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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

編集後記
  今回の話しの中でバートという青年が出てきますが
  このバート・アレンはザ・フラッシュというヒーローの事です。
  まだヒーローになる前にクラークと出合ったという設定ですね。

シーズン4.05Run[走る]

第1幕 プロローグ
二人の男たち、ハリソンと彼のボディーガードがメトロポリスのガレージに停めた車の脇に立っています。
日中。
ハリソンは駐車した車の近くで気短かに腕時計を確認しながらゆっくりと歩るき回っています。
日の光は天井の窓を通してホコリまみれの室内を照らしています。

ハリソン:どこの誰かも分からぬ子供を待つなんてな。
     遅いぞ。

ハリソンは車に向かって歩きます、そして突然彼の後ろに青年が立っていました。
青年は黄色の稲妻のマークの入った赤いシャツとバックパックを背負っています。
ハリソンは振り返り驚きます。

青年:腕時計が進んでるんじゃないか。
   もしそうなら遅れてきたわけじゃないぜ。
   俺はどこにいようとも稲妻のごとくやってこれるんだ。

青年はハリソンの車に近づき窓から中を見ます。

青年:いい車だな。
   これは本革か?
ハリソン:[いらいらして]
      こんな場所に呼び出すとは。
      俺に何を?
青年:[自信ありげに]
    ああ、いいものを持ってきたんだ、ハリソンさん。
    いい話だぜ。

青年はホイールキャップの乗ったカートに近づきます。
彼はホイールキャップを放ってバックパックを降ろします。
バックパックを開けるとカートにその中身を放り出します。
高級財布と宝石類や腕時計でいっぱいです。

ハリソン:[なんとも思わず]
      こんな物にかかずりあっていたのか。
青年:まあ、実は…ポケットがスッカラカンでね。
   それでどうしろと?
ハリソン:200ドルをやろう。
青年:十時間分の給料だな!
ハリソン:[金を数え]
      これ以上こんな二束三文の物を持ってくるな。
      お前の本当の仕事をしろ、そして俺に教えるんだ。
      そうすればこれはお前のものだ。

ハリソンはカートに200ドルを落とします。

青年:[金を拾い上げ]
   これを受け取っておいたほうがいいぜ。
   [彼はカートの商品にジェスチャーをします]
ハリソン:それは脅迫か、小僧?

ハリソンのボディーガードはジャケットから銃を引き抜いて青年を凝視します。
ガレージの向こう側で猫が走りパイプを倒して音を立てます。
ボディガードは音の方向に反射的に銃を向けます。
ボディーガードとハリソンがそっちの方を見ている間、空気の摩擦音が聞こえます。
そして彼らが振り返るとそこには青年はいなくなっていました。

メトロポリス病院から出てくるジョナサンとクラーク。
日中。
彼らは歩道のトラックに歩いていきます。
ジョナサンは手に持った書類を見ます。

ジョナサン:ああ、なんて事だ。
クラーク:先生は大分よくなったって言っていたじゃないか。
ジョナサン:ああ、ついさっきこの新しい処方せんをくれた。
      赤いな。
      少なくともよくなっていればこの用紙はピンク、青、緑と変わっていくはずなんだ。
クラーク:父さんがいなくなってしまうより薬箱に色んな色の薬があった方がましだよ。
ジョナサン:これ以上母さんに心配させたくないんだ。
      この話はおしまいにしよう。
クラーク:父さん、僕たちは父さんの事が心配なんだ。
     ジョー・エルが父さんにした事は、僕を…
ジョナサン:[クラークを遮り]
      ちょっと待て。
      危険は承知のうえだったんだ、クラーク。
      もしまたお前を助ける事になれば、私は間違いなく同じ事をするだろう。
      [ポケットから2枚のチケットを取り出し]
      一緒に試合を見に行かないか?
クラーク:メトロポリス・シャークスの、50ヤードライン。
     本当にレックスに伝わったんだね。

彼らは再び歩き始めます。

ジョナサン:なあ、クラーク、お前のその友情が何を意味するか理解しているつもりだ。
      だがお前を調べていた事を忘れてはいけないぞ。
      注意するんだ。
クラーク:ただ単に受け入れたわけじゃないよ。
     もうひとつレックスが変わったことの証明が必要だ。

彼らは交差点で止まります。

ジョナサン:クラーク…
クラーク:父さん、もう最高学年なんだ。
     レックスやジョー・エルや色んな事を心配したくないんだ。
     僕はただ普通の生活を送って、友達とぶらついたりフットボールをしたいだけなんだ。
ジョナサン:[クスクス笑います]
      分かったよ。
      トラックを回して来い。
      キックオフを見逃したくないからな。

ジョナサンはクラークにキーを手渡します。
ジョナサンが脇のスタンドから雑誌を取り上げて立ち読みし始めるとクラークが角を曲がります。
少し離れた場所で、古いトラックに乗る体の大きな男が交差点に向かって走ってきます。
彼はビンを茶色の紙袋に隠して飲んで、そして居眠りを始めていました。
彼は急に目を覚ますとスピードが出ているのに気づきます。
そしてまっすぐにジョナサンが立っている角に向かっているのに気づき急ブレーキを踏みます。
誰かが超スピードで走ってくると、その軌跡は赤く輝いていました。
歩道の近くまで来たとき、トラックのバックミラーにはハリソンと交渉していた青年が写ります。
トラックのタイヤはキーキーと軋みブレーキはまるで効いていません。
ジョナサンが驚いてトラックを見た時にはほんの数フィートしか離れていませんでした。
クラークが気づいて超スピードに入ると周りの風景は凍ったように止まります。。
トラックも近くでスケートボードでジャンプしている者も全てが凍りつきました。
わすかに空気が振動しクラークが向きを変えてぶつかる寸前のジョナサンを見ます。
クラークは薄青白い軌跡を描いてジョナサンに向かって走ります。
しかし赤い軌跡を残し例の青年がクラークより早く走りジョナサンに到着します。
トラックがマガジンスタンドに突っ込む寸前に青年はジョナサンを引っ張ります。
トラックはマガジンスタンドを突き倒し歩道の上で停止しました。
普通のスピードに戻ったクラークは路上で横たわっているジョナサンのところに走ります。

クラーク:[彼を助け上げます。]。
     父さん!
     父さん、大丈夫?
ジョナサン:[息を荒げ]
      ああ。多分。
      お前が助けてくれなかったら、また母さんが私を看病する事になってしまったな。
クラーク:父さん、僕じゃない。
     僕よりも早く走る人間を見たんだ。
     信じられなかった。
     その人が父さんを助けたんだ。

ジョナサンはショックを受けています。
ジョナサンは後のポケットに手を入れて何も入っていないのに気付きます。

ジョナサン:それが誰だとしても、単に私の命を救っただじゃないようだ、クラーク。
      私の財布をすって行った。

ジョナサンとクラークは辺りを見回します、しかし青年はどこにもいませんでした。

第1幕 場面1
トラックで帰ってきたジョナサンとクラーク。
日中。
彼らがトラックから降りると、仕事に出かけようと車に向かうマーサの方に歩きます。

マーサ:[驚いて]
    あら。
    二人で試合を見に行くんじゃなかったの?
ジョナサン:試合のチケットは財布の中に入っていたんだ。
クラーク:盗まれたんだ。
     誰だか分からないけど病院の外で盗られたんだ。
マーサ:[ジョナサンの肩に触れ]
    まあ、強盗にあったの?
    大丈夫なの?
    銃を持っていた?
ジョナサン:ああ、だが物凄い速いスニーカーを持っていたようだ。
      カード会社に電話をして盗まれたのを連絡しないとな。

ジョナサンは家に向かって歩き始めます。

クラーク:ねえ、父さん、待って。
     そいつは僕と同じかそれ以上に速かったんだ。
     誰なのか探すべきだ。
     クロエに話をしてもいいだろ。
     多分彼女ならどこで父さんのカードを使ったのか追求できる。
     [ジョナサンはためらいがちに見えます]
     ねえ、父さん、もし今日中に何も見つけられなかったら電話をすればいいだろ。
ジョナサン:分かった、だが注意しろよ、クラーク。
      我々はその人物については何も分からないんだからな。
クラーク:だからあいつを見つけ出さないといけないんだ。

クラークが去ります。

マーサ:本当に大丈夫なの?
ジョナサン:マーサ、大丈夫だよ。
      いつも私の事でお前に心配をかけないようにと思っているんだがな。
マーサ:あなたは3カ月も昏睡状態だったのよ、ジョナサン。
    いつ本当にダメになってしまうか心配しないわけがないわ。
ジョナサン:現代の医学なら少しばかり悪くなっても何とかなるさ。
      [彼は微笑します]
      キレイな妻と一緒に今晩はロマンチックにどうだ。
      [腕をマーサにまわし]
      夕食の後、湖までドライブでもしようじゃないか。
マーサ:そうね、あなた、でも私…
    今晩は残業になりそうなの。
    タロンを経営するのは思っていた以上に大変だったわ。
    でも後で電話をするから、いい?

マーサはジョナサンにキスして去ります。
彼はガッカリしているように見えます。

第1幕 場面2
スモールビルのアパート。
日中。
中では大量の教科書がベッドの上に散乱していました。
暖炉の前にはクロウのマークの入ったスポーツバッグがあり、
暖炉の近く、部屋の真ん中でラナとジェイソンが情熱的にキスをしていました。
キスが終わると二人はしっかりと抱き合います。
ジェイソンが少し彼女のシャツの背中を持ち上げると部屋の壁にある鏡に刺青を見つけました。

ジェイソン:それは何だ?

ラナは離れて背中をシャツで隠します。

ラナ:えーと、何でもないわ。
ジェイソン:随分と大きな刺青に見えたけど。
      いつそんなものを?
ラナ:あの、わ、私、そのー…パリから戻る前よ。
   [彼女は心配を隠すためにジェイソンから顔をそむけます]
ジェイソン:本当か?
      どうして話してくれなかったんだ?
      俺と一緒に行けば、マーメイドかマーメイドがイカリを抱いているようなものにできたのに。

彼は再び刺青を見ようと彼女のシャツを持ち上げ始めます。
彼女は彼の手をピシャリと払いよけて突然向きを変えます。

ジェイソン:どうした?
ラナ:こんなもの欲しいとは思わなかったのよ、そうでしょ?
   なんて言っていいか、突然現れたのよ。
ジェイソン:刺青は突然現れる事はないぞ。
      普通はインクを使って痛みを伴うものだ。
ラナ:[防御的に]
   じゃあ、私が刺青をするからって言えばよかったの?
ジェイソン:まぁまぁ、おい。
      そういう意味で言ったんじゃない。
      どうして言葉尻に噛み付くんだ?
ラナ:そうじゃないわ。
ジェイソン:いいや、そうだよ。
ラナ:ねえ、私はただ…
   あなたに負担を掛けたくないだけ。
ジェイソン:刺青の事なんか気にならないよ、そうだろ?
      だけど気になるのは君がその刺青を隠したがる理由だ。
     [ラナは目を伏せます]
      俺は秘密は守る、たとえ親にでもな。
      そんな事ぐらいじゃ気持ちは変わらないさ。
ラナ:ジェイソン、今まで望んできたのはあなたの気持ちよ。
   でも少し違うの…まだあなたとは気持ちが一つになれない。
   ごめんなさい。

ラナは彼の頬にそっとキスをして去ります。

第1幕 場面3
レックスは屋敷の書斎にいます。
日中。
彼はバールで木製の輸送木箱をこじ開けています。
木箱の上には外国語でプリントされています。
レックスが木箱のふたを外すと中のパッキンに使われているワラを取り除きます。
木箱に書かれた外国語と同じ文字で書かれた古びた額に入った紙と、
おとぎ話の白馬に乗たナイトの絵が描かれていました。
レックスは微笑します。

第1幕 場面4
メトロポリス。
日中。
ホテルの中で、クラークが客室のドアを開けます。
ドアチェーンが掛かっていました。
クラークは手刀でチェーンを壊します。
彼は部屋に入ります。
バスルームからシャワーと音楽が聞こえてきます。
バスルームのドアは少し開いています。
そしてクラークはその隙間から蒸気が漏れているのを見ます。
彼はそおっとバスルームを過ぎてスイートルームのリビングに入ります。
部屋には高級家具が備え付けられていました。
ソファーの上には折り畳まれた数着の新しいシャツがあります。
そしてコーヒーテーブルにはスナック菓子と漫画雑誌が置いてあります。
ベッドの脇のナイトスタンドの上には新しい靴と2つの靴箱があります。
ベッドの上にはバックパックのがあり稲妻のマークが入っています。
クラークはバッグを取り上げコーヒーテーブルの上をどけてバッグを開きます。
財布や腕時計が入っていましたが目的の物は見つかりません。
それからIDカードの束が輪ゴムでまとめられているのを見つけると
輪ゴムを外してIDを見ます。
IDはニューヨーク、カリフォルニア、カンザスと全て異なっていましたが全てあの青年の写真でした。
クラークは頭を振って調べ続けます。
青年は濡れた髪のままバスローブを着て部屋に入って来ます。

青年:おい。
   [クラークはく立ち上がります]
   部屋を間違えたのか?
   多分そうなんだろうな、ここは俺の部屋なんだから。
クラーク:お前が使ったクレジットカードは僕の父親のものだ。
青年:俺は誰からも盗んじゃいないぜ。
クラーク:お前のやった事はお見通しだ。
     友達に頼んで盗まれた父親のカードをどこで使ったのか追跡した。
青年:[バッグに気づき腹を立てます]
    俺のバッグを調べたのか。
    俺の物を引っ張り出して、プライバシーの侵害だぜ。
クラーク:俺の物だって?
     全部盗んだものだろう。
     空気の摩擦音がすると突然クラークの後ろに服を着て髪の毛の乾いた状態で立っていました。

クラークが向きを変えます。

青年:何だって?
    証拠はあるのか?
クラーク:今朝お前がトラックから父さんを助けるのを見た。
青年:[少し不意を打たれ]
    何だって、俺の動きの見える奴なんて誰もいないはずだ。
クラーク:お前みたいに動くことができるのは一人じゃない…
     [IDカードから名前を読みます]
     ジェイ・ ギャリック、バリー・アレン、ウォーリー・ウエスト、どれが本当の名前だとしてもだ。
青年:バートだよ。
   まあ、お前が瞬きする間に千マイルも離れた場所にいるから、名前が分かったとしても問題じゃないがな。
クラーク:[挑戦的に]
     さあどうかな。
     僕はかなり速く瞬きができるんだ。
バート:お前は誰なんだ?
クラーク:父さんの財布を返してもらおう、それからお前と座って話そうじゃないか。

クラークがコーヒーテーブルに向きを変えます。
しかしバートはすでにそこにパックを背負って手にIDカードを持っています。

バート:俺はおしゃべりは嫌いなんだ。
    俺の匂いでも追いかけてきな。

バートは超スピードで部屋から出て行くとクラークも超スピードを出します。
二人は超スピードで走ります。
公園を抜け湖に向かっています。
バートはまだクラークより先を走ります。
クラークはバートを捕まえようと手を伸ばします。
クラークがバートに手が届くかというとき、
バートは湖に向かって長距離をジャンプします。
そして湖に沈まず目がくらむほどのスピードで湖の上を走ります。
クラークは驚いて彼を見つめます。

第1幕 場面5
ケント農場。
日中。
ジョナサンがダイニングテーブルをセットしてるとクラークが超スピードで入ってきました。

クラーク:父さん、財布を盗んだ奴を見つけたよ、でも湖で見失った。
     水の上を走って向こう岸に渡ったんだ。
ジョナサン:あー、クラーク。

ジョナサンは台所の方向を見ます、そしてクラークも同じくその方向に見ます。
バートがキッチン・カウンターに座って食事をしていました。

バート:やあ、クラーク。
    [ミルクを飲んで]
    随分時間がかかったんだな?

クラークは眉を上げます。

フェイドアウト。


第2幕 場面1
ケント農場の納屋。
日中。
クラークとバートは納屋に入ります。

バート:[興奮して気を散らし]
    なあ、俺以外にも動ける奴がいたとは思わなかったぜ!
    俺は世界最速の男だからな、そうだろ?
    [クラークは答えません]
    なっ。

バートはクラークの背中を軽くたたきます。
不安そうにクラークは納屋へと歩き続けます、そしてバートが後に続きます。

バート:お前は俺の尻のすぐ後ろにいた。
    いいか、俺はいつも自分の後ろに誰かがいるなんてことはなかったんだ。
    振り返ったらお前がいたんだ。
    
クラーク:[階段の一番下で止まり]
     どうやって父さんから食事とベッドを騙し取る話を作ったんだ?
バート:そんな事はしてないぞ、クラーク、真実を話したんだ。
クラーク:どんな?
バート:よし、いいか、二年前事故があったんだ。
    物凄い落雷があった、そして俺の体に雷が流れた。
クラーク:それはこのスモールビルで起きたんだな。
バート:いや。
    ここに来たのは初めてだ。
    犯罪を犯しに来たわけじゃないぜ。
    でも希望は叶わなかった。

クラークは驚いています。
彼は屋根裏に階段を歩いてのぼります、そしてバートは後に続きます。

クラーク:この辺り以外でお前のような力を身に付けた人には会ったことがないよ。
バート:そうだろうな、もっと外に出るべきだ。
    それで、どうしてお前はそんなに速くなれたんだ?
    俺と同じか、それとも…

彼らは上について止まります。

クラーク:僕のはどちらかと言うと生まれつきだ。
     どうして路上生活なんかしてるんだ、バート?
     両親は?
バート:息子が稲妻に打たれたんだ。
    それは事実だ。
    つまり何もなかった事にしたかったんだ…
    [間があり。クラークは同情してバートを見ます]
    分からないよ、両親の俺を見る目が分かるか?
    親の見方が変わったのが分かったよ。
クラーク:それで逃げ出したのか?
バート:俺は…
    [彼は階段を上りきって見回します]
    合わなかったんだな。
    でもお前にはそういう事がないんだな。
クラーク:[階段の上に来ます]
     いや、驚くかもしれない。
     僕も一度逃げ出したんだ。
バート:どうして戻ってきたんだ?
    芝生でも刈りにか?
    牛の乳を絞りにか?
    俺と一緒にやっていかないか?
クラーク:盗みをするって事か?
バート:俺が今まで誰も傷つけた事はないぜ。
    [彼はソファーの上に座ります]
    金が欲しい時には上流階級の奴らからほんの少しばかりいただくだけさ。
    持っていない者からじゃない、クラーク。
    持っている奴からだ。
クラーク:父さんはどうなんだ?
バート:おい、その事は言わないでくれよ、なっ?
    お前のカードが盗んだんじゃないだろ。
クラーク:へえ、そう言うのか。
バート:[非常に悩んで立っています]
    あのな、シューイサイドスラムの友達が俺をだましたんだ。
    それで部屋を借りるためにお前の親父さんのカードを盗まなくちゃならなかった。
    夜は外で過ごしたくないからな。
    寝ているときは普通の人間と同じスピードなんだからな。

クラークは心配そうな顔をしてバートが何の事を言おうとしているのか不思議に思います。

バート:[防御的に]
    牛みたいに大きな目をしてどうしたんだ?
    俺は自分の事ぐらい一人でできる。
クラーク:[皮肉っぽく]
     ああ、いい仕事をしてるよ。
バート:[笑い]
    何を知ってるっていうんだ?
    貧しい小さな浮浪児が沢山いるんだぞ。
    不思議そうな顔をしてるな、クラーク。

バートは超スピードで部屋中を動き出すとクラークの私物のいくつかを持って戻ります。
彼は本を上げます。

バート:アメリカ先住民の神話を勉強することが好きなんだな。
    [本を落としてノートを持ち上げます]
    このノートには「ラナ」という名前が殴り書きされてる。
    よほど退屈だったとみえるな。
    それと石のコレクションだ。

クラーク:それはコレクションじゃ…

バートは鉛の箱を開きクリプトナイトを見せます。
クリプトナイトは緑色に輝き、クラークはすぐに苦しみだします。
彼は息を詰まらせ後ずさりします。
バートは困惑して石とクラークを見比べます。

バート:おい、大丈夫か?

クラーク:[テーブルに向かってかがみます]
     それをしまってくれ。
     アレルギーなんだ。

バートが箱をを閉じるとクラークの苦痛は終わります。

バート:やれやれ、猫や犬に近づくとくしゃみをする奴はみたが、石にアレルギーがあるのは初めてだ。
クラーク:[立ち上がり]
     それは長い話になるんだ。
バート:いいだろう、聞いてやるよ…。
    [彼は腕まくりをします]
    …戻ってきたらな。
クラーク:どこから?
バート:どこからでもさ。
    いいか、ここにいる俺たち二人はスーパーパワーの持ち主だぜ。
    こんなスモールビルくんだりまでお前を探しに来たのはどうしてだと思う?
    さあ、グダグダ言ってないで遊びに行こうぜ!

クラークは誘惑され微笑し始めます。

バート:今までフロリダに行った事は?

バートは屋根裏から超スピードを出します。
クラークは一瞬彼の言葉を考えて、彼が何をしようとしているのか信じられないといったように頭を振ります。
それから彼はバートの後を追い納屋から超スピードで出て行きました。

第2幕 場面2
タロン。
夜。
看板には「グランド再オープン」と書かれています。
店内一杯に客たちはコーヒーを飲んだり話し合ったりして楽しい時を過ごしています。
クラークとバートが入るとバーに向かって歩きます。

バート:おい、黒いビキニを着たあの娘、お前を見ていたぞ。
クラーク:[困り]違うさ。
バート:いや、間違いなくお前を見ていた。
    電話番号を聞いとけばよかったのにな。
クラーク:そんな、海辺で女の子をナンパして電話番号を受けとるなんて。
バート:そうか、じゃあお前の代わりに…
    [バートはクラークの胸に一枚の紙をたたきつけます。]
    俺が聞いておいた。
    [クラークは紙をとります]
    次にマイアミに来たとき電話をくれってさ。
クラーク:シーッ!
    [誰かが聞いていないかどうか見回します]
    またマイアミに行くことはない。
バート:どうして?
クラーク:それは…
バート:それは、何だ?
    他に楽しい事でもあるのか、クラーク?
    なに、誰も死ぬわけじゃないだろ。

空気の摩擦音があり、突然バートは既に一かじりした大きなクッキーを持ってクラークの反対側に立っています。

クラーク:何をしてるんだ?
バート:クッキーを食べてる、餓死しそうだよ。
クラーク:[クッキーをバートから取り上げ]
     欲しいからといって持ってくるな。
     ここは母さんが経営してるんだぞ。

クラークがバーにクッキーを放ります。
クロエがタロンに入ってきて、クラークとバートに向かって歩きます。

バート:見ろよ。
    [バーの人々の列にジェスチャーで示します]
    行列だ。俺は並ばないがな。
クロエ:どうしたの、ケント?
    まだメトロポリスで探偵ごっこでもしてるかと思ったわ。
クラーク:[バートに向き]
     あれは警察に任せたよ。
バート:[言い返します]
    絶対に捕まえられないと思うけどな。

クロエがバートをちらっと見ます。

クラーク:クロエ、友達の、バートだ。
     彼は…
バート:未来から来た。
クロエ:[胡散臭そうに、しかし興味をもって]
    本当?
バート:ああ。
    俺は百年後の未来から今でも君を愛してるって言いたくて戻ってきたんだ。

クロエは大笑いして喜びます。

クラーク:[頭を振り]
     バート…
バート:[クロエに]
    君の好きな花はなんだい、クロエ?
クロエ:チューリップよ。

クロエがクラークに向いてにっこり笑います。
その瞬間バートは超スピードを出し戻ってきたときにはオレンジ色のチューリップを持っていました。
クロエは驚いてバートを見ます。

クロエ:どうやったの?
バート:マジックさ。
    [彼は彼女に花を渡します]
クロエ:うわーっ。
バート:他にも見たいか?

クロエは驚きで花とバートを見比べます。
マーサはトレーに食べ物を沢山のせてバーックルームから出てきてクラークに会います。

マーサ:クラーク。

クラークはクロエとバートの間をぬってマーサのところに行きます。
クラークは親しげにバートの肩を軽くたたきますが厳しい目でバートを見ます。

クラーク:余計な事はするなよ。

クラークは素早く電話番号の紙をシャツのポケットに押し込んで母親に歩きます。

マーサ:お父さんが電話をくれたわ。
   [バートを見ます]
    その子がお父さんから盗んだ子なの?
クラーク:ああ。
     彼の名前はバート・アレン。
マーサ:どうしてここに?
クラーク:親友になったんだ、一人ぼっちだっていうから。
マーサ:そうなの。
    あなたなら分かってあげられそうね。
クラーク:そうだね。
マーサ:あっ、そうそう、レックスがあなたを探してたわ。
    屋敷に来て欲しいって。
    重要な話があるそうよ。
クラーク:分かった、でもバートを一人だけにするわけにはいかない。

マーサは席に座ってクロエと話し合っているバーとを見ます。

マーサ:あなたがいなくなっても気づきそうにないわよ。

マーサは歩き去ります、そしてクラークがバートとクロエの方に目を向けます。
彼は信じられないという顔で笑います。

第2幕 場面3
レックスの屋敷の書斎で。
クラークとレックスは並んで立ち外国の著作物の古いページを見ています。
夜。
レックスはそれを部屋の中央にあるスチール製の台の上のガラスの箱の枠にはめておきます
天井から照明がそのページに当ります。

レックス:俺はサンペテルブルグの個人収集家からこれを購入した。
     これを手に入れるためにウォッカと一財産使ったが、それだけの価値があった。
クラーク:[ほほ笑んで]
     なかなかいいじゃないか。
レックス:もっと近づいてよく見てみろよ。

台に近づくクラーク。

レックス:洞穴で見つかったカワチ族のシンボルとよく似ているだろ。

クリプトンのシンボルが並んでいます。

レックス:そしてもう誰もお前以外誰もあそこには行っていない。

レックスはクラークの脇に立ちます。
クラークは少し動揺しているように見えますが上手くカバーします。

レックス:これがどういう事が書いてあるか分かるか?
クラーク:いや。
     でも君がこんな物に興味を持つなんて。
レックス:ああ、興味は持っている、クラーク、ただ執りつかれていないだけさ。
     だからお前を呼んだんだ。
     一緒にこの謎に取り組みたい。
クラーク:僕もだよ。
    [彼らは一瞬緊張してお互い微笑みます。
     クラークがフレームに引き返します]
     それでこれは何なんだ?
レックス:これは十四世紀の写本で今日まで残ったページだ。

レックスは台から離れ机に座ります。

レックス:Kulacovaの戦いで、彼の仇敵ママヤに勝利した偉大なる王子Danskoyを描写している。
     言い伝えでは、彼がVerkhoture Monasteryで勉強している間、ラスプーチンの部屋の壁を飾っていや唯一の物だ。

クラークはページを調べるためX線ビジョンを使うとクリプトンのシンボルの下に地図が見えました。

レックス:彼はこのページが想像も及ばない大国に経路を示すと思っていた。
     ラスプーチンはその秘密を突き崩そうとして何日間もこれを見つめていたそうだ。
クラーク:それは信じ難い話だ。

クラークがフレームに手を伸ばします。

レックス:ダメだ。
    [クラークが止まります]
     それには最先端セキュリティをかけてある。
     ルーサー・コープの金庫室に入れるまでの数日間、ここで保管するんだ。

クラークが心配してページとレックスを見ます。

レックスの腕時計が音を出し始めます。

レックス:すまない、クラーク、約束があるんだ。
     明日来てくれないか、腕まくりして調べよう。

レックスは立ち上がってジャケットを着ます。

クラーク:[不安を隠すために微笑します]
     ああ。

クラークは書斎を出ます。
彼が廊下を歩いていると、空気の摩擦音が聞こえバートが彼の真正面に立っていました。

バート:[興奮して]
    お前、レックス・ルーサーと知り合いなのか?
クラーク:ここで何をしてるんだ?
バート:まあ、クロエが俺を振ったんだ、でもあの娘は損をしたな。
    おい、ここには驚いたぜ!
    [廊下の向こうの部屋を示し]
    あそこのいかした物を見たか?
クラーク:あそこに行ったのか?
バート:ああ、高速モードでな。
    心配すなって、何も証拠は残しちゃいない。
クラーク:ここから出るんだ。

レックスがクラークの後ろから歩いてきます。

レックス:クラーク。

クラークが向きを変えるとバートは超スピードで走り去りました。

レックス:誰と話てたんだ?

クラークが向きを変えてバートがいなくなっているのを見ます。
振り向いてまだ回答を待っているレックスを見ます。
クラークは不器用に言葉に窮し、レックスを見続けます。

第2幕 場面4
クラークが荒々しくドアを開けて家に入ります。
夜。
ジョナサンはリビングルームにいます。

クラーク:父さん!
ジョナサン:なんだ、クラーク。
      遅かったな。
      母さんが残業だから、久しぶりに男同士語り合おうと思っていたのに。
      行けなかった試合のハイライトでも見るか?
クラーク:レックスのところで見たんだ、父さん。
     古い写本のページで、クリプトンのシンボルが書いてあった。
ジョナサン:クリプトンのシンボルが?
      読めたのか?
クラーク:メッセージが繰り返し書かれていた。
     「もっと深層を見ろ」って。
     X線ビジョンを使ったら、地図とシンボルが下に隠されていた。
ジョナサン:地図?
      何の?
クラーク:分からない、でもジョー・エルと何か関係があるかも、僕をコントロールしようとした時と似てるんだ。
ジョナサン:放っておいた方がいい、クラーク。
クラーク:いや、父さん…
ジョナサン:クラーク、お前は普通に最高学年を過ごしたいと言ったばかりだろ?
      ジョー・エルの事で地球を探し回るのは普通なのか?
クラーク:そうじゃないけど。
     でもバートと一緒にいて自分は普通じゃない事を思い出したんだ、父さん。
     多分その時は本当の自分を探すのを止めようと思ったんだ。
ジョナサン:[クラークの肩に手を置き]
      本当のお前は十七歳の少年だ。
      座れ。

クラークはソファーに座ります。
ジョナサンは彼の隣りに座ります。

クラーク:父さん、僕の歳は関係ない。
     ジョー・エルが僕を見つけ出そうとするのは、
     物凄く強力で危険だっていう感じがするんだ。
     特に間違った者の手に落ち、僕だけが止められるなら。
ジョナサン:どうやって?
      レックスからその写本を盗むのか?
クラーク:違う。
     レックスは何を持っているのか知らない。
     僕がしなきゃいけないのは、こっそり忍び込んでもう一度よく調べる事だ。
ジョナサン:クラーク、その考えは良くない。
      見つかったらどうするんだ?
クラーク:レックスが外に出ている間なら見つからないさ。

屋根裏でノートから一枚紙を切り離すクラーク。

彼が出て行こうとするとバートが超スピードで入ってきます。

バート:よう!
    レックスの屋敷は厳重だぜ!
    二十台の車が取り巻いてる!
    ストレートには突っ切れないぜ。
    方法を考え直そう、まだ生きていたいからな。
クラーク:聞いてくれ、バート、調べなきゃいけないことがあるんだ。

クラークがバートを避け行こうとするとバートが前に立ちはだかります。

バート:俺も行こうか?
クラーク:いや。
     これは個人的なことだ。
     戻ったら、また一緒に出かけよう。

クラークが再び去り始めます、そしてバートはクラークの後に従い階段を降ります。

バート:あのな、中国の映画館で「スピード」の夜間上映があるんだ。
    うまいポップコーンもある。
    一緒に行こうぜ?
クラーク:いいね、でも、父さんには言うなよ?
バート:オーケー。
   [間があり]
    クラーク。
   [クラークが向きを変えます]
    俺みたいなのと付き合って本当に嬉しいよ。
    だから感謝の気持ちだ。

バートはバックパックを外して中から何かを取り出します。

バート:MP3プレーヤーだ。
    これがあれば好きな曲をダウンロードしていつでも聴けるぞ。

クラークは微笑して受け取ります。
それから考えが彼の心に浮かびます。

クラーク:これをどこで手に入れたんだ?
バート:お前のために手に入れたんだ、クラーク。
    どこでは関係がない。
クラーク:関係はある、バート。
    [バートはぼんやりとクラークを見ます]
     僕が言った事を何も聞いてなかったのか?
     何か欲しくても盗んではいけないんだ。
バート:どうして?
クラーク:法律があるから。
バート:普通の人間のだろ。
    それに力があるのにどうしてその力を使わないんだ?
    他の人間にはないんだぜ。
    これは能力だ。
    俺はこれからもこの力を利用する。
クラーク:力を使うなとは言ってない。
     ただ人を助けるために使うべきで、人を傷つけるためじゃない。
バート:俺はこれを店で盗んだ、誰も傷つけてないだろ?
    店は保険に入ってるんだからな。
クラーク:[声を荒げ]
     それは正しい考えじゃない。
バート:どうしてだ?
    もうそんな話は聞きたくない。

バートは歩き去り始めます。

クラーク:またそうやって逃げるつもりか?
     そんな事では問題は解決しないぞ、、バート。
バート:[クラークに戻って]
    おい、俺は逃げてなんかいない、クラーク。
    何かに向かって走っているんだ。
    夢を掴むためにな。
クラーク:バート…
バート:[腹を立て]
    俺とお前は同じだと思ってた、でも俺の間違いだったようだな。
    お前は俺と同じじゃない。

バートは納屋から超スピードで出て行きます。
クラークはガッカリして地面を見ます。

レックスの書斎。
部屋には誰もいません。
空気の摩擦音が聞こえるとクラークが部屋の中に超スピードで入ってきて台の前で止まります。
彼はじっとページを見ます。
突然も一つの空気の摩擦音が聞こえると赤い軌跡がドアから入ってきて台を通り過ぎます。
ガラスケースの中は空になって、耳をつんざくような警報がなり響き、白いライトが部屋中を照らし出します。
クラークはパニックになりあたりを見回します。

クラーク:[独り言]バートか。

レックスは銃を持った警備員と共にやってきます。

警備員:動くな!
レックス:クラーク?

レックスはクラークに近づき台を見ます。

レックス:ここで一体何をしていたんだ?

クラークは不安そうに目をそむけます。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
二人の警備員は書斎から出て行きます。
そしてレックスはドアを閉じます。
夜。
クラークはまだ台の脇に立っています。
警報とライトは止められています。

レックス:ここで何をしていたのか説明してもらおう?
クラーク:ただ挨拶に来たんだ。
     分かっているのは、突然警報が鳴り出したことぐらいだ。
レックス:[信じません]
     少し遅すたな、セキュリティを呼ぶのが、クラーク。
クラーク:ああ、僕は…電話をするべきだったよ、でも君を起こしてしまうと思って。
レックス:中に入ってきたとき、他に誰もいないと断言できるか?
クラーク:ああ、誰にも会わなかった。
レックス:じゃあ、犯人が誰なのか分からないんだな。

レックスは机に歩きます。
クラークは少し沈黙しました。

クラーク:ああ、分からない。
レックス:[クラークを見ないで]
     信用しよう。
     本当の親友ならウソはつかないからな。

レックスはクラークに振り返りクラークが何かを言うのを待つかのようにまっすぐに目をじっと見ます。
クラークが一瞬の間レックスの目を見つめ返して、それからやましげに目をそらします。

クラーク:行くよ、後は君に任せた方がいい。

クラークが行き始めます。

レックス:秘密を打ち明けよう。
    [クラークが止まります、しかし向きを変えません]
     俺は心配なんかしていない。
クラーク:[レックスに振り返り]
     一財産分の価値があるって言ってただろ。
レックス:その通り。
    [クラークに向かって歩きます]
     こんな高価な物を動かす事ができる奴はメトロポリスにはそれほどいないはずだ。
     もし俺が発表すれば、どこに持ち込まれても俺に連絡がくるだろうな。
クラーク:本当にそれでうまくいくのか?
レックス:心配するな、クラーク。
     この泥棒は思い知る事になるだろう、レックス・ルーサーから逃げ通せる場所など地球上にない事を。

クラークは不安そうな微笑でうなずきます。

第3幕 場面2
タロン。
夜。
営業時間を終えたマーサは会計簿をつけています。
彼女はジョナサンへ電話をしています。

マーサ:私もそうしたいけど、ジョナサン、今は無理よ。
   [間があり]
    まだ仕事が残ってるのよ。
    できるだけ早く家に帰るわ。
    今はこれが精一杯なの。
    [間があり]
    分かったわ、さようなら。

彼女は電話を切ってテーブルの上に置きます。
彼女の疲労は顔に表れ額に手を当てます。
ラナが彼女の後ろに来ます。

ラナ:遅くまで残業ですか?
マーサ:あら。
    こんな事はしてられないわ。
    あなたがこんな大変な仕事をしながら学校に通ってたなんて。
ラナ:大変でした。
   でも閉店後ここまで遅くなった事はありませんでしたから。
マーサ:まあ、家でこんな事するよりはここでやった方がいいから。
ラナ:家の方は大丈夫ですか、ケントさん?

ラナはテーブルに座ります。

マーサ:ええ、ジョナサンは私がこの仕事を選んだ理由を知っているから。
   [ラナはうなずきます。間があり感情的になって]
    私は本当にあの人を愛してるの。
    でもあの人が体を壊してからあの人を失うんじゃないかって、
    ここで働いている間だけはその事を忘れられるのよ。
ラナ:でもここにずっといたら、そのー、旦那さんに会えないわ。
   失っていないのに?
マーサ:[ほほ笑んで]
    パリで過ごした夏休みはあなたを少し大人にしたようね、ラナ。
    [ラナは笑顔で応えます]
    思い出させてくれてありがとう。
ラナ:何を思い出させました?
マーサ:恐れている事を一人で悩むより愛する者と分かち合えば楽になるって事よ。

ラナはマーサの言葉に感動して、思いにふけってうなずきます。

第3幕 場面3
メトロポリス。
日中。
ハリソンは古いガレージで携帯電話で話をしています。

ハリソン:もちろんだ、しかしあんたは自分でやりたいんだろ。
     [笑い]
     問題はない、嬉しいよ。

ハリソンは電話を切るとボディーガードとバートが立っているところに歩きます。

バート:もういいだろ。
ハリソン:ああ、いいものを持ってきたんだろうな。
     お前が大人になれば、男の仕事とはこういうものだと理解できるだろう。

バートはバックパックを外して開きます。
彼は巻いた写本のページを引き抜いてハリソンに手渡します。

バート:これなら大人扱いしてくれるか?

ハリソンはページを開いてそれを見ます。

ハリソン:それじゃ始めろ。

大きい黒いSUVがガレージの外から入ってきます。
そしてバートはそれが誰なのか見るために ハリソンとボディーガードから顔をそむけます。
ボディーガードが銃座でバートの首を殴ると、彼は気を失って倒れます。
レックスがSUVから降りてきてガレージに入って来ます。

ハリソン:[丸めたページを持ちます]
      ルーサーさん、俺はあんたの物を持っている。

レックスはハリソンを静かに見つめると、バートが倒れている場所を越えて近づきます。

レックス:こいつが俺に警告した危険な犯罪者か?
ハリソン:これはあんたの問題じゃない。
     さあ早く、その仲介手数料について話をしよう。
レックス:まだ子供だな。
     連れて行くぞ。
ハリソン:ダメだ。
     そいつにどんな能力があるのか知らないんだろ。
レックス:もし俺があんたの立場なら今頃警察の心配をしているぞ、ハリソン。

ハリソンはゆっくりとレックスに向かって歩きます。

ハリソン:何をした?
レックス:後五分で、この場所はメトロポリス警察が包囲する。
ハリソン:[頷いて]
     ああ、分かった、急いで済ませた方がいいな。
     [ボディーガードに]
     トニー。

トニーは銃をレックスに向けていつでも撃てる状態になっています。
しかしレックスはトニーの腕をつかんで腹を殴ります。
それからトニーの額にヘッドパットをして前のめりになった腹を蹴ります。
レックスは倒れたトニーの顔を蹴り続け気を失わせました。

ハリソン:わあ!

ハリソンはレックスの顔を銃で殴り飛ばし気を失わせました。
それから彼はバートに歩きます。
ハリソンはまだ写本を持っています。
激怒したハリソンは気を失っているバートの体を蹴ります。

ハリソン:お前のせいだぞ、小僧!

バートは意識を取り戻して体を起こすと、怒っているハリソンを凝視します。
ハリソンはバートに銃を向けます。

ハリソン:お前のスピードが弾よりも速いかどうか見てやる。

ハリソンが引き金を引き始めてたとき、クラークがガレージの中に超スピードで入ってきます。そしてハリソンの手から銃をも
ぎ取ります。
それからハリソンの上着を掴むと投げ飛ばし建物の屋根をぶち抜きます。
ハリソンは外の古いトレーラーの上に落ちます。
この間にトニーが意識を取り戻しました。

クラーク:[トニーに]
     ここから出て行け!

トニーは逃げ出します。

クラーク:[バートに]
     これでもまだお前がやっている事が人を傷つけないといえるのか?

写本を拾ったクラークはレックスに近づいて彼を起こします。
レックスは頭の側面から出血しています。
クラークはレックスの首に手を当てて脈を確認します。

クラーク:レックス。
    [返事はありません]
     レックス?
バート:[立ち上がり]
    悪かったな、クラーク。

バートは小さな箱を開けクリプトナイトをさらけ出します。
クラークは影響を感じ立ち上がろうとします。
しかしよろめいて床に倒れます。

バート:これは何も変わってないんだな。

バートはクラークの脇にひざまずいて写本を彼から奪います。

クラーク:ダメだ、分かってない。
     それは僕を殺すんだ。

バートはクラークの脇に箱を置いて後ずさりします。

クラーク:[弱く]
     お前は殺人者じゃないはずだ!
     今のお前は本当のお前じゃない!
バート:俺が何者なのか分かるはずがない!
クラーク:いや、僕には分かる。
     バート、お前は父さんを救ってくれた。
     お前の中にもいい心はあるんだ。
     バート、もう逃げるのは止めろ、さもなきゃ一人ぼっちになる。
     そうはなりたくないはずだ。
     僕には分かる。
     心の底では僕らが同じだという事を。

バートが向きを変えてゆっくりと戻ってくると、痛みに喘ぐクラークの脇にひざまずきます。

バート:それが本当ならいいと思うよ、クラーク。
    バートは一瞬箱を見下ろして、それから箱を閉じます。

クラークは落ち着いて呼吸を戻します。
バートはもう一度クラークを見つめて超スピードで走り去ります。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
ジョナサンが農場の風車のはしごを降りる間、クラークはフェンスの脇の地上で待ちます。
日中。

ジョナサン:バートがどこに行ったのか分からないのか?
クラーク:レックスが気を失ってたから。
     警察のサイレンが聞こえるまで離れられなかった。
     それからバートを追いかけたけど。
     もう世界中のどこにでも雲隠れできたはずだ。

ジョナサンは地面に降り家に向かってクラークと一緒に歩きます。

ジョナサン:まあ、結果的にはかえって良かったと思うよ、クラーク。
クラーク:でも、父さん…
ジョナサン:なあ、お前がどれほど彼を助けたいと思ったのか分かる。
      だがな、お前がいかに強いとしても、人の心を変える事を強いる事はできないんだ。
クラーク:あいつは悪い奴じゃない、父さん、少し違っているだけだ。
     少なくてもあの力を受け入れている。
ジョナサン:クラーク、力を受け入れる事と見せびらかす事は全く別物だ。
クラーク:分かってる。
     正直に言って、あいつの様になれたらと思う事があるよ。
     [彼らは歩くのをやめます]
     つまり本当の自分を隠してきた自分と力のある自分、二人の別々の人格があるって思い始めてる。
ジョナサン:クラーク、普通の人間もお前と同じように考えているんだ。
      誰もが秘密を抱えている。
      お前の場合…皆よりは大変だがな。
クラーク:そうだね、レックスを見舞いに行って来るよ。
ジョナサン:分かった。
      トラックを使うか?
クラーク:いいや、自分の足で走ってみたい気分だ。

ジョナサンはもの分かりよくうなずきます。
そしてマーサが車で停まったときクラークは超スピードで走り去ります。
ジョナサンが車に向かって歩くとマーサが車から降りてきます。

ジョナサン:やあ。
      一日中仕事をしているのかと思ったぞ。
マーサ:まあ、上司の特権よ。
    休憩をとってハンサムな農家の男性と時間を過ごせるようにリンダを副支配人したの。
ジョナサン:そうか、よかったな。
      じゃあ汗まみれの男がちょうどここにいるぞ。
マーサ:[色っぽく]
    じゃあホースとバケツ一杯分の石鹸を持ってこなきゃ。

ジョナサンは微笑してマーサの顔に手を置いて近づきます。

ジョナサン:君がいなくて寂しかったよ。
マーサ:私もよ。

彼らはキスして抱き合います。
マーサがジョナサンの胸に顔をもたせ掛け楽しそうに目を閉じます。

第4幕 場面2
カワチ洞窟。
日中。
ジェイソンとラナが洞窟に入ってきます。
ジェイソンは壁に懐中電灯の光をあてて驚きながら見回します。

ジェイソン:これはすごいな。
ラナ:クラークが最初にこの洞窟を見つけたとき、私にはどうしてこんな物に取りつかれたのか分からなかった。
   いつも私の反応を恐れて隠し事をしてるように見えたわ。
   私はそんな風に生きたくない。恐れて過ごしたくはないのよ。
ジェイソン:そうだとも。
      俺と一緒だ。
      そう言おうとしたんだ。
ラナ:オーケー。

不安そうにラナはジェイソンを超えて歩きます。

ラナ:パリで行った教会堂を覚えてる?
ジェイソン:ああ、君の誕生日のアレンジをするために早く行かないといけなかったっけ。
ラナ:そうね。
   あなたが去った後、セロー伯爵夫人のお墓の上で何か奇妙なことに気付いたの。
   この洞窟と同じようなシンボルがあったのよ。
ジェイソン:[壁を見ます]
      どういう関係が?
ラナ:[振り返り]
   分からないわ。
   [彼女は彼に戻って再び彼を超えて歩きます]
   そしてそれに触れたとき目もくらむような光と痛みがあったの。
   次に覚えているのはあなたがドアをノックした翌朝の事よ。
   そしてこれがあったの。

ラナはシャツの後ろを引っぱり上げてジェイソンに刺青を見せます。
彼は刺青をじっと見つめ話を受け入れるのに苦労します。

ジェイソン:オーケー、ちょっと待ってくれ。
      それじゃあ君は死んだ伯爵夫人の墓のシンボルが君に刺青をつけたっていうのか?
ラナ:どう思われるか分かってるわ。
   どうしてあなたに話さなかったと思ってるの?
ジェイソン:[理解し始め]
      それがパリを出て行った理由か。
ラナ:私はこの洞窟に戻らないとならなかったの。
   十二時間の空白の時間を見つけ出す必要があったのよ。
   でも見つけ出したのはもっと多くの問題だったわ。

ラナはジェイソンの肩の上の壁を指さします。
彼は向きを変えてラナの背中の刺青と同じシンボルを見ます。
彼はその上に懐中電灯の光をあてます。

ジェイソン:君と同じ物だ。
      このシンボルはどういう意味だ?
ラナ:[恐れ]
   分からない。
   ジェイソン、私、自分に何が起きているのか分からないの。
ジェイソン:おい、おい。
      たとえそれが何であっても一緒に解決するんだろ?
ラナ:[ささやき]
   そうね。

ジェイソンはラナを引き寄せます。
彼がじっと壁画を見つめている間、彼女はアゴを彼の肩に預けます。

第4幕 場面3
レックスの屋敷。
日中。
レックスは書斎の机でノートパソコンを操作しています。
クラークが入ってくるとレックスはノートパソコンを閉じます。
レックスの左目の脇は赤い痣になっていました。

レックス:クラーク。
     普通の時間に現れるとはいい心がけだ。
クラーク:君が大丈夫かと立ち寄ったんだ。
     メトロポリスで何かあったって聞いたから。
レックス:随分と速く広まったな。
クラーク:小さい町だから。
     それで何があったんだ?
レックス:カウボーイの真似事をして拍車でぶつけたんだ。
     正直言って、なぜ死ななかったのか分からない。
クラーク:君を見てくれていた人がいたんだろう。
レックス:[ほほ笑んで]
     色んな意味でな。

レックスは部屋の中央を見ます。
同じくクラークも見ると写本が台に戻されているのを見ます。
クラークがそれに歩きます。

クラーク:どうやって取り戻したんだ?
レックス:俺じゃない。
    [レックスは台に歩きます]
     病院から戻ったとき、机の上にあった。
     盗んだ奴は気が変わったのかもな。
クラーク:僕もそう思うよ。

クラークの声の調子は誇りに満ちています。
クラークは誰が写本を盗んだのか分かっているのだとレックスは思います。
しかしそのことについては言及しません。

レックス:なあ、これを調査するのは後にしないか。
     今はまだ怪我を治すことに専念したい。

レックスは机に戻って歩きます。

クラーク:君が無事でよかったよ。

クラークは写本にX線ビジョンを使いもう一度マップと隠れているシンボルを見ます。
無事なのを確認すると微笑して去り始めます。

レックス:クラーク。
     [クラークがレックスに振り返り]
     写本が見つかったら直ぐに専門家の調査結果を聞きたと言うと思ったが。

レックスはノートパソコンを開きます。
モニタには写本の映像が映っています。
クラークは机の反対側にいて映像を見ることができません。

レックス:専門家たちが何を見つけたのか分かるか?

クラークが回答を待って不安そうにレックスを見つめます。

レックス:無駄金を使ってしまった事だ。

クラークは安心した微笑を見せます。

レックス:見舞いに来てくれてありがとう。

クラークはうなずいて部屋を出て行きます。

クラークが出て行くとレックスはノートパソコンのボタンをたたきます。
そして写本の映像は変化し地図とシンボルを浮かび上がらせます。
レックスはモニタにほほ笑みます。

第4幕 場面4
畑でクラークはノートに写本の地図を書き写しながら干し草の束に座っています。
日中。
空気の摩擦音が聞こえるとバートがクラークの肩越しにノートを見て立っています。

バート:ひどい絵だな。
    ヒーローなんだからさ。

クラークがノートを閉じるとバートは干し草の上にバックパックを置いてクラークの正面に回ります。

クラーク:あれを返したのはどうしてだ?
バート:あれを金に変えて持ち運ぶには俺のスピードが遅くなるからな。
クラーク:もしお前を見つけたなかったら死んでいるところだぞ。
バート:ああ、どうやって俺を見つけたんだ?
    お前の力は一体、速さなのか力なのかそれとも超能力か?
クラーク:[ほほ笑んで]
     これさ。
     [クラークはバートがくれたMP3プレーヤーを持ち上げます]
     シューサイドスラムでこういう物を買う人物を探して一晩掛かったよ。
     何人かの人からハリソンの事を聞いた。
バート:それでか。
    犯罪者の匂いをかぎつけたってか。
クラーク:それで、これからどうするんだ?
バート:分からないな。
    世界は広いからな。
    全世界を回って俺たちのような力の持ち主がいないかどうか探してみるさ。
    そしてクラブか同盟を立ち上げてみるか。
    (訳注:後のJSA、ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカの創始者の一人になります)

クラークが少し失望して頷くとバートはバックパックを担ぎます。

バート:いいのか、俺と一緒に来る事もできるんだぜ。
クラーク:お前がここに残る事もな。
バート:お前には素晴らしい生活がある、クラーク。
    でもそれは俺のものじゃない。
    スモールビルに残る理由はない。
クラーク:[希望を抱いて]
     あるさ。
バート:[微笑しますが拒否します]
    友達になってくれてありがとうな。

バートは行こうと振り返ります。

クラーク:お前の気持ちは変える事ができないのか?
バート:[クラークに振り返って]
    そうだ、こうしよう。
    もし俺を捕える事ができたら…
    考え直してもいいぞ。

返事を待たずバートは農場から道路へと超スピードで走り去ります。
クラークも超スピードでトウモロコシ畑の道を追ってゆっくりとバートに追いつきます。
バートは彼に振り返り後ろ向きに走りながら笑顔をクラークに向けます。
クラークも笑顔を返します。
それからバートは手を振ってもっとスピードを増します。
彼の体は赤い残像を残しながら走り去り、クラークのスピードをもってしても目で捉えることができません。
クラークはバートのスピードに驚き道路の中央で停止します。
クラークは微笑しながらバートの去っていった方向を見つめます。

フェイドアウト。

おしまい。