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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.12Velocity[速度]

第1幕プロローグ。
スモールビル医療センター。 夜。
クラークとマーサはジョナサンの病室で座っています。
ジョナサンは鼻の下に酸素管を付け点滴をしてベッドに横になり眠ったままでした。
彼が目を覚ますと マーサとクラークは立ち上がりマーサは枕許に歩きクラークはベッドの足元に止まります。

クラーク:父さん?
マーサ:あなた? 気分はどう?
ジョナサン:二人ともまだここにいたのか? 家に戻って、やる事があるだろう。
        (クラークが厳かにジョナサンを見ます)
        おい、クラーク、私の事は心配するな。
        それでは心臓発作で倒れた私が元気をなくしてしまうじゃないか。
クラーク:これは僕のせいかもしれないって思うんだ。
ジョナサン:ちょっと、ここに来なさい。
        (ジョナサンは手を伸ばしクラークが握ります)
        なあ、お前は沢山の能力を持っているかもしれないが、
       心臓が止まったのはそのせいじゃない。
クラーク:この前のときは医者に二十歳の人と同じ心臓をしてるって言われたじゃないか、僕がメトロポリスに行く前は。
ジョナサン:もしお前が実の父親がこれをしたと言うのなら…
クラーク:父さんが使えるはずのない力を僕を家に連れて来るために与えたんだ、
     父さんの心臓がそれに耐えられるとは思えない。
マーサ:クラーク、違うわ。 他の原因があるのよ。
クラーク:もし僕があのリングをして、最も僕を必要とした父さんと母さんを見捨てていなかったら、
     父さんはこのベッドで寝ていなかったかもしれない。
ジョナサン:お前がそう思い込むのと同じぐらい、
       スモールビルでうまくいかなかった事はクラーク・ケントのせいじゃないだろ。

マーサはジョナサンとクラークを見ます。
ジョナサンとクラークは真剣にお互いを見ます。

車のいない通りをマーサが運転をしてクラークと家に帰るところでした。
交差点の一時停止の標識に停車します。
マーサは助手席のクラークの方を見ていました。
クラークは不機嫌そうに窓から外を見ています。
マーサは何か言おうと口を開きましたが止めました。
彼女がアクセルを踏みトラックが前進し始めると、
二台の車が交差点内の彼らに向かってスピードを出して向かってきました。

クラーク:危ない!

マーサはブレーキを踏みつけます、そして二台の車は彼らの前を猛スピードで通り過ぎました。
二台の車ともスポーツカーで非常に派手で、一台の車の排気口からは緑の炎が噴き出していました。
クラークはシートベルトをはずします。

マーサ:どこに行くの?
クラーク:あれではいつか誰かを殺してしまう。

クラークがトラックから出て行きます。
通りの向こうに二台の車は停止します。
道路の片側の縁石沿いにたった今レースを終えたばかりの車と同じような
派手ばでしいスポーツカーが何台もヘッドライトを点けたまま駐車していました。
緑の炎を噴出していた車はその先頭に停まり
駐車している車の運転手達は道路に走り出て勝った車の周りに集まって来ました。
クラークは何をしているのか確かめるために群衆へと超スピードを出します。
彼は勝利した車から出てきた人物を見て驚きました。
それはピートでした。
一人の若者、ジェイソン・ダンテがピートの傍に来ます。

ダンテ:レディース・アンド・ジェントルマン!
     キング・オブ・スピードは、ピート・「ザ・ボス」・ロスだ!

ダンテがピートの腕を高々と持ち上げると群衆は声援し始めます。
ピートは微笑して彼への声援に応えていると、セクシー少女がピートの頬にキスをします。
彼はクラークに気づいていません。
クラークは非常に驚いています。

第1幕場面1
クラークが古い小屋に車をガレージ代りに入れます。 日中。
ダンテとピートは車の方に歩いてきてガレージの外にいます。
ダンテはトランクの中の機械に液体のクリプトナイトのチューブを流し込んでいます。

ピート:(興奮しながら)なあ、ダンテ! そいつが貴重なグリーンだな!
ダンテ:そうさ、ニトロの替わりにこの新しい隕石を使ったんだ、だろ?
ピート:フォッフォー! お前NASAで働いた方がいいんじゃないか!
     この車はロケットみたいだ!

ピートとダンテは握りこぶしをぶつけ合います。
クラークがトラックから出て行ってピートとダンテに歩きます。

クラーク:おい、ピート。
ピート:(車のトランクを閉じ) クラーク。 ここで何をしてるんだ?
ダンテ:(皮肉ぽくクラークのトラックを見て) おい、いい車じゃないか。
     それだとせいぜい60マイルってとこか?
     なあ、もしそのカメをウサギに変えたければ俺に連絡しな?
(クラークはわずかに頷いてにっこり笑います。 ダンテはピートの背中を叩きます)
     見ろよ、オンボロだぜ。

ダンテは別の車に行くとボンネットを開けて作業を始めます。

ピート:なあ、お前の親父さんの具合はどうなんだ?

クラーク:今のところいいよ。
      でも気づかなかっただろうけど昨日の夜僕らの乗ったトラックにぶつかりそうになったんだぞ。
      母さんが運転していたんだ。
ピート:そりゃ悪かった。 でもな昨日の夜は完璧なドライブテクニックだったんだぜ。
クラーク:100マイルでか?

ピートは小屋の中に入るとクラークが後に続きます。

ピート:クラーク、スピード違反の話はしない方がいいぜ。
     お前なんか誰にも真似できないほど速く走れるじゃないか。
     それに比べたら俺の方が遥かに遅いんだぜ。

クラークはガレージの方を畏怖して見回します。
うるさい音楽が掛かっていて数台の輝く新車があります。

クラーク:どれぐらいこんなことをしているんだ?
ピート:分からないな。 2カ月ぐらいか。
クラーク:どうして僕に話してくれなかったんだ?
ピート:どうしてって、言えばお前は止めただろ。
クラーク:ピート、これはジョークじゃすまないんだぞ。 本当に誰かを傷つけでもしたら。
ピート:クラーク、俺はこの車の事なら手足のように動かせるんだ。
     ダンテはローウェル郡で一番のドライバーだぜ。
     あいつが俺を仕込んでくれたんだ。
クラーク:法律を破る事もか。 ストリートレースは違法だ。 刑務所に行く事になるんだぞ。
ピート:誰にも見られなきゃ平気さ。 お前は秘密を守る事がうまいじゃないか、クラーク。
     お前なら誰にも話さない、だろ?

初めて彼の新しい側面を見るかのようにクラークは変な顔をしてピートを見ます。

第1幕場面2。
ラナとアダムはタロンの上のアダムの部屋にいます。 日中。
ラナが持っている新聞には「17歳で死んだタルサの卒業生代表」と書かれていました。
アダムにそっくりなチャド・ナッシュという名前の少年の写真が載っています。

アダム:世の中には三人自分と同じ顔の人がいるっていうぜ。
ラナ:チャド・ナッシュはあなたじゃないっていうのね。
    (読み)
    空手チーム、オーケストラ、コンピュータクラブ。
    あなたがたまたまマスターしたものじゃない?
    この記事によると、あなたは5カ月前に稀な肝臓病で死んだ事になってるわ、
   そして突然あなたは別の名前で私の前に立っているの?
アダム:ほかの誰かに見せたのか?
ラナ:誰にも見せてないわ。
アダム:(厳しく) 間違いないな?
ラナ:ええ! アダム、何が起こっているのか教えて。
アダム:(ますます腹を立て) ラナ、誰にも話さないでくれ。
      (アダムの左の白目が赤くなり始めます)
      俺の事は秘密にしておく事を約束して欲しい。

血がアダムの目から滴り落ち頬を伝わり始めます。

ラナ:(怖がって) アダム、あなたの目。

アダムは顔から血を拭い去って手を見ます。

アダム:(顔を覆い) いつもの事だ。
      ただ毛細血管が切れただけなんだ。
ラナ:アダム、大丈夫なの?
アダム:何でもない。 大丈夫だ。
      (彼はラナの腕を掴んでドアの方へと押します)
      ラナ、聞いてくれ、誰にもこの事を話さない事を約束してくれないか?
ラナ:アダム…
アダム:(ドアの外にラナを追い出します)
      俺の命はこれのおかげなんだ。
      お願いだから、一言も言わない事を約束してくれ。

ラナは頷きます、そしてアダムはドアを閉じるとドアに寄りかかり強く目を閉じました。
それから彼はバスルームに走って水を出します。
ラナはショックを受けドアの外に立っていましたが立ち去りました。
第1幕 場面3
レックスの屋敷。 日中。
クロエは机に座っているレックスに話をしています。

クロエ:それでタロンの奇妙な住人の事を調べたんだけど。
     彼は注射と密接な関係があるように思えるんだ。
レックス:話が大げさじゃないか。
クロエ:とんでもない。
     彼の部屋で小瓶を見つけわ、
    そして分析するためにスモールビル医療機関の病理学者のところに持って行ったの。
     (クロエは小瓶を持っています)
レックス:(立ち上がって) それは何だ?
クロエ:血小板に似た細胞が入った血清よ。
     それにもっとおかしいのは分子結晶が人や動物の物じゃないっていう事よ、
    病理学者も今までに見た事がないって。
     (レックスはよく見ようと小瓶を手に取ります)
     そういうわけで、アダムのカルテを調べる事にしたわ。
レックス:(笑って) プライバシー法は君にとっては何の役にも立たないな?
クロエ:親友の一人の事が心配な時だからね。
     優秀なミスター・リプリーがラナの上に住んでいる限り、
    彼が危険じゃない事を確認するためには何でもするつもりよ。
レックス:彼はそうなのか?
クロエ:分からないわ。
     あたしが知っているのは彼が入院していた時、
    ドクターが週に二回彼のところに来ていた事よ。
レックス:その事は全く異常に思えないが。
クロエ:それはタン博士はメトロポリス大学の分子生物学の教授であって医者じゃないからよ。
レックス:その彼を調べてみたのか?
クロエ:彼じゃなくて彼女よ。
     それに彼女のいる象牙の塔は物凄く高いから、フックとハシゴ必要になると思うの。
     それがあなたのところに来た理由よ。
     大学の気前のいい後援者の方が高校生より大分多くの運を持ってそうだし。
レックス:ラナにこの事を話したのか?
クロエ:全ての事実を見つけだすまで何も言わないわ。
レックス:そのままにしておこう。

クロエはレックスの考えが分からず瞬きしました。

第1幕 場面4。
ピートはスポーツカーで誰も走っていない道路を走っていました。 日中。
彼は何かが運転席側の窓の横をかすめ通り過ぎたのを見ました。
フロントガラスに目を戻すとクラークが数メートル先の道路に立っているのを見ます。
クラークがピートに停まるように手を前に出して合図を送ると、
ピートは急ブレーキを踏みクラークから数インチ手前で停止しました。
ピートは車から降りると怒ってドアをバタンと閉めます。

ピート:何考えてんだよ?
     もしお前にぶつかったらこの車がメチャクチャになるだろ、それにこの車は俺のじゃないんだ。
クラーク:スピードを落とせば何も問題はないじゃないか。
ピート:いつから交通警官の真似事をするようになったんだ?
クラーク:防音壁も無駄なほどのクリプトナイトを使った燃料を入れた車を運転し始めたからさ。
ピート:そりゃいい。
クラーク:ピート、聞いてくれ。
      ローウェル郡で今年、致命的な自動車事故があった。
      みんな同じクリプトナイトブースタータンクを付けていたんだ。
ピート:クラーク、車なんていうのは運転の仕方が分からなきゃどんな車でも危険なんだぜ。
     だが俺は違う。
クラーク:そんな事を言ってるんじゃない。
ピート:いや、そうだね!
     俺は生涯の中でついに本当に得意な物を見つけたんだ。
クラーク:それはどういう事だい?
      君は色んな事が得意じゃないか。
ピート:例えば何だよ?
クラーク:バスケットボールとか。
      キラー・ジャンプ・ショットだってできるじゃないか。
      いつも僕を抑えただろ。
ピート:ああ、お前が力を使っていないときにな。
     クラーク、バスケは得意だ。 カメラマンとしてもな。
     でも昨日の夜のあの群衆を見ただろ。
     俺の名前を叫んでいたのを聞いてただろ。
     そして俺の生涯で一度だけついにお前がいつも感じている物を俺も感じられたんだ。
     特別なものを感じることができた。

ピートは車に戻ろうと歩き始めます。

クラーク:ピート、僕は特別なんかじゃない。 僕は他の人と違ってるんだ。
ピート:クラーク、俺をからかっているのか?
     お前は俺が夢でさえできない事ができるんだぜ。
     それに俺たちがガキの頃からずっと、お前の秘密を知る前でさえ、俺はいつもお前の後ろを歩いていた。
クラーク:ピート、そんな事はない。
ピート:クラーク、誤解しないでくれ。 それが悪いわけじゃない。 でも俺は成長してるんだ。
     自分の能力を手に入れた事を知った。
クラーク:ピート、君の親友として僕はこれ以上君にレースなんかさせられない。
      あまりにも危険だ。
ピート:クラーク、どうするつもりだ?
     俺がレースに行く時はいつも体を張って止めに来るのか?

ピートが車のドアを開けるとクラークはドアを閉めます。

クラーク:もしそうしなければならないならな!

ピートは長い間怒ってクラークの目を見つめます。
それから彼の表情は柔らかくなります。

ピート:分かったよ、クラーク、お前の勝ちだ。
     俺は自分の事のようにお前を支え続けるよ。

クラークは折れて車から離れてます。
ピートは車に乗って走り去ります。

第1幕 場面5
ジョナサンは病室でテレビのチャネルを変えています。 日中。
クラークがゲームのチェッカーを持って入ります。

ジョナサン:やあ。
クラーク:父さん、気分が良さそうだね。
ジョナサン:(リモコンを降ろし) ああ。
        誰か別の人にこの病室を渡すべきだな。
        農場に走って帰りたいよ。
クラーク:全てやってるよ。
      父さんが今しなきゃならないのは気を楽にする事とチェッカーだよ、必然的に帰れないよ。

クラークがテーブルの上にチェッカーボックスをセットしてベッドへとテーブルを引っ張って行きます。

ジョナサン:クラーク、毎晩ここに来るが 友達と遊んだらどうなんだ。
クラーク:(ベッドの縁に座り)
       どうして友達と遊ばなきゃならないんだい、チェッカで父さんを負かすことができるときに?
ジョナサン:私はまじめに話しているんだぞ。
       聞きなさい、私がここにいるからといってお前もそうする必要はない。
       ピートに電話をして映画でも見に行ったらどうだ。
       私はテレビでも見てるから。
クラーク:(ゲームを準備します) ピートは他の事をしてるさ。

クラークは問題を抱えた表情を隠そうとしますがそれはばれてしまいます。

ジョナサン:お前たち二人に何かあったのか?
クラーク:あいつは最近違った仲間と遊んでるんだ。
ジョナサン:お前の言う違うって言うのは不良っていう事か?
クラーク:そうは思いたくないけど、もちろんピートの事を考えたと思う。
ジョナサン:まあ、お前とピートは幼稚園の頃からの親友だからな。
       多分あの子は階段を登って行くところなんだろう。
       あの子がトラブルを抱えてない限り少し時間をやることだ。

クラークが希望を抱いてジョナサンを見ます。

第1幕 場面6
道路両側に車がずらりと並んで停まっています。 夜。
ピートは声援と拍手を送る人達の群衆の中へと歩いていきます。
ピートは群衆の真ん中で並んで停まっている二台のレースカーへと行きました。
ダンテがピートのところにやって来ます。

ダンテ:気分はどうだい、ボス?
ピート:道路を独占してるような感じだ。
ダンテ:よし。

ピートが車に乗り込むとダンテは開いている窓から顔を突っ込み小さな声でピートに話をします。

ダンテ:なあ、ギアを入れるのよそうぜ。
ピート:どういう意味だ?
ダンテ:八百長をするんだよ。 (ピートは返事をしません)
     連勝なんて永遠には続かない、そうだろ?
     オッズは6対0でお前だ。
     この郡で俺が見た中で一番いい走りをしている。
     なあ、それはつまり全ての金がお前のものになるんだ。
ピート:そうなのか?
ダンテ:それでもしお前が負ければもっと金になる。
ピート:それじゃ今までの華麗なレースや勝利は全部ウソなのか?
ダンテ:いや、そうじゃない。 色んな意味でだ。
     これもレースの華麗しさなんだ。
     ダンテ・スタイルさ。 ゴールで会おう。

ダンテはピートの肩を軽くたたいて、気の動転したピートから離れます。
セクシー少女がピートの車に来て窓から中に頭を入れます。

少女:幸運のおまじないよ。
    (彼女はピートの唇にキスをします)
    あなたなら必要ないかもね。

彼女は背を伸ばすと二台の車の前に行きます。
ピートの対抗者は自分の運転席に座りエンジンをふかしながらピートの方に目を向けます。
ピートは窓を閉じて正面を見つめます。
セクシーな少女はベルトに挿んであった黄色いスカーフを取って上にあげます。
ピートはギアを入れます。
少女が腕を降ろすと二台の車が走り出しました。
群衆は道路に出てきて声援を送ります。
相手の車はスピードを上げるとピートの車よりほんの少しに前方に出て行きます。
ピートはフラストレーションで頭を振って、ダッシュボードのクリプトナイトブースターのボタンに手を伸ばします、
ボタンを押そうとしますが気が変わりブレーキを踏みます。
速度計は81から76マイルまで減速し相手の車にさらに大きくリードを与えます。
群衆が集まる道路の両脇に並ぶ車の列が遠くに見えてくると
衝動的にピートは緑のボタンに手を伸ばしスイッチをいれます。
そして液体のクリプトナイトはチューブを通ってガソリンタンク内にスプレーされます。
ピートの車は爆発的な加速をし101マイルになり相手の車を抜き去ります。
ピートの車が最初にゴールに到着すると群衆は気が狂ったように声援を送り車を囲みます。
彼は勝利の喜びを味わうため車から降ります。
ダンテは群衆をくぐり抜けてピートの肩に腕を回すと群衆から遠ざかるように彼を歩かせます。

ダンテ:やったな、ボス。
ピート:ありがとう。
    なあ、ダンテ、あの、ごまかすのは…
     それは不正行為だ、俺にはできない。
ダンテ:なんだって、できないって言うのか?
     (激怒して乱暴にピートを押します)
     ホットホイールのバックヤードゲームを何だと思ってるんだ?
     お前のために二万ドルかけてるんだぞ。
ピート:(口がきけず) 悪いけど。
ダンテ:悪いと思ってるんならやらないわけないだろ。
     それなら俺の車のキーを返してくれ、二万ドルもな、そして二度と俺の前に顔を出すな。

ピートが周りを見回すと、ダンテの友達たちが怖い顔をして囲んでいました。

ピート:ダンテ、どうやって二万ドルを稼げるって言うんだ?
ダンテ:ほお、自分で見つけろよ。
     もしできないなら、お前が次に乗るの霊柩車になるぞ。

ダンテの友人たちの一人が脅迫するように穏やかにピートの背中を押します、そしてダンテは数秒の間ピートを見つめます。
それからダンテと彼の友人たちは、ピートを一人恐れと無力さを与えたまま歩き去ります。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
スモールビル医療センター。 日中。
クラークがロビーに向かって廊下を歩きます。
ラナが風船を持って入ってきます。

ラナ:ねえ、お父さんの具合はどう?
クラーク:大分いいよ、家に連れて帰りたいぐらいだ。
      (行こうとします)
      あのさ、もう行かないといけないんだ。
      父さんの病室は角の辺りにだよ。
      君がお見舞いに来てくれたら喜ぶよ。
      (クラークが去り始めます)
ラナ:クラーク。 (クラークが止まります)
    あなた、ひょっとして、アダムに会ったの?
クラーク:(心配しているラナに近づきます)
      何か問題でもあったの?
ラナ:ただあなたのお父さんが風船が好きかなと思って。
    それはその「元気になってください」ていうテディベアなの。
クラーク:(愛らしく) 父さんは大好きだと思うよ。
      (間があり) もう行くね。
ラナ:さようなら。

クラークが去ります。

第2幕 場面2 メトロポリス。 日中。
レックスはメトロポリス大学のタン博士の研究室に入ります。
レックスがテーブルで顕微鏡を覗き込むタン博士に近づくと、ケージの中の猿がキーキーとわめきます。

レックス:タン博士。
タン:(彼女は顕微鏡から目をそらしません)
    もしあなたがドアの上のサインを読んだなら、私のオフィスは5時まで始めないのが分かるでしょ。
レックス:私は学生じゃありません、博士。
      私はレック・スルーサーです。
タン:(レックスを見ます) 私の印象はどうだと思う?
    学長ですら私の仕事を中断させる前にアポイントメントをとるわ。
レックス:あなたは医者の真似事をするのが好きだと聞きました。
      健康診断を受けさせてもらえますか?
タン:私は健康診断はしないわ、ルーサーさん。
    同じく患者にも会わない。 私は研究科学者よ。
レックス:アダム・ナイトはどうです? 彼は患者じゃないんですか?
タン:言ったでしょ、私は… 
レックス:理解できないんですよ、有名な分子生物学者がなぜ小さな町病院の患者に見舞いに行くのか。
タン:あなたの家がこの大学に多額の寄付をしても、あなたがここに来て私を尋問する権利はないわ。
    じゃあ、悪いけど仕事に戻るから。タン博士はクリップボードを持つと机へと歩き出します
レックス:その仕事はおかしな未知の血小板を伴っていますか?
タン:(笑い) あなたSF映画の見すぎじゃない、ルーサーさん。
レックス:いいえ。 私は今まで随分長い間、血液のミステリーに魅せられていた。
      (タンは真剣にレックスを見ます)
      次回に来るときには、連絡を入れてからにしますよ。
      インスピレーションを一瞬でも中断するのはよくない事だ。

レックスは去ります、そしてタン博士は不安そうに彼を見送ります。

第2幕 場面3
クラークがスモールビル医療センターの廊下を歩いています。 日中。
彼はピートがジョナサンの病室から出てくるのを見ます。
彼らは顔を会わせると微笑みます。

ピート:お前の親父さんが心臓発作を起こしたなんて知らなかったよ。
クラーク:見舞いに来てくれてありがとう、ピート。
ピート:クラーク、俺は物心付いたときからお前の親父さんを知っている。 お前は元気なのか?
クラーク:最初の二日は厳しかったよ。
      でも峠を越えた今は、もう僕も大丈夫だ。
ピート:親父さんは俺が知っている中でも強い男だ。
     親父さんも大丈夫だよ。

ピートは自分の事を話そうかと迷い一瞬のクラークを見ました。
それから彼は歩き去り始めます。

ピート:俺はもう行った方が良いな。
クラーク:ピート、君は大丈夫なのか?
ピート:クラーク、俺がいなくても一人でうまくやっているようだな。
クラーク:ピート!

ピートは立ち止まります。
クラークは彼の後を追いかけます。

クラーク:僕の事は心配しなくてもいいよ。
      それより何があったんだ?
ピート:ダンテは俺にレースで負けろて持ちかけてきたんだ、そして俺はできなかった。
     今すぐ賭けで負けた金を払わなかったら、俺を痛めつけるって脅してきたんだ。
クラーク:いくらなんだ?
ピート:二万ドルさ。
     クラーク、俺はどうしていいか分からない。
クラーク:(考え) 分かった、なあ、 しばらくの間ウソをついておいてくれ。
      僕が何とかするから。

ピートはうなずきます。

第2幕 場面4
クラークがダンテのガレージに入ります。 日中。
中に人がいなく灯りは消えています。
クラークが見回すと壁の近くの金属キャビネットを見ます。
彼はそれをX線のビジョンを使って調べるとナンバー・プレートが沢山入っているのを見つけ目を丸くします。

第2幕 場面5
クラークがトーチでコンピュータをタイプしているクロエの隣りに座ります。 日中。

クロエ:それじゃあなたはダンテがインディ500より多い自動車強盗だと思ってるのね?
クラーク:新しいナンバー・プレートを個人でコレクションしてるなんて他に説明がつかないだろ?
クロエ:ジャーナリズム的な追求は別として、あなたの話からすると利権が絡んでるように思えるわね。
クラーク:何か知ってるんだな、クロエ。 一旦話に火がつくと終わるまで止めないからな。

クロエはタイプの手を止めて深呼吸するとクラークに振り返りました。

クロエ:あたしはただ自動車店の店主と話しただけだよ。
     あなたの情報源はピート・「ザ・ボス」ロスじゃないでしょうね?
     (クラークがやましげにクロエを見ます)
     あなたが情報源を守ることは分かるわ。
     でもあたし達は命を危険にさらしている友達の事を話してるんだよ、チェッカーフラッグに夢中になってる。
クラーク:ピートに秘密にしておくように頼まれたんだ。 だから守っていたんだよ。
クロエ:分かるわ、でもクラーク、あなたともあろう人が友達が無謀な事をしているときに、
    秘密を守る事が助けになるよりもっと多くの傷をつける事を知るべきだわ。
     (クラークがうなずきます)
     彼は友達が必要なの。 今なら、ピートはあたしの話を聞いてくれるかもしれないわ。
クラーク:それはどういう事?
クロエ:兄弟の競争って言うの。 あなたとピートは兄弟みたいなものでしょ。
     聞いた事があるんだけど、兄弟からのアドバイスを受けるのは難しいのよ。

クラークがそれを考え込むとクロエはコンピュータの仕事に戻ります。
クロエはダンテのガレージにあったプレートと盗まれた車のリストを呼び出します。

クロエ:あらまぁ。 あなたの言ったジェイソン・ダンテについては正しかったわ。
     彼はロジャックの看板だったのね。
     あなたが書き取ったナンバーは全部盗難車よ。
クラーク:それが全ての証拠だ。 保安官に話をしに行ってくる。

クラークは立ち上がると出て行きました。

クロエがモニタを見続けます。

第2幕 場面6
ダンテはガレージで車のボンネットを開けて作業していました。 日中。
彼の後ろの開き戸が突然開きアダムス保安官が数人の保安官を連れ銃を向けてガレージに入ってきました。

アダムス:郡保安官よ! 手を見えるように上げて! そのドリルを放して、早く!

ダンテは手を上げます。

第2幕 場面7
ケント家のドアを誰かがノックします。 日中。
クラークが階段を降りて来てドアを開けます。
アダムス保安官はブスっとした顔をしていました。

アダムス:お手柄だわね、ケント君。
       捜索するのに八人の保安官代理と四台のクルーザーで行ったんだけど、
      それはそれは私の祖母のキッチン並みにきれいだったわ。
クラーク:そんなはずはありません。 僕はあのナンバー・プレートを見ました。
アダムス:唯一のその小屋にあったプレートは簡易台所用のものだったわ。
       それにあそこの車のナンバー・プレートのどれもあなたが教えてくれたものではなかった。
クラーク:保安官、そんなバカな事。
アダムス:いつもながら、ケント君、あなたの情報は地元の天気予報と同じぐらい正確だわ。
       でも、我々もしばらくの間ジェイソン・ダンテに目をつけていたから今回は大目に見るわ、
      あの子はウナギみたいに掴めないわ。
       この次騒動を起こしたら、ケント君、大目には見られないわよ。

彼女は去ります。

第2幕 場面8
ケント農場。 日中。
クラークが何冊か本を持ってロフトの階段をのぼります。
二階に上がって本を机の上に置くとピートが彼の後ろの影に立っていることを知ります。

クラーク:ピート?

ピートは進み出ます。
彼の顔はキズだらけで血まみれでした。
血はクビの方まで滴り落ちました。

クラーク:(ショックを受け) 一体何があったんだ?
ピート:ダンテは俺が保安官に電話をしたと思ってる。
     お前が電話したのにな。
     奴は保安官代理にコネがあるから襲撃を前もって知っていたんだ。
     それが奴が絶対逮捕されない理由なんだ。
クラーク:ピート、君を家の方に連れて行って治療しなくちゃ。

クラークがピートに近づき彼の腕を掴もうとしますがピートは離れます。

ピート:クラーク、俺は大丈夫だ!
     ただ俺のために二万ドルを何とか手に入れて欲しい。
クラーク:ピート、どうやってそんな大金を?
ピート:カルになったとき、ATMマシンをやったろ。
     前もやったじゃないか。
クラーク:赤いクリプトナイトのせいだ。
ピート:それならリングを付けて行ってくれ。
クラーク:ピート、それはできない!
ピート:クラーク、お前がやってくれないと困るんだ。 ダンテは精神病者だ。
     奴は最初に俺の親を殺そうとしている、そしてもし俺がまだ払わなかったら俺を追いかけると言ってるんだ。
クラーク:ピート、僕が君も君の家族にも手出しはさせない。
      でも法律を破る必要はないだろ。
ピート:一度もお前を悩ませたことはない。
     俺たちは汚職を見破るのに建物への侵入をしたじゃないか、数限りなくな!
クラーク:人を助けるためにだろ。
ピート:そう、だから今回は俺を助けるためにやってくれよ! 俺のために!

ピートの唇は震え始めます、そして目は涙でいっぱいになります。

ピート:クラーク、もしお前が奴を叩きのめしたら直ぐに俺たちを追いかけてくるぞ。
     もちろんお前は奴を殺さないだろう、だからそうして欲しいんだ。
     お前が永久に俺たちのシークレットサービスをしてくれる事はできないんだ。
     それで終わりになるんなら。
クラーク:別の方法を考えよう。
ピート:(クラークの腕を掴んで) クラーク!
     俺の家族のことなんだ。
     もしお前がその金を用意できないんなら、俺たち家族は死んじまうんだ。

ピートは嘆願してクラークを見上げます。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
クラークがレックスの書斎に入ります。 日中。
レックスはスーツを着ています。

レックス:クラーク、俺に用だって。
      ミーティングに行く途中なんだ。
     親父さんはDVDプレーヤーを受け取ってくれたか?
クラーク:ありがとう、レックス。 あれはいいよ。
      父さんは、そのー、ウエスタンを楽しんでるよ。
レックス:そうだと思ったよ。 親父さんが早く元気になることを祈るよ。

レックスは書斎を出て玄関に向かって廊下を歩きます。
クラークが彼の後に従います。

クラーク:レックス、君には色々世話になっているけど、もう少し手伝ってもらいたいんだ。
レックス:言えよ。
クラーク:(速く) 二万ドル必要なんだ、現金で。

レックスは立ち止まります。

レックス:正気か。 大金だぞ。
      その理由を聞いてもいいか?
クラーク:僕の友人が間違って不良の仲間と付き合っていたんだ、そして奴らが金を要求してきたんだ。
レックス:これは珍しいな、昔からの友人か?
クラーク:信じてくれ、もしそれで解決するならずっと簡単じゃないか。
レックス:まあ、お前の友人に俺の経験から、金に貪欲な凶悪犯は野良犬のようだと言ってくれ。
      一度奴らに味を覚えさせれば、毎晩やって来てもっと求めてくるとな。
クラーク:レックス。 残念なことに友達には選択肢がないんだ。
      奴らは殺すって脅してきている。

使用人が廊下に入ります。

使用人:ルーサー様。 チョッパーが待っています。
レックス:(心から、クラークに) 注意しろよ。

レックスはコートをラックから取ると出て行きました。
クラークは机の上のラックの下にレックスのポルシェのキーに気付きます。

第3幕 場面2
クラークがレックスの銀色のポルシェに載ってロフトの外にやってきます。 日中。
クラークが車から出て行くとピートが屋根裏から出てきます。
ピートの顔は何箇所も包帯をしていました。

クラーク:ここに二万ドルある。
ピート:この車はもっと高価だぞ。 レックスはお前にこれをくれたのか?
クラーク:正確には違う。
ピート:じゃあ盗んだのか?
クラーク:君がダンテにレースで借りを返すと挑むんだ、奴はノーとは言えないはずだ。
ピート:何の話をしてるんだ?
クラーク:もし奴が勝てばポルシェは奴の物だ。
      もし君が勝てば借りはチャラだ。
ピート:問題があるぞ、ダンテの車はポルシェ以上に速い、勝つ見込みはないよ。
クラーク:いや、これは賞品だ。 君はいつもの車で出るんだ。 そして君は勝つ。
ピート:まあ、信頼してくれるのはありがたいけど、クラーク、でもダンテは一度もレースに負けた事がないんだ。
クラーク:今回は負けるさ、保証するよ。
      僕が奴のエンジンをヒートビジョンで焼き付けさせる。
      そうすれば僕もクリプトナイトを避ける事ができるし誰も傷つかない。
ピート:ぎりぎり最後のチューンナップだな。
    (興奮し) クラーク、お前には驚いたぜ!
クラーク:(腹を立て) 君が幸せなのが一番なんだ、ピート。
      君のために嘘をついたり盗みをしなければならなかったんだから。
      今度は君のために不正行為をしないとならない。
      これはやるけど。

第3幕 場面3
クラークとピートはダンテのガレージにいます。 日中。
ダンテがレックスのポルシェに座るのをセクシー少女が見守ります。
ダンテ:(車から降り) まあ、よくこんなのを持ってたな、ボス。
      なかなかの代物を俺に渡す事になるんだぜ。
      (彼はセクシー少女の腰に手を置いて彼女にキーを手渡します)
      ベイビー、このポルシェをスタートラインに置いてきてくれないか?
少女:オーケー。

ピートが嫉妬して見守るなか彼女はダンテにキスします。
それから彼女はキーを取ってドアを開けます。

ピート:おいおい、彼女がそれを運転してどこかに行かないって保証はないぜ?
     俺が持っていく。
     (ピートはキーを取ります)
     クラーク、ムスタングから目を離すなよ。

ピートはポルシェに載るとセクシー少女は助手席に乗り込みます。
ガレージからポルシェは出て行きます。
ダンテはガレージの奥に行って友人たちの一人と話をします。
クラークは会話を聞くためにスーパーヒヤリングを使います。

ダンテ:準備は終わってるか?
男:ああ。 だがこのガキは本物だぜ。
   今までみていに簡単にはいかねえかもしれねえ。
ダンテ:言ったとおりにあのガキの車に仕掛けたんだろうな?
男:ああ、万事OKよ。
ダンテ:よし。
      奴の車が100マイルになった途端に奴はぶっ飛ぶ事になる。

クラークは驚きます。
彼はダンテに向かい合うためガレージの奥に行きます。

クラーク:レースは止めだ。 彼の車に仕掛けをしただろ。
      エンジンに爆弾を。

ダンテ:(笑い)。 誰がお前をレースのコミッショナーにしたんだ?

ダンテの友人の別の一人が作業台の近くでクラークの後ろに立っています。
彼は液体クリプトナイトで満たされたクリプトナイトブースターを車から取るとクラークはすぐに力を失います。
クラークがバランスを失い始めるとダンテの友人はクラークの後頭部を殴り地面に倒します。

ダンテ:トランクに入れておけ。

道路上のポルシェで待っているピート。
ダンテが出て来ます。

ピート:クラークはどこだ?
ダンテ:奴はここから出て行ったぞ。
     さあ遅れるぞ。 降りろよ。

ピートとダンテの車は並んで道路に置かれています。
彼らは自分の車に行って乗り込むとエンジンをふかしました。
ピートのトランクの中にクラークは閉じ込められ
クリプトナイトブースターがクラークのすぐ後ろにある状態でほとんど意識がありません。

クラーク:ピート。ピート…

ピートはダンテの方に目を向けます。

ダンテ:グッドラック、ボス。

ピートは窓を閉めるとセクシー少女は車の間の前に立ちます。
彼女はスカーフを持った腕を上げると振り下ろしました。
ピートとダンテはタイヤのスリップ音を上げて走り出します。
ピートがギアをアップさせるとメーターは46から56マイルへと加速します。
二人の車はまだ隣同士で走っています。
クラークはトランク内で完全に意識不明の状態です。
ピートが再びギアをアップさせると六千回転になろうとしていました。
彼がリードを獲得し始めるとダンテは悪意をもってピートの方に顔を向けます。
ピートはさらにシフトアップさせて81マイルに加速します。
ピートがダンテの方を見るとまだピートの方がリードしていて、ピートはダッシュボードの緑のボタンを押しました。
クリプトナイトはガソリンタンクに注ぎこまれ排気管からは緑の炎を吹き上げ、93マイルまで加速しました。
ダンテはピートが先に行くのを見て残酷に微笑します。
スピードは95マイルに達します。
クリプトナイトブースターの中身がなくなるとクラークが突然意識を取り戻して見回します。
トランク内はそのスピードのためガタガタと鳴っています。
ピートはシフトアップをし車は97、98マイルとスピードを増します。
クラークはようやくクリプトナイトブースターから延びる管がトランク内を通りガソリンタンクへと入っているのを見つけます。
ピートの車が99マイルに達した時、クラークはトランクの底からガソリンタンクをぶち破り道路へとガソリンを流しました。
ピートの車はすぐに速度を落とし始めます。
ピートはむなしくアクセルペダルをポンピングします。
ピートの後ろに続いていたダンテは驚き速度を落としてピートの車にぶつかるのを避けようとし左右へと蛇行し始めました。
ダンテの車は道をそれてタイヤを鳴らし始めると突然道路の端に脱輪し、横転したまま滑り車がバラバラになります。
ピートは衝撃音に驚き何が起きているのバックミラーを見ます。
ダンテの車は道路の路肩でついに止まり、ピートは自分の車を止めます。
ピートは外に出て道路へと走ります。
窓を通してハンドルにダンテがもたれ掛かっているのを見ます。
彼の頭は血だらけになり粉々なったフロントガラスに突っ込んでいました。
クラークがピートの車のトランクから出てきます。

ピート:なんてこった。 奴は死んでるんじゃないか。

クラークは応えません。
ピートは恐る恐るクラークと煙を吹いているダンテの車を見ます。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
タン博士が怒ってレックスの書斎に入ります。 日中。
レックスはコーヒーを注いでいました。

レックス:あなたに往診は頼まなかったと思いましたが。
タン:あなたのせいで大学側が私の在任期間を無効にすると脅してきてるわ。
    資金提供も打ち切られたわ。
レックス:まあ、厚生省は言うまでもなく、大学に通知もせずに違法な薬物試験を行った結果だと思うが。
      FBIに捕まらなかったのは運がよかったんじゃないか、だがそれも時間の問題だと思うが。

レックスはコーヒーを一口を飲んで机に行きます。
タンは彼の後を追いかけます。

タン:あなたは何が欲しいの?
レックス:あなたができる事にベストを尽くすべきだ、博士。
      (タンは期待するように彼を見ます)
      生物学だ。
タン:どうやってそんな事をしろっていうの?
    大学の建物にさえ入れないのよ。
レックス:私はあなたの研究に資金を提供するつもりですよ、博士。
      今までの予算の二倍出しましょう。
      血小板が一体何なのか、そして何のためにそれらを利用しているのか話しさえすれば、
     あなたが必要とするどんな器材でも使えるようにしましょう。

タンはレックスを見つめ続けます。

第4幕 場面2
アダムはベッドでうなっています。 夜。
彼は寝返りをうって毛布を投げ捨てるとベッドから体を起こします。
上半身は裸でパジャマのズボンをはいていました。
彼は苦労して立ち上がると洗面所に行きカウンターのタオルの下から注射器を取り出します。
喘いで唸り続けながら直接胸に注射を打ちました。
再び彼の目から血が滴り落ちています、そして胸と腕の皮膚は所々はがれていました。
ドアがノックされます。

ラナ:(外から) アダム? そこにいるの?
アダム:(緊張して) そっちに行くよ!

アダムの呼吸は荒くなっています。

ラナ:アダム? 大丈夫?

ドアが開くとアダムが出てきます。
彼の髪と顔は濡れていますが正常に戻っているようです。

アダム:(落ち着き) 大丈夫だ。
ラナ:うーん、アダム、私話さなかったわ。
    チャド・ナッシュについては誰にも話さなかった。
    でも誰かに説明した方がいいと思うの。
アダム:なあ、ラナ、これは君が理解しているより大変なことなんだ。
     君が何を知っているとしても、その事は忘れて欲しい。
     君自身のためにね。
ラナ:いいえ、アダム、そんな事できないわ。
    もしあなたがここに住むんなら正直に私に話して欲しいの。
アダム:真実が知りたいのか?

アダムはラナの方へ近づきます。そして脅迫的に階段に彼女を追い込みます。

アダム:(ゆっくりと威嚇するように)
      君に本当の事を話したら 君は誰かに何を見つけ出したか言うだろう、
     そして君は今まで俺に会った事を残念に思うはずだ。

ラナは怯えながら彼の目を見つめます。
アダムはゆっくり部屋の中に後退してドアを閉めます。そしてラナは混乱して息を切らしていました。

第4幕 場面3
屋根裏。 夜。
階段をクラークが降りてくるとレックスが入ってきました。

レックス:クラーク。
クラーク:やあ、レックス。
レックス:やあ。 お前の友人に一体何が起こるのか分かってなかったよ?
クラーク:犬の遠吠えの方が彼の噛むことより大きかった事が分かったよ。
レックス:俺はお前がそれをやるんじゃないかと思っていたが、クラーク。
      いいか、奇妙な事が昨日起きた。
      お前と話をした後、俺の銀色のポルシェがここからスピードを出しているのを見たんだ。

レックスはクラークに背を向けると歩き出します。

クラーク:誰かがそれを盗んだのかい?
レックス:正確ではない。
      (クラークに振り向き)
      俺が戻ったときにはカバーをかけられガレージにあった。
クラーク:それは奇妙だな。 でも戻ってよかったじゃないか。
レックス:警備員は車を盗んで乗り回したんじゃないかと考えている、だが俺はそれほど単純ではないと思う。
クラーク:どうして? 何が起きたと思ってるんだい?
レックスは:俺は分からない。
        (クラークに近づき)
        だが俺は困っている時の友人を持つ事がどうなのかについて理解してるよ、クラーク。
        時々お前はそいつらの援助に来るため、道徳的な線を区切らなきゃならない。
        しばしば、それは本当の友情のテストだともいえる。
        (クラークが不安そうにうなずきます)
        親父さんによろしく言っといてくれ。

レックスは微笑して屋根裏を去ります。
クラークはかろうじて笑顔を見せます。
そしてレックスは何が本当にあった事について分かっている事に気づいていました。

第4幕 場面4
ケント農場。 日中。
クラークとマーサはジャケットを脱ぎながら続くジョナサンと一緒に玄関を入ってきます。

ジョナサン:「ホーム・スイート・ホーム」って言葉は一度も本当であった試がないな。
クラーク:さあ早く、父さん、足を投げ出して休もう。

マーサはリビングルームにジョナサンを連れて行きます。

ジョナサン:(頑固に) クラーク、私は足を投げ出して休む必要はないんだ。
        一週間も休んでたんだぞ。
        医者は休む必要があると言ったが 私は病弱な人間ではないんだ。
マーサ:じゃあ、私は昼食を作るわね。
      あなたのために低塩の七面鳥を手に入れたのよ。
ジョナサン:低塩の七面鳥?
マーサ:(少し訴えるように)ジョナサン…
ジョナサン:(降参して) 分かったよ、母さん。

マーサは台所に入ります。
ジョナサンはソファーに座って隣の席を軽くたたきます。

ジョナサン:クラーク、座ってくれ。
        (クラークが座ります)
        聞いてくれ、最近お前が悩んでいるのは私の健康以外の事だろ。
        どうなんだ? ん?
クラーク:父さんが入院している間にピートが自分自身を苦境に立ったんだ。
      僕自身もあまり誇れない事をしたんだ。
ジョナサン:まあ、母さんととお前の判断力を信用する。
        私達はお前を正しい事と誤った事の分別がつくように育てたつもりだ。
        クラーク、ある日私達がこれ以上近くにいられなくなっても、お前はそれを覚えていると確信しているよ。
        なあ、世の中は常に黒や白だと決め付けられない。
        つまり、時々は灰色の地帯を宛てもなくさまよう事もある、そしてお前は自分が最も良いと思う事をするんだ。
クラーク:それはどういう意味?
ジョナサン:クラーク、ジョー・エルに話をしに行った、多分それが私の心臓がおかしくなった理由だと思う。
        (クラークは不幸せそうにため息をつきます)
        だがな、私は十分過ぎるほど危険であるのを承知であの洞穴に入った。
        そしてもしまたお前が問題をかかえていると思ったら、私は再び同じ事をするだろう。
クラーク:父さん、僕は決して二度と父さんがあの場所に行かない事を約束するよ。
ジョナサン:クラーク、それはこれがあるものではないんだよ。
        お前は私達とは違う、お前はお前の生活での選択肢がある、
       母さんと私が入り込めない道義的な選択をしなければならないだろう。
        だが私達はその時が来たとき、お前は自分で最も良いと思う事をすると思っている。
        正しい事をな。
        それは重要なことだ。

クラークがうなずきます。

第4幕 場面5
クラークが小屋の外でバスケットをしています。 日中。
一度目を投げると成功して、それからもう一度投げて成功させます。
三度目を投げようとしたとき車が彼の後ろに止まります、そして彼は誰なのか見るために振り返りました。
それはピートでした。
ピートは車から降りてきます。

ピート:やあ。
クラーク:やあ。

クラークはボールをドリブルしてバスケットボールをシュートすることに戻ります。

ピート:クラーク、なあ、俺、俺はお前が物凄く腹を立てていることは分かってるよ、
    正直言って俺はお前の事を非難しないよ。
     俺が言えるのはそれだけだ、すまなかった。

クラークがバスケットボールを止めてピートを見ます。

クラーク:僕もだよ、ピート。
      僕も親友を助けるために、別の親友から盗みをしなきゃならなかった。
      そして人が死んだ。
ピート:分かってる。
     もし俺が初めからお前の話を聞いていたら、こんな事は起きなかったのにな。
     (クラークが目を伏せます)
     クラーク、聞いてくれ、お前は俺に自分の秘密を話してくれた、
    それは俺がお前の友達であり、そして時々それがそう簡単な事じゃなかったと思うんだ。
     でもそれは俺がした事が正しい事じゃなかった。
    俺はただ…
     クラーク、俺はもうこんな事は決してしないと誓うよ。
     (クラークはまだ返事をしません。 ピートは罪悪感に苛まれます)
     クラーク、お前ががっかりしてるのは分かってる。
     でも、俺は自分が死ぬ日が来るまでお前の力を二度と悪用しないと誓うよ。

クラークは返事をしません。
彼の目に深い悲しみを湛えピートを見続けます。
ピートはクラーク持っているバスケットボールを指します。

ピート:(明るい雰囲気にしようとして) バスケをやらないか?
クラーク:(小さな声で) もう中に入ろうと思ってたんだ。

クラークが立ち去ろうとするとピートは彼からバスケットボールを取りドリブルを始めます。
クラークは立ち止まりピートを見ます。

ピート:さあ、来いよ。 ゲーム開始だ。
     (ポイントします)
    スリーポイントマッチだ。
     力は使うなよ。

ピートはクラークにボールを放ります、そしてクラークがそれを捕えます。
クラークのは表情はまだ堅く真剣な顔をしていました。

クラーク:(ゆっくりと頭を振ります) 今日は止めよう、ピート。

ピートはこの作戦も効果がないと分かるとピートの顔は落ち込みます。
クラークがバスケットボールを手放すと数回バウンドして地面に転がります。
クラークは静かに背中を向けて家に向かって歩き始めます。
ピートは彼が行ってしまうのを悲しげに見て、それから自分の車に戻って行きます。
運転席のドアの脇に立つと一瞬クラークの後姿を見て車に乗り込みました。

フェイドアウト。

おしまい