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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

編集後記
  今回翻訳するにあたりご理解いただきたい項目があります。
  ここから先はネタバレを含みますので読みたくない方は飛ばしてください。
  本文を読み終えた方は読んで下さい。
  ドラックして反転してください。↓
  今回はクラークとライオネルの体が入れ替わってしまいます。
  翻訳上クラークは「僕」ライオネルは「私」と訳していますが
  入れ替わった後の二人が自分を指す人称はその場面場面で変化をさせています。
  英語では誰でもI,my,me,mine,myselfで自分を指します。
  日本語では自分を指す言葉が沢山ありますのでこのような訳し方をしました。


シーズン4.06Transference [転移]

第1幕 プロローグ
農場の外でクラークは一人でフットボールの練習をしています。
日中。
ボールを地面に置いて身を屈めています。
彼は目の前に並んで草を食んでいる牛を選手に見立てているようです。

クラーク:31!
     42!

牛の一頭がクラークにモーと鳴きます。

クラーク:ハット!

クラークはボールを拾い上げると牛の列から逆方向に離れフェンスに向かって走ります。
左に行くと見せかけて再び牛に振り向きます。
右手でボールをしっかりつかんで農場の向こうに投げます。
ボールは水の入った木製のバケツに激しくぶつかりバラバラになると水はあたりに飛び散ります。
牛はいっそうやかましく再びモーと鳴きます。

クラークは腕を上げます。

クラーク:そしてクロウは公式の選手権をとりました!
     ははは!

ジェイソンとジョナサンが笑顔でクラークの後ろに近づきます。
ジェイソンは拍手をします。

ジェイソン:君に才能があることは知っていたが。
      未来を見ることができるなんて知らなかったな。

クラークの顔から笑顔が色あせ振り向きます。

クラーク:[照れて]
     練習をしていたんです。
ジェイソン:それはいい。
      今度の金曜の夜の試合にメトロポリス大学からコーチが来て新しいクォーターバックを見に来るんだ。
      試合に勝つビジョンを見るのはいいことだ。
クラーク:[興奮し]
     からかってるんですか?
ジェイソン:俺はフットボールの事でからかうつもりはない。
クラーク:本当なんですか。僕…

突然ハイピッチの音がクラークの耳に響き、クラークは痛みに耳を押さえます。
ジェイソンとジョナサンには何も聞こえません。

ジェイソン:大丈夫か?

クラークは耳を押さえたままぶつぶつ言って歩き去ります。

ジョナサン:[心配し]
      コーチ、私が様子を見ます。
      立ち寄ってくれて、ありがとうございます。
      それは素晴らしいニュースでした。

ジョナサンがクラークに追いつくとジェイソンは混乱して見守ります。

ジョナサン:クラーク!

ジェイソンは去ります。

ジョナサン:クラーク。
      どうしたんだ?
クラーク:聞こえるんだ。
ジョナサン:どこから聞こえてくるんだ?
クラーク:[まだ苦しみ]
     行かないと。

クラークは超スピードで走り去ります。

ジョナサン:クラーク!

カンザス州刑務所では。
日中。
レックスは面会室の机に着いています。
近くの階段を警備員に付き従われオレンジ色のジャンプスーツを着たライオネルがやってきます。
ライオネルがレックスの真向かいのイスをゆっくりと引き咳払いをすると警備員はライオネルの側から離れます。
ライオネルは非常にゆっくりと、そして弱く動いています。
彼の顔は青白いです。

レックス:[無表情で]
     元気がないな、親父。
     ビタミン不足じゃないのか?
ラオネル:[静かに]
      お前がかなり腹を立てているのは分かっている、レックス。
     [彼は座ります]
      そのためにこんな人里離れた場所に私を移したんだろ。
      だが今更遅すぎるぞ。
レックス:それじゃ聞くが。
     一ヶ月たったが肝臓の具合はどうなんだ。
    [ライオネルは不幸せそうに頭を振ります]
     何でも、このところ医者と話しもしないそうじゃないか?
ラオネル:お前に会いたかった、レックス、別れを言うためにな。
      面と向かって。

レックスは冷淡に笑い目を伏せます。

ラオネル:私は人生の中で後悔するような事が沢山あった。
      だが自分でも決して許せない事が一つだけある…

レックスはライオネルの目をじっと見ます。

ラオネル:私は…言わなかったな…
      お前を愛していると。

レックスの顔には感情がありません。
ライオネルは目に涙を浮かべテーブルに片手を伸ばしレックスの手を握ろうとします。

刑務所の外ではクラークが建物の中へと超スピードで入っていくところです。

中ではライオネルはまだ手を伸ばしています。
レックスは疑わしげにそれを見ます。

ラオネル:お願いだ。

レックスの口はぴくりと動きます、そして彼の決心が揺らぎ始めると彼のまぶたはピクピクとします。

クラークはまだハイピッチの音を聞きながら面会室に入ります。
クラークがあたりを見まわすとライオネルとレックスがテーブルを挟んで着席しているのに気づきます。
そしてレックスにライオネルは片手を差し伸べもう片方の手はテーブルの下の膝に置いていました。
クラークがX線ビジョンでテーブルの下の手を調べます。
ライオネルは小さな石を握っています。
その石にはラナの背中にある刺青と同じシンボルが彫られていました。
この時レックスはついに降参して父親の手を握ろうと腕を持ち上げます。

クラーク:レックス、ダメだ!

クラークはレックスのところに走って、レックスがライオネルの手を握る前にテーブルをひっくり返します。
レックスは床に倒れます。
クラークはライオネルのシャツをつかんで席を立たせ掴んだ襟元をにらみつけます。
ライオネルの手にはまだ石が握られていてクラークの手の甲に石で触れるとシンボルは黄金の光を発します。
二人は動くことができずに、光るエネルギーがクラークとライオネルの周りをくるくると回ります。
それから緑色のエネルギーがライオネルの体から飛びだし、白いエネルギーがクラークの体から飛び出します。
エネルギーは場所を入れ替え白いエネルギーはライオネルに、緑色のエネルギーはクラークに入ります。
一瞬、彼らの顔が変わります。
クラークの顔は年を取り、ライオネルの顔は若くなります。
しかし一瞬で元に戻り二人は吹き飛びます。
周りを渦巻くエネルギーは消滅します。
困惑したライオネルとクラークはあたりを見回します。
レックスは倒れたテーブルの脇にまだひざまずいています。
彼もクラークとライオネルと同じぐらい困惑しています。

レックス:クラーク?

ライオネルはクラークの名前に反応してレックスに振り向きます。

ラオネル:[パニックになり]
      な…

彼は石が体の交換をした事を知り手の中の石とクラークを見ます。
ライオネルの体にはクラークが、クラーク体にはライオネルが入っています。
二人の警備員がライオネルを掴んで引っ張って離し始めます。

ラオネル:何…

クラークの体に入ったライオネルは体が入れ替わった事に気づき驚いたような笑みを浮かべ始めます。

警備員たちはライオネルを引きずり続けます。

ラオネル:[怖がって]
      何をするんだ?
      どうする気だ?
      待て…

ライオネルが振り返って自分の映った鏡を見てショックを受けます。
彼は更にもがきます。

ラオネル:離せ。
      離してくれ!
      レックス!
      レックス!
警備員:さあ来い!
ラオネル:離すんだ!

ライオネルは引きずられて行きます。
別の二人の警備員がクラークの腕を捕まえるとレックスは立ち上がってクラークに近づきます。

レックス:[腹を立て]
     ここで一体何をしてるんだ?

クラークは話を取り繕うと間を置きます。

クラーク:君のお父さん…に会いに来たんだ。
レックス:お前は親父に俺を叩きのめせと言われたのか?
クラーク:[素早くウソをつき]
     何か鋭いものを持っていたんだ、レックス…
     ナイフのような。
レックス:[警備員に]
     離してやれ。

警備員はクラークを放して離れてます。
クラークは警備員が実際に放した事に驚いて警備員を見ます。
彼は興奮してレックスに向きます。

クラーク:ここから出よう、レックス。
     [レックスは奇妙に彼を見ます]
     直ぐに。

レックスがドアに向かって歩くとクラークは後に続きます。
途中でクラークは鏡に気づき若い姿を見て嬉しさに歩く速度を落とし見つめていました。

第1幕 場面1
レックスの車でクラークとレックスはクラークの家に到着します。
日中。
レックスは納屋の近くに車を停めます。

レックス:クラーク、いつものお前らしくないな。
     言った言葉は「家に帰る」だけじゃないか。
クラーク:[平静に]
     悪かった。
     刑務所のことで…
     あまり気分がよくないんだ。
レックス:まあな、あそこは地球上で楽しい場所じゃないからな。
クラーク:そうじゃないんだレックス。
    [疲れたように]
     罪の意識は感じた事はないのか?
     父親を刑務所に入れたことについて。
レックス:どうしてだ?
     自分の両親を殺した男だぞ。
     社会に貢献したはずだが。
クラーク:[レックスをもて遊び]
     それがたとえ血縁があっても?
レックス:クラーク、お前はいつから親父のファンクラブの会長になったんだ?
クラーク:そうだった。その通りだ。

クラークがかすかな微笑を浮かべ車から降り窓からレックスを覗き込みます。

クラーク:君の父親だったな。
     どうして君が思わなきゃいけないんだろうな?

レックスはギクリとしてクラークに振り返ります。
それからクラークは車から離れレックスは車をバックさせます。
ジョナサンはひざまずいてトラクターを修理しています。

ジョナサン:おい、クラーク。
クラーク:[不器用に]
     父さん。
ジョナサン:ちょっと来てくれ。
      お前が戻ってきて嬉しいよ。
      母さんは本当に心配していたからな。
      もう大丈夫なのか?
クラーク:もう平気さ。
ジョナサン:まあ、それはなによりだ。
     [立ち上がり]
      いいか、変な音が聞こえるというのは決していい兆候じゃない。
      なあ、ついでだ、手伝ってくれないか?
      これを持ち上げてくれ。
     [トラクターを示し]
クラーク:[混乱し]
     持ち上げる?
     何を?
ジョナサン:トラクターだ。
      この一週間トラブル続きなんでな。
      リヤエンドをチェックする必要があるんだ。
      さあ、持ち上げてくれ。

クラークは奇妙にトラクターを見て、頭を振ってジョナサンに笑みを返します。

クラーク:どうやって持ち上げるんだ?
ジョナサン:面白い冗談だ、クラーク、だが一日中待ってはいられないぞ。
      トラクターを持ち上げてくれ。
      さあ早く。

クラークは増大する不安でトラクターを見てじっとしています。

ジョナサン:さあ!

クラークがフロントエンドに歩きジョナサンはトラクターの側面に歩きます。
クラークはトラクターの下に手を入れゆっくりと持ち上げます。
トラクターが地面からいとも簡単に持ち上がると口を開け驚きます。

ジョナサン:[いらいらして]
      いいぞ、だがな4,5フィートじゃないとダメだ。
      頭の上まで持ち上げてくれ。
      下に入る必要がある。

クラークは頷いて手を持ち直すと頭の上にトラクターを持ち上げます。
彼の表情は純粋に驚きを表します。

ジョナサン:よし、それでいい。

ジョナサンはトラクターの下に踏み出します、そしてクラークは理解し始めます。

クラーク:[彼自身に]
     そうか。 
     こういう事だったのか。
ジョナサン:どうした?
クラーク:ああ…ただ…
     この下が汚れているなあって。
ジョナサン:お前本当に大丈夫なのか?
クラーク:[奇妙な笑みで]
     生まれてから初めていい気分になったよ。

第1幕 場面2
刑務所。
夜。
ライオネル(中身はクラーク)は牢屋でクリプトンのシンボルの写真で覆われた壁を見ています。
彼は精神を入れ変えた黒い石を持ち壁の写真と石のシンボルとを見比べています。
同じシンボルをカワチ洞窟で撮られた写真の中に見つけ出します。
牢屋のドアが開きもう一人の囚人、エドガーが入ってきます。
彼は小柄でメガネをかけ数冊の本を持っていました。
エドガーが牢屋に入りライオネルがぼんやりと彼を見つめているのに気づくと立ち止まって独り言をつぶやきます。

エドガー:ああ。レックスなのか。
ラオネル:レックス?
      僕はレックスじゃない。
      クラーク・ケントだ。
エドガー:えっ、それは大変な事だ。
     その石はレックスに使うはずだったのに。
     あーあ…

エドガーは不安そうに二段ベッドに歩いて上の寝台に本を置きます。
ライオネルは手に持っている石からエドガーへと目を移します。

ラオネル:ライオネルはどこでこれを手に入れたんだ?
エドガー:うーん…
     エート…
     ぼ、ぼ、僕は知らないよ。
ラオネル:お願いだ。
      教えてくれ。

エドガーは牢屋のドアの方を見て、そっと写真で覆われた壁に移動しようとします。
エドガーが壁の写真の一枚をめくるとそこには穴が開いています。
ライオネルはあたりを見回し誰も見ていないのを確認します。
エドガーは小さな像を取り出します。

エドガー:これはマヤの雨の神像だ。
     ある探検隊がホンジュラスの沖の海底から見つけ出したんだ。

エドガーはライオネルに像を示します。

ラオネル:どうやって探し当てた事を知ったんだ?
エドガー:ああ、彼は地球上を捜し回っているからな。
     [壁に像を返します]
     これらの古代のシンボルは、あー、エジプト、中央アメリカで見つかってる。
     あー、ここカンザスのインディアンの洞窟でもな。

ライオネルはいっそう不安になってエドガーから顔をそむけます。

ラオネル:これらのシンボルが何かを意味するのか知っているのか?
エドガー:まあ、信じるかどうかは君しだいだ。
    [クスクス笑い]
     君が持っている石のマークは、あー、「水」を意味する。
     つまり、トランスフォーメーションだ、分かるか。
ラオネル:どうしてそんな事を知ってるんだ?
エドガー:ああ、いいか、僕は常々暗号解読に興味を持っていたんだ。
     つまりコードや暗号みたいなものだ。
     [2つの他の写真を指し示し]
     あー、あれは「火」を表す、そしてこれは「空気」だ。
     そして三つを組み合わせると…
     [彼は指で三角形を形作ります]
     マヤの伝説では、最も原始的な夢を越えて意識を交換すると言われてる。

ライオネルは理解した顔つきになっていきます。
エドガーは気付きません。

エドガー:僕は58分14秒前までこんな話は信じなかった、突然体が入れ替わるなんていう事はね…
     でも本当だったんだ。

エドガーはライオネルの胸を軽くたたいて興奮してくすくす笑います。

エドガー:君がここにいる。
     今は論証は難しい。
     本当に奇妙な事がおきたんだ。
ラオネル:どうしてここに入ったんだ?
エドガー:もし犯罪の事を聞いているなら、僕はプリンストン大学年金基金から1千4百万ドルを横領した。
ラオネル:君が?
エドガー:僕は数学者だ。
     死海文書の研究をしている。
     いくら金があっても足りなくてね。
     [彼は二段ベッドに歩きます]
     どうなったと思う?
     だまされたんだ。
ラオネル:[信じません]
      ライオネルとはたまたま同じ牢屋に入ることになったのか?
エドガー:ああ。
     そうだ。これはラッキーだったよ。
     [壁とベッドの間に歩き]
     僕がやらなければならない事はこれらのシンボルの対を手に入れることだ。
     そして彼は僕に弁護士を用意してくれた。
     ここから僕を出すためにね。
     だから彼が長く持ちこたえる事を望んでる。

ライオネルは興味をそそられます。

ラオネル:そうれはどういう意味だ?
エドガー:彼は死んでいる。
     いや、正確には死に掛けている。

エドガーは壁の写真を見ます。
エドガーが何か話し続けているとライオネルは鏡の方を向いて自分の姿を見ます。

エドガー:数学的には、それは、あー、起こりうる。
ラオネル:[鏡に触れ]
      もし彼が死にかけているなら、…それは…
      僕は死ぬっていう事か。

彼は恐れで鏡に映った自分を凝視します。

第1幕 場面3
クラークは屋根裏で携帯電話で話をしています。
夜。
彼はシャツを着ていません。
よりフォーマルなシャツを見つけようと邪魔にならない場所に何枚かの格子縞のシャツを放り投げます。

クラーク:ウイ、マドモアゼル。
     Parlez-vous anglais?(英語は話せますか?)

電話に出ている女性はフランス語のアクセントで英語で返答します。

女性:何か御用でしょうか?

クラーク:わ…

彼は鏡に向かいシャツを持っていき、鏡に映った体のたくましさに驚いています。

クラーク:私はライオネル・ルーサーだ。
     [鏡に映った姿に見とれなから]
      口座番号は434690だ。
      口座を解約したい…
     [微笑し]…無記名債券を。
女性:お母様の旧姓をお願いします、ルーサー様。

クラークは近くに置いてあるフットボールを拾い上げて、鏡を見ながら頭の上にボールを持ちあげます。

クラーク:ミーハン。
女性:そうしますと…
   [間があり]
   あの、申し訳ありません、ルーサー様。
   声紋認識に問題が出ております。

クラークはいとも簡単にフットボールを握りつぶします。

クラーク:何?

マーサが一階から叫びます。

マーサ:クラーク!

クラークは電話を切ってマーサが階段を昇ってくると振り向きます。

クラーク:[目を細めて]
     マーサ。
マーサ:あなたが大人だという事は認めるわ、クラーク。
    でもねいくつになっても私の事は「お母さん」と呼びなさい。
クラーク:そうだった、そうだね。

最初の「そうだった」よりも後の「そうだね」の方がクラークらしく聞こえます。

マーサ:夕食の用意ができてるわ、でも服を着替えてるという事は…
    外出するの?
クラーク:[シャツを着て]
     うーん…違うよ。
     気分を変えたかったんだ。
     格子縞に飽きたから。
マーサ:[笑い]
    じゃあ、後でね。

マーサが出て行こうと振り返るとクラークは彼女より先に行こうとして超スピードを出します。
ぶつかってひっくり返ったランプがストップモーションになります。
彼はアクシデントで超スピードを使った事に驚きの表情をします。

マーサ:クラーク、何をしてるの?
クラーク:[マーサの方に向き]
     あの、僕…
     僕はただ…

何を言っていいのか思いつかないクラークにマーサは奇妙な顔をします。

クラーク:今日はすごくキレイだって言いたかったんだ…
     母さん
マーサ:[見つめ]
    何か変よ。
    目が違ってるわ。
    変な音が聞こえたって言ってたけど、それで?
クラーク:分からない。
     [クラークはその事を考えながら腕を差し出して弱々しい声を出します]
     抱きしめて欲しいんだ。
マーサ:[ほほ笑んで]
    まあ。

クラークはマーサを抱きしめます、そして彼女はなだめるように彼の背中をさすります。
クラークは目を閉じていやらしくマーサの髪の匂いをかぎます。
彼が目を開くと目は赤くなり屋根裏の窓を通してヒートビジョンを放ち下の農場を燃やします。

マーサ:[息がつまり]
    クラーク!

マーサは窓の方に向いて火を見ます。
牛は興奮して鳴いています。

マーサ:一体どうしたって言うの?
クラーク:[さらに混乱し]
     わ、分からないよ。
マーサ:じゃあ、あそこから飛び降りて火を消しなさい。
クラーク:[窓に歩き]
     消すって?どうやって?
マーサ:[愚かな質問に答えるかのように]
    あなたの手でよ。

マーサは屋根裏を去ります、そしてクラークは火をじっと見てうっとりとします。

第1幕 場面4
同じ晩の遅く。
火事を消した後でクラークが家に入ります。
彼のシャツは少し汚れ煙が出ています。
マーサは夕食の準備して台所にいます。

クラーク:ねえ、母さん。

彼はクスクス笑って手を拭くためタオルを拾い上げます。

マーサ:あらあら!
    階段を上がってきれいにしてきなさい。

マーサはタオルを取り上げます。
ジョナサンがジェイソンと一緒に入ってきました。

ジョナサン:おい、クラーク。
      誰が来たと思う?
ジェイソン:やあ。

クラークはジェイソンの事は知らないため丁寧にジェイソンに笑顔を向けます。
ジョナサンは二人に話をさせるために歩き去って、通り過ぎるときクラークの背中を軽くたたきます。
どのように返していいのか分からずにクラークは同じようにジョナサンの背中を軽くたたきました。
ジョナサンは奇妙にクラークを見てリビングルームに二人を残し台所へと歩きます。

ジェイソン:調子はどうだい?
      君が動き回っているのを見れて嬉しいよ。
クラーク:調子はいいですよ。
ジェイソン:本当か?
      俺が来たからといってウソをつかなくてもいいんだぞ。
クラーク:いいえ、そんなことありませんよ。
     あのー…コーチ。

クラークはジェイソンが着ているスモールビル高校のジャケットの胸ポケットについているコーチの刺繍を見つけます。
クラークはリビングルームに彼を残し一人で階段を登り始めます。
ジェイソンは彼の後について行きます。

ジェイソン:よし。
      じゃあ、明日練習で会おう。
クラーク:[振り向き]
     あのー、明日は無理かもしれません。

クラークが再び階段を上り始めます。

ジェイソン:それは聞き捨てならないな…
      [クラークは立ち止まりイライラして振り向きます]
      …金曜日は奨学金を確定する日だぞ。

クラークは階段を降りて来てドアにジェイソンを送ります。

クラーク:コーチ、僕は、優先順位を考え直したいんだ。
     フットボールには全く興味がない。

クラークがドアから外にジェイソンを押しだそうとしますがジェイソンが話をし続けるとやめます。

ジェイソン:おい、クラーク、おい。
      君のポジションは皆が狙ってるんだぞ。
      つまりただで好きな大学にいけるんだ。
      それでもチームを辞めるつもりか?
クラーク:その通りだ。

クラークがジェイソンの顔の前にドアを閉じます。
ジェイソンは一瞬困惑してい立ち尽くし、それから去ります。

第1幕 場面5
ライオネルは刑務所の共用スペースの階段を歩きます。
夜。
背の高い筋骨たくましい囚人の方から出てきて階段を降りてくるエドガーを見ます。
彼は極めて高い、そして筋骨たくましい囚人の方法と競技会、同じく階段を歩いているエドガー、から踏み出します。
共用スペースは話をしたりトランプ、ウエイトリフティングをしてる囚人でいっぱいでした。

ラオネル:エドガー。
      電話をしたんだけど、どうすればいい?
エドガー:ああ、週に一回だ、ここのやり方を知らないと順番は回ってこないぞ、もちろん僕は知ってるがね。
ラオネル:エドガー。
エドガー:ん?
ラオネル:お願いだ。
      手を貸してくれ。
エドガー:僕に何の得があるんだ?
ラオネル:君をここから出してやれる。
エドガー:ほう、本物のライオネル・ルーサーでもできない事を君ができるって言うのか?
     君は金を持ってないだろう。
     力もない。
ラオネル:[小さな声で]
      君が考えているより僕は力を持ってる。

一人の囚人が共用スペースに入ります。
その男は体の大きな男で黒い長い髪をしていてアゴヒゲをはやし両腕に刺青をいれています。
オレンジ色のジャンプスーツはウエストの位置まで下げられ白いタンクトップを着ています。
そして極めつけが、彼の片目は青でもう片方が茶色でした。

男:[やかましく]
  「誰が億万長者を殴るか」の時間だぞ。

興奮の声が囚人の間からもれます。
エドガーは怖がってライオネルを見ます。
その囚人がライオネルに近づいてくると逃げ出しました。
他の強面の囚人たちが二人の周りを取り囲みます。

男:俺の5よりも上だったか?
ラオネル:何だって?

ライオネルは警備員を捜し回わると一人残っていた警備員はエレベータに乗って出て行くところでした。

ラオネル:何の話をしているんだ?
男:随分もうろくしたようだな、大将。
  返済の期限は過ぎてるぜ。
ラオネル:事情が変わったんだ。
      金は持っていない。
      君が…

男はライオネルの顔に拳を振るいます。
ライオネルはしゃがんで避けると、男の顔を殴ろうとします。
しかし男はライオネルの握りこぶしを掴むと強く押し返し床にひざまづかせます。
ライオネルは痛みでしかめっ面をします。

男:俺と遣り合おうっていうのか、ルーサーさん。
  俺は三つの殺人罪で終身刑を受けてるんだぜ。
  もう一発どうだ?

男はライオネルの顔を殴りつけ、ライオネルは床に倒れます。
とどめにライオネルの背中を蹴ると他の囚人立ちは興奮で叫びます。

男:明日までに用意しときな。

囚人の囲いが解散し始めると男は微笑して歩き去ります。
ライオネルは頭の側面から少し出血して床に横たわっています。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
スモールビル高校。
夜。
クラークがトーチオフィスのコンピュータの前に座っています。
彼はルーサー・コープのイントラネットにログオンするためにユーザ名とパスワードを入力します。
パスワードは否定されます。
クラークが怒って机の角を叩くと木の天板が壊れます。

クラーク:レックスの奴、パスワードを変えたな。

クロエがオフィスに入って電気をつけるとクラークを見て驚きます。

クロエ:[クラークのドレスシャツに]
    えっ、五分前は木綿のシャツだったでしょ?

クロエはクラークに近づきバッグを下に置きます。
彼女は机の破れた角に気付きます。

クロエ:あれまあ。
    誰がこんなことをしたの?
クラーク:僕がここに着いた時にはこうなってたよ。
クロエ:変ね。
クラーク:あのさ、クロエ、君の事が心配なんだ。
クロエ:えっ?
    どうして?

クロエは他の机へと行きます。
クラークは彼女を見るために椅子を回します。

クラーク:もしライオネル・ルーサーが刑務所から出てきたら、あの人は何をすると思う?
     君にね。
クロエ:なんで?
    ライオネル・ルーサーへのアラートが突然変わったって言うの?
    [クラークは謎めいた顔で彼女を見ます]
    私が知らない事を知ってそうね?

クラークはイスに座ったまま床をけり彼女の机にイスを寄せます。

クラーク:いや。
     でも用心に越した事はないだろ。
クロエ:まあ、全く怯えていないって事はないけど。
    仮釈放の請求は通らないはずよ、だって112年…
クラーク:[立ち上がり]
     分かってないな。
     君が考えてるより早く出てくるかもしれないじゃないか。

クラークは誘うようにクロエに向かって歩き始めます、そして彼女は笑って後ずさりします。

クロエ:ええ、まあ、私達のクォーターバックもいつかクビになるかもね。
クラーク:そうだな。

クロエは壊れた机に行くとクラークに背を向けてファイルを見ます。
クラークがゆっくりと彼女に向かって歩きます。

クラーク:僕は違った目で物を見ているような気がする。
     全く違ったように君が見えるんだ。
クロエ:[彼に振り返ります]
    それはどういう意味?
クラーク:[クロエに非常に近づき]
     告白すると…
     君が魅力的なのに今気づいた。
     その目のきらめき…
     [彼は指でそおっと彼女のあごに触れ唇を見ます]
     …その素晴らしくセクシーな微笑み…そして君の肌は…

クラークは彼女にキスをしようと顔を傾けます、そしてクロエは頭を引きます。

クロエ:クラーク、何をするの?
クラーク:[魅惑的なささやき]
     何をって、ずうっとこの機会を待っていたんだ。

再びクラークは目を閉じ顔を寄せます。
クロエは顔を上げ目を閉じキスを受け入れようとしました。
二人の唇が触れるか触れないかというところでクラークは息を吐き出し離れます。
クロエは何が起きたのかと目を開きます。
クラークは冷淡に彼女を見ます。

クラーク:そうはいかない。
     [出口に向かい]
     サリバン君。

出て行くクラークを見るクロエの目は疑いとショックでの涙が溢れ出します。

第2幕 場面2
ラナとジェイソンは高校のジェイソンのオフィスにいます。
同じ夜の少し後。
ジェイソンはラナが渡したファイルを見ています。

ラナ:セロー伯爵夫人の事を少し調べてみたの。
   思っていた以上に共通の事が分かったわ。
ジェイソン:伯爵夫人がコーヒーショップを経営したなんて言うなよ。
ラナ:違うわ、彼女はフランスのCastelnois de Montmiralの出身なの 。
   私のママのご先祖様と同じ村よ。
ジェイソン:本当か?
      それで何か分かったのか?
ラナ:分からないわ。
   でも本当に変なのよ。
   彼女は殉教者として埋葬されてるの、でも、うーん…
   魔女として火あぶりの刑になってるわ。

ジェイソンはファイルを下に置いて気の動転しているラナのところに行きます。

ジェイソン:おい。
      俺たちでなんとか探そうじゃないか。
      約束するよ。

ジェイソンはラナに腕の中に抱き寄せます、そして彼女は感謝して彼にしがみつきます。

二人のチアリーダーがロッカールームから出てきて廊下を歩いています。
クラークが反対方向から彼女たちの間を通ります。

クラーク:[魅力的に]
     やあ。

チアリーダーは彼にほほ笑んで歩き続けます。
突然クラークのスーパーヒヤリングが機能しだします。
そして彼はジェイソンとラナが話をしているのを聞きます。

ジェイソン:一番の心配は君だ、ラナ。
      一緒にこの伯爵夫人の事を解決していこう。

ジェイソンとラナはまだ抱き合いキスをします。
クラークがオフィスの中に入るとラナは急いでジェイソンの腕から離れます。

クラーク:ああ、そのまま続けて。
ラナ:[防御的に]
   クラーク、これは…
ジェイソン:ラナ。
クラーク:あー、言い訳はしなくていいよ…ラナ。
     君は若いんだし、元気なんだから。
     君には…必要だ。
     [ジェイソンへ侮辱的に]
     そうだろ、コーチ?

クラークはオフィスへニタッとしながらドアを閉じ出て行きました。
ジェイソンは不安そうな顔で手を口に当てているラナを見ます。

第2幕 場面3
カンザス州刑務所。
日中。
ライオネルが面会室の机に座って待っているとクラークが入ってきます。
ライオネルの頭には前夜のケンカでできた傷あとがあり目のまわりには黒あざができています。
クラークはライオネルに腕を広げて示します。

クラーク:一体何を考えてるんだ?
     感謝してもらいたいな、忙しい中出て来ることができたんだから、ルーサーさん。
     [彼はイスの背にもたれかかりイスの背の裏に手を置きます]
     ナンバー・プレートを作ることがどれだけ時間がかかるのか知っているからな。

クラークはライオネルの手がテーブルとその下のひざに置いていることに気付きます。
彼はX線ビジョンを使ってライオネルが石を持っているのを見ます。

クラーク:その石を持っていても私には触れることはできないぞ。
     私の近くには近づけない…君のスピードではな。
ラオネル:やってみなきゃ分からないさ。
クラーク:ほお、そうかね。
    [彼は座ります]
     私の心と君の体を使えば限界はないだろ、クラーク。
ラオネル:[防御して腕を組みます]
      何の話かさっぱり分かりませんね。
クラーク:いいか、君がいくら隠し立てしても私には明白だ。
     君の本当の力を知っている…
     [彼は胸に手を置き]
     …良く今まで隠しておけたな。
ラオネル:[自暴自棄になり]
      どんなに試してみたって、あなたは僕にはなれない。
      両親や、友人たちは見抜けるだずだ。
クラーク:そうかも知れんな。
     だが今のところ見抜けてはいないぞ。
     私のために一つ頼まれてくれないか。
     [クラークは一枚の紙と小さなテープレコーダーを取り出します]
     「ミーハン」という名前とこの番号を言って欲しい。
     [彼はライオネルに向かってテープレコーダーを向けます]
ラオネル:どうして?
クラーク:もし君が言ってくれないなら、君の良き友人のレックスはまもなく死ぬことになる。
     残念な事故でな。
ラオネル:[恐怖で頭を振ります]
      でも彼はあなたの子供でしょう。
      たった一人の。
クラーク:そして私は唯一の父親だ、しかしそれはあいつが私を刑務所に入れて私の全てを私から奪っていった。
     さあ、この言葉を言うんだ、さもなくば君のせいで友人が死ぬ事になるぞ。

ライオネルが目に涙を浮かべてクラークを見つめるとクラークはテープレコーダのスイッチを入れました。

第2幕 場面4
クラークは携帯電話で話をしながら屋根裏にいます。
日中。
彼は女性に話をしながら送話口の近くにテープレコーダーを持っています。

女性:あなたのアカウント番号をお願いします。

クラークはテープレコーダーを再生します。

ライオネルの声:434690。
女性:あなたのお母様の旧姓をどうぞ?
ライオネルの声:ミーハン。

女性:声紋が一致しました。
   残高は2ドル59セントです。
クラーク:バカな。
     いや違うぞ、その口座には五千七百万、USドルであったはずだ。
女性:二ヶ月前にその金額が引き下ろされています。
クラーク:私が有罪を宜告された日だ。
女性:はぁ?

クラークは激怒して手で電話を握りつぶします。

クラーク:レックスだ。
     間違いない。

ラナが彼の後ろに入ります。

ラナ:クラーク?

クラークはラナに振り返りましたが苛立って再び目をそらします。

クラーク:[ラナのことで独り言]
     またか。
ラナ:昨日の夜の事なんだけど、あの、ごめんなさい、私とジェイソンの事。
クラーク:気にしなくていい。

クラークは電話の残骸をテーブルの上に投げ出して、
そしてまだ電話の件で気が動転しラナに注意を払わないでラナから離れます。

ラナ:私達はただ会ったわけじゃないの。
   彼、夏の間パリにいて、一緒に過ごしてきたのよ。
クラーク:[平静に]
     ロマンチックだ。
     恋人たちのデートスポット、セーヌ川の堤防でのはじめてのキス。

ラナはクラークの冷たさに混乱します。

ラナ:彼は私と一緒にいたいためにスモールビルに引っ越してきたの、クラーク。
   彼は真剣よ。
クラーク:そうか、別に驚いちゃいない。

クラークは突然誘惑的にラナに歩きます。

クラーク:男が世界を旅するのは…君の瑞々しい体をつまむためだ。
ラナ:[腹を立て]
   そんな風に言わないで。

クラークがクスクス笑うとラナはドアに向かって歩きます。

クラーク:仕方がないんだ。
     悪かった。
ラナ:[クラークに振り返って]
   クラーク、約束して欲しいの。
クラーク:何でもどうぞ。
ラナ:私とジェイソンの事は誰にも話さないで欲しいの。
クラーク:どうして君が高校のフットボールコーチにそれほど興味を持っているか理解できないな。
     ちょっと考えさせてくれ。
     君は僕にどんな思いを抱いていたんだ?
    [彼は再び彼女にゆっくりと歩きます]
ラナ:ええ。
   そうよ、思っていたわ。
   沢山の嘘と秘密をつき続けてきた。
   私と別れたことを覚えてないの?
クラーク:ああ、うっかりしていた。
     そうだった…
     あの時の僕はあまりにも若すぎた。
     今はもっと成長している。
ラナ:そうは見えないけど。
クラーク:おい、ラナ、あの時の僕とは違うんだ。
     証明してやる。

クラークはラナの肩を掴み唇を強引に奪います。
彼女は彼を引き離し横っ面をたたきます。

ラナ:あなたは自分を何様だと思ってるの?!

ラナは満足そうな顔をしたクラークを残し屋根裏をとび出します。

クラーク:クラーク・ケントだ。
     もちろん。

彼はラナが叩いた頬に触れます。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
マーサが刑務所の謁見室に入ります。
日中。

警備員:入ってください。
    五分間だけですよ。

マーサは警備員に頷くとライオネルの座っている机に歩きます。
彼女の顔の冷たく懐疑的な表情とともにゆっくり彼の方へ歩きます。
彼女がライオネルの真向かいに座るとライオネルの表情は希望に満ちた目で彼女を見ます。

ラオネル:来てくれて嬉しいよ。
マーサ:私の子供の安全についてと言うからここに来たの。
ラオネル:これから話す事は信じられないかもしれない、でも誓って事実なんだ。
     [間があり間があり]
      僕だよ、母さん。
      クラークなんだ。
マーサ:[嫌悪の表情で]
    病気ね、ライオネル。
    お医者様を呼ぶわ。

マーサは立ち上がり去ろうとします。

ラオネル:母さん、信じてくれ。
マーサ:帰ります!
ラオネル:母さん、母さん、行かないで!
      [マーサはライオネルに背を向けて止まります。
       彼は矢継ぎ早に言葉を発します]
      母さん、僕が六歳のときのこと覚えてるだろ。
      父さんと鬼ごっこをしていたら突然すごいスピードで走っていなくなって、
      パーマー森の中にいたことを。
      [マーサは彼の方に向き驚きます]
      そして母さんと父さんは保安官のイーサンを呼んだんだ、僕が見つかったとき母さんは泣き始めた。
      あの時は僕が悪いと思っていたけど、母さんは違うって言ってくれた。
      [マーサの目は穏やかになります]
      それから母さんは僕を抱きしめ、「あなたは特別なの」って。
ライオネル&マーサ:「特別な子供」
ラオネル:って母さんが言った。      
マーサ:[マーサはライオネルの真向かいの席に急いで]
    ああ、クラーク!
    どうしてこんな事に?
ラオネル:僕が聞いた音は石から聞こえたんだ。
      その石はライオネルが持っていてクリプトンのシンボルが書いてあった、輝いていたんだ。
マーサ:なんて事なの。
ラオネル:僕はそれでレックスを傷つけるんだと思ったんだ。
      だから僕は二人の間に入って止めようとした…
      そしたらライオネルの…ライオネルの体と入れ替わったんだ。
マーサ:それじゃ彼はあなたの力の事を知ってるのね。
    [彼女は帰ろうと立ち上がります]
ラオネル:[彼女の手を握り]
      ダメだ。母さん、気をつけて。
      ライオネルは何でもできるから。

第3幕 場面2
クラークはレックスが机に着いている書斎の扉を大またで入ってきます。
日中。
クラークは黒いスラックスと黒いドレスシャツを着ています。

クラーク:番号を変えたな?
     それとも夢でも見ているのか?

クラークはバーに歩いてスコッチのボトルを手に取りフタを外して香りを楽しみます。

レックス:お前が酒を飲むとは知らなかったな。
クラーク:[グラスに注ぎ]
     二十九年ものは非常にいい。
     [レックスは微笑します]
     君の親の秘蔵品を持ってきたのか。
レックス:おい、どうして親父のだと分かるんだ?
クラーク:これは全部君の父親の物だろう?
     この城、ルーサー・コープ、車、ジェット機、すべて。
     君の袖のカフスボタンさえもな。
レックス:クラーク、お前のことは良く知っているが今のお前は違うな。
クラーク:その通りだ、今の僕は僕じゃない。
    [クラークはスコッチを飲み干します]
     今困ったことになっている。
     レックス、五千七百万ドル欲しい。
レックス:それは随分な大金だな。
クラーク:その金は君の金じゃないだろ。
     盗んだものだ。
     僕は取り戻したいんだ。

レックスは一瞬クラークを見ます。
それから彼は椅子から素早く立ち上がると机の脇の小さな箱を開きます。
彼は箱からピストルを取り出しクラークに向けます。
クラークは超スピードを出してレックス喉を掴みます。
クラークがレックスを机から引き離すとレックスは嗚咽を漏らしながら銃を落としクラークの腕を掴みます。

クラーク:[穏やかに]
     すぐに電話をして銀行に送金するように言うんだ。
     さもなくば小枝のようにお前の首をへし折ってやるぞ。
     [彼は机にレックスの顔を乱暴にたたきつけます]
     いいな?
レックス:[息を詰まらせ]
     やってみろ。
     俺を殺せ。
クラーク:私が欲しかったものはお前のためだった。
     それなのにお前は私を陥れた。
レックス:親父?

クラークは突然力を失い床に倒れます。
彼が倒れるとマーサがクリプトナイトを持って後ろに立っていました。
レックスも窒息して床に倒れます。
マーサはレックス脇にひざまずきます。

マーサ:レックス。

空気の摩擦音が聞こえマーサが振り向くとクラークはいなくなっています。
彼女は部屋を見回してパニックになります。

電話が鳴ると台所にジョナサンが入ってきます。
彼はそれに答えます。

ジョナサン:もしもし?
マーサ:あなた、連絡がついてよかったわ!
    今までどこにいたの?
ジョナサン:やあ、マーサ。
      整備士の所にね。
      トラクターだ、壊れていたんだ。
マーサ:[間をおき]
    ジョナサン、ジョナサン聞いて。
    クロゼットに行って隕石を持ってきて。
ジョナサン:何の話だ、マーサ?
マーサ:ライオネルがクラークの体にいるの!

突然クラークがジョナサンの元に現れます。
彼はジョナサンの手から受話器を取り上げ受話器を戻しジョナサンの胸倉を掴みます。

クラーク:この体はびくともしないと思ったが、違ったようだな。
マーサ:ジョナサン!
クラーク:[脅迫的に]
     何が弱点なのか教えるんだ。
     それは何だ?
ジョナサン:何の話をしているんだ。

クラークは片手で台所の向こう側にジョナサンを投げます。
彼は冷蔵庫の上にガラス棚に激しくぶつかってガラスの破片の散らばる床に落ちます。
クラークはゆっくりと近づきクビを掴むと空中に持ち上げます。

クラーク:教えるんだ、ジョナサン。

電話が鳴ります、そしてジョナサンはそちらを見ます。

クラーク:ダメだ、マーサはお前を助けることはできんぞ。
     さあ言うんだ。

留守番電話に切り替わります。

マーサの声:はい、ケントです。
      メッセージをどうぞ。
      [ビープ音]

エドガーの声:やあ、あー、聞こえてるか?
       もしもし?
       クラークという名前の子に電話をしてるんだけど。
       [クラークはジョナサンを床に落として電話の方に向きます]
       実は大変なことになった。
       あれから少し解読を進めたんだが、うまくない。
       だから直ぐに来て僕に面会をして欲しい。

クラークは超スピードで家を出て行きます。

第3幕 場面3
刑務所。
日中。

クラークがエドガーが待つ面会室に入ります。
クラークは彼の真向かいに座ります。

エドガー:君は本当にライオネルなのか?
クラーク:いや、イースターのうさぎだ。
     何を見つけた?
     暗号の残りはなんと書いてあったんだ?
エドガー:それはつまり、あー、転移は終わろうとしている。
     元の体に逆戻りすることになる。
クラーク:いつだ?
エドガー:いつでも起きる可能性はある。
     直ぐに知りたいだろうと思ってね。
クラーク:永久に戻らなくする方法があるに違いない。
エドガー:まあ、いや、それは、あー…人殺しはいけないが。
     つまり、理論的には、もし君が、もう一人の君を殺したとすれば、戻るべき体がなくなるはずだ。
     そうすれば、君は一生クラーク・ケントのままだと思う。
     彼の人生。
     君の人生。
     まあ、違いはそうないはずだ。
クラーク:あの石像はどこにある?
エドガー:ああ。
     警備員から取り上げられた。
     武器と勘違いしてね。
     [彼は笑います]

共用スペースを歩くライオネル。
彼は重量挙げをしている数人の囚人を追い越します。
大きな手が背中に掛かります。
振り向くとその手は先日ライオネルを叩きのめした囚人でした。

男:タイムアップだ、大将。
  どうだ、手に入ったか?
ラオネル:あー、まだ手配中だ。
      もう少し日数が欲しい。
男:大将、何かのゲームと勘違いしてやしねーか?
  ここには延長戦はねえんだよ。
  [彼は鋭いナイフを引き抜きます]
  だがサドンデスならあるぜ。

ライオネルは振り向いて逃げ出そうとします、しかし二人の囚人が彼の行く手をふさぎます。
再び振り向いて階段を走って上ります、しかし別の二人の男たちが彼の行く手をふさぎます。
その場の男たちの何人かが威嚇的に笑います。
ライオネルが階段を駆け降りると右にもう一人逃走を邪魔する男がいます。
大きな男はライオネルの左側から走ってきてその手にはナイフが握られライオネルを刺そうとしていました。
しかしライオネルは脇に避けて男の腕を掴みその腕を手すりたたきつけます。
二回たたきつけると男はナイフを落とします。
囚人達が叫び始めます。
男はライオネルの掴んでいる腕を振り解くとライオネルの腹を殴りつけます。
次にライオネルの顔を殴りつけるとライオネルは体を反転させ階段に倒れます。

囚人:やっちまえ!

大きな男が手を伸ばすと一人の囚人がナイフを手渡します。
男はライオネルの喉を刺そうとしますがライオネルは男の腕を掴み押しとどめます。
ライオネルは男と力比べをするように力を入れ続けます。
そしてもう押し留める事ができなくなった時ライオネルは腕をねじって男の顔を肘打ちして胸を蹴ります。
男は背中から手すりに倒れます。
ライオネルは立ち上がり男の顔を殴りつけ、男は手すりに顔を叩きつけます。
警備員の声がスピーカから流れてきます。

警備員:ロックダウン。
    繰り返す。
    ロックダウンだ。
    各自直ぐに牢屋に戻るんだ。

ライオネルは手すりの低い位置に男の頭をたたきつけます、そして男は床に意識を失って倒れます。
ライオネルは自身の強さにショックを受けています。
囚人全員が警備員を怒鳴り戻る事を拒否して騒ぎ出します。

囚人たち:[全員で詠唱します。]。
     イヤだ!戻らないぞ!

警備員達は警棒を持って共用スペースに走ります。
警備員が走ってくると囚人の一人が腕を伸ばし警備員の胸を叩き床に倒します。
別の囚人は警備員にタックルします。

エドガーとクラークはまだ謁見室にいます。
警報が鳴り響き赤いランプが光りだします。

エドガー:ああ。
     うまくないな。
     聞いてくれ、あんたの弁護士は、あー、電話をしこないが…
     [クラークは立ち上がり歩き去ります]
     あんたに電話をしてきたのか?

共用スペースでは。
上の階で大きな男は顔と鼻から血を流したまま肩に警備員を担いでいます。
男は手すりに近づき遥か下の1階に警備員を投げます。
共用スペースは混乱状態です。
そのエリアでは囚人と警備員が入り乱れて争っていました。
床にはどこから投げられたものなのかトイレットペーパーで覆われています。
警備員を投げた男の後ろに別の警備員が近づき警棒で男の頭を殴ります。
囚人は倒れ意識不明になります。
一階では二人の囚人が争いそのエリアを取り巻いているオリにを叩きつけながら、
気を失って倒れている警備員の脇に倒れこみます。
別の警備員が近くに倒れいて囚人に警棒を振うと立ち上がります。
囚人は警備員を床に倒そうと後ろへ押し返しますが、結局もう一人の警備員に床に倒されます。
別の囚人がやって来てその警備員を攻撃します、しかし警備員は床に伏せます。
暴力が渦巻く共用スペースを見回しながらライオネルは歩きます。
室内の周辺機器に沿って囚人のグループの後ろに歩いていると、ライオネルはクラークの姿を見かけます。
ライオネルはその方向に目を凝らすと、共用スペースの外を歩くクラークを捕らえます。
クラークの目は冷淡にライオネルを見つめています。
クラークは超スピードを出しライオネルから少し離れた部屋の中央に来ます。

ラオネル:力を隠さなくてもいいのか?

ライオネルはクラークに向かって歩きます、そしてクラークは彼の喉を掴み空中に持ち上げます。

クラーク:悪いな。
     クラークは二人はいらん。
ラオネル:[喘いで]
      何をするんだ、高校生と干草を相手に。
クラーク:農場の少年か?
     私はそうは思っておらんよ。
     クラーク・ケントには大きな力なある。

ライオネルは右腕を真直ぐに伸ばしクラークの腕の上に差し出します。
脇に隠していた黒い石がクラークの腕に落ちます。
石がクラークの腕にぶつかるとライオネルの首から手を離し石は輝きだします。
部屋は暗くなり再びエネルギーが彼らの体から上昇します。
ライオネルからは白いエネルギーが、クラークからは緑のエネルギー。
エネルギーは空中で場所を入れ替え元の正しい体に入ると二人は反対の方向の床に吹っ飛びます。
ライオネルは自身の体に戻り手を見つめショックを受けています。
警備員の一団はガスマスクと盾を着用して警棒を持って入ってきます。
クラークも手を見つめ安心しています。
警備員は数本の催涙ガスをそのエリアに投げ入れます。
床の上にある黒い石は何者かの影が通り過ぎるとその場から消えてしまいます。
警備員がなだれ込んでくると囚人を制圧し始めます、クラークが立ち上がります。
まだ床の上にはライオネルが倒れ満たされた煙の中で涙を流してクラークのシルエットをみていました。
ライオネルはボンヤリとしたシルエットに目を凝らしますがクラークは超スピードで走り去ります。
ライオネルは床の上で息を切らしていました。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
クラークはいつもの木綿のシャツを着てライオネルが壊した台所を掃除するマーサとジョナサンを手伝っています。
日中。
クラークは壊れたガラスをちり取りで掃き、ジョナサンは新しいドアを取り付けるために冷蔵庫の上の戸棚を測っています 。

クラーク:ライオネルは他に何をしたの?
ジョナサン:まあ、最初にお前をフットボールチームから退部させた。
クラーク:ティーガコーチに電話した方がいいな。
     [彼は電話をつかみます]
マーサ:それだけじゃないわ。
    ラナとクロエがあなたに会いに来たの、二人ともかなり気が動転しているように見えたわ。
クラーク:[電話を下に置き]
     何にしても、あの遺物を手に入れないと。
ジョナサン:クラーク、私はあの刑務所に近づくのは反対だ。
クラーク:もし僕があれを見つけなきゃ、ライオネルが見つけてしまう。
マーサ:あなたをまた同じ目にあわせたくないのよ。
クラーク:ねえ、あの時聞こえたあの音は今回が初めてじゃないんだ。
     僕がカル・エルになってた時にも同じ音を聞いたんだ。
     レックスのジェット機にあったクリプトンのシンボルが僕を呼び寄せた。
ジョナサン:今その遺物はどこにあるんだ、クラーク?
クラーク:洞窟の隠し部屋に入れたよ。
     もう二つ穴があった。
     ライオネルの持っていた異物はそれにあうんだ。
     もう一つはどこにあるのか分からないけど。
マーサ:どうしてもっと早く話さなかったの?
クラーク:ジョー・エルとの事はもう終わりにしたかったんだ。
     僕の人生の中でその事は終わったはずだったんだ。
     僕がどうしたいかなんて問題じゃなかった。
     これらの遺物は僕のためにあると思うんだ。
ジョナサン:ライオネル・ルーサーはそれとは意見が違うと思うがね?
マーサ:それにあなたの力について知ってしまった今、今までよりもっと危険だわ。
クラーク:そんなに長くはないよ。
ジョナサン:クラーク、それはどういう意味だ?
クラーク:ライオネル・ルーサーは死にかけているんだ、父さん。

第4幕 場面2
刑務所。
夜。
シャツを脱いだ状態でライオネルは医務室の診察台に座っています。
医者は検査結果のクリップボードを見て彼の後ろにいます。

医者:[驚き]
   こんな事はありえない。
ラオネル:先生、どうしたんです。
      話してください。
医者:[ライオネルに向かい合うために回り込みます]
   ルーサーさん、あなたの肝臓は完治している。

ライオネルは驚いている医者を見ます。
それから彼は疑いで笑います。

ラオネル:それはどういう事ですか?
医者:私には分からない。
   今までこんな事は見た事がない、奇跡だ。
   これまで認可されていない薬を使ったことがありましたか?
ラオネル:いや。
      そういう事はありません。
      私はこの数日間の記憶がないんです、先生。
      ただなんていうか、何か…私の中で何かが変化した事は分かります。
      非常に。
      [ライオネルの目に涙があります]
      私は今までとは違う人間になった。

第4幕 場面3
学生たちがスモールビル高校に入っていきます。
日中。
クロエが廊下を歩いています。
クラークが彼女に声をかけますが彼女は歩き続け彼は後に続きます。

クラーク:クロエ。
     聞いてくれ、本当に君に何をしたか覚えてないんだ。
クロエ:いつも都合の悪いことは記憶がなくなるのね?
クラーク:いや、そうじゃないけど、本当に悪かったとは思ってるんだ。
クロエ:[彼に直面し]
    クラーク、何が分かるって言うの?
    謝るのは本当に勇気がいるわ。
    でもあなたが謝るのはもう聞き飽きたの。
    あのね、あなたの事が心配で言ってるだけだからね。
    誰かに助けてもらう必要があるわ。
    [クラークは理解しません]
    精神科に掛かった方がいいわ。
クラーク:クロエ、僕を心配してくれているのはありがたいけど。
     カウンセリングを受ける必要はないんだ。
クロエ:じゃあ、どうやって今までの事を説明するの?
    クラーク・ケントは麻薬中毒ですって?

彼女は歩き去ります。
彼は後に続きます。

クラーク:クロエ、僕は薬なんかやってない。
     あれは僕じゃなかったんだ。
クロエ:へえ、そうなの、クラーク、でも間違いなくあなたよ。
    この町の多くの人達はジキルとハイドみたいになったけど、
    心の底では同じ人間だったわ。

ラナがクラークの後ろに近づきます。
クロエが彼女を見ます。

クロエ:ラナ。
    あなたにあげるわ。

クロエは去ります。

ラナ:誰かに話してないわよね?
クラーク:[混乱し]
     何の事?
ラナ:ふざけないで、クラーク。
クラーク:真剣だよ、ラナ、何の話をしているのか分からないんだ。

ラナはクラークの腕を引っ張って他の学生から離れて廊下の脇に導きます。

ラナ:これはあなたと私の問題じゃないの、分かるでしょ?
   ジェイソンが仕事を失うかもしれないのよ。
クラーク:どうしてジェイソンが仕事を失うの?
ラナ:どうしてって?
   もし私とジェイソンが付き合ってるって噂が少しでもたてば、
   すぐに解雇されてしまうわ。

クラークははっきりと動揺しています。

クラーク:君とジェイソンが?
ラナ:私達はもう大人なの、それに誰にも迷惑はかけてない。
   でも学校の規則ではダメなのよ。
   彼はここでの仕事が必要なの、クラーク。
   [クラークはうなずきます]
   お願い、いいわね、今後一切この事は秘密にしておいて?
   隠し事は得意でしょ。
クラーク:[傷ついて、しかし同意して]
     ああ。

ラナは呆然としたクラークを残し歩き去ります。

第4幕 場面4
レックスの屋敷。
日中。
書斎でレックスがスコッチのボトルを開けグラスに注いでいるとクラークが入って来ます。

クラーク:レックス!

レックスは銃を取り上げクラークに向けます。

レックス:そこから動くな!
クラーク:[じっとして]
     レックス、僕だ、クラークだ。
     話がしたくて来たんだ。
レックス:[クラークに向かって歩き]
     俺がポルシェでお前と一緒に川に落ちた後、お前は俺を助け出した。
     俺はお前の父親にお礼をしたいと申し出た。
     その時お前の父親は俺にどんなジョークを言った?
クラーク:レックス、何の事だ、クイズか?
レックス:質問に答えろ!
クラーク:父さんは君に「もっとスピードを落として運転しろ」って言った。

レックスは銃を下げます。

レックス:お帰り。
    [彼はクラークのところに行きます、そして彼らは抱き合います]
クラーク:それじゃ何が起きたか知ってるんだな。
レックス:まあな、お前が五千七百万ドルの事を言ったときには驚いた。
クラーク:レックス、母さんが教えてくれた、僕が君に何をしたか。
     すまなかった。
レックス:クラーク、もしお前が面会室で俺と親父を突き飛ばさなかったら、
     刑務所に入って座っていたのは俺の方だっただろう。
     お前には感謝している。
クラーク:君に感謝されるような事は何もしてないよ。

レックスは微笑してクラークの肩を軽くたたきます。
それから彼はバーに戻って銃を下に置きます。

レックス:それで親父はどうやったんだ?
クラーク:わ、分からない。
レックス:それにお前の持っていたあの強さ。
     信じられないような力だった。
     あの力はどうしたんだ?
クラーク:うーん、それは入れ替わった事の副作用じゃないかな。
レックス:まあ、何はともあれ、終わってほっとした。
クラーク:レックス、頼みたいことがあるんだ。
レックス:何だ?
クラーク:あのー、君の父親の同房者と関係があるんだ。
     その人はこの事件の事で僕に手を貸してくれたんだ。
     僕の命を救ってくれた恩人だ。
     彼は嵌められたんだ。
レックス:クラーク、ほとんどの囚人は嵌められたと言うんだ。
クラーク:でも僕は彼を信じるよ。
     もし外に出られたら、僕の力であそこから出す約束をしたんだ。
     そしてレックス、僕が知っている中で彼を出すことのできる人物は君しかいない。
レックス:まあ、刑務所に罪のある人間をなんとか入れたんだ、無実の人間を出すことぐらいできるだろう。

クラークは感謝して頷き微笑します。
レックスは微笑で応えますし。

第4幕 場面5
カンザス州刑務所の正門が開きます。
そしてエドガーはスーツケースとバッグを持っている屋外に出ます。
日中。
彼は興奮して見回します。
黒いリムジンが路肩で待っているのを見ると彼の表情は暗くなります。
彼はリムジンに近づき後部ドアを開けて中を覗きます。
スワン博士のアシスタント、ブリジット・クロスビーが座っていてエドガーに中に入るように身振りで合図します。
彼はギゴコチなく乗り込みます。

エドガー:あー、僕はそのー…
ブリジット:エドガーね。
エドガー:ああ。はい。
ブリジット:我々に何か渡すものがあるでしょ?
エドガー:おお。
     あー…

エドガーはブリジットに小さな錆びたスズの箱を渡します。

ブリジット:ありがとう。

彼女は箱を開け中を見て極めて満足します。
エドガーは窓を軽く叩きながらリムジンを見回します。

エドガー:いい車ですね。

ブリジットはエドガーからスズの箱へと目を移します。
箱の中にはクリプトンのシンボルが刻まれた黒い石が入っていました。
ブリジットは箱を閉じます。

フェイドアウト。

おしまい。