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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.08Shattered[崩壊]

乱雑な路地にある大きい倉庫を開くと中へは男が椅子に座っていました。
彼の顔は包帯でぐるぐる巻きになっています。
医者が彼に近付きます。

医者:それでは診てみましょう。

医者が包帯を外し始めると椅子の男は親指を走らせて大きな緑のビーズのネックレスをつかみます。
医者がノート型コンピュータに調べる物をしに患者から離れると男は露出した顔を見ようと鏡を取りました。
医者がパソコンにキー入力するとモニタにはモーガン・エッジの顔写真が現れ整形手術の箇所を示していました。

医者:これであなたは別人だ。
エッジ:(顔に触れ)見知ら顔になったな。
医者:(クスクス笑い)それが望みだったのでは?
エッジ:(首に触れ)のどが痛いな。
医者:声帯の腫れが治まればもっとよくなるでしょう。

エッジが再び鏡を顔の前に持ってくると彼の後ろにレックス・ルーサーが立っているが映っていました。

レックス:(皮肉に)個人としては、ソサエティとしての顔があまりも重要だと思うが。
     重要なのは個性だ。そうは思いませんか、エッジさん?

エッジはゆっくりとイスを回転させレックスと対面します。

エッジ:誰かと間違えてないか。
レックス:(エッジに向かって歩き)あなたは顔、髪、声を変えることができる、しかしDNAだけはできない。それが悩みだろう。

エッジがレックスを見つめます。
レックスの背後で銃の撃鉄の上がる音が聞こえるとレックスは銃を構えている男に頭を向けました。

レックス:俺が5分でここから立ち去らなかったら警察に通報するようにしてある。
       (背中をエッジに向け)
     そして親父に知らせるだろう…あなたが埠頭で死んでいなかったことをな。
     多分親父は誰かを差し向けるだろう。

エッジが椅子から立ち上がりレックスに向かってゆっくりと歩きます。

エッジ:何が望みだ?
レックス:(少し腹を立て)あなたと親父が子どもの頃、俺の祖父母を殺そうと企てた…

レックスはわずかな痛みにたじろぎ首筋に手をやると、少しずつ呼吸が苦しくなってきました。

レックス:(継続します)…そして保険金を分けあった。
エッジ:何の話だ、レックス?率直に言ってお前は妄想をいだいているように聞こえるぞ。
レックス:いや、俺は証拠を持っている。だが親父を追い詰めるのにもっと動かぬ証拠が欲しい。

エッジがレックスを凝視します。

レックス:(ビデオカメラを掴み)あなたが全て話てくれれば親父は刑務所に行く。
     そしてあなたは新しい人生をその顔とともに送る事ができるようにしてやれる。

エッジとレックスはお互いを探りあいます。
レックスが見ているノートパソコンのモニタには、モーガン・エッジが話をしているビデオが流れていました。

エッジ:(テレビカメラの前で)俺が建物を爆破した。
      ライオネルは自分より劣っている父親を追い出し母親をもわなに嵌めた。
      スラム街の悪徳家主は保険金を俺たちと分けあった。
      ライオネルのスタートはそこから始まった、後は知っての通りだ。

レックスはビデオを見て頭痛がするかのように目を閉じて目頭を押さえました。
書斎ドアがノックされレックスはビデオのスイッチを切ってパソコンからカメラを取り外すと
彼のボディーガード、ダリウスが入ってきました。

ダリウス:お仕事中申し訳ありません、しかしお父上が再び尋ねてきましたので。
      あなたが言われたようにここにはいないと言っておきました。
レックス:(穏やかに)心配そうだな、ダリウス。 リラックスしろ。 (カメラの結線を集めて立ち上がります)

ダリウスはレックスにわずかな微笑を向けると辺りの様子を窺い机の後ろの本棚を目指します。
ダリウスが部屋を出て行くのをレックスは肩越しに見つめていました。
ダリウスがドアを閉じるとすぐにレックスは本棚の下に手を伸ばしてスイッチを押しました。
棚が反転して隠し金庫が出てくると暗証番号を入力して金庫を開ます。
その時頭上では天窓のところに黒い服を着た人影がガラスを切り取っていました。
レックスは金庫の中にビデオカメラといくつかの書類を置きます。
彼の上で黒服の人影は音を立てずにガラスを天窓から取りはずしました。
黒服は書斎の中にロープを下ろしてロープを伝って降りてきました。
着陸するとベルトから銃を引き抜いてレックスに向けます。
レックスは金庫を閉じると本棚に銃のレーザーポインターを見ました。
レックスは床に伏せると大声でボディーガードを呼びます。

レックス:(叫んで)ダリウス!

一発目が撃たれると分厚い本が叩き落とされました。
ダリウスが入ってきて銃を引き抜きます。
黒服がダリウスに向かって発砲するとダリウスはその場で床に落ちていきました。
レックスはダリウスが撃たれ床に沈むのを見てまたかがみ込んで机の後ろにさっと移動しました。
書斎の外に出ようと脇のドアにダッシュして回り込むと黒服は発砲しますが外しました。
レックスは廊下を走って逃げますが角を曲がったとき別の黒服が待ち構えていました。
彼は別の黒服が大きな窓の前の廊下から来るのを見て他の方へと走り、
廊下にあった小さな彫刻をつかむと黒服に投げつけます。それは黒服の頭にぶつかりのびてしまいました。
レックスは叫びながら窓に向かって走りガラスを粉々にして飛びだし建物から飛び降り地面にぶつかりうなります。
黒服が壊れた窓に現れるとレックス向かって発砲してきました。
レックスは立ち上がると足を引きずって銃弾がかすめる中逃走します。

翌朝のケント農場では。
小屋でクラークが屋根裏の階段を登って机から何冊かの本を掴みます。
クラークが本を取るとその向こうに目の上を切って血だらけになったレックスが床の上に倒れているのを見つけました。

クラーク:(驚いて)レックス!
レックス:(やっと立ち上がり)お前一人か?
クラーク:(心配そうに)ああ。一体何があったんだ?

レックスは不安そうに周りにちらっと見て屋根裏の向こう側の窓の外を見るため片足を引きずります。

レックス:誰かが昨夜俺を殺しにきた。
クラーク:(急いでレックスの側にいき)早く病院に行かないと。警察に電話をするよ。
レックス:だめだ、病院はだめだ。警察もだめだ。あいつらはプロだ。ボディーガードのダリウスが殺された。
     俺も殺そうとしていた。(クラークから逃げるように)ただ考える時間が必要なんだ…
クラーク:誰が君を殺そうとするんだ?
レックス:(深刻に)知らない方がいい事もある。
クラーク:(怒って)レックス、何があったのか教えてくれなきゃ、手を貸すことができないだろ!

レックスは一瞬の間クラークを探ります。

レックス:おそらく親父だ。
クラーク:(信じられないというように)あの、君たちが色んな問題を抱えてるのは知ってる、でも本当に殺そうとしているなんて?
レックス:親父かあるいはモーガン。エッジだ。
クラーク:(心配そうに)モーガンエッジ。

レックスはクラークがモーガン・エッジの事を少しでも知っている事に驚いてクラークを見ました。

クラーク:(隠そうとして)奴は数カ月前に銃撃戦で死んだって新聞に書いてあった犯罪者のボスだろ?
レックス:奴は生きていた… 地下に潜ってどこかのニセ整形外科医に顔を変えさせたんだ。
クラーク:でも君には関係ないだろ?
レックス:俺は親父と奴の証拠を握っている、二人の死刑が確実になるな。

その証拠は今朝合衆国弁護士に届けられるはずだった。

ジョナサン:(下から)クラーク? お前なのか?

クラークがジョナサンの声を気にしてちらっと見ます。

レックス:(ささやき)だがそれは俺の金庫の中なんだ、クラーク。俺は取りに戻る事ができない。

レックスはトランクの後ろにしゃがみこみます、それでジョナサンには見つからないでしょう。

ジョナサン:(階段の一番下で)クラーク?
        (クラークがいると分かり)
       ここで誰かと話をしていると思ったが。なあ、牛も起きているから降りて来て乳絞りを手伝ってくれないか。
クラーク:ゴメン、父さん。もう少し詰め込み勉強するから待っててくれないかな。

クラークが父親と話をしているとき、レックスは痛みで再び首筋に手を当てトランクの後ろに屈みこみました。

ジョナサン:分かった。Aを取るのを期待してるぞ(クラークににっこり笑います)
クラーク:(うなずきながら)分かったよ。

ジョナサンが行くとクラークが後ろのレックスに振り返ります。レックスは立ち上がりました。

クラーク:(大急ぎで)分かったよ。僕が金庫にある物を持ってくるよ。
レックス:(心配そうに)ダメだ、ダメ、それはあまりにも危険だ、クラーク。 屋敷にいる者は全員疑うべきだ。
クラーク:大丈夫、もし誰かが聞いてもただバカを演じればいい。君に会いに来たって言えばいいさ。
      (深刻に)正確に何が起きたの言ってくれよ。

レックスの書斎に入るクラーク。
書斎はどこにも損傷はなく、前夜に襲われたときに撃たれた壁も窓ガラスも事件の証拠は何もありませんでした。
クラークは注意して見回します。
彼は上の天窓をちらっと見てそこにもなんの損傷もないのを見ます。
クラークは本棚に近づきます。
スイッチを押すと棚は反転しました。
レックスから渡された鍵を指し暗証番号を押します。
金庫が開くと中は完全にからになっているのを見いだしました。
クラークは廊下に出てレックスが逃げ出したという窓に向かって歩いていきました。
用心して窓を見ますが壊れていない事に肩をすくめ、混乱して頭を振ります。
背後の部屋からレックスのボディーガードの一人が出てきました。

ボディーガード:ケントさん。なにか御用でも?
クラーク:レックスに会いにきたんだけど。
ボディーガード:(クスクス笑い)まだ皆さん眠ていますよ。
クラーク:(奇妙に)ダリウスさんは勤務中ですか?
ボディーガード:今晩は休みです。
クラーク:(穏やかに)深夜勤務を押し付けられたんだ?残念でしたね。

ボディーガードと話しをしている間にクラークは廊下をさっと見渡しながらX線ビジョンを使います。
廊下の演壇の後ろの隅にガラスの破片を見つけました。

クラーク:何か異常な事が起きたんですか?
ボディーガード:(肩すくめ)何も、あなたが来た以外は。
クラーク:(微笑し)分かったよ、じゃあ僕はもう帰ります、それじゃ、うーん…

クラークがは鍵を取ろうとポケットに手を突っ込み故意にガラスの破片の近くの床に鍵を落としました。
そして鍵を拾う振りをしてガラスの破片をつかみました。

クラーク:(立ち上がると)ダリウスさんに僕が来た事を伝えて置いてください。

クラークが立ち去るのをボディーガードは見つめていました。

ケントの小屋の屋根裏でクラークがウロウロと歩き回っていました。

クラーク:レックス、話すけどまるでトワイライトゾーンだったよ。何もなかったように元通りだった。

レックスはきれいなシャツに着替えボタンを止めていました。

レックス:撃たれるとは想像してなかったよ、クラーク。奴らは痕跡を隠すために元通りにしたに違いないな。
クラーク:(ポケットから赤いステンドグラスの破片を引っ張りだし)ああ、そうだね、彼らはミスしたよ。廊下でこれを見つけた。

レックスはクラークから破片を受け取ります。

クラーク:誰かが行方不明なのを知っているかと思ってダリウスの家に電話をしてみたんだ。
     でも留守番電話によれば奥さんと子供たちは祖父母の家に行くのを止めている。
レックス:(ガラス破片を調査しながら)ダリウスは今ごろはおそらくクレーターレークの底だな。
クラーク:連邦検事に電話するべきだよ。
レックス:そして何と話す?
      奴も初めからライオネル・ルーサーと同じぐらい力のある者の後について行くことに怯えている。
      奴がガラスの破片で令状を出すとは思えないな(ガラスの破片を持ちながら)。
クラーク:君の話を誰か証明できる物があるのかい?

レックスは少しうなずいてクラークを見ます。

トーチオフィスのクロエ。

クロエ:(心配して)じゃあ、レックスは大丈夫なのね?
クラーク:幻覚を見たみたいなんだ…かなり動揺しる、でも大丈夫だ。どうしてこんな事になったんだと思う。
クロエ:あー、あたしはただライオネル・ルーサーのことを調査してた事を言っただけ。
    子どもの頃はかなりすごかった事が分かったわ。
クラーク:モーガン・エッジと?
クロエ:ええ。レックスが興味を持つと思ったんだけど、あたしはそうは思わなかったんだけど、
    レックスはエッジとライオネルが祖父母を殺したって言ってたわ。
クラーク:(心配して)クロエ、危険だ。君も狙われる。レックスも僕もこれが終わるまで君は隠れている方がいいと思う。
クロエ:(少し怖がって)ダメ、安全なんかないわ、この事を知ってる人は皆危険にさらされるのよ!
クラーク:(決心して)まあ、君一人を置いていくつもりはないよ。ノートパソコンを持って付いてきて。

クロエはクラークと意見が合わないことを知って彼を見つめます。

ケント農場では。
クラークとクロエが小型トラックで止まります。
彼らがトラックから出て行くとはマーサとジョナサンとライオネルが納屋の前で立っていて二人は近づきましたました。

ライオネル:(クラークに手を伸ばいやいやながら握手をします)こんにちは、クラーク。
       (クロエの方に向いて手を伸ばし)サリバン君だったね?
クロエ:(彼の手をとり)ええ。
ジョナサン:クラーク、ルーサーさんは何かお前と話をしたいそうだ。
マーサ:深刻な話じゃなければいいんだけど。
ライオネル:君はレックスに会ったかね、クラーク?

クラークは両親をちらっと見ると答えなさいというように頷きました。

クラーク:この数日はありません。
ライオネル:レックスが行方不明なんだよ。彼を見つけないといけない。
クラーク:ルーサーさん、僕はレックスをよく知っています、もし彼があなたに会いたければ、その内会いに来るんじゃないですか。

クロエはクラークの言葉に驚きクラークとライオネルの顔を見ました。

ライオネル:(深刻に)レックスはひどい病気なんだ。助けを必要としている。
クラーク:(驚いて)どういう事ですか、病気って?
ライオネル:精神分裂症のけがあるんだ。 レックスは以前にも精神分裂症を発症した…

クロエがぼう然としました。

クラーク:(信じられずに)そんはずは。
ライオネル:あの島にいた時に発症したんだ。
       私はもう治っていたと思っていたんだが、うーん…再発をしたんだろう。
       あの子は偏執性の妄想で苦しんでいる。
       聞こえるはずのない声を聞き、あるはずのないものを見ている。

ライオネルは哀れそうな顔でクラークを見ます。

ライオネル:(感情的に)私は息子が必要なんだ。帰ってきて欲しい。
       もし何か聞いているなら、クラーク、助けて欲しい。息子を連れ戻しケアをしなければならんのだ。

クラークはライオネルを信じるべきかどうか迷いながらも心配そうに見ています。
小屋の中から壁の隙間を覗くレックスは表に皆が集まっているのを見ます。
壁から顔を逸らし離れるとレックスの表情には心配の色が浮かんでしました。

クラークが小屋の一階に入るとレックスを捜し回わります。

レックス:(小さな声で歌をうたい)泣かないで赤んちゃん…何も言わないで…
      買ってあげようモノマネドリを…もしモノマネドリが歌わなければ…
      買ってあげようダイヤモンドの指輪を…
      もしダイヤモンドの指輪が真ちゅうになったら…
      買ってあげよう…

クラークは歌声のする方に向かって歩きます。
クラークが角を曲がってレックスを見つけると彼は背を向けイスに腰掛け何かを抱いてあやしていました。

クラーク:(心配して)レックス、ここで何をしてるんだい?

レックスは頭だけ振り向いて肩越しにクラークを見ます。

レックス:(ささやき)赤ん坊をあやしてるんだ。泣いていたからな。親父が起こしたんだ。

レックスは腕に抱いてあやしている物に穏やかな微笑を向けました。

クラーク:(混乱して)赤ん坊? 赤ん坊ってなんだい?

レックスは微笑んで腕に抱いてあやす「赤ん坊」を見せます、しかしそれは丸めた毛布でした。
レックスはクラークに笑みを向けながら毛布を抱いていました。

レックス:(誇らしげに)弟のジュリアンだ。

レックスが毛布を撫でてそれにほほ笑み続けるのをクラークはただ悲しげに見ていました。

クラーク:レックス…
レックス:(決して毛布から目を離さず指を唇に押し当て)しーっ…しーっ。眠っているんだから。

クラークが驚いて見つめていると、レックスは再び「赤ん坊」に歌い始めます。

レックス:(静かに)…もしダイヤモンドの指輪が真ちゅうになったら…

レックスはクラークを見上げて微笑むと、また後ろ向きになり歌を続けました。

レックス:(静かに)・・・。買ってあげよう手鏡を…もし手鏡が壊れたら…買ってあげよう少いさなおもちゃのボートを…
       (毛布を揺り動かしながら)しっ。 しっ。 ダメ、ダメ。

ケント家の庭ではクラークとジョナサンとマーサは話をしてながら立っています。

マーサ:赤ちゃんはレックスの想像力の産物なのね?
クラーク:ジュリアンという名前の弟がいたんだけど、レックスがまだ子供のとき亡くなってるんだ。
マーサ:(同情的に)まあ、それは心に傷を負ったはずね。
クラーク:とにかく、今はクロエと一緒にいるよ、そして…ほとんど大丈夫だと思う。
     そうじゃないな、今は赤ん坊を抱いていると思うそれも完全に思い込んでる。
ジョナサン:(怒って)クラーク、私達に話しもしないで小屋に彼を隠しておくなんて理解できないぞ!
クラーク:父さん、レックスは怖がっていたんだ。それにライオネルが殺そうとしていると思っている。

マーサは心配そうに見ています。

クラーク:彼はモーガン・エッジがまだ生きてるって言ってた。
ジョナサン:モーガン・エッジ?
クラーク:奴が関係してるんだ。
ジョナサン:(腹を立てて)モーガン・エッジはお前の全て力を知ってるんだぞ。クリプトナイトでお前を殺すことができることも。
       どうして私達にその事を話さなかったんだ?!
クラーク:(マーサをちらっと見て)他にももっとあるんだ。
ジョナサン:他にもっていうと?
クラーク:モーガン・エッジは整形手術をしたって言ってた。たとえ奴が現われたとしても僕らはそれが奴だとは気づかない。
ジョナサン:(信じられないというように)それじゃモーガン・エッジは生きていて整形してるって言うのか。

クラークはうなずきます。

ジョナサン:クラーク、お前はそれがレックスの妄想だとは思わないか?どうだ。

クラークは狼狽しているように見えます、そしてマーサが進み出ます。

マーサ:(同情的に)あなたがこんな状態のレックスを見るのがどんなに辛いか分かるわ、
     でも彼には精神科のお医者様が必要なのよ。

ジョナサンはクラークの肩越しに見るとジョナサンの表情は物凄く心配そうに変わりました。
クラークが振り向くと底にはレックスがいて彼の顔には失望に耐えている表情を見ました。
クラークがやましげに彼を見ます。

レックス:(悲しげに)やっぱり普通の人間だったな、そして、全て上っ面だけだ。
マーサ:(なだめるように)レックス、分かって、私達はあなたにとって一番いい方法をしてあげたいの。
レックス:(怒って片足を引きずりながら近づき)自分の息子だからってわざとらしくかばうんじゃない。
     (皆に)あんた達が話をしているのを聞いていた。リトル・ケント団か…(非難がましく)そんなとこなんだろ?
     それに秘密主義で。俺を精神病院に送ろうと企んでいた。

マーサとジョナサンが頭を振るとクラークがやましげに見ます。
クロエが角を曲がって走ってきてレックスの隣に止まります。

クロエ:(息を切らして)止めようとしたんだけど。ごめん。

レックスはさらに気が動転してクロエに振り返ります。

レックス:(怒って後ろのケント一家に向き)全員で俺を見張ってるのか?

レックスが踵を返し片足を引きずって歩き出すとクラークは彼の腕をつかみました。

クラーク:レックス!どこに行くんだ?
レックス:(決意して)モーガン・エッジを探し出して俺の頭がおかしくないことを証明する。
クラーク:(小さな声で)レックス…
レックス:(問いただす)お前は俺と一緒に来るのかそれとも俺をまだ、クラーク。今すぐ選択しろ。

クラークが申し訳なさそうに後の両親をちらっと見ます。

ジョナサン:クラーク。

両親に目配せしたクラークはレックスの元に行きます。
マーサとジョナサンはお互いに心配そうな顔つきをしました。

ケント農場のトラックにクラークとレックスが乗っています。
クラークは倉庫の後ろにトラックを止めると倉庫の窓を見ています。

レックス:お前は車で待っていてくれ。
クラーク:(トラックドアを開け)ダメだ、レックス。僕は君を守るために一緒に来たんだから。

二人はトラックから降りて倉庫を目指して進みます。

倉庫の中。
機械の動く音が倉庫を満たします、そしてクラークとレックスは目の前の光景を出入り口に立って見ています。
レックスは倉庫の中を歩き息を荒げます。中は衣類を縫うためのミシンと作業員でいっぱいでした。
痛みにレックスは再び首に手をやります。

クラーク:(レックスに近づき)レックス、多分場所を間違えたんだ。
レックス:いや、違う。この場所だった。ここだ、ここにエッジがいたんだ。
クラーク:それは昨日のことだろ。それにここにいる人達はずうっとここにいたようじゃないか。
レックス:(陰謀を企むように)思わないか?これはもみ消しの一環だ、クラーク。いや、これはそんな単純なもんじゃない。
     (作業員や機械に向かって手を指し)少数のマシンや数名の労働者を導入…
クラーク:姿を隠してるのに、レックス、どうして問題を起こそうとするんだ?
レックス:(いらいらして)分からないんだ、クラーク!

クラークは手を伸ばしてレックスの肩を掴むと振り向かせました。

クラーク:レックス…よく思い出してみるんだ…今までの事は全て想像上のものだとは思わないかい?

レックスはその言葉を考えているようにみえます。それからクラークを押しのけて責任者らしきアジア系の男をつかみます。

レックス:(怒って)モーガン・エッジはどこだ? エッジはどこにいる?

おびえた男は英語を話せず母国語で何かを言いますが理解できません。
レックスは男を無理やり近くのミシンに連れて行くと腕をつかんでミシンの上に男の手を押さえつけます。

レックス:(叫び)俺に奴がどこにいるか聞いているんだ、さもなきゃお前の手をこの機械で縫ってやるぞ!

他の作業員は悲鳴を上げます、そしてクラークは男からレックスを引きはがそうとします。

クラーク:レックス、この人は言葉を理解できないんだ!

男は母国語で再びクラークとレックスにどなり始めます。

クラーク:(なだめるように)さあ、行こう。
レックス:(クラークの腕を振り切り)分かったよクラーク、お前の勝ちだ。
       (ポケットからガラスの破片を取り出し手のひらに乗せますが手は震えていました)
      だがこれも俺の想像だと言うのか?ん?

男は彼らを追い出そうと外国語で再び彼らにどなります。

クラーク:(レックスの腕を引き)行こう。
レックス:(男に怒って叫びながらガラスの破片を振り回し)はあ?これも俺の想像だっていうのか?!

クラークがレックスを引っ張ると男は慣れない英語で「行っっちまえ!」と大声で彼らにどなり続けます。

クラーク:さあ早く。

ルーサーの屋敷、夜。
レックスの書斎をレックスとクラークが見回します。

レックス:(いらいらして)そこら中にもっと多くの証拠があるはずだ。
クラーク:保安官を呼ぶべきだ。科学捜査班を呼んでもらって。

レックスは困惑した顔で首筋をさすりながら部屋を見回ります。

クラーク:どうしたいんだい、レックス?

二人の後ろからよく知られた声が聞こえてきました。

ダリウス:ルーサーさん。

レックスとクラークが振り向くとダリウスが出入り口に立っているのを見ました。

レックス:(ぼう然として)ダリウス。生きているのか。

レックスは困惑気味のダリウスに向かってゆっくりと歩きます。

ダリウス:我々はあなたのことを心配していました。

レックスはダリウスに近づき指を差します。

レックス:(非難がましく)お前もこれに関係しているのか?
ダリウス:(混乱して)何の事でしょうか?

レックスは困惑しているダリウスを疑い深く見つめたまま指差しを続けます。

クラーク:レックス…

クラークがダリウスからレックスを引き離します、そしてレックスは混乱して少しよろめきました。
彼はバーに行くと震える手でグラスにスコッチを注ぎ一気に飲み干しました。

クラーク:(心配して)大丈夫か、レックス…

ドアは開き誰かが入ってきました。

フォスター:レックス。

過激な目をしたレックスは振り向くとフォスター医師の方へと近づきます。

フォスター:ああ、よかった。私達はずいぶんあなたを探していたんですよ。

レックスはクラークに向きを変えます。

レックス:(非難がましく)お前が彼女を呼んだのか?!
クラーク:彼女が誰なのかも知らないのに。
レックス:彼女は俺の精神科医だ。
       (フォスター医師に向かって歩き)
      お前は彼女がたまたまここにいるなんて少し都合が良いと思わないか。

フォスター:ボディーガードが私を呼んだんです、レックス。私と一緒に来てください。
レックス:(疑い深く)いや。ダメだ、俺はどこにも行かないぞ。
      誰かが昨夜俺を殺しにきた。俺は窓から飛び出たんだ!見ろ、証拠だって持っている。

レックスはガラスの破片をフォスター博士の顔に向かって差し出します。

フォスター:(穏やかにレックスの手を押し下げ)窓は壊れていました。

フォスター医師は医療バッグのところに行くと中から花びんを取り出しました。

フォスター:(継続して)あなたは最後のセッションの時に腹を立てて廊下の窓にこの花びんを投げたわ。

レックスはフォスター医師から花瓶を受け取ると、彼女はバッグに戻って注射器を取り出しました。

レックス:(ぶつぶつ言いながら花びんを見て頭を振り)違う。違う。
フォスター:楽になる注射をしますね。

クラークが心配してダリウスを見ます。レックスはフォスター医師から薬ビンと注射器を取ります。

レックス:(疑い深く)これは何だ?ああ?何らかの幻覚剤か?
フォスター:それは鎮静剤よ。
レックス:(非難がましく)いや、違う、あんたは親父の手下だ。
      (後ろに踏み出すとダリウスにぶつかりました)俺の頭をおかしくするために麻薬を打つ気だな!
フォスター:あなたを病院に連れて行く必要があるの。
ダリウス:(なだめるように)大丈夫ですよ、ルーサーさん。何も問題はありません。大丈夫ですよ。

レックスはダリウスのベルトに手を伸ばすと彼の銃をつかみます。

レックス:(ダリウスに銃を向けて叫び)伏せろ! (フォスターの方に向きと)お前らもだ!伏せていろ!
クラーク:レックス!何をしてるんだ?
レックス:そこに伏せていろ!

クラークがレックスとフォスター医師とダリウスの間に立ちはだかります。

クラーク:レックス、銃をよこすんだ。 さあ早く。

レックスはクラークに対して銃を向けます。

レックス:(急に声の調子が変わり)ダメだ、クラーク、もし奴らが俺を病院に連れて行けば、
      俺は殺されるか、あるいは残りの人生をクッション壁の部屋でよだれを垂らしてすごすことになる!
クラーク:(訴えるように)なぜそんなことをする必要があるんだい?
レックス:(また急に声が変わり)それは完ぺきな計画だ、クラーク!
      世の中の誰もが俺の頭がおかしいと考える限り誰も俺が親父とモーガン・エッジについて
      何を見つけたのか信じないだろう!考えてみろ、クラーク。
フォスター:(穏やかにクラークに)あなたの友達は重い病気なの。この陰謀論は彼の症状の特徴よ。
レックス:(フォスターに)黙ってろ!

レックスは震える手に銃を握り締め銃を向けたまま目を離さずにクラークに話をします。

レックス:(涙ぐんで)多分俺は頭が狂ってるんだ、クラーク。
     正直いってこれ以上分からない。だが俺が正しかったらどうだ?
      (クラークを見て)お前は本当に俺を施設に入れさせるつもりなのか?

クラークが対立のはざまで困窮しているレックスを見ます。

スモールビルの馬屋。
ラナがクーラーバッグを運んで入ります。 彼女が馬屋の中に入りながら辺りを見回します。

ラナ:ねえ?ここにいるの?

クラークが馬屋から出てくるとラナは驚きます。

クラーク:ごめん。脅かすつもりじゃなかったんだ。
ラナ:あなたの伝言を受けとったわ。食べ物を持って来た。こんな真夜中にここで何をしてるの?

ラナに馬屋の中が見えるようにクラークは脇によけました。
レックスが干し草の梱の上に座り首を垂れぼんやりと手を見つめ呆けているように見えます。
ラナは驚いて息をのみレックスの所へいくと彼の脇にひざまずきました。

ラナ:(静かに)レックス。 どうかしたの?

レックスは手を見つめ続け応えません。

クラーク:彼は麻薬を打たれているかもしれないんだ。
     皆が彼を探してる、僕は彼を農場に連れて帰る事ができなくて、
     それで君がこの場所を知っている事を思い出したんだ。

ラナは立ち上がるとクラークに向かって歩きます。

ラナ:(怒って)どうして私に話してくれなかったの?
クラーク:何故って、もしレックスが正しいなら関係した者は皆が危険にさらされる。
     それにもう君を決して危険にさらさないと自分に誓ったから。
ラナ:(心配そうに)全くどうして私達が心配してるのに?
クラーク:分かればそれに越したことはないさ。 (間があり)彼と一緒にいて欲しいんだ。
ラナ:あなたはどこに行くの?
クラーク:クロエに渡すものがあるんだ、彼が麻薬を打たれているのを証明する証拠をね。
     彼女は見張られているはずだからここに来ることはできないんだ。
レックス:心配するな、ラナ。 (少し微笑し)君に全てを話そう。
クラーク:(小さな声でラナに)注意して。今の彼は彼じゃない。
ラナ:(ささやき)行って。

クラークが出て行くとラナはレックスのところに戻り隣にひざまずいて穏やかに彼の腕をさすります。

自分の車で外で座っているクロエ。
彼女が不安そうに辺りを見回しているとクラークの彼のトラックが隣に止まりました。
彼女が近づくとクラークは窓越しに顔を出しました。

クロエ:やあ。
クラーク:ここで待たせて悪かったね。
クロエ:いいのよ。

クラークがクロエにフォスター医師の持っていた薬のビンを渡します。

クラーク:あのさ、これが幻覚を起こす薬なのかどうか調べたいんだけど。
クロエ:(ビンを受け取り)オーケー、あたしの伝の薬理学ラボで調べてみるわ。
クラーク:それと、僕はクレア・フォスター医師と二人のボディーガードをチェックする。
     もし陰謀なら彼らはおそらく関与しているはずだ。

クラークがトラックを始動させようとするとクロエが彼を止めます。

クロエ:クラーク、あたしレックスのカルテをいくつか探り出したの。

クラークは心配してクロエを見ます。

クロエ:明らかにこれが最初じゃないわ…前にもこれと同じ症状があったの。
クラーク:何の話?
クロエ:あのね、レックスは弟が死んだ後寄宿学校に戻ったの。
    そしてそのすぐ後に、彼は少し症状が現れだしたんだ…かわいいビザロ行動をね。
クラーク:「ビザロ」ってどういう意味だい?
クロエ:(ためらいがちに)僚監が真夜中に子守り歌を歌いながら鐘突き塔に毛布を抱いて座っているのを見つけたんだって。

クラークの顔は気落ちした表情になります。

クロエ:いい、あなたが信じてるのと同じぐらい陰謀の可能性があると信じてるわ、
    でもレックスの心が壊れている可能性もあるからその準備もしておいたほうがいいと思うの。

クラークはため息をつきクロエの言ったことを考えました。

馬屋ではレックスとラナは干し草の梱の上に座っています。
そしてレックスはラナが持って来たサンドウィッチを食べています。

レックス:(丁寧に)来てくれてありがとう、ラナ。

ラナは笑顔を向けるとレックスの腕を軽く掴み立ち上がりました。

ラナ:あなたを助けることができてうれしいわ。

ラナは魔法ビンを取るとレックスのために一杯注ぎます。
彼女はカップを差し出すとレックスは感謝してほほ笑んで受け取りました。
彼は口にカップを当てますがためらいました。

レックス:(疑い深く)これは何だ?
ラナ:(微笑し)カモミールよ。リラックスする効果があるわ。

レックスは皮肉っぽくクスクス笑って液体を調べます。

レックス:(小さな声で)うそつき。
ラナ:(心配そうに)何?
レックス:(怒ってカップをほうり投げ)うそつきと言ったんだ!

レックスが干し草から立ち上がるとラナは後ろに退きます。

ラナ:(怖がって)レックス、どうかしたの?

レックスは彼女の手から魔法瓶を取り上げるとそれをほうり投げました。

レックス:(怒って)俺に麻薬を飲ませようとしているんだな!
ラナ:そんな事絶対にしないわ!

レックスは馬屋から片足を引きずりながら出て行きます、そしてラナは彼を止めようとして追いかけます。

レックス:君を信頼すべきじゃなかった!
ラナ:(レックスの後を追いながら)レックス、待って!

レックスが振り向くとラナは腕をつかみます。

レックス:俺に近寄るな!

レックスは馬屋のドアにラナを投げます。
ラナは馬屋に転がりドアが閉まると中の馬を驚かせます。
馬は立ち上がり始めます。
レックスは一度振り返えると小屋から大急ぎで片足を引きずって行きます。
馬屋の中では馬が怒って嘶きを上げ後ろ足で立ち上がっていました。
ラナは恐る恐る馬を見て早く馬屋から這い出ようとしました。
しかし彼女の動きは鈍く馬は蹄で繰り返し彼女を攻撃しました。彼女は馬屋の床の上で気を失ってしまいました。
クラークが小屋の中に超スピードで駆け込んできました。
彼は慎重に少し落ち着いた馬をちらっと見ますがまだ興奮していました。

クラーク:(ラナの脇にひざまずき)ラナ?

馬屋の床には彼女の足が明らかに不自然な角度に曲がった状態で気を失っていました。

場所は道路に移り。
トラックが道路を進んでくると一人の男が道路に出てきて手を振り車を止めようとしました。
運転手は気づくとトラックを止めます。男はレックスで運転手の方側のドアへと片足を引きずって行きます。

運転手:なんかあったのか、あんちゃん?

レックスは返事をしません。
その代わりに彼はトラックの中へと手を伸ばし運転手の頭を掴むとハンドルに打ちつけ気絶させました。
レックスはトラックのドアを開け運転手を引き摺り下ろし道路の端へ引きずって行きました。
気を失った運転手を道路の側溝に投げ入れると片足を引きずりながらトラックに戻って行きます。
トラックに入るとフロントシートの後ろの銃のラックにショットガンが備え付けられているのを見つけました。
彼は銃を取るとトラックのタイヤに隠れるようにして走り去ります。

スモールビル病院の中では
クラークが部屋の外から窓越しにベッドに横たわるラナを見て立っています。
彼女は呼吸マスクを付け色々な機械に囲まれ意識不明の状態でした。
ライオネルが近づきクラークの隣に立ちラナを見舞いました。

ライオネル:いいかね。君らの誰かが現実に起こったドンキホーテのようになることは思いもしなかったよ。
       想像上の敵と格闘し、あるいはサンチョ・パンザのように自分の主人が危険であるにもかかわらず
       空想に付き合う忠実な従僕の役をするなんてな。

クラークがライオネルを睨み付けて歩き去り始めます。

ライオネル:(すぐに)ちょっと待ちなさい。どこに行くんだね?

クラーク:レックスを見つけるつもりです。 (脅かすように)もし僕があなただったら用心しますよ。
      レックスに起こっている事の責任はあなたにあると思っています。
ライオネル:(あざけるように驚いて)おやおや、君の心使いに感謝するよ、
       だが君も私もお互いどちらが悪いか知っているはずだ。
クラーク:(怒って)ルーサーさん、僕は…
ライオネル:(怒って大声で妨げ)いやいや!聞きたくないぞ。
       もし君が私の言葉に耳をかたむけていてくれたら、レックスはすでに必要な手当てを受けていただろう、
       それにラング君もここで生命の境をさまようことはなかったはずだ!
クロエ:(ライオネルの後ろから)クラーク?

ライオネルは振り返りクロエを見ます。

クロエ:(心配そうに)大丈夫なの?
ライオネル:(再びクラークに向き)だがクラーク君、私の事は心配しなくてもいい。
       私のボディーガードは私を守るためによく訓練されている、それに、うーん、私の息子を見つけるだろう。
       (クロエとクラークの顔を見比べ)今は君たちがこれ以上のどんな被害も受けないうちに家に帰ることを強く提案するよ。

クラークがただライオネルを睨み付けます。ライオネルは踵を返し立ち去ります。

ライオネル:(クロエの脇を通過するとき)サリバン君。
クロエ:(クラークに近づき)薬の分析ができたわ。ただの普通の鎮静剤だったわ。

クラークの顔は気落ちした表情になります、そして彼はラナを見るために後ろの窓に向きます。
彼女の足は何本もの金属のワイヤーとプレートで吊られ固定されていました。

クラーク:(悲しげに)ライオネルが正しかったな、クロエ。僕が間違っていたよ。
クロエ:(元気づけるように)多分違うと思うよ。レックスに幻覚を見せる薬は沢山あるわ。
     ねえ、問題はそこよ、どうやってそれが彼の体に入ったのか。
クラーク:(考えるためにひと呼吸おき)屋敷だ。全てがそこで彼に盛られたんだ…食べ物、飲み物。
クロエ:それならおそらく何週間もの間、彼に薬を飲ませることができたはずよ。

クラークがクロエを見ると彼の顔は理解したという顔つきをしました。

レックスの書斎にクラークがドアを開け放って大またで中に入っていきました。

クラーク:(はっきりと)どうやってやったんだ?

ダリウスはわきに雑誌を放って椅子から立ち上がります。

ダリウス:何の事だ?
クラーク:(非難がましく)レックスにどうやって薬を盛ったんだ。
ダリウス:(クラークに近づいて)いいか、俺はどこぞの農場の少年がこの中に入ってきて
      いきなり俺に重罪の告発をしているのはありがたくはない。

クラークがダリウスの腕を掴むと物凄い勢いで床にダリウスをねじ伏せ彼の腕を後ろに回しねじ上げました。
ダリウスは痛みと驚きで呻きます。

クラーク:農場の少年を過小評価しないほうがいい。あの全ての干し草を束ねることはあんたより強くなれるんだ。
ダリウス:(痛みで)冗談じゃないぜ、俺の腕を折る気か!
クラーク:レックスに薬を盛ったのが誰なのか言えばそんなことはしないさ。

クラークがもう一度ダリウスの腕をねじります。

ダリウス:(痛みでしかめっ面をし)スコッチだ.。

クラークがバーを見上げてスコッチのデカンターを見ます。彼は再びダリウスの腕をねじります。

クラーク:(叫び)誰の差し金か言え!
ダリウス:誰なのかは分からない、いいか?携帯の電話番号しか分からない。
クラーク:(要求する)それじゃあ呼び出すんだ。
      出た人間にバッグいっぱいのベンジャミンを持って正午までにスモールビルの馬屋に来るように言うんだ、
      さもなきゃ警察に行くぞ。
ダリウス:(信じられずに)何て…ガキなんだ、頭がおかしいんじゃないのか!
      この人達はお前の買収なんか受けないぞ。お前を殺そうとするはずだ!
クラーク:(耳元に)それがチャンスだ。

ライオネル・ルーサーのオフィスにライオネルはボディーガードにドアを開けさせ悠然と入ります。

ライオネル:ありがとう、マイク。

ボディーガードはオフィスの中にドアの脇のキーパッドに暗証番号を入力します。
ボディーガードが振り向くとレックスが影から出てきてトラックのショットガンの台じりで彼の顔を殴り気を失わせます。
ボディーガードが床に崩れ落ちるとライオネルは向きを変え驚きます。
レックスはボディーガードの銃を拾い上げるとライオネルに銃を向けます。

ライオネル:レックス。どうやってここに入ったんだ。レックス?
レックス:(声震え)まあ、あー、人間ってのはあんたみたいに正気じゃなくなる、
      ライフル銃を頭に向けると、皆、あー、あんたと同じ事を尋ねる傾向があるな。
ライオネル:(穏やかに)銃を下に置け、分かったか。座ってくれ。話をしようじゃないか。
レックス:もちろんだ、父さん。俺たちは素敵な親子の会話をするんだ。
ライオネル:分かったから座ってくれ。
レックス:(話をしている間中周りに銃を振り回し続け)じゃあ、あー、あんたとモーガン・エッジが祖父母を死なせた理由と、
      そして、あー、世間に俺が頭がおかしくなったと思わせるために麻薬を盛った理由についてだ。
      (いっそういらいらして叫び声を上げ)そしておい、何故、オプラの事全てだ?
      テレビのような普通の家族がするように全て打ち明けるんだ。
ライオネル:(レックスを落ち着かせるために手を上にあげ近づき)分かった、レックス、何故お前が腹を立てているのわかる。
       お前と同じことを見つけだした。
       両親の住んでいた安アパートを所有したスラムロードは保険金目当てで爆破するためにエッジを雇った。
レックス:(口ごもり)あんたの計画と全く同じだな。
ライオネル:(はっきりと)いや、レックス、違うぞ、レックス、違うんだ私の両親だぞ!
       どんなにひどい親でも決して両親を傷つけようなんて思っていない。
       そしてお前も心の底では私を傷つけようとは思っていないはずだることを望まないことを知っています。

レックスはただ感情をコントロールしようとしてライオネルを凝視します。

レックス:俺を失望させたものを知ってるか、父さん?
ライオネル:(穏やかに)分かった、話してみなさい。
レックス:俺を殺すためにプロを雇った。
     あんたはいつも俺に言っていたな、もし何か欲するものがあれば、息子よ、それは自分でやるんだと!
ライオネル:(穏やかに)レックス、これを仕組んだのはモーガン・エッジだ。奴がどこにいるか…知っている。

レックスはライオネルの心臓に銃を向けると狙いをつけて撃鉄を起こしました。

ライオネル:信じてくれ。我々は正義を得ることができる。 レックス。 レックス!聞いてくれ。

レックスは彼の後ろをちらっと見ます。

レックス:(怒って)しっ! (ささやき)赤ん坊が起きるだろ。
ライオネル:(レックスが何について話をしているか悟ります)ジュリアンか、またジュリアンを見ているのか?

レックスはライオネルに銃を向けるのをやめます。レックスは不快感をあらわにして銃を持った手でこめかみを抑えたまま歩き。

レックス:(取り乱して)いいか、あの子が泣くから俺はできないんぞ、父さん。
ライオネル:(穏やかに)いや。 ジュリアンはここにいない、レックス。あの子はもう死んだんだ。
レックス:(肩越しにライオネルにどなり)違う!
ライオネル:いや、レックス、赤ん坊の死についてお前に責任はないんだ。

レックスは怒って振り返ると再びライオネルに銃を向けます。

レックス:(叫び声)黙まれ!!
ライオネル:分かっている。お前はあの子を傷つけるつもりはなかったんだ。それは分かっているよ。
レックス:(悲鳴に近い)黙ってろと言ったろ!!!
ライオネル:レックス。 それは事故だったんだ、レックス。

レックスはライオネルの顔に銃を押しつけます。

レックス:(叫び)モーガン・エッジが今どこにいるのか言うんだ!!
ライオネル:分かった。
レックス:すぐにだ!
ライオネル:分かった。分かった。

ライオネルはポケットに手を伸ばしてペンとメモ用紙を取り出します。
レックスはライオネルに銃を向けたままにしていましたが痛みのせいで顔をゆがめ頭を仰け反らせ首筋を抑えました。

ライオネル:(住所を書きつづると優しく)気をつけるんだ。 レックス、どうか…注意深く、お願いだ、レックス。

ライオネルがメモ用紙を差し出すとレックスはそれを取りました。

ライオネル:(嘆願するように)私はもう子どもを失うことに耐えることはできない。

レックスは住所を調べるとライオネルの頭を銃の台座で殴ります。 ライオネルはうなって気を失い床に横たわりました。

スモールビルの馬屋では。クラークがダリウスへ指令を出していた者に会うため小屋の中を歩いていました。

クラーク:誰かいるかい?

小屋のドアの真向かいの藪にレックスを撃とうとした黒服の一人が屈んでいました。
クラークが外に出ようとしたところを黒服は狙います。
黒服がスコープを通して見ていたクラークが突然いなくなってしまいました。
黒服が慌てて銃を下ろすとクラークは黒服の背後に超スピードで移動していました。
クラークは黒服の背後から銃を掴み銃で黒服の喉を締め上げるとスキーマスクを外しました。

クラーク:(素っ気なく)お前の雇い主を教えるんだ、さもないといいか。

スモールストーンの別荘の中では
モーガン・エッジが壁にかかった鏡に新しい顔を映しながら飲み物を飲んでいます。
ボディーガードはエッジがガラス扉へ歩くのを周りを監視しながらついてきます、そしてエッジは扉を開けると表を眺めました。
彼は手を喉元のネックレスにあてるとそれはクリプトナイトのビーズでできたネックレスでした。
エッジがドアの開く音を聞くと。ボディーガードに頷きました。

エッジ:確認しろ。

ボディガードはうなずくと銃を取り出し音の原因をチェックしようとします。
ボディーガードのうなり声が聞こえるとそのすぐ後にドサッという大きな音がしました。
エッジは銃を引き抜いてボディーガードの様子を見るためにゆっくりと廊下の中に出ます入ります。

エッジ:ジェームソン?

エッジが角を曲がったときボディーガードが気を失って倒れているのを見つけました。
彼はひざまずいてジェームソンの状態を確認すると立ち上がります。
その時レックスがエッジの背後に現われて彼の首の後ろに銃を押しつけました。

レックス:(怒って)俺はお前にチャンスを与えた、エッジ。だがお前はそれを台無しにしてしまったな。銃を投げろ。

エッジが銃を落とします。

エッジ:(怒ってぶつぶつと)お前の親父はしくじったらしいな。

レックスは怒ってエッジの肩を掴み床に倒すと、エッジが出てきた部屋へと引きずり込みました。

エッジ:(続けて)もし俺たちが望む通りにしていたら、今頃お前は死んでいたはずだ。
レックス:何の話だ?
エッジ:お前は本当に信じているのか?もし俺が本気にお前を殺す気でいたら逃げ切れっこないんだぞ。
    お前を狂人にしようとしたのはお前の親父の考えだ。
レックス:(怒ってエッジを部屋に押し込み)嘘だ!
エッジ:(レックスに振り返り)いや本当だ、レックス。ライオネルは年を取って気弱になった。
    奴は自分の親を失っても平気だったが、もう子どもを失うことに耐えられないと言っていた。

エッジと話している間レックスは首に手をやり痛みで顔をしかめます。

エッジ:まだ首が痛むのか? 筋肉痛か、不眠か?それとも麻薬の副作用か。
レックス:俺は頭がおかしくなかったことを知っていた。 (エッジの顔に銃をつき付け)どうやったのか教えるんだ!
エッジ:(恐れずに)全てはライオネルの考えだ。 最初に麻薬。
    そして窓の修繕、そしてお前をだますために工場を搾取し…細部にいたるまで計画した。
レックス:お前がやったのではないとどうしていえる?
エッジ:(部屋を示し)周りを見て分からんのか。
    もし俺がお前の親父と手を切っていたら、どうやってこんな場所にいられると思うんだ?
    認めたらどうだ、奴が子供の時にやったように素晴らしい計画だ。
    (からかい)お前は非常に壊れている状態だから、筋が通った話を理解できないのか、
    あるいは狂人のたわごとのように聞こえるんだろうな。

レックスはこの情報にぼう然としているように見えます。

エッジ:(優しく)だが奴は必要ない、レックス。奴を倒すんだ…一緒にな。

レックスは一瞬のこれについて考えて銃を下げます。

レックス:(再び銃を構え)多分俺はお前たち二人ともを殺すだろう。

突然クラークが部屋の中へと超スピードで入ってくるとレックスの手から銃を取り背後に回ります。
レックスは振り返るとクラークを見て驚き幻覚かと思い部屋を見回します。

エッジ:やあ、カル。また会えると思っていたぞ。
    (クリプトナイトビーズのネックレスを持ち上げ)今までこれを持っていたのはそういうことだ。

クラークは踏みとどまりエッジをにらみつけます。 レックスは前後の二人の男性たちを見ます。

レックス:(信じられずに)知り合いなのか?
エッジ:昔からよく知っている。
レックス:(非難がましく)お前もこれに関与していたのか、クラーク?お前も同じなのか?

クラークは腹を押さえ体を折り曲げました。

クラーク:(弱く)違う、レックス。君が考えてるようなことはしていない。

エッジは手の周りにネックレスを巻きつけクラークのあごを殴るとクラークは床の上に大の字に倒れます。
クラークが起き上がろうとするとエッジが彼をけります。
エッジがクラークをたたきのめすのをレックスはショックで傍観します。
エッジが彼のジャケットの襟を膝にで押さえつけるとクラークの顔面を殴りつけました。
クリプトナイトのビーズはばらばらになり床の上を四散しました。
クラークは口と鼻から血を流しうなだれます。
エッジが再びクラークを攻撃しようとしたとき銃声が響きわたります。
肩を撃たれたエッジは開いているガラス戸の外へと後退しました。
レックスはまだ煙を出している銃を構えたままエッジが草の中に横たわりるのを見ていました。
クラークはまだクリプトナイトのビーズの間で倒れていてレックスに顔を向けました。

クラーク:(弱く)ありがとう。

レックスは銃を下げます。

レックス:(冷淡に)感謝は必要ない、クラーク。

レックスがクラークに近づこうとしたときクラークは立ち上がろうとしました。

レックス:お前もこいつらの一味だ。 (クラークに銃を向け)お前を殺さなければならない.。

床の上のクラークの頭に銃を向けるとクラークが見上げます。

クラークは可能なかぎりビーズとレックスから離れようとゆっくりと這いだします。

レックス:(非難がましく)俺から逃げられるとでも思っているのか、クラーク?
クラーク:(弱々しく床の上を這い)レックス…僕らは友達だろ。君を傷つけるなんて事はしないよ。
レックス:(まだクラークに銃を向けてたまま)お前がか…お前もエッジを裏切ったのか?
      (クラークは転がります)裏切った理由はなんだ?

レックスは床の上に這いつくばったクラークのジャケットを掴むと顔の真ん中に銃を押しつけました。

レックス:(怒って)言ってみろ、クラーク!ユダのキスの代償は何だ?!

クラークはただレックスを見つめます。
外で車のエンジン音が聞こえるとレックスはドアの方を肩越しにちらっと見ます。
エッジはすでに横たわっていませんでした。
レックスはどちらを先に片付けようかと迷い一瞬戸惑いました。
彼は怒ってクラークを離すとエッジを捕えるために外に出て行きます。
エッジの車はタイヤの音を軋ませながら動き出しました。
レックスは庭を突っ切ってエッジの車の前に踏み出します。
エッジは停まらずレックスは銃をエッジの車に何発か撃ちます。
エッジは前かがみになるとアクセルを思いっきり踏み車を加速させます。
レックスは車に発砲し続けて動こうとはしません。
突然クラークがレックスと車の間に超スピードで現れるとレックスを突き飛ばしました。
クラークは肩を下げると車は彼にぶつかり粉砕されたフロントエンドが舞い上がり止まりました。
この光景を見たレックスは唖然としていました。
クラークは残骸の中から出てくると車をいともたやすく放り投げました。
レックスは目を丸くして驚き車が宙に舞うのを見ます。
クラークは手でホコリを払うとレックスがこの事を目撃していたことを悟って振り向きます。
レックスはクラークを見ます、彼の目には涙が溢れ畏怖の顔つきをしていました。

レックス:(驚いて)俺は正しかった、始めからずっとお前をそう思ってた、クラーク。お前は人間じゃない。

クラークがおそるおそるレックスを見ます。
レックスは元気なく一人で笑い、そして頭がおかしくないと証明するこの事に貪欲に見えます。
彼が顔を上げるとまだ目には涙がありましたが表情は喜々としていました。
レックスは車がやって来るのをちらっと見ると、クラークが超スピードで走り去る音が聞こえました。
SUVがレックスの前に止まると彼は立ち上がります、そしてその車からフォスター医師と二人の男が出てきました。

レックス:その車は80マイルで奴にぶつかった。そして奴はおもちゃのように車を放ったんだ。 (希望を抱いて)奴を見たか?
フォスター:(心配そうに)誰ですか?

レックスはクラークが立っていたところを嬉しそうに指差しますがクラークがもうそこにいないのを見て愕然とします。

レックス:そ、そんな…(残骸を指差し)奴はちょうどそこにいたんだ。

フォスター医師は辺りを見回してからレックスを見ます。
彼は彼女が自分のいっている事を理解してくれたのではと希望を抱いて彼女にほほ笑みます。
彼女は彼の脇にひざまずきます。

レックス:奴は確かにそこにいたんだ、間違いない!

フォスター医師は穏やかに彼のあごに手を伸ばして同情的に彼を見ます。

フォスター:大丈夫ですよ、レックス。私達があなたのために必要とする治療をしますから。

レックスが瞬きして涙をこらえていると、二人の男が彼の腕をつかみました。

レックス:違う。(彼らがSUVに彼を連れて行こうとすると抵抗して)本当なんだ!奴はそこにいたんだ!車を見ろ!奴を探せ!
     (絶叫)クラーク!! (男達へぶつぶつ言い)奴はそこにいた。
     (彼がSUVの中に押し込まれるときもう一度絶叫を上げます)クラーク ! !

病院ではラナがベッドの上で目を覚まし、そしてベッドの脇に振り向くとクラークが座っていました。

クラーク:(優しく)やあ。

ラナは心配そうにわずかに微笑します。

ラナ:レックスはどうなったの?
クラーク:(悲しげに)レックスは残念だったよ。
ラナ:ごめんなさい。あなたがどれほど彼を助けたいか知っていたのに。
クラーク:(話題を変え)あー、医者は君が順調に回復してるってさ。
ラナ:(一瞬の間があり)あたしはほとんど死にかけたわ、クラーク。
クラーク:(悲しげに)分かってるよ。
ラナ:私はいつもあなたが妄想に取り付かれてるんだと思ってた。
クラーク:何のことだい?
ラナ:あなたの周りにいればあまりにも危険なこと。 (間があり)でも本当だったわ。
クラーク:ラナ…
ラナ:(中断して)大丈夫よ、クラーク。分かってるから。本当に私の事を気遣ってくれてる。
   でもあなたが正しかったわ… (悲しげに)あなたから離れなきゃいけないのね。

ラナが目を瞑り顔を背けるのをクラークがただ悲しげに見つめていました。

大きな建物に切り変わり。
スポットライトが敷地の向こう側に輝きます、そして有刺鉄線を張り巡らせたフェンスによって囲まれています。
フェンスの上には「ベル・リーベ・サナトリウム 立ち入り禁止」と書かれた看板があります。
中ではフォスター医師が「面会謝絶」と書かれたドアを開けて出てきました。
彼女が書類を確認しながら廊下を歩いていると壁を背にして立っているライオネルに会います。

ライオネル:フォスター先生。
フォスター:(ライオネルの方に向き)今晩は、ルーサーさん。
ライオネル:(周りにちらっと見て)この施設はなぜいつも…アンモニアの悪臭がしているのかな?

ライオネルはフォスター医師に近づき彼女の隣に止まると廊下の端の部屋を示しました。

ライオネル:レックスはどうなんだ?
フォスター:(同じくその部屋を見て)ああ、彼がここにいる間、私はしっかり彼の薬物療法をコントロールできます。
          最終的に彼の処置を終えたとき、彼には短期の記憶が残っていないかもしれません。

ライオネルはため息をつきます。

フォスター:あなたの希望はこれだったんじゃないかしら?
ライオネル:(少し腹を立て)断じて違うぞ、先生、これは(部屋のほうを見て)私が求めたものではない。
       私は自分の事以上に息子を愛している。
       だが息子が私の元から去る事を避けるには他にどのような選択なかったんだ。

ライオネルは廊下を進みフォスター医師は彼を見つめます。
廊下の突き当たりの、大きなマジックミラー越しにクッションを張り詰められた部屋を覗きます。
レックスは裸足で拘束服を着せられ床の上に座っていました。
彼は独り言をつぶやきながら左右に揺れ動きます。
レックスは鏡に映った自分の姿を見て立ち上がり鏡に近づきます。
彼の目の下には濃い紫色のクマがありました。
彼は鏡を凝視しますが本当には何も見えてなくて独り言を言うように唇が無言で動きます。
ライオネルは涙が目にこみ上げてくるのをそのままに見守ります。

病院では窓の外からクラークはラナが眠るのを見て立っています。

精神病院に戻ってレックスは時折前後に揺れ動きながら唇を動かしてぼんやりと鏡の外を見つめているようでした。
ライオネルは鏡越しにレックスの顔に触れるように鏡に手を置きます。

おしまい。