗談では済まされんぞ。
クラーク:あなたは僕を誰かと勘違いしているようですね。
テイト:警察がじきにやってくる。
テイトは向きを変えるとクラークから離れるように暖炉に向かって歩き出しました。
テイトがクラークに振り向こうとした瞬間クラークは超スピードで移動しテイトの前に立っていました。
テイトは驚いて一歩下がりクラークの首にかかっているメダルを見ました。
テイト:君はそれをどこで?!
クラーク:(落ち着いて)あなたは僕を覚えていると思ってました。
テイト:まさか本人のはずはない。
クラーク:あなたは本当の事を隠すためにかなり良い仕事をしましたね。
僕を殺そうとラックランと取引をしたことを知っている。
(あざけるように近づき)
でも僕の代わりにルイーズが死んでいるのを発見してどう感じた?
テイト:お前が殺されるはずだったんだ!
テイトは机のところに行くと引き出しから銃を取り出します。
テイトはクラークに何発の銃弾を撃ちましたがクラークは超スピードで動き全ての銃弾を避けました。
テイトは怖がって銃を下げます。
クラーク:僕を殺すことはできないよ。僕はもう死んでいるんだから。
テイト:おお、神よ!
クラーク:安息を求めるなら、保安官に自分が何をしたか告白すべきだと思うが。
テイト:いやだ!私は刑務所には行かんぞ!
テイトが自分の頭に銃を向けるとクラークの顔には恐れの表情を浮かびました。
テイトが銃の撃鉄を起こすとクラークは超スピードで彼に近づきテイトの手から銃を取り上げました。
クラーク:安直な方法じゃダメですよ。
オフィスへのドアが開くとクラークは見つからない場所へと超スピードを出しました。
アダムス保安官もう一人の保安官は銃を手にして中に入ります。
アダムス:テイト市長。大丈夫ですか?サイレントアラームの通報を受けましたが。
テイト:奴が私を殺そうとしている!
アダムス:誰がです?
アダムスともう一人の保安官が辺りを見回しますが誰にいません。
テイト:(哀れで自暴自棄に)ラックランは流れ者を殺すはずだったんだ。
決してルイーズを傷つけるつもりじゃなかった。彼女を愛してたんだ。
アダムスは驚いてテイトを見ます。
フェイドアウト。
第4幕 場面 1。
刑務所の外。日中。
刑務所病院で、ラナはデクスターが車椅子に乗るのに手を貸しています。
彼は普通の洋服を着ていました。
看護師が椅子の後ろに立っています。
デクスター:この日が来るなんて思ってもみなかったよ。
(笑い)
ビリーの事はまだ信じられん。
お前はワシがここに入った最初の2年、ビリーが毎週日曜日にワシを訪ねて来たことを知っていたか?
ラナ:いいえ。でも彼があなたの友人なのは知ってるわ。
看護師がゆっくりと椅子を押し始めます、そして一緒にデクスターの隣りにラナが歩きます。
デクスター:ワシはビリーがルイーズどんな思いを寄せていたのか知っていた、だがそんな事をするなんて想像もしてなかった。
そして何十年も立ってから自白するなんてな。なんの意味もない。
ラナ:多分ずっとその事が彼につきまとっていたのよ。
デクスター:ひどいものだ、愛に夢中になるあまりこんなことになるというのは。
ワシはルイーズに夢中だったから、彼女がワシに惚れていないなんて思ってもみなかった。
彼女を手放せばよかったと思うよ。
看護師はデクスターの車椅子を押し続けますがラナはデクスターの言葉に気が動転して立ち止まってしまいました。
第4幕 場面 2。
レックスの書斎でレックスは座りライオネルは立って話をしています。 夜。
ライオネルは書類の束を見ています。
レックス:爆発はお爺さん達のアパートが元だ。
硝酸アンモニウムの反応がわずかにありましたよ、お父さん。
お爺さん達は事故死じゃなかった。
ライオネル:(観念したように)私も常にこの事は疑っていた。
私は…ああ… (座り)父親には敵がいたたことを知っていた、しかし、あー…
レックス:警察にはその事を話してませんね。
ライオネル:私は若かったが決して世間知らずではなかった。私が話せば自動的に私もそうなる事は分かっていた。
レックスは静かで瞑想的です。彼は席から立ち上がります。
レックス:それじゃ、お爺さん達が殺されたことを知っていたんだ。復讐の可能性を逃すのは父さんらしくな。
ライオネル:財源がなかった。追うことができなかったんだ。
レックス:それでこれまでの30年はどうだったんです?
ライオネル:その事を持って戻ってくることはできなかった。
復讐する事は何もな…前向きに生きる事を決めたよ、それのことを忘れてな。
レックス:でも父さんはそんな事できるのかい?
ライオネル:いや。
(立ちます)お前には借りができたな、ありがとう。
お前の祖父母は殺された。奴らには当然の報いが必要だ。
ああ、私はなんてバカだったんだ。
私は両親の殺人を過去に埋めてしまおうとしていた。
レックスは真剣にライオネルの目を見つめてライオネルの肩に手を置きました。
レックス:私達で誰なのか見つけだしましょう、何が起きても。
第4幕 場面 3。
クラークが屋根裏にいます。 夜。 ラナが入ってきます。
ラナ:クラーク?
クラーク:ラナ、デクスターはどうだった?
ラナ:ついに嫌疑を晴らされたことに安心していると思う。
クラーク:個人的にも僕もまた捕まるじゃないかと思って、安心したよ。
ラナ:私もどうしてなのかは分からないけど、彼の自由に対してクラークに感謝してると思うわ。
クラーク:君が彼を信じたからだよ。
ラナ:ええ。 でも流れ者の事は間違ってたわ。
クラーク:僕はそうは思わないな。もし彼女が彼が恋に落ちなかったならルイーズには何も起こらなかったはずだから。
ラナ:ルイーズがしたことは間違っていると思う、でも彼女は幸せだったと思うわ。
たとえそれがたった数日だったとしても、彼女は本当の恋愛がどんなものなのか感じれたんだから。
クラーク:それが続かなくて残念だったけどね。
ラナ:もしそうじゃないとしたらどう?
(間があり)
多分あなたは一緒に過ごす時間に感謝していて、できるはずなのにあきらめてるのよ。
ラナは目に涙を溜め瞬きして目をそらしました。
第4幕 場面 4。
クラークとジョナサンは地下の洞窟にいます。 夜。
クラークがメダルと同じシンボルの壁を見ています。
ジョナサン:クラーク、どういうことだ?何をしようというんだ?
クラークがメダルを手に持ちます。
クラーク:よくは分からないけど。
クラークが壁のシンボルに触れるとフラッシュバックが起きます。
ジョーとヒルムが洞窟の中にいてジョーがメダルをつかんでいます。
ヒルム:何をしようというんだね?
ジョー:父にこれを返すはずだったんですけど、これにはよくない思い出が多すぎるんです。
(ジョーがヒルムの手を握ります) ありがとうございました、ヒルムさん。
ヒルム:私が人にはいつも正直に話をしている。あんたがここで問題に出くわしたことは残念だ。
スモールビルにはもっと良い人達がいる。
ジョー:忘れませんよ。赤ちゃんの事、おめでとうございます。あなたを親に持って幸せだ。
ヒルム:今後もし私が必要なら、いつでも力を貸そう。
ヒルムは洞窟を去ります。
ジョーは手のメダルを見ると洞窟の何も描かれていない壁の方に向きます。
彼はポケットからクラークの宇宙船にあったものと全く同じ形の八角形のディスクを取り出します。
彼は洞窟の壁の前にそれを持ってかざしました。
ディスクの小さなシンボルが輝くとメダルの絵が壁に現われました。
絵は穴をあけ金色の光と煙がほとばしり、ジョーは中にメダルを置きました。
ジョーが手を抜くと穴は再び閉じました。
現在に戻って。
ジョナサン:クラーク。 何を見たんだ?
クラークが背中をジョナサンに向けます。
クラーク:ジョーはここでこのメダルを隠したんだ、父親に見せたくなくて。
これは一種の日記のようなものなんだ。
僕はジョー・エルは何かしらの通過儀礼としてここに送られたと思うんだ。
おじいさんも一緒にここに来ていたよ。
おじいさんはジョーにもし自分が必要なら、力を貸すって…。
長い間があり。 ジョナサンはクラークに近づきます。
ジョナサン:クラーク、それはどういう事だ?
クラーク:父さんと母さんが僕を見つけたのは偶然じゃないと思うんだ。
クラークはジョナサンに向きを変えます。
クラーク:父さんは選ばれたんだと思う。
フェイドアウト。
おしまい。