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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

訳者編集後記
  またまた編集前記です。
  私はフットボールはほとんど知りません。
  ですので訳していても意味の分からない用語が出てきています。
  変な訳だと思った方はメールか掲示板へお願いします。

シーズン4.04Devoted[献身]

第1幕 プロローグ。
スモールビル高校のフットボール場。
日中。
チームは赤と黄色のジャージの二手に別れています。
各々のチームとも守備位置に着き試合開始の合図を待ています。

選手:レディ!
    ダウン!
    セット!
    ブルー47!ブルー47!

チアリーダーは興奮で金切り声を上げます。

選手:ハット!

試合が始まります。
ボールは赤チームの選手から敵陣に入った赤選手へと投げられます。
赤選手はボールを受け止めます。
ジェイソンはフィールドの側面に沿って歩き見守ります。

ジェイソン:いいぞ、コーミア!
      前の奴を見ろ!

チアリーダーの一人、マンディーが選手の一人、ダン・コーミアを応援します。
ダンはマンディーのボーイフレンドです。

マンディー:ワォッ!
       そうよ、ダン!
       いいわ!

クラークはユニフォームを着ていましたがベンチに座ってガッカリした顔でボールをいじっていました。
ジェイソンは彼に近づきます。

ジェイソン:おい、クラーク。
       調子はどうだ?
クラーク:見てて楽しいですよ。
      ベンチから。
ジェイソン:[クラークの脇にひざまずき]
       いいか、聞け、君の事はキグリーコーチに話した。
       だが君も知っての通り、彼は頑固だ。
       コーチはもう今シーズンのチームを選抜したんじゃないかと思う。
       じゃあ、そこで待ってろ、いいな?

クラークは気乗りせずにうなずきます。
ジェイソンが歩き去ると彼は小さなため息を漏らします。
ジェイソンはホイッスルを吹いてフィールドの選手達に話ます。

ジェイソン:上がれ、皆。
       水分補給をしろ。

ダンともう一人の選手ネイトは手を叩き祝福の握手をします。

ダン:ナイスキャッチだ、相棒。
ネイト:今年はお前と俺だな、相棒。

マンディーは興奮してダンに駆け寄って彼にキスしようとします。
彼はイライラして彼女から少し離れます。

ダン:分かったから止めてくれ、マンディー。
    もう止めろって。

ダンは飲み物の置いてあるテーブルに向かって歩き続けます。
マンディーは緑色の液体の入ったスクイズボトルを持って彼の後を追います。
彼女の態度は執拗でいくぶん必死です。

マンディー:ごめんね。
       それでさ、今度の土曜の夜の事なんだけど?
ダン:えーと、君とは何も約束してないよ。
    ネイトたちと一緒にいるつもりだ。
    前にも言っておいただろ。

ダンはタオルを拾い上げて顔の汗をふきます。

マンディー:そうね。
        ただあなたが楽しいならそれでいいの。
ダン:そうか。
マンディー:あなたのために飲み物を持ってきたの。

マンディーはダンにスクイズボトルを手渡します。

彼女は向こうで彼女を見つめているチアリーダーのグループをちらっと見ます。
彼女たち皆が同じ緑色のスクイズボトルを持っていました。
彼女たちはいたずらっぽくマンディーにほほ笑んでうなずきます。
ダンはボトルを開けて口の中に流し込みます。
緑色のジュースが食道を通って体に吸収されると彼の心臓は鼓動を早めます。
彼の目にはマンディーが白い光に包まれ美しく輝いているように見えます。
違ったマンディーを見るかのようにダンは数回瞬きをします。

ダン:何だ?
    [彼女が微笑すると彼は近づきます]
    だまされたよ。
    [彼は彼女にキスします]
    土曜の夜は君と一緒にいるよ。
マンディー:土曜日まで待つ気なの、今すぐショッピングに行かない?
ダン:君がそう言うんなら。
    シャワーを浴びてくるよ。

ダンは再び優しくマンディーにほほ笑んで学校に向かって歩きます。
マンディーは再びチアリーダーのグループの方に目を向けて彼女たちに「オーケー」の微笑を与えます。
彼女たちもお返しに微笑して手を振ります。
ジェイソンはダンを止めます。

ジェイソン:どこに行くんだ、バド?
       フィールドはここだぞ。
ダン:マンディーと買い物に行くんだ。
ジェイソン:なんだって?

マンディーは彼らの間にたちます。

マンディー:[ダンに]
        車に行ってるわね。
ダン:ああ。

マンディーは歩き去ります、そしてジェイソンは当惑した表情で彼女の後姿を見送ります。

ダン:[突然腹を立て]
    俺の彼女に目をつけたな、バディー?
ジェイソン:何の話だ?

ダンは一瞬のジェイソンを睨み付けると学校に向かって行きます。

ジェイソン:[彼を呼び止め]
       ダニー、お前も行くのか、金曜日にはベンチ入りだぞ。
ダン:[向きを変えないで]
    ああ、ほっといてくれ、クソッ!

ジェイソンはまだベンチにいるクラークに振り返ります。

ジェイソン:クラーク!
       チャンス到来だぞ。
       行ってこいよ。

クラークはヘルメットを掴み立ち上がってフィールドに向かって楽しそうに行きます。

ジェイソン:がんばれよ。クラーク。
       [クラークが止まります]
       これも必要だぞ。

ジェイソンはフットボールを拾い上げてクラークに投げるとクラークはボールを受け取ります。
クラークがフィールドに向かって行くと、彼を見ている何人かのメンバーのいました。

選手:あんまりいい気になるなよ、クラーク。
選手 # 2:ダニーはこのチームのクォーターバックだ。

クラークが彼らを無視して歩き続けます、しかし彼が通ろうとしたとき二人はわざと肩をぶつけてきました。
クラークが行ってしまうと二人はフィールドに向きます。

選手:あいつをやっちまおうぜ。
選手 # 2:ああ。

次の試合が始まります。
クラークは赤いユニフォームを着てヘルメットをかぶり、ボールを受け取るために選手の後ろにつきます。
彼は選手の足の間に手を伸ばします。

クラーク:ブルー19!
選手:真ん中じゃない、バカ!

ジェイソンが気短かに頭を振とクラークが離れます。
クラークがためらいがちに再び試みます。

クラーク:青19!
選手:ハイク!

選手は足の間からクラークにボールをパスします、そしてクラーク逆そうして投げる準備をします。
クラークにタックルしようとした黄色選手の一人を避けてボールを投げます。
ボールは空高く舞い上がってもう一人の赤選手が捕球します。

ジェイソン:ナイススロー、ケント!
       その調子だ!
クラーク:[喜び]
      了解!

ロッカールームでは帰り支度のため靴の紐を結んでいるジェイソン以外誰もいません。
彼は背後に物音を聞き確認しようと振り向きました。
誰かがロッカーの端の方からショットガンをジェイソンに向けています。
ショットガンを持つ腕以外姿は見えません。
ジェイソンはショットガンを見るとベンチからさっと動いて床に伏せます、と同時に銃が発砲されました。
最初のショットは外れます。
狙撃者が銃の撃鉄を起こす瞬間、ジェイソンは走って銃の射程外に逃げます。
二度目の狙撃も外れます。
ジェイソンがロッカーの間を走る抜けると三度目は天井の蛍光灯に当りました。
火花が飛び散りライトが天井からぶら下がって揺れ動いています。
ジェイソンはドアに走って外に出ようとします、しかしドアには錠がかかっています。
彼は向きを変えると狙撃者はフットボールのユニフォームを着ていました。
再び発砲がされるとジェイソンは手で頭を覆い床に伏せます。
今度は壁の鏡に当たり粉々になった破片がジェイソンの上に降って来ました。
彼は立ち上がって、狙撃者がダンであることが分かると手を伸ばします。
ダンはまだ彼に対して銃を向けています。

ジェイソン:オイ!よせ!
       ダニー、銃を下に置け。
       話せば分かるだろう。

クラークがロッカールームに入ってきて事態を見ます。

ダン:それでは遅すぎるんだ、コーチ。
    [彼は銃の撃鉄を起こします]
    俺の彼女に色目を使うべきじゃなかったな。

ダンは銃を撃ちます、バレルから鉛の小さな玉の塊が発射されます。
クラークは超スピードでジェイソンのところに走ってジェイソンを床に押し倒します。
弾はクラークとジェイソンを越え壁の鏡に当ります。
床からクラークは撃鉄を起し再び発砲しようとしているダンを見上げます。
クラークはヒートビジョンを銃に向けて放ちます。
銃は真っ赤に熱くなりダンは銃を落とし悲鳴を上げます。

ダン:うわぁ!

銃は床の上で真っ赤になったままカタカタ音を立てていました。
ダンは銃の脇に倒れます。そしてぶら下がっている蛍光の冷たい光の明滅を浴びます。
クラークは目を大きく見開いていました。

第1幕 場面1
タロン。
夜。
アパートでラナはガーゼに消毒薬を着け、シャツを脱いため息をついて座っているジェイソンへ歩きます。
ラナはジェイソンの肩の傷に近くにガーゼを当てます。

ジェイソン:おぅ、おぅ、おぅ。
ラナ:まだ傷に触ってないわよ。
ジェイソン:練習してるんだよ。
ラナ:それはいいわ、かなり傷が深そうだもの。

ラナが傷口を消毒するとジェイソンは痛みにうなります。
それから彼女は包帯を巻きます。

ジェイソン:まあ、もしクラークが俺にタックルしてなかったら、もっと悲惨な目にあってたかもな。
       あんなに早く動ける奴なんてはじめてみたよ。
       あいつはベンチから出さないとな。
       なに、今なら簡単なことさ。
       [微笑しながら]
       コーチに銃を撃ったんだ、退学処分になるだろう?
ラナ:そんな話し聞きたくないわ、ジェイソン。
ジェイソン:[すぐに微笑をやめ]
       そうだな。
ラナ:[彼から離れ]
    クロエからこの事を聞いた時の私の気持ち、分かる?
    気が遠くなって叫びたい気分だったわ、でもできなかった。
    「どうして新しいコーチの事でそんなに怯えるの?」って聞かれたら?

ジェイソンは立ち上がってシャツを着るとラナに向かって歩きます。

ジェイソン:いいかい、いつもなら花束を持って君を素敵な夕食に連れていくんだけど。
       でも親父は俺を勘当した、学校で働くと決心したからだ。

ラナは目を伏せ理解しますが不安そうです。

ジェイソン:なあ。
       この仕事が必要なんだ、そうだろ?
       つまり俺は君が好きなんだ、分かってるだろ。
       それに学校の予定で働いているんだ。
       だから君と一緒にいられる。
       唯一の悩みは皆には内緒だという事だ、でも…
       それが悪かったんだな。

ラナは優しくジェイソンを見て触れます。
それから彼女は彼に近づきそっとキスをします。

ラナ:今まで一度も幸せなことはなかった、そして不満をぶつける事もできなかった。
ジェイソン:君はいつでも俺に不満をぶつけてくれてもいいんだ。

ラナは微笑します、そして彼らは再びキスします。

第1幕 場面2
スモールビル高校。
日中。
多くの生徒達が正面玄関に入っていきます。
ロイスは携帯電話で話をしながら廊下を歩きます。

ロイス:[腹を立て]
     何か悪い手違いだって学部長に話してもらえませんか?
     私はメトロポリスの大学生なんですよ、田舎の高校生じゃないんです。
     [間があり]
     ええ、はい、考え直して折り返し電話を下さい。
     ありがとうございます!

ロイスはロッカーの前にいるクラークに気付かず通り過ぎ携帯電話を閉じました。
彼はフットボール部のジャケットを着ています。
彼はロッカーを閉じます。

クラーク:知ってるかい…
      [ロイスは立ち止まります]
      ここを出るのに一生懸命になるんなら、その分勉強をしていれば今頃大学生になってるよ。
ロイス:[振り返り]
     ありがたいお言葉ね、農家の年鑑ではそうなの?

クラークがあざけるように笑って、ジャケットを見せびらかすように取り出します。

クラーク:それじゃ、これはどう思う?
ロイス:あなたには似合わない色ね。

ロイスは歩き出します、そしてクラークは後に続きます。

クラーク:学校の色なんだよ。
ロイス:あなたがチームに入ったのは喜ばしい事だわ、クラーク、でもどうしてそんなに順応するの?
     少なくても農家の少年らしさがなくなったわ。
クラーク:[イライラして]
      今後僕らの会話は挨拶程度にとどめておかないか。

二人のチアリーダーがクラークとロイスの後ろを歩きます。
彼女たちは会話をしていました。

少女 # 1:彼女が試したのが信じられないわ。
少女 # 2:そうよね。
       彼女何を着てたか見た?
少女 # 1:太ももでしょ?
       1、2、3…
二人の少女:ヤダー!

彼女たちは笑いながら歩き続けロイスとクラークは変な顔をして見ます。
彼女たちの後ろからフットボールのジャケットを着た男二人がついてきています。
彼らは女の子たちのポンポンとバッグとバックパックを運んでいました。
ロイスとクラークがロッカーの前まで来ると、
一人の男の子は女の子のために教科書を取り出し、もう一人の男の子は女の子のためにセーターを取り出していました。
その男の子たちもフットボール選手です。
ロイスとクラークは混乱して見つめますが歩き続けます。

少女 # 3:ええ、それじゃパーティーは刺激的な方がいいわ。
男:ああ、プールパーティーだ!すごいぞ!

ロイスとクラークは別のカップルを見ます。
チアリーダーの娘が口紅を塗るのをフットボール選手が鏡を持って手伝っています。

ロイス:私達、異常なフェミニストのパラレルワールドにきちゃったのかしら?

クラークとロイスはクロエのいるトーチオフィスに入ります。

ロイス:ねえ、クロエ、フットボールの選手がやってる事見た?
クロエ:[仕事から顔を上げません]
     ええ、その中の一人がロッカールームでショットガンを撃ったのを見つけたわ。
     その記事を書こうとしてるんだけど、二人の記者が遅れてるんだ。
     [クラークとロイスを見ます。見せかけの驚きで]
     あら!来てたの。
ロイス:ゴメン。
     メトロポリス大学に電話して入学許可を取り付けてたのよ。
クラーク:僕は新しいジャケットを受け取りに。
      どう思う?
クロエ:似合わない色ね。

ロイスは咳払いをして喜びます。

クラーク:これは学校の色なんだよ。
クロエ:そうであっても。
     とにかく、ロイス、あなたにスモールビル医療センターに行ってほしいの。
     今朝銃を撃ったクォータバックが目を覚ましたんだって。
     それに第二度の火傷をしてるってさ。
     ずーっと謝ってるから…
ロイス:カンザス州の少年フットボールの夢はもうないんじゃない。

ロイスの電話が鳴ります、そして彼女はそれに答えます。

ロイス:もしもし?
     はい、学部長ですか、待ちます。
     [クロエに]
     私、いかないと。

ロイスはオフィスから急ぎます。

クロエ:分かったわ、私がスモールビル医療センターに行くわ。
     クラーク、あなたはティーガコーチに話を聞いて。
     結局、あなたもそこにいたんだから。
     いいわね、ところでさ。
クラーク:[間があり]
      実は、クロエ、
      フットボールの練習があるから、後でトーチに電話するよ。

クロエが驚いてクラークを見ます。

クロエ:ええっ。
     やっと私に合った仕事が来たと思ったのに。
クラーク:ゴメン。
      でも、僕の優先順位は…
クロエ:[笑って、傷ついた事を隠し]
     何とかするって。心配しないで。
     あなたにとってはチャンスじゃない。
     クォーターバックに選ばれたんでしょ?
     よかったじゃない。
クラーク:そうだけど、でも…
     周りの皆は僕の事を必要だとは思ってないよ。
クロエ:皆、3年もの間一緒にやってきてたんだもんね。
     二週間しか経ってないのに突然じゃあね。
     何を期待してたの、ハグ?それともキッス?

クラークは肩をすくめます。

第1幕 場面3
ロッカールーム。
日中。
選手達は真新しいユニフォームの入った箱の周りに集まっています。
一人の選手がヘルメットを取り出します。

選手:ニース。

彼はもう一人にそれを投げます。
クラークが入ると他の選手達は新しいユニフォームについて話し合っていました。

クラーク:どうしたんだ?

別の選手が背中に「ケント」と書かれたジャージをクラークの胸に押し付けます。

男:感謝しろよ、クラーク。
  そいつを便所から拾ってやったんだ。
クラーク:ありがとう。

ジェイソンが部屋に入ると、もう一人の選手がクラークをにらみつけます。

ジェイソン:よーし、皆。
       よく聞くんだ。
       君たちは新しいユニフォームを見た事と思う。
       それを寄付してくれた人を紹介しよう。
       レックス・ルーサー!

クラーク以外の選手達は拍手でスーツを着たレックスを迎えます。
皆の輪の中に入るためクラークを通り越して進みます。
拍手は収まります。
レックスはクラークに背中を向けています。

レックス:コーチは俺にこれが再構築のシーズンだと言っている。
      そして俺は君たちにそうしてもらいたいと奨励をする。

彼はクラークに顔を向けますが再び皆に話をするため向きを変えます。

レックス:俺の生涯で、君たちは例え負けても決してあきらめない事が何なのかを俺は知った。
      チャレンジしてくれ。
     それは新たな活路を開くだろう。

レックスは頷いているジェイソンを見ます。
それからクラークを冷たい目で振り返ります。

レックス:それでこの新しいユニフォームを着て欲しい。
ジェイソン:そうだ!その通りだ!

皆が再び拍手をします。
そしてレックスはクラークを通り過ぎ去り始めます。

クラーク:君が何をしたいのか分かってるよ。
      [レックスはクラークを見ます]
      だけど僕らの友情は金では買い戻す事はできない。

レックスは返事をせずに悲しげにクラークを見ます。
クラークは歩き去ります。

第1幕 場面4
選手達はフィールドで練習を始めています。
日中。
クロエがジェイソンに追いつきます。

クロエ:ティーガコーチ。
    あの。
ジェイソン:やあ。
クロエ:私、そのー、トーチの取材をしたいんです、ダン・コーミアの事で。
     ほんの少しでいいんです、お時間いただけませんか?
ジェイソン:ちょっと待っててくれるか?
       練習の最中なんだ。
クロエ:ほんの少しでいいんです、約束しますから。
ジェイソン:後で構わないだろ。
クロエ:[自信なく]
     分かりました。
ジェイソン:後でな。
クロエ:分かりました。。

クロエは歩くのをやめます、そしてジェイソンは歩き去ります。

近くで、マンディーを含めての四人のチアリーダーが飲物を置いてあるテーブルに向かって歩きます。
チアリーダーの二人が何本かの緑色のスクイズボトルを抱え、
他の二人は大きなクーラーを運びとテーブルの上にプラスチックのカップを置きます。
ジェイソンは彼女たちのところへ歩み寄ってカップをとります。

ジェイソン:やあ、みんな。

ジェイソンはクーラーから緑色の飲物をカップに注ぎます。

マンディー:[色っぽく]
       ねえ、ティーガコーチ。
       誰か特別な人がいらっしゃるの?

ジェイソン:[落ち着かないで笑います]
       ああ、マンディー、それは君たちの仕事じゃないだろ。

ジェイソンは一息でジュースを飲み干すと彼にほほ笑むマンディーに振り返ります。

ジェイソン:でも、俺にはいるよ。

彼はテーブル離れ皆が練習しているフィールドに向かって歩き去ります。

ジェイソン:皆!
       クォーターバックに少し練習をさせるんだ。
       ポケットを維持するんだ!
       おい、カールセン!
       動き回れ!

クロエが飲物のテーブルからこれを見ます。
クラークがユニフォームを着て彼女に向かって来ます。

クロエ:ねえ、クラーク!
     あなたが今記者として動く事はできないのは分かってるけど、でも…
クラーク:タイミングが悪いよ、クロエ。

クラークはフィールドに向かって行き続けます。

クロエ:分かった。
    [自分に]
    優先順位ね。

クロエはクーラーの上にメモを置いて緑色のジュースの入ったカップを掴みます。
彼女はひと飲んでフィールドで練習を始めるクラークを見ます。

クラーク:[選手の後ろに着き]
      ブルー23!
      ブルー23!
クロエ:[にこやかに]
     クラーク…
クラーク:ハット!

クロエがトーチに入るとロイスがちょうど電話を切るところでした。

クロエ:やあ!
     あのさ、あなたに精神異常のクォーターバックの記事をやってもらいたいんだけど。
     彼のガールフレンドのマンディーにインタビューしてくれない。
     私チアリーダーをやるわ。

クロエはロイスにメモ帳を手渡します。

ロイス:私、ここから出て行くのに忙しいんだけど。
クロエ:そうなの。
     何をしてもいいから、今の責任は果たしてよ。
     [微笑しながら]
     私はトーチを辞めるから。
ロイス:えーっ!
     待ってよ。
     辞めるって?どうして?
クロエ:ついに理解したのよ、どうしてクラークと一緒に仕事をしなかったのか。
ロイス:オーケー、何なの。
クロエ:それは彼のためにここに居たんじゃなかったからよ!
     いつもここでこんな愚かな学校新聞に埋没してきてたの。
     彼を深く愛してなかったのよ。
     でも今は違うわ。

クロエが運命の壁に向かって歩いて、そして写真をはがし始めます。

ロイス:そんな馬鹿げた話は終りにしてよ!
     辞めるですって、本気なの、それにあいつに恋をしたですって?
クロエ:[ロイスに近づき、腹を立て]
     気が違ったって言いたいの?
     私が幸せになっちゃいけないの。
     ラナとクラークがついに終わってしまった今、私にチャンスがあるかもしれないじゃないの。
     どうして私の邪魔をしようとするの?
ロイス:[諦め]
     いいわ。
     私が取材に行ってくるから。
クロエ:ありがとう。

ロイスは部屋を出ます。

ロイスが廊下を歩いているとマンディーが三人のチアリーダーと話をしているのを見つけます。

ロンダ:まじめな話し、マンディー、24時間のモーニングピリオドは終わっちゃうわ。
    プールパーティに新しいボーイフレンドを連れて行かないと。
マンディー:うん、私、ダン以外に何もしてないの、誰かいい人がいないかな、ロンダ。
少女 # 3:じゃあ、クラーク・ケントは、新しいクォーターバックの。
少女 # 4:それに結構セクシーよ。

他の少女たちは笑って頷きます。

マンディー:即決ははだめよ。
      彼の様子を探るわ。

ロンダはロイスが聞いていることに気づき、他の少女たちに知らせるためにジェスチャーで表現します。
ロイスは皆の所に向かって、そしてマンディーに話をします。

ロイス:マンディー?
     私、ロイス・レインよ。
     トーチの取材で、あなたのボーイフレンドの事で聞きたいんだけど。
ロンダ:その事については話たくないって。
ロイス:私も記事を書きたくないんだけど、従妹が私に振ってきたんだ、だからお願い…
マンディー:地球で最後の新聞になっても、あんなオタクにはお断りよ。
ロイス:ちぇっ。
     かなり鋭いわね。

皆がロイスを睨み付けます。

ロイス:ほら、見て。
     お供が来たわよ。
     [フットボール選手の3人が彼らのところへ歩み寄ります。
      マンディーに]
     もう一人いたの?
マンディー:別のボーイフレンドがいたっていいでしょ。
       [彼女は指をパチンと鳴らします]
ロイス:驚いた、超ミニスカートだわ、それが武器なのね。

ロンダはロッカーから自分のボーイフレンドにフォルダーを手渡します。
彼が床にそれを落とすとロイスがそれを拾い上げます。
彼女がそれを開くと「愛の分子」というタイトルを見ます。
フェニルエチルアミン(訳注:チョコレートなどに含まれる成分で人の気分に影響し催淫効果があるとも言われる)の分子の絵があります。

ロイス:へえ、最新化学ね。
     二重螺旋を描くのに何人のチアリーダーが必要なのか?
マンディー:それを書く気?
ロイス:ええ。
マンディー:あっち行ってよ、バカ。

チアリーダーがロイスを押しのけて歩き去るとロイスは微笑します。
彼女たちはあざけるように手を振ります。

ロイス:見出しは見つけたわ。

第1幕 場面5
クラークの屋根裏。
夜。
クラークが階段を昇っていくとクロエがソファーの上に座っていました。

クラーク:クロエ。
      [間があり]
      どうしたんだ?

クロエはクラークのフットボールのユニフォームだけを身に着けています。
彼女は彼に座るようソファーを軽くたたきます。
クラークが不安そうにバックパックを降ろして床に置きます。
彼はクロエから離れた場所に座ります。

クロエ:それでさ、今朝あなたが言った優先順位のこと覚えてる?
     ずっと自分にとっての優先順位を考えてたんだ。
     それで自分がおかしいって事に気づいたの。
     トーチなんて必要ないわよね?
     特にあなたがいないなら。

クロエがクラークに近づきます。

クラーク:そうだね。
      でも答えになってないよ、どうして着てるのか…僕のユニフォームをさ。
クロエ:私はあなたを最優先にしたの。
     [クラークが混乱して彼女を凝視します。
     彼女はより近づきます]
     あなたのためなら何でもするわ。
     ラナがしないような事でも。
     あなたのストレスを解きほぐしてあげる。

クロエがクラークの胸に手を置きます。

クラーク:[心配して]
      例えば?

クロエはクラークの胸から腹へと手を撫で下ろし微笑します。

クラーク:クロエ…

クラークが止めさせるまで彼女の手は下へと下がっていきます。

クラーク:クロエ!
      おい、クロエ!
      [彼は軽く彼女の手を叩いて体から離させます]
      一体何を考えてるんだ?
クロエ:私、一度も幸せを感じたことがないの。
     [彼女はクラークの膝にまたがります]
     クラーク…
クラーク:[さらに不安になり]
      あー。
クロエ:あなたは分からないの?
     あなたを物凄く好きなのよ。
     あなたを愛してるわ、クラーク。

クロエが唇に激しいキスします、そしてクラークは驚いて手をあげます。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
クラークがバックパックを背負って家の階段を降りて来ます。
日中。
台所に入いると椅子の上にバックパックを置きます。
マーサはカウンターの上にパイを置いてラップし始めます。
彼女の脇のカウンターの上には大きなスポーツバックとフットボールがあります。

マーサ:クラーク、フットボールの用具をまとめたんだけどユニフォームが見つからないのよ。
クラーク:それは、あのー、納屋だよ。
      忘れてきたんだ。
      後で、その、取ってくる。

クラークは冷蔵庫に行ってミルクを取り出します。

クラーク:ねえ、母さん、少し聞いてもらいたい事があるんだけど?
マーサ:いいわよ。
     何?
クラーク:クロエの事なんだけど。
      うーん、夕べかなり強引に僕に迫ってきたんだ。
      彼女の事が心配だ。
      心配しないで、何もなかったから。
マーサ:私はあなた達はお互い友達だと認識してると思ったわ。
クラーク:そうだったんだけど、夕べ急に180度変わったんだ、クロエの方が。
マーサ:多分クロエは自分の気持ちに気づいたんじゃない。
     あなたは彼女をどう思ってるの?
クラーク:問題は、まだラナを思ってる事だよ。
     [悲しげに]
     時々そんな事はないって思うけど。
マーサ:[慰め]
     クラーク。
     あなたにも出会いはあるはずよ。
     そうでしょ。
クラーク:それで、クロエをどうしたら?
マーサ:もしあなたの気持ちがそうじゃないなら、正直に言う事ね。

ジョナサンが入ってくるとクラークがうなずきます。

ジョナサン:おはよう!
マーサ:おはよう。
     あら、もうタロンに行かないと。
     また後で会いましょ。
     行ってきます。
ジョナサン:行っておいで。
       それでな、クラーク。
       教えてくれないか、フットボールの練習状況を?
クラーク:あまり良くないんだ。
      僕が入ってから何人かが僕をいじめるんだ。
      僕のパスをミスしたり…
ジョナサン:簡単な事じゃないと言っただろ。
クラーク:ガッカリしたのはそうだけど、僕はいつでも得点を取れるんだ。
ジョナサン:クラーク、その事については話をしただろ、忘れたのか?
       苦しいからといってお前の力を使っていい場所ではないんだ。
クラーク:僕はガッカリしたって言っただけだよ。
ジョナサン:なあ、クラーク、もしお前がクォーターバックになるんなら、リーダーでなければならないんだ。
       もちろん、沢山の男たちがお前に挑戦してくるだろう、お前がそれに値すると思わなければな。
       私にも同じ事があった。
クラーク:父さんはチームの中で崇拝されてたと思った。
ジョナサン:二年生の時じゃない。
       あの時コーチは私を先発のクォーターバックにした。
       あるグループはそれを好まなかった。
クラーク:父さんはどうしたの?
ジョナサン:彼らとの関係を築いたんだ。

クラークはこの話しに頷いて考えます。

第2幕 場面2
スモールビル高校。
日中。
ラナは誰もいない廊下をノートを持って歩きます。
彼女はこちらに向かって歩いてくるジェイソンを見つけます。

ラナ:[心配そうに]
    ねえ、何も問題はないの?
ジェイソン:ああ。
       それは今だよ。
 
ジェイソンは彼女にキスします、そして彼女は誰かが見ているんじゃないかと辺りを見回して離れます。

ラナ:ねえ、何をするの?
ジェイソン:ガールフレンドにキスしたんだけど。
ラナ:違うわ、もっと「状況」考えてっていってるの。
    [彼女はノートを振り上げます]
    出席事務所の女性から私の受けるクラスが発表されたわ、ティーグコーチに会いにいく必要があるって。

ジェイソンが彼女の顔に触れると彼女は再び離れます。

ラナ:ちょっと止めてってば、突然何?ちょっと変よ。
    たとえあなたでも。
ジェイソン:んー。
ラナ:私と一緒にいるだけでもある程度の危険があるのに。
    あなたの仕事をダメにしたくないわ。
ジェイソン:仕事なんかどうでもいいだろ?
       君もそうだろ。
       俺は君を幸せにしたいんだ。
ラナ:分かってるわ。
    私もそう思ってる。
    でもそれは後で話すべきよ。
ジェイソン:オーケー。
       でも何を約束してくれるんだい?
ラナ:事情によるわ…
ジェイソン:放課後の練習を見に来てくれよ。
       サイドラインのスタンドに、十分だけでいいから。
       君を見ていたいだけなんだ。

ラナは微笑します。

第2幕 場面3
選手達がジャンプジャックの練習をしていると、チアリーダーはフィールドで応援の練習をしています。
日中。
ジェイソンはホイッスルを吹きます。

ジェイソン:よーし、皆。
       練習試合の前に水分補給だ。

選手達は飲み物のテーブルへと走ります。
クラークが外野スタンドに座っているラナに気がつきます。

クラーク:ラナ?
      [彼はヘルメットを脱いで彼女に歩きます]
      ここで何をしているんだい?
ラナ:わ、私、クラークが新しい先発のクォーターバックになったって聞いたから見に来たのよ。
クラーク:本当に?
      僕の練習を見に来たっていうのは?
      それは別の意味もあるのかい?

ラナは不器用に微笑します。
ジェイソンはクラークがラナに話をしているのを見ます。

ジェイソン:[非友好的に]
       おい、ケント!
       どっちに行ってるんだ?
クラーク:[ラナに]
      もう行くよ。
ラナ:新しいアシスタントコーチがかなりあなたをしごいているようね。

ジェイソンはクラークとラナを見て緑色の飲物をがぶ飲みします。

クラーク:いや、彼は、あー、実はそうなんだ。
      [ラナはうなずきます。
       クラークがもう一度彼女を見ます]
      じゃ、また後で。
ラナ:また。

クラークは外野席からテーブルに向かって歩いて行きます。
ロイスが彼に追いつきます。

ロイス:ねえ。
     私の従妹に何をしたの?
     私がゾーッとしたぐらいだから。
クラーク:何も。
      僕にモーションをかけてきたんだ。
ロイス:じゃあ、あなたに何らかのシグナルを送ったのね。
クラーク:なあ、ロイス、試合が近いんだ、ここでいい印象を与えておかないと、そうだろ?
      その話しは後でいいだろ?

クロエがクラークとロイスに向かってスキップしてきます。
彼女はチアリーディングのユニフォームを着てポンポンを振り回しています。
彼女は無我夢中で興奮しています。

クロエ:ハイッ!
     ハイッ、クラーク!
     ハイッ!
ロイス:あらまあ。
クロエ:ハイッ、クラーク!
     ハイッ!
    [彼女は興奮して笑います。]。
     ジャジャーン!
     ハイッ!
クラーク:クロエ。
      ど、どうしてそのユニフォームを?
クロエ:物置のロッカーで見つけたの。
     私思ったのよ、いい、優勝候補のクォーターバックを応援するにはチアリーダーに入るのが一番だって。
     私達、いつでも一緒よ!
クラーク:[うんざりして]
      あーあ。

ロイスは奇妙にクロエを見ます。
クロエがクラークとロイスを見ます、そして彼女の微笑は色あせます。

クロエ:なんでロイスがいるの?

ジェイソンがクラークに叫びます。

ジェイソン:おい、ケント!
       時間がないぞ!
クロエ:グッドラック!
     バーイ!

クロエがクラークに投げキッスを送ってサイドラインに走ります。

ロイス:あらら。
     超特急ね。
クラーク:君はクロエを僕から遠ざけておいてくれないか。
ロイス:何で?
     麻酔銃でも使う?
クラーク:何か悪い予感がするんだ。
      ただ少し時間が欲しい、いいだろ?
ロイス:オーケー。

ロイスは歩き去ります。
クラークはテーブルに行って緑色のジュースをコップに注ぎます。
彼はジュースを口に入れると直ぐに吐き気を催し痛みでかがみます。
ジェイソンが彼のところへ歩み寄ります。

ジェイソン:ケント。
       どうかしたのか?
クラーク:[息を荒げ]
      コーチ、気分が悪くなりました。
      帰りたいんですけど。
ジェイソン:気分が悪いから帰りたいって。
       いいか、俺は君を過大評価してたようだな、ケント。
クラーク:コーチ、僕は…
ジェイソン:いいか、チームはあそこで君を待っているんだ。
       君がリーダーになるか否かの瀬戸際だぞ?

クラークはよろめきながらフィールドに向かって歩き出します。
ネイトがフィールドに向かって歩き始めまるとジェイソンが止めます。

ジェイソン:残りの者はケントに攻撃しろ。
       今まで甘やかしすぎた。

ネイトは微笑して興奮しフィールドに向かって走ります。
ジェイソンはもう一杯ジュースを飲みます。

練習再開。
クラークがボールを投げようと後ろ向きに走り出すと三人の選手がクラークにタックルを仕掛けます。
クロエはクラークを応援してポンポンを振り回しています。

クロエ:大丈夫よ、クラーク!
     平気でしょ!
     振り切れ!

ネイトは仰向きに倒れるクラークを見下ろします。

ネイト:いいざまだな?

クラークが弱々しく起きようとすると彼は意地悪く笑います。
ジェイソンはサイドラインから怒って彼を見ます。
クロエは深く考えもせずに応援のためにフィールドの周りを走ります。
チアリーダーは練習のためきちんと整列して立っています。

クロエ:クラーク・ケント!
     さあ早く!
     K!E!N!T!ケント!

クラークは選手の後ろに立ち練習を再開していました。

クラーク:ブルー 37!
      ハイク!

ボールはクラークに投げられ、すぐに別の選手がクラーク背中にタックルを仕掛け地面に倒されます。
それから二人の他の選手が彼を激しく攻撃します。
クロエが息をのみます。

クロエ:ああ!
     立って、クラーク!

もう一度再開されます。

クラーク:ハイク!

クラークがもう一人の選手にボールをパスすると黄色の選手がクラークに向かって走り始めます。
黄色の選手は二人並んで腕を伸ばしクラークの胸にラリアットをするとクラークは背中から倒れます。

選手:手を貸そうか?

選手はクラークのヘルメットのマスクの部分を掴んで引き起こします。
クラークが痛みに呻きます。

クロエ:ナンバー1のクォーターバックを応援するわ!
     イエイ!

クラークがボールを放ると二人の選手に後ろからタックルされます。
そして次の再開の前にクラークはヘルメットをかぶり直し数回叩きます。
そして頭をはっきりさせようとします。

クラーク:ブルー17!
      ハット!

クラークがまだボールを受け取る前に二人の選手が地面に彼を倒します。

クロエ:あっ!
     もう…
     大丈夫よ!大丈夫!
     ただの打ち身よ!
ネイト:[笑い]
     いいぞ、ケント!
     どんな気分だ、ケント?
クロエ:ゴー、クラーク!
     あなたならやれるわ!
     大丈夫よ!
     ディフェンス!
     ディフェンスよ!
     分かった!

クロエが声援を送っている間クラークはまだ地面に倒れています。
そしてマンディーともう一人のチアリーダーがテーブルからクーラーを取り学校へ運ぶのを見ていました。

クロエ:フーッ!
     イエイ!
     ゴー、クラーク!

クラークはヘルメットを調節して、目を伏せ困惑した表情を見せます。

第2幕 場面4
ケント農場。
夕暮れ。
屋根裏でクラークはシャツのボタンを外したまま机に座っていました。
彼は肋骨にアイスパックをあて、冷たさに息を呑みます。
誰かが来る音が聞こえます。

クラーク:クロエか、もしそうなら、今は遠慮してくれないか。

クラークがヨロヨロと立ち上がると、ジェイソンが黒いジャケットを着て頭をフードで覆って階段を昇ってきました。

クラーク:ああ、ティーガーコーチ。
ジェイソン:[階段を昇ります]
       クラーク、話がある。
クラーク:[シャツにボタンを掛け]
      あの、変に聞こえるかもしれませんけど、
      あのジュースのクーラーに何かがあると思います。

クラークがジェイソンに会うため階段の中間まで降りて来ます。

ジェイソン:ああ、俺の彼女に手を出すべきじゃなかったな。
クラーク:何の話ですか?

ジェイソンはクラークの腹を力いっぱい殴りつけます。
弱っているクラークは痛みに体を折り曲げ息を呑みます。
ジェイソンがクラークの背中にエルボを打ち込むとクラークは下に転げ落ち干草の脇に落ちました。
ジェイソンは階段を降りて来て片手でクラークのシャツを掴みもう片手でクラークの顔を殴りつけます。
三回殴った後ジェイソンはクラークの脚を引っ張って手すりに彼を投げつけます。
手すりに腹をぶつけたクラークは手すりに乗り上げます。
それから立ち上がると鼻血が出ているのに驚きます。
彼はジェイソンに向きを変えます。
ジェイソンは再びクラークを殴りつけると地面に落ちていきました。
クラークはほとんど気を失った状態で地面で喘いでいます。
ジェイソンは階段から降りてくる間じゅうクラークを睨みつけています。
クラークは動けずに彼を見上げます。
そしてジェイソンがもう一度腕を振り上げた時に、レックスがジェイソンの後ろに近づき後頭部を殴ります。
レックスは柱に向かってジェイソンを投げます。
ジェイソンは頭を打ち、立ち上がると屋根裏から走り去ります。
レックスはクラークに手を貸し起こします。

レックス:[心配して]
      クラーク。
クラーク:[驚いて]
      レックス。
レックス:大丈夫か?
      誰だったんだ?

息を切らすクラークは返事をしません。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
ケント農場。
夜。
納屋の中ではクラークは座っていてレックスはその近くに立っています。

レックス:本当に警察に電話をしないのか?
クラーク:ああ。
      二人とも奴の顔を見てないんだ。

レックスはクラークから顔をそむけてカットバンのあるテーブルに向かって歩きます。
一滴の緑色の液体がクラークの鼻から滴り床に落ちます。
クラークは鼻に触れてレックスをちらっと見ます。
彼はレックがまだ背中を向けているのを見ると、シャツを開いて胸の痣が消えていくのを見ます。
彼の額にあった傷は瞬間で見えなくなりました。
レックスがクラークに振り向き近づこうとしたとき、
クラークはシャツを閉じてレックスと目を合わせないようにしてティッシュで鼻をふきます。

レックス:変だな。
クラーク:何が?
レックス:お前の目の上に傷があったはずだが。
クラーク:実際、気分は大分よくなったよ。
レックス:ああ、だが医者に見せた方がいいと思うが。
クラーク:君が来てくれて本当に運がよかったよ。

クラークは立ち上がってレックスを越えてテーブルに歩きます。

クラーク:どうしてここに来たんだ?
レックス:これを持ってきたんだ。

レックスは何かを拾い上げます。
クラークが彼に振り返るとレックスはクラークに青いルーサー・コープのファイルを投げます。

レックス:それは俺が今まで待っていた全てのファイルだ。
クラーク:君がコピーを持っていないっていえるのか?
レックス:そうかもな。
      だが信じて欲しい。
クラーク:レックス、もし友情をそれほど重要だと思ったならどうしてずっと嘘をついてきたんだ?
レックス:分からない、クラーク。

クラークは目を伏せます、そしてレックスは彼に向かって歩きます。

レックス:俺には自分でコントロールすることができない闇の部分がある。
      それは俺に掛けられた呪いであり俺の築いた関係をぶち壊す物だと思い始めている。
クラーク:僕らは誰でも闇の部分は持ってるよ、レックス。
レックス:ああ。
      だが俺にはその闇の部分が忍び寄っているのを感じるんだ。
      お前との友情を引き裂くようにな。
      世界中に本当にいい人間はいる。
      それを捨ててもいいと思っているんだ。

クラークは慎重にレックスを振り返ります。

レックス:おやすみ、クラーク。

レックスは屋根裏を去ります。
クラークは静かに目を伏せます。

第3幕 場面2
スモールビル高校。
夜。
廊下をロイスとクラークが歩いています。

クラーク:ティーガコーチを探してるんだ。
      さっき屋根裏で襲われたんだ。
ロイス:今日のあの様じゃね、驚かないわ。

クラークがロイスを見るために歩くのをやめます。

ロイス:冗談よ。
クラーク:なあ、チアリーダーがクーラーに何かを入れたんだ。
      それがクロエや選手達をおかしくさせているんだ。
ロイス:いい仕事をしてるじゃない。
     何を入れてると思う?
クラーク:少しは調査をしたんだろ?

ロイスはクラークをトーチオフィスに導きます。

ロイス:クロエに求刑もなしでデパートに行かせる気?
     ええ。
     突然、マスコミの力に興味を持ったわ。
    [彼女はファイルを拾い上げて、そしてクラークにそれを示します。]。
    私が何を見つけたか見て。
クラーク:[それを見ます]
      マンディーとロンダは一緒に科学を学んだ。
      そうなのか?
ロイス:それが動かぬ証拠よ。
     化学の先生によると二人はフェニルエチルアミンっていうホルモンを研究していたんだって。
クラーク:フェニルエチルアミン?
     [ロイスは彼にファイルを手渡します、そして彼はそれを読みます]
     「愛の分子」
ロイス:その通り。
クラーク:それって媚薬か何かか?
ロイス:ええ、でもうまくいかなかったみたい。
クラーク:隕石を加えるまではな。
ロイス:[理解できず]
     何なの?
クラーク:その効果を逆にする方法を見つけないと。
ロイス:でも、それを摂取しなければ次第に効果は薄れるんじゃない。
     でなきゃ選手達に飲ませ続けないでしょ?
クラーク:時間がないんだ。
      もし誰かが嫉妬で激情したら誰かを傷つけるかもしれないだろ?
ロイス:ちょっと待って。
     あなたも少し飲んだんじゃない?
     見てたわよ。
     どうしてあなたには効果が出ないの?
クラーク:[間があり]
      分からないよ。
      他には?
ロイス:その科学のレポートはマンディーのニセプラダのバッグにあるわ。
     それを手に入れれば逆に応用できるんじゃない?
     それにあなたも飲んでるんだし。
     [クラークはその事を考えます。
     ロイスはからかって色っぽくなります]
     チアリーダーが今夜プールパーティーを開いてるわよ。
     水着を見てみたくない、クラーク?

クラークは拒絶するように頭を振ってロイスを見ます。
彼女は彼にイヤだと言わせないように微笑みます。

第3幕 場面3
スモールビル高校のプール。
夜。
室内プールの中はパーティーのため装飾され、いたるところにフットボールの選手とチアリーダーがいます。
何人かはプールサイドで話し合ったり、エアーチェアに座ったりしていました。
フットボールの選手の一人が水しぶきを上げプールの中に飛び込みます。
フラッシュライトと大きな音楽がかかっています。
ショートパンツだけの筋骨たくましい男がカクテルのトレーを持ってプールサイドを歩いています。
マンディーはプールの端で立っています。
そしてさっきの男が彼女を通り過ぎようとしたとき、彼女はカクテルを取って退屈そうな顔で飲みます。
他の何人かは三人のフットボール選手が腰蓑とココナッツビキニを着けフラダンスを踊っているプールの向こうに集まっています。

クラークとロイスが入ってきます。
クラークは水着とTシャツを着てタオルを肩にかけていました。
二人は男たちがフラダンスを踊っているのに気付きます。
それからロイスはマンディーの近くのテーブルに置いてあるハンドバッグに気付きます。
マンディーはロイスとクラークに背を向けています。

ロイス:オーケー、クラーク。
     ニセ、プラダバッグよ、フォルダーがあるわ。
クラーク:[心配そうに]
      ロイス、考え…
ロイス:[前方へ彼を押し]
     行って。
クラーク:ロイス…

ロイスがクラークをもう一押しすると彼は降参します。

クラーク:オーケー。

クラークがマンディーに向かって歩きながら不安そうにロイスを振り返ります。
彼女は彼が行き続けるように身振りで合図します、そして彼はそうします。
彼はマンディーの前まで歩きます。

クラーク:[不自然に明るく]
      やあ、マンディー。
マンディー:[うれしそうに]
       あら、クラーク。
      [彼女は飲物をテーブルの上に置きます]
       パーティーにようこそ。

気まずい沈黙があります。
そしてクラークはマンディーの後ろの方にいるロイスをちらっと見てマンディーの肩に触れます。
マンディーはクラークが何を見ているのかと振り向こうとしますが
クラークは彼女がロイスを見るのを阻止するために肩を引き寄せキスしようとします。
ロイスは彼らに向かって忍び寄り始めます。
クラークがキスを終えると自分自身に驚きマンディーは微笑みます。

クラーク:君が好きなんだ。

マンディーはクラークを見つめ、彼のシャツを持ち上げ彼の引き締まった体を見ます。

マンディー:ええ、私もよ。

マンディーはクラークの手を引っ張りテーブルからハンドバッグをつかんでプールから離れてて行きます。
ロイスはマンディーと目を合わさないように目をそらします。
マンディーとクラークがプールを出て行こうとしたとき、クラークは後ろのロイスに振り返ります。

クラーク:[声を出さずに唇だけ動かし]
      ロイス!

ロイスはクラークにマンディーと一緒にいるように手ぶりで示します。
マンディーがロッカールームの中に彼を入れるとすぐにキスをし始めます。
キスを止めずにクラークをウェイトマシーンへと押し付けます。
マンディーの背中が入口に向いたとき、ロイスがロッカールームに入ります。
そして彼女がクラークとマンディーがキスしているのを見て顔をしかめます。
ロイスはもう1つのウェイトマシンの陰に行って後ろから見続けます。

マンディー:ああ、あなたってすごいわ。
クラーク:き、君もきれいだよ。
ロイス:[小さな声で独り言]
     歯が浮くわ。

マンディーとクラークはキスし続けます。
そしてマンディーはクラークの肩からタオルを外して投げるとロイスの顔に当たりました。
マンディーはクラークをベンチに誘い彼を座らせて彼の腕を解きます。
ハンドバッグはまだ彼女の肩にあります。

マンディー:それじゃ、教えてくれない。
        もし私の事を本当に好きなら、私のために何をしてくれるの?
クラーク:夕食でもどうだい。

マンディーは再びクラークにキスします。
クラークはマンディーの肩越しにロイスを見るとロイスはダメだしをします。

クラーク:料理しよう。
      君のために僕が夕食の料理を作るっていうのはどうだい。
マンディー:えっ、すごい素敵だわ!

マンディーはクラークの首にキスをします。
クラークは慎重に彼女の肩からバッグを滑らせて床に落とし、ロイスに拾わせようと指を指します。

マンディー:何に気を取られてるの?
クラーク:えーと、ただ緊張してるだけだよ。
マンディー:どうして?
クラーク:えーと、これまで君とこんな風になるなんて思わなかったから。

ロイスは部屋の隅をコソコソと這い回りバッグに近づこうとします。
マンディーはクラークに微笑んで再びキスし始めます。
ロイスが後数センチでバッグに手が届きそうになったとき、
突然マンディーが立ち上がったのでロイスは直ぐにバッグから離れました。
マンディーがバッグを拾い上げて机にクラークを引っ張ります。
ロイスは逃げてコーチの机の下に隠れます。
マンディーは机の上に仰向きに寝てクラークにキスをさせようと引っ張ります。
クラークは二回目のチャンスをつかみ、机からバッグを落とすとロイスの頭に当りました。

ロイス:あっ。
マンディー:何?
クラーク:[嬉しそうな声をあげ]
      あっ!ああーっ!
マンディー:[楽しそうにマネをします]
       あっ!ああーっ!
       [彼女は笑います。
        彼らはキスします]

マンディーはクラークのシャツを持ち上げ始めます。
クラークのシャツが彼女の頭に掛かったとき、ロイスは床の上でバッグを開けようとしています。
なかなかバッグが開かず、彼女はイライラしてバッグを持って机の下から外に出ます。
マンディーはクラークに夢中でロイスが出て行くのに気づきませんでした。
ロイスはロッカールームを出て隣のボイラー室に入ります。
彼女はマンディーが笑い声を聞きます。

ロイス:むかつくわね。

ロイスはバッグを開けてフォルダーを引き抜きます。

ロイス:オッケー。

彼女はフォルダーを開いて読み始めます。
突然、クロエが彼女の後ろに立ちレンチで彼女の背中を殴ります。
ロイスは驚いて振り向きます。

ロイス:イッター!
     クロエ、どうしてここに?
クロエ:[激怒して]
     あなたが何をしようとしているか分かってるわよ。
     [彼女はレンチを振り下ろします、ロイスはそれを阻止します]
     ラナとも同じような経験をしたわ、あなたとまた同じ事はしたくないのよ!

クロエはまた振り降ろします、そしてロイスは再びそれを阻止します。

ロイス:何をするっていうのよ?!
クロエ:クラークを盗るんでしょ!

マンディーはロッカールームの机の上でクラークにまたがっています。

マンディー:退屈になっったの?
クラーク:いや。
マンディー:そうよね。
       まだ始まったばかりよ。

彼女は再びクラークにキスします。

ロイスは宙返りしてボイラー室の廊下を駆け出します。
クロエは激怒して悲鳴を上げながらレンチを振り回して彼女を追いかけます。

ロイス:[攻撃を避けながら]
     クロエ、バカな事は止めて!

クロエが再び振り下ろすとロイスは彼女の腕を掴みます。

ロイス:あなたを傷つけたくないの!

ロイスはクロエを投げます。

クロエ:もう遅いわ。
     もう遅いのよ。

クロエは立ち上がってレンチを振り回す準備をします。
ロイスはスピンキックをしてクロエの手からレンチを叩き落します。
クロエはバランスを崩し熱いパイプに顔と手がぶつかります。
熱くなったパイプは彼女の皮膚を音をたてて焦がし、彼女は悲鳴を上げて床に倒れます。

ロイス:[彼女の脇にひざまずき]
     ああ、ごめんね、ゴメン!
     大丈夫、クロエ?
クロエ:[不安な顔で]
     ええ。
     何があったの?
     どうなってるの?

クロエは混乱した顔で辺りを見回します。
クロエが狂気から目を覚ます切欠となった熱いパイプを見てロイスの目はアイデアで輝きます。

マンディーはクラークの上にまたがったまま自分の水着を脱ごうとしています。

マンディー:それじゃ、こんな事してみたい?
クラーク:うーん…

ロイスとクロエが入ります。

ロイス:お楽しみはそこまでよ。

不安になったマンディーはクラークから降ります。
クラークは机から急いで降りシャツをつかんでロイスとクロエのところに走ります。

クラーク:クロエ、もう大丈夫なのか?
クロエ:ええ、平気よ。
マンディー:信じられないわ、クラーク。
ロイス:へえ、そうなの!
     あなたがボーイフレンドをコントロールするために薬を使った事はいいのかしら?
マンディー:私はフットボールなんてうんざりなのよ。
ロイス:それで、あんなに沢山の異常者を作ったのね。
    [クロエに]
    気にしないでね。
クロエ:平気よ。
クラーク:[シャツを着て]
      どうして、こんなに時間が掛かったんだ?
クロエ:えーと、彼女は襲われたのよ、あのー、頭がおかしい配管工に。
ロイス:ええ。
クラーク:[ロイスに]
      直し方を見つけたのか?
ロイス:ええ、私達で少し実験をしてみたの。
     [クラークは理解できません]
     偶然ボイラー室の熱いパイプに彼女がぶつかったの、そしたら治ったのよ。
クラーク:じゃあダンが熱くなった銃身を掴んだ時みたいにか。
クロエ&ロイス:その通り。
クラーク:それじゃ熱だ。
ロイス:ええ。

クロエが向きを変えます。

クロエ:ねえ、マンディーはどこ?

マンディーはいなくなっています。

ロイス:[責任転化をし]
     あなたのせいよ、クラーク。
     どうして止めなかったの?
クラーク:僕?
      君の方がドアに近いだろ。
ロイス:へえー、じゃあ私のせいだって言うのね?

マンディーが部屋に戻ってきました。

クロエ:[二人を黙らせます]
     ねえ、ねえ。
ロイス:[マンディーに]
     ねえ、ちょっと。
     ちょうどあなたの事を話してたんだ。
マンディー:えっ?
       今は私に逆らわない方がいいわよ。
ロイス:えっ?
     何しに行ったの、応援でも呼んだ?

ネイトを含む数人のいかついフットボール選手がバットを振り回しながら部屋に入ります。

ロイス:あら、すごい。
     ここに愛すべきチームが来たわ。

選手達はクラークとロイスとクロエをにらみつけます。

クラーク:ここから出よう。
      さあ早く、ロイス。

クラークとクロエが出て行こうとしますがロイスはマンディーを見つめて立っています。

ロイス:やれるもんならやってみれば。

ネイトが進み出てロイスにバットを振ります。
彼女はバットを屈んで避けるとネイトの腹を蹴飛ばし他の選手のところへと倒します。

クラーク:ロイス、何をしてるんだ?
ロイス:クラーク、あれを壊して。

ロイスは選手達の上の天井を見ています。
クラークが彼女の視線を追うと「熱に注意」と書かれたパイプが見えます。

ネイト:よくもやったな!

ネイトは立ち上がります。
クラークはパイプにヒートビジョンを打ち込みます。
そしてパイプが爆発すると水蒸気が選手達の頭の上へ降り注ぐとマンディーと選手達は床に倒れます。

ロイス:やった、一体何をしたの?
クラーク:パイプが壊れたんじゃないか。
      ラッキーだったよ。
ロイス:ええ。
     明日フィールドでその運が使えたらいいのにね。

クラークはロイスの言葉に目を泳がせます。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
レックスの屋敷。
夜。
クラークが使用人にエスコートされ入ってきます。
部屋はレックスがクラークの調査をした全てが隠されていた場所です。
レックスが部屋で彼を待っています。

レックス:クラーク・ケントが来たと聞いて、俺は信じられなかったぞ。
      君の調査はもうしていない事を見せたかったんだ。
クラーク:[レックスを越えて見ます]
      あれは何だ?

広い部屋の中央に圧縮された金属の小さな塊がある以外何もありません。

レックス:君と初めて会った日に乗っていたポルシェだ。
クラーク:どうしてそんな物がまだここに?
レックス:[金属に向かって歩きます]
      自分に失ったものを思い出させるために。
      [彼はクラークに近づき]
      これだけだ、クラーク。
      本当にな。

クラークは返事をしません。

レックス:なあ、もし君が許してくれればもう一度君との友情を回復したいんだ。

クラークは一瞬の間黙りこくり、それからうなずきます。
レックスは微笑します。

クラーク:友情の証として、僕の抱えている問題を解決して欲しい。

レックス:いいとも。
      それは何だ?
クラーク:じゃあ、それは。
      ロイス・レインの事だ。

レックスはうなずきます。

第4幕 場面2
クラークはロッカールームでユニフォームを着ています。
日中。
クラークがロッカーからヘルメットを取り出したとき、
ジェイソンが彼のところへ近づいてきました。

ジェイソン:クラーク。
       何て言ったらいいのか。
       俺が君を殺そうとしたのに君は俺の命を救ってくれた。
       これから始まろうとするコーチと選手の関係にとんでもない事をしてしまった。
クラーク:それは大丈夫ですよ。
ジェイソン:もし君がこの事を学校に報告するというのであれば、それは構わない。
クラーク:いいえ、コーチ。
      あれはあなたじゃなかった。
      効果が薄れてきてよかったです。
ジェイソン:ああ。
       今日はうまくやれよ。
       あんな事があった後だ、皆君を支援するだろう。
クラーク:[頷き]
      ありがとうございます。
      [ジェイソンは去り始めます]
      あっ、コーチ?
      あなたが家に来たとき、「俺の女に手を出すべきじゃない」って言いましたけど。
      誰の事ですか?
ジェイソン:正直言って…覚えてないんだ。
       君が言ったように、あの時の俺は俺じゃなかったんだ。
       グッドラック、クラーク。
       グラウンドで待ってるぞ。

クラークは微笑します。

第4幕 場面3
スモールビル高校のフットボールフィールド。
日中。
スコアボードは得点が31対28でクロウが負けています。
時間は第4クォーター残り7秒で止まっています

アナウンサー:さあ、残り時間は後7秒、31対28でクロウがわずかに遅れを取っています。
          残り時間で40ヤードを決められるか。

ロイス、クロエ、ラナの三人はマーサとジョナサンの前で外野席に座っています。
選手達は残りわずかの試合時間の準備をしています。
少女たちは興奮して話し合っています。
彼らより二列前の席ではレックスが心配した顔でフィールドを見て静かに座っていました。
フィールドでは、クラークが選手達に話をしています。

クラーク:ネイト、君がエンドゾーンを開いてくれ。
ネイト:まじか?
     あの距離を投げられるのか?
クラーク:君こそ速く走れるんだろうな?
ネイト:もちろんだ。

クラークは微笑してうなずきます。

ネイト:やるぞ!
クラーク:オッケー、みんな。
      神のご加護を。
男:おう!
  [彼らは手を叩いて人垣の輪を崩します]

選手達がフィールドに走ると、観客は立ち上がって拍手をします。
ラナが立ち上がるとクロエは少し自信なさそうに立ち上がります。
ロイスは座っていましたがクロエが引っ張ると立ち上がります。
クラークの両親とレックスも同様に立ち上がって見守ります。
サイドラインではジェイソンがサングラスを外し不安そうに右往左往しています。
選手達は所定の位置にいます。

クラーク:42!
      42!
      29!
      ハット!

ボールがクラークに渡りると時計が7秒からカウントダウンを始めます。
クラークが後ろに下がると、各チームの選手がぶつかり合い、ネイトは自分のポジションに移動します。
クラークがボールを投げます。
時計は4秒、3秒とカウントダンします。
レックスはボールが飛ぶのを見ます。
ジェイソンは胸の前で腕を組み見守ります。
ボールは回転しながら青い空を飛んでいきます。
ネイトはフィールドを走ります、時計が2秒、1秒とカウントダンしたときクラークはネイトを見ます。
ネイトは空高くジャンプして時計が0になるのと同時にボールをキャッチします。
ネイトが着地するとホイッスルが鳴り響きます。
観客は総立ちになって喜びの叫び声を上げます。

アナウンサー:信じられません!
          勝者はクロウだ!
          クロウが勝ちました!

クラークがヘルメットを脱いで外野席の友人と家族に微笑むと、ネイトは有頂天になって地面にボールを投げます。
マーサはクラークに微笑みます。
レックスは少しも驚いた風ではなく堂々として見ています。
ラナ、クロエ、ロイスは声援を送り拍手します。
ジョナサンはクラークを誇りに思う目で見つめます。
チームの選手全員がクラークを囲み背中を軽く叩いたり髪をくしゃくしゃにします。

選手:よくやったぞ、ケント!
クラーク:ワーオ!

スコアボードは34対31でクロウの勝利を示します。
選手達はクラークを担ぎ上げてフィールドの外へと出て行きます。

第4幕 場面4
同じ日の後、クロエとクラークは一緒にフィールドの外を歩いています。
クラークは普段着に着替えています。
二人ともお互い気まずそうにしています。

クロエ:うわーっ。
     それで…すごい試合だったよね残りわずかで60ヤードのパスなんて。
     この辺りじゃスーパーヒーローになるわよ。
     あなたについての記事を書かなくちゃ。
クラーク:それはトーチに戻るってことかい?
クロエ:ええ。
     [間があり]
     あんまりにも不器用なんだよね、私って。
     私達の関係をおかしな事にしちゃったのは本当にゴメン。
クラーク:あのさ、君は素晴らしいチアリーダーだったよ。
クロエ:[笑い]
     あは、その話はもう二度としないで、いい?
     [彼女は歩くのをやめて、彼に直面します]
     ねえ、クラーク、私があのジュースを飲んだのが原因だけど、
     でも心のどこかにあの感情はあるわ。

クロエは希望を抱いてクラークを見つめ返事を待ちます。

クラーク:クロエ…
      僕もそう思えたらいいんだけど。
      少なくても今はそう思ってないよ。
クロエ:[納得していないように微笑んで]
     分かってるって。
     その事は受け入れてるわ。
     ただ私達の友情を持ち続ける事を望んでるの。
     この学校であなたがビックになってもね。
     [彼女は笑います]
クラーク:まあ、僕は新しい編集者として記事を書くよ。
      トーチのためにタイムレコードを樹立するさ。
クロエ:うわーっ。
     スーパーヒーローとジャーナリスト。
     どっちにするの?

クラークはクロエの頬にキスをします。
クロエの目は涙でいっぱいになります。

クロエ:[ほとんど聞きとれません]
     ありがとう。
     また明日。

クロエが歩き去ります。
クラークはバッグを肩に持ち替えると、疲れたような、そして不幸せそうな顔をします。
ロイスが彼のところへ歩み寄ります。

ロイス:もしあなたが彼女の心を傷つけたら、戻って来てあなたの足を折るからね。
クラーク:戻って来るってどういう事?

ロイス:実は学部長がイニシャルがL.L.で有名な後援者から電話を受けたんだ。
     力がある人だから。
     正式に大学生になったわ。
クラーク:へーっ、それはよかったじゃないか!
ロイス:何も関係がなかったって振りをしないでよ。
     どうしてレックスが私の代理として突然電話なんかしてくるの?
クラーク:なあ、重要なのは君が入学できた事と、ここを出て行く事だ。
      [失礼な言葉に聞こえ]
      君はそう望んだんだろ?
ロイス:ええ、そうよ、バラバラに言わないでよ。
     いい、もしここでの事を一言で言い表すなら「運命」よ。
     大都市との相対的な楽しみがあったわ。
     [クラークは頷きます]
     でも心配しないで。
     また来るわ。
クラーク:それは約束かい、それとも脅かしかい?

二人はお互いからかって笑います。
ロイスはクラークの腕をげんこつで殴ります。

ロイス:それじゃ、またね…
     クラーク。

ロイスは歩き去り遠ざかって行きます。
クラークはゴールポストの近くで立っていました。
沈んでいく太陽が二人影を長く伸ばします。

フェイドアウト。

スクリーンテキスト:クリストファーリーヴの愛する思い出で。
「彼は私達に飛べるんだと信じさせました」
 

おしまい