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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.09Asylum[逃亡]

第1幕プロローグ
有刺鉄線を張り巡らされたフェンスの外。
日中。
フェンスの上に「ベル・リーブ・サナトリウム 立ち入り禁止!」書かれた看板があります。
中では全員が同じ明るい青い患者着を着て沢山の患者が階段、廊下をそして共有スペースの周りに列をなして行進します。
白い服を着た何人かの看護師と看護師がいます。
列の患者達は看護師が彼らに薬を与えるブースの外で待っています。
レックスも同じく青い患者着を着て列の先頭になりました、
そして看護師が3つの錠剤が入ったカップと水入ったコップを彼に小さなトレーで手渡します。

看護婦:分かりましたか、お金持ちさん、飲んでください。

レックスはぼう然としたままトレーを受け取ります。
彼は看護師を見てから3つの錠剤に目を移しました。
赤、黄色、青の錠剤が各一粒づつありますが彼はそれらを取ろうとはしません。

看護婦:さあ早くして。

レックスは錠剤の入ったカップを掴むと口の中に薬をいれ続いて水をひと口くわえると錠剤を飲み込みました。

看護婦:次の方。

レックスは歩き去ります、そして列はゆっくりと動き続けます。
沢山の精神病患者が至るところに座っています。
ある者達はテーブルでパズルをして、またある者達はイーゼルに向かい絵を描いています。
レックスは部屋の隅まで歩いていくと曇りガラスの窓の隣のイーゼルの前に座りました。
彼は筆を取り上げると何も描かれていないキャンバスの上に線を描き始めます。
彼は握りこぶしを口にあて咳をします。
彼の前のイーゼルのところには三つの絵の具のカップ、赤、青、黄色が置かれています。
この絵の具の色はサナトリウムの冷たい青い照明に対してかなりきつい色です。
絵の具のカップには黄色のペイントの中は黄色の錠剤、
青いペイントには青い錠剤そして赤いペイントには赤い錠剤が入っていました。
彼はゆっくりと絵から壁の監視カメラに目を移すと筆で赤いペイントの中にさらに錠剤を押し込みます。

二人の看護師に連れられてサナトリウムの廊下を歩くクラーク。
彼は数々の苦脳に興奮状態の患者を見て心配そうに見回します。
一人の男は頭を抱え小さな声で泣いています。
別の男は腕を体に巻きつけ恐れていました。
クラークの右側の部屋からエピソード絶滅でのヴァン・マクナルティーがでてきました。
今彼はここの患者で、彼はクラークを見るとすぐに激怒しました。

ヴァン:おい、誰かと思えば。怪物じゃねえか!

彼はクラーク目がけて突進しますが看護師の一人が壁に彼を押して止めます。

看護師:下がりなさい!

ヴァンがクラークに襲い掛かろうとするのをもう一人の看護師が来て彼を押し留めます。

ヴァン:(金切り声を上げ)お前こそここに入るべきだ! ああ!お前こそここに入るべきなんだ!

看護師は彼の部屋へ戻るよう強いますが彼は金切り声を上げ続けます。

ヴァン:お前を閉じ込めるべきなんだ、お前は化け物だ!

クラークと看護師は廊下の角を曲がります、
こちらに向かって歩くのはエピソード寄生虫のエリック・サマーズです。
彼も同じく患者着を着ています。 彼はクラークを見て止まります。

エリック:おい、ケント。 俺だ、エリックだ。 最近は稲妻に打たれないのか?

看護師がクラークの肩を叩くまで立ち止まっていました、そして別の看護師がエリックを引き離します。
クラークが再び歩き始めます。
彼の後ろで本と新聞の乗ったカートを押すのはエピソード Dichoticでのイアン・ランドルです。
これでベレ・レベであった知り合いの精神病患者は三人です。

イアン:会えてよかったよ、クラーク。伝えといてくれよ俺の昔の彼女二人によろしくってさ。
看護師:歩いて、イアン。

イアンは苦々しくクラークの背中にほほ笑み行きました。

看護師:(クラークに)全く驚いた。君はここに知り合いが沢山いるようだね。
クラーク:レックスはどこですか?

共有スペースに到着するとクラークはレックスがイーゼルに向かって描いているのを見ます。

看護師:十分間ですからね。

看護師は立ち去ります、そしてクラークはためらいがちに悲しげにレックスを見ました。
レックスは振り向くと目に希望を満ち溢れさせ筆を置いて立ち上がります。 クラークが彼に近づきます。

クラーク:レックス?
レックス:(楽しげに) クラーク。 (クラークの片方の手を自分の両手で包み込み)お前にまた会えるとは思ってなかった。

クラークはレックスの握り閉めた手にもう片方の手を添えました。

クラーク:先月中には来ようと思ったんだけど。医者がまだ誰にも会えないって言ってたからさ。
            (レックスは奇妙に微笑します。) 大丈夫かい?
レックス:(まだほほ笑んでいます。) 俺はお前の秘密を知っている。

クラークが壁の監視カメラを見上げます。レックスはカメラを見てクラークに戻ります。

レックス:(ささやき) 心配しなくていい。 (人差し指を口の前あてます)誰にも話してない。

クラークがうなずきます。 レックスは彼のしっかり肩をつかみます。

レックス:俺をここから救出して欲しい。お前ならやれるだろう。

いくぶん驚いてクラークがレックスの肩を掴みます。

レックス:時速60マイルで走る車にぶつかった上に…おもちゃのように投げ上げたんだ。俺が脱走するチャンスはそう多くない。
クラーク:(気が進まず) レックス、僕もそうしたいけど…
レックス:それなら手伝ってくれ、クラーク。 親父は俺を出すはずがない。
           (クラークは返答しません。レックスは嘆願してクラークの顔を触ります)お前は俺の友達だろ。
           お願いだ、クラーク。 こんな掃き溜めで俺に腐らせないでくれ。
クラーク:ごめん。

レックスはゆっくりと悲しげにクラークをじろじろ見て手をはずしました。
それから彼は突然クラークの首をつかんで前へ押します。 看護師はすぐに彼を引き離しました。

レックス:うぉーっ!
看護師:おい! おい!
レックス:この野郎!

レックスが看護師に逆らっているとクラークはゆっくりと後ずさりします。

レックス:俺は絶対にお前を許さないぞ、クラーク!絶対にな !

レックスの爆発は共有スペースにいる全員に波及し大混乱をもたらしました。
全ての患者は叫び声を上げて、椅子やテーブルをひっくり返して走り回っています。

レックス:絶対だ !

看護師がレックスの膝を押さえ込んでいると別の患者がクラークの腕を握り締めてきました。

男:助けてくれ。

クラークは彼を遠ざけて共有スペースから走り出ます。

看護師が薬のトレーを持ってレックスの独房へと入ってきました。
部屋には便所とベッドを支える金属製の支柱以外何もありません。
レックスはまだ背中を向けたまま寝ていました。

看護師:起きるんだ、ひねくれ野郎。9時の薬の時間だ。

レックスはゆっくりと目を開きます。

看護師:(大声で)起きろ!

レックスは起き上がりベッドに腰掛けると看護師に気づかれないようにベッド脇に置いてある先の尖った鉛筆をつかみます。
二人は一瞬のお互いの目を見るとレックスは鉛筆を看護師の太ももに突き刺しました。

看護師:うわーあっ!

看護師は薬のトレーを落として悲鳴を上げ続けます。
レックスは壁に彼を押しやり口を手で覆います。
看護師の口を抑えたまま独房の窓ガラスから見えない位置に動くとレックスはもう片方の腕で看護師の首を締め上げました。
看護師はついに白目を向いて気を失い床に倒れました。
レックスは看護師の警棒とIDカードをとります。
彼はスキャナーにカードを通すと独房のドアが開きました。
彼は独房を出て廊下を駆けます。ドアが開き別の看護師が腕に毛布を抱えて廊下に出てくるとレックスは振り向きます。

看護師:おい、ルーサー! (ゆっくりと毛布を下に置き)ここで何してるんだ?おい?

レックスは手に警棒を持っています。

看護師:(慎重に近づいてくるレックス)君は部屋に戻るんだ、いいね? (レックスはうなずきます)リラックスして…

レックスは看護師を警棒で殴り倒れると蹴り上げ気を失わせます。
レックスはどちらへ行こうかと半狂乱になってグルグルと廊下を回ります。
彼は壁に空いた大きな空調用の通気孔に入りこみました。
中は非常に高さがないのでかがんでその中を走りました、そしてついに外に出る階段に到着します。

夜。
彼はまだサナトリウムのフェンスの中にいます、そして遠くで鳴るサイレンがより近づいてきました。
サイレンを鳴らし照明灯を点けた二台の黒い車が彼の後ろへと迫ってくると、彼はメインゲートに向かって道路を素足で走りました。
車が彼の後ろに停止した時には有刺鉄線のフェンスのメインゲートにたどり着きフェンスを登り始めました。
フェンスの上に到達すると彼は不覚にも有刺鉄線をつかんでしまいました。

レックス:あっ!くそっ !

四人の男達が車から出てくるとテイザー銃をレックスの背中に打ち込み、焼けるように熱い電流を流しました。

レックス:うっ!あーっ!うわーっ!

レックスは握力を失って地上へと気を失い落ちます、頭の脇に広げた彼の手の平はひどい傷です。
警備員の一人が脈を取るためにひざまずきレックスの首に手を当てました。

第1幕 場面1
ケント農場。
日中。
家の中ではクラークとジョナサンとマーサは一緒にダイニングテーブルに座っていました。
クラークは沈んだ顔で食卓をじっと見ます。

クラーク:あんなにも僕に対して怒ったレックスは一度も見た事がないよ。まるで…
ジョナサン:気が触れていると?

クラークがジョナサンを見ます。

マーサ:でも、そんな目で見ちゃダメよ、クラーク。
クラーク:でも、難しいよ。僕に脱走の手助けを頼んだんだ。
ジョナサン:断ったんだろうな?
クラーク:(うなずき)うん。
ジョナサン:(ほっとして) それは良かった。

ジョナサンは自分の皿をテーブルから流しへと持って行くとクラークも続きました。
マーサはオレンジジュースのピッチャーを持って彼らの後に従います。

クラーク:ああ、それはいいんだけど。彼が脱走を図ったとき途中で二人の看護師に怪我をさせたんだ。
     彼はあそこにいちゃいけないんだ。麻薬を打たれてる。

クラークとジョナサンは皿をシンクの上に置くとマーサは冷蔵庫にオレンジジュースを入れます。

マーサ:まあ、私達はその事については分からないけど、彼の精神病もこれが初めてじゃないし。
クラーク:でも、ライオネルは彼を出さないよ。僕は彼の唯一の可能性なんだ。
ジョナサン:(ジャケットを取り) クラーク、お前はサナトリウムから誰かを脱走させてはだめだ。
       そんな事をすれば刑務所に行く事になるぞ、
       それにお前の秘密を持ったままレックスが逃亡すれば誰かに話す可能性もある。
クラーク:ピートは僕の秘密を知ってる、でも何の問題もないじゃないか。
ジョナサン:レックスは違う。 (クラークは目を伏せます)なあ、クラーク、
       お前の秘密をレックスのために使うなとわ言わん。
       ただこの事には関わって欲しくはないんだ、そういう事だ。
クラーク:(口答えするように)父さん…
ジョナサン:(厳しく) クラーク、お前はこれがどういうことなのか分かっていない。
       今もしお前が関係すれば…もっと状況は悪くなるかもしれないんだ。

ジョナサンはクラークの向こうにいるマーサに近づき頬にキスをし、
それからクラークの肩を軽くたたいて家を出て行きます。
クラークは不機嫌に台所から立ち去ります。
マーサはクラークの後を追うと彼はコートをラックから取って出口に向かうところでした。

マーサ:いいかしら、あなたにはもう一人友達がいるでしょ、病院に行かなかった。
クラーク:ラナは今は僕と会いたいとは思ってないはずだ。
マーサ:彼女はショックを受けたの、クラーク、彼女が言ったことに意味はないのよ。
クラーク:彼女は正しいよ。僕がした事といえば彼女を危険にさらしたことだ。 僕なんかいないほうがいい。

クラークがドアに歩き始めます、そしてマーサは彼を止めます。

マーサ:あなたはどうなの?あなたの気持ちは?
     ねえ、あなたは世界中を救うことができるわ、クラーク、
     でも同じように自分の心も救う事ができるのよ。 彼女に会いに行きなさい。

クラークがマーサのアドバイスを考慮に入れてマーサを見ます。

第1幕 場面2
スモールビル医療センター。
日中。
中ではラナがリハビリルームでリハビリをしています。
彼女の左の腿はギブスで固定され、平行棒をしっかりとつかみマットの上をゆっくりと歩いています。
歩行すると激しい痛みが彼女を襲います、そして彼女の傍にはリハビリの専門家が彼女を奨励しています。

セラピスト:良いわ、ラナ。 もう一歩よ。

ラナは一歩足を出すと痛みが激しくなり苦痛に戦うように泣き出しそうな呼吸を始めます。

セラピスト:オーケー。 オーケー、今日はそれで十分ね。それは君も一緒よ、アダム。

アダムと呼ばれた若者はセラピストとラナに背を向けてウェイトマシンに座わり足を動かしていました。
彼は呼ばれても振り向きません。

アダム:俺は自分の限界を知ってるよ。
セラピスト:(ラナに松葉杖を渡しながらアダムに)やりすぎもかえって悪くなるのよ。
アダム:そんな言葉を真に受けてたら今頃はまだベッドの上だぜ。

ラナは呼吸を整えようと額から汗を拭い松葉杖に寄りかかります。

セラピスト:(ラナに) 今日はがんばったわね、ラナ。
ラナ:ありがとうございます。

セラピストは去ります、そしてアダムはラナに振り向きました。

アダム:怪我かい?
ラナ:言っても信じてもらえないかも。

アダムはジャケットとジムバッグを取りに彼女の向こうへとスタスタ歩くと、
ラナは松葉杖を使ってゆっくりと平行棒から離れました。

アダム:君はあまりにもあきらめが早いと思うぜ。
ラナ:どういうこと?
アダム:痛みを我慢することを覚えないとな。もし皆が痛いからって座ってたらこの国はありえなかっただろう。
ラナ:(悩んで)じゃあ、私は建国者が4つの場所で足を折ったなんて疑うわ。
アダム:(からかい)何があったんだ、チアリーディングの練習でピラミッドからでも落ちたのか?

ラナは去り始めます。 アダムスは彼女を止めます。

アダム:おい、おい、悪かったよ。どうしてここに来るハメになったんだ?
ラナ:馬が怯えたのよ。そのひづめで足を折ったの。
アダム:ふーん。それは大変だったな。 (彼は手を差し出し) 俺はアダムだ。
ラナ:(アダムの手を握り) ラナよ。
アダム:分かった、ラナ。 (ウェイトベンチの上にジムバッグを置き平行棒に歩きます)
    俺は君が子犬みたいな膝をしているのを知っている。見せてみろよ。
ラナ:どういうこと?
アダム:(ラナに近づき)君は多分「必死」って言葉を知らないんだ、でも教えてやるよ、ここで、それが俺の信条だ。
ラナ:(いっそう腹を立て)分かってないようだら言うけど、私はこの1カ月歩ってないのよ。
アダム:自分を哀れむのは今はいいかもしれないけど、でもそれじゃ階段を上がっていくことはできやしないだろ?
ラナ:どうしてそんなに不愉快な事いうの?
アダム:俺はただ君にどんな具合なのか聞いてるんだ。
     今まで誰も君みたいな子は正直に話してくれなかった。
     君はいつも守ってくれるボーイフレンドがいるだろう?

ラナは何と言っていいか分からずにこらえます。

アダム:でも彼はここにはいない。誰も君のためにこの戦いを代わっちゃくれないんだ。君自身の戦いなんだよ。じゃあまた。

アダムはリハビリルームを去ります、そしてラナは憤然として彼を見つめます。

第1幕 場面3
サナトリウム内では看護師がレックスの独房の外のスキャナーにカードを滑らせます。
日中。
ドアが開くと中の照明が付きライオネルが独房へと入ります。
レックスは金属製のベッドの上にロープで固定されていました。
さらに腕や足を動かせないように体の上には金属のケージがかぶせてあります。
ただ首と頭だけが自由に動くだけでした。

ライオネル:(小さな声で悲しげに)やあ、レックス。 大変な事をしたな。
レックス:(ライオネルを見るために頭を回し) あんたが教えてくれたんだ。困難は正面からあたれってな。
ライオネル:(ベッドに近づき)薬をちゃんと飲んでいれば、こんな事にはならなかった。
       このサナトリウムがお前の敵ではないんだぞ、レックス。お前の敵は病気だ。
レックス:(冷静に)俺は病気じゃない。薬なんか必要じゃないんだ。
     あんたの両親を殺した話…あらは妄想でもなんでもない。
     見てみろよ、どこかにあるはずだ、俺、俺は奈落の底から這い出て自分の生き方を取り返してやる。

ライオネルはレックスの脇にひざまずきます。

ライオネル:(ささやき) だがそれは今は無関係だ。
レックス:どういうことだ?
ライオネル:お前が脱走を企てた事で、お前を自宅療法に切り替えようとした私の努力が無駄になった。
レックス:だが俺は言っただろ。 俺は治ったんだ。 治った患者は病院にはいられない。

ライオネルは目に涙を浮かべて悲しげに笑います。

ライオネル:おお、こんなお前を見るのはつらいよ。

彼はレックスの顔に触れて額から頭へと手を動かします。

ライオネル:お前は私がお前に対する唯一の気持ちを分かってるか?

レックス:(小さな声で) あんたが持つ唯一の興味は…刑務所に入らないようにしていることだ。
     (ささやきだが激怒して) 俺は正気だ、それはあんたが知っているはずだ。
ライオネル:心を失った者に会うのは悲しい。だが自分が正気だと思い込んでいるのは尚悲劇だ。
レックス:(ほとんど聞こえない声で)この野郎。 (叫び)うわーっ!

ライオネルはレックスの顔から手を急いで離しゆっくりと後ずさりしながら立ち上がります。

レックス:お前が俺をこうしたんだ。お前こそ正気じゃない!あーっ!お前がやったんだ!うわーーーーっ!うおーっ!

ライオネルが後ろのドアを開けて独房を出て行っても、レックスは獣のように叫び声を上げ続けていました。

第1幕 場面4
イアンとエリックはヴァンの部屋の中に入ります。
日中。
ヴァンはベッドの上に座っています。

イアン:やあ、これはクー・クラックス・ヴァンじゃないかもな。
    (訳注:クー・クラックス・クラン、3K 団、南北戦争後、白人の優越性を維持する目的で結成された )
ヴァン:(立ち上がり)俺の部屋から化け物は出てけ。
エリック:ここでは口の聞き方に気をつけるんだな、もし俺がお前だったそうするぜ。
イアン:俺たちはお前がたった一人である種の一掃キャンペーンをしたって聞いた。
ヴァン:一体何の話だ。
イアン:いい加減にしろよな。お前が狩猟シーズンの初日にカモを撃つみたいに隕石の化け物を次々と狙い撃ちをしたんだろ。
エリック:そして今お前はここに閉じ込められてる、俺たち鴨と一緒にな。グァー、グァー。

ヴァンが出て行こうとするとエリックとイアンが彼を掴み止めました。

イアン:俺たちはお前を傷つけるつもりはないよ、ヴァン。信じられなかいも知れないけど、俺たち3人には共通点がある。
ヴァン:何があるって言うんだ。
エリック:クラーク・ケントが俺たちをここ閉じ込めたんだ。
イアン:それに噂じゃお前が奴の弱点を知ってるっていうじゃないか。
ヴァン:どうしてお前らに話す必要があるっていうんだ?
イアン:そりゃ、俺たちは復讐の甘い味を試したいと思ってるからさ。
エリック:なあ、もしお前が奴を弱める事ができれば、俺は奴の力を吸い取る事ができる、
     そうすれば全員ここから出られるんだぜ。
ヴァン:待ってくれ、クラークの力を吸い取るって。 どうやって?
エリック:稲妻だ。高圧電気のショックでその力を取り戻したんだ。

ヴァンは考え込んでエリックとイアンを見ます。

ヴァン:お前ら化け物をどう信頼すればいいのか?
イアン:お前の敵の敵はお前の友人だ。

ヴァンはイアンに頷きエリックを見ます。

第1幕 場面5
メトロポリス。
夜。
ルーサー・コープの中ではライオネルがレックスの精神科主治医のクレア・フォスター医師と
話をしながらライオネルのオフィスへと歩いています。

クレア:まだ治療は快方に向かっているとは思いません。
ライオネル:大丈夫だ。
       あなたの言う快方の基準は私には関係がないんだよ、先生。
       投薬治療を行なってる1カ月間はあなたにしたい放題させた、
       そしてレックスの記憶は完全のままであるばかりか逃げようとまでした。
       もうこれ以上のいかなる時間も浪費する余裕はない。

二人はライオネルのオフィスに入ります。

クレア:ルーサーさん、あなたの提案する治療は危険なんです。
    患者の50%は成功を収めています、でももう半分は修復できないほどの脳障害を残します。
    本当にそのリスクを覚悟できるのですか?
ライオネル:リスクもなければ報酬もない。それは彼らが言うことだろう、先生?
クレア:その治療を必要としない患者にはこの処置は非道です。
ライオネル:だがこれが最初ではない。あなたは前にも実験したじゃないか。

クレアは心がゆらぎ目をそらします。

ライオネル:我々は相互の協定を持っていたはずだね?
       私は強くあなたが契約にそって遂行することを推奨するよ。
       それでは処置を始めてくれたまえ。すぐに。

ライオネルはオフィスを出て行きます。

第1幕 場面6
クロエがトーチオフィスに入ります。 夜。
灯りは消えていますがクラークがコンピュータに向かっていました。

クロエ:クラーク、電気ぐらいつけたら。目を悪くするわよ。
     (彼女はデスクスタンドのスイッチを入れます) 徹夜までして何をしてるの?
クラーク: レックスがベレ・レベにいなくてもいい事を証明しようと思ってさ。
クロエ:レックスの何か見つけた?
クラーク:(クロエにファイルを手渡し)ああ、彼のカルテさ。フォスター医師は確かに彼に麻薬を与えてたんだ。

クロエはファイルを調べると頭を振ります。

クロエ:クラーク。
     この麻薬を与える理由が何故なのか沢山理由があるんだよ。
     心理療法は今試行錯誤の状態なの。
     これでは何にも証明になってないわ。
クラーク:(断固として)分かってるさ。でも何かしないといけないんだ。 (彼はコンピュータの入力に戻ります)
クロエ:もう、何で朝からこんな事してるんだろ?ちょっと立ち寄っただけだから。
    帰る途中でラナを拾っていかないといけないの。
クラーク:ラナはどうだい?
クロエ:今まで本当に大変だったんだよ。彼女少しは精神的な支えが必要だったんだから。
クラーク:カードを送ったよ。
クロエ:1ドル50セントのボール紙に「アイ ラブ ユー」じゃ何も伝わらないわ。
クラーク:もし彼女が俺を必要とすれば、クロエ、僕はそこに行く。でも今は自分自身の約束を守ろうとしてるんだ。
クロエ:じゃあ、「レックスの自由について」って題名をつけて保存しておいて。

クロエが立ち去ろうとするとクラークがモニターに何かを見つけました。

クラーク:クロエ、待って。フォスター医師はレックスを電気ショック療法の実験に使うつもりなんだ。
クロエ:それは少し極端じゃない?

クロエはコンピュータに戻ってクラークの肩越しにモニタを見ます。

クラーク:こう書いてある。(読む) 記憶を失わせる事は間違いなくできるが、
     もし正確にできなかった場合、レックスは植物状態になるかもしれない。
クロエ:これっていつ?
クラーク:(怖がって) 24時間だ。

第1幕 場面7
サナトリウムのウェイトルームでヴァンは上腕二頭筋を鍛えていました。
夜。
看護師が小さな箱を持って入ってきました。

ヴァン:それは俺の荷物かい?
看護師:ん、ああ。こんな岩なんかどうすのか検討もつかないね。

ヴァンが箱を開けると中には緑色のクリプトナイトがありました。
ヴァンははクツの中から折りたたんだ1ドル札を取り出して看護師に手渡します。

ヴァン:この事は忘れて欲しいんだ?
看護師:(金を受け取り)何も見なかったよ。(彼は去ります。)。

ヴァンは隕石を見ます。
イアンはタオルで顔を拭きながらシャワールームからウェイトルームに入って来くるとヴァンが箱を持っているのに気付きます。

イアン:それで、待っていた物が手に入ったんだな?
ヴァン:箱の中さ。ケントが戻って来たら奴の驚く顔を見られるぜ。

ヴァンはウェイトリフティングのベンチに戻って横たわると大きなバーベルでベンチプレスを始めます。
イアンが準備体制を整えてアゴをつかんでいるのにヴァンは気付きません。
イアンの顔が震え何かブツブツとつぶやくと次に体が震え、彼の背中からもう一人のイアンが現れました。
全く同じイアンが二人並んで立っています。
最初のイアンがヴァンの左側に立ち2番目のイアンはまだヴァンの後ろにいます。

イアン:お前の出番は必要なのか?

ヴァンがバーベルをラックに置きます。

ヴァン:ああ、クラークが現われたら俺は用意ができている。だがそれまでは俺たちが知り合いなのを隠しておこうぜ。
イアン:そうか、俺の分身を見て欲しいんだ。

2番目のイアンはヴァンの右側にやって来ます。
ヴァンは二人を見てショックを受けます。
二人のイアンはバーベルを掴むとヴァンの上に下ろしました。
彼はそれから逃げようとしますが逃れることはできません。
イアンはヴァンを締め殺そうと首の上にバーベルを置き強く押します。

イアン#2:隕石の化け物を信頼するほど愚かなことはない。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
メトロポリス。
日中。
メトロポリス病院でフォスター医師が病室に入るとベッドの脇に看護師が立っていました。
ベッドには男性の患者がいます。
彼は目を開いていますが無表情で横たわっていました。

クレア:緊急事態って何?
看護師:(混乱して)何も異常はありませんけど。
クラークの声:これがレックスにやろうとしていた事ですか?

クレアが振り向くとクラークとクロエが出入り口に立っていました。

クラーク:(病室に入り) レックスはどこも悪くありません。
     あなたは今まで彼に麻薬を与えていた。それが彼を偏執性妄想にした理由だ。
クレア:もしここで私が違法行為をしているって言うのなら、その裏を付けとなる証拠を持っているはずよね。
クロエ:ふーん、あなたがレックスに如何わしい薬を与えた事についてはあきらめるけど、
    でも違法な電気ショック療法を訴えるなんてどう?

クレアはベッドの上の動かない患者に目を向けます。

クレア:ワトキンスさんは残念だったわ。でも言っておきますけどその訴訟は取り消されたわ。
クラーク:(腹を立てて)ライオネル・ルーサーが買収したからだろ。
クレア:私は非常に忙しいのよ。失礼するわ。

クレアがドアのところまで行くとクラークとクロエが彼女の後を追います。

クラーク:あなたがもしレックスを植物状態にしたらライオネル・ルーサーがあなたを窮地から救ってくれると思ってるんですか?

クレアは答えないで振り向きクラークとクロエを見ます。

クロエ:あなたはここでは全ての権限を持ってるわ、先生。お願いです、レックスを救ってください、それにあなた自身も。

第2幕 場面2
レックスはまだ自分の部屋で金属製の頭だけを動かせる状態でベッドに固定されていました。
日中。
ブーンいう音が聞こえドアが開くとイアンが本と新聞の載ったカートを押して入りドアはすぐに閉まりました。

イアン:新聞?雑誌? クロスワードパズルなんかどうだい?
レックス:(小さな声で)何を考えてるんだ?
イアン:その通りだな。ページをめくるのが難しいよな。痒いときはどうするんだ?

レックスはゆっくりと頭をイアンに向けます。

レックス:俺の前から消えろ。
イアン:なあ、俺はあんたがこの場所から出て行きたくてむずむずしてるんじゃないかと思ったんだが。

イアンは金属製のケージに手を置くとレックスに近づき顔を覗き込みます。

イアン:ルーサーさん、もし俺がある特定の動物が動物園から逃れる方法を知ってるって言ったらどうする?
レックス:どうしてまだここにいるんだ。
イアン:金が欲しい。俺が外に出たらすぐに俺自身の姿を消す必要がある。それに新しいIDは安くはないんだ。
レックス:ほお、お前の野心は尊敬する。だが俺に金をたかるのは俺の友人たちを殺そうとしたときに無理になったな。
イアン:俺が過去に少しミスった事は分かってるさ。 でも俺はすっかり良くなったんだ。
レックス:(皮肉ぽっく)お前のおかげで気分がいい。 そのカートと一緒に出て行け。
     そして誰か銀行に金のあるお人好しのところに行けよ。
イアン:勝手にしろ。

イアンは背を向けて立ち去ろうとします。

イアン:当然の事だが、もし脳みそが天ぷらにされそうだって言ったら少しは違った態度を取るかもな。
    あんたの足が永久に動かない事になるぜ。
レックス:(笑い) 不安は効果的な戦術だ、だが俺には効かないぞ。
イアン:事実だとしたらどうだ?

イアンはカートからチャートを取り出してレックスに読めるように向けます。

イアン:見ろよ、あんたはまな板のコイだ、ルーサーさんよ。
レックス:(緊張して) どこでそれを?
イアン:俺はこのはきだめの事はすべてを知ってる。

レックスはチャートから目を逸らし天井を見上げ何かを考えています。
イアンはチャートをクリップボードを返して去り始めます。

イアン:もし脳ミソを救いたいんなら、俺を探しな。

イアンは去ります。レックスが天井を見つめ続けていると口がぴくっと動きました。

第2幕 場面3
スモールビル医療センター。
日中。
ラナはリハビリルームにたった1人でいました。
彼女は痛みにあえぎ平行棒の端に到着すると数フィート離れた壁に立てかけてある松葉杖を見ます。
彼女はバーの助けなしで用心深く前進をしました。アダムが入って来るのと同時に床に崩れ落ちました。

アダム:おいおい。 (彼女の傍に走ります)大丈夫か?
ラナ:ええ、痛みが走るわ。

彼女は腕を使って床から起き上がりウェイトベンチに寄りかかります。 アダムは彼女に松葉杖を手渡します。

アダム:君が治療時間を変えたのを知ったよ。
ラナ:ええ、私、人がいると集中できないの。

ラナは松葉杖を使って立ち上がります。

アダム:一回でも俺の事を素敵な男だって言ってくれれば、俺を信じてもらえるかな?
ラナ:素敵な男だって言う人こそ物凄い問題を持っているものよ。 (去り始めます)
アダム:俺が来た訳はそれなんだ。謝ろうと思ってさ。君にあれこれ言って悪かったよ。

ラナは立ち止まり振り向きアダムを見ました。

ラナ:あなたの言ったことは正しいわ、だから私は気が動転したの。
   本当に私は自分に気力がなかったわ。
   私は思うの、足が元通りになったら自分の生活が変わるって。
   それに直面できる準備ができているかどうかは分からないけど。
   それであなたはどうしてここに来たの?教えてくれない。
アダム:見りゃ分かるだろ?素晴らしい料理にポストモダン装飾だからさ。
ラナ:(笑い) 違うでしょ、本当に。 どうして?

アダムは平行棒に寄りかかってためらいます。

アダム:まあ、あー、俺は燃えた建物に入ったんだ、そして梁が俺の上に落ちてきた。
     両親が中にいたんだ。助けることができると思ったんだ。
ラナ:(アダムに近づき)ごめんなさい。
アダム:それは過ぎたことだ。 今俺は前進しなきゃならないんだ。 なあ?俺も自分の未来が少し怖いんだよ。

第2幕 場面4
スモールビル高校。
日中。
クラークとピートは一緒に廊下を歩いています。

クラーク:フォスターに処置をキャンセルするよう説得したんだ。 彼女は今取消し書類にサインしに行ってる。
ピート:お前はこれでいいと思ってるのか? クラーク、奴はお前の秘密を知ってるんだぜ。
クラーク:そのためにレックスを植物状態にはできないよ。

クラークがトーチオフィスに入ります。 ピートはドアの外でためらってから中に入ります。

ピート:奴を信用するな。
クラーク:チャンスを与えたっていいだろ。
ピート:それじゃあまりにも与え過ぎだ。
    お前の秘密にフタをしておくことが簡単だと思うのか?
    俺は他人が周りにいる時は口が滑らないようにいつも気を使ってるんだ。
    「クリプトナイト」って言う代わりに「隕石」って言い換えるようにな。
    それにいつもお前の説明がない事でもカバーしてきた。
クラーク:ピート、ごめん。君は一度も何も言ったことがなかったね。
ピート:クラーク、その事じゃない。要は俺はお前の味方になったということだ。でもレックスはそうじゃないだろう。
クラーク:(ピートの向こう側を見て) クロエ。

ピートが振り向いてドアのところにいるクロエを見ると彼女は怯えていました。

クラーク:どうかしたの?
クロエ:クレア・フォスターは死んだわ。 彼女の車が54号線の外にある木にぶつかったって。
ピート:ライオネル・ルーサーの見えない手を感じるな。お前ら二人とも奴に狙われないうちに止めた方がいいぜ。

ピートは去ります、そしてクロエがクラークに近づきます。

クロエ:ねえ、あなたがただレックスを助けようとした事は分かる、でもあなたが問題をもっと悪くしたんじゃない?
クラーク:いや、処置を止める別の方法を考えないと。
クロエ:クラーク、フォスター医師はそれを止めてようとしたのよ、そして何が彼女に起こったかのか見てよ。
    ライオネル・ルーサーはこの処置を確実に実行しようとしてるわ。

第2幕 場面5
ベル・リーベ・サナトリウム。
夜。
クラークはフェンスに近づくと素手でフェンスを破って穴を開けます。
彼は超スピードで駐車場の先にあるレックスの独房に行くとレックスはまだベッドに縛られたままでした。

クラーク:レックス。

レックスは頭をクラークに向けて微笑します。

レックス:クラーク、お前が来るのは分かってた。
クラーク:ここから出よう。

クラークはレックスを抑えつけている金属ケージを掴むと引き離して部屋の向こう側に投げます。
レックスが驚いて見ていると彼はレックスの腕の皮ひもを解こうとひざまずきます。

レックス:今までずっと…俺は正しかった。

クラークが答えません。
突然クラークの顔は苦痛に歪みます。そしてクラークが振り向くとイアンが手にクリプトナイトを持って立っていました。
彼がクラークの顔を拳で殴りつけるとクラークは壁に向かって吹っ飛んでいきました。

イアン:どうした?やり返してみろよ。

二人目のイアンが警棒を持って独房の中に入ってきます。
最初のイアンは何度もクラークの顔を殴っている間に、二人目のイアンは警棒でレックスを打ちすえます。

レックス:うわっ!あーっ!

二人目のイアンがレックスを床に転がすと彼の顔を殴りつけました。

イアン:お前がいなかったら、ケント(クラークを殴り)俺は今頃ハーバードにいたんだ(再び殴り)俺たち二人ともな。

二人目のイアンが再びレックスにパンチを加えてから警棒を拾い上げドアに向かって歩きます。
最初のイアンは隕石をクラークのシャツの中に入れるとクラークが床に倒れます。

レックス:お前らはあいつに一体何をしたんだ?
イアン:(レックスのシャツをつかみます。) お前の相棒はこれから俺たちのファーストクラスのチケットになるんだよ。

二人目のイアンクラークの腹をけります。

レックス:どうやって逃げるつもりだ? 俺はお前らに金を渡さないぞ。 クラークは俺の親友だ。

イアン:じゃあ、もっと良い友達を選ぶんだな、奴はお前に秘密を打ち明けなかっただろ。

イアンはレックスを殴ります。

イアン:(もう一人のイアンに) さあ。ここから出ようぜ。

二人のイアンはクラークをつかんで独房から引きず出します。

レックス:(弱く、起き上がろうとして)ダメだ。
クラーク:(ささやき) レックス… ああ…
レックス:そいつを置いていけ!
イアン:そしてどうするんだ、ルーサーさんよ?あと五分でお前のその尻をぶっ飛ばしてやるぜ。
レックス:連れて行くな!

レックスはベッドから床に転がり落ちました。

レックス:あっ!

彼が咳き込むと床に血が垂れます。
窓越しにレックスはイアンたちがストレッチャーにクラークを乗せて運ぶのを見ます。

レックス:ああ…

レックスは動こうと努力しますが結局は意識を失ってしまいました。

フェイドアウト

第3幕 場面1
二人のイアンはサナトリウムのボイラー室にクラークを引っ張って行きます。
夜。
エリックはすでにそこでケーブルを持って待っていました。
クラークのシャツの下にはクリプトナイトの緑色が光っています。

イアン:じゃあ、ここに連れてこい!
イアン#2:分かった、予定通りだ。

クラークがエリックがストレッチャーの脇に立っているのを見ます。

クラーク:(弱く) エリック…
エリック:俺にその力を返す時間だ。その力はお前が使うもんじゃない。
クラーク:うまくいきっこない。

エリックはブースター・コードの一本の端をジェネレーターに接続します。

イアン#2:ふざけてるのか?
イアン:ここには小さな国ぐらいな電気を供給するのに十分なんだぜ。

二人のイアンはストレッチャーから離れます。 クラークが起き上がろうとするとエリックが押し返します。

エリック:力を温存しておけよ、クラーク。俺がそれを使うんだからな。

エリックはブースター・コードのもう片方をストレッチャーに接続しました。

第3幕 場面2
レックスは独房の床に倒れています。
夜。
彼は意識を取り戻して起き上がると咳をします。

レックス:クラーク!

彼は立ち上がると開いているドアを通って外に走って出ます。

レックス:クラーク! クラーク!

レックスは途中の廊下で二人の看護師に出くわし捕まり床にねじ伏せられました。

レックス:奴らがクラークを連れていったんだ!
看護師#1:一体どうやって外に出たんだ?
看護師#2:分からない、でも俺じゃないぜ。 さあ早く抑えて。

看護師はレックスの首に注射器を刺します。

レックス:ダメだ!止めろ!あっ!

レックスはすぐに意識を失います。

第3幕 場面3
アダムはラナがリハビリルームで平行棒に沿って歩くのを手伝っています。
夜。
彼は優しく彼女の手を持っています、そして彼女はバーにしがみついていません。

アダム:そうだ。もうすぐだ。
ラナ:オーケー。

ラナはバーの端に到着します。

アダム:やったな! (ラナは興奮して笑います)エベレストじゃないけど、でもこれがスタートなんだ。
ラナ:数日前まではできるとさえ思ってなかったわ。

アダムはラナに松葉杖を手渡します。

アダム:時々は不可能な事でもまっすぐに見つめないといけないんだ。

二人がお互いの目を見詰め合って近づこうとしたときマーサが入ってきました。

ラナ:ケントさん。驚いたわ。
マーサ:クロエが遅くなるって連絡してきたのよ。私に迎えに行って欲しいって。
アダム:もう行くよ。
ラナ:オーケー。
マーサ:(アダムが去るとき)こんばんわ。
アダム:こんばんわ。
マーサ:(ラナに) 興味深いリハビリの先生ね。

ラナはうなずきます。気まずい一瞬の静寂があります。

ラナ:それで、クラークはどうしてます?彼からカードがきたんですけど。

松葉杖を頼りにラナはベンチへと片足を引きずります。

マーサ:あなたに会いにこなかったのね、悲しいわ。
ラナ:正直言うと、それは私のアイデアなんです。

マーサは彼女の隣りに座ります。

マーサ:ラナ、クラークはいつも安易な行動はしないわ、でも彼は決してあなたを危険に巻き込みたくはないのよ。
ラナ:彼が言い訳にあなたを使ったの?
マーサ:私がここにいることは知らないわ。私が干渉したことを知ったら怒るでしょうね。
ラナ:私はただ彼が幸せであることを望みます。
マーサ:分かるわ。でもあなたも幸せになる必要があるわ、ラナ。
ラナ:ありがとうございます、ケントさん。

第3幕 場面4
レックスが目を覚ますとそこは手術室で手術台の上にひもで固定されていました。
夜。
彼の頭には様々なコードが接続され、医者が装置を調節しながら彼の脇に立っています。

レックス:(必死に)止めてくれ。何でも欲しいものがあれば、俺がなんとかする。もうお前は働かなくてもいい。
ライオネル:彼はお前の金など欲しくはない、息子よ。

ライオネルはレックスの側に近づき彼の胸の上を優しくなでました。

ライオネル:彼はお前をもっと良く治す望んでいる。私と同じようにな。
レックス:(小さな声で)嘘をつくな。
ライオネル:いや。緊張するんじゃない、レックス。
レックス:嘘つきめ!
ライオネル:すまないな。

医者はレックスのアゴを持つと口にマウスピースを入れようとします。

レックス:(気が狂ったように)止めろ、止めてくれ、父さん!
ライオネル:リラックスしろ。
レックス:止めてくれ、父さん!
ライオネル:大丈夫だ。
レックス:あーっ!
ライオネル:大丈夫だよ。
レックス:アーッ!アーッ!

医者はレックスがこれ以上言葉を言うのを阻止するかのようにマウスピースを入れます。

ライオネル:我慢してくれ。すまない、レックス。
       こんな事になるとは思いもしなかった。
        (ライオネルは目に涙を浮かべます)
       もしそれが壊疽(えそ)にかかった手足なら切断すればすむが、
       だが脳は残念だがそんな簡単なわけにはいかないんだ。
レックス:(シーツをかけられ)止めろ、止めてくれ!
ライオネル:(医者に) やってくれ。

ライオネルは手術台から離れると、電気の低いうなる音が聞こえレックスの体全体がけいれんし始めました。
彼の絶叫は段々と激しくなります。

ボイラー室のストレッチャーの上に横たわっているクラーク。エリックはイアンを探しながらストレッチャーに近づきます。

エリック:おい!さあ、やるぞ!

イアンの一人だけが前に出て来ます。

イアン:俺はここにいるぜ。
エリック:もう一人はどうしたんだ?
イアン:一人で脱出する方が簡単だからな。
エリック:やるぞ。

エリックはクリプトナイトをクラークのシャツから取り出してクラークの手に持たせます。
彼はしっかりと両手でクラークの手を握ります。
イアンはジェネレーター大きなレバーの隣に立っています。
レバーを上に上げると緑色の電気がストレッチャー全体を震動させてクラークとエリックを通して飛びます。

手術室のレックス。
パワー不足により電気ショック装置が停止して赤いランプが点滅します。

ライオネル:どうした? 何があったんだ?
医者:パワーが足りません。 どこかにショートしているのかもしれません。
ライオネル:じゃあ、それを直せ。

レックスはわずかな希望を抱いて見回します。

ボイラー室では、爆発が起きクラークがストレッチャーから落ち、エリックは反対方向に吹き飛ばされました。
クラークは床に落ちたままで、エリックは立ち上がって微笑します。
エリックとイアンがクラークの傍に来るとエリックはメガネを外して投げ棄てます。

イアン:どこか変わったのか?

返事をせずにエリックはクラークを頭の上に持ち上げて部屋の向こう側に投げます。

エリック:その答えはこれだ。

彼らは笑って勝利にお互いの拳をあわせました。
クラークは起き上がろうとしますが力を失っています。
彼の顔には切り傷があり出血していました。
エリックはクラークの傍へ超スピードで近づくと彼を掴み上げます。

エリック:普通になって嬉しいだろ、クラーク。吸収させてもらったぜ。

エリックは何本もの酸素ボンベが立っている場所へクラークを投げつけるとボーリングのように酸素ボンベは倒れました。

クラーク: うわーっ!ああ!
エリック:分かったか、クラーク、お前はここで俺が無駄に過ごした二年のつけを払うんだ。
イアン:エリック、行こうぜ。

クラークはすぐそばに隕石が転がっているのに気付きます。

エリック:まだ奴に止めをさしてない。
イアン:病院の連中が俺たちがいなくなったのに気づく頃だ。もう直ここにもくるぞ。
エリック:どうして俺にかまうんだ?そんなの俺には問題じゃない。
イアン:おいおい、待てよ。俺らはチームだろ。 俺らは友達じゃないか。
エリック:ここに俺の友達なんていないさ。

エリックがイアンの顔を殴りつけると、彼は部屋の向こう側のパイプに激突して床に崩れ落ちました。
クラークはついに起き上がることに成功します。

クラーク:おい!それがお前の手に入れたものなのか?
エリック:ぶつかったショックで気でもふれたのか、クラーク?

エリックはパイプの近くのくぼみにいるクラークへ襲い掛かりました。
彼がかなり接近したときクラークはクリプトナイトを持ち上げます。
隕石は明るく輝きエリックは息が止まって立ち尽くします。

クラーク:分かったろ、その力を使う事がどんなに恐ろしい事なのか。

クラークがエリックのところに走ってジェネレーターに彼を押し付けるともう一度電気ショックを二人の体に流しました。
数秒後、クラークはジェネレーターのレバーに手を伸ばして引き下ろすと電気を止めました。

その頃手術室では電力が戻りレックスの体に電気が流れ込みます。 彼は激しく痙攣を起こします。

レックス:うわーーっ!

エリックが床に落ちるとクラークはクリプトナイトを棄てます。

レックスが手術台の上で痙攣しているのをライオネルは恐怖に引きつった顔で見守ります。
激しい痙攣はついに止まります、しかしレックスはすすり泣いてピクピクと痙攣し続けます。

医者:一体何が起きたのか分からない。
ライオネル:もう一度だ。
医者:しかし、この装置がきちんと機能しているかどうか待った方が。
ライオネル:(涙が溢れ出し)やるんだ。もう一度。

いやいやながら医者はコントロールテーブルの方に向くとスイッチを入れました。
レックスは先ほどよりさらにもっと激しい発作を起こします。

エリックがクラークを見上げるとクラークの顔の切り傷が完全に治りクラークは血をぬぐい去ります。

クラーク:レックスがどこにいるか言え!今すぐだ。

医者が装置を止めるまでレックスは手術台の上で痙攣し続けます。
レックスは支離滅裂にうなり、彼のまぶたはほとんど閉じた状態で痙攣していました。
ライオネルは泣きながらレックスの側に歩きます。
ライオネルが手術台にかがみ込んで手をレックスの胸の上に置くと医者はマウスピースをレックスの口から取り除きます。

ライオネル:レックス?レックス?

クラークが手術室の前まで超スピードでやってきました。
窓越しに見るとライオネルが手術台の上のレックスにかがみ込んでいるのを見ます。

ライオネル:もう終わったよ。

クラークが無力に見守ります。
フェイドアウト。

第4幕 場面1
アダムは本を読みながら自分の病室のベッドに座っています。
日中。
彼は点滴をしていました。
ラナがピクニックバスケット持って入ってきます。
彼女は片足を引きずっていますが松葉杖は使わず普通の杖を使っていました。

アダム:やあ。
ラナ:ハイ。
アダム:俺は幻でも見ているのかな? 松葉杖を使ってないじゃないか。
ラナ:まあね、何でもやればできるって驚きよ、誰かさんが頭をかち割ってくれたから。
   (アダムは微笑します。 ラナは点滴に気付きます)大丈夫なの?
アダム:ああ。これ、驚くことないさ。時々脱水状態になるんだ。
ラナ:じゃあ、ここのデザートと比べ物にならないわね、
   でも私、えーと、こんなイライラの元を解消してくれてあなたにお礼にきたの。

ラナは枕許のテーブルでピクニックバスケットを置きます。

アダム:いつでもどうぞ。 (ラナは笑います。) それじゃ、これでお別れだね。

アダムは握手しようと伸ばすとラナは手を握り返します。

ラナ:ただ私が退院したからといってリハビリには来るわ、それにお見舞いに来ないわけじゃないわよ。
アダム:ラナをお願いがある。俺は君につらい事ばかり言っていた。でもそれを忘れないで欲しいんだ?
ラナ:私達は苦痛を乗り越えられるわ、アダム。 多分あなたもね。

ラナは去り始めます。

アダム:ラナ、正直に君に話すよ。
    (ラナは立ち止まります) 俺は君が好きだ、でも君には他に誰かいるという感じを受ける。
    宙ぶらりんは嫌なんだ。
ラナ:誰もいないわ。でも…すぐに別の人と付き合うなんて思えないの。
アダム:大丈夫だよ、俺も君の恋人になろうっていうつもりはないさ。でも君の友達になりたいんだ。
ラナ:ええ、私もその方がいいわ。
アダム:よかった。それじゃ俺らは友達だね?

アダムは手を伸ばします、そして再びラナは微笑して手を握ります。

ラナ:友達よ。

第4幕 場面2
レックスの屋敷。
日中。
レックスが背を向けて暖炉の前に座っています。
クラークが使用人に案内されて中に入ってきました。
彼は少し不安そうに書斎の中に入ると使用人は立ち去ります。

クラーク:レックス。

レックスは振り向くと立ち上がります。

レックス:クラーク。
クラーク:気分はどうなんだい?
レックス:(冷静に)実際にいいよ。(レックスはクラークの手を両手で掴みながら)最高というわけにはいかないがな。

クラークは長い時間静かにレックスを見ます。

レックス:お前が訪ねて来たということを聞いたよ、そして…俺はあまりいい出迎え方をしなかったようだな。
     (レックスはクラークの肩に手を置き) もしそれが本当なら、俺は…すまないと思う。
クラーク:君のお父さんは何て言ってたんだ?
レックス:親父は俺が精神を患っていたと言っていた。
     俺が島にいた時のトラウマがそれを引き起こしたと思う。親父がそれを見つけてくれて感謝してるよ。
クラーク:(悲しげに) 僕もだよ。
レックス:(クラークの表情を窺い)俺に何かを話したい事でもあるのか、クラーク?
クラーク:(小さな声で)いやないよ。君が帰ってきてよかったよ、レックス。 お帰りなさい。

クラークが帰ろうと背を向けるとレックスが声をかけます。

レックス:いいかな、クラーク、俺が決して忘れないものが一つある。

クラークが振り向きます。

クラーク:何だい?

レックスはクラークに近づきます。

レックス:お前との友情は俺にとってとても重要だということだ。

レックスは目を閉じクラークを抱きしめます。クラークも目を閉じますが彼の顔は後悔の念が浮かんでいました。

第4幕 場面3
ケント農場。 日中。
台所でマーサとジョナサンとクラークが話し合っていました。

マーサ:ごめんなさい、クラーク。
ジョナサン:レックスは大丈夫だ。お前の秘密も安全だ。それがせめてもの救いだな。
クラーク:レックスは正しかったんだ。 ライオネルは悪いことをしたのに処罰を免れたんだ。
ジョナサン:だが何が起きたたのか聞いてないだろう。
クラーク:何か引っかかるんだ。

クラークは意気消沈してカウンターを見つめます。

ジョナサン:クラーク。 クラーク、お前とクロエがこの事を取り上げてはいけないんだ。
クラーク:(少し怒って) 誰かがライオネルを罪を暴かないと。
ジョナサン:いつか、誰かがライオネルを罪を償わせる事になるだろう、だがその日は今日ではないんだ、クラーク。
       なあ、これはお前にとって非常に難しいことは分かっている、
       しかしお前よりもっと力のある人達がいることを理解しなければな。

クラークが深呼吸をすると父親に振り返りうなずきます。

クラーク:(ほとんど聞こえない声で)分かったよ。

クラークがリビングルームに行って座るとマーサは彼の後を追いかけます。

マーサ:大丈夫?
クラーク:ある意味、レックスがうらやましいよ。幸せそうに見えた。僕も自分のこの数カ月を消せたらいいと思うよ。
マーサ:(クラークの背中の上に手あて)皆がタロンでラナの退院パーティーを開いているって聞いたわ。 あなたは行かないの?
クラーク:(弱々しくほほ笑んで)諦めないんだね?
マーサ:つらい愛をしたものね。 さあ早く、行ってきなさい。

第4幕 場面4
ライオネルと彼の助手の一人はルーサー・コープのライオネルのオフィスにいます。
夜。
ライオネルはコンピュータモニタを見て机にかがみ込んでいます。
モニタには監視ビデオが映っており、そして彼は繰り返して同じ箇所を見ていました。
音には雑音が混じっています。
監視ビデオがベレ・レベの共有スペースのクラークがレックスを訪ねて来た最初の日でした。
レックスは部屋の真ん中でクラークと一緒に立っています。
ライオネルは再びビデオを巻き戻します、そして他の患者のしゃべり声にほとんどレックスの言葉が聞き取れません。

レックス:俺はお前の秘密を知っている。 (クラークがカメラを見上げます) 誰にも話してない。

ライオネルはビデオを巻き戻します。

レックス:俺はお前の秘密を知っている。 (クラークがカメラを見上げます) 誰にも話してない。

ライオネルはビデオを止めます。

ライオネル:どうしてもっと早くこれを見せなかったんだ?

男:音声をエンハンスするのに一週間かかってしまいました。
ライオネル:一週間?!そしてこれがお前たちのベストなのか?

彼はビデオを巻き戻すと食い入るようにモニタを見つめます。

レックス:俺はお前の秘密を知っている。 (巻き戻し)俺はお前の秘密を知っている。
     (巻き戻し)俺はお前の秘密を知っている。 (巻き戻し)

第4幕 場面 5
次のシーンからはドラマチックにスローモーションで映像が動きます。

クラークがタロンに入ります。
夜。
中は人でいっぱいでやかましい音楽と「お帰りなさい、ラナ」と書かれた垂れ幕が天井から吊ってあります。
クラークはラナを捜しながら人を掻き分けて中に入っていきます。
彼はついに彼女がピートとクロエと一緒に話をしながら笑っているのを見つけます。
彼女が彼らから離れるとクラークは彼女が杖をつき左脚にギブスが巻かれているのに気付きます。
彼女はクラークを見つけると歩くのをやめます。
二人はアイコンタクトをするとラナは反射的に微笑します。
それからこれまでの数カ月の痛みを再び体験するかのように彼女の微笑と凝視はたじろぎます。
ラナの友達の一人が彼女のところに来るとクラークをもう一度見て立ち去りました。
クラークの目を伏せて踵を返し立ち去ります。
バーに戻るラナは彼が出て行くのを見て悲しげに目をそらします。

フェイドアウト。

おしまい。