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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.15Resurrection[復活]

第1幕プロローグ。
ジョナサンとマーサはスモールビル医療センターの診察室にいました。
日中。
ジョナサンは上半身裸でベッドの上に寝て、スキャンラン医師がエコーで心臓をスキャンしています。
モニタにはコンピュータ処理された心臓の画像が映っていました。

ジョナサン:(冗談を言います)これが終わったら記念にこのビデオを持って帰ってもいいかな?
医師:(終了し) ジョナサン、終わったからシャツを着てもかまいませんよ。
マーサ:先生、どうなんでしょうか?
スキャンラン:まあ、左心室の心筋にまだ問題がありますね。
ジョナサン:問題はないんじゃないか?
スキャンラン:血管の閉塞があるのでトリプルバイパスの手術をした方がいいでしょう。

廊下にいるクラークはスーパーヒヤリングを使い診察室の会話を聞いていました。

スキャンラン:入院期間は数日ですよ、退院する頃にはここに来たときよりもずっとよくなっています。約束しましょう。

ジョナサン:心臓の手術。それは少し大げさじゃないか?

スキャンラン:君とは昔からの親友だ、君が頑固な男なのも知ってる。
        正直言って今の状態だと、ジョナサン、いつ心臓発作が起きてもおかしくないんだ。
         (ジョナサンとマーサは驚いています)
        次に起きたら命の保障はできない。
ジョナサン:(よく考え)手術だって危険じゃないのか。
スキャンラン:僕を信頼してくれ。
        もしこの手術を受けなければ、爆弾を抱えているようなもんだ。

クラークは後ろの方でドンドンと叩く音に診察室の会話を聞くのを中断しました。
同級生のギャレット・デイビスがジュースの自販機を叩いていました。

ギャレット:ちくしょう!

ギャレットが自販機を叩き続けているのを見てクラークは立ち上がりました。

クラーク:ギャレット? ギャレット。

クラークが拳ので自販機の裏を叩くとジュース缶が出てきました。

ギャレット:サンキュー、クラーク。 (缶を取りだし)
      2カ月ぶりに会ったな。
クラーク:(ほほ笑んで)ああ。
ギャレット:お前の親父さん、もう治ったと思ってたけど。
クラーク:僕もそう思ってた、でも、また悪くなったみたいだ。

二人が待合室に戻って行くとギャレットがジュースの缶を開けます。

クラーク:お兄さんの具合はどうないんだ、ギャレット?
ギャレット:(間があり。 それから悲しげに)
       肝臓の移植を急がないといけないんだ。
       移植できなければ、生きられる時間は数えるほどしかない。
       俺がこんなところをうろついているのを知ったら、本を投げつけるどころか発作を起こしちまう。
        (ギャレットは微笑します)
       お前の親父さんも同じなのか?
クラーク:父さんは心臓の手術をする話をしてた。
ギャレット:親父さんの事話してみろよ、聞くだけ聞いてやるよ。

クラークが座るとギャレットがその脇に座りました.。

クラーク:ギャレット、僕は父さんはいつでも鉄の男だと思ってた。
      でもそれは間違っていた。
ギャレット:クラーク、親父さんはその手術をすべきだ、そして俺の兄貴も移植をする、
      来年の今頃は、お互いに会ってその時の事を思い出して笑ってるさ。
クラーク:(わずかな微笑で)そうだな。

ギャレットが微笑を返します。

突然緊急放送が流れてきました。

看護婦:コードブルー。 ルームナンバー247。
     コードブルー。 ルームナンバー247。

突然驚いたように ギャレットは背筋を伸ばし立ち上がると247号室へと向かいました。

ギャレット:神様。ヴィンスの部屋だ!

彼は廊下を駆け出します、そしてクラークが後に続きます。
ヴィンスの病室では、ヴィンスはベッドの上に上半身裸で横たわっていました。
モニタでの心臓の鼓動はフラット状態になり、イーガー医師は看護婦から除細動器を受け取ります。

看護婦:クリア!

イーガー医師がヴィンスの胸にパッドを押しあてると電気ショックがヴィンスの体を痙攣させます。

イーガー :どうだ! (結果を確認します)だめか?
      EPIをもう一回だ。早く!

別の看護婦は注射器を持ってヴィンスに射つ用意をしていました。

看護婦:(除細動器をセットします)チャージ!クリア!

もう一度ヴィンスの胸へ電気ショックを与えます。

看護婦:反応ありません!

ギャレットとクラークが病室に到着します。

ギャレット:ヴィンス?!

イーガー :(ギャレットを見て)
        おい、彼をここから出して!
        (ヴィンスに向かい)
        ここから!

ギャレット:(気が狂ったように) ヴィンス?
看護婦:(ヴィンスの方を向いて)反応がありません。

イーガー :だめか。急げ!輸液を全開で入れ続けろ!

クラークが病室からギャレットを連れ出そうとします。

ギャレット:いやだ!ダメだ、 ヴィンス! ヴィンス、お願いだ! ヴィンス!

イーガーはヴィンスに心臓マッサージを施します。

ギャレット:まだだ!お願いだ! (泣き) 死なないでくれ。

ヴィンスの心臓は鼓動を開始しません。
そしてイーガー医師はついに心臓マッサージの手を止めました。
彼は手袋をしたままの手をヴィンスの胸に置きます。

イーガー :(小さな声で)仕方がない。ここで終わりだ。
       (腕時計を見て)
       死亡確認、午後2時43分。

クラークは信じられないと頭を振るギャレットがイーガー医師にしがみつくのを見つめます。
看護婦達は手袋を外してフラットライナーの表示とツーという音を鳴らし続けるモニターのスイッチを切りました。
看護師の1人が死亡診断書に死亡時間を書き込むと
「Subject is ready for pickup.」表示されたPDAを持ちました。

イーガー:(ギャレットに)残念です。

看護師はメッセージの表示されているPDAのボタンをクリックします。
メッセージが送られると表示は消えました。

第1幕 場面 1
スモールビル医療センター。
日中。
カウンセラーがギャレットの肩に腕を回し病室の外へと出て行きます。
彼女は話をするために彼を座らせます。
マーサとクラークは少し離れた場所から見ていました。

マーサ:(クラークに) かわいそうな子ね。
      彼の家族はどこにいるの?
クラーク:彼にはお兄さんしかいないんだ。
      子供の頃、両親は自動車事故で亡くなったんだ。
マーサ:それじゃ、誰が彼の面倒をみているの?
クラーク:ドイツに叔父さんがいるんだ。
      こっちに来るまでに何日か掛かる。
      養子の事で何かを言っていた。
マーサ:そうなの。今晩はここにいない方がいいんじゃないかしら。
      (マーサは後のギャレットをちらっと見ます)
     しばらくの間なら家に来てもらったら。
クラーク:いいのかい?父さんの手術の事は?
      (マーサは少し驚いて。 クラークは申し訳なさそうに話をします)
     聞いてたんだ。
マーサ:お父さんはまだ手術するかどうか決めてないわ。
     後でスキャラン先生と話すわ。

マーサはクラークの肩を手でさすると立ち去りました。
クラークは反対方向のジョナサンの病室に行くと、ジョナサンはベッドに座ってパンフレットを読んでいました。
クラークがドアをノックして中に入ります。

ジョナサン:おう、クラーク。
       なあ、お前の友達のギャレットの事なんだが。
       彼の様子はどうなんだ?
クラーク:ショックを受けてるよ。
      父さんがいなくなってしまったら、僕だって同じ気持ちになるさ。
      手術の事、知ってるよ。
ジョナサン:(間があり。深く息を吸うとパンフレットを見下ろします)
        信じてるのか?この辺りじゃ私は人気者だ、すぐに退院できるさ。
クラーク:それじゃ手術をするんだね。
ジョナサン:そんな事をしなくても何か別の方法があるはずだ。

クラークは父親と顔を会わせるためベッドの周りを歩きます。

クラーク:違うだろ、医者の話を聞いたよ。
      そんな話じゃなかった。

ジョナサンは立ち上がります。

ジョナサン:盗み聞きをしていたのか。
クラーク:もし父さんがこれからも僕を守ろうとするのを止めるなら、もうこんな事はしないよ。
       (ジョナサンは返答しません。)。
      父さん、ギャレットを見ただろ、彼は落ち込んでる。
      僕だって父さんがいなくなったら同じなんだよ。
       (クラークはすがるような目でジョナサンを見据えます)
      お願いだから手術して欲しい。
ジョナサン:(心を動かされ)
        クラーク、母さんに言って手術承諾書を書くように言ってくれ。

クラークが嬉しそうにうなずきジョナサンを抱きしめます。

ジョナサン:さあ、行け。

クラークが出て行こうとします。

ジョナサン:それからクラーク?
       私の事は心配するな。どこにも行きはしないさ。どこにもな。

クラークはうなずいて病室を出て行きました。

第1幕 場面 2
スモールビル医療センター。
日中。
ヘリポートでヘリコプターがいつでも離陸できる状態で待機していました。
白衣を着た二人の男達がヘリコプターへと建物からストレッチャーを運んでいます。
ストレッチャーの上には真っ白な死体袋に包まれた遺体があります。
ヘリコプターにたどり着くとストレッチャーから遺体を降ろしてヘリコプターへ運び込みドアを閉じました。
男たちの作業は慣れた手つきでした。
男たちがヘリコプターから小走りに離れるとヘリコプターは飛び去っていきました。

第1幕 場面 3
ケント家。
夜。
ギャレットとクラークがリビングルームで立っています。
マーサが枕と毛布を持って入るとソファーの上にそれらを置きました。

ギャレット:ケントさん、こんなにしてもらって感謝します。
マーサ:いいえ、いいのよ、気にしないで。
     クラーク、私はお父さんの荷物を持って行くから。

マーサは部屋を出て行きました。
ギャレットがソファに向かってゆっくりと歩きます。

クラーク:ギャレット、一人で居たいんだったら…
ギャレット:いいよ。ここにいてくれ。
       皮肉だよな。
        (彼はソファに座ります)
       兄貴は死んでしまった。
       兄貴は毎日、命の危険にさらされていた、そして肝臓病で死んでしまった。

クラークがギャレットの真向かいの椅子に座ります。

ギャレット:もし移植さえできてたら、まだ…
       お前の親父さんは手術をするんだろ。
       話したくないか。
クラーク:いいんだ、ギャレット、話せば楽になる。
      君は病院で僕の話を聞いてくれた。
ギャレット:俺の一部が、ヴィンスが本当にいなくなっちまった。
       安易に考えていたんだ。
クラーク:ギャレット、もし誰か話す人がいるんなら、電話をしようか…
ギャレット:いや、誰もいないさ。
        (静かにクスクスと笑います)
       思い出すよ、兄貴は俺のことを「チビ助」って呼んでたんだ。
       その時は恨んだよ。
       でももう一度その言葉が聞けるんならなんでもする。

マーサが入ってきます。

マーサ:ギャレット?今、火葬場から電話があったの。
     どこにお兄さんの遺骨を送ったらいいかって問い合わせよ。

ギャレット:遺骨?何の事ですか?
       両親の墓の隣に埋葬されるはずですが。

マーサは言葉を失い、 ギャレットは困惑したクラークを見ます。

第1幕 場面 4
白衣を着た二人の男達が、白い死体袋をストレッチャーに積んで暗い廊下を走っています。
夜。
二人が研究室に入るとタン博士が待っていて、研究室の中にはケージが並び数匹の猿がキーキーとわめいていました。

タン:さあ、こっちに。

二人がストレッチャーからテーブルの上に死体袋を移動すると、タン博士は死体袋のチャックを開けました。

タン:注射器。

タン博士が言うと研究員の一人が注射器に手を伸ばしタン博士に手渡しました。
タン博士はヴィンスの胸に針を刺し注射します。
すると直ぐにヴィンスは息をしはじめ目を開けテーブルの上に身を起こすとタン博士は少し離れました。
ヴィンスは辺りを見回し、困惑と不安の表情を浮かべます。

タン:お帰りなさい、ヴィンス。

第1幕 場面 5
クラークとギャレットが死体安置所で医者と話をしています。
夜。

クラーク:先生、どうして火葬にされるんですか?
      そんな事は頼んでいないはずですが。
医者:私達がそうした訳じゃないんです。 メトロポリスでは一般的なのよ。
    彼は臓器提供のドナーとしてヘリコプターで搬送されたの。

彼女がファイルをギャレットに渡すと開きました。

ギャレット:ドナーになるなんて兄貴のヴィンス・デイビスなわけない。
医者:書類上ではそうなっているわ。
    この書類では全てにあなたのお兄さんのサインがされてるわ、火葬の事もね。
ギャレット:違う。
医者:ねえ、多分あなたは自分で思ってるよりもお兄さんの事を知らなかったんじゃない。
ギャレット:(突然キレて)どういう事だ?!
クラーク:ギャレット、落ち着いて。
ギャレット:(叫びながら)兄貴が切り刻まれて、灰にされたのにどうして冷静でいられるって言うんだ?
医者:あの、これは難しい事だけど…
ギャレット:(彼女に指差し)あんたは何にも分かっちゃいないんだ!

ギャレットは憤りながら部屋の壁際に行ってしまいました。

クラークは医者を見て。

クラーク:申し訳ありません。
       (クラークはギャレットに近づきます)
       ギャレット、本当に大変だと思うよ。
       多分ヴィンスが君に話してなかったんじゃないか。
ギャレット:兄貴は両親の死んだ日からずっと俺に何もかも話してくれてた。
       あの書類は偽造だ。

第1幕 場面 6
レックスの屋敷。
夜。
レックスは書斎でかなり激しく電話で話をしながら机に着いていました。
クロエが入ってきます。

レックス:じゃあ、おたくの大使館が最近追放した北韓国人を監視するからな。
      (電話を切ると クロエに)
     タン博士が雲隠れしてしまったようだ。
クロエ:ええ、まあ、私達が良く知っているような分子生物学者とは違う人のようね。
レックス:どんな情報を仕入れてきたんだ?
クロエ:12年前に彼女がこの国に入ってきたのは科学研究やアカデミックな名声ではなかったって事ね。
     結婚して来たのよ。
      彼女はルーサー・コープの警備員と結婚したの。

レックスは驚いているようには見えません。
彼は席から立つとバーに行って飲み物を注ぎました。

レックス:それじゃ親父が永住権を。
クロエ:そうよ。花婿が何かを知ってるんじゃないかって思って、彼を探し出したわ。
レックス:そんな幸運な男が何を?
クロエ:そういう事じゃなくて、本当に何を知ってるかよ。
     彼が話してくれたのはすごいわよ。
      彼は古いメトロ薬品会社の警備をしていたの。
レックス:7年前に閉鎖されたはずだが。
クロエ:ええ、それは私も思ったわ。
    でも彼を探して道に迷っているとき、確かに配送トラックが後ろに入って行ったのを見たのよ。
レックス:確かに親父はその資産を清算する事を頑なに否定していたな。
       全てのマーケット部が売るように言っているが、親父は地価が上がると言い張っていた。

クロエ:地価が上がるなんでそんなのデタラメだよ。
     ねえ、もしあなたが手を貸してくれれば、もう少し分かるんだけど。
レックス:クロエ、俺がここから支援しよう。
クロエ:(ほほ笑んで) レックス、私ってすごく有能で…
レックス:これは君の能力とは無関係だ。
      俺は君の身の安全のことが心配だ。
      (クロエの微笑は色あせます。)。
     親父の秘密を探ろうとした者は皆、危険だ。

クロエは深刻にうなずきます。

第1幕 場面 7
ギャレットとクラークがクラークの屋根裏に入ります。
夜。

ギャレット:悪かった、自分を見失ってた。俺って短気だな。
クラーク:気が動転していただけさ、ギャレット。
ギャレット:それはそうだけど、それだけじゃない。

二人は後ろのドアが開く音を聞き誰が入ってきたのかと振り向きました。

ギャレット:(ショックを受けます) ヴィンス?

ヴィンスは笑顔で屋根裏に入ってきました。

ヴィンス:僕だよ、チビ助。
ギャレット:(興奮して) ヴィンス?!
       信じられない!

ギャレットがヴィンスのところに走り二人はしっかり抱き合います。

クラーク:待ってくれ、どうしてだ。二人で君を見たんだ。
      死亡の宣言も聞いた。
ヴィンス:間違ったんじゃないか。
クラーク:じゃあ、どうして?
ヴィンス:僕が知っているのは、目を覚ましたら研究室にいたんだ、そしたら大きな注射器を持った女医さんが前に立っていたんだ。
      (ギャレットに) さあ、チビ助。僕達はここから出ていかないと。
クラーク:待ってくれ、君を医者に連れて行くべきだ。
ヴィンス:医者も研究室も必要ない。
      ギャレットと僕は隠れないといけないんだ。
クラーク:どうして? 誰かが探してるのか?
ヴィンス:分からない、でも…
クラーク:研究室がどこにあったのか教えてくれないか?
ヴィンス:(記憶があいまいそうに)
      えーと、メトロポリスのどこかだと思う。

ヴィンスは 何かが目に入ったかのように激しくまばたきしました。

クラーク:大丈夫か?
ヴィンス:ギャレット、行こうぜ。
ギャレット:ヴィンス?

ヴィンスの目から血がしたたり始めます。

ギャレット:兄貴、目から血が出ているぞ。

ヴィンスは顔の血を拭いその指を見ます。
それから彼は喘いで腹を押さえうずくまると、床に倒れこみ痙攣を起こしました。

ギャレット:ヴィンス?
       (痙攣が一段と激しくなったヴィンスの脇にひざまずきます)
       ヴィンス?!一体どうしたんだ?!
ヴィンス:うわーっ!
ギャレット:ヴィンス!ダメだ!

ヴィンスの顔色が少し黄色くなり始めます。

ギャレット:クラーク!手を貸してくれ!

ヴィンスは意識を失います。

フェイドアウト

第2幕 場面 1
2人の救急隊員が病室へとヴィンスをストレッチャーの上に乗せて引っ張って行きます。
日中。

ギャレットはストレッチャーの脇に付き添い、その後ろにイーガー医師とクラークが続きます。

イーガー :(当惑しながらクラークに)
       そ、そんな、こんな事はありえない。
        この人は昨日死んでいたんだ。
クラーク:彼はメトロポリスの研究室で蘇ったと言ってました。
イーガー:まあ、その人たちがどういう処置をしたとしても、それは短期間の事だ。
      これ以上長くは持たない可能性が高い。
       彼の肝臓は急速に悪化しているんだ。

彼らは病室に到着します。
ヴィンスが中に入れられるとギャレット、クラークとイーガー医師は廊下で待ちました。

ギャレット:イーガー先生、研究所に連絡して、何をしたのか聞いてください。
イーガー:どこの研究所の事なのか分からないんだ。
ギャレット:(冷静を失い) 俺に隠し事はしないでくれ。
       また兄貴が死ぬのをこのまま待つことはできない。
イーガー:私は今までに一度も死んだ患者を蘇らせた事なんかないんだ。
      君と同じくらい混乱してるんだ。
      だが、約束しよう、君のお兄さんにはできる限りの事はする。

イーガー医師はギャレットとクラークを見ると、救急隊員のいる病室に入りました。

救急隊員:よし、いくぞ。

彼らはストレッチャーからベッドへとヴィンスを移します。
クラークとギャレットが窓越にてヴィンスを見ます。

ギャレット:ここに連れて来たのは正解だったとは思えない。
クラーク:ここ以外にどこへ連れて行くんだ、ギャレット。
      少なくてもここなら何とかしてくれるはずだ。
ギャレット:2度も兄貴を失うことはできない、クラーク。

クラークが同情的にうなずきます。
イーガー医師が聴診器でヴィンスの鼓動を聴いてくいるのを二人は窓越に見守ります。

第2幕 場面 2
ジョナサンの病室では 看護師がジョナサンの血圧を測っていました。
日中。
ジョナサンは手術の前にベッドで横になっています。
マーサは部屋の窓の傍に立っていました。
クラークが入ってきます。

クラーク:(マーサに)父さんはどう?

ジョナサン:(皮肉ぽく)まるで感謝祭の夕食の準備のようだ、七面鳥の気分だよ。
クラーク:自慢できる傷跡ができるさ。

ジョナサンは微笑します。

マーサ:クラーク、ギャレットのお兄さんに何があったの?
クラーク:悪化するのが早いんだ、医者もどうしていいか分からない。
      でも彼はメトロポリスでの研究所の事を言っていた。
       もしそれを見つけることができたら、どうやって彼を治したか分かるかも。
ジョナサン:友達の力になってやれ、クラーク。
クラーク:いや、父さん、父さんを放って行けないよ。
ジョナサン:クラーク、ここの医者は非常に優秀だ、それに…正直に言って、お前はじっと座って待ってることなんか出来ないだろ?
マーサ:ギャレットとヴィンスはあなたを必要としてるわ、クラーク。
クラーク:(気が進みません)うん、でも…
ジョナサン:もしお前が友達の命を救う事ができる可能性があるなら、それはお前がしなければならないんだ。

クラークが物凄く真剣で感傷的になります。

クラーク:父さん、成功を祈るよ…
ジョナサン:(頷き)分かってるさ、クラーク。

ジョナサンが手を差し出すとクラークが手を握ります。

ジョナサン:そして私はお前を愛している。
        (クラークは気乗りせずに微笑します。)
       さあ、行くんだ。友達を助けに。

クラークはうなずいて病室を出て行きました。
マーサはジョナサンの手を握ってベッドの縁に座ります。

医療センターを出て行くクラーク。
駐車場でピクニックバスケットを持ったラナがクラークの方に近づいてきていました。

ラナ:クラーク。
   あなたとお母さんに少しでも力になれればって思って。
    (バスケットを見せて)少しでも食べておかないと。
クラーク:ありがとう、ラナ。
      母さんは今日1日何も食べてないんだ。
      喜んでくれると思うよ。
      あのさ、僕はすぐに戻るから。

クラークが立ち去り始めます。

ラナ:大丈夫なの?
クラーク:(間があり)ギャレット・デイビスって知ってる?
ラナ:もちろんよ。彼もヴィンスもタロンに来てくれてたわ。
クラーク:ああ、ヴィンスは肝臓病になっていたんだ、移植が必要だったんだ。
ラナ:過去形で言うって事は移植できなかったって事?
クラーク:違うんだ、彼は昨日死んだんだよ。
       それなのに昨日の夜、僕の屋根裏部屋に現われたんだ。
ラナ:(驚いて)生き返ったの?
クラーク:彼の目から血が出るまでは元気に振舞っていた。
ラナ:(恐れて)私、前に見たわ。
   アダムよ、彼は5カ月前に肝臓病で死んだっていう死亡記事を見つけたの。
クラーク:誰かに話した?
      (ラナは頭を振ります。)。
      どうして?
ラナ:アダムが、もし誰かに話したら、その人に危険が及ぶって言ったから。
クラーク:(急いで) 今アダムはどこに?
ラナ:分からないわ。姿を消してしまったから。
    この一週間会ってないの。
クラーク:聞いて、ヴィンスは注射を打たれたと言っていた。
      アダムは何かしていたかい?
ラナ:ええ。最初は麻薬をやってるんじゃないかって思ったの、でも生きるために必要だったんだわ。

クラークは不安そうな顔をしていました。

第2幕 場面 3
ギャレットがヴィンスの病室内をゆっくりと歩いています。
日中。
ヴィンスは衰弱しきっていて、ベッドで横になっています。
彼の顔と胸には傷ができ始め、皮膚は黄疸が強くでていました。
彼の目が開きます。

ヴィンス:やあ、チビ助。
ギャレット:ヴィンス。

ギャレットはヴィンスのベッドの縁に座ります。
ヴィンスが手を伸ばすとギャレットが手を握ります。

ギャレット:ヴィンス。悪かったよ。
ヴィンス:何の事だ?俺は病気なんだ、お前のせいじゃないさ。
ギャレット:でも俺がいなかったら、もっと良い人生を送れたんじゃないか…
        俺の事を心配せずに、結婚して子供を育てて。

ヴィンスは頭を振ります。

ヴィンス:ギャレット、たとえそうであったとしても変わらないさ。お前がチビ助じゃなくてもな。

二人は微笑します。
ヴィンスの呼吸が苦しくなり始め目を閉じると、イーガー医師が入ってきました。

イーガー :ギャレット?

イーガー医師が呼ぶとギャレットは立ち上がり、イーガー医師に促され廊下へと出て行きました。

イーガー:今の時点では容体を落ち着かせる事ぐらいしか手を打つ方法がないんだ。
      お別れをするなら今のうちかもしれない。
ギャレット:(頑なに)そんな事はない。
イーガー:そんな簡単な事じゃないんだ。
ギャレット:兄貴を死なせるもんか。分かったか?兄貴は死なせない!

ギャレットは向きを変えイーガー医師から離れてます。
彼はマーサとジョナサンが一緒にいる病室の前を通りかかりました。
マーサはジョナサンの顔に自分の顔が付くくらい寄り添っていました。

マーサ:もうじきね。
ジョナサン:マーサ、お前と南の方に行く事ができたのにな。
マーサ:(小さな声で)それは言わないで。
ジョナサン:なあ、お前とクラークならやっていけると私はそう信じてるよ、だが約束を忘れてはいけない。
       (マーサはうなずきます)
       あの子が決心したら、行かせてやるんだ。
マーサ:(確信的に)その日が来ても、あなたは私の隣にいるわ。

ジョナサンが頷くとマーサはキスをします。
スキャンラン医師がドアをノックするとキスは止めます。

スキャンラン:準備はできたよ。

マーサとジョナサンは再び目を合わせると
ジョナサンは元気づけるように微笑してうなずき、マーサは彼の顔に手で触れました。

第2幕 場面 4
クロエとクラークがトーチオフィスに入ります。
日中。

クロエ:クラーク、いいの?お父さんと一緒にいたいんなら一緒についていってあげようか?
クラーク:大丈夫だよ。父さんは僕がここにいるのを知ってるから。
      それにあそこにいても僕には何もできないし。

クロエがクラークの肩に手をかけます。

クロエ:大丈夫よ、何も問題はないわ。

クラークがうなずくと二人でクロエのコンピュータの前に座ります。

クラーク:何者がヴィンスを蘇らせたのか探し出さないと。
クロエ:(モニターを見ながら)あら、メトロポリス・ジェネラルからEメールが届いてるわ。
     (彼女は Eメールを読みます)
      昨日届いたのは臓器提供者の女性一人だって。
クラーク:それじゃヘリコプターはギャレットのお兄さんを別の場所に運んだんだな。
クロエ:まるで飛行機乗りみたいな言い方ね。

クラークは席を立つとオフィスを出て行きました。

第2幕 場面 5
クラークがスモールビル医療センターのヘリコプター発着場に立っています。
日中。
パイロット、ベン・パゥウェルはプロペラの調整をするのにヘリコプターの上に立っています。

クラーク:ベン・パゥウェルさんですか?
ベン:(ヘリコプターから降ります)君は?
クラーク:昨日は遺体をどこに運んだんですか?
ベン:おい、お前さんがどんなゲームをしているのか分からないが、俺は緊急医療のパイロットだ。
クラーク:ここから遺体をメトロポリス・ジェネラルに届けるはずなのに、その遺体が届いていない。
     僕は弁護士じゃないけど、メディカル・ヘリコプターを扱うあなたの事を告発してもいいと思っています。

ベンは返答しません。
彼はクラークの指摘に反論する事ができません。

ベン:何が知りたいんだ?
クラーク:ヴィンセント・デイビスを連れて行った場所に連れて行ってください。

ヘリコプターは閉鎖されているメトロポリスのメトロ薬品会社に向かって飛んでいました。
クラークとベンはヘリコプターに乗っています。

クラーク:ここは一体?
ベン:奴らは俺に金をくれるんだ。質問はしないでな。

ヘリコプターはビルの屋上に着陸します。
クラークがヘッドセットを外して外に出た途端ヘリコプターは離陸しました。
辺りを見回すと通気パイプが屋上に突き出ているのを見つけます。
その場所へと走りパイプを伝わって聞こえる建物内の音をスーパーヒヤリングで聞きます。
その会話はレックスとタン博士の会話でした。

研究室で

タン:そこにいるのは誰?
レックス:俺はもう二度とあなたに会わないと思っていました。
タン:あなたはここで何をしているの?
レックス:ここがあなたが追放された場所か。
     入国管理官の心を動かすために使った方法が目に浮かぶな。
タン:(怒りながらレックスに向かって歩きます)
   どうやって昔の事を?
レックス:あなたも十分ご存知のように、この建物はルーサー・コープの所有物だ。
      俺の名前でなんとでもなる。

レックスはテーブルに向かって歩きながら透明な液体の入ったビンを見て手に取ります。

レックス:これには見覚えがある。
      アダム・ナイトのアパートで見つけたビンと同じものだ。

クラークはまだ屋上で会話を聞いていました。
タン博士はレックスからビンを取り上げ元の位置に戻します。

タン:これは非常にデリケートな物質なのよ。
   ここから出て行かないなら、あなたのお父様に連絡するわ。
レックス:(皮肉ぽく)親父の代わりに俺じゃだめか?
      資金提供はすると言ったじゃないか、先生。
      振り向いてはもらえなかったがな。
      なあ、その血小板カクテルの起点を話してもらいたい、
      それとも I.N.S.に言ってピョンヤンへの飛行機の空席を調べてもいいんだ。
      アメリカ国内において不穏な研究をしている北朝鮮人がいると言えばいいんだからな。

タン博士はおそるおそるレックスを見ます。

クラークが向きを変えて建物の入口を見ます。

ラボで、レックスとタン博士の脇のテーブルの上に書類が飛び散るほどのつむじ風が起きました。
タン博士とレックスは散乱した書類を見て、そしてビンがなくなっているのを知りました。

タン:どこにやったの?一体何をしたのよ?

レックスも彼女と同じぐらい驚いた顔でタン博士を見ます。

フェイドアウト

第3幕 場面 1
スモールビル医療センター。
夜。
手術室、スキャンラン医師と数人の看護婦が手術着を着てマスクをしています。
ジョナサンは麻酔を掛けられ手術台の上に横たわっています。
ジョナサンの胸には小さな長方形の穴が開いたシーツがかぶせてありました。

看護婦:準備はよろしいでしょうか?
スキャンラン:ああ。準備オッケーだ。開始しよう。
        点滴に2mg塩化カリウムを投与してくれ。
看護婦:はい、先生。
スキャンラン:バイタルは?
看護婦:パルスは80で安定。
看護婦 # 2:BP120の70。
看護婦 # 3:EKG正常。
スキャンラン:血中酸素量は?
看護婦:98%で正常値です。

スキャンラン医師がジョナサンの胸部切開を始めます。

スキャンラン:大丈夫だ、ジョナサン、僕らが無事にここから連れていく。

マーサは待合室でコーヒーを飲んでいます。
ラナは彼女の側に立っています。

マーサ:(緊張して)今私達にできることは待つことだけね。
ラナ:(マーサの手に手を重ねます)ケントさんは強い人です。
    今一人で戦っているんです。

マーサはうなずきます。
ピートがきました。

マーサ:(彼を見て嬉しそうに) ピート。
ピート:来るつもりじゃなかったんですけど、でも俺、いてもたってもいられなくて。
マーサ:(ピートを抱きしめ)いいえ、来てくれて嬉しいわ。
ピート:クラークはどこです?
マーサ:すぐに戻ってくるわ。
ピート:そうですか。

ギャレットが必死の形相で廊下に叫びだしました。

ギャレット:イーガー先生!

ピートが振り向くと ギャレットはジャケットの前をしっかり合わせて廊下を歩いていました。

ギャレット:イーガー先生はどこですか?!イーガー先生と話がしたいんです!

イーガー医師が廊下に出てきます。

イーガー :一体どうしたんだね?
ギャレット:兄貴は肝臓が必要なんだ。

ギャレットがジャケットをはだけると胸に爆弾を結びつけているのが見えました。
待合室の全員が息をのみます。
ギャレットの手には起爆スイッチが握られています。
爆弾の角はグリーンに輝いていました。

ギャレット:だからあんたに兄貴のために一つ手に入れて欲しいんだ。
マーサ:(ゆっくりとギャレットに近づきます)ギャレット、それでは何も解決しないわ。
ギャレット:少しでも近づくな。
       (マーサは止まります。 ギャレットはイーガーに背を向けます)
       もしこの建物や周りの皆を傷つけたくなければ、兄貴の移植をするんだ。

ラナ、ピートとマーサは恐れた目でギャレットを見つめます。

医療センターの外では、警察ヘリが地上にスポットライトを当てながら旋回し、数台のパトカーが建物の近くに停まっていました。
エリア全体は警察のテープで封鎖されています。
クラークはテープの外の群衆のなかから誰かを捜していました。
アダムス保安官を見つけるとテープの中に入り彼女へと近づきました。

クラーク:保安官!
警官:おい、待つんだ!
アダムス:なに、今はダメよ、ケント君。
      見て分からない?今は忙しいの。
クラーク:両親があそこにいるんです。
      父さんが手術のはずです。お願いです。
      何があったんですか?
アダムス:(警官に)行っていいわ。

警官が持ち場に戻るとアダムス保安官はクラークの側にきました。

アダムス:今、兄の移植をしないならこの建物ごと吹き飛ばそうとしている子がいるのよ。
クラーク:ギャレット・デイビスですか?
アダムス:あなたは彼を知っているの?
クラーク:彼のお兄さんは移植は必要ありません。
      治すことができる薬を持ってきています。

クラークはポケットから液体の入った小瓶を取り出しアダムス保安官示します。

アダムス:どこでそんな特効薬を手に入れたの?
クラーク:今はそんな事言ってる場合じゃありません。
      お願いです、僕がこの薬を持っていると言ってくれれば誰も傷つかずにすむんです。
       (アダムスは躊躇っています)
       保安官、僕は彼の事を知っています。
      ただ自暴自棄になってるだけなんです。
アダムス:危険な元気と自暴自棄は一緒なのが私の持論よ。

保安官アダムスは行き始めます。

クラーク:保安官、お願いします。
      電話をさせてください。
      僕とは話をするかもしれません。

医療センターの中では、ギャレットが待合室に人質全員を連れてきていました。
彼らは皆一緒に静かして一塊に恐がって座っていました。
ラナは中年女性の脇に腰を下ろし慰めていました。
ピートとマーサは小さな声で話をしながら隣同士で座っています。

ピート:問題ですね。
     クラークはここでは俺たちを助け出せませんよ。
    爆弾に隕石がついてる。解体用の爆弾に使われてるんだ。
    あれのおかげであいつの両親は事業に成功したんですよ。

ギャレットはリモコンを手に兄の病室の外を行ったり来たりしています。
ヴィンスはベッドの上で昏睡状態で、イーガー医師はその前に立っていました。
マーサは立ち上がるとギャレットに近づきます。

ギャレット:ケントさん、あなたは優しい人だ。あなたを傷つけたくはありません。
マーサ:こんな事しないで、ギャレット。
     お兄さんもそんな事望んでいないわ。
ギャレット:兄貴が欲しい物は分かってます。
       移植と俺が高校を卒業するのを見る事、そして、たとえ俺が逮捕されても卒業証書を手に入れますよ。

近くのナースステーションの電話が鳴りだします。
ギャレットは机の方に行って電話に出ました。

ギャレット:もしもし?

クラークが外から携帯電話でギャレットに話をします。
アダムス保安官はヘッドセットで会話を聞いています。

クラーク:ギャレット、クラークだ。
     聞いてくれ、ヴィンスが連れて行かれた研究所を見つけた、そこで彼に与えた薬を手に入れたんだ。
     今ここに持ってる。
ギャレット:お前を信用しても大丈夫なのか?
クラーク:君を助けたいだけだ、何もしない。
ギャレット:分かった。お前だけ入ってきてくれ。
アダムス:ダメよ。それは許さないわ。
      代理の警官に持って行かせます。
ギャレット:クラークだけだ、他はダメだ!
クラーク:(素早く考え、アダムスを見ます)人質を解放するんだ。

ギャレットは人質をちらっと見てためらいます。

クラーク:僕をそこに入れさせるためにはそれしかない。

アダムスはクラークの戦略を認識してうなずきます。

ギャレットが電話を下に置いて人質でいっぱいの待合室を見ます。

一方手術室では、ジョナサンの心臓手術はまだ進行しています。

医療センターの正面ドアから 人質が走って出てきました。
マーサ、ピート、ラナも出て来ます。
ラナとピートが建物から走って離れてると、マーサはクラークのところに行きます。

マーサ:クラーク!
クラーク:母さん、無事だったね?
マーサ:私は平気よ。
    まだお父さんが手術室にいるわ。
     クラーク、ギャレットにはなんて。
クラーク:ただこの薬をヴィンスに渡すだけだ、それから爆弾の処理をする。
マーサ:クラークは、それはできないかもしれないわ。
     クリプトナイトでできてるのよ。気をつけて。

クラークが医療センターの中に走ります。
アダムス 保安官は狙撃隊にライフル銃を用意させるために行きます。
アダムス:(小さな声で)ここからではあまりに危険すぎるわ。
      狙撃ポイントを見つけて。
      一発で決めて、彼を引き戻すのよ。

射撃者はうなずきます。

医療センターの中、クラークが誰もいない廊下を歩きます。

クラーク:ギャレット!

ギャレットは廊下に出てくるとクラークと顔をあわせます。

ギャレット:どこにあるんだ?
クラーク:(小瓶を上げます)ここにある。

ギャレットがゆっくりとクラークに向かって歩き始めると、クラークはクリプトナイトの爆弾に息を詰まらせます。
クラークは床の上に小瓶を置いてギャレットから後ずさりします。

ギャレット:どうしたんだ?
クラーク:ギャレット、爆弾が胸に結ばれてるんだ。距離を置いたほうが安全だろ。

ギャレットは小瓶を拾い上げ顔の前へと持っていきます。
小瓶が胸のクリプトナイトの爆弾の近くに来ると透明な液体は赤になって沸騰し始めます。
クラークがショックを受けています。

ギャレット:これはどういう事だ?
クラーク:分からないよ。

ギャレット:先生? (イーガー医師がヴィンスの病室から出てきます)
      兄貴の胸にこれを注射してくれ。

ギャレットがイーガーに小瓶を差し出すとクリプトナイトからもっと離れた位置で泡立つのをやめて透明になりました。

イーガー:これは何だ?
ギャレット:ただ注射をすればいいんだ!
クラーク:お願いです、やってください。

イーガー医師はギャレットから小瓶を受け取るとヴィンスの病室に戻ります。
ギャレットが後ろのクラークを見るとクラークは安心させるようにうなずきました。
ギャレットがイーガーが大きな注射器に小瓶の液を入れている最中にヴィンスの病室に入てきました。
イーガーはギャレットを見てためらいます。

ギャレット:どうした?早くやれよ!

クラークはドアのところに立ち、イーガー医師がヴィンスの胸に注射をするのを見守ります。

ギャレット:クラーク、これはどれぐらいで効くんだ?
クラーク:よく分からない。

イーガー医師はヴィンスのクビに手をあて脈を診ます。

イーガー:バイタルの変化はないぞ?
ギャレット:効いてないのか?ウソをついたのかクラーク。
クラーク:いや、ウソじゃない。
ギャレット:いや、ウソだ。兄貴の肝臓を手に入れるぞ。
イーガー :誰も残ってないぞ、ギャレット。
ギャレット:そうだ、あんたがやるんだ。手術室に寝ている男がいる。
クラーク:父さんだ!
ギャレット:もう他に道はない!
クラーク:だめだ、父さんに手を出すな!

腹を立ててクラークは病室に入り始めます。
ギャレットはリモコンを上げ脅迫します。

ギャレット:クラーク!

クラークはクリプトナイトの影響によって後ずさりしました。

ギャレット:お前にはまだお袋さんがいるだろ。
      ヴィンスが死んだら、俺にはもう誰もいないんだ。
イーガー:適合する可能性は非常に低いぞ。
ギャレット:やれよ。(イーガー医師は動きません)直ぐだ!

イーガー医師は病室を出ようと出入口に向かいクラークの脇で止まりました。

クラーク:(小さな声で)先生、やらないでください。
イーガー:分かっている、分かっているさ。だがここにはまだ20人も入院している患者がいる。
     どうしていいか分からない。

外では、医療センターの真向かいの建物の屋上から狙撃者が医療センターのガラス窓に向けてライフル銃を構えていました。
彼はスコープ越しにクラークがヴィンスの病室の外の廊下に立っているのを見ます。

中では、イーガー医師は病室を出て廊下を歩きます。
ギャレットはイーガー医師の後を追って廊下に出ると、一瞬悲しげにクラークを見て、イーガー医師の後を追いました。
クラークはその後を追います。

射撃手はスコープを覗き窓越しに見えるイーガー医師、クラーク、そして窓際の照準に捕らえきれない場所にギャレットを見つけます。

クラーク:こんな事したいと思ってないはずだ、ギャレット。

ギャレットは歩くのを止めクラークの方に向きます。

ギャレット:すまない、クラーク。

ギャレットが窓の方に向きを変えたため射撃手はギャレットに照準を合わせ引き金を引きました。
弾丸は窓ガラスを粉々にしてギャレットの胸に当たりました。
ギャレットは撃たれた衝撃でバランスを崩し壁の棚に手が当り空のガラス瓶を落としました。
ギャレットはガラス瓶と共に崩れ落ちると
手に持っていたリモコンのスイッチが押されてしまったのをクラークが見てしまいました。
クラークはスーパースピードで背後のレントゲン室に入ると鉛入りのエプロンを掴み元の場所に戻ります。
ギャレットの胸の爆弾を剥ぎ取るとエプロンで覆って医療センターから出て行きました。
センターの外に出てマンホールの中に爆弾を落とすと爆発を起こし大量の緑色の煙を吹き上げました。
ほんの一瞬の出来事で、医療センターの中ではギャレットがようやく床に倒れガラス瓶が彼の周りに落ちていきました。
爆発はジョナサンを手術している手術室をわずかに揺らしました。
クラークが安全な距離で爆発を確認しまていました。

スキャンラン:(冷静に) 皆、大丈夫か?落ちついているな?続行するぞ。

彼らは手術を再開しました。

フェイドアウト。

第4幕 場面 1
メトロ薬品会社。
日中。
内部では、レックスとタン博士は研究室の廊下に出てきました。
二人は話をしながら廊下を歩いています。

タン:あなたの父親は彼の薬物投与を中止するように言ったわ。
   計画でアダム・ナイトの役目は終わったと、でも私はそんな事したくなかった。
   野蛮よ。死んでしまうのに。

レックス:それが親父から彼を隠した理由か。
      どうしてそいつに薬を打ってやらなかったんだ?
タン:血小板は物凄く貴重なのよ、量がなくて。
レックス:この血小板の出所をまだ教えてもらっていないな。
タン:知らないわ。ウソなんかついてなわよ。
   あなたは私をあなたの父親から縁を切れる唯一の人だもの。
   でもこの血小板は壊死した組織をも蘇らせる素晴らしい能力を持っているのは知ってるわ。

二人が廊下の端に着くと、独房のような小さな窓と大きな鍵のついた鉄の扉がありました。

レックス:どうして肝臓病の患者だけなんだ?
タン:肝臓の細胞が体の中でも最も回復力のある細胞なの。

タン博士はドアの錠を開けます。

タン:(格子に近づき)落ちついて、アダム。私よ、タンよ。

彼女はもう1つの鉄格子のドアを開けます。
レックスは鉄格子に近づいて中を見て驚きました。

レックス:一体どうしたっていうんだ?
タン:悪化してるのよ。
   あなたの父親に血清の開発を中止するように言ったけど、聞かないでしょうね。

アダムは震え息も絶え絶えで隅の床の上にうずくまっていました。

彼のシャツはめくれあがり体中の傷を露出していました、そして皮膚の色は青ざめた黄色でした。

第4幕 場面 2
タロン。
夜。
ラナはアダムの部屋の窓を掃除していました。
彼女は後ろに立っているレックスに気が付かず、彼の声に飛びあがります。

レックス:それ以上はきれいにならないと思うが。
ラナ:どうしてタロンから荷物を持って行ったの?
レックス:まあ、元借家人の居場所の手がかりになるかもしれないと思ってね。

部屋の中はほとんど何もありません。
ラナはカウンターに行くとスプレーをかけて磨きだします。

ラナ:どうして?出て行ったのに。何が知りたかったの?
レックス:君は彼がどこにいるか知りたいんだろ?
ラナ:そんな事ない。彼がここに住んでいた事を忘れたいの。
レックス:そうだな、そう見える。
      ラナ、他に何か話し忘れていない事はないか?
ラナ:(磨くのをやめてレックスを見ます)ないわ。なにもね。
   (レックスはうなずきます)
   ここにあるものを全部物置に移そうと思ってるの。

ラナは額の汗を拭いブックシェルフに行くとアダムの本を段ボール箱に入れ始めます。
レックスはラナに近づき彼女の顔に付いたホコリを優しく拭います。

レックス:(同情的に)なあ、何かを思い出したら、アダムの事で話す気になったらいつでもいい。

ラナが頷くとレックスは踵を返します。

ラナ:レックス。 (彼は振り向きます)
   どうして、まだ彼に関心があるの?
レックス:君が俺のところに彼を追い出す相談に来たんじゃないか。
      俺は徹底してその事をしているだけさ。

レックスは出て行きましたがラナはブックシェルフの前で考え込んでいました。

第4幕 場面 3
クラークとマーサはスモールビル医療センターの正面玄関から出てきました。
日中。
ジョナサンが看護婦に車椅子を押されて二人の傍にやってきました。
クラークはスーツケースを運びマーサは花のバスケットを持っていました。

ジョナサン:ああ、ここまでいいです、ありがとう。
       ここからは歩けるよ。

ジョナサンは立ち上がります。

マーサ:そおっとよ、ジョナサン。

医者はゆっくりと立つように言いました。

ジョナサン:(立ち上がります)ゆっくりでもよければ立ってられるさ。

マーサ:(看護婦に)みなさん、大変お世話になりました。
     ありがとうございます。

クラークとマーサとジョナサンがトラックにゆっくりと行くと、看護婦は車椅子を押して中に戻ります。
ジョナサンは腕をクラークの肩に回します。

ジョナサン:なあ、クラーク、もう大丈夫だ。
       医者はこれ以上悪くなる事はないといっていた。

クラークは返事をせずにトラックにジョナサンより先に歩きます。

ジョナサン:おい、クラーク?一体どうした?

クラーク:ヴィンスのために薬を取りに行ったとき、レックスがいたんだ。
      科学者の1人と話をしていた。
      話では、ライオネル・ルーサーが裏で糸をひいているようだった。
ジョナサン:(マーサを見て)おい、それがどうして私が驚くんだ?
クラーク:父さん、その血清がクリプトナイトの爆弾に近づいたとき僕の血と同じように反応したんだ。
マーサ:それじゃその血清って…
クラーク:そうだよ、バカ話さ、
     でもライオネル・ルーサーが僕の血を使って死んだ人間を蘇らせる方法を発見したんだ。

マーサとジョナサンは顔を見合わせ驚きます。

クラーク:もし僕の血で命を助ける事ができるなら、僕はかまわない。
     僕の血で父さんの心臓を治せるなら。
ジョナサン:クラーク、私も母さんもお前がこの世界で人々を救おうとしている事は分かっている。
クラーク:僕が今一番救いたいのは父さんなんだ。
ジョナサン:(ほほ笑んで)そうさ、お前がいてくれるだけで私の命は救われるんだ。

ジョナサンは腕をマーサに回し、そしてマーサはクラークにほほ笑みます。

ジョナサン:それに私達はお前はかけがえのない息子だ。

クラークは励まされ少し微笑します。

第4幕 場面 4
タロン。
日中。
クラークが店に入ると、ラナはお客にコーヒーを出していました。

クラーク:やあ。
ラナ:ハイ、お父さんの具合はどう?
クラーク:父さんがバイパス手術したなんて思えないさ。
     母さんは医者にコンバット用ヘルメットを贈ったんだ、本当にさ。
ラナ:(笑い)
   あなたのお父さんだけあの状況で生還したんだものね。

ラナはトレーを置くためにバーに歩きます、そしてクラークは彼女の後に続きます。

クラーク:ギャレットの叔父さんと話をしたよ。
      何が起きたのか知りたがっていたから。
ラナ:何て言ったの?
クラーク:その、ヴィンスの事は説明できなかったけど、ギャレットは良い人だったって。
      彼は自暴自棄だったんだ。
      お兄さんを救うために自分ができる事をしたかったんだ。
ラナ:私もアダムの事を早く言うべきだったわ。
   後悔してる。
クラーク:君のせいじゃないよ。
ラナ:でも、言うなって脅されて。

クラーク:皆を危険な目に合わせたくなかったからだよ。
     秘密を守らなければいけなかった事は分かるよ。
ラナ:それを皆に隠すのは本当に辛かったわ。
   あなたに話していれば。

クラークは愛情を込めてラナを見ます。

クラーク:ラナ、僕らが別れたとしても、僕は君の友達だよ、何でも話して欲しい。
ラナ:あなたはそれでいいの?

クラークは帰ろうと背を向けました。

ラナ:クラーク。
   (クラークが止まります)
   その血清って何だったの?
クラーク:分からないよ。

クラークの答えに満足していないかのようにラナは奇妙にクラークを見ます。
クラークが出て行ってもラナは考え込みながら遠い目をしていました。

フェイドアウト。

おしまい。