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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン4.03Facade[見せかけ]

第1幕 プロローグ
スモールビル高校のフットボール場。
日中。
フットボール場の端には大きな正方形の旗があり「スモールビル高校、ホーム・オブ・ザ・クロウ、2001」と書かれています。
学生たちは皆選手と同じユニフォームを着てフィールドの周り立ち紙の旗を振ってリードするホイットニー・フェルドマンを応援をしています。

三年前の2001年一年生。

クラークは拍手して物欲しそうに準備された小さなステージへと進む興奮したフットボール選手を見てフィールドの端に立っています。
舞台ではホイットニーがメガホンで叫びます。
選手と群衆はクラウンドに留まって声援し続けます。

ホイットニー:俺たちの今年の目標は?
群衆:          おーっ!
ホイットニー: 声が小さいぞ!
                   どこが州の優勝者だ?
群衆:           クロウだ!
ホイットニー:俺は勇敢な1年生が来てくれる事を希望している。

ホイットニーは群衆を見回しステージの階段からグラウンドへ降ります。

ホイットニー:そうだな、皆の中から俺よりいいクォーターバックになれると思う者は?

彼はクラークの方を見ます、クラークは目を伏せます。

ホイットニー:[メガホンを下げ]
        ケント!
        どうだ?
クラーク:はぁ?
      [ホイットニーが彼に向かって歩きます。
      クラークは不安そうに頭を振ります]
      そんな。
ホイットニー:[ニヤついて]
        お前はチームに志願するより牛の乳絞りの方が忙しいからな。
        そんなお前にもできるのは少しでも愛校精神を示す事だぞ。

彼はクラークにボールを投げるとクラークは受け取りました。
それからホイットニーは後ろの群衆に向けてメガホンを上げます。

ホイットニー:皆そうだろ?

皆は興奮して叫びます。

ホイットニー:さあ早く、ケント。
        スモールビル高校の一年生にシュートを見せてやれ?

クラークは水タンクが準備されたフィールドの向こう側を見ます。
ラナはカラスの絵が描かれたTシャツを着て水タンクのプラットホームの上に座っています。
クラークが狙う場所はラナの左側に丸に×印の場所です。

ラナ:[興奮して]
   さあ早く、クラーク!

クラークははにかんでラナにほほ笑みます。
それから彼は彼女の首にかかる真赤なクリプトナイトのネックレスを見ます。
クラークに影響を与えるにはあまりにも遠くにいますがラナの呼びかけは彼をいっそう緊張させます。
そして彼の手が震え始めると彼はボールをしっかり握ります。
ホイットニーともう1人の選手がクラークをあざけり笑います。

ラナ:[まじめに]
    落ち着いてゆっくりでいいから。
    さあ、クラーク、あなたならできるわ。

クラークはボールを投げようと腕を引くと女学生のアビー・ファインに邪魔をされます。
彼女はマスコットのクロウの被り物をかぶってフィールドを走ります。
頭には大きな被り物をして辺りを跳ね回りながらカラスのまねをします。

アビー:カー!カー!
     チームを応援して!
     カー!カー!
     フォーッ!

彼女はクラークとラナの間のフィールドの中を走り回り、群衆はマスコットに声援を送ります。

アビー:イエーイ、ゴー・クロウ!
     フォッ、フォー!
ホイットニー:[アビーに近づきながらメガホンで]
        おい、そこのカラス!
        今年幸運な1年生は誰だ?

もう1人の選手、ブレット・アンダーソンもアビーに向かって歩きます。

ブレット:[意地悪く]
      おそらく毎年のように沢山落伍者がでるんだろうな。
     [マスコットにジェスチャーで表現します]
      さあ、それを外して。
      外して顔を見せろよ。
クラーク:おい、放っておけよ。
アビー:皆、放っておいてよ、お願い。

もう1人の選手がアビーが逃走するのを阻止して腕をつかみます。

ブレット:[クラークに]
      何だって?
      マスコットを拷問するんだよ。
      伝統だからな。
アビー:放っておいてってば。
     触らないで!
     [ブレットはアビーのマスクを外します]
     止めて!

マスクが外されると乱れたブロンドの髪をした少女、厚い縁メガネと顔中ニキビだらけでした。
群衆全体は息をのんで、そして笑い始めます。

ブレット:アバタだらけのアビー。
      おい、アバタだらけのアビーだ!

彼は群衆の方に向いて、カラスのマスクを振り回しながらニックネームを歌うように言います。
群衆は参加します。

ブレット:アバタだらけのアビー!
     アバタだらけのアビー!
群衆:アバタだらけのアビー!
    アバタだらけのアビー!
    アバタだらけのアビー!
    アバタだらけのアビー!
    アバタだらけのアビー!

詠唱は続きます。
クラークはどうしようかと静かに立っています。
アビーは群集を見回しいっそう侮辱されたように感じ泣き始めます。
彼女はついに向きを変えて逃走します。

ブレット:[頭の上にマスクを持ち上げ]
     マスクをしろよ、アバタ!

ホイットニーが背中を群衆に向けます。

ホイットニー:分かったか、次は誰だ?
        誰があの娘を水に落とすんだ?

クラークは不幸せそうに目を伏せます。

アビーは駐車場に走って駐車しているトラックに寄りかかりすすり泣いていました。
彼女はメガネを外して目を拭います。
それから彼女は向きを変えてトラックの窓に映る自分の顔を見ます。

現在に戻り女性の声が聞こえてきます。

アビーの顔の3次元のコンピュータシミュレーションが映っています。

女性:かわいそうなアビー。
    三年もかかってしまったわ、でもママがあなたを助けてあげるからね。

彼女は研究室の診療台で胸と腰の部分を二つの金属製の帯で止められています。
女性の声は彼女の母親であるファイン博士で、ゴム手袋と白衣を身につけて診療台の脇に立つ魅力的な女性です。
彼女はアビーの髪を優しく撫でます

ファイン:心配しないで、アビー。
      あなたに最終学年を無駄にさせないわ。
アビー:私を好きになってくれる人が現れるって約束できる?
ファイン:もちろんよ、約束するわ。
      私みたいにね。

アビーは笑顔になります。
ファイン博士は壁に近づきボタンを押します。
診療台の上でブーンと音が鳴ります。

ファイン:本当のあなたを見たら皆があなたを愛するようになるわ。

大きな硬いカバーが診療台に向かって降りてきます。
その形状は透明なプラスチックで作られていて棺とは違い人体に似ています。
そしてアビーに近づくにつれ彼女は震えます。
カバーの内側には多数の針が出ており、アビーに向かっていました。
針は数インチ間隔で取り付けられています。

ファイン:決して忘れられない最終学年になるわ。

針がアビーの顔に触れるまでカバーは下がり皮膚に刺さり始め続けます。
小さな血の滴が彼女の頬を流れ落ちます。

第1幕 場面1
応援の声と草の上に置いてあるフットボール。
日中。
男性のアナウンサーの声が聞こえます。

アナウンサー:なんという試合でしょう!
         目が放せません!
         残り五秒、ここメトロスタジアムからの中継です!

ブルージーンズと木綿のシャツを着たクラークがボールを拾い上げます。

アナウンサー:クラーク・ケント、スモールビルの若い天才は信じ難いカムバックをリードしました。

クラークはボールを持ちじっと見るとボールをひっくり返します。
彼はスモールビルの農場の真ん中にいます。

アナウンサー:ケントは10ヤードのラインからステップをします。
         残り時間はわずか。
         後方に下がります。

クラークは後ろ向きに数歩下がりボールを投げます。

アナウンサー:早い、ゴールへまっしぐらだ!
         味方を通り越します!

ボールは納屋の方向へ飛びます、クラークはボールに向かって超スピードを出します。

アナウンサー:待ってください!
         ケントがフィールドを飛ぶように駆け抜けます!
         自分の放ったボールを自分自身で受け取るのか!

クラークはボールをスライディングキャッチします。

アナウンサー:タッチダウン!
         メトロが勝ちました!
         ケント、信じられません!

クラークは自己満足して微笑します。
応援とアナウンサーの声はクラークの想像で次第に消えていきます。

クラークは近くの木からぶら下がっているタイヤに気がついてボールをそれにめがけて投げます。
ボールはタイヤの穴をいとも簡単に通りぬけました。
クラークの後ろにロイスの車が停まり彼女が降りて彼に向かって歩いて来ていることに気付きません。

ロイス:うまいじゃない、少年。

クラークは向きを変え驚きます。

ロイス:試合はいつなの?
クラーク:[不安そうに]
      チームには入ってないんだ。
ロイス:どうして?
    そんなにうまいんだったらオタクから抜け出せるわよ。
クラーク:まあ、たとえ僕が試合に出たって…
ロイス:そんな事ないわよ。
クラーク:そういう事じゃないんだ。
      ありがとう、僕はオタクじゃないよ。

クラークは歩き去り始めるとロイスは彼と一緒に歩きます。

ロイス:それじゃ…自分をどう思ってるの?
クラーク:分からないよ。
      しいて言えばアウトサイダーかな。
ロイス:[笑い]
     イタズラ者じゃないの。
クラーク:[イライラして]
      君がいなくなって清々したって言ったけ?

二人はロイスの父親、サム・レインが車でやって来て降りると止まります。

ロイス:[嫌そうに]
     パパ。
     一体何人のベビーシッターを雇ってるの?
     どうして私を監視するのよ?
サム:サボってか。
ロイス:遅れたのは分かってる。
    でもまだオリエンテーションには間に合うわ。
サム:旅行は控えるんだ。
    お前の申し込みはキャンセルしてきた。
ロイス:何ですって?
    そんな事はできないはずよ。
サム:お前が高校を卒業できそうにないとすればできるさ。
ロイス:ねえ、多少単位が取れなかったのは分かってるけど、でも…
サム:ロー、お前は最終学期を落としたんだ。

クラークは喜んで笑います。
サムはすかさずクラークを見ます、そして彼は笑うのをやめます。

サム:だが問題はない。
    クラークがお前の近くにいればいいんだろ。
クラーク&ロイス:[当惑して]
           どういう事?

サムは踵を返すと車に戻り始めます。

サム:明日の朝早くに。
   [振り返り]
   お前はスモールビル高校に転入だ。

微笑してサムは車に歩き続けます。
クラークは憤慨して口をあんぐりと開けたまま目を閉じます。
ロイスは深くため息をつきます。

ロイス:凄いわね。

第1幕 場面2
スモールビル高校。
日中。
正面玄関の上のバナーには「お帰りなさい!」と書かれています。
ロイスとクロエはロイスの車で駐車場の中に入ってくると駐車場所を見つけます。

クロエ:いい、対立を引き起こすようなグループと会ったら廊下の脇に避けて、
     あんまりいい学校じゃないから。
ロイス:ダンテの7回目のベルの学校版ね。

クロエは車から降りながら笑います。

クロエ:なんで高校の最上級の学年をこの高校でやり直すのよ?
ロイス:[車から出て]
     二学期のせいよ。
     五つも単位を落としたの。

二人は学校に向かって歩きます。

クロエ:ちょっと待って。
     二学期で五つも落としたの?
     ロイス、授業に課外授業を入れればあるいは。
     [明るい微笑で]
     例えば…トーチのために書くとか。
ロイス:あー、ここを悪く言いたくないの、あなたと違って私がなりたいのはレポータよ。
クロエ:ええ、そうね。
     それはもっと悪いんじゃないの、真実を暴露して、市民を保護するのは?
ロイス:あなたは他の人の仕事に首を突っ込まないの。
クロエ:さっきも言ったけど、完璧ね。
     さあ早く、行きましょう!

ロイスはクロエの発言に頭を振ります。
そして二人が学校に入るとクロエはロイスの肩に手を回します。

クロエ:ここで素晴らしい事が待ってるかもね。

学生たちで混み合う高校の廊下。
クラークが階段を降りて来くると「今週のフットボール試合」と書かれた壁のポスターに気付き止まります。
彼は明らかに興味を持っています。
後ろで口笛が鳴り振り返ります。

男子学生:見てみろよ。
      転校生か?

ブロンドの髪をしたセクシーな少女はピンクのドレスと扇情的な笑みで廊下を歩きます。
ブレット・アンダーソンを含めてのフットボール選手の皆は彼女にほほ笑みます。
彼女は自分を見ている男にほほ笑みます、そしてその一人はクラークです。
少女はアビー・ファインです。

アビー:ハイ、クラーク。

彼女は自分のロッカーのところに行きます。
クラークは彼女が誰であるか悟ります。

クラーク:[驚いて]
     アビーか?
アビー:そうよ、アビゲイルよ。
クラーク:そのー、君だと気付かなかったよ。
アビー:この夏休みで変わったのよ…いいでしょ。
    [彼女はロッカーを開けます]
    うまくいけば、この古いロッカーをもう一年使う事になるわ。
クラーク:[彼は笑います]
     ああ、そうじゃないかな。
     それで、そのー…
     どうして、そのー…

クラークはおずおずとアビーの頭から爪先まで見ます。

アビー:変わったかって?
    もう誰にも何も言われないで過ごすなんて気持ち分かる。
    最終学年なのよ、クラーク。
    これは私の最後の可能性なの。

ブレットはまだ仲間と話しながらアビーにほほ笑んでいました。
ロイスとクロエがやって来てクラークの所に来ます。

クロエ:お早う、クラーク。
    あれ…
    アビー。

クロエとロイスは歩き続けます。

クロエ:うわーっ。
    彼女シリコンファームで夏休みを過ごしたのか、間違ったメイキャップをしたのか、どっち?
ロイス:彼女、いくつなの 17歳?
    クッキーを焼く前に粉を巻き散らかした見たいね。
クロエ:世の中は可愛い人に甘いなんていわないでよ。
    [クロエはロッカーを開けます]
    それに彼女の体のことであって私には関係ないわ。

ロイスは驚いてクロエを見ます。

クロエ:何?
ロイス:驚いたわ、あなたみたいな人がちっともうんざりしないなんて、見せ掛けだけの子にさ。

クラークが近づきます。

クラーク:彼女、すごくきれいになったね。
ロイス:ビックリしたわ。
    [クロエが笑います]
    ねえ、高校生にとっては問題よ。
    見かけだけじゃない。
    皆本当の事は隠してるんじゃないの。
クロエ:まあ、それがあなたの最初の記事みたいね。
    トーチでまた会いましょ。

クロエとクラークが歩き去り始めます、そしてクラークはロイスに肩をすくめます。

ロイス:いいわ、書いてあげる。
    でも私の名前をちゃんと出してよ。

ラナは自分の名前が書かれた書類を持って廊下を歩いています。
彼女がコーチのオフィスの前で止まると興奮して微笑します。
ドアを開けて中に入るとジェイソンが棚に本を置いていました。
彼女は笑ってドアを閉じます。

ラナ:ねえ。
   読んじゃった。

ラナはノートを差し出します。

ラナ:私のロッカーの中にあったノートよ。
   すごくいいわね。
ジェイソン:まあね、四年生をもう一度やる事になったけど。
ラナ:ここで何をしてるの?
   もし捕まったら居残りになるわよ。
ジェイソン:俺ならクビになるな。

ラナは奇妙に彼を見ます。
彼が説明する前にドアがノックされます、そしてクラークがオフィスに入ると二人は少し離れます。

クラーク:[ジェイソンに]
     ティーグコーチ。

ラナはジェイソンを不審に見ます。

クラーク:クラーク・ケントです。

彼らは握手をします。

ジェイソン:やあ。
クラーク:[ラナに気付き]
      ラナ。
      ここで何を?
ラナ:えー、あのー…
ジェイソン:校長がこの若いレディに学校の案内を指名したんだ。

ラナがジェイソンの嘘に笑いを噛み締めると、クラークがジェイソンを見ます。

ジェイソン:君に会えてよかった、クラーク。
クラーク:誰もあなたがジェイソン・ティーグだって教えてくれなかったんですよ。
     [ラナに]
     この人はメトロポリス大学の一年生のとき記録を出したんだ。
     プロにだって行けたはずなのに。
ジェイソン:ああ、まあ、今はセントラル・カンザスA&Mへ移動している。
       肩の腱板を故障したらこんなに早くリストから外れるなんて驚くぞ。
ラナ:じゃあ、それで、あなたがここに来たのは私達にとってはラッキーだったんですね、コーチ。
ジェイソン:アシスタントコーチだ…
       ラング君。

ラナはクラークに分からないようにジェイソンが言った「ラング君」という単語を声を出さずに唇だけ動かしました。

ジェイソン:[クラークに]
       あー、キグリーはまだ君たちを指導しているのか?
クラーク:その、実は、僕はチームに入ってないんです。
      [ラナをちらっと見て]
      やってみたい気はするんですけど。
ジェイソン:君の体つきなら十分だと思うが。
      やってみるか。

ラナは驚いているクラークを見ます。

第1幕 場面3
ジョナサンとマーサは畑でトラクターの脇に立っています。
日中。

ジョナサン:タロン?
マーサ:レックスが、そのー、私に管理して欲しいって。

ジョナサンはその事を快く思っていません。

マーサ:仕事が見つかってよかったわ、ジョナサン。
     もう履歴書を持ち歩かなくてもすんだわ。
ジョナサン:マーサ、金の心配事があるんなら、もう一度家計簿を見直したほうがいいんじゃないか?
       何か削減できるものがあるかもしれない。
マーサ:どこを?
     二ヶ月もの間毎週調べたじゃない。
     病院からの請求もまだ滞っているのよ。

ジョナサンは取り乱して彼女を超えて歩きます。
彼女は彼を止めます。

マーサ:あなたの事を言ったんじゃないわ。
     私はただ…
     待ち続けるだけで農場を失うようなリスクは冒したくないの。
     あなたはもう十分に働いているわ。
ジョナサン:いや、そんな事はない。
マーサ:今はこれ以上できないでしょ。
     農場の仕事だってあるし、来年はクラークだって大学に行くのよ。
     私だって何かしないと。
ジョナサン:だがどうしてルーサーなんだ?
マーサ:私はコーヒーを売るのよ、ジョナサン、敵対視なんかしないで。
ジョナサン:まあ…
       私はいつも君がこんな古い農場なんかよりもっといい所で仕事をしたいと思っていたよ。
       君の邪魔をするつもりはない。

マーサは微笑します、そして彼らはお互いを抱きしめます。

マーサ:ありがとう、あなた。
ジョナサン:いいんだ。
      [彼は笑います]
       どういたしまして。

第1幕 場面4
クラークがロッカールームでフットボールのユニフォームを着ています。
日中。
ロッカールームには数人の男がいます、そしてジェイソンがクリップボードを持って入ります。

ジェイソン:おい、ケント。
      君の入部届けが必要なんだが。

クラークはバックパックから黄色い紙を取り出しジェイソンに手渡します。
彼はいくぶん不安そうに微笑します。

ジェイソン:どこのポジションをやった事があるんだ?
クラーク:実際にはどこもやってません。
     一度もチームでプレイした事がないので。
     父親があまりいい顔をしないんで。
ジェイソン:父親は君が入部する事を知らないんだな?
      [クラークがいっそう緊張します]
      父親が反対するとなると、俺はプロだからな。
クラーク:父親のために入部するんじゃありませんよ。
ジェイソン:いいか、俺はユニフォームを着て歩きまわる沢山の男たちを見てきた。
      それは誰もが彼らを特別だと見られたいからだ。
      だがフットボールはゲームだ。
      もし自分自身を変えたいなら、自らがやらなければならない。
クラーク:それが僕がここにいる理由です。

彼らは一瞬の間お互いを見ます。

ジェイソン:分かった。
      君の根性を買おう。

ジェイソンはロッカールームを去ります。
クラークが勝ち誇って微笑して、ロッカーをパタンと閉めます。

チームの選手の一人がフィールドの向こう側で草の上に一列に並んだタイヤの穴に足を入れながら走りぬけます。
成功して到着すると彼は見ていた他の選手の一人の手をたたきます。
ホイッスルが鳴ります。

キグリーコーチはクラークにボールをトスします。

キグリー:分かったか、ケント。
      我々に何か証明しろ。

クラークはジェイソンにボールを投げてヘルメットをかぶります。
彼は少し恐れてジェイソンを見ます、そしてジェイソンはクラークを奨励してフィールドにアゴをしゃくります。
クラークは男たちが集まっている場所に行き定位置に入ります。
一人の男が地面へボールを置きクラークの前に屈みます、そしてクラークは男の後ろに立ちボールを受ける準備をします。

選手:いいか、皆!
  オン ツー!
クラーク:ハット!ハット!

クラークの前の男はボールをパスします、
そしてクラークは力いっぱいフィールドの向こう側にボールを投げると、ボールを捕球した男が地面に倒れました。
ジェイソンとクラークは微笑します。
ジェイソンはクラークのところに行きます。

ジェイソン:やったな。
      いいじゃないか。
      [彼はクラークの胸を軽くたたきます]
      もう一度だ。

近くにはもう一グループの選手が集まって話していました。
その中にはブレットがいます。
彼らはアビーがフィールドの周りのトラックをジョギングしているのを見ます。

男:見ろよ、アバタだらけのアビーだぜ。
男 # 2:[彼女の胸を見ます]
     あれは作り物だぞ。
男 # 3:気になるのか?

数人の口笛が聞こえます、そしてブレットはヘルメットを脱ぎ夢見るようにアビーを見ます。

ブレット:俺をからかうなよ?
     やれやれ、彼女は人気があるな。

アビーはブレットとアイコンタクトをとると一瞬の間走るのをやめます。
それから男が彼女を呼び止め続けると、彼女は走って行ってしまいました。

第1幕 場面5
ジョギングを終えたアビーは誰もいない廊下のロッカーを開けます。
日中。
彼女が最初に見たのは鏡でした、そして彼女は髪の毛を直しほほ笑みます。
ブレットは彼女のところへ歩み寄ります、そして彼女は彼に気がつくと驚いて飛び上がりました。

ブレット:脅かすつもりじゃなかったんだ。
     君の事が心から離れないんだ。
アビー:アバタだらけのアビーってあだ名をつけたくせに?
ブレット:ああ、その通りだよ。
     もっと俺が寛容だったら、君の本当の魅力が分かったはずだ。
     学校一の美少女だ。

ブレットは穏やかに彼女の顔に触れます、そして彼女は微笑します。
彼はお返しに微笑します。
ラナが本を抱えて通り過ぎるとアビーは気が散ってしまいます。
ラナは二人の親密さに少し驚いて二人を見ますが歩き続けます。

ブレット:君にはもっと謝ることがある。
     どこか静かなとこに行かないか?

彼はアビーの顔を撫で続けます、そして彼女は考えながらいっそう笑みを大きくしました。
彼女はついに降参してロッカーを閉じます。
ブレットは廊下に彼女を導きます。

アビー:それでどこに行くの?

ロッカールームで。
ブレットとアビーはシャワーの前で向き合って立っています。
ブレットはジャージを脱ぎます。
微笑してアビーはポニーテールを外しシャツを脱ぎます。
ブレットが彼女の首にキスしながら後ろの壁へとゆっくり押しやると二人は抱き合います。
彼女の腰がシャワーのハンドルにぶつかります、そしてシャワーが二人へと流れ落ちます。
二人は驚いて微笑します、それからブレットは彼女の首と肩にキスし続けます。
ブレットがアビーがしているネックレスに指で触れ、彼女の首、背中へと手を這わすと彼女は喜びで目を閉じます。
ネックレスは外れ床に落ちますが彼女は気付きません。
彼女は手をブレットの腕に沿って撫で降ろします、そして彼は頭を戻し見つめあいます。
二人は息つぎもなしにキスし続け、水は二人の顔に流れ落ちます。
キスをしていると、暗い緑の霧のようなものがアビーの口からブレットの中へと入ります。
彼女は離れます。

ブレット:何をしたんだ?
アビー:感じなかったの?
ブレット:もちろん感じたさ。

彼は再び彼女にキスするために顔を寄せます、しかし彼女は突然不安になり彼を止めます。

アビー:ダメ。
    私…もう行かなきゃ。

彼女はシャワー室から出て床からシャツを拾い上げ胸の前に抱えます。

ブレット:どうしたんだ?
     アビゲイル、待って。
     俺のものにしてやる。
     新しい顔、アバタだらけじゃない。

ブレットはシャワーを止めて彼女を追いかけてロッカールームへ行くとアビーはシャツを着ています。
彼は彼女の後ろに立っています。

ブレット:おい!

アビーは彼に振り返ります、そして彼は彼女の後ろの鏡に気付きます。
不安そうな顔で彼女をどけると、鏡を見つめます。

ブレット:なんだって!
アビー:ブレット?
ブレット:いったいこれは?

見た目にはなんでもない顔を彼は震える手で触ります。

アビー:どうかしたの?
ブレット:[いっそう不安を増し]
     何てことだ。
     俺の顔が!

鏡に映ったブレットの顔は腐ったように見ます。
頬には赤い血管が浮き出て歯は黄色になっています。

ブレット:俺に何をしたんだ?!

アビーはブレットを見ます。
アビーには彼の顔は普通に見えます。

ブレット:何でだ!
     俺の顔が!

ブレットはロッカールームから走ります。

スモールビル高校の駐車場。
ロイスは駐車場から車を出し走りながら携帯電話で怒って話をしています。

ロイス:入学許可事務所?
    ねえ、クリームコーンの国でまた数学を取ってるのよ!
    ダメ、保留にしないで!
    [彼女自身に]
    何て日なの?

彼女は電話を切るために目を伏せます。
彼女が再び目を上げると、ブレットが彼女の車の前にフットボールのパンツ姿で飛び出してきてので彼女は悲鳴を上げました。

ロイス:キャー!

彼女は急ブレーキを踏みますがブレットはボンネットに乗り上げフロントガラスに突っ込み道路へと転がり落ち気を失います。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
スモールビル高校駐車場。
ブレットは酸素マスクをつけストレッチャーで救急車へ担ぎ込まれていました。
日中。
彼の首には血が乾いてこびりついています。
男性警官はメモを取りながらロイスは救急車の脇に立っています。
その場所はパトカーと警察のテープで隔離され野次馬をシャットアウトしていました。

ロイス:[少しぼう然として]
    いいえ、それで全部です。
警官:ありがとう。

ロイスが車に戻って歩き始めるのをアビーは離れた場所から見つめていました。
クラークがロイスに近づき。

クラーク:ロイス、何があったんだ?
ロイス:彼が突然車の前に飛び出してきたのよ。
    何が何だか分からないわ。
    彼は大丈夫だろうって言ってたけど。
    体の方は。
    警察は彼が気が触れたんだって言ってるわ。
クラーク:誰、ブレット?
    [ロイスはうなずきます]
    一時間前に会ったばかりだ。
    その時はなんでもなかった。
ロイス:本当なの?
クラーク:ああ。
ロイス:ちょっと考えてみて、クラーク。
    新学期が始まって、奨学金、町の皆が彼を有望視してるのよ。
    「キャンパスのヒーロー」の仮面の裏でどんなノイローゼを抱えていると思う?
クラーク:とんでもない。
     どちらかと言えば、ブレットは自信過剰だった。
     君は彼に会ったこともないだろ。
ロイス:ええ、それは壊れたフロントガラスが証明するかもしれないわ、
    でも彼がありのままの姿でずぶ濡れのまま走ってきた事をどう説明する?
    誰がそんな事するの?

アビーはまだ髪が濡れていて心配しながら歩き去っていきました。

第2幕 場面2
クラークがロッカールームに入ります。
日中。
タオルだけを巻いた男たちが数人、シャワーを終えて出てきます。
ロイスは何にも動じずクラークの後についてロッカールームに入ります。
クラークが彼女がそれ以上中に入ってくるのを止めます。

クラーク:おい、おい!
     さっきとは条件が違うから。
ロイス:[ニヤつき]
    私を追い出したいわけ。

男たちがロイスを見ると驚いて笑います。

クラーク:ロイス、外で待ってくれないか。
ロイス:からかってるの?
    苦しむ上級生、田舎のヒーローが挫折と起こした行動は?
    これは十代の美容整形記事と同じぐらいジューシーよ。

ロイスはロッカーのそばに立っているシャツを着ていないグループに近づきます。

ロイス:[友好的な微笑で]
    いいかしら。
    ブレット・アンダーソンの事で聞きたいんだけど?

男の一人がロイスを上から下まで見回します。

男:[ほほ笑んで]
  いや、君の事を知りたいぐらいだよ。
ロイス:お茶目ね。
    あのね、ブレットが私の車の前に飛び出してきたの。
    誰かその事で何か知ってる?

ロイスがその男たちと話し続ける間、クラークはロッカーを調べるために奥へと歩きます。
シャワー室へ行くとブレットのジャージを床の上に見つけます。
それからアビーのネックレスが排水口のところにあるのに気付きます。
彼はそれを拾い上げてじっと見ます。
ペンダントは宝石で飾られたAという形をしていました。

第2幕 場面3
タロン。
日中。
「閉店」と書かれた看板がかかっています。
レックスは段ボール箱を開けてエアーキャップ包装を解くと「中央アメリカの象形文字」と書かれた本を見つけます。
ラナが階段を降りて来ます。

ラナ:人の郵便物を開けるのが趣味なの?
レックス:すまない、タロン宛ての郵便物だったんでな。
     [彼女に本を見せます]
     月間ランキングの本じゃないな。

彼は外国語で書かれたもう一冊を箱から取り出します。

レックス:古文書に興味があるのか?
ラナ:[間があり]
   学校の授業よ。

レックスは箱の中に本を戻します。

レックス:その授業にクラークも出ているんだろうな。
     [彼はバーに向かって歩きます]
     これほど違う二人なのに、非常に似通った趣味をしているな。

ラナは箱からもう一冊の本を取り出します。
そしてその本のカバーには彼女の腰にある奇妙な入れ墨と似たシンボルが描かれていました。
レックスはラナへ背中を向けていて彼女の驚きに気付きません。
ラナが本を箱に戻すと彼は空のコーヒーハウスを見回します。

レックス:君がこの場所に戻ってくるとは驚きだ。
      他の皆はこの場所は無駄だと言ったが君は約束した。
ラナ:えっ。
   あなたにそんな一面があったなんてはじめて見た。
   [微笑しながらレックスに向かって歩きます]
   ノスタルジックになると危険よ。

レックスは少し笑顔を見せラナを見ます。

第2幕 場面4
ケント農場。
日中。
ジョナサンがポーチで外を見ているとクラークがポーチの階段を昇ります。

ジョナサン:おめでとうと言っておこう。
       キグリーコーチが電話をくれたよ。
       フットボールチームに入ったんだってな。
クラーク:心配しなくてもいいよ、父さん。
      誰も傷つけたりはしないから。
      [クラークはジョナサンを通り越しドアに向かいます]
      力のコントロールはできるから。
ジョナサン:私が傷つく事を心配しているのは、クラーク、お前だ。

クラークは止まりますがジョナサンに背を向けたままです。

ジョナサン:お前はほんの少し速く走るかもしれないし、試合に勝とうとしてボールを遠く投げるかもしれない。

クラークは腹を立ててジョナサンの方に向きます。

クラーク:僕が不正行為をするっていうの?
      そんな事はしないよ。
ジョナサン:[いら立った笑いで]
       お前はそのラインがどこなのか知らないだろう、クラーク。
       なあ、考えてみろ。
       お前がそこにいれば、友達はお前に託すだろう。
       お前は勝つために何でもしようと思ってしまう。
       フットボールでだ、クラーク。
       それでは公正な試合にはならない。
クラーク:[傷つき]
      じゃあ、公正な事について話そうよ。
      高校時代で最初に思い起こす事って何?
ジョナサン:[クラークに話題を変えさせないようにしようとします]
       ダメだ、そういう事じゃない。
クラーク:フットボールじゃないって言わないでよ。
      [ジョナサンは返事をすることができません]
      僕だって父さんと同じようにチャンスを得たいんだよ。
      自分の人生をさ。

クラークはジョナサンを残して家に入ります。
ジョナサンは悲しげに地面を凝視して佇んでいます。

第2幕 場面5
ファイン博士のオフィスでラナはうつ伏せになって診療台に寝ています。
日中。
ファイン博士は彼女の入れ墨が見えるようにシャツをまくると、刃物で皮膚を削ります。
ラナはわずかに顔をしかめます。

ファイン:刺青に後悔をしそのドアをくぐったのはあなたが初めてじゃないわ。
     でもインクも使わないで刺青をしたのはあなたが初めてね。

ファイン博士は皮膚のサンプルを皿に入れてカウンターへ歩いて行きます。
混乱してラナは起き上がります。

ラナ:えっ?
ファイン:この顔料が何にせよ、この刺青はあなたの皮膚の下に初めからあるみたいだわ。
     誰かがあなたに簡単に忘れないようにするためにしたんじゃない。
ラナ:でも消せますよね?
ファイン:まあ、この組織サンプルをラボに出さないと正確には分からないけど、
     でも完全に消すには皮膚移植しかないと思うわ。

ラナはため息をつきます。

ファイン:でも私達は会ったことがあるのよ。

ファインは診療台に座るラナのところに来ます。

ファイン:あなたは家の娘と同じ学校だったわね?
     人の顔は忘れないの。
     特にあなたみたいな娘はね。

ファイン博士はラナに近づき顔を興味深く触ります

ファイン:あなたは望んだ通りのものを手に入れてきたんでしょ、んっ?

ラナは気味悪くなりファイン博士から少し離れます。
アビーが取り乱して駆け込んできました。
彼女がラナを見るとドアのところで止まります。

ラナ:[ほほ笑んで]
   アビー。
   ブレットとはどうなの?
   廊下で見ちゃったわ。
アビー:[速く。]。
    何の話をしてるの。

アビーは真剣な眼差しで母親を見ます、そしてラナはその緊張を感じました。

ラナ:後で話をしましょ。
   [ファイン博士に]
   ありがとうございます。
   さようなら、ファイン先生。

ラナは部屋をでます。
ラナがいなくなるとアビーは怒って母親にささやきます。

アビー:私に何をしたの?
    男の子にキスをしたら、彼、幻覚を見たわ。
    何か…何か常軌を失ったような、それで私…
ファイン:[落ち着いて]
     これが最初のテストなのよ、アビゲイル。
     つまり、副作用の可能性があるわ。
アビー:副作用?
    ブレットが私のせいで入院したのよ!
ファイン:ブレット?
     その子はあなたにあだ名をつけた子じゃない?
     多分天罰が下ったのよ。
     そしてラナもね。

ファイン博士は誰も聞いていないことを確認するためにドアの方へ歩きます、そしてアビーは彼女の後を追います。

アビー:ラナ?
    でもラナは私に何もしてないわ。
ファイン:ラナはあなたと一緒のところを見てるわ。
     彼女はもう知ってる。
アビー:彼女が知ってるって?
ファイン:これは非常に深刻な問題よ、アビゲイル。
     ラナがあなたとこの男の子の間で起こった事について誰かに話したら、全て取り上げられるわ。
     そしてあなたに何の処置もできずに元通りになってしまう。
     そんな事になってもいいの?
アビー:[目に涙を浮かべて]
     いやよ。
ファイン:あなたのためにできる事は全てをやったわ。
     今度は私のためにやってちょうだい。

アビーは静かに聞きます。

第2幕 場面6
スモールビル高校。
夜。
ジェイソンが暗い部屋の中へラナを導き、後ろのドアを閉じます。
ドアの曇りガラスから漏れる光だけで薄暗い状態です。

ジェイソン:そうだ。オッケー。

彼がライトを点けると大きな部屋で各壁にはあらゆるタイプの衣装が掛かっていました。
天井の真ん中にはミラーボールが回転し光を反射していました。
そしていくつかのアンティークなシャンデリアが付いていました。
部屋の真ん中にはいくつかの姿見があります。

ジェイソン:ここは古い劇場だったようだ。
ラナ:[驚き]
   うわーっ。
   [彼女は笑います]
   コーチのオフィスからこんなところに出るなんて。
ジェイソン:うん。
ラナ:こんな場所があったなんて知らなかったわ。

ラナは部屋の中に歩いて、精巧な衣装と小道具を見回し始めます。

ジェイソン:ああ。
      何の役にもたたないけどな。
ラナ:まだあなたがこの学校で仕事するなんて信じられないわ。
ジェイソン:分かってるさ。
      君によだれを垂らすような男に慣れないとな。
ラナ:あなたが心配するような事はないわ。
ジェイソン:えっ?
      クラーク・ケントは?

ラナはすぐに返事をしません。
ジェイソンは眉を上げ返事を待ちます。

ラナ:そんな事言うとは思わなかった。
   これがクラークとどういう関係が?
ジェイソン:それが奇妙なんだ。
      彼は今日どちらかと言うと俺と打ち解けたんだ。

ラナはルームの真ん中からジェイソンに向かって歩きます。

ラナ:それって本当に奇妙ね。
ジェイソン:本当に?
ラナ:ええ。

ジェイソンは閉じた衣装箱の上に座るとラナは彼の足元に床に座ります。そして腕を彼のひざの上に置きます。

ジェイソン:まあ、その事は、練習といいチームを作る事が一つある、
       だけどクラークのような男は俺のアドバイスを受けるかどうか?
       俺は大人で、チームの一員であると思ってあいつが俺を見ていなら、それほど簡単な事じゃない。

ラナは暖かく彼を見ます。

ジェイソン:でもこの時間は俺についてじゃない。
ラナ:違うの?
ジェイソン:う、うん。
ラナ:うーん。

ジェイソンは後のポケットに手を伸ばします。

ジェイソン:待って。
ラナ:オーケー。

ジェイソンは赤い布を取り出します。

ジェイソン:それはこれなんだ。
ラナ:えっ、目隠し。
ジェイソン:[立ち上がって]
       ああ、そうだ。
ラナ:[緊張して]
   いいわ。

ジェイソンはラナの後ろにひざまずいて目隠しを彼女の目にかぶせます。

ラナ:それで、これから何をするの?
ジェイソン:いや、何も。
       誰かさんの誕生日をお祝いできなかったからな。
ラナ:そうね。
ジェイソン:だから…ここで待っててくれないか。
ラナ:[気が進まないが降参して]
   分かったわ。
ジェイソン:オーケー。

ジェイソンは立ち上がって部屋を出ます。

ジェイソン:覗くなよ。

ラナは見えないことを証明するかのように頭を動かします。
それからジェイソンは出て行きドアを閉めます。
しばらくの間ラナは静かに大きな部屋の真ん中で座っています。
それから彼女は再び開くドアの音を聞きます。

ラナ:ジェイソン?

誰かが部屋に入り込みます。

ラナ:誰?

長い静寂があります。
入ってきたのはアビーで、ラナの真正面に立っています。

ラナ:ジェイソン、何をしてるの…

アビーは静かに進み出てラナの唇にキスをします。
キスは情熱的ではありません、しかしそれは数秒間続きます。
ラナはジェイソンにキスをしていると思ってそれに応えます。
黒い緑の霧がアビーの口からラナへと送られます。
アビーが後ろに下がるとラナは目隠し取ってアビーを見ました。

ラナ:アビー?
アビー:[立ち上がり]
    ごめんね、ラナ。

アビーがゆっくりと後ろに下がると、ラナは立ち上がって近くの鏡を見ました。
鏡に映るラナの顔は腐っているように映り彼女は息をのみ始めます。
しかし彼女の顔は実際にはなんともありません。ラナの顔は普通です。
怯えて鏡から目を逸らしますがもう一つの鏡に映る顔を見てしまいます。
それは黒と金色の血管が彼女の顔に広がりもっと腐っているように見えます。
ラナは別の鏡にぶつかり床に転びます。
アビーは泣き始めて部屋から逃げ出します。
鏡の蝶番が軋み彼女に倒れ掛かってきます。
ラナは迫ってきた鏡に映った醜い顔に叫びながら立ち上がりました。

ラナ:キャー!

ラナは床に屈みます、そして鏡は彼女の上で粉々に壊れ顔を切ります。
彼女は壊れた鏡のフレームの中で身震いした状態で留まります。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
スモールビル医療センター。
夜。
ラナは病院のベッドで意識不明の状態で横たわっています。
そしてジェイソンは彼女に話をしながらベッドの縁に座ります。

ジェイソン:俺の声が聞こえてるかどうか分からないけど、ラナ…
      でももし君が僕の意図した事を知ってれば…

ジェイソンの後の出入口にレックスが立っていました。

レックス:まあ、咳払いでもしてここにいることを知らせればよかったのかも知れないが、
     それではあまりにも不自然すぎるしな?

レックスが病室に入るのをジェイソンは見守ります。

レックス:彼女の容態は?
ジェイソン:まあ、医者が言うにはどこが悪いのか分からないそうだ。
レックス:レックス・ルーサーだ。
ジェイソン:ジェイソン・ティーグです。
      学校で仕事をしている。
      新しいフットボールのアシスタントコーチなんだ。
レックス:ティーグ。
     マリオンの、ティーグ&ワイズマンの?
ジェイソン:[うなずき]
      親父の会社だ。
レックス:[理解し]
     君はできるだけ同族会社から離れる事にしたんだったな。
     賢明だ。
ジェイソン:[微笑し]
      そういうわけじゃない。
      親父は、そのー、俺を捨てたんだ。
レックス:じゃあ、新しいキャリアを積むためにスモールビル高校に来たのか?
ジェイソン:ああ。
レックス:確かに彼女の事を学校の責任者に報告する必要があるな。

ジェイソンはレックスが状況の奇妙さ知ったことを悟ります。

ジェイソン:[言い訳しようと]
      ああ、そのー、俺はただ…
      帰る途中で寄ろうと思ったんだ。
      なんでもない。

レックスはジェイソンがラナを見ているのを見つめます。

レックス:それは疑わしいな。

ジェイソンはレックスに振り返りましたが何も話しません。
レックスはラナとジェイソンを見てからドアに向かって歩きます。
彼は立ち止まり引き返します。

レックス:ラナには最もふさわしい者が必要だ。
     それが君だといいが。

ジェイソンは返事をしません、そしてレックスは病室を去ります。

第3幕 場面2
ロイスはトーチオフィスでコンピュータの前に座っています。
夜。
彼女はビーチウッドのウェブサイトでファイン博士のコスメクリニックを見ています。
モニタのトップには「完璧から逃げていませんか」と書かれています。
ロイスがマウスでクリックするとモニタの文字は「アポイントメントを望みますか?」に変わります。
そこには「ノー」のボタンと「イエス」のボタンがあります。
ロイスはイエスをクリックします。

第3幕 場面3
ラナは病院のベッドでまだ意識不明です。
夜。
クラークが窓越に廊下から見ていました。
クロエがやって来てクラークに近づきます。

クロエ:やあ。
    どう?
クラーク:かなりショックを受けている。
     鎮静剤を打ったけど「彼に見せないで」って繰り返し言ってるんだ。
クロエ:何か拒絶反応みたいね。
クラーク:ブレットが連れて来こられた時も同じだったって。
     二人に共通するのは、セロトニンのレベルが異常だって。
クロエ:セロトニン?
クラーク:脳内化学物質だよ…
クロエ:LSDや幻覚剤のような。
    ロイスが最大の変身に関して彼女の中傷部分で三回も綴りを間違った単語だわ…
クラーク:ああ、でもラナもブレットも整形手術なんて必要ない。
クロエ:ええ、でもアビーはそうよ。
    ブレットが変になる直前、ラナはアビーとブレットが一緒に会ってたって言ってなかったっけ?
    多分この治療が彼女の美しさを獣にしたんだわ。

その事を思い巡らしながらクラークは再び窓越にラナを見ます。

第3幕 場面4
ロイスはビーチウッドのオフィスにいてファイン博士の机の前に座っています。
日中。

ロイス:親が分かってくれないんです。
    整形手術なんてまだ早いって言うんですよ。
ファイン:まあ、普通の親ならそうよね。
     私があなたぐらいの歳の時はクイーンに選ばれた事なんてなかったわ。
     かわいい女の子たちのために一生懸命になったけど、
     その娘たちが受賞するのを見てるだけだった。
     二年で七回もの手術をして変わったのよ。

ファインは自分の高校時代と比べて現在どれだけ変わったのか手を広げてジェスチャーでロイスに語ります。
ロイスは感銘を受けたふりをして微笑します。

ロイス:いいですか、私はあなたがアビーに行ったその新しい処置に興味を持っているんです。
    一回だけの治療というのは本当なんですか?
ファイン:[頷きながら]
     こういう理由で開発したのよ。
     他の女の子達が持って生まれた幸せを、自分の娘が傷つき耐えているのを見るのは忍びなかったの。
     [ロイスは微笑してうなずきます]
     それじゃ今後のあなたの予定だけど。

ファイン博士はコンピュータにロイスの予定を組み始めます。

ロイス:はい、お願いします。

ロイスの机の上に置いたバッグから、故障したテープレコーダーのような音が聞こえてきます。
ファイン博士は疑い深くバッグを見ます。
ロイスは立ち上がってバッグに手を伸ばします。

ロイス:あのー、実は少し動かしちゃったみたいで。
ファイン:[腹を立て]
     録音してたの?

ファイン博士は立ち上がってバッグを掴みます。
彼女はそれを開いて小さなテープレコーダーを引き抜きます。
ロイスはファイン博士からレコーダーを取り離れます。

ロイス:あなたの事をあばくつもりよ。

ロイスはドアに向かって歩きます、そしてファイン博士は彼女の後を追います。

ファイン:あなたは何者なの?皆のためにいい事をしようとしてるのに。
ロイス:人はクレージーって言うわ、
    でも私はれっきとした信者だし…美しさって言うのは人の心の中にあるものよ。

ロイスは出て行こうと踵を返します、そしてファイン博士は彼女の髪をつかみます。

ロイス:キャ!

ファイン博士はロイスの向きを変えて首に注射をします。
ロイスは床に倒れます。

ファイン:そういう事を言える者は、もう見た目の美しさも持っているのよ。

第3幕 場面5
クロエとクラークがトーチオフィスに入ります。
日中。

クロエ:オーケー。

クラークがオフィスを見回します。
それはひどい状態でした。

クラーク:うわーっ。
     散らかってるな。
クロエ:そうね、でもこんな事したのはロイスよ。
    彼女、アビーのお母さんが新しい画期的なインスタ-メイクオーバー技術を発表した記事を調べてたの、
    でも、ファイン博士は一つの問題にぶつかったのよ。
    [彼女は記事を拾い上げてそれを見ます。]。
    それは患者のセロトニンレベルが過剰になるって。

クロエがクラークに記事を手渡します。

クラーク:ここに書いてある、
     ファイン博士はセロトニンレベルを保持するためにセリスローと呼ばれる抑止薬物療法に取り組んでいたって。
     多分それだよ。
     アビーはその実験台なんだ。
クロエ:ただアビー自体には手術の後遺症はなかった。
    彼女はセロトニンレベルを上げる何かを他の人達に渡してるんだわ。
クラーク:ブレットにキスしたのは分かるけど、ラナはどうして?
クロエ:分からないわ。
    分かっていることはアビー自身は幻覚を見ていないって事よ、
    多分ラナとブレットはセリスローの犠牲者よ。

クロエがロイスの予定表が机の上に開いて置かれているのに気付きます。
彼女はそれを拾い上げて「ファイン博士、アポイントメント 土曜 午前10:30」と書かれているのを見ます。

クロエ:ロイスが一人先走ったみたい。

第3幕 場面6
ロイスが意識を取り戻すとファイン博士のオフィスの診療台に縛り付けられているのに気付きました。
日中。
ファイン博士は彼女に見下ろしています。

ロイス:[弱く]
    何をする気?
ファイン:あなたの体に特ダネをあげるわ。
     アビゲイルに何をしたのか知りたいんでしょ?
     ねっ?
    [意地悪くロイスの顔をつかみます]
     じゃあ、あなたにもそうしてあげるわ。

ファイン博士はロイスの顔を放して壁のスイッチまで歩きます。
彼女がスイッチを入れると体の形をしたカバーがロイスへと降りてきます。
大きな針がロイスの方へ迫ってくるのを見ると彼女は恐怖で息を荒げます。

ファイン:そして、あなたにはセロトニンレベルを調整する抑制剤はなしで、
     自分の心の声に耳を傾けるのよ。
     [彼女はサディスティックに微笑します]

カバーの外の上には緑色の液体の入ったチューブがあります。
ロイスは自分に向かって下がってくる針とファイン博士を不安そうに見ながら彼女を縛り付ける皮ベルトに苦闘します。

オフィスに入るクラーク。
中に誰もいません、しかしファイン博士の机のコンピュータはオンになっています。
彼はモニタを見ます、ロイスの映像が映り、針が彼女の顔の直ぐ前まで迫ってきていました。
クラークは処置室に超スピードを出してガラス戸を突破します。
彼はカバーを掴むと完全に下に降りる前に引っ張りはがします。

ロイス:クラーク?

緑色の煙がチューブから上昇して室内を満たし始めます。
クラークは突然弱くなり診療台から離れて倒れあえぎ始めます。
ファイン博士はクラークに近づくと大きな金属物で彼の顔を殴ります。
彼は床に倒れます。
ファイン博士がロイスに近づくとロイスは彼女の顔を蹴り上げ彼女は倒れました。
ロイスは縛り付けられているベルトを解き診療台のスライドをはずします。
彼女はクラークが床の上で苦悶しているのを見ます。

ロイス:クラーク!
    大丈夫?
クラーク:ここから出してくれ。
ロイス:オーケー。

ロイスはクラークの腕を掴んで立ち上がるのを手伝います。
彼らの後でファイン博士は床に落ちたメスを掴みます。
彼女は立ち上がってロイスとクラークの後に来ますがロイスが振り向いて彼女の胸を蹴ります。
そして彼女を床に送り返します。

ロイス:バーカ。

ロイスはオフィスからクラークを助け出します。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
タロン。
日中。
二階のアパートでラナはジェイソンと話をします。
彼女の顔の上の切り傷は治り始めています。

ラナ:どうやって説明すればいいのか。
ジェイソン:[冗談を言います]
      ピストル強盗にあったんだろ。
      冗談だよ、話してくれよ。
ラナ:面白いわね。
ジェイソン:ああ、それにキュートだろ?
ラナ:[間があり]
   分かったわ、ジェイソン、まじめに話すわ。
ジェイソン:分かった。
ラナ:一年生の時に、私、チアリーディングチームを作ったの、それは私のアイデンティティだったわ。
   皆と顔を寄せ合っていたいと思ったわ。

ラナは反応を待ってジェイソンを見ます。
彼は彼女が先へ進むのを待ちます。
彼女は彼から顔をそむけて再び話をします。

ラナ:あなたが私の事をキレイだって言ってくれた事について考えてるの…そして
   あなたが本当の私をどれだけ知ってるのかって。

ジェイソンはラナの顔を見ようとラナの方へ歩きます。

ジェイソン:ラナ、君は美しい、それは君だからだ、見た目の美しさじゃないんだ。
      つまり、君は世界に羽ばたこうとした娘なんだよ。
      俺をヒステリックになって蹴飛ばした。

ラナは笑います。

ジェイソン:君の目が腫れて、鼻水を流して、胃腸炎であっても君を見ていたいんだ、たとえおしゃべりでも…
ラナ:分かった、分かったわ。
   もう分かった。
ジェイソン:今言った事全てが君を愛した理由だ…それは鏡で見る事ができるものじゃない。

ラナは深刻に感動してジェイソンを見ます。

ジェイソン:これはいい台詞だな。
      書き留めて後で使おう。

ラナは笑います、そして彼らは抱き合います。

第4幕 場面2
ジョナサンがトラクターから干草を下ろしているとクラークがトラックでやってきます。
日中。
クラークがトラックから降りてきます。

ジョナサン:練習で遅くなったのか?

クラークはフットボールとバッグをトラックの荷台から降ろしジョナサンのところまで歩きます。

クラーク:父さん、裏切るような事をして悪かったよ。
     でも、まだチームに入っているんだ。
     僕はもう自分の人生を傍観している事がイヤになったんだ。
ジョナサン:分かるよ、クラーク。
      私も高校の最終学年の時にはそう思ったものだ。
      お前は今後の事を自分の判断で歩かなくてはならない。
      だがお前がこの家族で大人と認められたいなら、それらしく振舞うんだ。

ジョナサンが干し草を降ろし続けると、クラークが少し微笑します。

ジョナサン:大人とは逃げ出さないものだ、その事を最初に言っておこう。

ジョナサンは手袋を外して干し草の上に落とします。
クラークはバッグを下に置いてフットボールを持ちます。

クラーク:分かってるよ。
     それなら僕は父さんに一つお願いがあるんだ。
     メトロポリスのアシスタントコーチとして僕にフットボールを教えてくれない?

クラークがフットボールを掲げます。
ジョナサンはためらいがちにクラークを見ます。
クラークがちらっとボールを見てジョナサンを挑発します。
ついにジョナサンはボールをとります。

ジョナサン:ゴー ディープ。

クラークはジョナサンに微笑んで納屋に向かって興奮して走り出します。
ジョナサンはクラークへボールを投げます、そしてクラークがそれを捕えます。
クラークが納屋の前のバスケットボールのゴールポストまで走ってボールをダンクします。

ジョナサン:[腕を上げ]
      よしっ!

第4幕 場面3
スモールビル高校。
日中。
トーチの一面を見て混雑する廊下でロイスは誇らしげに壁を背にして立ちます。
記事の脇には彼女の写真があり「一皮むけば」と書かれていました。
クロエが階段を降りて来て笑顔でロイスに歩きます。

クロエ:なかなかの才能ね?
ロイス:[プライドを隠すために嘘をつきます]
    タイプミスよ。

二人は一緒に歩きます。

クロエ:あら、そうなの。
    アビーの筋書きを追跡調査したわ。
    母親の変わりようは、今精神を病んで壁の前で「鏡、鏡」って喚いてるって。
ロイス:アビーは大丈夫なの?
クロエ:ええ、彼女は来週には戻るそうよ。
    それであなたは最初の活躍に興奮してる?
ロイス:うーん、夢に見た金曜日の夜ほどじゃないわね。
クロエ:へえー、それじゃスモールビルの新しい名士としてデビューね。
ロイス:ええ、その通りよ。
    表面上の事より、私のために町中が大騒ぎよ。
クロエ:驚くわよ。
    つまり、私のスタンスは鼻の整形手術をよしとするような女じゃないの、でも…
    [彼女はロイスに数枚の紙を手渡します]
     …ファンレターよ。
    あなたの小さなコラムが二人に感銘を与えたようね。
ロイス:誰も読んでくれるとは思わなかったわ、じゃあ読むわね…
    [手紙の一つを読みます]
    「人生を変えるような経験」?
    何よこれ。
クロエ:何。何が言いたいの、でも私は中身を知ってるわ。
    ブルペンへようこそ、ミス・レイン。
    [彼女は歩き去り始めます]
    これから濡れたTシャツを着たクラークに会いに行くんだけど、
    一緒に行く?
ロイス:[彼女に引き続いて。]。
    そんな彼一度も見た事がないわよ。

学校の外、フットボール場の激励会。
ロイスは水タンクの目標にフットボールを投げて失敗します。
Tシャツとショートパンツ姿でタンクの上に座っているクラークが小憎らしそうにロイスにほほ笑みます。
ジェイソンはクロエの脇に立っているロイスにもう一つフットボールを投げます。
学生たちのグループが興奮して見守ります。

ジェイソン:目標をよく狙って。
クラーク:さあ来い、ロイス!
     そっちにいる奴らに何も教わらなかったのか?
ロイス:知りたいの?

クロエが笑います。
クラークはロイスに投げるようにジェスチャーで促します。

ロイス:問題ないわ、あんたを落としてやるんだから。
クラーク:それはありえないね。

これを見ている学生たちは合唱を始めます。

群衆:ダンク!ダンク!ダンク!ダンク!ダンク!ダンク!

ロイスは腕を引き戻してボールを投げます、そしてボールは標的にぶつかりクラークは水タンクの中に落ちます。
ロイスは腕をあげて雄たけびを上げます。

ロイス:わおーっ!

彼女と学生たちが雄たけびを上げ拍手するのを見てクロエが笑います。
クラークがずぶ濡れの顔に満面の笑みを浮かべて立ち上がるとロイスはタンクに走ります。
ロイスがクラークの濡れた髪に手を伸ばすと、クロエのところへと戻ります。
クラークが手で髪の水を拭いタンクの水を巻き散らすと彼女は笑顔でまたクラークの元に行きます。
クロエはクラークとロイスの間に増大する友情を見ると彼女の顔の微笑は色あせ始めます。
ロイスはクラークにもう一度勝ったというような微笑を向けます。
そしてクロエは不安そうに地面に目を伏せます。

フェイドアウト。

おしまい。