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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.10Whisper[ささやき]

第1幕 プロローグ
クラークがスモールビルの宝石店のショーウィンドウで高価そうなネックレスやイヤリングを見ています。
日中。
ラナがクラークに近づいてきてガラス面に映っていますがクラークは自分の脇に立っても気づいていません。

ラナ:(クラークのそばで)何かプレゼントでも探してるの?

クラークが少し驚いてラナを見ます。

クラーク:母さんの誕生日がもうじきなんだ。具合はどうなんだい?
ラナ:まだ口が病院のゼリーの味がするわ。でも足はよくなってきたみたい。
クラーク:お見舞いに行こうと思ったんだけど…
ラナ:それはいいのよ。分かってるから。 (間があり)もう行かないと。 さようなら。

ラナは歩き去ります。
クラークは何か話かけようと深く息をしましたがラナは彼が何も言う前に速く行ってしまいました。
彼女が立ち去るのを見送ると彼は宝石店に入ります。
外に車が横付けしました。
ネイサン・マスターソンは彼の父親にの脇の助手席に座っていました。

ネイサン:ここに間違いないのか?
マスターソン:計画通りにやるんだ、ネイサン。 誰もお前がここにいる事なんか分からないんだから。

ネイサンはうなずきます。マスターソンはコンソールボックスから銃を取り出します。

マスターソン:お前が攻撃して、俺が持ち出す。いいな。お前の力を使うんだ。

ネイサンが客貨車から出て行くとマスターソンはジャケットに銃を入れ耳せんをしました。

店の中ではクラークに話ながら小さい宝石箱を手渡すカウンターの店員がいました。

店員:この前マーサが来た時にはこれを試していたよ。
クラーク:他に何か見てなかったかな、四桁未満の価格の物をさ?

ネイサンは気付かれないように店に入ります。

店員:(笑い) ああ、地元のデザイナーのすてきなアクセサリーを出すか。すごくユニークだよ。

店員はカウンターの上に別の箱を置いて開けました。
それは小さなクリプトナイトを主石としたブローチでした。

店員:宇宙からの石だ。

クラークは息を切らして後ずさりします。

クラーク:ありがとう、もう少し他を見てみるよ。

ネイサンは店の奥に行くと喉仏辺りの片側に指先をあてます。
彼の喉仏が数回急速に上下するとバリバリという音の後に続いて低い轟音が聞こえてきました。
それからネイサンが指をどかすと彼の口からかん高い音を発しました。
店の中にいた人は皆悲鳴を上げて耳を覆いました。

店員:うわーーっ!

マスターソンは顔にナイロンマスクをかぶって店に入ります。
ネイサンの唇は音の強度で震動します、そしてディスプレイカウンターのガラスが粉々になりました。
クリプトナイトが置かれているカウンターも粉々になり、
マスターソンが銃を引き抜くのとちょうど同時に空中に飛びました。
クラークは銃を見るとマスターソンに力の弱いヒートビジョンを撃ちます。
彼のヒートビジョンはマスターソンの持つ銃に当る寸前その前を落ちてきていたクリプトナイトに当りました。
ヒートビジョンはクリプトナイトに当ると緑色の光を反射し彼の目に直接戻ってきました。
彼は顔を押さえ膝を落とします。

クラーク:うわっ!あーっ!

ネイサンは音を立てるのをやめます。 店員はマスターソンに銃を向けます。

店員:観念するんだ。

マスターソンは気付かれないように店から走り出るネイサンを見ます。
人垣が店の外にでき始めると、客の何人かが店を出て行きます。 ラナが中に入ってきました。

店員:(マスターソンに)動くんじゃない。警察を呼んだからな。

ラナはまだ膝立ちしているクラークを見ると彼の傍に走ります。
彼はもう顔を抑えてはいませんでしたぼう然としていて混迷しているように見えました。

ラナ:クラーク、大丈夫?
クラーク:ラナかい? (間があり) ラナ、目が、目が見えないんだ。

クラークが必死に瞬きすると、ラナは驚いて口を開いたままになりました。

第1幕 場面1
ケント農場。
夜。
ジョナサンが見守る中マーサはクラークをソファーに座らせます。

マーサ:さあ、クラーク。ここに座るのよ、そこよ。

クラークは座ると背のクッションをちょうどいい位置に動かします。
彼の目の周りは少し赤くなっていました。
マーサはジョナサンのところに行って小さな声で話をします。

マーサ:ジョナサン、私達でどうにかしないと。
ジョナサン:ああ、分かってるさ。だがどうやって?
       クラークの網膜はヒートビジョンで傷を負ったんだ。診せた医者は混乱した。
マーサ:混乱なんかしてなかったわ、ジョナサン。あなたは彼に手錠をかけました。
ジョナサン:私達が最後に信頼した医者はクラークの血液をライオネル・ルーサーに売ったんだぞ。
マーサ:それなら私達で信頼できるお医者様を見つければ。
ジョナサン:そんな危険を犯したくない。
マーサ:クラークは視力を失ったのよ。誰かにクラークの秘密を知ってもらう危険は覚悟しないと。
ジョナサン:マーサ、これはクラークの秘密のことじゃないんだ。
       クラークの力が自分自身を傷つけたんだ。
       そして私達が外に走り回るより、この事を考えた方がいい。
クラーク:僕の意見は聞いてくれないの?

クラークが立ち上がるとジョナサンは彼の肩に手を置きます。

ジョナサン:もちろん聞くよ、クラーク。
クラーク:僕が回復するのは時間の問題かもしれない。
マーサ:あなた、それは本当なの。
クラーク:(楽天的なふりをして) それに毎日障害を甘んじて受け入れ学ぶ多くの人達がいる。
     何も悪いことはないさ、起きて、学校へ行って、そして壁を伝って歩くことができるんだから?

ジョナサンとマーサは顔を見会わせます。

第1幕 場面2
スモールビル高校。
日中。
廊下でピートはクラークの脇に立ち彼の腕を取って歩きます。
クラークは黒いサングラスをかけています。
二人が歩くのを学生たちが見ます。

クラーク:皆が見ているんだね?
ピート:あー、皆お前のサングラスが珍しいんだよ。

クラークが微笑します。 二人はクラークのロッカーに到着します。

ピート:やれやれ、俺が開けてやるよ。 (ピートはナンバーロック錠を操作し始めます)
    俺はこの3年間この組み合わせを知ってたんだ。 (笑い。 ロッカーを開けます) ほら、開いたぞ。

ピートは開いたロッカーにクラークの手を導きます。

ピート:言っておくけど、俺のお袋の管轄になったよ。
    ロス判事はどういうわけかこのマスターソンって奴を捕まえようとしていないんじゃなかって思うんだ。

クラークはロッカーから教科書を取り出しながら微笑します。
ラナは角を曲がって歩いてくるとクラークとピートに会います。

ラナ:クラーク。 もう学校に来て大丈夫なの。
クラーク:そんなに大げさなもんじゃないよ。ちょっと休んだだけさ。
ラナ:まあ、うーん、もし手伝うことがあれば言ってね。授業のノートを取るの手伝うわ。

クラークがロッカーから離れようとしたとき教科書を落としてしまいました。
ラナは彼が教科書を拾うのを手伝いひざまきます。
彼女が教科書を手渡したとき偶然彼の手が彼女に触れました。

ラナ:私が事故から学んだことは、あなたは一人じゃないっていうことよ。

二人は共に立っています。

クラーク:ラナ、僕の目が見えなくなったからといって僕らの問題まで見えなくなったわけじゃないよ。
     これは…(サングラスに触れ)…何も変わらない。
ラナ:私はただ手伝ってあげるって言ったのよ、クラーク。でももうそんな事言わないわ。

ラナは歩き去ります。

ピート:『会えないと、思いが募る』って誰かが言ってたけど、どう見てもお前らには当てはまらないな。

ピートはロッカードアを閉じます。
バタンという音が耳に響きます。
彼はナンバーロックをグルグルと回して鍵をロックしました。
これらすべての行動の音は途方もなく大きな音に聞こえますがクラーク以外の者は誰も気付きません。
ピートが自分のロッカーを閉め鍵を閉める音がクラークの耳に強烈に響きます。
突然通過する学生の足音やブックバンドを閉める音が響きます。
クラークは耳を押さえ苦痛をあらわにします。

ピート:クラーク、どうしたんだ?
クラーク:ピート、あれが聞こえないかの?
ピート:何が聞こえるっていうんだ?
クロエの声:もしもし。
クラーク:クロエ?
クロエの声:もしもし…
ピート:(混乱して) 彼女はここにはいないぞ、クラーク。
クロエの声:もしもし?
クラーク:ピート、彼女の声がすぐ傍で聞こえるんだ。

クラークの鼓膜がクロエの声に振動している様子が描かれます。

クロエの声:何が望みなんですか?学校にいます。こんな場所じゃ話せません。もう終わったはずです。

クロエが携帯電話で話をしている廊下へと場面が変わり。

クロエ:誰にも話しません。電話をしてくるなんて信じられないわ、あんな事が起きた後に。
    あの、前に話しましたよね、もうクラークについての調査はしないって。

クロエがクラークとピートの後ろの階段を歩いています。
彼女はルーサー・コープの机に座るライオネルと話をしています。

ライオネル:本当かね?私はディリープラネットで働きたいと熱心に望んだ
       若いレポータの生き生きした記憶があるんだが、
       私は君にチャンスを与えるために一つ条件をだした。
クロエ:あの、もう私が持っている情報は全てお渡ししたはずです、ルーサーさん。
ライオネル:おいおい、クラーク・ケントの現場を抑えるんだ。
      君がジャーナリスト魂を失っていた時のことを私に教えるんだ、
      クラークがおかしくなったときのことを。
      特にその時に周りにいた者達の聞き込みで精神的外傷を負っているといったことをな。
クロエ:あの、誰かほかの人を探して下さい、ルーサーさん、あたしはもうやりません。
ライオネル:うーん?どうするつもりだね?レックスのところにでも駆け込むかね?
クロエ:何を彼から奪ったの?
ライオネル:(突然厳しく) レックスは本当に精神病なんだ。あの子は根底に傷を負っているのだよ。
       分かるかね?容態は完全に安定しているように見えるかもしれん、
       だがどんなプレッシャーも与えるわけにはいかんのだ。
       そのため我々はレックスに鉛筆を削らせオフィスに座らせておくんだ。

クラークが疑って聞きます。

ライオネル:だが私は君のクラーク・ケントの詳細レポートを期待しているのだ、サリバン君。

始業ベルが鳴るとライオネルの声は聞こえなくなりクラークは騒音に息をのみます。

クラーク:ああ! ああ!
ピート:クラーク、どうした?
クラーク:ピート、何か悪いことが起きる。僕をすぐに家に戻してくれ。

ピートは学生でいっぱいの廊下をクラークの腕を持って導きます。
ネイサンはロッカーの脇に立ち彼らが通過するとき奇妙な顔でにクラークとピートを見ます。

第1幕 場面3
ジョナサンがクラークを屋根裏の階段に導きます、マーサが後に続きます。
日中。

ジョナサン:それじゃ音が…突然お前を襲ったというのか?
クラーク:まるで誰かがステレオのボリュームを最大にしたみたいだった。 突然全ての音が大きくなったんだ。
ジョナサン:ソファーはここだ。

クラークがソファーに座ります。

クラーク:それから元に戻ったけど。あれは完全に手当たりしだいだったよ。
ジョナサン:ああ、お前の透視能力とヒートビジョン、本当にお前の感覚がどう発展するのか分からんな。
マーサ:それは一回だけのことかもしれないわ、
     それともあなたの体が見えないことの埋め合わせようとしているのかも。
クラーク:もうこんな力はない方がいいよ。あの音は物凄くうるさかったんだ。
     その音がどこからしているのか何の音なのかさえ分からなかった。
     (間があり) それからクロエとライオネルの声が聞こえた。
マーサ:(混乱して)何て言ってたの?
クラーク:二人は電話で話していたと思う。僕の事ついて話をしていた。
     僕にははじめての会話じゃなかったように思うんだ。

レックスは入ってきます。

レックス:やあ。
マーサ:まあ、レックス。
レックス:お元気ですか?
マーサ:元気よ。
レックス:ケントさん。 (彼はジョナサンの手を握ります)
マーサ:じゃあ、あの、私はクラークの学校の校長先生に書類を提出してこないといけないから。
ジョナサン:ああ、明日が期限だったな。

ジョナサンとマーサが出て行きます。 レックスはしばらくの間静かにソファーの脇に立っています。

レックス:クラーク、何と言っていいのか。
クラーク: 挨拶はなしかい? なあ、レイ・バンをかけていても僕は昔と変わらないクラークだよ。
レックス:いいか、俺の親父が光を失ったとき、俺は、あー、世界中のトップの眼科医に連絡をした。
     教えておこう、その中の一人を紹介してやれる。
クラーク:ああ、レックス、それは本当にありがたんだけど、でもこれは解決すべき問題じゃないと思うんだ。
     これは僕が甘んじて受け入れることを学ぶ必要がある何かなんだよ。

レックスは少し悲しげに微笑します。

クラーク:ねえ、僕の事はもう話さなくてもいいよ。
     皆がその事を話さなくてもその声で心配しているのが分かるんだ。

レックスはクラークの隣に座ります。

レックス:俺を信頼してくれ、その気持ちは分かるんだ。
     俺は元精神病の人間に対する古臭い偏見があることを知った。
     俺はそんな事を過去のものとして忘れ去ることができる唯一の方法が
     自分の価値を証明することだと分かったんだ。
クラーク:それをどうやってするんだい?
レックス:ルーサー・コープに戻ることだ。親父は俺にポジションを返すと言ってきた。
クラーク:レックス、それが本当だと思うのかい?
レックス:どうしてだ、クラーク?何か知っているのか?
クラーク:ああ、その仕事がウソだって聞いた。君が思っているより君のお父さんは良くないんじゃないかな。

レックスは笑います。

レックス:それじゃ親父は、そのー、俺をオフィスに座らせておいて、親指を持て遊ぶ事になると?
クラーク:いや、正確な言葉は「鉛筆を削る」って言っていたよ。
レックス:クラーク、どこでそれを聞いたんだ?
クラーク:ねえ、僕がどこでそれを聞いたのかは重要じゃないんだ、レックス。
     重要なのは君が注意深くする必要があるということなんだ。

レックスは深呼吸をして小さくうなずきます。

第1幕 場面4
ジョナサンは家に入るとマーサはダイニングテーブルに座っていました。
日中。

ジョナサン:ただいま。
マーサ:お帰りなさい。ジョナサン。私思うの何人かアルバイトを雇った方がいいんじゃないかしら。
     疲れているように見えるわ。あなたが心配なのよ。

屋根裏ではクラークがスーパーヒヤリングで両親の話を聞いていました。

ジョナサン:いや、マーサ、かろうじて現状を維持しているんだ。
マーサ:それじゃもしあなたが入院することになったらしょうがないじゃない。
ジョナサン:私は大丈夫だよ。それより一息つきたい。お前は何をしていたんだ?

マーサは目の前のテーブルの上に広げた書類に目を移します。

マーサ:クラークのために教育委員会に障害者適用の教師を探そうと思って。
ジョナサン:あの子のカウンセラーは通常の授業を受けられると言っていたじゃないか。
マーサ:いつまでも?あの子の生活は変わったのよ。
    そしてあなたもそうだわ、あなた達は誰も認めようとはしないけど。
ジョナサン:マーサ…
マーサ:あなた達は何でも一人で全てできるスーパーマンだって思い込んでる、
     でももうこれ以上そんな事はできないわ!
     あなたは人を頼り始める必要があるのよ、あの子もね。

マーサはテーブルから立ち上がると気を動転させながら離れていていきます。
屋根裏でクラークは全ての会話をじっと聞いて立っていました。

第1幕 場面5
レックスの屋敷。
日中。
レックスはタロンからのレポートを見て書斎の机に座っています。
ラナが入ってきました。

ラナ:保険会社から手紙を受けとったわ。
   確かに私にかかった医療費の全額が支払われていました。
   (彼女は座ります)
レックス:まあ、誰かが全ての保険会社は悪だと言っていたかな?
     あれは君の過失じゃない、ラナ、俺のせいだ。
     君を馬屋に投げ飛ばしたため馬を脅かしてしまった。
ラナ:(背中を伸ばして)レックス、あなたは…
レックス:頭がおかしいかったか?
ラナ:(背もたれに寄りかかり)あれはあなたじゃないわ。
レックス:意味論は別として、君は俺のためにとやってくれた事が仇になってしまった。
     それは本当にすまなく思っているよ。
ラナ:あなたの誠意は本当に伝わってきたわ、タロンに立ち寄って挨拶もしてくれたし。
レックス:(微笑)。ええ、まあ、誠意はいつもより簡単だ。
     それよりも君のリハビリに立ち会えなかったのは残念だったよ、
     だがクラークがその間面倒見てくれていたんだろ。
ラナ:実はクラークは近くにいなかったの。
   私達はお互いに傷つけ合うのをやめる最も良い方法が会わないようにしようって決めたのよ。
レックス:あいつの新しい現実に従うとすれば、俺は今すぐ君のサポートが必要だと思う。
     なあ、勇敢というのは行為だ、ラナ。俺の親父も同じことをした。
ラナ:レックス、私は彼に手を貸そうとしたわ。
   でも私の態度が彼の心を解きほぐせるとは思えないの。

ラナは立ち上がって去り始めます。

レックス:ところで、アダムとは誰だい?

ラナは驚き振り向きました。

レックス:タロンへの請求書にスモールビル医療センターにいる彼へのお見舞いのバスケットが含まれている。
ラナ:お店にちゃんと払います。
レックス:まだ俺の質問に答えてないな。
ラナ:彼は私がリハビリの時にできた友達よ。
レックス:ほお。なかなかの好印象だったんだな。
ラナ:ええ、そうよ。だから覚えておいて。

ラナが去るとレックスはタロンの請求書に戻ります。

第1幕 場面6
クロエがクラークのいるロフトへと車でやって来ます。
日中。
クラークはまだサングラスをかけたまま中にいて彼女の車のタイヤの音を聞いていました。
彼女は車から降りるとロフトへ入ります。

クロエ:クラーク?
クラーク:クロエ。
クロエ:やぁ。ねえ、あたしあまり使い古された表現を使いたくないんだけど、
    もしできる事があれば…(手をクラークの腕に向けます)。
クラーク:僕は、なんとかやってけるよ。
     (クロエから数歩離れて)君は盲目の男に会いにずっとここに来なかったね。
クロエ:実は、ちょっとしたミッションに関わってるの。ピートに会った?

クラークは「会った」の言葉に反応して頭をクロエに向けます。

クロエ:ごめん。あのー…あたし達今朝会って、
    あたしのディリープラネットのコラムは二人でやろうって決めたの。
クラーク:ライオネル・ルーサーが君を降ろしたコラム?
クロエ:それはどういう意味?
クラーク:僕は光を失ったかもしれない、でも今はもっとよく見えるようになったよ。
     君とライオネルはどれぐらいの期間僕のことを調査していたんだい?

クロエはしばらく黙っていました。

クロエ:(小さな声で)去年の春から。レックスの結婚式の翌日から。
クラーク:君が僕とラナと一緒に会った時からだね。どうしてそんな事をしたんだい?
     (クロエは答えません)君の沈黙は耳をつんざくようだ。
     君はライオネルに何を教えたんだ?
クロエ:(防御的に)何もないわ。まだ何も知らないわ。
クラーク:(腹を立て)じゃあ、ライオネルと何を共有してるんだい?
クロエ:何もないわ。信じてくれなくても、クラーク、あ、あたしは…あなたを助けようとしたのよ。
クラーク:ふーん、僕の秘密に調べることでかい。
クロエ:違うわ、ただ何故あの人があなたに興味を持つのか知ろうと思って。
クラーク:それでもしトーチに新しいコンピュータが入って、
     そしてディリー・プラネットに君の名前のコラムができても、それは問題じゃないのか。
     君は僕の秘密を守ったと言ったけど、どうすれば僕が信じられるっていうんだ?!
クロエ:あたしは…あの人がまともだと思ってたわ、特にあたしが良くない時に近づいてきたの。
    そしてあたしは屈服したわ。
    あたしはそれ以来ずっと止めようって思ってた、
    でもライオネル・ルーサーのような人達はあなたを手放すことはないと思う。
    いい、誰もがわずかな弱さで愚かな判断をすることがあるって知って欲しいの。
    でもあたしが間違っていたと思うわ。

クロエが立ち去ります。
クラークはクロエが車に乗り込んでエンジンをかけるのを聞きながら静かに立っていました。

第1幕 場面7
ピートがケント農場の近くの道路を車で走っていると、
クラークがフェンスの上に座っているのを見て路肩に停まりました。
日中。
ピートは車から降ります。

ピート:クラーク。お前の親父さん達が牛乳パックにお前の写真を貼り付ける準備をしていたぞ。
    どうやってこんなところへきたんだ?
クラーク:(フェンスから降り)歩ってさ。僕はこの農場の全ての場所を知ってるよ。
     (ピートは笑います)皆を怖がらせるつもりはなかったんだ、
     でも全ての雑音が聞こえなくなったわけじゃないんだ。
ピート:それじゃお前のメガヒアリングはまだ。
クラーク:僕は突然究極の盗聴者になったよ。

クラークが少し頭を回して近づいてくる騒々しい車のガタガタと鳴っている音を聞きます。

クラーク:
誰か君の後をつけてきたのか?
ピート:いや。どうして?

ゴーと鳴る音がよりうるさくなります、そしてクラークは耳をふさぎました。

ピート:クラーク!

ネイサンがレッカー車から外に出るまで音はうるさくなります。

ネイサン:ロス!トラックに乗るんだ!
クラーク:ピート、何が起こってるんだ?

ネイサンは喉仏に触れるとまた上下に動かし唇を震わせかん高い金切り声を発しました。

クラーク:うわーっ !

ピートとクラークは悲鳴を上げて耳を押さえ地面に倒れるとピートの車の窓が粉々になりました。
ネイサンは音を立てるのをやめてピートを掴み立たせます。

ネイサン:俺はトラックに入れと言ったんだ!

クラークはフェンスにしがみつき立ち上がりました。

クラーク:ピート、それは誰だ?

ネイサンはトラックの中にピートを押し込むと彼の隣に乗り込みます。

クラーク:ピート、何があったんだ?教えてくれ!

ネイサンはトラックを始動させると騒音を立てて走り去りました。

クラーク:ピート!

フェイドアウト。

第2幕 場面1
アダムス保安官はケント家のダイニングルームでジョナサン、マーサと一緒にいます。
日中。
アダムス保安官は、無線を調整しながら情報に聞き耳をたてていました。

ジョナサン:ピートの車でも何か見つからないんですか?
アダムス:情報はないわ。
マーサ:保安官、ピートを連れて行かれた時クラークは宝石店で聞いたのと同じ音がしたと言っていました。
     関係があるんじゃないですか。
アダムス:ケントさん、私もそれは理解します、でも率直に言って、
      あなたの息子さんの「耳」だけでは証言にならないんです。
ジョナサン:いや、そうじゃない、助けになります、保安官。
      それはマスターソンに共犯者がいることになるんじゃありませんか。

ドアがノックされるとマーサはそれに答えるために行きます。

アダムス:4万5千人もの人がいるんですよ、ケントさん、この狭い町でもね。
ジョナサン:いやしかし、それが手がかりになるかもしれないでしょ。

マーサはピートの母親、アビー・ロスに続いてもう1人の保安官と一緒にダイニングルームに戻って来ます。

ジョナサン:アビー?
アダムス:ロス判事。身代金要求がある場合に備えて家にいるべきです。
アビー:電話が来たのよ。保安官代理にすぐにここに連れて行くように頼んだの。
マーサ:ピートは大丈夫なの?
アビー:今のところはね。

マーサは慰めるようにアビーの腕に触れます、
そしてジョナサンはアビーを座らせようと食卓のイスを引きます。

ジョナサン:アビー。

彼女は座ります。

ジョナサン:要求は何だったんだい?
アビー:マスターソンの事前審理の聴聞会は明日なの。
    明らかに彼の弁護士は全ての告訴を棄却する申請をしようとしてるわ。
    もし私がそれを受けないと私の息子を殺すと言って来たわ。
    (彼女の声は震えます)

クラークは屋根裏にいたまま会話を全て聞いていました。

マーサ:そんな、何てことなの、アビー…

第2幕 場面2
ケント農場。
日中。
いくつもの騒音が屋根裏から聞こえてきます。
テーブルソー、トラクターのエンジンとラジオからのニュース。
クラークは屋根裏でラジオのアンテナを調節しています。
クラークがイライラしてラジオを机から叩き落とし粉々したときマーサとジョナサンが入ってきました。

ジョナサン:(騒音に叫びます)クラーク!何がここで起こっているか教えてくれないか?
クラーク:聴覚の焦点を合わせようとしてるんだ!
マーサ:分かるわ、あまりにも運がなかったものね!
クラーク:もしこの力をコントロールできなと、ピートを救うことができないんだ!

マーサはトラクターを止めます、そしてジョナサンはテーブルソーを止めました。
エンジンの音は弱まります。

ジョナサン:クラーク、ロス判事が家にいる。
クラーク:知ってるよ、父さん、聞こえたから。
     でも誘拐犯に弱腰になったらダメだ。奴らはピートを殺そうとしてるんだ。
     聞こえたよ。手を貸して。
ジョナサン:分かった、それならはじめよう。

ジョナサンは部屋の真ん中にクラークを導きます。
ジョナサンは木細断機のコードをコンセントに差し込むとエンジンががたがたと動き出します。
壁のところまで行ってテーブルソーのスイッチをオンにすると、マーサはトラクターのスイッチを入れました。
彼女はクラークの傍まで駆け寄ると騒音のため彼の手を持って叫びました。

マーサ:お父さんの声を聞いて。

クラークがうなずきます。
ジョナサンはテーブルソーの脇に立つクラークの向こう側に立っています。
彼は「集中するんだ、クラーク」と言いますが騒音の中に彼の声を聞くことができません。

ジョナサン:(口だけをわずかに動かしささやき)私の声に集中するんだ。

クラークは全ての個別の音に聴覚を集中して頭を回します。
彼は木細断機の刃の金属音を聞きます。
テーブルソーの回転する音を聞きます。
トラクターのモーター音を聞きます。
ゆっくりと騒音は次第に消えていき、
そしてジョナサンのささやき声が段々とはっきり聞こえてくるようになりました。

ジョナサン:(ささやき)クラーク、集中するんだ。私の声に集中しろ。
クラーク:父さん!

ジョナサンはクラークに向かって近づきます。
彼がテーブルのそばを通った時腕が引っかかり、
釘がテーブルから床へと落ちるとクラークの耳をつんざきました。

クラーク:うわーっ!
ジョナサン:クラーク?
クラーク:(耳をふさぎます)あーっ!
ジョナサン:クラーク!
クラーク:父さん、大丈夫だよ。平気さ。少しだけど父さんの声が聞こえた。

マーサはジョナサンにほほ笑みます。

ジョナサン:それはよかった。私はかろうじてささやいているだけだったんだ。よし。続けよう。

クラークがうなずきます、そして今度はジョナサンはドアの脇に立ちます。

ジョナサン:(ささやき)焦点を合わせろ、クラーク。
         私の声に焦点を合わせるんだ。私の声が聞こえるか?(クラークがうなずきます)よし。

第2幕 場面3
レックスは書斎でオレンジジュースを注いでいました。
日中。
彼がグラスを取るとライオネルが入ってきました。

ライオネル:レックス?すまないな、あまり時間がないんだ。
       すぐにメトロポリスに戻らないといけなくなったんだ。
       何か話でもあるのか?
レックス:俺が施設から退院したとき、あなたは両手を広げて俺を歓迎してくれましたね。
ライオネル:そうだとも。
レックス:あなたの約束を額面通りに信用した自分が愚かでしたよ。

レックスはライオネルから離れるとライオネルは後を追います。

ライオネル:どういうことだね、レックス、何の話をしているんだ?
レックス:屈辱ですよ。
     実際、ルーサー・コープへの新しいポジションという以外、
     他に何もさせてもらえないと言う噂を聞きましたよ。
ライオネル:おお、そんな事はないぞ、レックス。私はお前と一緒に働こうと望んでいるんだ。分かるだろ。
レックス:何をしてですか、鉛筆を削るために?

レックスはソファーに行って座ります。

ライオネル:レックス、お願いだ、話を聞いてくれ。

ライオネルはレックスの隣に座ります。

レックス:もし俺を机に縛り付けて置くだけで安心できると思ったなら大間違いだ。
     もちろん、俺の情報源が間違ってなかったらだが。
ライオネル:それは本当だ、レックス。
       過去においてのお前のパフォーマンスには失望していた、
       しかしそれをお前に何も言うつもりはない。
レックス:それじゃ聞くが。俺は十分自身を証明し続けなければならなくなるな?
ライオネル:(クスクス笑い)まあ、残念なことだが、私達はは毎日自分自身を証明しなければならん。
       私はそれを受け入れるようになったよ、そしてお前もいずれそうなるさ。
       聞いてくれ、レックス。
       もし私達の知り合いの誰かが私達の間にヒビを入れようとしているのならそれは裏切り行為だ。
       その情報源は誰なんだ?
レックス:俺の事を蔭でこき下ろす話をしたのは誰なんだ?

ライオネルはじっとレックスの目を見つめ返します。

第2幕 場面4
ジョナサンはタロンの外の路肩に車を止めます。
日中。
クラークが助手席にいます。

クラーク:父さん、僕は本当にピートのことが心配なんだ。どこに来たんだい。

ジョナサンはエンジンを止めるとトラックから降ります。

ジョナサン:ああ、タロンだ、クラーク。新しい情報を手に入れられると思ってな。すぐに戻ってくる。

ジョナサンはタロンに入ります。
クラークは運転席側のドアが開いて閉じる音を聞きます。

クラーク:(ジョナサンだと思い)ずいぶん早かったんだね。
ラナ:あなたのお父さんがあなたがここいるって言ったのよ。
クラーク:(驚いて)ラナ。
ラナ:あなたは少し話し相手が欲しいんじゃなかいと思って。
   (クラークは返事をしません)でももしいやなら…

ラナはトラックから出て行こうとします。

クラーク:いや、待って。(ラナは止まります)今朝のことだけど…
ラナ:平気よ、クラーク。あなたは気が動転してただけよ。
クラーク:違うんだ。そうじゃないんだ。
     ラナ、最近僕は皆を遠ざけてる、実際そうなってる、僕は君を手放したくはなかった。
     でも分かるんだどうして君が僕から離れていったのか。
ラナ:わ、私は怪我をして怖くなったのよ、クラーク。過剰に反応したわ。
クラーク:今までよく君が僕からもっと早くに離れていかなかったことに驚いてるよ。
ラナ:あなたから離れる理由がこれまでにあったことは分かってる。
クラーク:そんな理由じゃないよ。
ラナ:(間があり)どういう意味?
クラーク:僕が言ってるのは僕の生活が変わってしまったことさ。
     そして分かった事は僕は1人でいたくないって事さ。
ラナ:クラーク、あなたは…一人じゃないわ。

クラークが手を伸ばしてラナの手に自分の手を置き優しく握ります。
ラナは手を引っ込めます。
彼女の目には涙が溢れていました。

ラナ:(ほとんどささやき)もう戻らないと。

クラークがゴーッと響く金属音が接近してくるのを聞きます。

クラーク:ラナ、 あ、あれは何なんだ?

ネイサンはレッカー車で二人の乗ったトラックの後ろに近づいていました。

ラナ:何って、レッカー車よ?

クラークはトラックから出るとボンネットに沿って前の方へと歩きます。
ラナも外に出ます。

クラーク:あの音はピートのときと同じ音だ…
ラナ:ピート?クラーク、何があったの?
クラーク:ラナ、これは大変だ。父さんを呼んできてきれ。

ラナはタロンの中に走ります。
レッカー車がゆっくりと走ってくるとクラークは道路に出ていきます。
ネイサンに気付かれないようにクラークは無我夢中でトラックの背中に登りました。

レッカー車は路地を走り古いサービスステーションのような場所に止まりました。
完全に停止する前にクラークはトラックから飛び降ります。
サービスステーションの中ではピートがテープで口をふさがれイスに縛り付けられていました。
ピートが口に張られたテープを何とか剥がしました。
ネイサンはレッカー車を駐車して降りてきます。
クラークがサービスステーションの外にいるとピートの叫び声が聞こえてきました。

ピート:助けてくれ!!
クラーク:ピート?
ピート:誰か聞こえるか?
クラーク:ピート!
ピート:クラーク!クラーク、助けてくれ!クラーク、助けて!

ネイサンが部屋に入ります。

ネイサン:黙ってろ!

ネイサンはピーとの顔面にパンチを食らわせるとピーとは気絶しました。
クラークはドアを蹴破って部屋の中にピートの気配を探ります。

クラーク:ピート?ピート、どこにいるんだ?

クラークは手を伸ばし手当たり次第に触りますがピートを見つけられません。
突然ネイサンはトーチランプを持ってクラークの後ろに立っています。
彼がトーチランプに火をつけるとクラークはその音に振り返りました。
ネイサンはクラークの顔からサングラスを叩き落とすと彼の目に直線トーチランプの火を浴びせかけます。

クラーク:ウワーッ!ああ!

クラークは後ずさりして目を抑えます。

ネイサン:これでどうだ、盲目の男め。
クラーク:ああ!

ネイサンはトーチランプを消して投げ落とします。
それから彼はピートのジャケットを掴むと立たせて部屋から引っ張っていきます。

ネイサン:さあ早く!来るんだ!
クラーク:(まだ目を抑えたまま)ピート!ピート!

クラークが手を顔から外しあたりを見回します。
暗闇の中に柔らかい緑の明かりが見えてきます、
それから周りの様子がボンヤリと見え始め部屋の様子が徐々に明るくなりました。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
ケント農場。
日中。
家の中ではクラークが手に持っているリンゴを見ています。
彼の目はまだ少しぼんやりとしていて二重に見えています。
マーサとジョナサンは彼の前に立っています。

ジョナサン:だいぶよくなったのか?
クラーク:まあね。でもまだぼやけて見えるよ。少なくとも壁を伝う事はないと思うよ。
マーサ:それで、あなたの他の能力はどうなの?
クラーク:X線ビジョンやヒートビジョンは…まだ回復してない。
ジョナサン:多分トーチランプの炎が瘢痕した組織を燃やしてしまったんだろう。
       完治するにはまだ時間がかかりそうだな。

クラークはサングラスをかけます。

クラーク:ピートはまだ戻ってきてない。
ジョナサン:クラーク、ピートは無事だろう。
       それにもうアダムス保安官にはお前が知っているすべてを話しただろ。
クラーク:うん、だけどここでじっとしてるわけにはいかないんだ。

ジョナサンはマーサを見てためらいます。

ジョナサン:分かったよ。
       だがそれをする前に一緒に行って欲しいところがある。

スモールビル医療センターの診察室から出てくるジョナサンとマーサ。
二人はクラークが出てくるのを待ちます。

マーサ:クラーク、出て来なさい。

クラークはいやいやながら診察室から出てきくるとメガネをかけていました。

マーサ:クラーク、似合ってるわよ。
クラーク:本当に?
マーサ:本当よ。
ジョナサン:それじゃあ。お前の計画を聞こうか?どうやってピートを探すんだ?
クラーク:マスターソンの聴聞会が1時間後なんだ。
     あいつが取引をしようとしているのは分かってる。
     もしロスさんが奴の言いなりになったら僕は奴の後をつけるよ。
ジョナサン:おい、それは期待ができなかもしれないぞ。
クラーク:それが僕の計画さ。

第3幕 場面2
メトロポリス。
夜。
夜景は色々なオフィスビルからのライトで照らされます。
ライオネルはルーサー・コープのオフィスにいます。
クロエがアシスタントによってエスコートされて入ってきます。

ライオネル:(電話に)結果が変わったのか?ふーん。

アシスタントはクロエを部屋の中央まで案内すると出てきました。
クロエの存在に気付かないかのようにライオネルは電話を続けます。

ライオネル:あー、分かった。もう一度やってくれ。(笑い)どのぐらいかかる?
       分かった。終わったら電話をくれ。

ライオネルは電話を切ってもまだクロエに気を止めていません。

クロエ:そんな風にしててれば渋々何か出すと思ってるんですか?
    いいですか、あたしはクラークの新しい情報は持っていません。

ライオネルはコーヒーテーブルからマグを取り上げクロエをちらっと見ます。

クロエ:たとえ持ってたとしても、3時間ものドライブなんかしないでEメールですむはずでしょ。

ライオネルはコーヒーを注ぎます。

ライオネル:それは君がレックスに話す前の事なのかね?
クロエ:どういう意味ですか?
ライオネル:いいかね、サリバン君、高校の図書館員なら君の甘い言葉で情報を引き出せるかもしれんが、
       だがこちらは君の学校ではないんだよ。

ライオネルはソファーに座ります。

クロエ:ルーサーさん、それは何の話なんですか?
ライオネル:私達は個人な会話をしたつもりなんだが、レックスの私に対する言葉が振り出しに戻って驚いたよ。
       君は私を信じるべきだよ、サリバン君、あー、まだレックスと連絡をとりあっているのか。
クロエ:あの、そんな事はしてません。でも慇懃無礼な言い方は嫌いです。
    もう失礼します、締め切りが迫ってますので。

クロエが去り始めます。

ライオネル:もはやそれはないぞ。ディリープラネットの君のコラムは掲載中止になった。
クロエ:(立ち止まり)何ですって?

ライオネルは一瞬のクロエの目をじっと見ます。

ライオネル:分かった、分かった。取引しようじゃないか。
       君がレックスに話したことを教えてくれたまえ、もう一度掲載させてあげようじゃないか。
クロエ:レックスの情報源はあたしじゃないって言ったはずです。
    それにあたしのコラムを中止するなんて、それとこれはディリープラネットとは関係ないじゃないですか。
    カンザスの農場の少年に過度の興味を持つ風変わりな億万長者に興味は惹かれますけど。

ライオネルは危険な目でソファーからクロエを見上げます。

ライオネル:(小さな声で)私を脅迫するのかね?

クロエは息を飲みます。
ライオネルは立ち上がり彼女に近づきます。

ライオネル:私は気を使っているのだよ、サリバン君。非常にね。

ライオネルはクロエの後ろの机に歩きます。

クロエ:あたしは自分で欲しいものは自分で手に入れます。もうこれ以上あなたのためには働きません。

クロエが踵を返しオフィスから立ち去ります。
彼女がドアの外に出ると立ち止まり額を手で拭い息が荒くなっていました。

第3幕 場面3
スモールビル裁判所。
日中。
中ではアビー・ロスは裁判官のユニフォームを着て法廷に行く廊下を歩いています。
アダムス保安官が彼女の脇にいます。

アダムス:判事、息子さんの発見に人員を投入しましたがもう時間がありません。

アビーは歩くのをやめてアダムスの方に向きます。

アビー:分かってるわ。マスターソンを釈放することは私の信念に反します。
    でももしそうしなければピートの命の保証はないの。

アビーが廊下を歩いているとマスターソンが弁護士と話をしているのを見ます。

アビー:彼を見て。私達に他の方法がない事を知ってるわ。
アダムス:あなたはどうするつもりですか?
アビー:聴聞会が始まるまで祈ってて。

アビーはアダムスの腕に触れると廊下を歩き続けます。
マスターソン達が話し合っている向こうでクラークがその会話を聞いてい立っていました。
マスターソンとその弁護士が会話を終えると弁護士は歩き去ります。
マスターソンは携帯電話を取り出すとダイアルします。
クラークはマスターソンが誰に話をしているのか聞くためにスーパーヒヤリングの焦点を合わせます。

ネイサンが電話に出ます。

ネイサン:もしもし?
マスターソン:ネイサンか。
ネイサン:ああ僕だよ。
マスターソン:すべて準備完了した。もしこの裁判官が頭が良いならあと20分程でここから出られる。

ネイサンの声はクラークの鼓膜を震わせます。

ネイサン:そりゃいい。うまくいったんだ?それじゃ僕は次に何をすればい?
マスターソン:俺が表に出たらすぐにロスのせがれを始末しろ。そして計画通りメトロポリスで落ち合うんだ。
ネイサン:分かったよ。ロスヲ1分でスクラップにしてやる。

クラークがマスターソンの携帯電話を聞くと、裁判所から超スピードで出て行きます。

車のガレージに切り変わり。
ネイサンは廃車の上に立ち開いたトランクに気を失って倒れているピートを見下ろしています。
ネイサンはトランクを閉めると車から離れてます。
クラークがガレージに超スピードで着くとそこには「スクラップ場」と書かれた看板がありました。
ネイサンは車の上にあるプラットホームのモーターをオンにするため壁のスイッチを入れます。
車の圧搾器はトランクにピートがいる車を押しつぶそうと下がり始めます。
ネイサンは圧搾器から離れます、
そしてクラークは一面に置かれているスクラップ車の迷路であたりを見回してました。

クラーク:ピート!

クラークはネイサンを見て彼をネイサンだとは気づかずに走りよります。

クラーク:ねえ、君はここで働いてるのかい?
ネイサン:どうしてだ?どうしてお前がここにいるんだ?!

クラークがネイサンのジャケットをつかみます。

クラーク:ピートはどこだ?
ネイサン:あと一分だ、そんなに気にするなよ。

圧搾機はすでに車の屋根に届き押しつぶし始めています。
ネイサンはかん高い音を発するとクラークは耳を押さえ後ずさりしてネイサンを離してしまいます。
クラークは詰まれた車の山に後退して、メガネが落ち顔を抑えます。
クラークの後ろの車の山が傾き始めるとクラークはネイサンを残して超スピードでその場を離れました。

ネイサン:うわーっ!

ネイサンは落ちてくる車の下じきになってしまいました。

ピート:助けてくれ!誰か聞こえるか?助けてくれ!助けて!

クラークはピートの声がどこから聞こえるのか一瞬を躊躇し圧搾機を見ます。
車の窓は圧搾機の下で粉々になります、
そしてクラークはプラットホームに超スピードで登ってそれ以上下がらないように梁を手で持ちました。
ついにモーターはショートし圧搾機は止まります。
クラークが車のトランクを開けます。

クラーク:ピート!ピート、大丈夫か?
ピート:(ほほ笑んで)クラーク。

ピートは一瞬クラークを見上げてほっとして頭を落とします。
フェイドアウト。

第4幕 場面1
タロン。
日中。
中では、ピートが三人の美女と若者に囲まれ恐怖の体験をバーに座って語っていました。

ピート:そして俺は圧搾機から抜け出して逃げたんだ。
少女:すごいわ。今までに聞いたことがある中でもすごく勇敢だわ。
ピート:まあな、いいか、もし俺が素早くやらなかったら、今頃ミンチに…
少女#2:まあ、あなたが無事でよかったわ。(ピーとの頬にキスをし)電話をちょうだい。
ピート:(グループが歩き去ると)電話するよ。

クラークはピートの後ろのバーに立っています。クラークはまだメガネをかけています。

クラーク:(ピートに言うには大きな声で)もう何回もその話を聞いてる感じがするよ。

ピートは笑って向きを変えます。

ピート:いいじゃないか。俺が何を言ってもさ。女の子にはうけるぜ。
クラーク:うーん、まぁね。
ピート:気にするなよ、ほんの少し事実と違ってるけどさ。
クラーク:ピート、話をする相手を見定めてくれよ。
     マスター・トゥルース・ベンダーくん。
     それが僕のためにしてくれる最低限の約束だ。

クラークはめがねを外して目をこすります。

ピート:どうした?
クラーク:目が回復してきてるんだ。また新しいメガネが必要だよ。

クロエがぼう然として彼らのところへ歩み寄ります。
彼女は今まで泣いていたようです。

クロエ:やあ。
ピート:やあ、クロエ。なあ、トーチのインタビューなら準備OKだぜ。
クロエ:ごめん、ピート、予定変更しないといけなくなっちゃった。
    (クラークに)よくなってよかったわね。

クロエが帰ろうと踵を返すとピートが彼女の腕をつかみます。

ピート:クロエ、何があったんだ?
クロエ:(深呼吸をして)ディリープラネットのコラムがなくなったの。
ピート:何で?どうして?
クロエ:解雇通知の説明はなかったわ。
    それにあたしのパパがも今朝ルーサー・コープから解雇された。
クラーク:そんなバカな。君のお父さんは何年もの間そこで働いてたじゃないか。
クロエ:もし答えが欲しいならレックスに聞いて。彼のせいだから。

クラークは混乱しています。

第4幕 場面2
レックスの屋敷。
日中。
クラークは書斎のソファーに座って待っています。
レックスは入ってくるとクラークは立ち上がります。

レックス:クラーク。お前の奇跡的な回復の事は聞いたぞ。
クラーク:今日クロエのお父さんを解雇したことを聞いた。
レックス:ああ、まあ、その、彼の業績はひどくなっていたからな。

レックスはクラークの後ろの机に歩きます、そしてクラークが後に続きます。

クラーク:
クロエのお父さんは何年もの間会社で働いていたじゃないか。
     これじゃ彼女の家族は破滅してしまう。
レックス:(顔をクラークに向け)クラーク、親父がサリバンさんを疑っているんだ
     俺についての悪意あるうわさを広めているとな。
     俺はクロエがゴシップをお前に手渡したんだと仮定した。
クラーク:(もっと近づき)違う、そうじゃない。
レックス:それは問題じゃないんだ。
     動機づけだ。親父は今日まで勝ち続けてきた。
クラーク:それじゃクロエのお父さんは災難だ。
レックス:本当だな。だが戦争はもう始まろうとしているんだ、そして俺は最も大きい利点を持っている。
     俺を弱いと思いこんでいる。

クラークはその言葉に途方にくれて目をそらします。

レックス:率直に言って、クラーク、俺はお前が安心すると思ったがな。
クラーク:どうしてそう思うんだ?
レックス:(冷淡に)なぜなら少なくともこのようにお前もここに入れないようにすることもできたんだぞ。

クラークがこの言葉に驚きます。

第4幕 場面3
ケント農場。
日中。
クラークが屋根裏にいます。
彼はメガネを外してカガミを目を細くして見ると元に戻します。
数回まばたきして再びメガネを外します。
ラナが彼の後ろに階段を上って来るのをカガミで見ます。

ラナ:正常に戻ったようね。

クラークが振り向きます。

クラーク:やあ、ラナ。そのー、君がここに来てくれて嬉しいよ。
     (もっと近づき)昨日何がトラックで起きたのか君に話ておきたいんだ。
ラナ:分かったわ、私も、その、あなたに話があるの。
クラーク:僕は非常に常軌を逸していたんだ。攻撃されると思ってた、でも予想してなかった…
ラナ:クラーク、あの…私があなたから離れた理由は…病院である人と出会ったの。
クラーク:えっ。
ラナ:彼がどう思ってるのか分からないけど。
クラーク:(間があり震えます)
      じゃあ、つまり、君がその人について僕に話しているという事はもう君は。
ラナ:(小さな声で)多分そうだと思う。
   でももし、その、もしあなたと私が友達の関係を続けてたら、
   わ、私はあなたに他の人を見つけて欲しくはなかったわ。
クラーク:(悲しそうに頷いて)うん。そうだね。
ラナ:じゃあ、もうタロンに戻るわね。

ラナは踵を返し階段へ歩き始めます。

クラーク:ねえ、ラナ?

ラナは歩みを止めて振り向きます。

クラーク:正直に言ってくれてありがとう。

ラナ:(うなずき)まあ、それが私達の関係を続ける唯一の方法よ、そうでしょ?

クラークが静かに微笑します。
ラナは微笑すると階段を降りますが彼女の顔は険しいものになっていました。
彼女が小屋を出て車に乗り込むとき彼女の頬には涙が流れ落ちます。
彼女は車のエンジンをかけると走り去ります。
屋根裏ではクラークがスーパーヒヤリングの焦点を合わせ、ラナが小さくすすり泣いているのを聞きます。
彼は悲しげに床を見つめます。

フェイドアウト。

おしまい