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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン4.01Crusade[改革]

第1幕 プロローグ
3カ月後
クロエの声が聞こえてきます。
その声は録音されたようなくぐもった声です。

クロエ:何から話していいのか分からない。
    山ほど質問したいでしょうね、でもどれだけ答えてあげられるか分からないわ。

クロエがモニタに映っています。
スモールビル高校のトーチのコンピュータの録画された物でした。
夜。
そのモニタの机の前にいて見ているのは長い茶色い髪をした若い女性でした。

クロエ:もしあなたがこれを見ているなら、おそらく私は死んでいる事になるわ。
    あなたは私にとって素晴らしい友達だったわ、もっとあなたに話さないといけないのは、あなたの事が好きだったの。
    クラーク、お願い、誰が私を殺したのか見つけだして。
    あなたしかできないの。

クロエの机に座っていた女性は、ロイス・レインです。額にシワを寄せ益々不安そうな顔をしてモニタを見つめます。
ビデオの映像はクロエがカメラに手を伸ばしスイッチを切ると、モニタはホワイトノイズになりました。
ロイスは瞬きして次に何をするべきか分からないというように目を伏せます。

ロイスは車でスモールビルの舗装もされていない暗い田舎道を走っていました。
道路はさっきまで降っていた雨のため濡れています、そして空にはまだ雲が垂れ込め遠くで稲光が光っています。
ロイスはいら立った様子で携帯で話をしています。

ロイス:K・E・N・T、ケント。
    農場よ。
    住所が分かる?

ロイスは耳と肩の間に電話をはさみコーヒーカップを取ると一口飲みます。

ロイス:(頭を振り)
    うん、うん、うん。
    あのさ、さっきルート31号を右に曲がるって言ったでしょ。
    今、道に迷っちゃったのよ。
    (間があり)
    ええ、トウモロコシが沢山生えてるわ。

稲妻が道路の右のトウモロコシ畑に落ちます。
ロイスは窓越しにそれを見ます。

ロイス:きゃっ!

携帯は壊れたようでロイスは携帯を耳から放します。
彼女は携帯を閉じて下に置きます。

ロイス:(苛立ち)もういいわ。

彼女はバイザーに挿んであったタバコを取ろうとバイザーを下げタバコを取りルームミラーを見ます。

ロイス:いいわ、もしあなたがこれを吸んなら、あなたを憎んで夜を過ごすからね。

彼女はタバコを放しバッグの中に手を伸ばしガムを取り出します。
彼女が道路から目を逸らしたその時、車の右前方に火の玉が煙をたなびかせ落ち爆発を起こしました。
ロイスはそれを避けるために右に急ハンドルを切ります。

ロイス:キャーッ!

彼女は車のコントロールを失って道路から外れトウモロコシ畑の中に突っ込みます。
トウモロコシを何本も倒しながらやっと車は停車しました。
彼女は深呼吸をします。
それから彼女は曇った空を見上げます。
雲の別々の三箇所から稲妻が発生し彼女は驚きます。
三つの稲妻は途中で一本に収束し白く輝くエネルギーの玉になってロイスの車からさほど遠くない場所に落ちました。

ロイス:(屈みこみ)キャーッ!

エネルギーが消えたあとなぎ倒されたトウモロコシの巨大な環がロイスの車の前にあります、そして所々まだ燃えていました。
終息していくオレンジ色のエネルギーは残った火を消し去り消失しました。
ロイスはダッシュボードの上にゆっくりと顔を出し慎重にフロントガラス越にのぞき見します。
それから車から出て燃えてできた輪を驚いて見回します。
車のヘッドライトは筋肉質の男がロイスに背を向けて倒れているのを照らし出していました。
彼女は彼に向かって歩きます。

ロイス:なんて事なの!?

倒れている男はクラーク・ケントでした。
クラークは目を開けると地面に手を付きロイスに背中を向けたまま立ち上がりました。
彼はゆっくりと見回します。

ロイス:あなた…大丈夫なの?

クラークは返事をしません。

ロイス:名前は何ていうの?

ロイスはゆっくりとクラークに向かって歩きます。
クラークは振り向かずに答えます。

クラーク:分からない。
ロイス:病院に連れて行ってあげるわ。
クラーク:(ロボットのような機械的に)
     大丈夫だ。
ロイス:稲妻に直撃されたのよ、それに裸だし、自分の名前だって覚えてないじゃない。
    それなのに「大丈夫だ」はないでしょ。

クラークはついにロイスに振り返ります、彼女はなるべく見ないように努力します。

ロイス:(自分に)彼の顔を見て…

ロイスの目は努力にもかかわらず下の方に下がります。
クラークはロイスが恥らっているのを理解できないかのようにロイスを見つめます。

ロイス:トランクから毛布を取ってくるから。
    そこを動かないで。すぐに戻ってくるから。

彼女が行こうとすると。

クラーク:待って。
     (彼女は止まります)
     君は誰だ?
ロイス:ロイス。ロイス・レインよ。

ロイスは車に行きます。
クラークはぼんやりと彼女を見ます。

第1幕 場面1
中年のアラブ人男性が古代の墓のような場所の壁に小さな穴を開けます。
日中。
彼はアラブ語で何かを叫びます、そして数人の男性たち、考古学者が何を見つけたのか見るために彼の傍に急ぎます。
皆が穴の中に手を伸ばしてホコリまみれになりながら穴を広げます。
最初の男がついにエジプトが起源に見える布に包まれた小さな古代の像、頭飾りを着けた鳥の顔の男の像を取り出します。

男:(勝ち誇ったように頭の上に像を持上げ)
  Allah Ho Akbar!(神は偉大なり!)
  アラーホー・アクバー!

他の男たちも全員興奮し彼と一緒に名前を叫び始めます。
レックス・ルーサーは白いシャツ、白いパンツと白いジャケットを着て墓に走り込みます。
彼らは明らかに暑い地方にいます。
アラブ語で話す男はレックスの前にひざまずいて彼に像を手渡します。
レックスは最大の注意を払って像を受け取ります。
彼は像の向きを変えてじっと背中を見ます。
ホコリを拭い去るとクリプトンの記号が縦に二列像の後ろに書かれるのを見ます。
レックスはシンボルを見つめ興奮していました。

第1幕 場面2
スモールビル医療センター
夜。
エレベータからロイスとクラークが出てきます。
クラークは赤い毛布に包まれています。
ロイスは直ぐにエレベータから出ますがクラークはその場に立っていました。
ロイスはクラークが着いて来ていない事を知り腕を掴みエレベータから出るように促します。
クラークの顔と声は完全に無感情です。

ロイス:ついてきてよ。
クラーク:どうしてここに来たんだ?
ロイス:検査をしてもらうのよ。
クラーク:僕はなんともない。
ロイス:(クラークの腕を掴み彼を歩かせます)
    毎年何人が雷に打たれると思ってるの?
    ほとんどいないのよ。
    それに加え何人助かると思ってるの?
    もっと少ないのよ。
    更に道に迷った車に拾われる確立は?
    ゼロよ。
    その三つとも偶然が重なって助かったんだから文句言わないの。

彼らは受付係に到着します、そしてロイスはブースの後ろに立っている男に声をかけます。

ロイス:すいません。
    直ぐに検査をしてもらいたい人を連れてきたんですけど。
病棟勤務員:(書類を机の上に置きます)
      この書類に記入して、保険の証明もね。

クラークはロイスから離れロビーをぶらつきます。

ロイス:ちょっと問題があって。
    彼が誰なのか分からないし…彼もわかってないの。
    記憶を失っているようで、この病院に連れてきたんですけど。
    (病棟勤務員は怪訝そうな顔でロイスを見ます)
    毛布を持ってきてもらえます。

ロイスが帰ろうとすると病棟勤務員はブースから出てきて彼女を引き止めます。

病棟勤務員:まぁまぁ、まぁまぁ。
      ここが動物保護施設のように見えるのかい?
      我々が彼を知っている者を探し出すまで、君は彼と一緒にいて欲しい。
      これは病院の方針でね。

クラークは壁に掛けられた絵に向かって行くと鏡に映った自分の姿を見ます。
それから彼は右に向きステンドグラスの窓の前へと二、三歩近づきます。

ロイス:あのね、私は良かれと思ってやったのよ。
    でもこの人に対して責任はないはずでしょ。
病棟勤務員:責任はありますよ。
      保安官代理に電話をしますから話して下さい。

クラークは像に触れようと手を伸ばすと毛布が床に落ちます。
老婆の患者が廊下を歩いてくるとクラークのむきだしの尻に息をのみます。
ロイスと病棟勤務員はクラークを見ます。
ロイスはニッコリ笑い病棟勤務員は苛立ちます。

ロイス:まず最初に彼の服が必要ね。

病棟勤務員は皮肉にロイスにうなずきます。
老婆はクラークを見てニヤニヤします。

第1幕 場面3
パリのエッフェル塔。
日中。
細い通りには車と歩行者が込み合い道の両側には商店街が並んでいます。
ラナは歩道を歩きながらプロカメラマンのように二人のパリジャンの幼い子供たちの写真を撮るためにひざまずきます。
二人の子供は写真のために微笑します。

ラナ:メルシー。

子供たちは彼女にほほ笑んで歩き去ります。
ラナの背後にはレックスの写真を載せた号外のフォーブズ誌の拡大コピーされた表紙が掲示されていました。
彼女は通り過ぎながらそれを見ます。
反対方向に歩く二人の若者がラナに口笛を吹いて微笑します。
彼女は微笑して歩いていると彼女の肩をつかむもう一人の若者に出くわして驚きました。
彼はジェイソン・ティーグでした。

ジェイソン:(アメリカの方言で)
      ああ、すいません。
      君はアメリカ人だろ?
ラナ:ええ。
ジェイソン:やった。
      君にお願いがあるんだけど?
ラナ:(用心深く)
   いいけど…犯罪に関係なければね。
ジェイソン:そんな、俺は会う事になってるんだ、そのー、ここのガールフレンドに。
      まあ、一緒に寝起きする仲なんだけど、まだ本当の彼女じゃないんだ。
      二ヶ月前の今日ここで出会ったんだけど、彼女にその記念品をプレゼントしたくて買ったんだ。
      君の意見を聞きたいんだ。
ラナ:分かったわ。
ジェイソン:オーケー。

ジェイソンはバッグのチャックを開けるとバイクに乗る時の黒いヘルメットを取り出します。

ラナ:まあ、多分それって彼女が期待している最新型なんじゃない。
ジェイソン:それじゃ「素敵」って言ってくれるかな?
      でもさ、最初に出会ったのが俺のべスパに彼女がぶつかってきたんだ。
      彼女は俺がハンドバッグを盗むつもりだと思って俺をバイクから蹴り飛ばしたんだ。
      昔フットボールで怪我をした痕が悪化して、彼女と病院で五時間も一緒にいてピンときたんだ。
ラナ:まあ、恋の予感ね。
ジェイソン:ああ。
      まあ、色んな事があったけど、衝撃的な出会いだったんだ。
ラナ:じゃあ、彼女はどういう風に思ってるの?
ジェイソン:分からないんだ。
      その事は話してくれない。
      思うんだけど、彼女は何か傷ついているんだ、でも話した方がいいんじゃないかと思ってる。

ジェイソンは深刻にラナを見ます。
彼女は顔を上げて微笑します。
彼らはゲームをしているように思われます。

ラナ:まあ、でもオートバイのヘルメットじゃ「愛してるって」伝わらないんじゃないかな。
ジェイソン:そうか。
      週末にニースに行くんだ…もし彼女が興味があるなら。

ジェイソンは希望を抱いてラナを見ます。
彼女は不意を打たれたように思われます。

ラナ:もし私のために男の人がそんなにロマンチックな事をしてくれたら、キスしちゃうかも。
ジェイソン:えっ?
ラナ:(静かに)そうよ。

ラナはジェイソンの肩に手を置き二人はキスをします。
彼女は彼の顔を手で撫で微笑して戻ります。

ラナ:あなたと一緒にニースに行きたいわ、ジェイソン。
ジェイソン:幸せな記念日だよ、ラナ。

彼女は微笑します、そして彼らは再びキスします。

第1幕 場面4
マーサ・ケントはスモールビル医療センターの病室にいます。
夜。
彼女はベッドの脇に座って声を出して本を読んでいました。

マーサ:「朝食の後、私は死者について話し、彼がどうやって死んだのか推測したかったのです、しかしジムは嫌がりました。
     彼はそれが不幸を招くと言いました、その上彼が我々につきまとうために戻って来るかもしれないと言ったのです」

彼女が本を読んでいる脇のベッドにはジョナサンが意識不明の状態で横たわっていました。
彼はいくつかの機械に繋がれ呼吸用のチューブが口を覆っていました。
女医がマーサの後ろに入ってくるとマーサは微笑しながら振り向きます。

マーサ:「ハック・フィン」なの。
    ジョナサンが大好きで。

医者は微笑します。

医者:マーサ、前に話した事だけど考えてくれた?

マーサ:(直ぐに)
    夫を見放す事はできないわ。
医者:3カ月も経って、何も変化が起きないのよ。
   (マーサはジョナサンに振り返ります)
   ジョナサンは脳死状態なの。
   保険も既に制限が掛けられているし。
   将来の事を考えた方がいいわ。
マーサ:(決然と)
    私の将来はこのベッドで横になっているわ。
    決して諦めないわ。

マーサは向きを変えてジョナサンの傍の席に戻ります。

別の病室ではロイスがバッグをまさぐりながらドアの脇のイスに座っていました。
彼女は手術着を着て彼女をベッドの上に座って見つめているクラークを見上げます。
ロイスは何かを言おうとしましたが何も言わずにバッグに戻ります。
クラークは立ち上がると開いているドアに向かって歩き始めます。
ロイスは椅子の上にバッグを置いて立ち上がるとクラークを止めるために胸を手で抑えます。

ロイス:いい、この部屋にいなきゃいけないの。
クラーク:ここにいる必要はない。
ロイス:ええ、まあ、二人ともね。

ロイスはクラークをベッドに押し返して座らせます。

ロイス:ここにいて。いい。
    (バッグを調べ続けました)
    私は従妹の死を調べるためにスモールビルに来たのよ。
    名前はクロエ・サリバン。
    彼女の事聞きたい?

クラークがぼんやりと彼女を見ます。

ロイス:そうよね、聞きたくないわよね。

ロイスはバッグから出て来たガムを取り出します。
クラークが好奇心を持ってそれを見ます。

ロイス:(説明します)ニコレットよ。

彼女は口に1粒入れると窓に向かって歩いて外を見ます。
彼女は動きながら神経質そうに早口で話しだします。

ロイス:タバコを吸うのをやめたのよ。
    これがないとまた吸いたくなっちゃうの。
    十五歳から吸い始めたわ。
    父親のせいよ。
    もし私がタバコを吸っているのを見つけたら殺すって言ったの、それで反抗期だった私は吸っちゃったのよ。
    それから止められなくなったの。
    今はガム中毒ね。

ロイスはベッドのまわりを回ってクラークの前で止ります。

クラーク:君はしゃべりすぎだ。
ロイス:まあ、ただ黙ってるって不安なのよね、だからあなたに話を聞いてもらわなくてもいいのよ。

ロイスはぶっきらぼうにクラークにほほ笑むとバッグから携帯を引っ張り出します。
彼女は時間を見てハッとすると壁の時計を確認します。

ロイス:もう45分、まだ医者が来ないの?
    分かる?小さな町の病院でもクレームものだよ。

クラークが立ち上がって再びドアに歩き始めます。
ロイスは彼の前に立っています。

ロイス:まぁまぁ!
    どこに行くのよ?
クラーク:帰るんだ。
ロイス:(自信を持って腕を組みます)
    じゃあ、最初に私をどけないと行けないわよ。

クラークはロイスの肩を掴むとヒョイと持ち上げドアの前からどかしました。
彼女は驚いて、そして次に少しにっこり笑います。
クラークが病室を出て行きます。

廊下では自動販売機からのコーヒーを取り出そうとしているマーサがいました。
彼女は出て行こうとするクラークを引き止めるロイスの声を聞きます。

ロイス:(クラークに)ねえ!

クラークは歩き続けます。
マーサはコーヒーを一口を飲むと声のする方を覗き込んで角を曲がってくるクラークを見ました。
彼女は一瞬ショックを受け硬直しましたがコーヒーカップを下に置いてクラークを追いかけます。

マーサ:待って!待って!
    待って、クラーク!

ロイスはクラークを止めることに成功します。

ロイス:オーケー、止まりなさい!
    (マーサを指し)
    なんですって?

マーサは二人に追いついてクラークの肩を掴み振り向かせます。

マーサ:クラークなのね!
   (彼女は彼を抱きしめます)
   よかったわ!
   もうあなたは戻ってこないと思ってたのよ!
クラーク:あなたは誰ですか?
マーサ:(驚き)私よ、母さんよ。

クラークはマーサが分からず見つめます。

ロイス:(マーサに)
    悪く思わないで下さい。
    彼、自分の名前も覚えてないんです。
    (ロイスはマーサに握手します)
    ロイス・レインです。
    ルート31号の近くの農場で倒れているのを見つけたんです。
マーサ:息子を助けてくれて、ありがとうございます。
ロイス:私、野良犬と裸の男の人には弱いから。

マーサは困惑しているように見えます。

ロイス:結局、うまくいかなかったけど。
    長い夜だったわ、タバコも吸えなかったし。
マーサ:(クラークに)
    来て、クラーク。
    家に帰りましょ。
クラーク:僕はサインを待っているんだ。
ロイス:医者に診察してもらうべきだと思いますけど。
    雷に打たれて頭が変になったんじゃないかと思います。
マーサ:えーと…ロイス?
    感謝はしてるけど、これは家族の事だから。
ロイス:(察して)
    分かりました。
    私はもう行きますね。

ロイスは歩き去ります。

マーサ:何が起きたのか分からないけど私と一緒に家に帰えりましょう。

クラークは返事をせずにマーサから目をそらします。
マーサはクラークのアゴを手でこちらに向け、分かりやすく話しだします。

マーサ:(早口で)
    サインを見つけるのを手伝ってあげるわ、でもここから出る必要があるの、ね?
    来て。

クラークはエレベータに導かれるまま歩きます。
廊下の向こうではロイスが肩にバッグを背負って病棟勤務員とすれ違いました。
彼は不審そうに彼女を見ます。

ロイス:(エレベータに乗るクラークとマーサを指差し)
    記憶喪失の子は母親に預けたわ。
    あの人の名前は知らないけど。
病棟勤務員:ああ、マーサ・ケントか。
      彼女はいつもここにいるよ。
ロイス:ケント?
    じゃあ、クラーク・ケントって?

ロイスは閉まりかけるエレベータに走ります。

ロイス:ちょっと待って!
    話があるのよ…

ドアは閉まります。

ロイス:…あなたに。

彼女は落胆してため息をつきます。

第1幕 場面5
車が砂漠を走っている。
日中。
道の脇にはアラブ語で空港と書かれた道路標識が立っています。
レックスは膝の上にブリーフケースを抱え車の後部座席に座っていました。
彼はとても疲れた顔をしていて息も荒く、起伏の激しい道に揺られならが腕時計を見ます。
助手席に座っているアラブ人男性が振り返ります。

男:この暑さには耐えられないでしょ、ルーサーさん?
レックス:俺がここにいた事は秘密にしておいてくれ。
     全て埋めておくんだ。

レックスは男にアメリカドルの入った分厚い封筒を手渡します。
男は金を見ます。

男:砂で埋めておきますよ。

レックスは返事をしません。
彼はどこか痛いかのようにしかめっ面をします。
車は角を曲がると個人用ジェット機のすぐ脇に停まります。

ジェット機の内部。
機内ではアメリカ人の女医ヴォーンが待っていて、レックスは上着を脱ぎながら後部にいるヴォーンのところへと歩きます。

ヴォーン:二時間遅れよ。
レックス:分かっているよ、先生。
     だが危険を冒しただけの価値はある。
ヴォーン:何がそんなに命より大事なの?
レックス:真実。

二人は後部に用意された小さな病室のような場所に行きます。
リクライニングベッドの上には輸血用のパックが二袋下がっていました。
レックスはシャツのボタンを外しシャツを脱ぐと、更に息を切らしてベッドに深く座ります。
彼の胸には小さな円形の装置が二つ貼り付いています。

ヴォーン:99.9%の者が死ぬはずの毒薬から生還したのよ。
     それだけでも奇跡だわ。
レックス:講義はいい。
ヴォーン:言ったでしょ、72時間以内に血液を入れ替えないとあなたの内臓は機能をしなくなるって。

彼女はレックスの腕と胸の装置にチューブをつなげます。

ヴォーン:あなたの命はかろうじて繋ぎとめられているの、レックス。
     もう危ない事は止めて。

レックスの血液がゆっくりとチューブを通って流れ出すとレックスは呼吸しようとします。

第1幕 場面6
クラークの屋根裏。
日中。
クラークとマーサが二階へと階段をのぼります。

クラーク:(見回し)
     この場所は?
マーサ:お父さんはあなたの孤独の要塞って呼んでいるわ。
    あなたが何か考えたり、星を見たりする場所よ。

マーサは窓の脇の望遠鏡を指し示します。
クラークは望遠鏡を無視して壁の脇においてある地球儀に近づきます。
彼は地球儀にさわり調べます。
マーサは机から額に入った写真を二つ取り上げます。

マーサ:じゃあ、この写真は?。
    記憶を取り戻せるかも。

クラークが写真を手に取ります。
最初はクロエとラナの写った写真です。

クラーク:この人たちは誰?
マーサ:あなたを愛する人たちよ。
    あなたは農場に現れる前、どこにいたか覚えてる?
クラーク:家のような感じがした場所にいた。
マーサ:(クラークを自分に向け)
    違うわ、クラーク。
    ここがあなたの家よ。

クラークは他の写真を見ます。
それはジョナサンの写真です。

クラーク:この男は分かる。
マーサ:(ほほ笑んで)
    よかったわ。父さんよ。
    思い出し始めたのね。
クラーク:僕の父親じゃない。
     こいつは僕の再生を邪魔しようとした。
マーサ:違うわ、クラーク。
    父さんはあなたを愛しているのよ。
    ジョー・エルからあなたを救おうとしたの。

ジョー・エルの言葉にクラークは反応し脅すような目で写真からマーサへ目を移しました。
マーサは何も言いません。

クラーク:いずれにしても、奴は死ぬ。

クラークは写真立を床に落としガラスが粉々に砕けました。
それから彼はマーサーを残して階段を下りていきました。

空を飛ぶレックスの個人用ジェット機。
レックスはまだベッドに座ったまま胸と腕にチューブがつながれていました。
彼は例の像を手にして調べています。
像をひっくり返して再び背中に書かれているクリプトンのシンボルを見ます。
コックピットからパイロットが内線通話で声を掛けます。

パイロット:シートベルトを緩めても構いませんよ、ヴォーン先生。

その矢先、乱気流に会い座っているヴォーンは座席の上で激しく揺れます。
レックスは像を手放し床に投げ出され粉々になりました。

レックス:ああっ、くそっ!

レックスがそれに手を伸ばし始めるとヴォーンが彼を止めます

ヴォーン:レックス、ダメよ、待って!
     私が拾うから!拾ってあげる!座ってて!

レックスが深く座り直すとヴォーンは粉々になった像の上にひざまずきます。
破片の中には透明なクリスタルがありました。
彼女はそれを拾い上げるとクリプトンのシンボルが描かれるのに気付いて好奇心を持って見ます。
レックスは彼女から結晶を取ると日の光に白く輝いていました。

納屋から出て行くクラークを追うマーサ。

マーサ:クラーク!

クラークは突然甲高い音を聞きます。
彼は耳を手で覆い苦痛の表情で膝を落とします。

クラーク:ウワァ!

マーサは何が起きているのか見つけだそうとして彼の腕に手を置いて脇にひざまずきます。
騒音は止まります。
クラークはマーサから顔をそむけて確信と自信に満ちた表情で空を見ます。
彼は立ち上がります。
マーサは一緒に立ち上がって彼の目を見つめます。

クラーク:(マーサを見ます)
     僕はクリプトンのカル・エルだ。
     (空に目を向けます)
     運命の時が来た。
マーサ:(怖がり)
    運命?!
    (彼女はクラークの肩を揺さ振ります)
    それはジョー・エルのこと!
    彼があなたにこんな事をしたのね!
    (マーサは彼を揺さ振り続けて絶望的に彼の胸をなぐり始めます)
    私たちの息子に戻って!
    私たちの息子を返して!

クラークはマーサの手をつかんで殴るのを止めさせます。

クラーク:クラーク・ケントはもう死んだ。

クラークがマーサを突き飛ばします。
マーサが地面に倒れるまでの間にクラークは膝を曲げしゃがみ込みます。
空気の歪みが輪となって彼の周りを取り巻くとジャンプをし超スピードで地面から舞い上がり空に飛び立ちました。
マーサは地面に倒れクラークが飛び去るのを目の錯覚かというような表情で見ていました。

空では、クラークが白い雲をつき抜け高く高く上空へと飛んでいきます。
既に空には星が見えるほど高く飛んでいました。
それから彼は下の青い地球に向かって飛んで行きます。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
パリの巨大な古い教会堂。
日中。
内ではベルが遠くで鳴り響き、ラナはチャペルの廊下を歩きます。
近くには他の観光客がいます、そしてラナは他の方向に歩いている修道女を超えて歩きます。
ラナが廊下の終わりに到着するとジェイソンが手を伸ばして彼女を掴み角に彼女を引っ張ります。
彼女は驚いて息をのみます。
ジェイソンは壁に彼女を押しつけ熱烈にキスをします。
彼女はついに離れます。
二人は教会堂の小さな角にいます。
二つの壁の上にはステンドグラスの窓があります。
太陽はステンドグラスから差込、かび臭い室内を黄色に染めます。
一つの窓の下には祭壇があり、もう片方には火の灯った沢山のロウソクが立てられていました。
室内の各箇所には鉄製の背の高い燭台に短いロウソクが灯っています。

ラナ:ジェイソン、止めてよ。
   ここは教会よ、芸術の歴史を調べないといけないのよ。
ジェイソン:分かったよ、俺を古い地下室に呼んだのは墓碑の拓本を取るためかい。
      何か別の目的があったと思ったよ。
ラナ:ティーグ、心が穢れてるわよ。
ジェイソン:でも俺は純粋な心を持っているぜ。

ジェイソンは再び彼女にキスするために顔を寄せますが彼女は目をそらします。
彼は彼女の腕をつかみます。

ジェイソン:待って、待って、待って、待って、待ってくれよ!
      なあ、もう次のターゲットは見つけてあるんだ。

ジェイソンは祭壇の脇の壁にラナを導きます。
祭壇の前の床には黄銅で作られた女戦士の彫版があります。
女性は王族らしいドレスを着ています。
片手には剣、もう片手には盾を持っています。

ジェイソン:君の芸術のお勉強をしてくれ。
      マーガレット・イザベル・セロー伯爵夫人だ。
      ここに書いてあるのは、彼女はあまりにもひどい事をして
      多くの人たちを悲しませた戦士の王女だったんだとさ。
ラナ:(ほほ笑んで)
   それって直訳なの?
ジェイソン:(ほほ笑み返して)
      いや、君とこの王女に共通点を見つけてね、
      知ってるかい?
      二人とも強くて、妥協せず、美しい。

ラナは笑います。

ラナ:仕事に取りかかるわ。
   あと一時間で教会が閉まっちゃう。
ジェイソン:俺は必要ないな。
      明日のデートの計画でも立てておくよ。

ジェイソンは微笑して歩き去り始めます。
ラナは混乱して彼を見ます。

ジェイソン:君の誕生日だったのを言い忘れてたよ。
ラナ:(驚いて)誰から聞いたの?
ジェイソン:情報源は政府高官からさ。
      (ラナは懐疑的に彼を見ます)
      分かった、入学許可事務所に20ユーロ渡したんだ。
ラナ:ねえ、ジェイソン、そんなのいいわ…

ジェイソンは手を上げ彼女の言葉と止めました。
彼は床の上に彫版を示します。

ジェイソン:話はそのぐらいにして。
      仕事をしたら。
      ところでさ、明日の朝十時にカフェ・ドゥ・フルリィで祝日のイベントがあるんだ。

彼は大きな声でフランスのアクセントでレストランの名前を言います。
すると隣の部屋から誰かが「シッ!!」と言うのを聞きます。
ジェイソンは声のした方向に見て慌てて教会から急ぎます。
ラナは笑います。

ラナ:分かったわ。

彼女は床の上の彫版に向いてその脇にひざまずきます。
彼女はバッグを床の上に置きます。
筒のふたを開けると白紙のロールを取り出し彫版の前半分に紙を覆い木炭を取り出しました。
紙の上から木炭でこすりだすと戦士王女の絵が現れはじめます。
顔の部分が完全に現れるとラナは一瞬こするのをやめて奇妙にそれを見ます。
それが何なのか説明する事はできないが彼女の顔を曇らせる何かがあります。
気を取り直して彼女は仕事を続けます。
段々と戦士の像が浮かび上がっていきます。
盾の部分に円に接するように二本の波形の線からなるシンボルがあります。
ラナは不可解にもシンボルに魅惑されます、そして彼女はそれに触れようと手を伸ばします。
彼女の指と紙の近くでシンボルは白っぽい金に光り始めます。
彼女がそれに触れるとき白い光の筋がシンボルから光り、突風が襲い彼女を後ろに仰け反らせます。
光が輝いて彼女は再びシンボルを見下ろします、
そしてかすかな光は強力な炎のように風はあらゆる方向に彼女の髪に吹きつけます。

光のスピードで雲を突き抜け飛んでいるクラーク。

第2幕 場面2
マーサは台所で動揺しながら電話をしていました。
日中。

マーサ:いえ、2日も待てないわ。
    今彼と話がしたいの。
    ねえ、彼に言って頂戴、息子の事、クラーク・ケントの事だって。

マーサは怒って電話を切ります。
ロイスが彼女の後ろの出入り口に立っていました。

ロイス:あの。

マーサは振り向き驚きます。

ロイス:(明るく)
    電話をしたんですけど、話中だったんで。
    キャッチホンがついてないんですか?

マーサはどう返事をしようか迷っていました。

ロイス:クラークはどこにいます?
マーサ:(間があり)
    二階よ。
ロイス:よかった!

ロイスは階段に向かって小走りします、しかしマーサは彼女の前に立ちふさがります。

マーサ:えーと、眠っているのよ。

ロイスはカウンターの上にコーヒーメーカーを見つけます。

ロイス:それって炒れた手のコーヒー?
    一日中コーヒー店を探してたの。
    (彼女はカウンターのところに行きます)
    スターバックスがない町なんて始めてよ。

ロイスはマグを手に取りコーヒーを注ぎます。
マーサは彼女の図々しさに驚き彼女の後に従います。

ロイス:この町で唯一のまともなコーヒーショップが閉鎖したって聞いたんですけど。
    ファルコンですか?

ロイスはコーヒーを飲みます。

マーサ:あの、ロイス、クラークを見つけてくれて感謝するわ、悪気はないんだけど…
ロイス:(スツールに座り)
    あの、お礼を言われるためにきたんじゃないんです。
    私の従妹のクロエの事でクラークに聞きたいことがあって。
マーサ:(誠実に)
    お気の毒だったわね。
ロイス:ええ。
   (ロイスはコーヒーを注ぐために戻ります)
   クラークとクロエは付き合ってたんですか?
マーサ:ええ、少しはね、でも…
ロイス:それは面白いわ、彼女は農家の少年に恋をするなんてタイプじゃなかったのに。
マーサ:本当よ、ここでは普通の事だわ。
ロイス:私は違うわ。
    いつでもメガネオタクがいいわ。
マーサ:クラークには色んな側面があるのよ。
ロイス:ええ、もういくつかを見たわ。
   (彼女は階段に歩きます)
    クラークと話したんです、もうじき起きます?
マーサ:わ、分からないわ。

ロイスはマーサに振り返ります。

ロイス:今しかないんです、彼はクロエの公正を得る唯一の可能性なんです。
    FBIの死因審問は先週終わりました。
    爆発を事故と裁定した。
    つまり、どうして隠れ家でガス漏れがあたのか?

マーサは呆然としています。

ロイス:そして2週間、ライオネル・ルーサーは大手を振って出て行こうとしてる。
    クロエの死が…無駄になるわ。
マーサ:もしクラークが何か覚えているなら、クラークからあなたに電話をするようにさせるわ。
ロイス:(うなずき)
    クロエが残した記録では、あなたはライオネルの下で働いていたそうですね。
    ライオネルに面会に行ったら拒否されました。
    何があるんです?
マーサ:(うなずき)
    近づかない方がいいわ。
    ライオネルの網の中に入らない方がいいの。
ロイス:あなたはどうやって無傷に逃げられたの?
マーサ:無傷じゃないわ。

ロイスは緊張してまばたきします。
マーサはロイスの置いたコーヒーカップをとります。

マーサ:(穏やかに)
     さようなら、ロイス。
ロイス:さようなら。

ロイスは去ります。

第2幕 場面3
空を飛んでいるレックスのジェット機。
日中。
レックスはもうチューブに繋がれていませんでしたが結晶を調べながらベッドの上に寝ています。
シャツは来ていましたがボタンはしていません。

コックピットでは、副操縦士がレーダーを見て物凄いスピードでジェット機に近づいて何かが飛んで来るのを見ます。

副操縦士:(パイロットに)
      これを見てください。
パイロット:これは何だ?

副操縦士は当惑し頭を振ります。

パイロット:鳥か?飛行機か?

クラークは飛行機のドアのすぐ外まで雲をつき抜け飛んできました。
彼がドアを掴んで剥ぎ取ると内圧外圧の関係で内側の空気が突風として出て行きます。
レックスは喘いでベッドから落ちます、そしてヴォーンは彼の後ろの床に落ちます。
緊急警報が鳴ります、そして酸素マスクが天井からぶら下がります。
レックスは風で飛ばされないように床に止められたベッドの足にしがみついていました。
クラークが飛行機の中に入ります。
レックスとクラークは閉じられたドアによって切り離されていて、お互いを見ることができません、
しかしクラークは正確に結晶がどこにあるのか知っていて後部に向かって手を伸ばします。
レックスは結晶を落としましたそれは彼の脇の床に転がります。
レックスは結晶に手を伸ばします、しかし結晶は空中に浮かびドアを突き破ってクラークの手の中に収まりました。
レックスがドアに空いた穴から外を見ようと立ち上がったとき、
クラークは結晶を握り締め飛行機の外へと超スピードで移動しました。
レックスが見たときには既にクラークはいなくなっていました。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
マーサはクラークが落としたジョナサンの写真のガラスを掃除するため屋根裏でひざまずいています。
日中。
女性、ブリジット・クロスビーが彼女の後ろの階段の上に立っています。
ブリジットが声を掛けるとマーサは驚きます。

ブリジット:あなたが捜している答えはこの小屋の中では見つけられないと思うわ。

マーサは立ち上がります。
ブリジットは握手を求め手を伸ばして近づきます。

ブリジット:ブリジット・クロスビーです。スワン博士の使いです。
マーサ:すみませんが…
ブリジット:スワン博士と個人的に話ができるとでも思いました?
マーサ:彼と話し合う事は他の人を通しては語れないわ。
ブリジット:あなたの気持ちは分かりますよ、カル・エルの事を全く見知らぬ者と話すことは。
マーサ:(腹を立て)
     スワン博士は誰にも話さないとクラークに約束したはずじゃ。
ブリジット:(彼女は手を上げ、マーサを落ち着かせます)
      あなたの息子さんの秘密は財団の外には漏らさないという約束です。

マーサは気が動転しブリジットから少数離れます。

マーサ:間違ってたわ。
     電話をすべきじゃなかった。
     第一、クラークがスワン博士と出会わなければよかったのよ。
ブリジット:二人が出会うずっと前からあなたの息子さんの運命は動き出していたのよ。
マーサ:クラークの事は何も知らないくせに!
ブリジット:(長い間があり)
      その通りよ。あなたの言うとおり。
      でもその召命はあなたよりも偉大な者を愛することがどんな事なのか分かってるわ。
     (彼女はマーサに向かって歩きます)
マーサ:(より小さな声で)
     あなたとスワン博士のこと?
ブリジット:(うなずき)
      異なった人生よ。
      (彼女はマーサの腕に触れます)
      マーサ、話してくれればあなたを助けてあげられるわ。
      今、あなたの息子はどこにいるの?
マーサ:分からないの。
     (間があり。秘密を打ち明けるかのように)
     飛んで行ったわ。
     空を飛んでいったの。
ブリジット:(驚いて)
      それじゃ…完全にクリプトンの運命を受け入れたのね。
マーサ:あなたはその運命が何なのか知っているの?
ブリジット:いいえ、でも3カ月前に農場にできたシンボルを見たでしょ?
      あれは「改革」を意味するクリプトンのシンボルよ。
マーサ:ジョー・エルが何をしたのか分からないわ、でもクラークはまだ心のどこかにいるのよ。
ブリジット:マーサ、父親の意志への唯一の挑戦は…母親の愛よ。
マーサ:私は…一人でクラークに立ち向かうなんてできないわ。
ブリジット:あなたがしなくてもいいの。
      見て。

ブリジットが小さな箱を開けると中には黒い石が入っていました。

ブリジット:これは黒いクリプトナイトよ。
      あなたは彼の唯一の希望なの。

マーサは疑わしげにクリプトナイトからブリジットに目を移します。

第3幕 場面2
合衆国刑務所。
日中。
レックスがライオネルの格子のある部屋に入ってきます。
ケージの中ではライオネルが二つの本の山に足を乗せベッドに手をつき腕立て伏せをしています。
彼は白いタンクトップとオレンジ色の刑務所パンツを身につけています。
非常に筋骨たくましく見えます。

レックス:(非友好的に)
      親父、いい体つきになったな。
ライオネル:(まだ腕立て伏せをします)
       レックス、さっきまでお前の記事を読んでいた。
       興味深い記事だ。

ライオネルは腕立て伏せを止めベッドからタオルと雑誌メガネを取ります。
彼はメガネをかけて、フォーブスの表紙の文句にニヤリとしながら格子の端に向かって歩きます。
見出しは「ルーサー・コープの救済者」と書かれています。

ライオネル:知っているか?ムッソリーニも救済者と呼ばれていた。
       そして何が彼に起こったか見極めてみろ。
レックス:親父、もしルーサー・コープの苦難を批判するんなら鏡を見た方がいいんじゃないか?
      (ライオネルは笑います)
      社長が殺人犯として捕まったんだ、消費者も意欲を失うさ。
ライオネル:ああ…
       世界中を無駄に飛び回っていても株主には何の特にはならんからな。
       (ライオネルはメガネを外します)
       私はオリの中だ、レックス。
       死んではいない。
       (レックスは冷淡にニヤリとします)
       私がお前を見張ってないとでも思っていたのか?

ライオネルはレックスに背を向けて本の束の上に座ります。

レックス:それならどうやってやったんだ?
ライオネル:何の事だ?
       (彼はビンの水を飲みます)
レックス:20,000フィートのジェットを壊したのは?

ライオネルはレックスを変な顔をして振り返ります。

ライオネル:顔色が悪いぞ、レックス。
       大丈夫か?
レックス:(答えを拒否し)
      どこにあるんだ?
ライオネル:正直に言って、レックス、何の話をしているか分からない。
レックス:親父の記憶をリフレッシュしてもいいんだぞ。
      太古の昔、科学が進歩し世界中に隠された三つの遺物。
      伝説ではその三つがそろえばアレクサンドリアの図書館さえ恥をかくほど圧倒する知識の宝庫だと伝えられている。

レックスは反応を待って期待するように手を伸ばします。
ライオネルは微笑します。

ライオネル:お前はおとぎ話を追いかけているのか、レックス。
レックス:親父がこれまでの2年に渡って6つの遠征隊の資金調達をした十分に信頼のおけるおとぎ話だ。
ライオネル:ルーサー・コープ財団を通していくつかの教育の発掘に資金を供給してきたさ。
       そうだろ?
レックス:それで。
      それで洞窟の同じシンボルを持つ遺跡に焦点をあてたのか。
      (間があり。ライオネルは目を伏せます)
      その遺物が命を救えると思っているのか、親父?

ライオネルは頭を振って笑います。

ライオネル:そんな愚かな時間はないんだ、レックス。
       私は殺人の容疑で裁判を受るんだからな。
       (立ち上がって)
       そして容疑が晴れたら、私をここに閉じ込めた者達は私の怒りを買うだろう。
レックス:クロエにしたようにか。

ライオネルはメガネを掛け新聞を拾い上げます。

ライオネル:クロエ・サリバンは悲劇的な事故で死んだんだ。
       彼女は死ぬのには値しない。
レックス:だが俺にはしたな?
      ブランデーに毒を入れた理由は何だ?
ライオネル:(腹をたて)
       おい、私がそんな事をする怪物だとでも言うのか?
       ブランデーに毒を入れて、家を爆破する?!

レックスはライオネルが「家を爆破する」と言ったとき、レックスは同時にライオネルの台詞に声を重ねました。
ライオネルは怒ってメガネをぐいと引っ張ります。

レックス:救急医療師が来るまでの十分間、倒れていたんだ、親父!
      十分だぞ。
      普通の成人男性なら至死量だと言っていた、明らかに俺は普通じゃない。
ライオネル:いや、お前は普通だ。
       私の息子だ。
レックス:(ささやき)
      神のご加護だ。
      (彼は踵を返します)
      親父には俺は殺せはしない。

彼は去ります。

第3幕 場面3
カワチ洞窟。
日中。
ナマンとサゲスの壁画。
クラークは結晶を持って洞窟に入り壁の八角形の溝のところに近づきます。
彼は手の平を溝に押し付けます、すると周りのすべてのシンボルが輝いて交互に光ります。
彼は青、赤、黄色に光る3つのシンボルに触れます。
すると彼が触れた3つのシンボルは八角形の溝の左側に回転しながら並び、
クラークの左への壁が目がくらむほどの白い光を発し開きます。
クラークは隠された部屋へと踏み出します。
部屋の中は明るく中央には八角形の石の祭壇のよな物がありました。
円の中にクリプトンのシンボルがあります。
クラークはレックスの飛行機から取ってきた結晶を取り出し見つめます、
それから中央の結晶がぴったりとハマる溝に結晶をはめ込みました。
三角形を形成した結晶は光り輝きます。

パリのベッドで横になっているラナ。
日中。
彼女はドアのノックに目を覚まし驚いています。
彼女の髪はもつれ息を切らして汗まみれです。
ノックはしつこく続きます。
窓から吹き込む風がカーテンを吹き上げ、全裸であったラナは不安そうにシーツを体に巻きつけます。
部屋の向こう側のイーゼルの上はセロー伯爵夫人の木炭拓本が立っています。
ノックにラナはシーツを纏って立ち上がります。
彼女はゆっくりとドアに向かい、チェーンロックを掛けてから錠を開けて慎重にドアを開けます。
ジェイソンがそこに立っていました。

ジェイソン:(混乱し)
       どうしたんだ?
       十時に会う約束だろ?
       もう十二時だぜ。
       大丈夫か?

ラナは顔にかかった髪の毛を手串で直そうとしますができませんでした。
彼女の手は震え息を切らしています。

ラナ:(不安になり、怖がって)
   ええ、どうやってここに帰ってきたのかも分からないの。
   気を失ったのかも。
   下で待ってて。

ジェイソンは何か言おうとしましたがラナはドアを閉じます。
彼女は向きを変えて変な顔をして部屋を見ます。

洞窟の壁から出てくるクラーク。
彼は壁が閉まるのを見ます。
それから彼が去るために振り返るとマーサが小さな箱を持って彼の前に立っていました。

クラーク:ここに来るべきじゃない、マーサ・ケント。

何も言わずにマーサは箱を開いて黒いクリプトナイトを掴むとクラークの胸に叩きつけます。

クラーク:うあぁー!

隕石は紫かかった青い光を放ちだします。

マーサ:クラーク。
     まだそこにいるのなら…
     私はあなたを愛しているわ。

マーサが腕を伸ばし隕石をクラークに押し付けたままいると、クラークは後退しながら青い光に包まれます。
クラークは息を呑み、シャツがはだけると以前胸に焼き付いていたクリプトンのシンボルが光の突風を放ちます。
クラークの上半身は左右に揺れて、上半身が二人に分離しました。
そして片方は腹を立て所有欲が強いカル・エルで、もう片方は自暴自棄で怖がるクラークでした。

カル・エル:(邪悪に)
       だめだ!!!
クラーク:(恐れ)
      母さん!
マーサ:クラーク!
    (彼女は息をのみます)

明らかに二つの性格に分かれたクラークの精神。
カル・エルの胸にはシンボルがあり、クラークの方にはありません。
カル・エルがクラークの顔を殴ります。

クラーク:母さん?

カル・エルはサディスティックに微笑しクラークの首を締め上げます。

カル・エル:人間がお前を弱虫にしたんだ。
マーサ:クラーク!!!

息を詰まらせ返事もできずクラークはマーサに目を向けます。
彼女は彼に黒いクリプトナイトを投げますそして彼はそれを捕えます。
クラークが隕石を掴むとカル・エルの胸を殴りつけ後ろの壁へと飛ばしました。
光が穴の両玄から出てきます。
クラークとカル・エルはお互い戦い合い、カル・エルは白い光のエネルギーに飲み込まれます。
そしてそのエネルギーはマーサを後ろの壁へと吹き飛ばしました。

病院のベッドでは意識を取り戻したような喘ぎをするジョナサンがいて、
看護師が病室に走ります。

目を閉じ地面に横たわるクラーク。
マーサが彼の側に這っていくと彼は目を開き始めます。

マーサ:クラーク…

マーサはクラークの頭を膝に乗せ彼の髪を指でかきあげ。

マーサ:クラークなの?
クラーク:僕だよ、母さん。
      戻ってきたんだ。
マーサ:(ささやき)
     ああ、クラーク。

マーサは地面に横たわる息子を穏やかに抱きます、そして彼は彼女の愛情を感謝して受けいれます。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
スモールビル医療センター。
日中。
ジョナサンの病室では、ジョナサンは普段着を着てベッドに座っています。
クラークが病室に入ると、ジョナサンとマーサは熱烈にキスをしていました。
クラークが咳払いをします、そして二人は少し恥ずかしそうにキスをやめます。

クラーク:医者は何て言ったの?
ジョナサン:まあ、歩いて息をしているのが奇跡だと言っていたよ。

マーサは再び彼にキスします。

ジョナサン:(クラークに)
       これもお前のおかげだ。
クラーク:本当のヒーローは母さんだよ。
      母さんがいなかったら、僕は今頃カル・エルのままだ。

クラークがやましげにマーサを見ます。

ジョナサン:クラーク…あの壁の中に引っ張りこまれた後の事を覚えているのか?
クラーク:覚えているのは最後の二日ぐらいだよ。
      それに色々と混乱している。
ジョナサン:クラーク、母さんが言っていたが…空が飛べるのか?
クラーク:カル・エルならね。
      クラーク・ケントはまだ地球に拘束されているよ。
ジョナサン:どんな感じだった?
クラーク:驚いたよ。
      それに怖かった…もしあんな事ができるんなら何でもできる力があるんだから。
マーサ:あなたはできるのよ。
クラーク:違うよ、それは母さんの方さ。
      僕がいなくなって、父さんがこんな事になって三ヶ月もの間辛抱強く待てるなんて。
マーサ:私の父は私によく言っていたわ、人生は自分で掴み取る物だって。
     挫折しそうになった時もあったわ。
     でもそんな時はこの家族で我慢してきた事やこれから先の楽しい事を考えていたの。
     そして待ち続ける力を見つけたわ。
     また三人で一緒に暮らせると信じていたから。

マーサとジョナサンは抱き合います。
クラークも進み出て三人で抱きしめ合います。

第4幕 場面2
ラナはシャワーに立っています。
日中。
彼女はお湯を出し顔から頭へシャワーを浴びます。
目を閉じ蒸気が立ち込めると深呼吸をしてシャワーを堪能します。
シャワー・カーテンの外からは彼女の脚やカーテンレールを掴む腕が左右に揺れ動くシルエットが浮かびます。
彼女は顔にかかった髪の毛を手串で後ろに払い、不安そうにシャワーの下で立ち続けます。
シャワーを止めるとタオルを胸の前に上げてシャワー室から出ます。
彼女が鏡の前を通り越そうとしたとき鏡に映った自分の背中を見ました。
彼女の腰の上にセロー伯爵夫人の盾に刻まれていたシンボルの黒い入れ墨があります。
ラナはそれを見てぼう然としています。

第4幕 場面3
ライオネルは手鏡を見て短い頭を撫で回していました。
部屋のドアが開くのをライオネルは鏡で見ました。ロイスです。
彼は振り返りませんでした。

ライオネル:マーサ・ケントじゃなかったのか。
ロイス:(格子に向かって歩きます)
     もしロイス・レインって言ったら会ってくれたのかしら?

ライオネル:ロイスレイン。
      ああ。

ライオネルは立ち上がってケージの端に向かって歩きます。

ライオネル:君はクロエ・サリバンの従姉か。

ロイスはケージに近づいて怖気づかずに格子に手をかけます。

ライオネル:もったいない事を。
       (ライオネルはロイスの指に触れそれを見て)
       爪を噛むのか?
       悪い子だ。
       だがドアを開けることができても私と話すことはできないぞ。
       (警備員に)
       警備員?

ライオネルは座ってメガネをかけて本を拾い上げるとベッドに戻っていきます。

ロイス:私は隠れ家が爆発事故だとは信じてません。
ライオネル:そうだろうな。
       私がやったと思っているんだな。
ロイス:いいえ。
     雇ったんでしょ…そんな事をする人を。
     絶望的よね。
     あなたがやったんじゃないもの。

ライオネルはメガネを外します。

ライオネル:そうかね、レイン君、興味がわいてきたよ。
       何が言いたいんだね?
ロイス:(ほほ笑んで)
     何もないわ。
ライオネル:(笑い)
       それなら何故ここにいるんだ?
ロイス:(突然真剣に)
     従妹を死に追いやった人の顔を見ておきたかったからよ。
     (ライオネルは目をそらします)
     あなたが手を降したわけじゃないかもしれない、でもあなたの差し金でしょ。
ライオネル:彼女を聖人にする前に、きちんと事実を話そうじゃないか、いいね?
       事実はこうだ、私は彼女に持ちかけた。
       彼女は受け入れた。
       私は終わらせようとしたが、彼女はそうしなかった。
       その結果彼女はアクシデントに見舞われ死んだ。
       その事に関しては私はなんの関係もない。
       次に来るときはもう少し怒りを抑えてくれたまえ。

ライオネルはメガネを戻し本を拾い上げます。
彼はまだ見つめているロイスを見ます。

ライオネル:動物園の開園時間は終わっているよ、レイン君。
       さようなら。

ロイスはドアに向いますがたどり着く前に引き返します。

ロイス:知ってますか…
    (彼女は彼をもて遊んでほのぼのとしたケージに戻って歩きます)
    誰かがあなたにこの贈り物を与えたという事は、あなたを死ぬのよ。
    そしてあなたはその誰かを知らない、何故なのか分からないけど、
    でもクロエの証言がなければあなたは自由になれるはず。
    (ライオネルは彼女を無視します)
    それとも覚悟はできてるのかしら?

ロイスは回答を待ちません。
ライオネルがメガネを外して彼女を見ると、彼女はドアに歩いてノックをします。
ドアが開くとロイスは彼に最後の微笑を与えます。
それから彼女は去ります。

第4幕 場面4
墓地。
日中。
クロエの墓石があります。
「クロエ・サリバン、1987-2004、最愛の娘」と書かれていました。
ロイスは墓石の前に花束を置きます。
彼女は墓石にひざまずいて話をします。

ロイス:告白するわ。
    あなたの葬儀には行かなかったの。
    葬儀なんて嫌いよ。
    (彼女はため息をつきます)
    お父さんは皆が行くって言ったけど、でもそれは普通の場合だわ。

彼女は泣き始めます。
彼女は涙を押しとどめようと努力して悲しげに彼女自身をあざけり笑います。

ロイス:こんな弱虫の自分が嫌いよ。
    ここに来た瞬間にその意味が分かったわ。
    あなたにこんな事をした犯人を必ず見つけ出すわ。
    たとえ一人でもね。

クラーク:(ロイスの後ろから)
     一人じゃないよ。

ロイスは花束を持ったクラークを見ていら立ちます。

ロイス:よくも私の前に顔を見せられたわね。
クラーク:ゴメン、ロイス、君がここに来てるって知らなくて。

ロイスは深呼吸をしてクラークの前に立ち上がります。
彼女は彼の衣服を見ます。

ロイス:今度はまともに服を着てくれて嬉しいわ。
    私が誰なのか覚えているのも驚きだわ。
クラーク:クロエの従姉だろ。
    (彼は彼女に向かって歩きます)
    ニコレット中毒に静寂が苦手って事もね。
ロイス:またいつかあなたの脳みそが壊れるんじゃないの。
クラーク:あの、これまでの数日間の事は僕にも説明できない。
     でもクロエは親友だった。
     彼女がいなくなって寂しいのは一人じゃない。
     (クラークが悲しげに墓石を見ます)
ロイス:私一人よ。
クラーク:何もかも一人で背負い込むタイプだね。
ロイス:父親は私を自立できるように育てたのよ。
クラーク:(少し刺すよう、しかし友好的です)
     それが君の表現の一つなんだね。
ロイス:いい、今のところあなたのお母さんしか好きになれないわ。
    あなたが奇妙な行動をするのをあなたのお母さんほど冷静になれないわ。
クラーク:(微笑)
     ねえ、クロエにこんな事をした犯人探しを手伝わせてくれないか?
     この町にいる間は僕の家に泊まっていればいいさ。
    (ロイスはためらいます)
     車の中で生活するよりはましだろ。
ロイス:(受け入れ)
    ありがとう。
    でも私は夜にも出歩くしベッドも必要ないわよ。
    少し時間を与えてあげるわ。

ロイスは歩き去ります、そしてため息と共にクラークは墓石の方に向きます。
彼は一瞬墓石を凝視し墓石の前の草に目を移します。
ある考えが浮かびますがためらいます。
それから彼は草の場所に焦点を合わせてX線ビジョンで下をスキャンします。
地面の中の棺を透視すると中は空でした。

クラーク:ロイス!

ロイスは振り返ります。

クラーク:クロエはまだ生きている。

フェイドアウト

おしまい