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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン3.21Forsaken[見捨てる]

第一幕プロローグ
ラナとレックスはレックスの書斎の壁に据え付けられた暖炉の脇のソファーに向かい合って座ります。
夜。
コーヒーテーブルの上にはパリについての本が二冊置いてあり、ラナがその内の一冊を手に取りました。
その本はレックスが持ってきた本でした。

ラナ:(微笑しながらページをぱらぱらとめくります)
    ありがとう。
   一年間も遠いフランスに行くのね。
   (彼女は笑います)
レックス:忘れるなよ、笑顔の方が遥かに遠い。
      パリよりもな。
     そしてこれは俺からだ…

レックスは飛行機のチケットをラナに見せます。

ラナ:(拒否します)
    レックス、チケットはもう持ってるわ。
レックス:分かってるさ。
     ただ君のために少し良い席を取っておいた。
     (ラナはチケットを受け取ります)
     君がスモールビルから旅立つ準備ができたらいつでも使えるチケットだ。
ラナ:(チケットを見ます)
    これってファーストクラスじゃない。
   受け取れないわ。
レックス:受け取って欲しい。
     俺からの餞別と思って。
     大丈夫だ、その一年は決して忘れられないものになるだろう。

クラークが入ってきてラナを見て驚きます。

レックス:クラーク。
クラーク:邪魔するつもりはなかたんだ。
     (ラナに)
     ここに君がいるとは思わなくて。
ラナ:いいのよ、レックスは私に最後のギリギリまで旅立つ助言をしてくれていたの。
クラーク:いつ行ってしまうんだい?
ラナ:土曜日よ。

クラークとラナは悲しげにお互いを見ます。
レックスはクラークを見ます。

ラナ:私、もう行かなきゃ。
    (彼女は会計簿を持ち、 レックスに)
    ありがとう。

ラナは部屋を去ります、そしてクラークが彼女を見ます。

レックス:クラーク、彼女を行かせてやれ。
クラーク:僕には選択の余地はないさ。
レックス:彼女が自分で決めた事だ。
      (レックスは立ち上がってクラークに近づきます)
     それにそうさせた者がいるとすれば、それはお前だ。
      クラーク、ラナが今まで欲しがっていたものはお前の正直さだ。
     もしお前が改心しないなら、一歩引いて彼女の自由にさせてやれ。

クラークは返事をしません。

アルバムをパラパラとめくっている少女。
ラナとエミリー・ディンスモアの子供時代の写真で、エミリーは橋から落ち溺れ死んだ娘でした。
以前 彼女の父親が娘をクローンとして蘇らせた事があります。
アルバムを見ていた少女はエミリーで彼女の座ったベッドの脇にはウサギのぬいぐるみが置いてありました。
彼女のいる部屋は子供の保育室のようです、しかし彼女はクローンされた際に急激な成長のためラナと同じ年齢になっていました。
男の声がスピーカから流れます。

男:消灯の時間だ。
   おやすみ、エミリー。

声は寝室のマジックミラーの向こう側でエミリーを見ている男が告げていました。
男は白衣を着て、彼の前には何台かのコンピュータが並ぶ暗いオフィスの机の前に座っていました。

エミリー:おやすみなさい。

エミリーはベッド脇のランプを消しうさぎを抱き締めて横たわります。
男はコンピュータのボタンを押して録音をします。

男:21:15分にログオフ。

彼は机から立ち上がり部屋を出ます。
エミリーは目を開け布団を跳ね除けると普段着を着こんでしました。
彼女はノートを拾い上げマジックミラーに向かって歩きます。
彼女の体の輪郭がぼやけるとミラーを通り抜け、再び実体化しました。

営業時間終了後のタロン。
夜。
看板には「ブリトーオーレ間もなく発売」と書かれています。
中では新しいオーナーのミスター・カーンズがコーヒーを飲んで辺りを見回しています。
テーブルと椅子は白いシートで覆われ、いくつかのペンキ缶が建物の改装のためバーの上に置かれていました。
カーンズはコーヒーをバーに置き青写真の置かれているテーブルに行きます。
彼の後ろの影の中にエミリーが立っているのに気付きません。
カーンズはコートをつかんで去り始めます。
突然の風がタロンの中を吹き荒れ青写真のページがめくれます。
彼は辺りを見回し困惑していますが何も見ることはできませんでした。
彼が再び帰ろうとしたときペンキ缶の1つがバーから落ち床の上でカタカタ音を立てます。
カーンズは顔に増大する不安を浮かべペンキ缶を見ます。
彼はバーに向かって歩きます。

カーンズ:誰かいるのか?

答えはありません。
ゆっくりと缶を拾い上げるとバーの上にそれを返します。
彼が振り向いたその時、エミリーが彼の真正面立っていました。
彼は少し後ろに下がり飛び上がって驚きます。

エミリー:ここを壊してるの?
     ここは問題ないわ、それを壊してしまうの。
カーンズ:君はラナだろ。
エミリー:ここはあなたのものじゃないわ。
カーンズ:(少し悩み)
      ラングさん、君がこのコーヒーショップに未練があるのは分かるが、書類にサインをしただろ。

エミリーは返事をしません。
彼女は長い間冷淡に カーンズを見つめます。
それから超スピードで彼女が腕を伸ばすと彼の胸の中に腕を突っ込みました。
彼は息を詰まらせあえぎます。
エミリーが手を引き戻すとカーンズは地面に倒れ死んでしまいました。
エミリーの手は血で覆われています。

エミリー:(子供の声で)これはラナのものよ。

外の入口のひさしの上のライトは揺らめいて消えます。

第1幕 場面 1。
ピートとクラークはクラークの納屋の外でバスケットボールをしています。
日中。
クラークがゴールポストにボールを沈めシュートを成功させるピートにボールをパスします。
クラークは
クラークは下ってボールをつかもうとします、そしてピートは考えドリブルしながらゴールから離れます。

クラーク:ここから出て行くんだって、そこからシュートしてみろよ。

ピートはその場所でドリブルするとシュートをしますが失敗しました。

ピート:ああ、お袋がウィチタに引っ越した。

クラークがボールをキャッチします。

クラーク:ウィチタ?
ピート:そうなんだ、連邦の裁判官になったんだ。

ピートはクラークへ走り、彼の手からボールを取ります。そしてもう一度同じ場所へ戻りました。

ピート:月曜日から仕事を始めるんだ。
クラーク:それは急だな。
      お父さんは?

ピートは下ってボールを掴み再びゴールから離れドリブルします。

ピート:スモールビルにいるって。
     (シュートを成功させます)
クラーク:離婚をしたって事かい?
      悪かった、ピート。
ピート:いいんだ、俺も避けたてたから。
    でもお前に話せば落ち込む事が分かってかたらな。
    お前が最後の核家族になると思うよ。

ピートはクラークにボールをパスします。

クラーク:ピート、家族は失っていないさ。
     ただ変化しただけだ。
     君が両親の事を隠している辛さは僕には良く分かる。

Pete: Well, it's just so weird when you realize that the people you thought had all the answers are... just human like everybody else.
ピート:あなたがあなたがすべての答えを持っていたと思った人々がほかの皆のように...ただ、人間的であることを悟るとき、それはただそれほど奇妙です。

クラーク:それでどうするんだ?

ピート:(微笑しながらクラークからボールを取ります)
    三年生になれないのは残念だな。

ピートはもう一度シュートを成功させます。

クラーク:ラナもそう思ってくれたら。
ピート:一度だけ言うけどそれは「俺とは無関係」だぞ。
    もうラナとの事はあきらめろよ。

ピートはクラークにボールをパスします。

クラーク:レックスみたいな言い方だな。
      レックスも僕が原因だって言ってた。
ピート:あいつと意見が一緒なのはイヤだけど、ラナがモナリザを見にパリに行くとは思えない。
クラーク:(真剣に)
     ピート、僕の秘密を聞かなきゃ良かったと思ってるか?

ピートはクラークの手からボールを取ります。

ピート:そりゃクロエや他の皆にウソをつくのは辛いさ、でも真実はそうだろ、
    今まで誰にもこれほど信用されたkとなんかなかったからな。

クラークが考え込むとピートはクラークが何を考えているかを悟ります。

ピート:お前、ラナに打ち明けるつもりじゃないだろうな?
クラーク:それしか彼女が飛行機に乗るのを止める方法がなければ。

第1幕 場面 2
スモールビル高校、 ラナは休み時間にロッカーの前に立っていました。
日中。
彼女のロッカーのドアの内側に 新聞が貼られていて見出しは「タロン劇場がコーヒーショップとして再開する」となっています。
ラナは新聞をドアから取り去って悲しげにそれを見ます。
クラークが廊下でると悲しそうな顔をしたラナを見つけます。
彼は深呼吸をし彼女のところに行きます。

クラーク:やあ、ガレージセールでもするのかい。
ラナ:ええ、そうかも…
クラーク:引越しの準備?
      あのさ、かなり勇気が必要だと思う。

ラナは奇妙な表情でロッカーの中を見ていました。

クラーク:何かなくしたの?
ラナ:ええ、私のママのブレスレットが。

ラナはロッカーの下を見るために床にひざまずきます。
クラークは彼女の脇にひざまずきます。

クラーク:ラナ、今の時期君が忙しいのは分かるけど、一緒に夕食でもと思ってさ。
       今晩。
ラナ:(立ち上がり)
   嬉しいんだけど、クラーク。

クラークが立ち上がります。

クラーク:君に話したいことがあるんだ。
      もっと前に話すべきだった。
ラナ:本当に?
クラーク:大丈夫だよ。

ラナは迷ってクラークの目を見つめています。
彼は彼女の答えを待ち受け眉を上げます。

ラナ:(ため息と共に)。
   分かったわ。行くわよ。

ラナはクラークに微笑むと彼も微笑みます。
それから彼は歩き去ります。
彼が行ったとき、ラナは不安に見えます。

第1幕 場面 3
エミリーの寝室の隣のオフィスで、ライオネルがコンピュータの前にエミリーの父親と一緒に立っています。
日中。
ライオネルがキーボードのボタンを叩くとモニタには 子供のエミリーが映りました。

ライオネル:これが11カ月前のエミリーだ。

ライオネルがいくつかのボタンを操作すると今度は大人になったエミリーが映りました。

ライオネル:これが今のエミリーだ。

ディンスモアは驚いて屈みこんでモニタを凝視します。

ディンスモア:母親と瓜二つだ。
ライオネル:ああ、だが彼女の母親はレンガの壁を通り抜ける事はできないはずだがな。
       彼女はドアから外に出なかった、ディンスモアさん、彼女はドアを通り抜けた。
        あなたが彼女を作ったんだ。
        彼女はどうやったんだ?
ディンスモア:それは多分体を構成する分子を高速で振動させれば物体を通り抜ける事ができるはずです。
ライオネル:(クスクス笑います)
       まあ、それは私の前プロジェクトチームが見つけそこなったものだな。
       ディンスモアさん、あなたはどこに彼女が行くと思うかね?
ディンスモア:前に出て行ったとき、彼女は真直ぐ向かったのは、あー、子供時代の友達のところです。
ライオネル:(腹を立て)
       そうだ、ラナ・ラングと最後に会ったとき、ラングと一緒に川に落ち死に掛けた。
ディンスモア:(防御的)その事で彼女を責めるべきではありません。
ライオネル:(あざけり)ほほー。
ディンスモア:エミリーが何歳に見えても彼女の精神年齢は子供のままです。
ライオネル:まあ、彼女は子供じゃない。
       つまり失敗作として大きな責任があるな。
        (ディンスモアに近づき)
       ディンスモアさん、誰よりも先に彼女を見つけることが先決だ。
       分かった、私が二つのうち一つをしようじゃないか。
       彼女を連れ戻すのに手段を選ばないチームを送ろう、あるいは君だ。
        彼女の父親である。

ディンスモアは考え込んで深刻にライオネルを見ます。

第1幕 場面 4
クロエとラナは誰もいないタロンに入ります。
日中。

クロエ:朝の五時にお菓子を作りに来たわけじゃないよね。
ラナ:それが変なのよ。
   私はこの建物を取り壊さないようにしたいの。
   それが私の人生を奪われないようにという思いなの。

二人らは部屋の真ん中まで歩い見回すと家具がきれいさっぱりなくなっていました。

クロエ:あらまぁ。
ラナ:ええ。
クロエ:タロンを変な風に変えていたと思ったけど。
エミリー:(階段の最上部から)
     どうしてそんな事を?

ラナとクロエはエミリーを見上げます。
彼女は興奮した微笑で階段を降りて来てラナに近づきます。

エミリー:あなた、ラナでしょ。

ラナはエミリーが分かりません。

ラナ:ええ、でも私はカーンズさんに会いにきたの。

エミリー:彼は…私のパパよ。
ラナ:えっ、そうだったの。
エミリー:ええ、パパが準備するために私を連れてきたの。
      私はエマ。

エミリーとラナは握手します。

ラナ:どうも。

ラナは奇妙にエミリーを見ます。

ラナ:前に会った事?
   よく知ってるような気がするわ。
エミリー:(頭を振り) 皆がそう言うわ。
ラナ:(クロエを指し)
    こちらはクロエよ。
   これからちょくちょくこのお店に来る一人になるわ。

エミリーは笑います。

クロエ:ハイ。
エミリー:ハイ。
クロエ:単純に好奇心なんだけど、ブリトーバーってなに?
エミリー:ああ、あれは間違いよ。
     何も問題はないわ。
     ラナ、少しの間ここでコツを見せてもらえないかしら?
ラナ:ううん、そんな事。
   あっ、そうだ、これを渡しに来たんだったわ。
    (ラナはハンドバッグから鍵を取り出しエミリーに手渡します)
   予備の鍵を見つけたから。
   あなたに私の人生の半分を渡したみたい。
エミリー:心配しないで。
     うまくやるわ。

エミリーは暖かく微笑するとラナも微笑みます。

第1幕 場面 5
マーサは台所でいくつかのパンをオーブンから取り出します。
日中。
クラークがスーパーの袋を抱え入ってくると、彼女はカウンターの上にパンを置きます。

マーサ:あら。
クラーク:やあ、母さん。

クラークはカウンターの上に袋を置いて中から食品を取り出し始めます。

マーサ:あらまあ。
     私が夕食の準備をしなくてもいいのかしら?
クラーク:ラナを招待したんだ。
マーサ:(同情的に)
     お別れを言うのは辛いわね。
クラーク:(明るく)
      まあ、もしうまくいけば別れを言わなくてもすむさ。

クラークが食品を片付けるために冷蔵庫に歩きます。

マーサ:クラーク、隠し続けてられるの?
クラーク:ううん。だから今夜話すことにしたんだ。
マーサ:(驚き)彼女に話すの?
クラーク:全部ね。

マーサはクラークに向かってカウンターから出ます。

マーサ:クラーク。
     でも秘密を守ってもらうのは相当な負担よ。
     分かってるでしょ、ピートで。
     彼だってそんなに簡単な事じゃなかったはずよ。
クラーク:分かってるさ。
      ピートも今までに話しそうになったことはある。
      でも僕はピートに話してよかったと思ってるし、ピートも。
      そのおかげでもっと深い友人になれた。
マーサ:ラナが心の準備ができていると思うの?
クラーク:彼女は僕に正直に話して欲しいって言い続けるんだ。
      ラナが自分で判断するチャンスを与えるんだ。

マーサはクラークの手を取ります。

マーサ:私はあなたを息子として育ててきたわ、だからあなたの人生の一番いい経験するのを妨げるのはいけないと思ってるの。
クラーク:それじゃ、母さんは賛成してくれるんだね?
マーサ:あなたの判断を信頼するわ。

クラークが微笑します。
マーサは少し不安そうにうなずきます。

第1幕 場面 6
ラナとエミリーはタロンのバーにいます。
日中。
ラナはエミリーがノートをとるのを覗き込みながらエミリーにタロンの慣習を教えています。

ラナ:配送トラックの事はもう話したわね?
エミリー:火曜日の朝6時ね。
ラナ:ええ。
    (彼女はもう一度ノートブックをちらっと見て閉じます)
   じゃあ、それで全部だと思うわ。
エミリー:今日あなたと一緒にいられて良かったわ。
     あなたはここの全てが残ると思う?
     つまり、あなたの全てがここにあるでしょ。

エミリーは希望を抱いてラナにほほ笑みます。

ラナ:ええ、まあ、それが私が出て行く理由よ。

ラナはバーの後ろから出て来てドアに向かって歩き始めます。
エミリーは彼女の後を追います。

エミリー:それは気の毒だわ。
     私達、友達になれると思ったのに。
     ううん、親友にね。

ラナは気まずそうにエミリーを見ます。

ラナ:ええ、まあ、お互いを知るチャンスがなくて残念ね。
エミリー:私達はもう…なんでもない。
     またいつか会いましょ。

エミリーは微笑します、そしてラナは困惑して少し狼狽してうなずきます。
エミリーは向きを変えて階段の上に走ります。
ラナは後ろ向きにドアの方に数歩下がり、踵を返して走り出そうとしたとき、目の前に立つディンスモアを見て驚きます。

ラナ:ディンスモアさん?
ディンスモア:彼女はここにいるのかい?
ラナ:誰ですか?
ディンスモア:エミリーだよ。

ラナは頭を振ると、何が起きたのか理解して階段を見ます。

ラナ:えっ、どうして?
ディンスモア:彼女が君のところに来るのは分かってたんだよ、ラナ。
        彼女をルーサー・コープに連れ戻さないと。
        彼女がどれだけ危険な存在か分かるだろ。
ラナ:彼女は何をしたいの?

ディンスモアの後ろからゴツンという音が聞こえ、そして彼は痛みでしかめっ面をし口を開きます。
彼が倒れると血だらけの手をしたエミリーが後ろに立っていました。
ラナは怖がっています。

エミリー:私を許して。
     私もあなたを許すから。
     それが友達でしょ。

ラナはドアに走ろうとしますがエミリーは既に彼女の行く手に立っていました。
エミリーがラナを突き飛ばすとラナは後ろ向きに吹っ飛びテーブルにぶつかります。
彼女は床の上で気を失いエミリーが彼女の前に立っています。

エミリー:ごめんなさい、ラナ。

大きなベッドに横たわっているラナ。
彼女は目を覚まし起き上がります。
ベッドの脇にはナイトテーブルとドレッサーがあります。
部屋の壁はガラスで囲われています。
ガラスの壁の1つに取っ手が付いていました。
ラナはドアに走って外に出ようとして取っ手を揺さ振りますが鍵がかかっていました。

ラナ:エミリー!

腹を立てたラナはスツールをつかんでガラスに投げつけます、しかしスツールはただ跳ね返るだけでした。
パニックになったラナはガラスを叩き続けます。

ラナ:助けて!誰か!
   誰か助けて!
   誰もいないの?
   助けて、お願い!

フェイドアウト。

第2幕 場面 1
ルーサー・コープ。
日中。
ライオネルは水の入ったグラスを持ってオフィスのソファーに座っています。
頭痛でもするかのように手で頭を抑えしかめっ面をします。
レックスが入ります。

レックス:政府と契約をしたような顔には見えないな。
     (ライオネルは静かに笑います)
     大丈夫なのか?
ライオネル:(立ち上がり)
       ああ、大丈夫だ。
        (ジャケットの前をあわせボタンを掛けます)
       あー、聞きたいんだが、その、お前の助けが必要なんだ。
       色んな事で実績のある者がいるんだが、彼の業績に報いたいと思っているんだ…
       どうしてやればいいか分からない。
レックス:俺には分からないな。
ライオネル:それは彼を信頼していないと事か。
       もし私の立場ならどうする?
       彼にチャンスを与えるか、正直に言って?
       不確かな罪を認めるのか?
レックス:多分、親父がその人物の信頼を疑わせる同じ冷酷な性格は会社を運営することとなると彼に価値ある資産を作るだろう。
ライオネル:あるいは彼らは納得するかもな…

ライオネルは手を伸ばしてレックスのシャツを引き裂き胸に貼り付いている送信機をさらけ出します。
彼は送信機をとってレックスの顔の前に突きつけます。

ライオネル:…嘆かわしい事だ。
レックス:親父…
ライオネル:お前は私を裏切った。
       実の親をだ。
レックス:親父が俺に教えたように、俺は自分を守ったんだ。
ライオネル:レックス、我々がどんな問題を抱えていたとしても、それは家の中だけに留めて置くべきだ。
       こんなマネはするんじゃない!
レックス:じゃあ、言わせて貰うぞ、親父!
     メトロのラボで起きた殺人事件には、俺は全くの無関係だ。
     親父は何の説明もしない血液の実験のために俺を警察に売った。
ライオネル:お前をもっと強くするためにやった事だ。
レックス:苦痛だけだ!
      信頼関係を築く振りをして俺に隠し事は通用しない!
      親父自身がやった事だ。

ライオネルはレックスから顔をそむけてソファーに戻り座りました。

レックス:うかつだったな。
     どうしてなんだ、親父?
     どうしてそんなはっきりしないプロジェクトに危険を冒すんだ?
      何がそんなに重要なんだ?

ライオネル:もし私を信頼していれば、その質問をしなくてもよかったんだ。
       出ってくれ。

レックスはゆっくりと踵を返し部屋を出て行きました。
ライオネルの机の上の電話が鳴ります。
彼は電話に出ました。

ライオネル:何んだ?

電話の向こう側の人物はレックスと共謀しているはずのFBIのエージェント、ロダーでした。

ロダー :もしもし、ロダーです。
      あなたの息子さんは何も見つけていない。
     もしそうなら、信じて欲しい、忘れることにする。
ライオネル:そうか。
       他は…どうなってる?
ロダー:ロスの子供を見張っている。
ライオネル:分かった。
       話して来い。
ロダー:もうやってる。

ロダーは携帯電話を切って机の方に向きます。
いくつかのファイルを開くと中にはクラークの写真がありました。

第2幕 場面 2
クラークは屋根裏で望遠鏡の脇の椅子に座っています。
夜。
彼はラナと夕食をするためにいい服を着ていましたがラナはそこにいません。
クラークは不幸せそうに床を見下ろします。
ジョナサンは、入ってくると手すりをノックします。
クラークが彼を見ます。

ジョナサン:母さんがお前がここにいるって言ってな。
クラーク:心配しないで、父さん。
       ラナに待ちぼうけをさせられたよ。
       秘密はまだ大丈夫。
ジョナサン:いいか、ラナがどうして今晩ここに来なかったのか、色んな訳があったのかもしれない。
       それはお前に何の関係もないかもしれない。
クラーク:ラナに信頼されない理由は沢山あるよ。
     でも諦めてはいないよ。
ジョナサン:私はお前に諦めさせるつもりはない、そうだろ?

クラークが決然と父親を見上げます。
ジョナサンはクラークの真向かいに椅子に座ります。
ジョナサン:クラーク、人は時として長い時間待つことができるものだ。
クラーク:父さん、僕はラナに始めて会った時から彼女を好きになったんだ。
     父さんだって知ってるでしょ。
     今でもその気持ちは変わらないよ。
ジョナサン:お前の事じゃない。私の事だ。
       いいか、父親とは誰かに言われなくても自分の息子の人生を手助けしたいと思うものだ。
クラーク:でもそれはあまりいい考えだとは思えない。
ジョナサン:ああ。そうだな。
       だがなクラーク、正直言って私は自分の直感には自信がない。
       お前の思う通りにやってみなさい。

クラークがうなずきます。

第2幕 場面 3
タロン。
日中。
コーヒーショップは営業を再開しています、タロンは客でいっぱいでした。
エミリーがバーでコーヒーを注いでいるとドアからクラークが入ってくるのに気付き不安そうな顔をしました。
彼がバーに近づくと彼女は彼から顔をそむけます。

クラーク:すみません。

エミリーは微笑しながら向きを変えます。

エミリー:いらっしゃませ。
クラーク:僕はクラーク・ケントといいます。
      ラナの友達の。
エミリー:まあ、それじゃコーヒー一杯は無料にしますね。
クラーク:実は、彼女を探しているんですが。
     夕べ彼女と会う約束をしていたんで。
     クロエが彼女と最後に会ったとき、ここで君と一緒だったって聞いたもので。
エミリー:ああ。 彼女、話さなかったのかしら?
      ラナは行ったわ。
     もうパリに向かってるはずよ。
クラーク:二日後のはずでは?
エミリー:多分気が変わったんじゃないかしら。
クラーク:彼女が誰にも別れも言わずに行ってしまうはずがない。
エミリー:彼女が、お別れを言うのがイヤだって聞いたけど。

クラークが一瞬考えてバーから顔をそむけて去ります。

第2幕 場面 4
古い小屋。
日中。
内では、ラナはまだガラスの部屋に囚人のように抑留されています。
彼女は静かにベッドの上に座っています。
エミリーが食事を乗せたトレーを持ってガラスの外を歩いてきます。
彼女は子供らしい微笑でガラスの部屋に入ります。

エミリー:冷凍食品を持ってきたわ。
     私達の好きだったものよ。
     チョコレートケーキもね。

エミリーはテーブルにトレーを置きます。

ラナは不安を隠そうと落ち着いた声で子供に話すようにエミリーに語りかけます。
エミリーはテーブルの脇の椅子に座ります。

ラナ:エミリー、あのー、あなたは今まですごく大変で、一人ぼっちだったって思うわ。
   でもこんな場所に私を閉じ込めておくのが友達っていえるの?
エミリー:もしあなたが出て行くっていうなら、どうして親友っていえるの?
ラナ:手紙だって書けるし、それに私のところに来たっていいわ。
    (立ちあがり)
   パリを見たくない?
エミリー:ううん。
     そんなとこへ行かせたくない。
     ここの方がもっといいわ。
     分かるでしょ。これから沢山面白い事をするの。
     そしてあなたの気が変わったら、一緒にタロンで働くのよ。

ラナはテーブルの脇に歩いてエミリーの真向かいの椅子に座ります。

ラナ:エミリー、友人の押し売りはできないのよ。
   お互いに信頼し合う時間が必要なの。
エミリー:友人が何なのか分かってるわ。
     友人とは支えあって守りあうものよ。
      (エミリー立ち上がって動揺します)
     たとえ自分の命が危険でも友人を助けるためには危険な川に飛び込む事ができるのよ。
     あなたからそんなウンチク聞きたくないわ。
ラナ:それじゃ、あなたが友人なら決して私をこんなところに閉じ込めないことも分かるでしょ。
エミリー:すぐに慣れるわ。
      私もそうだったから。

ラナはガッカリして目を伏せます。
エミリーはテーブルに深く座ります。

ラナ:皆が私を探しに来るわ。
エミリー:いいえ。そんな事はないわ。
     (彼女は微笑します)
     皆にはあなたはもうパリに行ったと言っておいたから。

ラナの顔は恐怖におののきエミリーを見て泣き始めます。

第3幕 場面 1
レックスの屋敷。
日中。
レックスとクラークが書斎で話をしています。

レックス:親父が送信機をを見つけたよ、クラーク。
     証言を取れないならFBIは事件から降りるとさ。

クラーク:君のお父さんのした事を探るのはあまりにも大変な事じゃないのか。
レックス:まあな、親父は痕跡を消す事にかけては一流だ。
     お前はその事について何も知らないんだろ?
クラーク:(悩み)
     親友にも隠す事なのか?
     話してくれ、レックス。
レックス:なあ、俺は少し切羽つまっている。
     お前を驚かさないように、具体的に話してくれないか。
クラーク:ラナのチケットの事。
     どうして変えた事を教えてくれなかったんだ?
レックス:お前に許可を求める必要はないと思ったんだが。
     どちらかといえば、お前にもう少し時間をやろうと思ってな。
      クラーク、あのチケットは彼女が望んだときに行くことができるようにフリーチケットにしたんだ。

レックスは机に座ります。

クラーク:君にも別れを言わなかったのか?
レックス:何の事だ?
クラーク:新しいタロンのオーナーの娘によると、その日は今日だったんだ。
      ラナは行ってしまった。
レックス:クラーク、新しいオーナーに娘はいない。

クラークは不意を突かれました。

第3幕 場面 2
エミリーはタロンの外でドアに錠を掛けていました。
夜。
彼女が帰ろうとするとクラークが彼女を待っていました。

エミリー:ごめんなさい、もう閉店したの。
クラーク:どうしてラナが行ってしまったって言ったんだ?
     友達のコネを使って調べたよ。
     彼女は飛行機に乗ってなかった。
エミリー:心配なの?
     あなたってあまりいい友達じゃないみたいね、彼女を行かせてしまうなんて。
クラーク:ラナに何をした?
エミリー:彼女はもうあなたが必要じゃないの。

エミリーは去り始めます、しかしクラークは彼女の行く手を阻みます。

クラーク:ラナがどこにいるか言え!
エミリー:私が小さかったときはあんなに優しかったのに。
     あなたも私をおかしいって言うのね。
      (彼女は後に下がり始めます)
     だから誰からも好かれないのよ。

エミリーは向きを変えて超スピードで走り出します。
彼女は路地の終わりのレンガ屏にまでくると吸い込まれるように通り抜けました。、
クラークも超スピードで彼女を追い着くと壁に手を触れ唖然とします。

第3幕 場面 3
スモールビル高校。
夜。
トーチで クロエが働いています。
ライオネルが入ってきます。

ライオネル:今晩は、サリバン君。
クロエ:廊下に出てった方が安全だって思いませんでした。
ライオネル:そうかね、皮肉がうまいな。
       ここに来たのは君の助けが必要だからだ。
クロエ:沢山人がいるでしょう、ルーサーさん、私に何をさせたいんですか?
ライオネル:君の友人の事だ。
        ラナ・ラングの。
       私が世話をしている友人の娘なんだが、行方不明でね。
       居場所が分からんのだよ。
クロエ:彼女に会ったらお祝いを言ってるわ。
    それがラナとなんの関係があるんですか?
ライオネル:その娘の父親が娘を探しているんだが。
       その父親も行方知れずになってしまった。

ライオネルはジャケットの中に手をいれエミリーの写真を取り出すとクロエに手渡します。

ライオネル:彼女は、あー、子供のときラナの親友だった。
       それで彼女はここ、スモールビルに来るかもしれない。
       彼女は病気なんだ。重い。
       治療が必要だ。
       もしその娘がスモールビルにいるなら、君が会ったかもしれないと思ってね。
       見つけたら連絡が欲しい。

ライオネルはクロエに有無を言わさず部屋を出て行きました。
クロエがエミリーの写真を見つめます。

第3幕 場面 4
ラナは虚ろな顔でガラスの外を見ながら立っていました。
日中。
エミリーはラナの後ろのテーブルに座っています。

エミリー:ラナ。
     お茶が冷めるわよ。

ラナは振り向き笑顔を見せながらテーブルに歩きます。
彼女はテーブルからティーポットを取ります。

ラナ:もっと飲む、エミリー?

エミリーは微笑してうなずきます。

ラナはエミリーのカップの中にお茶を注ぐ振りをしてエミリーの頭をポットを殴ります。
ティーポットは粉々になりエミリーは床の上に気を失いました。

ラナはエミリーから鍵を奪い取るとドアまで走り、
鍵を開けると部屋から出て小屋へと走ります。
別の馬小屋に走っていくとその中にビニールに包まれた二つの死体が横たわっているのに気付き悲鳴を上げました。
すぐにその場を走り去り、小屋のドアにたどり着いた途端彼女の前にエミリーが立ちはだかっていました。
彼女がほとんど小屋のドアへであるとき、エミリーは彼女の前(に・で)突然立っています。

エミリー:(脅すように)
     もうあなたなんて友達じゃないわ。

ラナは息を切らし恐怖で彼女を見ます。

第3幕 場面 5
トーチではクロエがクラークにエミリーの写真を見せていました。
日中。

クラーク:これはエミリー ・ディンスモアだ。
     タロンの外に彼女の父親の車が放置されていた。
クロエ:ライオネルが去年、橋からラナを突き落とした後捕まえたのね。
    その間に壁抜けの力を身につけたんだわ。
クラーク:少なくともライオネルがなぜ彼女を連れ戻そうと一生懸命なのかわかるよ。
     レックスに先を越されるとまずい。
クロエ:(混乱し)ちょっと待って、どうしてレックスが?
クラーク:クロエ、レックスは自分の父親を逮捕させるためにFBIに協力していた。
クロエ:クラーク、レックスがライオネルの悪事を探しているのを知っていたのなら、どうして祖父母の事を話さなかったの?
クラーク:それはライオネルがした事の確かな証拠がなかったから。
     それに前にその事を調べたとき、レックスを死なせかけた。
クロエ:でももし私達がエミリーを見つけたら、ライオネルが不法にクローン人間を作っていたと証明できるでしょ。

クラークはうなずきます。

クロエ:エミリーはいつでも逃げ出せたのに、どうしてまた現れたのかしら?
クラーク:多分彼女は永遠にラナを失うことになったことが分かったんだ。
クロエ:それじゃどうするの、ラナを行かせないようにするために?

クラークがそれについて考えます。

クラーク:二人が初めて会った頃まで遡るさ。

クラークは机に行ってコンピュータの前に座ります。
クロエが彼の後に従います。

クロエ:それって子供の時のこと?
クラーク:エミリーはまだラナを親友だと思ってる、二人が一緒に遊んでいた頃だ。
クロエ:まあ、あなたはラナの隣りに住んでいたから。
    二人が遊んでいたのを見たの?
クラーク:いや。
     二人はほとんどエミリーのところで遊んでいた。
     その場所がどこなのか探すんだ。

クラークがサーチ・エンジンの中に「ディンスモア」とタイプし「検索」をクリックしました。

第3幕 場面 6
エミリーはガラス張りの部屋のベッドから離れます。
日中。
ラナはベッドに縛り付けられています。

エミリー:さようなら、ラナ。
ラナ:エミリー、お願い、止めて!

エミリーは部屋を出てドアを閉じます。

ラナ:エミリー、お願い!

ガラスの部屋の外には有毒な塩素ガスの大きなタンクがあります。
エミリーはタンクから出ているパイプを部屋の通気孔に入れバルブを開くとガスは室内に立ち込めます。
ラナは窒息し始めます。

小屋の外で、クラークが超スピードでやってきます。
彼はX線ビジョンを使いラナがガラスの部屋の外にあるタンクとベッドに縛り付けられたラナを見つけます。
彼は小屋の中に超スピードで突進しガラスを破り中に入ります。
ラナはベッドで意識を失いました。
クラークがパイプに近づきパイプをへし曲げガスを止めます。
エミリーは冷淡に彼を見ます。
クラークがラナに走り戻ってラナを解き放ち彼女を抱きかかえます。
エミリーは超スピードで走り去ります。

小屋の外に出たクラークは 干し草の梱を枕にラナを横にさせました。

クラーク:ラナ。

ラナは咳をして意識を取り戻します。

ラナ:(弱弱しく) クラーク。

ラナは再び気を失います。
クラークが辺りを見回すとエミリーが小屋の中から彼を見つめているのに気がつきます。
彼女は馬屋の中へと超スピードで移動するとクラークも彼女の後を追い超スピードを出します。
彼が彼女を小屋の外まで追いかけると未舗装の道に巨大な水タンクがありました。
クラークは水タンクの脚にヒートビジョンを放ち水タンクを倒します。
大量の水がエミリーへと流れていきます。
水に足を取られたエミリーは倒れ気を失いました。
クラークはエミリーのところに行って彼女の脇にひざまずきます。
彼は彼女が呼吸しているのを見ます。

第4幕 場面 1
ピートは静かな薄暗い道を車で走っていました。
夜。
ピートの車の後ろで パトカーの赤色灯が光りサイレンが鳴り響き路肩に停車するように言われます。
ピートが路肩に停車するとパトカーもその後ろに停車します。
警官が車から出て運転席にやってくるとピートの顔に懐中電灯の光をあてます。

ピート:スピードが出てましたか?

警官はエージェントのロダーでした。

ロダー:いや、違うが、車から降りてもらいたいんだ。
     (ピートにバッジを見せます)
     FBIだ。
    君のいくつか聞きたい事があってね。
    そんなに時間はとらせない。

ピートは車から出ます。

ピート:人違いをしてるんじゃないですか?
ロダー:ピート・ロスだね?
ピート:お袋のことか?
ロダー:連邦判事はお決まりの保安検査をしなければならないんでね。
     君にいくつか尋ねたいことがあるんだ。

第4幕 場面 2
レックスの屋敷。
日中。
書斎で レックスがクロエと話をします。

レックス:それじゃ、君は親父を刑務所に入れるための情報を持っていると。
クロエ:そうよ、あなたをベル・リーブで七週間の記憶を失わせた理由。
レックス:君は親父が何を隠そうとしていたか知っているのか?
クロエ:レックス、あなたの父親は自分の両親を殺したの。
     安アパートの火事で。
    モーガン・エッジっていう犯罪者と手を組んでね。
     あなたはビデオテープにエッジの自白を撮ったの、でもあなたのお父さんがそれを破棄したのよ。
レックス:その証拠がない。

レックスは不幸せそうにクロエから離れます。

クロエ:(イタズラぽい笑みで)
    ライオネル・ルーサーの自白がボイスメールにあるわ。
     彼はそれを消去しようとしたわ、
    でも消去されたボイスメールはコンピューターと同じで正しいパスワードを使えば復活できるのよ。
レックス:どうしてもっと早く俺のところに来なかったんだ?
クロエ:あなたの主治医は偶然で木に衝突したわけじゃないわ。
    あなたが調査依頼をした人物の遺体を死体安置所で見せてくれた。
    ルーサー家の内情は少し忙しくなるわね。
レックス:クロエ。
     俺のためにこんな事をするなんて。
     だが君の申し出は親父とFBIの板ばさみになる。
     それは非常に危険だ。
クロエ:(正直に恐れ)
    分かってる。
    でもあなたのお父さんから逃げ出す手は他にないの。
    それに、あなたが私を助けてくれるでしょ。

クロエが明るく微笑しますが目には不安があります。
レックスは彼女に自信のある顔を見せます。

第4幕 場面 3
ピートは川の脇の桟橋に倒れています。
日中。
彼の鼻は腫れあがり頭の脇からは出血していましたがまだ意識があります。
エージェントのロダーは乱暴に彼の腕をつかんで無理やり立たせました。
ピートの手は一緒に平手で打たれます。

ロダー:立つんだ!

ロダーは桟橋の端に向かってピートを歩かせます。

ロダー:泳ぎ方を知っているか、ピート?

ピート:(ロダーの束縛から抜け出そうとします)
    放せよ!
ロダー:はぁ?
ピート:何をするんだ?!
ロダー:もう我慢の限界だ!

ロダーは桟橋の先端までピートを押します。

ピート:頭がおかしいんじゃないのか!

ピートは膝をつきます。

ピート:あいつの秘密なんし何も知らない。
ロダー:お前は奴の親友だろ。

ロダーはピートにかがみます。

Loder :いいですか、もしお前が望むならヒーローを演じ続ければいいさ、だが命を粗末にするほどの事か?

車が背後に停車します。

ピート:(決断し)
     何も話さないからな。
ロダー:ほお、そうだろうと思ったよ。

ロダーが拳を振り上げピートの顔を殴ろうとしました。

レックスがロダーの後ろから叫びます。

レックス:ロダー!

ロダーは止まります。

レックス:ピート、大丈夫か?

ピート:(立ち上がり)
    お前がこの男にクラークの事を?
レックス:いや、だが親父がやったんだろう。
      (ロダーに)
     親父の差し金か?
     俺とあんたがつるんでいる事を知った親父があんたを買収したんだろ。
     それなら親父の事から手を引いた事に納得がいく。

ロダーはレックスに近づきます。

ロダー:いいか、自分の父親を密告するような奴にそんな事は言われたくないな。
レックス:それでクラークの事を探らせるためにいくらで寝返りしたんだ?
ロダー:あのな、俺があんたの立場なら、こんな農家の子供の事を心配するより、
    メトロポリス警察のが疑っている殺人容疑の方が心配だがな。
レックス:どういうわけか、俺はあまり心配していない。
     賭けてもいい、あんたの面白い尋問方法に興味がある。

レックスはピートをちらっと見ます。

ロダー:何が望みだ、ルーサー?
レックス:あんたが元の仕事に戻る事さ。

レックスはポケットから一枚の紙を取り出します。

レックス:これが親父の全ての証拠だ。

ロダーは紙を見ます。
それはクロエとライオネルの会話を録音したボイスメールの写しでした。
親殺しのライオネルの完全な自白でした。

ロダー:失敗だったな、レックス。

ロダーは紙を折り畳んでジャケットのポケットにしまいます。
彼はピートに向かって歩きます。

ロダー:(レックスに)
     こいつはあんたや親父さんよりもっと大きな秘密を持っている。
     (ピートに)
     そうだろ、ピート?

ピートは返事をしません。
ロダーはレックスに手錠の鍵を投げて桟橋から出て行きます。
レックスはピートのところに行きます。

レックス:大丈夫か?

ピートはうなずきます、そしてレックスは手錠の鍵を開けます。

レックス:クラークが俺の代わりにお前に打ち明けたのは残念だったな。
     (レックスはピートの肩に手を置きます)
     あいつは親友の俺には話してくれなかった。     
      さあ。

レックスはピートの背中に手を置いて桟橋から彼を歩かせます。

ピート:あいつに殺されるかと思ったぜ。
    助けてくれて感謝するよ。
レックス:時が来れば、お前も俺のために同じことをするだろうよ。

第4幕 場面 4
クラークが家の外のフェンスの脇に立っています。
日中。
ピートが車でやってきて車から降ります。

クラーク:(ピートに向かって歩き)
     やあ、ピート。

クラークがピートの痣を見ます。

クラーク:何があったんだ?
ピート:FBIのエージェントがつくづくイヤになったぜ、お前の事を聞かれたよ。
     心配しなくていい、何も話してない。
クラーク:(責任を感じ)
      僕が駆けつけていれば。
ピート:そりゃそうだけど、いつも一緒というわけにはいかないだろ。
    俺自身が気を付ける事だ。
    あいつらはお前の事を調べまくっているぜ。
クラーク:教えてくれてありがとう。
ピート:クラーク、FBIの事じゃない、本当に気をつけるのは。
     レックスがそこにいたんだ。
    あいつがFBIから俺を助けてくれたんだ。

クラークは驚きますがレックスの側に立ちます。

クラーク:あいつは父親を調べてるんだ、僕じゃない。
ピート:その事は重要じゃない。
    奴は知っている。
    今はどのぐらい知っているのか分からないが、全てを知るまで止めないだろうな。
    ( クラークはピートを見つめました)
    なあ、気をつけろよ。

ピートはクラークの肩を軽くたたいて車に向かって歩き始めます。

クラーク:ピート。
     (ピートは止まります)
     どうしてそんな言い方をするんだ?
ピート:お袋と一緒にウィチタに引っ越すんだ。
クラーク:そんな、ピート。
     それじゃ、三年生はどうするんだ?
      (ピートは返事をしません)
      ピート…ピート、行かないでくれ、僕のために。
ピート:俺はお前の秘密を守ることなんて簡単だって言った。
    でもそれはウソだ。
    いつ話してしまうのかビクビクしながら毎日過ごしてるんだ。
クラーク:じゃあ、どうしてもっと早く話してくれなかったんだ?
ピート:それは、お前には親友が必要だったからさ。
     そして俺もな。
クラーク:(ピートの気持ちを変えようと必死で)
      行かなくてもいい。
      生活を変えなくてもいい。
      方法があるはずだ。
       誰も僕らが親友だと分からなくてもいいんだ。
ピート:俺にできることは沢山あるさ。
    でも、もしお前を裏切るような事になったら一生悔やむ事になる。
クラーク:ピート…

ピートは泣き始めます。

ピート:じゃあ、またな、クラーク。

ピートはクラークを抱きしめます。
クラークの顔はぼう然としています。
ピートが抱擁から離れると彼はクラークの目を見つめ肩を軽くたたきます。
それから彼は車に目を移し歩きます。
ピートが車に乗り込み行ってしまうのを クラークは一人たたずみ見送ります。

第4幕 場面 5
クラークが太陽が沈むのを見ながら屋根裏にいます。
日中。
ラナが入ります。

ラナ:ハイ。
クラーク:ラナ。
ラナ:聞いたわ、エミリーがベル・リーブから直ぐに姿を消したというのを。
クラーク:ああ、強い鎮静剤を打たれていたにも関わらずね。
ラナ:彼女は戻って来ると思う?
クラーク:いや。
     ライオネルがそれを調べると思うよ。
      (ラナは目を伏せます)
     大丈夫かい?
ラナ:ええ。うん、平気よ。

ラナはクラークと約束した夕食の食器が置いてあるコーヒーテーブルの方に目を向けます。

ラナ:夕食を無駄にしてごめんなさい。
クラーク:それはいいさ。
     信頼を回復できたと思ってるから。
ラナ:まあ、本当に食事を楽しみにしていたのに。
クラーク:(ほほ笑んで)
      僕もだよ。
ラナ:それで、うーん、私に話したいことがあったんでしょ、何なの?

クラークは ラナに近づき。

クラーク:僕が話したかったのは…

二人はしばらく見つめあいました。
ラナは緊張しています。
ついにクラークはラナに顔を近づけ頬に優しくキスをします。
彼女は目を閉じてキスを受け入れます。

クラーク:パリで素晴らしい時間を過ごしてきて。
     君の探している物を見つけられるといいね。

ラナは少し失望してうなずきます。
彼女の目は涙でいっぱいになります。

ラナ:(ほとんどささやき)
    さようなら、クラーク。

クラークが微笑で答えます。
ラナは向きを変えて屋根裏を去ります。
クラークは沈んでいく太陽の金色の光の中と完全な静寂の中に一人佇んでいました。

第4幕 場面 6
ライオネルはルーサー・コープのオフィスでクラシック音楽をかけていました。
夜。
彼は机に座って音楽のリズムにあわせて指揮をしていました。
彼は深呼吸をし、何か考えていました。
レックスが入ってくるとゆっくりとライオネルの机に向かって歩きます。
ライオネルはクスクス笑います。

ライオネル:「神よ彼らをお許しください。彼らは何をしているのか分からずにいるのです。」
       お前が私に期待するのは何だ?
       許しか?
レックス:俺は親父の裏切り者じゃない。
      許してもらうためにここに来たわけじゃない。
      別の件を隠しおおせた事を祝福しに来た。
       エミリー ・ディンスモアだ。
ライオネル:ああ、そうか、エミリー ・ディンスモアか。
       思い出したよ。
       警告しておくべきだったな。
       (彼は笑います)
        ベル・リーブはその患者を忘れる癖があるんだ。
       細かい事は、お前にいつも教えようとしていたんだ、レックス。
       悪魔はいたるところにいるとな。
       気をつけていないと(小さな声で)奴が勝つ。
レックス:それじゃ俺がいい生徒でよかたな。
      自分の息子を忠実にさせるため精神病院に押し込み、自分の罪を隠そうと息子の頭に600Vもの電気を流すなんてな。
      だが俺は言ったはずだ、親父、不注意だったな。

レックスは冷淡に父親を凝視します。
エージェントのロダーの他二人のエージェントがはオフィスに入ります。
ライオネルは混乱し立ち上がります。

ライオネル:ロダー、どうしてここに?
ロダー:ライオネル・ルーサー、あなたを逮捕します。

ライオネルはレックスに振り返りじっと見つめます。

ライオネル:何の容疑で?

ロダー:両親のラックランとエリザ・ルーサーの殺人容疑だ。

ロダーは机の周りを歩いてライオネルの背後から手首に手錠をかけます。

ロダー:行くぞ。

ロダーはドアに向かってライオネルを連れて行きます。
途中でライオネルはレックスの脇に止まって彼の耳にささやきます。

ライオネル:(威嚇するように)
       注意しろよ、レックス。
       忘れるな。
       ユダは自分で自分の首をつるした。

レックスは無表情なままでいます。
ライオネルとエージェントはオフィスを去ります、そしてレックスはその場に佇みます。
彼は目を閉じます。

フェイドアウト。

おしまい