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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.16Crisis[危機]

第1幕プロローグ。
ピートとクラークはスモールビル青少年センターの正面ドアに行きます。
夜。

ピート:こんな遅くまでラナが店から出られないなんて思わなかったぜ。
    最初からクラークを誘えばよかった。
クラーク:(クスクス笑い)
       まあ、歴史の試験で大変なんだよ。
ピート:来てくれて、よかったよ。
    俺ならタロンで飲み放題でも一夜漬けなんかできないぜ。
クラーク:確かに。

ピートは笑いながら二人で建物に入ると
テーブルがいくつも並び席に着いている若者が沢山いました。
皆、勉強しているか電話に応えているテーブルの間を縫ってピートとクラークは自分たちのテーブルに着きました。

クラーク:ピート、君が自発的にここに来ていたのはいいことだと思うよ。
ピート:まあね、俺も今まで何か困ったことが起きた時はここの世話になってたからな。
    いわば、恩返しだよ。

ピートの後ろのテーブルで電話で話をしている若い女の子が受話器の送話口を押さえて微笑します。

少女:(色っぽく)ハイ、ピート。

ピートは笑顔で応えます。

クラーク:(皮肉ぽく)それに男を磨くためにだろ。

ピートは満面の笑みになります。
テーブルの電話が鳴ると彼はそれに答えるために座ります。

ピート:見てて覚えてくれよ。
     (電話に答えます。)。
    十代のためのホットラインです。
    そう、それで。
     (間があり)
    じゃあ、別居していたのはどれぐらい?
    ええ、分かりますよ。少し難しいね。
    じゃあ、その事を話してみたら?

ピートの隣りの電話が鳴るとクラークにそれに答えるように合図します。
クラークはピートの隣に座ります。

ピート:(まだ電話で)ええ。

クラークが電話にでると電話の向こう側からやけに騒がしい音が聞こえてきました。

クラーク:十代のためのホットラインです。
ラナの声:(叫び声で) クラーク!
クラーク:(驚き)ラナ?

ラナは携帯電話で話をしながら倉庫の中を走っていました。
彼女の周りにはチェーンのフェンスがあります。

ラナ:(怖がり、息を切らし) クラーク、助けて!そこにいるんでしょ?
クラーク:(まだ困惑して) ラナ?
ラナ:銃を持ってるわ!

ラナはラジオの鳴る机を走り過ぎます。
アナウンサーがバスケットボールの試合を中継していました。
ラナが机のところを通り過ぎた時、銃弾が彼女をかすめて壁にあたりました。

アナウンサー:(スコアを告げます) 61対60でバイパーがリード!

男がラナを追いますが男の顔は見えません。
ラナは走り建物から出てると外は激しい暴風雨でした。
ドアの外は下に続く金属製の階段で、彼女は手すりを掴み下へと駆け下りました。

ラナ:クラーク!お願い、助けて!

クラークは心配そうにピートの方に振り返ります。

クラーク:ラナ?ラナ、何が…

ラナを追いかけてきた男はドアを開け階段のところに来ると、突然激しい稲光があたりを照らし出しました。
シルエットで浮かんだ男の手にはライフル銃が握られていました。
男は階段を一気に駆け下ります。

クラーク:ラナ? ラナ!

路地を逃走するラナの背中に男は銃口を向け引き金を引きました。
クラークは電話越に銃声を聞きます。
弾丸はラナの背中の中央に命中します。
彼女は息を呑んだ次の瞬間、悲鳴を上げ顔から地面の水溜りに倒れました。
携帯電話が彼女の脇の地面に転がり落ちます。

クラーク:ラナ!ラナ、聞こえるか?ラナ!

ラナの目は閉じたまま開きません。

クラーク:(立ち上がり)
      ピート、警察に電話をしてくれ!

クラークが超スピードで走り去るとピートは立ち上がります。

ピート:(電話に)あー、ちょっと待ってて。

ピートは電話をかけます。

ラナは路地でピクリとも動かず倒れたままです。
彼女の背中には銃痕があり白いセーターが徐々に血で赤く染まっていきます。

タロンの外。
クラークが中に超スピードで入ると、驚いて固まりました。
クロエとラナは壁のソファに座って勉強をしていました。
彼女たちには何の異状もありませんでした。

クロエ:やあ、クラーク。ノックぐらいしたら?
ラナ:少し遅かったわね。
   一時間前にカプチーノの機械を止めたところよ。

クラークは言葉がでません。

第1幕 場面 1
スモールビル青少年センター。
日中。
ラナ、ピート、クラークとアダムス保安官は昨夜のラナからの電話を録音したテープを聞いています。
ラナは恐る恐る自分の声を聞いていました。

ラナの声:お願い、助けて!
クラークの声:ラナ? ラナ!

銃声がすると音は途絶えました。
ピートはテープレコーダーを止めます。

ピート:電話は番号非通知だった。

アダムス:(メモ帳と鉛筆を持って)
      あなたの声に間違いがない、ラングさん?
ラナ:間違いないと思います、でもそんなはずありません。
クラーク:もしかしたら誰かのイタズラかもしれません、保安官。
アダムス:普通こういった事は家の方に掛かってくるものよ、君が思っているよりもね。
       (笑顔でラナに)
      この子たちにこんなイタズラをした覚えはない?ラングさん。
クラーク:ラナは関係ありませんよ。
アダムス:(悩んで)
      あのね、一歩引いてラングさんが何もやましい事がなければ君は静かにすべきよ。

クラークが目を伏せます。
アダムスはラナに近づきます。

アダムス:そうね、私は誰かがあなたのマネをしているんじゃないかと思うわ。
ラナ:どうして、誰がそんなマネを?
アダムス:それが分かれば苦労はないわね。
       (メモ帳を閉じ)
      調査しましょう。
      でも子供のイタズラ電話は最優先じゃない事を覚えておいて。

アダムス 保安官は去ります。
クラークはまだ気が動転しているラナに近づきます。

クラーク:大丈夫?
ラナ:もし誰かが冗談でこんな事してるんなら、タチの悪い悪趣味な人だわ。
クラーク:(うなずき)
      心配しないで。
     僕らで誰がやったのか調べてみるよ。

ラナは目に涙を浮かべてクラークを見ます。

第1幕 場面 2
スモールビル高校。
日中。
クロエ、クラークとラナはトーチオフィスにいます。
クロエのコンピュータにラナからの電話の音声を入力しました。
ラナとクラークは彼女の後ろに立ち、クロエがヘッドホンで聞いています。

クロエ:この音は悪いわね。
    雑音が激しくて内容が聞き取りにくいわ、所々聞き取れない。

クロエがヘッドホンジャックを抜きヘッドフォンを下に置くとコンピューターで雑音のレベルを調整しました。

クロエ:これで、最初より雑音を抑えたはずよ、もう一回再生するわね。

音声が再生すると、叩くような水の音が聞こえてきました。

ラナ:(少し考え)雨かしら。
クラーク:この数カ月で嵐なんか来てないよ。

ラナの声:(再生音) クラーク、助けて!

ラナ:なんで私がこんな事を?
クラーク:なんだか君が予知しているような感じだ。

クロエはクラークをチラっと見るとモニタに顔を戻しました。

ラナの声:クラーク!お願い、助けて!

録音されたラナの悲鳴が続きます、そしてクラークはスーパーヒヤリングを働かせました。
彼は録音された中に突然男の声を聞きます。

人間の声:(叫び声)騙したな!

クラーク:ねえ、クロエ、代わってもいい?
クロエ:いいわよ。

クロエが机から退くとクラークが座ります。

クラーク:何かが聞こえたんだ。

クラークはコンピュータのキーボードを操作して雑音を再調整し特定の音を強調しました。
再生をすると全員に聞き取れる男の声が流れました。

人間の声:騙したな!

ラナ:アダムの声だわ。
   でも、彼がいなくなってから話なんかしてないわ。
クロエ:クラーク、どうしてこれが聞こえたの?

クラーク:ロックコンサートをよく聞いていたからね。
      (再びレベルを再調整します)
     ほら、他にも聞こえる。

再生をするとラジオのアナウンサーの音声が聞こえてきます。

アナウンサー:スコアは 61対60でバイパーがリード!
         ガンナーソンは今、シーズン不敗を守るバイパーの2回目のシュートを阻止しなければなりません…

クロエ: ガンナーソン?
     シーズン前にベンチに下げられたはずよ。
     これって、昔の試合の録音じゃないの。
クラーク:いや、多分違う。
       バイパーが不敗なのは今年が初めてだ。

クラークは別の机のコンピュータを使ってインターネットのスポーツページを呼び出します。

クラーク:メトロで試合が行われるのは今夜が初めてだ。
      (天気のページに飛びます)
     天気予報では、嵐が来るはずだ。
クロエ:じゃあ、もしこの試合がまだやってないなら、電話もまだって事よ。

クラークとラナは不思議そうにクロエを見ます。

ラナ:(懐疑的に)この電話は未来からかけられたって言うの?

ラナは不安そうな顔でクラークを見ました。

第1幕 場面 3
ルーサー・コープのライオネルのオフィスでレックスはライオネルの座る机に透明な液体の入った小瓶を置きました。
日中。

ライオネル:(小瓶を手に取り)これは?
レックス:薬物治療の治験。
     FDAは認めないだろう、だが俺は親父がこれに加担していると思っている。

ライオネルは小瓶を置くと苛着いてコンピュータの方に戻りました。

ライオネル:なあ、レックス、時間があまりない。
レックス:(机に寄りかかり)メトロの研究所の事だ。
      「人事」という言葉に新たな意味を与えるな。
ライオネル:いいか、ルーサー・コープには何百という開発プロジェクトがある。
       全て把握しているわけじゃない、そのメトロとは?
レックス:死んでいった者たちを蘇らせる効果を与える血清を開発している。

ライオネルはコーヒーを一口を飲むと驚いてレックスを見上げます。

ライオネル:死者を蘇らせるだって?
        (クスクス笑いながら机から立ちあがります)
       ルーサー・コープでそんなSFみたいな事を考えていたのか。
レックス:残念だが、これは小説じゃない。
      (ブリーフケースを開けファイルを取り出します)
     これまでのところ、カフカのような実験では死んだ患者の意識が継続すれば悪化している。

レックスはライオネルにファイルを手渡します。

レックス:それは道徳に反する、だがもし成功したら、それはビジネスとしては大いに意味がある。
ライオネル:お前の乱暴な意見には拍手を送ろう、しかし、この書類には特に非難も何も書かれていないじゃないか。
レックス:しかし、ディリープラネットなら興味を示すでしょう。
ライオネル:(笑い)いいか、このプロジェクトを止めさせたければ、レックス、脅す必要はない。
レックス:俺は自分自身に分からないことはいやなんだ。

ライオネルは頭を振ります。

レックス:パートナーとしてルーサー・コープに戻ってきたのであって、新聞へ記事を売るためじゃない。
      この新しいプロジェクトは会社に何十億ドルもの利益をあたえることができる。
     止めさせようなんて思っていない。     
      俺がこのプロジェクトの担当をしたいんだ。

ライオネルはレックスが何を言いたいのか理解して深刻にレックスを見ます。
レックスは弱々しく微笑します。

第1幕 場面 4。
スーツを着た数人の男たちがメトロのテン博士の研究室で薬のサンプルを冷蔵庫から取り出し輸送用のクーラーに入れています。
日中。
テン博士が入ってきます。

テン:何をしてるの?ここは立ち入り禁止よ。

ライオネルが入ってきました。

ライオネル:それは違うな。
       報告がなかったぞ、テン博士、息子が最近来たことを。

ライオネルはクーラーから小瓶を取り出しそれを見ます。

テン:彼がどうやってここを知ったのか分かりません。
   でも私は何も話していません。
ライオネル:現時点ではそれは無関係だ、なぜならこのプロジェクトはなかったのだからな。
テン:でも最新の適合テストをやってません。
ライオネル:君が心配する必要はない、テン博士、君の仕事はこちらで継続するからな。
       ただし、ここではないが。
       (クーラーを閉じます)
      今日中にこの研究室を空にするつもりだ、君は母国に帰っても脱北した事になっているのを知るだろう。
       もし私の記憶が正しければ、君の政府はそうした女性たちは必要なかったはずだ、
      そのー、悪魔のような、あー、西の資本主義.。
       (男たちに)
       急げ。

ライオネルはドアを開け研究室からクーラーを運び出させます。

ライオネル:(テンに)そうだろ?

テン博士は返事もできずに恐る恐るライオネルを見ます。
ライオネルが出て行くとテン博士はアダムのいる独房に向かいました。
ドアの外に着くと彼女はポケットから注射器と薬の小瓶と止血帯を取り出しました。
彼女はドアの錠を開けて独房へと入ります。
彼女が注射の準備しているとアダムは激しく息を喘がせながら床から手を伸ばして立っている彼女の手を掴みました。
彼の皮膚は黒ずんだ黄色で、左目から出血していました。
顔と首には何箇所かパックリと開いた傷があります。
彼はテン博士の手から注射器と止血帯を奪い取り、シャツをまくりあげると自分で腹に注射をしました。
その腹には更に多くの傷がありました。
呼吸は落ち着き、腹の傷がゆっくりとふさがり、皮膚の色も普通の色に戻ります。
しばらく目を閉じていましたが、目を開けテン博士をチラッと見るとベッドの脇に置いてあるカップを手に取り飲みました。

アダム:今までどこにいたんだ?
テン:悪かったわ、アダム。
   痛みが辛いのは分かってる。
アダム:(顔から血を拭い)
     そじゃあどうしてこんな仕打ちを?
テン:私達はあなたに2回目のチャンスを与えようとしたの。
アダム:さっきまで大きな物音がしていたけど、何があったんだ?
テン:彼らは研究室を閉鎖しようとしているの。
アダム:俺たちはどこに行くんだ?

テン博士は顔色を変え離れてました。

アダム:俺を連れて行かないのか。
テン:私にはできないわ。
アダム:薬はどうなるんだ?
テン:ルーサーさんが全て持って行ったわ。

アダムは注射器を床に落とすと止血帯を握り締めました。

アダム:(パニックになり)じゃあ、取り戻してくれよ!
     12時間しかもたないんだぞ。
     知ってるだろ!
テン:彼はあなたを助けないわ、アダム。
   あなたが生きている事さえ知らないもの。
   どこに血清を持っていたのかも分からない。
   ごめんなさい。
アダム:(静かに脅迫的に)
      俺はどうしたらいいんだ?

テン博士は返事をしません、そしてアダムは手に止血帯を握って彼女を睨みつけます。
それから彼は二つ折りにした止血帯の片方を放しぶらんとさせました。

第1幕 場面 5
レックスの屋敷。
日中。
クラークとレックスは話をしながら書斎へ入ります。

レックス:なあ、クラーク、俺は量子論やワームホールの専門家じゃない。
     だがもしアインシュタインやソーンのような時間異常が可能であると信じるなら、俺は何を考えればいいんだ?
クラーク:レックス、もしその電話が今晩起きる事なら、アダムを見つけなきゃならない。
レックス:(机に着きます)クラーク、どうして俺に?
クラーク:(不安そうに)それは、君が研究室にいたから。
      テン博士と会っていたのを知ってるよ。

レックスは驚いてクラークを見上げます。

レックス:クラーク、何をしていたんだ?俺をつけて?
クラーク:レックス、話題を変えないでくれ。
      アダムは3カ月前に肝臓病で死んだはずだ、そして彼がテン博士の実験の一人目じゃないかと思っている。
       ラナは今危険なんだ、そして君が僕に秘密にしているのを知ってる。
       (間があり。 レックスは目を伏せます)
      彼はどこにいるんだ?レックス。

レックスが黙ったままでるとクラークは机に屈みこんで哀願します。

クラーク:君だってラナに何か起きないことを望んでいるはずだ、そうだろ。
      お願いだ。

レックスは降参して前にでます。

レックス:信じて欲しい、クラーク、アダムがラナを追いかけられるはずがないんだ。
クラーク:どうして確信できるんだ?
レックス:奴は研究室から出る事はできないからだ。
      定期的に注射をしないと生きていけないんだ。

クラークは立ち上がり考えます。

クラーク:この目で確かめたい。
レックス:セキュリティの厳しい研究所だぞ。
     お前一人では無理だ。
クラーク:君がいるじゃないか。

レックスは選択肢がないことを悟って目をそらします。

テン博士の研究室に入いるレックスとクラーク。
猿の鳴き声しか聞こえてきません。
オフィス内は明らかに荒らされていました。
床には書類が散乱し全ての設備はひっくり返されていました。

クラークは猿のオリの1つに若い男の研究所員が倒れかかり目を閉じ首から血を流しているのを見つけました。
男は死んでいます。
クラークとレックスがアダムの独房の方に振り返ると床の上にも研究所員の死体がありました。
彼らは廊下を歩いて角を曲がります。
廊下の端に着くとアダムのいるはずの独房は開いており、二人は中に急ぎました。
レックスは止血帯を首の周りにまきつけられベッドの脇に倒れているテン博士を見つけました。
彼女は締め殺されていました。

クラーク:レックス…
レックス:(頭を振り)アダムは逃げ出した。

フェイドアウト。

第2幕 場面 1
ルーサー・コープ。
日中。
ライオネルは明らかに気が動転している様子で自分のオフィスに入りドアを閉じます。
レックスは机に着いて彼を待っています。

レックス:それだけの価値があるのか?
      テン博士や全スタッフの命を犠牲にしてまで製薬事業を隠すことに?
ライオネル:なあ、警察と同じように感情的になるな。
レックス:俺は親父の代理で5時間もここにいたんだ。
ライオネル:その行為はありがたいが、メトロの研究所とは何の関係もないと言ったはずだ。
レックス:(立ち上がり、怒って)
     親父があの殺人事件に関係がなかったと思っているのか?

ライオネル:レックス、たとえお前がそんな風に私を悪魔に仕立てようと思っていたとしても、
       そんないい加減な事をしないのは知っているだろう。
       だが心配はしていない。
レックス:そうしてそんなに無頓着でいられるんだ?

レックスは去り始めます。

ライオネル:それはな、極めて有能な適任者がいるからだ。

レックスは立ち止まってライオネルの方に向きます。

ライオネル:ん?お前はプロジェクトを欲しがていたな。これはお前のものだ。
       お前なら安心して任せられる。

レックスはゆっくりと父親に向かって歩きます。

レックス:(長い間があり)それはいい、親父。
      だがまだ最後の詰めをしていない。
       (毒づいてささやき)
      身の回りを整理しておいた方がいい。

レックスは踵を返しオフィスから出て行きました。
ライオネルはその言葉に苦虫を噛み潰したように考え込んで立っていました。

第2幕 場面 2
ラナとクラークはタロンの上のアダムの部屋から出て階段を下ります。
日中。

クラーク:このあたりで起こる奇妙な事に大分慣れたと思ってたけど、ラナ、あれは大虐殺だった。
ラナ:アダム?
クラーク:逃げ出したみたいだった。
ラナ:彼がその人たちを殺したと思ってるんでしょ。
ラーク:どう見ても博士を絞め殺して逃げたとしか。

クラークの顔はあの惨劇を思い出したかのように言葉を止めました。
二人がバーに到着するとクロエが入ってきました。

クロエ:やあ、二人とも。
     それでさあ、知り合いの電話会社の人に頼んで電話番号を調べてもらったわ。
クラーク:誰だった?
クロエ:グエン・バートンっていう人の携帯電話からよ。
     知ってる?

クロエはポケットからメモ用紙を取り出しラナに示します。

ラナ:いいえ。この人が誰なのか知らないわ。
   どうして私が彼女の携帯から電話なんかしたんだろ?
クロエ:それは分からないけど。
     「今から24時間後の事を聞けるの?」っていう方に興味があるな。
     バートンさんの電話記録を調べてみたんだけど、昨日の夜から電話をかけた形跡はないわ。
     あなたが受けた電話はどっからかかってきたんだろ。
クラーク:もしかすると本当に異なった時間帯からかも。
     ねえ、これは僕らにとって有利かも知れない。

クロエとラナはクラークの次の言葉を待ちます。

クラーク:僕らは何が起きるのか知っている。
      ラナをアダムから遠ざけ、その携帯電話を手にしなければいいんだ。
ラナ:でもアダムはどこにいるかも分からないのに。
クラーク:ああ、君が僕の家に来てくれればもっと安全だ。
ラナ:(少し恐れをなして)クラーク、もしそれでもダメだったら?

クラークは答えませんでした。

第2幕 場面 3
スモールビル医療センター。
日中。
クラークは廊下を歩き、グエン・バートンを見つけます。
彼女は医療センターの従業員で、彼女は手にファイルの束を抱えて廊下を歩いていました。

クラーク:バートンさんですか?

グエンはクラークの方を見ますが立ち止まりません。
彼は彼女と一緒に歩きます。

クラーク:変な事を言うようですけど、僕は十代のためのホットラインをしているんです、
      昨日の夜この番号から電話が掛かってきました。
      この番号はあなたのですね?

クラークは彼女にメモ用紙を手渡します。

グエン:(うなずいてメモを返します)
     でも昨日の夜は電話をかけていないわ。
     申し訳ないけど何かの間違いじゃない。
クラーク:それじゃアダム・ナイトっていう人を知ってますか?
      ここの患者だったんですが。
グエン:患者さんが沢山いるから覚えてないわね。

クラークはついにグエンの前に立ち彼女を止めます。

クラーク:すみません、バートンさん、どうやって説明したらいいのか、
     でもあなたの電話が犯罪で使われるんです。
      今晩。
グエン:あなたのお名前は?
クラーク:クラーク・ケントです。
グエン:じゃあ、クラーク、この病院には優秀な精神科のお医者様がいるから、
     診てもらうといいわ。
クラーク:頭がおかしく思えるのは分かります、でもあなたが電話をなくした可能性はありませんか?
グエン:実は、今日夫に貸したわ。
     メトロポリスに用事ができたからって。
クラーク:電話をてくれませんか?お願いします。

グエンは心配そうにクラークを見ます。

電話番号と「スピーディー・ヒート・アンド・エア」と書かれたバンが人気のない道路の脇に停まっています。
レン・バートン、グエンの夫がタイヤを取り換えていました。
携帯電話が助手席で鳴ると彼はそれに答えます。

レン:もしもし?
グエン:もしもし、あなた。
    ここに携帯電話の事を聞いてくる子がいるのよ。
レン:えっ、何、ここにあるぞ?
    その子に満足してると言っておけ。
クラーク:どこにいるのか聞いてください。
グエン:今どこにいるの?

クラークはスーパーヒヤリングで聞きます。

レン:ああ、市外の国道17号線で停まってる。
   パンクしたんだがもうじき家に…

レンが振り向くと突然アダムがそこに立っていました。
アダムがレンを殴りつけると気を失い携帯電話を落とし倒れました。

グエン:レン? レン?

アダムは携帯電話を拾い上げます。

彼の腕の皮膚はすでに黄色くなり始めています。

グエン:レン?

アダムは電話を切って見回します。

グエン:(クラークに)返事をしないわ。

グエンが振り向くとクラークは既にいなくなっていました。
アダムは道路の側にレンを置いたままバンに乗り込み行ってしまいまいした。

クラークが超スピードでレンにたどり着くとちょうど 彼は意識を取り戻して立ち上がりました。
レンの額にはキズがついています。

クラーク:大丈夫ですか?
レン:ああ、平気だ。
クラーク:何があったんです?
レン:どこかの子供がカージャックした。
   麻薬でもやっていたようだ。
クラーク:どっちに行ったか分かりますか?
レン:いや。気を失ってたからな。

クラークはうなずきます。

レン:警察に電話をするよ。

レンは携帯電話を出そうとポケットをまさぐりましたがありませんでした。

クラーク:携帯電話がないんですか?
レン:(混乱して)ない。

クラークは交差点に立ち無気力に見回しました。

第2幕 場面 4
ケント農場。
日中。
空は黒い雨雲で覆われ、遠くの方では稲光がおき雷鳴が轟きます。
家の中では、ジョナサンが二階から降りてくるとラナは台所にいて、クロエは電話をしていました。
ジョナサンはセーターを持っていました。

ジョナサン:これを持って行きなさい、ラナ。
       この家は古いから隙間風が入ってくるんだ、マーサには私が話しておく。
ラナ:ありがとうございます、ケントさん。
   本当に申し訳ありません。

ジョナサンはラナにセーターを手渡します。
そのセーターはホットラインに電話をかけてきた時に着ていたセーターと同じ物でした。

クロエ:(電話で) ええ、オーケー。
     ええ。話しておくわ。

彼女は電話を切ります。

ラナ:クラークは何て?
クロエ:アダムを見失ったって、それにアダムは携帯電話を持っているわ。

稲光と共に激しい雷鳴があります。
ラナが窓の外を見ると雨が降り始めていました。

ラナ:(怖がって)あれが現実になり始めてる。
    嵐に電話。
ジョナサン:悩まない方がいい、ラナ。
       何も起こらないさ

ジョナサンは壁のライフル銃が掛かっている階段の方に歩きます。
彼はライフル銃を取り上げ台所に行きます。

クロエ:私、ここにいても何もできないから。
      (クロエはスカーフを身につけます)
     警察が盗難車とアダムを探しているから、手がかりがあるかもしれないからトーチで警察無線を傍受してみる。

ジョナサンは引き出しを開けてライフルの弾と車のキーを取り出し、キーをクロエに手渡します。

ジョナサン:ほら、クロエ、私のトラックを使うといい。
       今晩は君の小さい車ではスタックしてしまうからな
クロエ:ありがとうございます。
     ラナ、大丈夫よ。
    まだ時間はあるわ、それにまだ何も起きてないじゃない。

ラナは頷き、セーターのジッパーを引き上げます。
クロエが出て行くとジョナサンは優しくラナの肩に手を置きました。

第2幕 場面 5
書斎で レックスは携帯電話で話をしていました。
夜。
かなり近くで稲光が光り雷鳴が轟きます。

レックス:俺が行くまでまて。

クラークが入るとレックスは電話を切ります。

レックス:まだアダムは見つからないのか。
クラーク:血清について教えてほしい?
レックス:何の事だ?
クラーク:アダムは血清がなければ生きていけない事を知っている。
      彼はそれを探しているはずだ。
レックス:問題は、アダムの探している血清がないってことだ。
クラーク:君のお父さんが処分したはずがない。
      どこかに隠しているんだ。

書斎のドアが開きケージ刑事ともう1人の刑事が入ってきました。

ケージ:刑事のケージ、メトロポリスP.D.の (レックスに1枚の書類を手渡します)
     家宅捜索令状がでています。
レックス:何の根拠に?
刑事 # 2:八人の過失致死について。
ケージ:仕事の手を止めていただけませんかな?
      (レックスの机の上に座り)
     我々が行います。
レックス:クラーク、申し訳ないな、帰った方がいい。
      お前は関わらない方がいい。
ケージ:残念だが、彼も既に関わっている。
     どうしてケント君が犯罪現場にいたのか、我々としては少し質問をしたい。

稲光が地響きを立てて落ちました。
クラークは不安そうにケージ刑事を見ます。

第2幕 場面 6
スモールビル高校の廊下を クロエが歩いて、トーチオフィスに入ります。
夜。
灯りは全て消えています。
彼女はコンピュータの電源を入れ、次に机のランプを入れました。

彼女が振り向くと突然アダムが彼女を掴んで喉にナイフを突きつけます。
クロエが息を飲みます。
アダムの顔色は前よりもっと黄色味がかかり傷が開き始めていました。
彼は気が狂ったようです。

アダム:(荒い息をしながら) ラナはどこだ?
クロエは:知らないわ。子守じゃないんだから。
アダム:(クロエの上着を揺さぶり)
     嘘をつくな!
     タロンに行ったら、お前とラナが一緒に出て行ったと言っていた。
      彼女はどこだ?!
クロエ:どうしてそんなに知りたいの?
アダム:(ツバを飲み込み、弱りきって)
     彼女は俺の物を持ってるんだ。
クロエ:でも、それはここにはないわ。
     もし私なら…
     (アダムがクロエの首にナイフを押しつけます)
     もし私なら、ここにこないわ。
      皆があなたを探しているのに。

アダムは間をおきクロエを見て、彼女を窓際に連れて行くと駐車場の彼女が乗ってきた車を見せます。

アダム:あれはクラークのトラックじゃないのか?
クロエ:(ためらい)違うわ、従姉妹のよ。
アダム:(壁に押し戻して)
     変な言い訳は無駄だぞ。
     彼女の居所を隠しているはずだ。
     どこだ?
     昔のボーイフレンドのところか?

アダムが背後の窓をちらっと見るとクロエは逃げ出そうとしました。
アダムは彼女を捕まえます。

アダム:ダメだ!
クロエ:あっ!
アダム:行くな!

アダムはクロエを引き戻し後ろから羽交い絞めにするとアゴの下にナイフを突きつけました。

アダム:心配するな。
     もうじき彼女と話せるからな。
クロエ:ああ!

アダムはクロエを放さずトーチオフィスから無理やり連れ出します。

ジョナサンは台所でラナのためにコーヒーを注いでいました。

ジョナサン:かみさんが家に戻ってきたら、君のために得意な料理を出すのが嬉しいだろうな、
       それまでは、私の炒れたブラックコーヒーでがまんしてくれ。

ジョナサンはラナにカップを手渡します。

ラナ:ありがとうございます。
ジョナサン:ハチミツは入れるかね?
ラナ:いえ、いりません。

ラナはコーヒーを飲みます。
表で車のクラクションが鳴るのが聞こえてくると ジョナサンは窓を見ます。

ジョナサン:家のトラックのような音だな。

窓のところまで行って見るとクロエがトラックに座っているのを見ます。

ジョナサン:ん、クロエだ。
ラナ:どうして中に入ってこないのかしら?
ジョナサン:分からないな。
       うーん、私が行って来る、ドアに鍵を掛けておきなさい。

稲光と雷鳴が轟く中、ジョナサンは叩き付ける雨の中へ出て行きました。
彼は手にライフルを持ちトラックに近づきます。
トラックの中でクロエの手は縛られ金切り声を上げていました。

クロエ:家の中に戻って!
     ケントさん!

ジョナサンは風と嵐のせいで彼女の声が聞こえません。
彼は近づいていきます。

クロエ:お願い、気をつけて、ケントさん、お願い!
ジョナサン:(叫びます) クロエ?
クロエ:ケントさん!!!。

アダムはジョナサンの背後に近づき棒で殴ると、ジョナサンは地面に倒れました。

クロエ:いやーっ!

ラナは何が起きているのか見ようと台所の窓の方に行きました。
ジョナサンは地面に気を失って倒れていました。

アダムはライフルを取り上げるとトラックのドアを開けます。

アダム:さあ出ろ!
クロエ:触らないで!

アダムはクロエの腕を引っ張りトラックから引きずり出しました。
クロエは地面に叩きつけられ、それを見たラナは息を呑みました。
アダムは家の方を向きます。

アダム:ラナ!
     そこにいることは分かっている!
     もし出て来ないなら、ボーイフレンドの親父を殺すぞ!
     その次はクロエだ!

ラナは玄関の外に走り出ます。

ラナ:アダム!
   止めて、これ以上皆を傷つけないで!

クロエは気を失っていました。
アダムはラナに近づき、彼女は階段を降りて門を抜け車道に出て行きます。
アダムは彼女の腕を掴むとトラックに行かせます。

ラナ:お願い、皆を傷つけないで。
アダム:さあ早く。
ラナ:(彼女がクロエを追い越すとき)
   なんて事を。
アダム:(彼女をトラックに押し込みます)
      急いで、行くぞ。
      トラックに入いれ。

ラナがトラックに乗り込むと、アダムは彼女の次に乗り込みドアを閉じました。

フェイドアウト。

第3幕 場面 1
ケージ 刑事がレックスの書斎で彼のノートパソコンを持っています。
数人の警察官が書斎を検索しています。
夜。
モニタにはメトロの監視ビデオでレックスとテン博士が映っていました。
ケージ刑事とレックスはビデオを見ます。

ケージ:そこでテン博士と一緒に立っている君がいても、君はテン博士と働いていなかったと言うのか?
     この事実は否定する事はできないぞ。
レックス:俺が救急車に電話をしたんだ。
      もし俺が殺人犯だったらどうしてそんな真似をする?

刑事 # 2がレックスとケージのところにブリーフケースを運んでテーブルの上にそれを置きます。

刑事 # 2:こんないいものが出てきました。
レックス:証拠なんか出てこないぞ。

刑事 # 2がファイルを取り出し、ケージに手渡します。

ケージ:研究所の代行取締役として君のサインが入っている。
    (レックスにファイルを手渡します)
レックス:(頭を振り)こんな物見た事はない。
ケージ:そんなはずはないか?
レックス:はめられたんだ。
ケージ:良い仕事じゃないか。 息抜きでもしたらどうだ。
    もし言い張るんなら考えた方がいいぞ。

ケージが外の廊下で待っているクラークのところに行きます。

クラーク:もう行かせてください。
ケージ:おいおい、君の友人は自白したよ、1時間以上かかったがな。
     虚勢はよせ。
クラーク:嘘だ。彼は何もしていない、認めるはずがない。
ケージ:本当にそう思うのか?
     君が思っているほど君は彼の事を知らないんじゃないのか。

刑事 # 2が廊下に来ます。

刑事 # 2:(ケージに) おい、ポール。
      バイパーがちょうどロバートをベンチに下げさせたぞ。
      膝を負傷したようだ。
      その後、誰を起用したと思う。
クラーク:(恐れて)ガンナーだ。
刑事 # 2:そうだ。メーソンなんかよりもすごいぞ。

書斎に戻ります。

クラーク:(急いで)僕は行かないといけません。
ケージ:申し訳ないが、君は拘束されているんだがね?
クラーク:両親に電話をしましたか?
ケージ:ああ、だが誰もでなかった。
クラーク:じゃあ、未成年を後見人もなしに拘留、尋問したなんて新聞社が知ったら興味を持つと思いますよ。

ケージは間をおき、負けた事を悟ります。

ケージ:長い休暇をとりたくはないな。
     まだ質問があるので君を呼び出すかもしれないよ。

クラークは廊下を走りました。

第3幕 場面 2
資材倉庫の警備員がテレビを調節しようとしますが映像は映りません。
夜。
警備員:くそっ。

彼は机の上のラジオをつけます、そしてアナウンサーの声が試合を中継していました。

アナウンサー:バイパー、リード52対46、しかし勢いが…

アダムは警備員の後頭部をライフルの銃座で殴ると気を失い倒れました。
それから彼はラナを掴んで促しながら進みます。
彼女は警備員を越え両側にチェーンリンクのフェンスの立つ廊下にでます。

アナウンサーは盛んに試合中継を続けていました。

アダム:どもにあるんだ?
ラナ:こっちよ。
アダム:急げ。 さあ早く。

ラナは格納エリアに到着するとゲートの鍵を開けます。

アダム:速くしろ。

ラナはチェーン錠を開け、ゲートを開けて中に踏み出します。
アダムは彼女の後に従います。

ラナ:この箱にアパートにあった物を全部入れたわ。

床の上に積み重ねられたいくつかの箱があります。

アダム:本はどこだ?
ラナ:どの箱に入れたか覚えてないわ。
アダム:じゃあ、探すんだ!

ラナが箱を開けて中を見ているとアダムはラナにライフル銃を向けます。
その箱には 本が入っていなかったため彼女は次の箱を取ろうとしました。

アダムは積み上げられた一番上の箱をぐいと引っ張りラナの脇に落とします。

アダム:急げ。時間がないんだ、ラナ。

ラナは箱の中から数冊の本を取り出すと アダムはその中の一冊をとります。

アダム:白、白、白。

彼は本を開きます、そして内側は薬をしまっておくために空洞にされていました。
けれどもそれは空でした。

アダム:あれはどこにやった?
ラナ:何の事を言ってるの?
アダム:薬だ。ここに3つ小瓶を入れておいたんだ!
     それをどこにやった?
ラナ:そんなの触ったこともないわ。

ラナは床にひざまずきアダムが銃を向けます。

アダム:嘘をつくな!

ラナは本を掴んでアダムの顔めがけて投げつけました。
アダムは引き金を引きましたが彼女にはあたりませんでした。

アダム:くそっ!

ラナがアダムの膝の裏を蹴飛ばすとアダムは銃を落とし後ろ向きに床に倒れます。
ラナはアダムの向こう側に落ちているライフルを取ろうと這って手を伸ばしますが
彼は立ち上がって彼女の足を掴み引きずります。
彼女の髪と脚を掴み二度もチェーンリンクのフェンスに叩きつけました。
ラナは息を詰まらせ床に倒れこみます。
アダムは銃を取ろうと屈み込みましたがポケットから携帯電話が落ちた事に気付きませんでした。
アダムはラナに近づきました、しかしラナは床にあったゲートの鎖をつかんでアダムの顔面に鞭のように叩き付けます。
彼は再び倒れ銃を落としました。
アダムが立ち上がろうとしていると、 ラナは携帯電話をつかんで逃走します。
彼はライフルをつかみ彼女を追いかけてます。

第3幕 場面 3
ケント家。
夜。
嵐は更に激しさを増しています。
台所で、マーサはクロエの額に氷嚢をあてながらラジオの試合中継を聞いています。
クラークが入ります。

クラーク:何があったんだ?
マーサ:私が家に帰って来たら外でお父さんとクロエが倒れていたのよ。
クラーク:大丈夫かい?
クロエ:平気よ。
     アダムがラナを連れて行ったわ、あなたのお父さんの銃を持っていった。

ジョナサンが救急箱を持って台所に入ってきました。

ジョナサン:今、警察が彼を探している。
クラーク:(パニックになり)
      どっちの方に行ったか分かる?
クロエ:分からない。
    アダムはラナが何か持ってるって言ってたわ。
クラーク:血清だ。

ジョナサンとマーサは心配そうにクラークを見ます。

クロエ:それかどうか分からないわ。
    彼はタロンにはもう行ったって言ってた。
    次に向かった先は分からない。

マーサはクロエの額の傷を脱脂綿で消毒します。

クラーク:青少年センターに行ってくる。
     分かってるのは、センターに電話をしてくるって事だけだ。
ジョナサン:クラーク、それが何の役に立つんだ?
       もうお前は電話を受けてしまったじゃないか。

クラーク:あれは割り込んで来た感じで終わっていたんだ。
     半分も聞いていない。
     もしあの電話が過去に送られたのか分かれば、食い止められるかも。
マーサ:そうすれば、ラナがどこにいるか聞けるかも知れないって事?
ジョナサン:シッ、静かに。

ジョナサンはラジオのボリュームを上げます。

アナウンサー:ポーターが再びジョンソンにパスをします。
          ジョンソンはスリーポイントを目指します、そして入った!
クラーク:スコアは?

アナウンサー:バイパーが二点差で61対59でリード。
         試合残り時間は三秒!
ジョナサン:61対59。バイパーだ。

クラークが家から走り去ります。

ラナは息を切らし倉庫の廊下を走っていました。
アダムは数メートル後ろから叫びます。

アダム:ラナ!

ラナが角を曲がると上への階段を見つけました。
彼女は階段を昇り始めますがその先は行き止まりになっていました。

アダム:ラナ!
ラナ:ああ、どうしよう!
アダム:ラナ!

アダムは少し片足を引きずりながらライフルを彼女に向けて走り続けます。
ラナは踊場の壁に身を寄せアダムから隠れて携帯電話を開きました。
アダムが廊下を走って来て階段の脇を通り越そうとしたときラナは足を突き出して彼を転ばせます。
彼女は元来た道を戻り走ります。

スモールビル青少年センターで行ったり来たりしているピート。
彼は1人です。
電話が鳴ると彼は出ようとしました。
しかし クラークが超スピードで部屋に入ってきて電話に出ました。

クラーク:ラナ!
ラナ:クラーク!
クラーク:ラナ!
ラナ:お願い…助けて。

その時、稲妻がセンターの外の電柱に落ち、ラナの声が途切れました。
電柱は脇のゴミ収集箱を押しつぶして地面の水溜りの中に倒れました。
切れた電線が水溜りに落ち、いくつか水溜りに落ちていたクリプトナイトが電気に反応して緑色のスパークをしていました。

倉庫のラナ。

ラナ:クラーク、助けて!

青少年センターのクラークはラナの声が聞こえなくなって電話を見ます。

倉庫では、ラナはラジオが鳴っている机を走り過ぎます。

ラナ:銃を持っているわ!

アダムはラナの後ろに駆け寄ってライフルを発射しました。
弾丸は、ラナが角を曲がったため壁に当ります。
アダムは彼女を追い続けます。

青少年センターで、クラークは何が起きたのか理解しようとして死に物狂いであたりを見回します。
彼は壁をX線ビジョンを使って透視すると、水たまりに倒れた電柱と電線を見つけます。

ラナ:お願い、助けて!

クラークはまだラナの声が聞こえず電話を耳にあてます。

クラーク:ラナ! ラナ!

センターのライトが明滅します。

フェイドアウト。

第4幕 場面 1
電話線は水溜りの中のクリプトナイトを刺激し続け緑色のスパークを放ち音を立てていました。
夜。

クラークはクリプトナイトから離れ雨の中に立っています。

倉庫のラナはまだ耳に携帯電話をあて倉庫の中を走っています。

ラナ:クラーク!

クラークはコードレス電話を持ってきていましたが音は途切れたままでした。
彼は電柱の根本の方に回りこみます。

ラナ:クラーク、どうして出てくれないの?!

ラナは走り続けます、そしてアダムは銃でまだ彼女を追っています。

クラークが電柱を左手で掴み電柱を持ち上げ水溜りの電線をクリプトナイトから離しましたを。
ラナが金属製の階段に出たとき再び彼の電話に音が戻りました。

ラナ:クラーク、私を殺そうとしてるわ!
   お願い、助けて…

クラークが電柱に力をこめると電線が水溜りの中に落ち、再びラナの声が断絶しました。

ラナ:(階段の下について) クラーク!

アダムは階段のドアを開け外にでます。

ラナ:助けて!

クラークは電柱をもう一度高く持ち上げラナとの通信を可能にしました。
ラナは路地を走っています。

ラナ:お願い、助けて!
クラーク:(ついに彼女の声が聞こえました) ラナ!
アダム:(階段の下に着き)俺に嘘をついたな!

アダムはラナの背中に銃口を向けます。

クラーク:ラナ、どこにいるんだ?!
ラナ:ウェルコットの倉庫よ!助けて!

アダムはライフルを発射します、そしてクラークは電話越しに銃声を聞きます。
クラークは電柱を手放し超スピードで走ります。
弾丸は雨を切り裂きラナに向かって飛びます。
弾丸がラナに届く寸前、クラークがラナと弾丸の間に割り込みクラークは胸で弾丸を受け止めました。
ラナは地面に倒れ携帯電話を落としました。
アダムはついに力尽き銃を落として地面に倒れこみました。

ラナが起き上がろうとすると、
クラークはシャツに空いた穴をジャケットのジッパーを閉めて隠しラナの側に走ります。

クラーク:ラナ! (彼女を助け起こし)
     大丈夫かい?
ラナ:アダムは?

彼らは階段下で横たわうアダムに目を転じました。
クラークが息も絶え絶えなアダムのところに走ります。

アダム:弾丸を受け止めた。
クラーク:それは不可能だ。
アダム:(弱く)俺は見た。
     今、どうしてライオネルがお前を見張らせたのか分かったぜ。
     やっと見つけた…
      (痛みで喘ぎ)…ただ遅すぎた。
クラーク:アダム…
アダム:奴は止めないぞ、クラーク。
      俺は奴から逃れることができなかった。
     いつまで隠し続けられると思う?

アダムがニ・三度瞬きをし死んでいくのをクラークは見守ります。
クラークはラナのところに戻り彼女を抱きしめました。

第4幕 場面 2。
レックスの屋敷。
日中。
書斎で、 ケージ刑事は後ろ手にレックスの手首に手錠をかけます。

ケージ:行こうか。

FBIのエージェントがバッジを見せながら部屋に入ってきました。

エージェント:FBIだ。
        (刑事に)
        なぜ手錠をかけるんだ?
         この事件は我々が執行する事になった。

ケージは怒ってレックスの手錠を外します。

ケージ:お前らは全く同じだ。
     俺たちが追いかけた山を、お前らがさらって行くんだ。

刑事たちは去ります。

エージェント:(レックスに)ある意味あってるな。
        あんたの弁護士は随分と顔が利くんだな、だが俺はそうはいかない。
レックス:取引がしたい。
エージェント:どうして俺に?
        俺なんかよりも、もっと強いバックがあるだろう。
レックス:俺をおだてても無駄さ、あんた達にとっても俺にとっても悪い話じゃないと思うが。
エージェント:それで?
レックス:警官に言って、俺を探るなと言って欲しい、そうすればあんたのキャリアに箔がつく逮捕をさせる。
エージェント:一体何の話だ?

レックスは悔しそうに目に涙を浮かべ長い間エージェントを見つめます。
彼はエージェントに近づきます。

レックス:(激しく、小さな声で)
      親父を捕まえさせてやる。

FBIのエージェントは少しにっこり笑い、レックスは凝視を続けます。

第4幕 場面 3。
ライオネルはバージン博士と一緒にルーサー・コープの廊下を歩いています。
日中。

バージン:その研究には興味をそそるよ。
      そのプロジェクトに何があったんだ?
ライオネル:彼女が、そのー、異動になった。

二人はライオネルのオフィスに入ります。

ライオネル:そして、あー、分かって欲しい、バージン博士。
       このプロジェクトにいくら出しても惜しくはないんだ。
       やってくれるかね?
バージン:限られた血清だけでは、テストするにも足りないんじゃないか。
ライオネル:君ならそれを何とかしてくれると思っているんだよ。

ライオネルは微笑して机の方に向きます。

バージン:まあ、研究室と機材を揃えてくれれば一年以内に結果を出せると思うが。
ライオネル:バージン博士、今週末には結果を出して欲しいんだ。
バージン:このようなプロジェクトには時間が必要だ。
ライオネル:私には残された時間がないんだ、博士。
       診断の結果、特殊な…肝臓病で、選択の余地がないんだ。

ライオネルはバージン博士にすがります。

第4幕 場面 4。
タロンで、 ラナは「タイムトラベル理論」と書かれた本を読んで座っています。
日中。
クラークが入ります。

クラーク:おもしろい?
ラナ:(笑い)いいえ、最初のワームホールで分からなくなっちゃったわ。

ラナは立ってバーに歩きます。

クラーク:あのさ、世界中の科学者の半分はまだアインシュタインのトラベル理論の討論しているんだ。
      僕らが読んでも一晩で分かるわけがないさ。

ラナ:クラーク、まだ分からない事があるの。
   あなたはどうやって一瞬でセンターから倉庫まで来たの?

クラーク:かなり時間がかかったけどな。
      (ラナは言葉を待ちます)
     多分、時間が変則的になったのと関係してるんじゃないかな。

ラナはうなずきます。
彼女はコーヒーを注ぐために背中をクラークに向けます。

クラーク:いいかい、僕も理解できな事があるんだ。
      どうして警察じゃなくホットラインに電話をしたんだい?
ラナ:(向きを変えないで)
   何故って、うーん、あなたがそこにいるって分かってたから。
    (彼女はクラークに向くとカップを彼の前に置きます)
   私達の運命は変わったように思えるわ。

クラーク:ぎりぎりだったけどね。
     (ラナは微笑します)
     間に合わなかったらと思うとゾッとするよ。
ラナ:分かる。私も24時間後に起きるかもしれない事を恐れていたわ。
   でも全て丸く収まった。
   (クラークがうなずきます)
   こんな事になっていろんな事に気がついたの、何を怖がってるのかって。
クラーク:お互い様だよ。

彼らは一瞬のお互いを見ます。

ラナ:多分そんなに怖がる必要がないのかも。
   未来はもう既に決められてしまっていてるって思ってた。
   でも未来は私達の力で変えられるんだって。

クラークが思いにふけってラナを見ます。
彼女は微笑してバーにいる他の客に向かいました。
クラークはまだ考え込んだままいました。

第4幕 場面 5
メトロポリス。
日中。
ライオネルはオペラ音楽を聞きながらルーサー・コープのオフィスにいます。
彼はリモコンを手に取るとボリュームを上げました。
髪の毛は乱れそして顔色は青白くなっていて睡眠不足のようです。
音楽はイタリア語のテノール歌手が歌い嘆き悲しんでいるような曲です。
ライオネルは机からカルテを取り呆然と眺めていました。
リモコンのブラインドを閉じるボタンを押しブラインドを閉じると机の上にカルテとリモコンを置きました。
カルテの一番下には「原因不明の肝臓病、予後診断:末期」と書かれていました。
ライオネルは机から小さな木製の箱をとってコーヒーテーブルへと運びます。
彼はテーブルの上にそれを置いてソファーに座ります。
テーブルの上には封の開いたスコッチとグラスがあり、彼はグラスのスコッチを一息で飲み干しました。
テーブルの奥へグラスを置くと箱を開けて中の拳銃を取り出しました。
撃鉄を起こすとこめかみに銃を向けました。
ライオネルの指は引き金にかかっていました。

フェイドアウト。

おしまい。