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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン4.07Transference [転移]

第1幕 プロローグ
フットボールがフィールドの真ん中にセットされています。
日中。
試合開始の合図を待つ外野席の大勢のファンは声援を送っています。
ホイッスルが鳴るとボールは蹴られゴールポストに向かって舞い上がります。
後方のスモールビルチームの数人の他の選手と一緒にクラークはベンチに座っています。
キグリーコーチの直ぐ隣ではジェイソンが試合を見て立っています。

アナウンサー:ここからキックオフです!
       今日の試合の勝利チームは今日から一週間後の公式の選手権に移り進む事になります。

フィールドでは、スモールビルチームの選手がボールをキャッチしてフィールドの反対方向へと走ります。

彼は相手チームの選手にタックルされます。
ホイッスルが鳴ります。

キグリー:(ベンチにいる選手に)
     さあ行って来い!

ベンチの全ての選手は立ち上がりフィールドに向かって歩き出します。
ジェイソンはクラークが通り過ぎるときクラークの背中を軽くたたきます。

ジェイソン:いい試合にしろよ、。
キグリー:さあ行け。
     がんばるんだぞ、坊主たち。

学校の地下では。
アナウンサーと外野席で応援している声が遠くから聞こえてきます。
クロエが暗い廊下を歩いてもっと暗い曲がり角に差し掛かると
魅力的な若者が壁に寄りかかって暗闇の中で彼女を待っていました。


クロエ:それじゃ。
    あなたがそうなの?
ミカエル:(外国のアクセントで)
     まあ、君が探しているものにもよるな。
クロエ:(彼の名前を発音するのにてこずり)
    えーと、ミカエル・ミク…ミクセル…プトギリックス?

ボールはフィールドの真ん中においてあります。

ミカエル:(彼女の発音に応えるようにゆっくりと発音します)
     ミクス -イル -ピチリクだ。
     母音でも買いに来たのか?
クロエ:(不安そうに笑い)
    違うわ、試合に80ドル賭けたいの。
ミカエル:何だって、試合はもう始まってるんだぞ?
     申し訳ないが、キックオフ以降の賭けはできないんだ。

クロエはがっかりします。

ミカエル:(魅力的に)
     初めてかい?
     じゃあ、君だけ特別にしてやろう。

クロエは微笑して彼に若干の現金を手渡します。

クロエ:ありがとう。
    スモールビルが勝つ方に賭けたいんだけど?
ミカエル:本当にいいのか?
     今日はクォーターバックが何かおかしな感じがするんだ。
クロエ:えっ、それは認めたくないな、クラークが負ける方に賭けるなんて。
ミカエル:ほう。
     まあ、自分の好きなようにしな。
     後で俺が言わなかったって言うなよ。
     ルールその一、賭けは賭けだ。

クロエはミカエルから離れ屋外に向かって歩き去ります。

フィールド上のスコアボード。
クロウは21点、相手チームは24点です。
時計は止められています。

アナウンサー:残り時間二十秒でフォースクオーター終了です。
       つまりこの回で勝利チームが決まります。

アナウンサーが話している間もキグリーコーチは選手に激を飛ばします。

キグリー:お前たち!
     このためにやってきたんだろ!

マーサとジョナサンは外野席に座っています。
ジョナサンが不安そうにため息をついているとマーサはその脇で興奮し笑顔で拍手をしています。
チームの人垣の輪は解散し選手は所定の位置に入ります。
クロエとラナは外野席で隣り同士で座って試合が始まるのを拍手して待っています。
クロエが左隣2、3席先を見るとミカエルが座っていました。
彼は静かにフィールドを見ています。
クラークは所定の位置に入りセンターの選手の後ろに屈みこみます。

クラーク:いいか、皆、行くぞ。
     レディー?
     ブルー72!ブルー72!
     ハット!

ボールがクラークにパスされると彼は走り始めます。
クラークはボールを抱えたまま走っていくと、チームの選手にパスを出します。
しかしそれはフェイクでボールはまだクラークの手の中です。
キャッチをしたふりをした選手は相手チームの選手にタックルされて仰向けにひっくり返されます。
クラークはフィールドを併走する仲間の選手にボールを投げます。
クロエとラナは手を叩いてしっかりと見守ります。
ミカエルは試合を見てはいますが動こうとはしません。

ミカエル:(小さな声で)
     失敗しろ。

選手は思いもよらずボールを取り損ねます、そしてボールは数回バウンドして地面に落ちます。
しかしボールの勢いがなくなる前にクラークがボールに駆け寄って拾い上げゴールポストに走ります。
マーサとジョナサンは群衆の皆とともに立ち上がり、マーサは興奮して悲鳴を上げます。

ミカエル:つまずけ。

クラークはバランスを崩しつまずき始めます。
クラークのタッチダウンを防ごうと相手チームの選手が立ちはだかっていました。
しかしクラークはバランスを失い頭から相手チームの選手の胸に突っ込む形となり
二人してエンドゾーンに倒れます。
審判はホイッスルを鳴らします。

アナウンサー:タッチダウン!
       クラーク・ケントだ!
       クロウが再び勝利を得ました!
       何と言う勝利でしょう!

ラナとクロエは金切り声を上げて立ち上がります。
ジェイソンはサイドラインから声援を送ります。
マーサは心配しているジョナサンに腕を投げかけます。
ミカエルは怒って見回し立ち上がります。
クロウの選手達全員がクラークを祝福するため集まってきます。
一方相手チームの選手はクラークが倒した選手を囲みます。
彼はまだ痛みに唸って横たわっています。
クラークはヘルメットを脱いでその選手を見ます。
マーサとジョナサンは心配そうな顔で見合わせます。
怪我をした選手の脇にひざまずいている選手の一人は怒ってクラークを睨み付けます。

第1幕 場面1
スモールビル医療センター。
夜。
怪我をした選手は三角巾で腕を吊り座っています。
ジェイソンとキグリーコーチはドアを開けて病室の外に出て行きます。
クラークがエレベータから降ります。

クラーク:彼は大丈夫ですか?
ジェイソン:鎖骨が二箇所折れている。
      君より100ポンド以上重い奴と遣り合ってきたが、
      鎖骨を粉々にするなんて信じられないよ。
クラーク:申し訳ありません。
     あれは事故だったんです。
     突然アドレナリンが急上昇をしたんです。
ジェイソン:アドレナリンじゃ説明つかないだろう。
      いくら君が一晩中60ヤードのパスの練習で干し草の束を投げていても。
クラーク:僕は記憶力はいいほうです。
     あなたは僕が正常だと言ってくれました。
ジェイソン:ああ、二週前に倒れた後でも断固として医者に行くことを拒否したんだったな。
クラーク:何が言いたいんですか?
ジェイソン:キグリーコーチは君が何らかの薬物を使ってるんじゃないかと疑ってる。
クラーク:(驚き)
     ステロイドですか?
     (ジェイソンはうなずきます)
     そんなバカな?
ジェイソン:まあ、俺はクラークが自分を危険にさらすような真似はしないと言っておいたが。
クラーク:(間があり)
     薬なんか使ってません。
ジェイソン:そうじゃない事を願うよ。
      もしそうだとすれば全員出場できなくなる。
      それにチャンピオンシップシーズンを全て逃すことになる。
      (クラークは目をそらします)
      そして大学へのキャリアもな。

クラークはジェイソンに目を戻します、そしてジェイソンは歩き去ります。
クラークは窓から病室の中を見ます。

第1幕 場面2
レックスの屋敷。
夜。
レックスは書斎で机に座っています。
ミカエルが彼の真向かいに座っています。

レックス:戦争で荒廃した国で育ったとは想像できないな。
ミカエル:(部屋を見回し)
     まあな、街中でゴミ漁りする事ができなきゃムリだ。
     でもな、その日暮らしで生きていく事はかなり有益な事を手に入れられるようになる。
レックス:親父のルーサー・コープ外国人奨学金の注目を集めるのにかなり有益だったようだな。
     (ミカエルは誇らしげにうなずきます)
     それでどうしてスモールビル高校を選んだんだ?
ミカエル:そりゃアメリカンドリームを実現させるためには完ぺきな場所だと思ったからさ。
     多くのチャンスはあるし、女の子たちはかわいいしな。
レックス:まあ、授業についていけないと困るんだが。
     君の試験結果を見直してみた。
     驚いたよ、あまりにも成績が悪いんでな。

ミカエルはレックスが続けるのを待ってニヤッとします。
レックスは立ち上がると飲み物を作るためにバーに歩きます。
角氷をグラスに入れながら。

レックス:なあ、ミカエル、俺としては知りたいところだ。
     どうして親父がCランクの学生に将来ノーベル賞をとるかもしれない者への奨学金を与えようとしたのか。
ミカエル:俺を送り返すか?
レックス:いや。
     君がここで本当は何をするのか知りたい。
     親父は君にどんな可能性を見たんだ?

レックスは果物カゴからライムをとってナイフで薄く切り始めます。

ミカエル:(小さな声で)
     切れ。

レックスはナイフを滑らせ指を切り出血します。
彼は静かに息をのんで指を口に銜えます。
レックスはミカエルの言葉は聞いていません。

ミカエル:(ほほ笑んで)
     これが成績表には載っていない可能性さ、ルーサーさん。

第1幕 場面 3
スモールビル高校。
日中。
トーチでクロエはコンピュータになにやら打ち込んでいます。
ミカエルはほんのしばらく彼女の後ろの開いているドアに立つとドアをノックします。
クロエが向きを変えます。

クロエ:えっ、あら。
    知らなかったな、ノミ屋が家庭訪問するなんて、特に放課後にね。

ミカエルが入ってくるとクロエーはコンピュータのテキストを閉じ山積になったファイルを別の机に置きます。

ミカエル:まあ、俺としてはライオンの口の中に入ったような感じだ。
クロエ:何の話をしてるの?
ミカエル:じゃあいいか、君は初めての客だ、そして試合の終わり頃に現われた。
     少し疑問がある。
     偶然とは思えないんだ、
     君がスモールビル高校で最も悪名高い内部告発者だという事が。

微笑してクロエはミカエルが立っている脇の机に戻って座ります。

クロエ:悪名高い、ね?
    いい響きだわ。
ミカエル:それで、あー、この賭けは記事のための調査だったんだな。
クロエ:一面のトップはもしあなたが上手く立ち回るならね。
ミカエル:まあ、地元の有名人になると俺の仕事はやりにくくなる。
クロエ:私はそうなった方がいいと思うな、職業を変えたら。
ミカエル:俺の弱みを見つけたようだな。
クロエ:何、貪欲さ?
ミカエル:いや、あー、俺を笑顔にさせるかわいい女の子の事さ。
クロエ:(にっこり笑い)
    まだ記事を書いる途中なの。

クロエがコンピュータの前に座ります。
ミカエルは隣の机から椅子をとって彼女の脇に座ります。

ミカエル:俺がいつ賭けをするのか分からなきゃ、君が探しているスクープは見つからないと思うがな。
     俺の名前を出さないって誓ってくれれば、俺の後をつけてきてもいいぜ。
     スモールビルの裏街道にエスコートしてやるよ。
クロエ:(興味をそそられ)
    名前を出さなかったら、裏街道ツアーに連れてってくれるの?
ミカエル:その通りだ。
     そしてこれが最初の賞金だ。

ミカエルはポケットから現金の束を取り出し数え始めます。
彼はクロエに20ドル紙幣の束を手渡します。
彼女は嫌々ながら金をとります。

ミカエル:それで、その金をどうするつもりだ?
クロエ:えーと、教科書よ。
ミカエル:(感動しません。)。
     あん、何だって?
クロエ:実は、私のパパは失業中なの、それで今年の授業料を払うのも大変なんだ。
ミカエル:(彼はうなずき)
     どうだ、今年の授業料を稼いでみないか、明日の朝までにさ?
     今晩メトロポリス対シャークスの試合に行く、8対1でシャークスだ。
     (クロエは答えません)
     クロエ、もしスクープをものにしたいなら、ギャンブラーの気持ちにならないと分からないぜ。
     リスクを犯す危険は覚悟しなきゃな。
     (挑発的に)
     まあ、怖いんならムリにとは言わないが。
クロエ:仲間に入れて。

クロエーははにかんだ微笑を浮かべてミカエルに金を渡します、そして彼はオフィスを出ます。

第1幕 場面4
ケント農場。
日中。
クラークは台所に座りガッカリした様子でうつむいています。
ジョナサンはコーヒーを注ぎながら彼の近くに立っています。

ジョナサン:チャンピオンシップよりも生活の方が大事じゃないのか、クラーク。
クラーク:そんなに簡単に言うけど。
     父さん、ユニフォームを着ると自分が何者なのか忘れるんだ。
     同時に自分の力の事も。
     特に試合中はね。
ジョナサン:クラーク、私がフットボールを許可したのは、お前が誰も傷つける事はないと理解してくれたと思ったからだ。
クラーク:僕もそれは認めるよ。力をコントロールする事ができるって信じてたから。
ジョナサン:じゃあ、病院のベッドで横たわっている子をどう説明するんだ?
クラーク:父さんは僕がつまずくのを見たことがある?
     今までに?
    (ジョナサンは返答することができません)
     何かがフィールドで起きたんだ。
     まるで自分の足をコントロールできなかった。
ジョナサン:お前の強さの事を言ってるんじゃない、他の皆と同じように騒いでいる場合じゃないと言いたいんだ。
      すまなかった。
      だがお前が言ったようにフィールドに何かがあるのは確かだ。
      調べる必要がある。
     (クラークは目を逸らします)
      キグリーコーチは今晩優勝パーティーを開いているだろう。
      私が電話をして悪者になろう。
クラーク:(立ち上がり)
     いいよ、父さん。
     父さんが言ったようにこれは僕の責任だ。

二人は短い間見つめあい、それからクラークが歩き去ります。

第1幕 場面5
タロンは優勝パーティーで騒いでいる学生たちでいっぱいです。
日中。
「ゴー・クロウ」と書かれた幕が飾られています。
パンチボウルの周りには何人かのチアリーダーが集まっていました。
マーサはお菓子の乗ったトレイを運びながらジェイソンが立っている脇のバーに置きます。
彼女は彼に微笑みながら肩に触れ通り過ぎます。
クラークは学校のジャケットを着て入ってくるとジェイソンに近づきます。

クラーク:コーチ、ちょっと話せますか?
ジェイソン:何だ?

別の選手が近づいてきてクラークの胸を嬉しそうに叩き話を中断させます。

選手:ケント、ケント!
  今日はすごい活躍だったな!
  あんな試合は見たことがないぜ!
  お前がチャンピオンシップを手に入れたんだ!

選手はクラークをジェイソンから遠ざけるとまた別の選手がクラークを祝うために近づいてきます。

クラーク:違うさ、僕らのチームがチャンピオンシップを手に入れたんだ。

選手:俺はもう指にリングが見えてるぜ。
選手 # 2:俺はもう奨学金が見えてる。
選手:ああ!ヤッホー!

クラークは申し訳なさそうにジェイソンを見ます。
一人のチアリーダーがクラークに近づいてきます。

チアリーダー:ねえ、クラーク、こっちに来て!
       ジャジャーン!

他の二人のチアリーダーがロウソクの灯っているフットボールフィールドの形をした巨大なケーキを運んできました。
二人がケーキをバーの上に置くと皆がクラークに拍手を贈ります。
「ゴー・クロウ」の垂れ幕の近くにいた男が天井から垂れ幕を外してケープのようにクラークの肩に掛けます。

選手:(拍手をやめさせ)
  よし、もういいだろう。
  コーチ!

すべての選手達が詠唱を始めます。

選手:コーチ!
   コーチ!
   コーチ!
   コーチ!

キグリーコーチはチームの真ん中に歩きます。

キグリー:分かった!分かった!
    (皆が静まります)
     西のトピーカは三タイトルのベルトを持っている。
     だが我々はチャンピオンシップへの挑戦をする。
     そして、今年は我々がそのタイトルを奪う番だ!
     鉄壁な防御と怖いくらいの攻撃でだ。
     (クラークを見て)黄金の腕だ!

皆が再び声援し始めます、そして何人かの男達がクラークの背中を軽く叩きます。
彼は嫌々ながら称賛を受け入れます。

キグリー:タイトルを持ち帰るんだ!!!

全員が興奮して声援します、そして彼らは詠唱し始めます。

全員:クロウ!
   クロウ!
   クロウ!
   クロウ!

クラークはバーの脇にまだ立っているジェイソンを見ます。
ジェイソンは深刻にクラークに振り返ります。

第1幕 場面6
スモールビル高校。
日中。
クロエが高価そうなサングラス、新しいジャケットを身につけて、
二つのショッピングバッグを持ってトーチオフィスに入ります。
彼女は袋を机に置きますが後ろの机にミカエルが座っているのに気づきません。

ミカエル:俺は新しい教科書の方がが好きだな。
クロエ:(驚いて、しかし彼を見て喜び)
    やあ、心配しないで。
    使ったのはほんの一割だから。
    残りのお金は授業料として使うわ。
ミカエル:ほー。
     まあ、俺の情報が役に立って嬉しいよ。
クロエ:(床の上に袋を置き)
    冗談でしょ?
    あの試合には驚いたわ!
    この5年間でジョニー・ローゼンブラット以来ソファーの上であんなに楽しめた事がなかったわ。
    あなたが何かつぶやいたら突然皆がビールをぶちまけたりしたんだもん。

彼女はコンピュータをオンにします。

ミカエル:じゃあ、どうしてなんだ?
     君がその記事を書けば、もうこんな楽しみはなくなるんだぜ?
クロエ:だっておいしい情報だもん。
ミカエル:本当にそれいいいのか?
クロエ:何、私の気持ちを変えようっていうの?

ミカエルは彼女のところへ歩み寄って誘うように彼女を凝視します。

クロエ:すてきね。
    とってもキュートだわ。
    でももうあなたを匿名で出したわ、それに今夜印刷されるから。
ミカエル:(止まり)
     だが君はほんの表面上を撫でたに過ぎない。
     もっと本当の闇の部分まで見せてやれるぞ。
クロエ:そうやって記事を引き延ばそうとしてるんでしょ?
ミカエル:俺の事を本当に理解しているとは思えないよ、クロエ。
    (ほとんどささやき)
     俺は欲しいものは必ず手に入れるんだ。
クロエ:(冗談ぽく)
    そんな顔すると魅力も台無しよ。

クロエが彼の脇をすり抜けます。

ミカエル:待て。

クロエは動くのをやめ驚いた顔で彼を見つめます。

ミカエル:俺にキスしろ。

明らかにクロエは自分の意志に反してミカエルの唇にそっとキスします。
彼はキスを離し口元を彼女の耳に近づけます。

ミカエル:これから俺の言う通りにするんだ。
     すぐにその記事はやめるんだ、君がどう思おうともな。

ミカエルはクロエから離れ静かに彼女を見ます。
彼女は不安と混乱で彼に振り返ります。
彼はオフィスを去ります。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
ケント農場の納屋。
日中。
クラークが手にフットボールを持って一階に立っています。
テーブルの脇にはいくつかのボールが置いてあります。
離れてた場所にタイヤが吊られて揺れ動いています。
クラークがボールを投げるとボールはまっすぐにタイヤの穴を通り抜けます。
もう一つボールを拾い上げ再びタイヤに向かって投げます。
それから彼は小さな鉛の箱のある別のテーブルに歩きます。
箱を開くと中には米粒ぐらいのクリプトナイトがあります。
痛みで頭を少し振りますが隕石を手に取り痛みに耐えます。
左の手のひらに乗せた隕石を握り締めると元の場所に戻ってボールを拾い上げます。
そしてもう一度タイヤに向かってボールを投げますがミスをします。
マーサが彼の後ろから入って来ます。

マーサ:あなたが失敗するなんて始めて見たわ。
    (クラークは振り返りません)
    それに大変な事だとは分かってるけど、責任に対して怖気つくのもね。
クラーク:母さんも皆の顔を見ただろ。
     皆をガッカリさせるなんてできないよ。
     他の皆と同じように試合をする方法を見つけたんだ。

マーサはクラークの前に回り顔を会わせます。
彼女は彼の握りこぶしに気付きます。

マーサ:クラーク。
    その手を開いて。

クラークが手を開くと光り輝くクリプトナイトを見せます。

マーサ:一体何を考えてるの?
   (彼女は隕石をひったくります)
    あなたにとってクリプトナイトがどれぐらい危険なのか知ってるはずでしょ。

彼女は箱に隕石を入れフタを閉じます。

クラーク:でもそれを持ってればうまくいきそうなんだ。
     それにもし僕があのまま試合を続けてたらどうなると思う?
     大勢の人が怪我をすることになるんだ。
     (彼はタイヤのところに歩いて地面からボールを拾い上げます)
     それに僕が力を失えば、父さんだって僕が誰かを傷つけるなんて…
マーサ:(厳しく)
    まだあのフィールドから隕石を見つけ出してないでしょ。
    難しい事だとは分かってるわ、でも自分を傷つけるのはよくないわ。
クラーク:もう止める事はできないよ。
マーサ:クラーク、ダメよ。
    前にお父さんに聞いてたわよね。
    今までつまずいた事があるかって。
    ないわ。
    クリプトナイト以外ではね。
    私も他の皆と同じようにあなたのあのチャンスを見て興奮してあなたの力のことは忘れていたわ。
    あなたがつまづいた時何も思わなかった。
    でもあなたは決して他の子達と同じような失敗はしなかったのよね。
    (クラークは振り返ります)
    あそこで何が起きたのか、そして本当に土曜日の試合に出たかったら、見つけ出すことよ。

クラークは頷きます。
マーサは彼の肩に触れて愛情を込めて微笑みます。

第2幕 場面2
クラークがトーチオフィスにいます。
日中。
彼はつまづいた日の試合のビデオを見ています。
巻き戻しては繰り返しつまずいたシーンを見ます。
クロエが入って来るとクラークは立ち上がって出て行こうとします。

クロエ:いいのよ、クラーク。
    ここにいて。
クラーク:僕に会いたくないって禁止命令を出しただろ。
     また僕と話してくれるのかい?
クロエ:いいえ、ただ、今日のあなたはジキル博士側のようだからチャンスをあげるわ。
    (中断されたビデオに気付きます)
    どうして失敗したシーンなんか見てるの?
クラーク:何が起きたのか調べようと思って、試合のテープを見てるんだ、でも…
     自分がコントロールできないような、心のどこかで違う声が聞こえてきたような、でも…
クロエ:でも、もう一人の自分がいるような気がした。
クラーク:ああ。
クロエ:それはミカエルのせいよ。
クラーク:交換留学生か?
     ミクス…
クロエ:Mxyzptlkよ。
    早口で三回言ってみて。
    新しいパペットマスターよ
    恥ずかしい話しだけど、私にキスさせたの。
クラーク:(少し分からず)
     させたって?
クロエ:ええ。
    まるであなたが変になっちゃった時の説明と同じでね。
    誰かが私を操ってるかのようだったわ。
クラーク:オーケー、でもどうして僕の試合を邪魔したんだ?
クロエ:クラーク、彼は学校の中でノミ行為をしてるのよ。
    (コンピュータの前に座り)
クラーク:予想をコントロールする力か。
クロエ:彼の名前を検索するわ。

クロエがサーチ・エンジンに"Mxyzptlk"とタイプします。
何も表示されません。

クロエ:別に"Mxyzptlk"で何も引っかからなかったのは驚かないわ。
クラーク:(モニタを指し)
     それは何?

検索バーの下には「もしかして:Kltpzyxm ではありあせんか?」と表示されています。

クロエ:ミカエルを逆に読んだ名前よ。

彼女はイエスをクリックします。
写真がモニタに表示されます。
背景には焼けた村があり、苦悩して右往左往して走り回っている村人がいます。
写真の中央には小道がありその先を黒い猫が歩いています。

クラーク:まるで悪いわらべ歌みたいだ。
クロエ:ええ。
   (読みます)
    これはバルカン諸国のPiatoreのいくつかの伝説です。
    ミカエルの出身地の近くだわ。

クロエは立ち上がって他の机に行きます。
クラークがコンピュータの前に座ります。

クラーク:何世紀もの間この地域の人々は血統によって怖がらせた…
     人の運をコントロールすることができる。
クロエ:それは運じゃないわ、人をコントロールしている。
    逆読みの名前については何か書いてある?
クラーク:村が不審火で焼けた後、一族は一世紀前に名前を変えて汚名から逃れるためこの地方から逃げたって。
クロエ:じゃあミカエルはまだその遺産から逃げ回ってるのね。
    (彼女はコンピュータに戻ります)
    でもどうやってキスをさせるのを止めるのか書いてないわね?
    (モニタの何かに気付き)
    あっ、ここ。
    伝説によれば唯一止める事ができたのはイナゴの大量発生だって。
クラーク:それは当てにならないよ、何か別の方法があるかもしれない。
     それを考えるんだ。
     誰がここに彼を連れてきたのか?

第2幕 場面3
レックスは書斎でビリヤードをしながらクラークと話をしています。
日中。

レックス:
じゃあ、お前はルーサー・コープの交換留学生を追い出せというのか?
クラーク:試合を賭けに使うなんて認められないだろう。
レックス:お前がそんなノミ行為を気にするなんてな。
     ミカエルの事で他に話しておく事は?
クラーク:レックス、君は彼の後援者だ。
     彼が何をしているのか教えに来たんだ。
レックス:もちろん調査はしよう。
     だが最初に校長かティーガコーチに言わなかったのには驚いている。
     だが聞いていた以上に複雑そうだな。
クラーク:(間があり)
     どうして複雑なんだ?
レックス:おい。
     ラナを射止めたのがクォーターバック一人のはずはないだろ。
     引退した者だっているさ。
クラーク:ああ、正直言って、彼女が他の人と一緒にいるのを見るのは辛かった。
レックス:心配するな。
     パリは人を魅了する効果を持っている。
     だがお前が長い間いなくなればその魅了はおかしなもんだが薄れていくさ。
クラーク:僕はラナを知っている。
     いまだかつてこんなにも真剣なラナを見たことがない。
レックス:お前の物言いは、彼女からジェイソンを引き離したいように聞こえるな。
クラーク:ああ、「もし愛してるなら自由にしてやれ」って言ったけど裏目に出たよ。
レックス:それは愛じゃない、クラーク。
     それはお前がどう取るかだ。
     フィールドではお前は勝つために何でもするだろ。
     だがもしお前がラナに同じ事をすれば、多分彼女にとっては意味のないものになる。

レックスは答えを待ってクラークを見ます。
クラークはレックスが言った事について考えます。

第2幕 場面4
ラナはジェイソンと話してタロンの上のアパートにいます。
日中。

ラナ:クラークがステロイドを。
   それは考えられないわ。
ジェイソン:多くの男に起こりうるんだ。
      君だって自分を越えたいと思うだろ。
      人は勝ちたいと思うと見境がなくなるものさ。
ラナ:(同情的に)
   クラークの責任だって思ってないの?
ジェイソン:俺はね。
      キグリーコーチが俺に彼の薬物検査をするように依頼してきた。
      クラークにはその事は言わなかった、それで俺は検査には引っかからなかったとウソをついた。
ラナ:どうしてそんな事を?
ジェイソン:分からない。
      だが俺はクラークを信じている。
      それに俺たちの事を知っているし、事を荒立てたくなかった。
      もし俺に仕返ししたいなら学校中に話せばいい。
      そうすれば俺は仕事をなくすんだ。
ラナ:クラークはそんな事はしないわ。
ジェイソン:どうして?
      俺だったら君を奪った奴に何をするか分からない。
ラナ:誰からもクラークから私を奪ったわけじゃないわ。
   私から別れたの。
ジェイソン:そうだったな。
ラナ:クラークの事は私がパリに発つ切欠になった一番の理由だけど。
ジェイソン:まあ、そういう事は彼女の口から聞きたくないな。
ラナ:ねえ、ジェイソン、今はあなたと一緒よ、これ以上の幸せはないわ。
   それに私が知っているクラークは気まぐれで、
   でも彼はあなたがこの学校に必要だって事を知ってるわ。
ジェイソン:そいつはどうかな、君が彼とそれほど親しかったとはね、でもどれだけ本当の彼を知っている?

ラナは答えることができません。

第2幕 場面5
レックスの屋敷。
日中。
ミカエルは書斎の机の近くで座っていてレックスは立っています。

レックス:(腹を立て)
     俺を困らせるな、ミカエル、君の才能は正当に評価する。
     だがノミ行為を持ち込むことは会社にとってはマイナスイメージだ。
ミカエル:面白いゲームなんだがな。
レックス:I.N.S.がスポーツマンシップに欠けると判断すれば、
     君の奨学金を無効にして、故郷に帰されるぞ。
ミカエル:だがあんたみたいな男がいれば俺を引き留めるコネを使うことができるだろ?
レックス:もし俺がそう望めばな。
     親父が君にどんな力を見たとしても、彼らがこの会社にもたらす価値がないと認めたら。
     用意はしておいた。
     明日の朝には君は大西洋の真ん中にいるだろう。

レックスは去り始めます。

ミカエル:本当はそんな事はしたくないはずだ。

レックスは止まります。
そしてミカエルは立ち上がり彼に向かって来てます。

ミカエル:どうしてあんたの親父さんが俺を連れて来たか知りたいんだろ。
レックス:それほどでもないが。
ミカエル:賭けをしないか?
レックス:今か、これからここを放り出されようとしている時にどうして賭けを?
ミカエル:それは誰よりもいいギャンブラーを知っているんだ。
     あんたはキャビア系だ。
     あんたが全てを手に入れたいなら、
     一つの事にチップを賭け指をすり抜けるスリルを与える事ができる。

レックスはしばらくの間静かに聞きそして笑います。

レックス:そして、あー…その一つの事とは何だ、ミカエル?
ミカエル:まあ、この場合、俺だ。
     あんたはどれぐらいクォーターバックの友人のクラーク・ケントを信じてる?
レックス:チャンピオンシップか?
    (ミカエルはうなずきます)
     何を賭けるんだ?
ミカエル:もしクロウが負けたら、あんたは俺に百万ドルと新たにスタートするための市民権を取ってもらおう。
レックス:(ミカエルの肩に手を置き)
     もしクロウが勝ったら?
     そんな賭けが成立すると思っているのか?
ミカエル:俺はそう思わない。
     だがあんたの親父が俺をここに連れてきた理由は金よりもはるかに貴重だぞ。

レックスは好奇心旺盛にミカエルを見ます。

第2幕 場面6
クラークの屋根裏。
夜。
クラークが屋根裏に入ると教科書を下に置き机に座ります。
ミカエルが入ってきます。

ミカエル:(皮肉ぽく)
     よう。
     本物の生のアメリカンフットボールスーパーヒーローだな。
クラーク:ここで何をしてるんだ?
ミカエル:レックスに俺の事をチクッた事にお礼にきたのさ。
     解決するのにさほど難しくはなかったが。
     クロエの方が泣きついてくると思ったよ。
     有頂天になっていたからな。
     お前ら二人は似てるな。
     それでお前に試合に出てもらうのが俺の仕事だ。
     お前が試合に出なければ結果は推測できない。
クラーク:お前は中途であの村に戻ると思ってたよ。
ミカエル:(微笑し)
     俺は呪われてはいないぜ、クラーク。
     ラッキーなんだよ。
     そして土曜のチャンピオンシップで俺はもっとラッキーになるんだ。
クラーク:もし僕がその試合を放棄したら…
ミカエル:もし?
     "もし"とは見込みがあるときだ、そして俺は常に見込みに勝っている。

クラークが更に何か言おうと口を開きます。

ミカエル:窒息しろ。

クラークは突然息ができなくなり、ひざを落して喉を掴みます。
ミカエルは彼の脇にひざまずきます。

ミカエル:例えば、選手権での見込みはお前が出る事を前提にしている。
     もしお前がフィールドに出ない時は、俺の利益は残念ながら、ない。

クラークは声を出せずにもがきます。
額の静脈は息ができないため膨れ上がってきます。

ミカエル:そういうわけで、お前は他の誰にも俺の事を話すことはできない。
     そしてフィールドに立つことになる…病院に仲間を沢山送りたくなければな。

ミカエルは立ち上がって去ります。
ミカエルが階段を降りはじめるとクラークは床に倒れます。
下に向かう中途でミカエルは後ろのクラークに振り向きます。

ミカエル:息をしろ。

クラークに直ぐ呼吸が戻ります。
ミカエルが出て行くと、彼は何度か大きく息を吸い込みました。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
クロエが手にファイルを持ってトーチオフィスから出てきます。
日中。
彼女は誰かを探しています。
クラークが学校のジャケットを着て彼女の後ろを通ります。
廊下は学生たちでいっぱいです。

クラーク:クロエ。
クロエ:やあ。

ジェイソンが近づいてきます。

ジェイソン:クラーク、十五分でウォーミングアップしておけ。

彼は歩き去ります。
クロエとクラークは並んで歩きながら話をします。

クラーク:レックスよりもイナゴの方に希望を持ちたいよ。
クロエ:私が調べたところによるとアマゾンでは聖書はまだ普及してなかったわ。
    でも色んな伝説から本当に生まれた種はいるわ。
    それで黙示録的な生物を調べてみたの。
クラーク:飛んだり食べたりする以外に何ができるんだ?
クロエ:(クラークにファイルを手渡し)
    イナゴって集団で行動するとき、お互いがぶつからないように一種の超音波を出すの。
    多分ミカエルも無線のように似たような周波数を出すのよ。
クラーク:あるいは犬笛みたいな。
     音は出てるけど人間の耳には聞こえない。
クロエ:ええ。
    面白いのはイナゴが一旦信号を出さなくなるともうぶつからないで飛ぶことはできなくなるの。
    永久にね。
クラーク:じゃあ、永久に使えなくするにはミカエルの周波数を探すことだ。
クロエ:そしてどこを探すのか分かってるわ。
    だから彼を探さないと。
クラーク:あいつはグレートアメリカンドリームを目指している、この試合に賭けているように見えた。
     あいつはここに来る。
クロエ:オーケー。
クラーク:僕は行かないといけないから。
    (彼女にファイルを返し)
クロエ:グッド・ラック。
クラーク:ありがとう。

クラークが歩き去ります。

第3幕 場面2
クラークは一人暗いロッカールームで座っています。
日中。
彼は深く集中していて、外の観客が送る声援と試合開始を待つアナウンサーの声を聞きます。

アナウンサー:こんにちわ、フットボールファンの皆さん。
       そしてトピーカ・バレー・ハスキーズ対スモールビル・クロウのチャンピオンシップにようこそ!

クラークはベンチの脇に置いてあるショルダーパッドを取り上げ肩にのせます。
しっかりとひもを締め安全であることを確認するためにショルダーパッドを引っぱります。
それから立ち上がってロッカーに行くとシューズを取り出しヘルメットをベンチの上に置きます。
シューズのヒモを結ぶとベンチに座って前を見つめたままゆっくりとユニフォームを着ます。
再び立ち上がると精神を集中しフィールドに出る準備をしてドアを見ます。

学校の地下。

チームの他の選手たちはキグリーコーチに率いれらフィールドに向かって走っています。
ジョナサンはクラークを待って近くに立っています。
キグリーは精一杯チームにどなります。

キグリー:いいか、行くぞ!
     いいな!
     レッツ・ゴー!レッツ・ゴー!
     さあ早くしろ!

ついにクラークが出てくるとジョナサンに振り向かず走り過ぎます。

ジョナサン:クラーク。

皆が走り続けるなか、クラークはジョナサンに振り返ります。

ジョナサン:(がっかりして)
      何をしているんだ?
クラーク:ミカエルが言った事を知ってるだろ。
     もし僕が出場しないと皆が傷つくことになるんだ。
ジョナサン:フットボールでぶつかりあっても一人の力は250ポンドぐらいなものだ。
      だがお前がぶつかるのは列車にぶつかったのと同じことだぞ。
      その差は大きすぎる。
クラーク:そうならない事を望むよ。
     僕とクロエはミカエルを止める方法を見つけたと思う。
ジョナサン:二人で止める方法を見つけただって?
      悪いが、クラーク。
      そんな考えはよすんだ。
クラーク:父さん、僕と意見が合わないのは分かってる。
     でも責任を取るには難しい選択をしなきゃいけない事もあるんだ。
ジョナサン:だがその事によって生じた結果を受け入れるという事でもあるんだぞ。
クラーク:握手やハグ、いつだって皆が怪我をしないように意識的にやってきたんだ。
     どんなに父さんに言ったってそれは理解できないさ。
     それが僕の選んだ選択だよ。

ジョナサンは長い間黙ったまま見つめていました。
それから深く息をして微笑します。

ジョナサン:お前の方が父親らしく聞こえるな。

クラークがお返しに微笑します。

クラーク:僕もそうなりたいよ、父さん。

クラークは出口に目を向け走り出します。
ジョナサンは誇らしげにクラークを見送ります。

フットボールフィールド。
観客が歓声をあげる中チアリーダー達は向かい合って二列に並び頭の上でポンポンを振っています。
クロウチームはチアリーダーの列の間を通ってフィールドに走ります。

アナウンサー:今フィールドに入ってきたのはスモールビル・クロウだ!
       今日のクロウのキャプテン達はシニア・キャメロン・ジェフ、
       ジェイ・クローザー、オースチン・トンプソンとクラーク・ケントだ!

クラークはフィールドに走りながらヘルメットをかぶります。

アナウンサー:クロウはこのシーズン13試合で不敗を誇っています。
       彼らはこの三年間ヘッドコーチのブライン・キグリーの元指導を受けてきました。
       今日のスポンサー、スモールビルのリーダーであるルーサー・コープに感謝いたします。
       そしてダベンポートのオートボディ店とオールド・スパイスレッド・ゾーンです。

学校の地下を歩いているクロエ。
彼女は音響ルームを見回ります。
部屋には彼女一人で、壁には一箇所だけ外のフィールドの見える窓があります。
クロエが部屋を物色しまわると目的の装置を見つけます。
装置からは数本のケーブルは差し込まれていました。
彼女は装置の上に持ってきた小さなブリーフケースを置いてケーブルの1本を外します。
それからブリーフケースを開け中からラジオを取り出すと装置とラジオをケーブルで接続しました。
ラジオのスイッチを入れダイアルを回すとどんどん高くなる高周波の音が聞こえてきます。

外では、音はスピーカから流れ出しますがアナウンサーの声以外聞こえません。
外野席では、ミカエルが突然耳をふさぎます。
明らかに高周波が痛みをあたえているようです。
他の誰も音には気付いていません。

フィールドでは、ジェイソンとキグリーコーチが心配して見守っていると、両チームの円陣が解散します。
両チームとも定位置についてクラークはセンターの後ろでクォーターバックの位置に立ちます。

クラーク:アイオワ80!
     アイオワ80!
     セット!
     ハット!
     ハット!

ボールはクラークにパスされます、そしてレシーバーにボールを投げるために逆走します。

ミカエル:つまずけ。

クラークは影響を受けません。
クラークがボールを投げるとレシーバーが受け取ります。
ファーストダウンが終了し審判がホイッスルを吹きます。

ミカエルはまだ高周波の音が聞こえ続け困惑しイライラして耳をふさぎます。
クラークはあたりを見回しうまくいっている事に安心しています。
クロエがラジオのダイヤルを回し高周波を増すとミカエルは更なる痛みに目を細くます。

選手は再び所定の位置に入ります。

クラーク:アイオワ80!
     アイオワ80!
     セット!
     ハット!

ボールがクラークにパスされると両チームは中央でぶつかり合います。
クラークが見方のレシーバーを追い越すと素早く彼にボールをパスします。
その選手はエンドラインに向かって走り出します。

ミカエル:ボールを落とせ。

再び効果がありません。
選手はゴール目指してまっしぐらに走り続けます。
彼はリズムを崩さず相手チームの倒れた選手の上を飛び越えます。
エンドゾーンに近づくと嬉しそうにスピードを緩めエンドゾーンに入ります。

アナウンサー:タッチダウン!

クロウチームと観客も声援を送ります。

クラーク:よし!

キグリーコーチは熱狂的に拍手して叫びます。

スコアボードのスコアはクロウ7点、ハスキーズ0点を表示します。

新たなファーストダウンが始まります、そしてクロウ側の一人がボールを持って走っています。
相手チームの選手が彼をタックルをしようとしますが脇によけ走り続けます。
ベンチに座っているクロウの選手は声援を送ります。

(訳注:これ以降は試合の内容になりますので割愛させて頂きます。
    ちなみにクロウの攻撃、ハスキーの攻撃と繰り返され得点は一進一退のいい勝負です。
    そしてミカエルは何故なのかと悩みます)

スコアボードはクロウ17点、ハスキーズが21点でハスキーのリードです。
クロエはまだ音響ルームにいます。

外野席では、ミカエルが耳を押さえていた手を見ると指に血が着いているのを見ます。
ミカエルはあたりを見回し高周波がスピーカから流れているのに気づき席から立ち上がると歩き去ります。

ミカエルは耳を押さえたまま地下の音響ルームのある方向に向かっています。
そこに着いたミカエルはクロエがラジオを持っているのを見つけます。
彼女は驚いて彼を見上げます。

ミカエル:面白いおもちゃだな!

彼がラジオからケーブルを引き抜くと音は止まります。

クロエは腕を引きミカエルの顔を殴ろうとします。

ミカエル:止めろ。

しかしクロエの拳は彼にあたります。

クロエ:効かないみたいね。
    最低だわ、正々堂々とやったら?

ミカエルは激怒して彼女のコートを掴み壁に彼女を押しつけます。

ミカエル:ああ、俺の国じゃ、お前みたいなやつは生き残これないぜ。

彼は飛び出しナイフを引き抜いてクロエの顔の脇で開きます。
彼女は怯えてナイフを凝視します。

残り時間は20秒、19秒とカウントダウンしている頃、サイドラインのところでジェイソンは深く息をつきます。
フィールドでは、クロウの選手たちがボールと共にハスキーを押さえ込みます。

アナウンサー:クロウが攻撃権を取り戻しました!

ジェイソンは興奮しはじめ観客が拍手喝采するとベンチに座っている選手をフィールドに送ります。

アナウンサー:クロウチーム、タイムアップまであとわずかだ。

クラークがフィールドの端の近くで立っているとミカエルが彼の後ろに立っていました。

ミカエル:クラーク。

クラークは向きを変えて歩きます。

クラーク:ここで何をしてるんだ?
ミカエル:(クロエのプレスパスを見せ)
     仕事をするためにここに来たんだ。
     もしこれ以上クロウが得点を入れたら、クロエは死ぬぞ。
     もしお前がフィールドに戻って試合に勝ったら、クロエは死ぬ。

ジェイソンがクラークのところへ歩み寄るとミカエルは歩き去ります。
クラークはジェイソンに耳をかたむけますが彼の表情は硬く心配そうです。

ジェイソン:ケント。
      行くぞ。
     (クラークの肩に手を置きます)
      いいな。
      ここで勝ってモンタナに行くんだろ。
      タイトルを取るための第一歩だ。

ジェイソンがクラークの肩を軽く叩くとクラークがフィールドに走ります。

アナウンサー:クロウは50ヤードライン上からのファースト10です。
       残り時間はわずかに五秒。
       一回限りの勝負です。
       シーズンはすべてここで決まります。

アナウンサーが話をしている間、円陣が解散します。

クラーク:いいな、皆、行くぞ!

選手たちはお互いの手を叩き合いフィールドの中央に走って定位置に着きます。

クラーク:ブルー32!

マーサとジョナサンは不安そうに見守ります。

クラーク:ブルー32!

クラークは外野席の下のコンクリート壁をX線ビジョンで調べます。
ミカエルはクロエの髪を掴み喉にナイフを突きつけていました。

クラーク:セット!
     ハット!

カウントダウンが5秒から4秒になり、ボールはクラークにパスされます。
そして両チームが前進すると彼は後ろ向きに走ります。
クロウ側の選手の一人が反対方向に走り出てクラークがボールを投げるのを待ちます。
クラークがレシバーに向かって空高くボールを投げると全員がボールに目を向けました。
ジェイソンとキグリーコーチはボールが飛ぶのを黙って見つめています。
ハスキーの選手がクラークにタックルしようと走ります。
しかしクラークは突然超スピードを出しフィールドの外に走ります。
周りの風景は凍りついたように止まり、クラークだけが動いています。
地下室に走ると床にモップをかけている二人の掃除婦を通り越します。
音響ルームに入るとクラークはヘルメットを脱ぎミカエルとクロエが向かい合っているのを見ます。
クロエの右手には手錠がかけられ、彼女はミカエルから身を守ろうと左手で突き飛ばそうとしていました。
ミカエルはクロエにナイフを振り上げていました。
クラークはミカエルの手からナイフを取り上げクロエから遠ざけます。
そしてクロエの手錠の鎖を引きちぎります。
ミカエルとクロエを最初とは違う位置に立っている状態にしたクラークは、
ヘルメットをかぶり部屋を出てフィールドに向かって走ります。
クラークはタックルを仕掛けてきたハスキーの選手の前に戻り、
ちょうどボールを投げ終えたばかりのように空中に腕を上げると通常速度に戻ります。
ハスキーの選手はクラークの胸にぶつかるとクラークはつぶされます。

音響ルームでは、クラークの動かした運動量はミカエルを後ろ向きに吹き飛ばす形になり壁に激突します。
クロエは何が起きたのか分からずミカエルに目を向けます。

フィールドでは、クラークはパスしたレシーバーがどうなったのかと首を伸ばします。
ボールを受け取ったレシーバーはゴールに向かって走っています。
ジェイソンは「行け」と声に出さずに口だけ動かします。
そしてマーサとジョナサンはこちらに向かって来るのを見ます。
選手は腕を伸ばして宙を飛びます。そして時間が0になったのと同時にボールはエンドゾーンにタッチします。

アナウンサー:タッチダウン!
       クロウが勝ちました!
       信じられません?!

マーサとジョナサンは喜びで声を上げます。
ジェイソンは腕を上に振り上げます。
観客の歓声は耳をつんざくようです。
タッチダウンした選手は立ち上がり頭の上にボールを高く持ち上げます。

アナウンサー:クラーク・ケントはまたもや信じ難いプレーをしました!

音響ルームでは、クロエは床に気を失っているミカエルとチェーンの切れている手錠を見比べます。
彼女は何が起きたか理解することができません。

タックルされたクラークはまだフィールドに横たわっています。
チームメイトの一人がクラークに手を貸し立ち上がらせると、
ヒステリックに笑いながらクラークの頭を抱きしめます。

選手:おーっ!!!
   やったな、おい!
   おぅ!
   ふぉーっ !

彼は笑みを浮かべるクラークを他の選手に引き寄せます。
マーサとジョナサンは有頂天で抱き合います。
選手とチアリーダーは全員フィールド集まってクラークを担ぎ上げます。

クラーク:おうっ!
     ふぉーっ!

フェイドアウト。

第4幕 場面1
ケント農家。
夜。
ジョナサンとマーサは台所にいます。
ジョナサンは紅茶を載せたトレーを持っています。
そしてマーサはカウンターの上にクッキーとミルクを乗せたお盆をノートの脇に置きます。
クラークがジャケットを着て入ってくるとクッキーを見て微笑します。

ジョナサン:ほう、チャンピオンシップのクォーターバックになったからといって、
      あまり長くはダメだぞ?
クラーク:(微笑は色あせます)
     遅れるから、行くよ。
マーサ:(小さな声で)
    ジョナサン。
ジョナサン:クラーク。
      私も母さんもミカエルが逮捕されたことを知っている。
      私は気づかなかったよ。
      お前がパスをした瞬間全てが終わっていたとはな。
      だがお前を誇りに思っている。
マーサ:色んな意味でね。

クラークは再び微笑します。

マーサ:(ジョナサンに)
    ねえ、あなた。
    さあ早く。
    (クラークに)
    おやすみなさい。
ジョナサン:おやすみ。

クロエがドアをノックして入ると、ジョナサンとマーサは部屋を出て行きます。

クロエ:どうしてあなたと一緒にいるのか分からない、けど何度もあなたを拒否しようとしたのに離れられない。
    今晩はヒーローなんだって、クラーク・ケントは。
クラーク:ああ、まあ、君がいなかったら試合には勝てなかったよ。
クロエ:ええ、でもそれはサムおじさんに感謝して。
   (クラークは理解できません)
    私のおじさんのサムよ。
    中将が持っているすごいおもちゃを貸してくれたのよ。
    ステルス爆撃機用の妨害システムがフットボールに役に立つとは思わなかったでしょ。
クラーク:その装置のおかげで、ミカエルはこれ以上誰もコントロールすることができなくなったんだ。
クロエ:すごいわよね。
    (彼女はカウンターに座ります)
    でも理解できないことがあるの、どうやって奇跡的に助けられたのか。
クラーク:(話題を変え)
     理解できないのは、君が何にでも首を突っ込むことだよ。
クロエ:まあ、誰でも弱味はもってるでしょ、と思うけど。
    あなたも例外じゃないわよ。

クロエとクラークは静かにお互いを見ます。

第4幕 場面2
メトロポリス。
日中。
ルーサー・コープのエレベーターの前にレックスとミカエルが立っています。

レックス:留置場よりはずっと快適だと思うが。

エレベータが開き二人は中に入ります。

ミカエル:それで、どこ連れて行くんだ?
レックス:心配する必要はない。

レックスはルーサー・コープのIDバッチを壁のスクリーンの前にかざすと小さな四角がスクリーンに現われます。
レックスが親指をその四角に押し付けるとコンピュータは指紋の識別をします。
スクリーンに「レックス・ルーサー」と表示されます。

レックス:仲間が沢山いるところだ。
    (エレベータは上昇を始めます)
ミカエル:心配はしてない。
     あんたから学べることが沢山あるみたいだな。
     だが契約を弁償できないことがつらい。
レックス:(笑い)
     俺の力を過小評価してるな。
ミカエル:話しただろ、ルーサーさん。
     俺は力をなくしたんだ。
レックス:ミカエル、俺は学んだ事が一つある、失われた物は再び取り戻すことができる。
ミカエル:俺が特殊な力を持っている事を知っていて、どうして俺の言った反対に賭けたんだ?
レックス:そうじゃない。
     俺はクラーク・ケントに賭けたんだ。

エレベータは33.1階に止まります、そしてドアはスライドして開きます。
二人がエレベータから踏み出すとミカエルは部屋の中を見回し畏怖します。

レックス:言っただろ。
     仲間が沢山いると。

ミカエルはゆっくりと頷きます。

第4幕 場面3
スモールビル高校。
日中。
廊下のロッカーの前にラナがいます。
クラークが彼女に近づきます。

クラーク:ラナ。
     やあ、ジェイソンは?
     探してるんだけど。
     実は三つほど話があるんだ。
ラナ:(クラークに背を向けたまま)
   ええ、知ってるわ。
クラーク:メトロポリス大学が僕に奨学金を出してくれるって。
ラナ:(不熱心に)
   それはよかったわね、クラーク。
クラーク:ジェイソンが連絡してくれたスカウトの一人が試合で僕を見たんだ。
     僕の事を信じてくれていたことにお礼が言いたいんだ。
ラナ:(ロッカーを閉じ)
   あなたのその言葉が聞けなくて彼も残念ね。
   (彼女は振り返ります)
   ジェイソンは今朝クビになったわ。

ラナは怒って歩き去ります、そしてクラークが驚いて彼女を見ます。

第4幕 場面4
レックスの屋敷。
夜。
レックスは書斎で暖炉の火を火かき棒で突きます。
クラークが彼の後ろに立っています。

レックス:フットボールのスターが友人として訪ねてくれるとは嬉しいよ。
クラーク:(冷たく)
     そんな事はどうでもいい。
レックス:(クラークに目を向け)
     それは、フットボールの事じゃなさそうだな。
     (彼は火かき棒を下に置きます)
クラーク:はっきりさせたいんだ。
     でも話をすれば分かるはずだ。
レックス:なるほど。

レックスはバーに歩いて水のボトルを開けます。
クラークが後に続きます。

レックス:それで今日は、俺が卑劣な信頼できない友人を演じて、
     いつも通りお前は結論を急ぐとういう致命的なミスを犯しているんだな。
クラーク:それじゃ君がジェイソンをクビにしたわけじゃないのか?
レックス:教師と学生の付き合いはタブーだ、元に戻すのは難しいぞ。
クラーク:へえ、この話を道徳的な話しに持っていく気なんだ。
レックス:クラーク、俺だってラナが町中で変な目で見られるのはイヤだ。
クラーク:じゃあ、彼女は君には感謝してるんだ。
     その事を知ってたのは僕と君の二人だけだったんだから。
     今皆が話している。
     君は彼女を守るためにこんな事をしたのか。
レックス:(もっと近づき)
     分かるだろ、ラナはジェイソンには合わない。

レックスは暖炉に戻りクラークに背を向けます。

クラーク:多分1年前の僕なら、友人の君が僕のためにクビにしたって信じたかもしれない。
     でも今回は僕のためじゃないだろ。
     どうしてこんな事を?

レックスは顔だけクラークに向いてあいまいな微笑を浮かべます。

フェイドアウト。

おしまい