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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.14Obsession[執着心]

第一幕プロローグ。

ルーサー・コープ。 日中。
スモールビル高校の学生たちがルーサー・コープの見学に来ています。
学生達の中にはクロエとクラークもいます。
ライオネル・ルーサーが生徒達に向かって熱弁を振るっていました。

ライオネル:ああ、先進的な経済学、スモールビル一のルーサー・コープにようこそ。

クラークとクロエは不安げに目を合わせます。

ライオネル:今、諸君はここでビジネスについて何かを学んだ事と思う。
        経済理論において最も重要な要素は個人だ。
       そこの君のような。

ライオネルはグループの最前列にいるアリシア・ベイカーを指すと 彼女はお世辞に笑みを浮かべました。
クロエはライオネルの見え透いたお世辞に目を泳がせます。

ライオネル:伝統的な規則や需要と供給…まさにその通りなのです。
       しかしそれらの規則を守り破らない事は個人との約束が絶対条件となります。
       成功のためにはそれが前提条件であると思います。

生徒達は拍手を贈ります。

クロエ:(小さな声でクラークに) そして私はそれが卑劣で、不道徳で、そして多分非合法であると思います。
ライオネル:(クロエに)。そこの君、何か質問でも?
        (クロエが彼女の目を伏せます。)
       ないのかね?
       誰か他には?ないかね?
       分かりました、それではみなさんをスミス氏にお返ししましょう。

ツアーガイドのスミスは手を上げました。

スミス:分かりました、集まってください。私の後についてきてください。
ライオネル:(教師に)お会いできてよかった、アリス先生。
アリス:ありがとうございます。

生徒達はスミスの後についていくと、ライオネルがクロエとクラークへ近づいてきました。

ライオネル:サリバン君。 ケント君。(見えすいた誠実さで)
        まあ、君たちが将来の事を考えているのを知って嬉しいよ。

クロエとクラークは礼儀正しくライオネルに微笑むと彼は歩き去ります。
二人はグループの後を追いかけます。

クロエ:非常階段から抜け出さない?
クラーク:(頷きながら) もしこの遠足が成績に響かないんだったら、39階下でうろついてたよ。

二人はアリス先生と残った生徒達が待っているエレベータ前に到着します。

クロエ:(嫌味ぽく。エレベータの中に足を踏み入れます) ライオネルルーサー展覧会にようこそ。
    次の階は犠牲者、ごますりと殺し屋です。

アリス:このふざけた二人は分けた方がよさそうね?
     ケント君、次のエレベータに乗ってきなさい。

クロエがガッカリしてクラークに手を振るとクラークを残しエレベータのドアは閉まりました。
アリシアもエレベータに乗り遅れクラークの隣に立っていました。
二人は一瞬お互いを見るとクラークは壁のボタンを押します。
彼らは次のエレベータを待ちます。

クラーク:(話しをしようとします)エレベータってさ。もっと必要だよね、数が少ないよ。

アリシアはうなずきますが愛想笑いをして会話に興味を示さず目をそらします。
クラークが慌てて目をそらすとエレベータの到着音がしてドアが開きました。

二人が中に入るとクラークがドアを閉じるボタンを押します。
エレベータが下に動き出した直後けたたましい警報音がうなり始めました。
クラークが再びボタンを押すとエレベータは突然ガタガタと音を立てて物凄い速さで落下し二人とも床に倒れました。

アリシア:きゃぁっ!

アリシアがエレベータ内の階表示を見ると32階から26階までほんの数秒で急降下をしていました。

アリシア:どうして!

クラークはエレベータの天井の角にあるセキュリティカメラを見上げます。
カメラを睨むとヒートビジョンを放ちカメラを吹き飛ばします。
火花が飛び散るとアリシアは息をのみ不思議そうにクラークを見ます。
クラークが後ろを振り返ると壁に手で穴を開けます。
エレベータが落ちるのを阻止しようと後方にあるエレベーターシャフトのパイプを握り締めました。
パイプを掴んだ手は摩擦により煙と火花が迸り、手に力を込めるとついに19階でエレベータを止めることに成功しました。
彼は息もしないで見つめているアリシアを見ます。
彼女は立ち上がります。

アリシア:(怖がって)一体何をしたの?
クラーク:お願いだから、この事は誰にも話さないで欲しいんだ。

エレベータの外では警備員がてこでドアをこじ開けています。

男:おい?そこに誰かいるのか?
  私はルーサー・コープの警備員だ。落ち着いて!
  もしそこに誰かいるなら、私達が助け出すからな!待ってろよ!

クラークは壁の穴に腕を突っ込んだまま不安そうにエレベータのドアを見ます。
アリシアはクラークに近づき彼の肩に手を置くと二人の体の周りの空間が歪み始めます。
エレベータが突然動き出し急降下して底に衝突しました。

一階のエレベータのドアの外にクラークとアリシアがどこからともなく出現しました。
アリシアは手をクラークの肩から離すと誰も見ていないことを確認するために見回します。

クラーク:(驚き)何をしたんだい?


アリシア:あなたは知られたくなかったんでしょ、助けたいと思って、だから…

アリシアは階段の上をちらっと見ます。
アリス先生と生徒達は驚きながら階段を降りて来て二人に走りよってきました。

アリシア:クラーク、あなたも私の秘密を知ったわ。
      誰にも話さないでね、お願いよ。

アリス先生はクラークとアリシアに駆け寄ります。
クロエと生徒達も二人を囲みます。

アリス:二人とも無事なの?!
クラーク:(アリシアを見てひと呼吸おきます)
      はい。大丈夫です。
      そのー、僕らが出て直ぐにエレベータが落ちたんです。
      何かケーブルが切れたような音がしました。
クロエ:どうやって?
クラーク:分からないよ 、クロエ。
クロエ:大丈夫なのね?
クラーク:ああ、僕は平気さ。

クラークはアリス先生に付き添われて離れるアリシアの方に目を向けます。
アリシアは声を出さずに「ありがとう」と唇を動かしました。
生徒達と警備員はクラークとアリシアの周りに押し寄せ続けます。

第1幕 場面 1
スモールビル高校の校庭は雪で覆われています。
日中。
アリシアが学校の外の歩道を歩いているとクラークが彼女に追いつきました。

クラーク:アリシア! 待って。
      昨日は興奮してて君にお礼を言う暇がなかったから。

二人は肩を並べて歩きます。

アリシア:ううん、私の方が嬉しかったわ。
      他の人に私の力を認めてもらえるなんて。

クラーク:君と友達になるのに必要なこと?
アリシア:(ほほ笑んで)そうだと思うわ。
      皆が思ってるほど私は変人じゃないわ。
(クラークが目を伏せます)
      皆が私の事なんて言うか分かる?
クラーク:そんな事はないだろ?
アリシアは:そうじゃないわ。
       親しくなればなるほど私を化け物扱いするのが怖いのよ。
       たとえ嫌われてても一人の方が気が楽よ。

二人は角を曲がって学校に向かって歩き始めます。

クラーク:気に障ったらゴメン、いつからその力が…
アリシア:気にしないわ、流星群の日からよ。
      あの日、トウモロコシ畑の真ん中でブランコに乗っていたの。
クラーク:どうやってその力に気づいたの?

アリシア:そうね。他の人と違っているって分かったのは随分たってからよ、力に気がついた時に少し調べたの、そして…
(クラークが学校のドアを開け、彼女を先に行かせます)
       ありがとう。
      よく分からないけど、量子物理学の難しい話よ。退屈かも。

クラーク:いや、うーん…
(生徒達が通り過ぎるとクラークが廊下のわきに彼女を引っ張ります)
      話してみて。
アリシア:基本的には、流星群が私の体に影響を与えて、テレポートの力が授かったのよ。
クラーク:君が触ってた物も。
アリシア:そうよ、私が一緒に連れて行こうと思って触った物は何でも。

クラークが静かに彼女にほほ笑みます。

アリシア:あなたはどうなの?流星群のせい?
クラーク:(本当の答えは避け)そういう厄介な事は流星群のせいじゃないかな?
アリシア:そうよね。

ベルが鳴ると アリシアは後ろ歩きをしながら教室に向かいます。
魅力的な笑顔を向け。

アリシア:あなたが私を好きになってくれるなんて信じられない。
     つまり、好きだって意味じゃなくて、そのー私の事を気にかけてくれるなんて…分かる?
クラーク:(まだほほ笑んでいる彼女に魅了されてたまま)分かるよ。

アリシアははにかみながらんで後ろへと下がります。

アリシア:(小さな声で)じゃあね。

彼女は手を振ると背を向けて歩き去りました。
クラークは笑みを浮かべたまま彼女が去るのを見送ります。

第1幕 場面 2。

ラナはタロンのアダムの部屋のドアの錠を開けて中をのぞきます。
日中。

ラナ:アダム?

返事がないのでラナは後ろ手にドアを閉じて中に入ります。
彼女はすぐにアダムのクロゼットに行って床の本の山を調べ始めると
棚の中に置いてあった小さな箱に手が触れ床に落としてしまいました。
箱を拾い上げ中を見てみましたが何も入っていませんでした。
棚の方に振り返ると棚の奥にノートがテープで貼り付けられているのを見つけました。
そのノートを取り出し広げるとそこにはラナとクラークについての細かい記録がびっしりと書かれていました。
そこにアダムが彼女の後ろに近づいてきました。

アダム:ラナ?

ラナは驚いて立ち上がりました。

アダム:何をしているんだ?
ラナ:(ノートを差し上げ) アダム、これは何んなの?
アダム:プライバシーの侵害だ。返してくれ。
ラナ:だめよ。 (日誌を開いて読みます)
    「1月11日:ラナはクラークとの関係をはぐらかす。 1月17日:クラークが別の事故にあった」
(腹を立てて)
   今までずっと内緒で私とクラークの事を調べていたのね。
アダム:君も同じだろ。
ラナ:違う、私を脅したり、それに私の事を調べたりしてたじゃない?出てって欲しいわ。

ラナがドアの方に歩こうとするとアダムが彼女を止めました。
彼はノートを彼女からひったくります。
彼女は怒って彼の目を見つめるとドアの方へと歩きました。

アダム:君は借家法を知らないのか。立ち退かせるのは簡単じゃないぜ。

ラナはドアの前で停まりアダムに振り返ります。

アダム:(キザな笑みを浮かべ) 俺はどこにも行かないぜ。

ラナは出て行きました。

第1幕 場面 3
スモールビル高校。
日中。
アリシアが誰もいない科学教室で保護メガネをつけて作業をしているところへクラークが入ってきました。

クラーク:(笑顔を浮かべ) アリシア。
(アリシアはメガネを外します)
     やあ。君を探してたんだ。
アリシア:そうなの、テレポートできる娘が、物理学のラボに。
      まあ、いい推測ね。でも、クラーク、私を見つけるのはそんなに簡単な事じゃないわ。
クラーク:それは分かってる。
(アリシアは期待するように彼を見ます。 彼は不安そうに続けます)
       うーん、でもラッキーだったよ、もしよければ一緒に。
      その、経済学のテストの勉強をさ。
アリシア:デートに誘ってるの?
クラーク:デート?違うよ。あのー、そういうわけじゃないけど…えーと。
アリシア:クラーク? (彼に近づいてきて)私とデートしたい?

クラークは明るく笑顔で返事をしました。
科学教室からニコニコ顔で出てくるクラークが廊下に出た途端ラナに出くわしました。

ラナ:(彼の表情に気付き)ロトクジでも当ったの?
クラーク:えっ、どうして?
ラナ:ううん、ここしばらくあなたがそんな風な笑顔をするのを見なかったから。
   あの、私、その気分を悪くしたくはないんだけど、でも、えー、アダムの事について話したかったの。
クラーク:どういう事?
ラナ:あの人、今までずっと記録してたのよ、私の事と…あなたの事とを。
   嫉妬心から私達の事を調べてるのかどうか分からないけど。
クラーク:じゃあ、僕から話してみるよ。
ラナ:クラーク、いいの、出て行ってもらうつもりだから。
   これ以上私達に付きまとって欲しくないのよ。
   あなたには言っておきたくて。

アリシアがクラークに近づいてきました。

アリシア:(笑みを浮かべ)じゃあ、7時でいいわね?

クラークがアリシアに微笑むと彼女は歩きながらラナの方をチラッと見ました。

アリシア:ハイ、ラナ。

ラナは不思議そうにクラークを見ます。

クラーク:僕らは同じ経済学を取ってるんだ。

アリシアがもう一度振り返り クラークの方を見ると、ラナは不自然な笑みを浮かべその場を後にしました。

第1幕 場面 4
満天の星空。
クラークとアリシアはクラークの家の屋根裏にいます。
クラークは天体望遠鏡で空を見ていました。

アリシア:ギリシャ神話では、オリオンって誰よりも強くてすごい才能があったんだって。

クラーク:僕以外にも天文に詳しい人がいたんだ。
アリシア:私は科学オタクよ。

アリシアが望遠鏡を覗けるようにクラークが脇に避けます。

クラーク:君は一人ぼっちじゃないよ。
アリシア:(笑い) ありがとう。 それで、えーと、あなたは金属をパンチで壊す事ができる以外にどんな力があるの?
クラーク:(不安そうに)どういう事?

クラークは話をはぐらかそうと望遠鏡を覗き込みます。

アリシア:ねえ、クラーク。あなたがセキュリティカメラを壊した事知ってるんだから。
     ただ…どうやったのかよく分からないんだ。
クラーク:(間があり)目だよ、熱光線を出せるんだ。
アリシア:うそ、本当なの。
     今までラナに打ち明けた事がある?
クラーク:(悲しげに)いや、そのせいで関係が終わったんだ。
      正直に話したことはないよ。

アリシア:(微笑んで)こんな風に一緒のいる時?

クラークは微笑で答えました。

クラーク:それじゃ、君はどうなんだい?
      ボーイフレンドだとかさ…
アリシア:いたわ、心から彼が好きだったわ。
      でも私の力の事を知って驚いていた。

アリシアは思い出しながら気が動転して目を伏せます。

クラーク:(慰め)その人がどう思ったかなんてどうでもいいじゃないか。

アリシアはクラークの目をじっと見つめクラークは少し微笑します。

クラークはアリシアの家の前まで車で送ってきました。
家はかなり大きく、家中の灯りが点いていました。
二人はトラックから出ると歩道へと歩き出しました。

クラーク:誰か起きて待ってるんじゃない。
      心配してないといいんだけど。
アリシア:うん、両親は少し過保護なのよ。
クラーク:そうなの?
アリシア:ええ、二人とも私の力の事を全て理解してるわけじゃないの。
     この前なんか、私が力を使うのを止めさせようとしたのよ。
クラーク:どうやって?
アリシア:(一瞬のクラークを見ます)話したくないわ。
クラーク:分かったよ。

二人はポーチの階段を上ります。

アリシア:あなたのご両親はどう?
クラーク:僕の両親は素晴らしいよ。
      僕の力を誰かに知られるんじゃないかって心配してるけど
      止めさせようなんて思ってはいないよ。

玄関に着くと二人は向かい会いました。

アリシア:じゃあ、多分それはあなたが特別だからよ。
(クラークが微笑します)
      クラーク、そのー、今晩は本当に楽しかったわ。
クラーク:(小さな声で)僕もさ。
アリシア:(ささやき声で)うん。

長い沈黙のあと二人はゆっくりと顔を近づけキスをしようとしましたが、
二人の唇が触れ合う寸前にお互いの鼻がぶつかり、クラークはあせって少し離れました。
二人とも少し取り乱して笑います。

アリシア:いいのよ。あのー…
(クラークは困ったように頭を振ります)
     後でまた会いましょ。
クラーク:お休み。
アリシア:(微笑んで)お休みなさい。

アリシアは玄関のドアを開けて中に入るとドアを閉じました。
彼女がガラス戸からクラークを見ているとクラークが手を振ります。
クラークはアリシアを見ながら階段を下りるとコケてバランスを崩しました。
アリシアは既に玄関にはなくクラークの運転するトラックが去るのを二階の寝室の窓から外を見ていて微笑んでいました。

第1幕 場面 5。
ケント家。 夜。
クラークはベッドの上で寝返りを打つと目を開け、目覚まし時計をちらっと見てまた眠りに戻りました。
誰かの 手が伸びてきて彼のむき出しの肩から腕に掛けて撫で降ろしました。
彼は最初その感触を楽しんでいましたが深く呼吸をするとナイトスタンドの目覚まし時計をたたき落とし仰向けになりました。
目を開けるとアリシアがベッドの上に下着の上にパジャマの上だけを着た格好で座っていました。

クラーク:アリシア!
アリシア:(笑い)ごめんなさい。怖がらせるつもりじゃなかったんだけど。
      驚かせるつもりだったんだ。
クラーク:ここで何をしてるんだ?
アリシア:送ってくれた時あなたが私と離れたくないって感じたから、私も同じ思いよ、だから…

アリシアはの両手はクラークの顔を包むように這わせます。

クラーク:(抵抗し)あのさ、アリシア…
アリシア:キスしたいんでしょ、クラーク。
クラーク:アリシア…
アリシア:キスして。

クラークはついに抵抗に負けて優しくアリシアにキスします。
彼の腕は不器用に彼女の腰の辺りに持っていき抱き寄せます、唇を重ねると強く抱きしめました。
二人は激しいキスをし、クラークは腕を彼女の背中に回します。
突然ドアが開きジョナサンが入ってきました。

ジョナサン:おい、何を落としたんだ…

クラークのひざの上にアリシアがいるのを見てジョナサンは唖然としました。
アリシアは驚いていハッと息を呑みました。

クラーク:父さん。

ジョナサンは驚いているクラークを見つめます。
フェイドアウト。

第2幕 場面 1
数分後。
クラークが階段の上に来ると ジョナサンとマーサがキッチンで話をしていました。
夜。

ジョナサン:知らなったぞ、マーサ。いつも言っているだろう。
       この家にはこの家のルールがあるんだ。
        クラークは十分知っているはずだ。

クラークは深呼吸をすると咳払いをして階段を降りてきました。

ジョナサン:分からんよ…
マーサ:ジョナサン…

クラークが降りてくると二人は話をやめました。

クラーク:彼女は帰ったよ。

ジョナサン:彼女がなんだって、クラーク、窓から出て行ったとでも?
クラーク:実は彼女はテレポートできるんだ。

ジョナサン:もう一度話してくれ、よく分からなかった。
クラーク:(間があり) アリシアは流星群のせいで変化したんだ。
      どんな場所へも彼女が望めば行くことができる。
マーサ:男の子の寝室へも?
クラーク:あのさ、アリシアは僕を助けてくれたんだ。
      僕たちがルーサー・コープのエレベータに閉じ込められ落ちたとき…僕が止めなければ。
ジョナサン:(苛立ちがましてきて)
       それじゃ、アリシアはお前が力を使うのを見たんだな。
クラーク:(頷き)うん。
ジョナサン:(気を取り直し) クラーク、あの娘は他に何を知っているんだ?
クラーク:スーパーパワーと…ヒートビジョン。
ジョナサン:お前が隕石に近づくと力が弱まる事もあの娘に話したのか?
クラーク:(速答)いや。その事は話さなかった。

ジョナサンとマーサは不安そうに目を見合わせます。

クラーク:(言い訳するように)彼女は僕を助ける必要はなかったんだ。
      でも、僕を守るために自分の秘密をさらけ出したんだ。
       (わずかに微笑し)
      それがこんな関係になったんだと思う。
      父さんたちには分からないだろうけど、僕らには十分なんだ。

アリシアが隣りの部屋にテレポートしてくるとドアの隙間からクラークたちの会話を覗き見します。

マーサ:本当にこの娘が好きなの?
クラーク:うん。多分そうだと思う。僕と同種の力を持った人を見つけたんだと思う。

アリシアは微笑を浮かべました。

第2幕 場面 2。
スモールビル高校。 日中。
ピートは人ごみの廊下を歩いているクラークに追いつきます。

ピート:(笑みを浮かべ) クラーク。
     最近顔を合わさなかったけど…話してくれないなんて水臭いじゃないか!

クラーク:何の事だい?

ピート:お前の親父さんがお前とアリシアが寝室で抱き合っているのを見たって事だよ。

クラーク:(驚いて)その事を知っているのは両親とアリシアだけだぞ。

ピート:まあ、彼女はお前と違って隠し事をしないらいいな。
    とにかく、彼女は喜んでるぞ!
     (クラークの胸を叩いて) おめでとうさん!
     (クラークが笑みを浮かべると、ピートはその場を離れます)
    後でな、色男!
クラーク:(嬉しそうに)ああ。

クラークが自分のロッカーの前に来ると鍵を外して扉を開けました。
ロッカーの内側一杯にアリシアの写真で覆われているのを見ると笑顔が凍りつきました。
誰も写真を見る前にドアを閉めると、突然アリシアが笑顔で彼のすぐ脇に立っていました。

アリシア:おはよう。
クラーク:アリシア。ちょっといいかい。
アリシア:どうかしたの?
クラーク:あの、昨日の夜の事と…この写真…
アリシア:イヤだった?
クラーク:いや、そうじゃない。そうじゃないけど…
      ねえ、少し急ぎ過ぎてると思わないか?

アリシアは傷ついて目を伏せます。
彼女はクラークから数歩離れると他の生徒たちにも聞こえるように大声で怒鳴りだしました。

アリシア:昨日の夜はよかったって言ったじゃない。キスだってしたわ。

クラークはロッカーの方に彼女を引き戻します。

クラーク:(小さな声で)そうじゃない、そうだけど。
      ただ、もう少しお互いの事を知る必要があると思うんだ。分かるだろ。
アリシア:(クラークを抱きしめ)
      私達は特別なのよ、クラーク。そんなの関係ないわ。

ベルが鳴ります。

アリシア:後でね、あなた。

アリシアは優しくクラークにキスします。

クラーク:ああ。
アリシア:あなたの事をずっと思ってるから。

アリシアが行くのをクラークは悩んだ目で見送りました。

第2幕 場面 3
レックスは書斎で酒を注ぎながらクラークの話を聞いています。
日中。

レックス:その娘とデートして、お前の寝室にこっそり入り忍び込んで、ロッカーに写真を入れてか、
      それはお前の親に結婚式場の予約を催促しているのかもな。
      (ニヤッと笑って)
     お前の秘密とはなんだ、クラーク?
クラーク:これは冗談じゃないんだ、レックス。
      会ったばかりで顔を知ってるくらいなんだ。
      それなのに 彼女はもう気の合う友達のように振る舞ってる。
レックス:なあ、俺の経験から、彼女のような積極性は何かが切欠となったはずだ。
クラーク:僕が彼女をだましたって言うのか?
レックス:俺の経験だと言ったはずだ。
      (間を置きますが クラークは返事をしません)
      彼女はスマートでかわいいじゃないか、それにお前を好きだというんだ。
     知りたいものだな。どうやって彼女を射止めたんだ?

クラークは苦渋の顔つきで黙っています。

レックス:その顔が俺の言い分を物語っているな。

レックスは机に歩きます。

クラーク:それで僕はどうしたらいいんだ?

第2幕 場面 4。
クラークがアリシアの家の玄関をノックします。
日中。
アリシアの母親、ベイカーが笑顔でドアを開けます。

ベイカー夫人:(親しみのある様子で)
      あなたはクラークね。どうぞ、中に入って。
     今アリシアはいないんだけど。

クラークが中に入るとベイカーは後ろ手にドアを閉じます。
アリシアの父親はキッチンテーブルについていました。

ベイカー夫人:(ベイカー氏に)
         あなた、誰が尋ねてきたと思う。
         クラークよ。
ベイカー氏:クラーク。

クラークは壁の棚にトロフィーとリボンに覆われたアリシアの写真に気付きます。

ベイカー夫人:(興奮していて、緊張して)
         あの娘はいつもあなたの事を話してくれるのよ。
         あなたのような素敵なボーイフレンドができてよかったわ。
クラーク:実は、その事でこちらに伺ったんです。
      僕はもしかするとアリシアに誤解させてしまったのかもしれません。
ベイカー夫人:いいえ、そんな、そんな事はないわ。
        あの娘はあなたの事をボーイフレンドだって言っていたわ。
クラーク:それはそのー、えーと…

ベイカー夫人はクラークの肩に手を置き黙らせました。

ベイカー夫人:もしあの娘があなたとデートしているって言うなら、賛成よ。
         アリシアは特別な娘なの。
クラーク:アリシアの事は知っています。
       彼女の力の事は。
       彼女はあなた方がその力を使うのを止めさせようとしたって言いました。
      一体どうやって?

ベイカー氏:(ベイカー夫人を見て)
       娘を特殊な部屋に閉じ込めたんだ。
ベイカー夫人:でもあの娘は私達に出して欲しいと懇願したの。
         力を乱用しないと約束をして。

クラークがX線ビジョンで家の中を見回すと透視のできない部屋がありました。

ベイカー氏:あの娘がどこにいるのか、何をしようとしているのか分からない。
ベイカー夫人:お願い、クラーク。あの娘と一緒にいてあげて。
クラーク:アリシアが帰ってきたら僕が探していたと伝えてください。

クラークが帰ろうとします。

ベイカー氏:クラーク。
        (クラークが止まります。)。
       前にもアリシアが好きになった男の子がいたんだが。
       そのー…大変なことになった。気をつけてほしい。

クラークは返事をせずにドアから出て行きました。
ベイカー氏がドアを閉じると突然アリシアが激怒した顔でそこに立っていました。

ベイカー氏:(怖がり) アリシア。 (彼は後ずさりします)

アリシアはゆっくりと父親に向かって歩きます。

アリシア:(小さな声で、威嚇するように)言い過ぎよ、パパ。

第2幕 場面 5
タロンではラナがコーヒーを炒れながらレックスに話をしています。
日中。

ラナ:変な事を頼んで申し訳ないけど、でも他に頼める人がいなくて。
レックス:それはいいさ、ラナ。俺は君の直感を信じる。
      なあ、アダムの事で気をもんでいるのなら、それはその通りだと思う。
      他に何か具体的な事はあるのか?

ラナ:ううん、あんまり。そのー、記録のノートの事と彼の態度だけ。

レックス:心配する必要はないさ。俺が何とかする。
     (彼は去り始めます)

ラナ:レックス、借家人法を調べてみたの、そしたら追い出すのには最高で6カ月かかるって。
   そんなに長くは待ってられないわ。
レックス:俺を信じろ、もっと確実に速攻でより追い出す方法がある。

ラナは不安そうにレックスを見ます。

第2幕 場面 6
クラークが屋根裏に入ります。
日中。
いたるところにロウソクと花があります。
机の上を見ると写真立に入ったアリシアの写真を見つけ手に取りました。
写真を下に置くとその脇にスモールビル高校年鑑がありました。
年鑑を広げるとラナの写真が切り取られていました。
振り返るとアリシアが立っていました。
彼女はクラークの頬にキスします。

アリシア:(愛らしく)ハイ。
クラーク:アリシア。これはどういう事だ?
アリシア:伝言を聞いたわ。
      私に会いたいって、だから来たのよ。
クラーク:ああ、それはそうだけど、僕の部屋を勝手にいじってもらうためじゃない。
アリシア:私はこうして欲しいと思ったのよ。

クラーク:(年鑑を上げて)これはどういう事だい?

アリシア:(年鑑を取り上げ閉じると)クラーク、前向きに行かなきゃ。
      あなたがラナと付き合っていたのは知ってるわ、でも今は私と付き合ってる。
クラーク:そうじゃない。
アリシア:(もっと近づき)違わないわ、私達は特別なのよ、赤い糸で結ばれてるの。
      ラナには秘密を打ち明けなかったって言ったじゃない。

クラークが彼女の後ろへと歩きます。

アリシア:あなたと私はお似合いなのよ。
      (アリシアの携帯電話が鳴ると 彼女は電話にでます)
     もしもし?はい。
      (彼女は電話を切ると驚いていました)
     パパが、階段からすべり落ちて病院に入院したって。

第2幕 場面 7。
ベイカー夫人はベイカー氏の病室で座っています。
日中。
ベイカー氏はベッドで意識不明です。
アリシアとクラークが入ります。
ベイカー夫人はアリシアを見ます。
ベイカー夫人は恐れているかのように口を半開きにしました。
アリシアは目に涙を溜めクラークに寄り添い手をクラークの胸に当てます。
アダムス保安官が入ってきました。

アダムス:(アリシアに) ベイカーさん。
      少し話を聞いてもいいかしら?

Alicia steps into the hall with Clark and Sheriff Adams.
アリシアはクラークとアダムス保安官と一緒に廊下の方へとでました。
アリシアはクラークの腕にしがみついています。

アリシア:なんですか?
アダムス:お父さんを襲うような人物に心辺りは?
アリシア:事故じゃないんですか?
アダムス:そのー、ベイカーさんの後頭部に鈍器で殴られたような痕があってね。
      加害者がいた可能性があるの。

アリシアは泣き始めます。

クラーク:可能性って?
アダムス:そうよ、地下室は内側から錠がかかっていたわ。

アリシアはクラークの胸の中ですすり泣きます。

アリシア:ごめんなさい。

アダムス 保安官はアリシアを落ち着かせるために離れます。
クラークが穏やかに廊下の端の方にアリシアを連れて行きます。

クラーク:アリシア、聞いて。確認したいんだけど、君が関係しているんじゃないか?
アリシア:どうしてそう思うの?
クラーク:他に誰が錠がかかっている地下室から逃げる事ができるんだ?

アリシアは泣くのをやめて深刻にクラークを見上げます。

アリシア:私達のためにしたことよ。
      あの人は私達の間を裂こうとしたわ。
クラーク:(驚き)保安官に話した方がいい。

アリシアはクラークから離れます。
クラークは彼女に手を伸ばしますが、彼女一人で廊下からテレポートしてしまいました。

フェイドアウト

第3幕 場面 1

ケント農場。
日中。
クラークが家に入るとキッチンにアリシアが待っていました。

アリシア:クラーク、こんにちは。
     あなたに会に来たら、お母様が一緒に夕食をしましょうって。

クラークがダイニングルームを見るとマーサがテーブルをセットしていました。

クラーク:ここで何をしてるんだ?
アリシア:あなたのご家族をよく知りたくて。
クラーク:アリシア、自首しなきゃだめだ。

アリシア:(怒りながら包丁でレタスを半分に切ります)
       あなたは私のボーイフレンドでしょ。
      私があなたを守ったように、あなたも私を守ってくれてもいいはずよ。
       (クラークに近づき顔に触れます)
      そうしてくれるならあなたの秘密は絶対に守るわ。
      他の人たちにもね。

クラーク:(乱暴にアリシアの手首をつかみます)
      脅迫するのか?
アリシア:(離れ)お母様にご一緒できないって謝っておいて。

アリシアはテレポートして消えてしまいました。

第3幕 場面 2
クラークとクロエがトーチのオフィスで話をしています。
日中。

クロエ:彼女があなたに危険な情事をするなんて。
クラーク:アリシアの力の事を最初から君に話すべきだったよ。
     でも彼女は秘密にして欲しいって言ったから。
クロエ:分かってる、あなたが彼女の秘密を厳守する事に対しては尊敬に値するわ。
     でも彼女が異常行動に出たんだから。
クラーク:自由に姿を消せる相手をどうやって探せばいいと思う?
クロエ:まあ、少なくてもアリシアは1つ弱点を持っているわ。 あなたよ。
クラーク:(少し考え)もうひとつあるよ。
      クロエ、僕に考えがあるんだ。
      手を貸して欲しい

クロエがドアをノックするとベイカー夫人が出てきました。
ベイカー夫人は疲れ果てているように見えます。

クロエ:ベイカーさんですか?私、クロエ・サリバンと申します。
     アリシアと話がしたいんですけど。急用なんです。
ベイカー夫人:あのー、どうかしたの?
クロエ:彼女のボーイフレンドのクラークの事で。
      彼は今困った事になってるんです。

アリシアがベイカー夫人の後ろから出てきました。

アリシア:それはどういう事?一体何があったの?
クロエ:アダムス保安官が彼の事をあなたのお父さんの事故に関係があるかもしれないと思ってるの。
ベイカー夫人:えっ、アリシア…
アリシア:(振り返り)ママ。

ベイカー夫人は家の中に行ってしまいました。
アリシアはポーチまで出るとドアを閉じました。

アリシア:保安官がどうしてクラークを疑うの?
クロエ:保安官は、あなた達の事を許さない父親に対して腹を立てていたんじゃないかって思ってるわ。
アリシア:逮捕されたの?
クロエ:ううん、隠れてるわ。
    私にあなたを探し出して助けて欲しいって言ってきたの。
    なんだか分からないけど、あなたが唯一の希望だって。

アリシアはその事を考えます。
クロエは彼女がワナにかかるかどうかじっと彼女を見つめ。

アリシア:うーん、今彼はどこにいるの?

スモールビル高校の地下のボイラー室に入っていくアリシア。
彼女はスチームパイプで囲まれた中にいます。

アリシア:クラーク? クラーク?

彼女は辺りを見回しながら歩いていると大きいタンクの脇に隠れているクラークを見つけます。

クラーク:アリシア? (彼女のところに行きます)
アリシア:クラーク。大丈夫なの?
クラーク:僕を探してるんだ。 保安官は僕が君のお父さんを殺そうとしたと思ってる。
アリシア:分かってる。
クラーク:君が保安官に真実を話して欲しい。
アリシア:だめよ、それはできないわ。
クラーク:(弁解) アリシア…
アリシア:身を隠しましょう。誰も見つけられない場所に一緒に。
クラーク:ああ。それしかないと思うよ。
     (彼は彼女の手を握ります) さあ。

クラークは彼女が通ってきた道を戻って階段を上ります。
二人が上るとボイラールームのドアが開く音を聞きます。

クラーク:速く、誰かが来る。 さあ早く!

クラークはアリシアを近くの部屋に連れて行ってドアを閉じます。
アリシアが中に入ると部屋全体が赤一色に塗られているのを見ます。
それから彼女は床の上に開いているペイント缶に気付きます。

アリシア:鉛入りペンキ?
     (クラークを見ます)
     私を閉じ込めるつもり?私の親がしたように?
クラーク:アリシア、君がお父さんにしたことは間違ってる。
アリシア:ラナと一緒にいたいために私を追い払おうってつもりね。
      これが何よりの証拠よ。
クラーク:アリシア、君を助けたいんだ。
アリシア:(より近くに近づき)分からないの?あなたのために。

クラーク:(彼女から離れ)いや、悪いけど。
      もうじき警察が来る。
アリシア:この部屋からテレポート出来ないからって、クラーク、私がここから出られないとでも思ってるの。

クラークは息苦しくなります。
アリシアが手に大きなクリプトナイトを持っていました。
彼女が隕石を持ったままクラークに近づくと、クラークは苦しんで身を屈め床に崩れおちました。

アリシア:あなたがご両親と話をしているのをちょっと聞いちゃったの。
      こんな物使う事がないようにと思っていたのに、でもあなたが先に約束を破ったんだからね。

アリシアはクラークの脇に隕石を落とします。

クラーク:お願いだ。アリシア、こんな事はしないでくれ。

アリシアはクラークの脇にひざをつくとクラークの顔を両手で包みます。

アリシア:ラナがどこかに行っちゃえば、私達の事が理解できるかも。

彼女は抵抗もできないクラークにキスします。

アリシア:私達はまた一緒になれるの、クラーク。
      私達は同じ仲間同士、誰も止められないわ。

フェイドアウト

第4幕 場面 1
ラナはゴミ袋を持ってタロンの後ろの路地を歩いていました。
夜。
彼女はごみ収納庫の中にゴミ袋を放り振り返るとアリシアが立っていました。
彼女は驚き小さく息をのみました。

アリシア:あなたって何様のつもり、ラナ?
ラナ:なんなの?
アリシア:クラーク・ケントがどうしてあなたの事を愛しているの?
      つまり、私があなたに負けているのはなんなの?
ラナ:何の話をしているのか分からないわ。

ラナが別の道へと向きを変えると既にそこには包丁を持ったアリシアがいました。
ラナはさっきまでアリシアが立っていた場所に振り返りもう一度アリシアの方を見ました。

アリシア:あなたの思ってる通りよ。

ラナは包丁を見るとタロンに向かって走りだします。
アリシアは落ち着いたペースでゆっくりと彼女の後を追います。
ラナはタロンの中に入りました。営業時間は終わり誰もいません。
彼女は店内の真ん中まで走ると、既にナイフを持ったアリシアにぶつかります。

アリシア:教えてよ、ラナ。
      あなたの秘密は何なの?

アリシアはゆっくりとラナをバーに押し付けるとラナの首にナイフを突きつけました。

アリシア:あなた、私よりかわいいわけじゃないのに。

ラナは皿の載ったテーブルの方に回り込みテーブルを挟んでアリシアと向かい合います。
アリシアはテーブルを倒し床に皿をぶちまけラナを引っ張り再び首に包丁を突きつけます。

アリシア:それに頭も良くなさそう。私の力のことも知らないしね。
ラナ:アリシア、クラークとは何の関係もないわ。

ラナはアリシアを遠ざけバーに向かって走ります。
しかしそこに着いたときには既にアリシアがいました。
アリシアは混乱したようにやけくそになってラナの顔をつかみます。

アリシア:ええ、そうよね、クラークがあなたの事を思い続けているからよね。
       (ラナの頭をつかみ耳元でささやきながら首に包丁を突きつけます)
      でも今は私のものよ。 彼、本当の事を教えてくれたわ。
      あなたには決して話さない事をね!

アリシアはラナを段の脇の柱に押しつけます。
柱にぶつかったラナは床に転がってしまいました。
アリシアは彼女に向かって進みます。

ボイラー室の床に横たわっているクラーク。
クリプトナイトはクラークの脇で緑色の脈動を繰り返し部屋を照らしていました。
クラークは動こうとしますが息がつまります。
クリプトナイトを見るとそのすぐ脇に口の開いている鉛入りのペンキ缶が置かれていました。
彼は缶を倒そうと足で缶を少しずつけりました。
ついに缶を倒すとクリプトナイトにペンキがかかりクリプトナイトの力が消えました。
クラークは体を起こすと呼吸を整えスーパースピードで部屋から出て行きました。

タロンではアリシアがラナに対峙していました。
アリシアは包丁の柄を握りなおし振りかぶります。

アリシア:そして今あなたは決してわからないわ。

クラークがスーパースピードでタロンに着いたとき、アリシアはラナに向かって近づいているところです。

クラーク:アリシア!

アリシアは止まってクラークを見ます。
クラークが封の開いていないペンキの缶をアリシアに投げつけました。
缶がアリシアの真上に来るとクラークが缶にヒートビジョンを打ち込み缶を破裂させアリシアの頭からペンキをぶちまけました。

アリシア:きゃぁ!

彼女は床に屈みこむとペンキの着いた目を拭いながら泣いていました。
彼女はナイフを落としこの場を離れようとテレポートしようとしますが
周りの空気はパチパチ音を立てて歪むものの消えることができませんでした。
クラークはラナのところに行って助け起こします。

クラーク:ラナ。 ラナ。
ラナ:(ぼう然として) クラーク?
アリシア:(泣きながら)どうして?クラーク。どうしてなの?

第4幕 場面 2
ケント農場。
日中。
ラナがドアをノックするとクラークがドアを開けました。

ラナ:ハイ。
クラーク:やあ。
ラナ:中に入ってもいい?
クラーク:ああ、入って。

ラナが入るとクラークがドアを閉じます。

ラナ:私、そのー、お礼を言いにきたの。

クラークが一瞬不器用に彼女を見つめるとラナはうなずきます。

クラーク:あのさ、僕の方が悪かったって思ってる。
      アリシアと付き合おうって思わなければ…
ラナ:アリシアが言ってたんだけど、えーと、彼女に真実を打ち明けたって。
   内容は聞いてないけど。それってどういう事?
クラーク:(肩をすくめ)アリシア言った事はバカげてるんだ。
ラナ:(静かに。どう話していいのか)
    彼女、あなたが私の事を思い続けてるって。
    でも、それもバカげているわよね。そうなの?
クラーク:(不幸せそうに)そうだよ。

マーサが階段を降りて来ます。

マーサ:(やさしく) ラナ、こんにちは。
     (ラナは微笑します)
     夕食を一緒にどう?
ラナ:あっ、ありがとうございます、ケントさん、でももういかないと。

彼女はマーサにほほ笑んでドアのところまで行きます。

マーサ:そうなの、残念ね。
ラナ:さようなら。

ラナは去ります。
クラークはドアのところで彼女が帰って行くのを見送ってドアを閉じます。

マーサ:クラーク、いつかいい人にめぐり合えるわ。
クラーク:この前まではラナがそうだと思ってた、でも彼女に正直に話せなかった。
      そして次にアリシアだと思った、僕と同じだと、でも…
マーサ:クラーク、あなたとは違うわ。あなたは…

マーサはいい言葉を思いつかづ言葉をさえぎりました。

クラーク:僕はずっと一人なんだね。

マーサはどう返事をしていいのか迷い目を伏せました。

第4幕 場面 3
タロン。
夜。
ラナがアダムの部屋に。

ラナ:ねえ? アダム?

返事がありません。
レックスがラナの後ろに近づいてきます。

レックス:ラナ。

ラナは驚いて振り向きました。

レックス:悪かった、脅すつもりじゃなかった。
      ここに上がっていったと聞いたから。
ラナ:レックス、ありがとう。
   これで肩の荷が下りたわ。
レックス:どういう意味だい?
ラナ:だって、アダムは出て行ったんでしょ。
   助けてもらって本当によかったわ。
レックス:ラナ、俺が追い出したんじゃない。
     俺のボディーガードすら奴を捕まえることができなかったんだ。
ラナ:じゃあ、あなたじゃないとしたら、彼はどこに?

第4幕 場面 4
暗い部屋。
部屋の奥には誰かが椅子に座っていました。
ドアが開くと部屋の中に光が投げかけられ、いくつかの動物用のオリが見えます。
光は奥の方に投げかけられ椅子にはロープで括られたアダムが座っていました。
ライオネルは入ってきます。
この部屋は研究室の一部のようです。
ライオネルはゴム手袋をはめゆっくりとアダムに接近します。

ライオネル:アダム?
アダム:なんだ?

アダムは弱っていて顔の上にはいくつかの傷がありました。

ライオネル:どうして私がお前をスモールビルに行かせたと思ってるんだ?ん?
        (彼は椅子にかがみ込んで手袋をした手でアダムの片目を開きます)
        ラナ・ラングの親友になるためだ。
       全てを探り出すためだ、彼女はクラーク・ケントの事を知ってる。
       そうだろ?
        (アダムはうなずきます)
       それなのに彼女から嫌われるとは。

テン博士はアダムの薬を持って入ります。

テン:ルーサーさん、薬の準備ができました。
ライオネル:(手袋をはずし)必要ない、テン博士。
テン:しょう液を打たないと死んでしまいます。
ライオネル:申し訳ないが、先生、私は見切ったよ。
        この患者はもう我々の研究プログラムの邪魔だ。

ライオネルはトレーからしょう液の小瓶を取り出してアダムの顔の前に掲げます。
アダムの呼吸は恐怖で荒くなります。

アダム:助けてくれ。
     (ほとんど聞こえない声で)お願いだ。


ライオネルはきびすを返し部屋を出て行くと ターンも跡に続きました。

アダム:(椅子を揺らし)いやだ!
      (光は消えます)
     いやだ。いやだ!助けてくれ!

ライオネルはドアを閉じます。

アダム:(パニックになって動物的に)助けろ!!!

フェイドアウト
 

おしまい