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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン4.10Scare [恐怖]

第1幕 プロローグ
クラークの屋根裏。
夜。
赤いハイヒールを履いたラナが屋根裏の階段を昇ります。
クラークは二階で座って本を読んでいるとラナが上がってきたのに気づき目を上げます。
彼女は赤いスカートと赤いセーターを身につけています。
彼女の衣装は魅力的ですが控えめです。

クラーク:[少し驚き]
     ラナ。
ラナ:まだ起きていると思って。
クラーク:もう大丈夫かい?
ラナ:[間があり]
   それってジェイソンの事?
   とんでもない間違いをしてたみたい。
クラーク:ジェイソン。

クラークは脇に本を置いて心地悪そうに立ち上がります。

クラーク:ラナ、君がそんな事言うとは思わなかったよ。
ラナ:実は、あなたには本当の事を話しておきたくて。
   [クラークにより近づき]
   ずっとその事を考えてたの。
   ジェイソンとの出合い、私についてきた事、学校での仕事、
   今までジェイソンが話してくれた事はウソだと思ってる。
   他の理由でスモールビルに来たんじゃないかって思い始めたの。
クラーク:どんな?
ラナ:分からない。
   でも彼が怖くなってきたの。

ラナは怖がって懇願するような目つきでクラークを見上げます。

クラーク:心配しなくていい、ラナ。
     何も君には起こらないようにするから。
ラナ:[感謝するように]
   分かってる。
   もうひとつはっきりしたことがあるわ。
   私達の事はあきらめるべきじゃなかったって事。
   私って自分にウソをつくのがうまいの、でもずっとあなたの事が好きだったわ。

二人は寄り添い、最初はそおっと、そして激しく唇を重ね合わせます。
キスが激しくなるとラナは腕をクラークの背中に回します。
クラークが彼女をソファーに押し倒しキスし続けながら彼女の上に覆いかぶさります。
クラークのシャツは上へとずり上がりラナは彼のむき出しの肌に触れます。
誰かの手が突然クラークの肩を掴みラナから遠ざけます。
それはジェイソンでした。
ジェイソンがクラークを階段の方に投げ飛ばすとクラークは大きな音を立てて下の踊場に落ちて倒れます。

ジェイソン:[激怒して]
      お前の事は最初っから信用なんかしてなかったんだ、クラーク。

ラナはジェイソンの背後に立ち上がります。

ラナ:ジェイソン、違うの!

クラークが身を起こそうと膝立ちになるとジェイソンはクラークに近づきます。
ジェイソンがクラークの脚を引っ張るとクラークはうなりながらジェイソンを手摺りに押し付けます。

クラーク:あんたはもう十分に彼女を傷つけたんじゃないか?

ジェイソンはクラークのシャツを掴み柱に押し付けます。
彼はクラークの顔を殴ると次にクラークの顔面に頭突きをします。
それからクラークの顔を殴るとクラークは床に倒れます。

ラナ:ジェイソン!

ジェイソンは鼻血を流すクラークに見下ろします。
クラークは気を失います。
ジェイソンはまだ階段の上にいるラナに振り返ります。
彼女は黙ったまま見つめています。

ジェイソン:クラークは俺から君を守ることはできないぞ。
      誰もな。

ラナはジェイソンを見たまま階段を降りてきます。
ラナの腕がジェイソンの方へぐいと動くと何かを切り裂くような音が聞こえ、
ジェイソンは痛みにうなります。
ジェイソンが自分の腹を見下ろすとシャツには穴が開き血まみれになっていました。
そしてラナはたった今彼を刺したばかりのハサミを握り締めています。
ジェイソンは信じられないような顔で彼女を見ると彼女は冷淡に彼を見つめ続けます。
彼は力が抜け手摺りにぶつかると手摺りを壊して下の床に向かって落ちていきます。

ジェイソンが落ちた場所は納屋ではなく突然タロンに落ちます。
彼がテーブルの上に落ちるとテーブルはバラバラに壊れます。
そして彼は意識を失いました。
タロンにいた客はジェイソンを見ると悲鳴を上げます。
ラナは上のアパートから走り出てジェイソンを見ます。
彼女の服装はさっきとは違っています。

ラナ:ジェイソン!

彼女は階段を駆け降りてジェイソンの脇に膝まずく彼の胸に手を置きます。

ラナ:誰か、救急車に電話を!
   [小さな声で]
   ジェイソン。
   ジェイソン、聞こえる?

ジェイソンはぐったりとしたままです。

第1幕 場面1
ジェイソンはスモールビル医療センターのベッドで意識不明の状態です。
日中。
ラナはベッドの脇に座り彼の手を握り彼の顔を撫でています。
彼女は声を立てずに耐えていますが涙が彼女の頬を流れ落ちます。
ジェイソンの心臓の鼓動はベッドの脇のモニタに表示されています。

クラークとクロエが病室に入ります。

クロエ:ねえ。
    どうなの?
ラナ:[涙を拭い]
   お医者様は分からないって。
   彼の心臓はすごい速さだって、それに血圧も計る事ができないの。
クロエ:それは意識不明にしては少し変ね?
ラナ:お医者様が言うには、何か物凄い悪夢を見ていてパニックになってるんじゃないかって。
クラーク:何が起きたんだ?
ラナ:彼は、そのー、昼を一緒に食べようと私をタロンに車で迎えに来たの。
   そして私が上着を取りに二階に行ったら。
クロエ:行ったら?
ラナ:突然大きな音が聞こえてきたのよ。
   そしたらこうなってた。
   [いっそう不安になり]
   今まで彼は…健康だったのよ、
   でもお医者様は血圧が測れないほど低い場合は、
   心臓発作を起こした可能性があるって。
クラーク:こんな事になった原因があるはずだ。
ラナ:彼の助けになればいいんだけど。
   でも彼がアパートに来る前は朝から勉強してたはず。
   私が今日始めてみたのは、タロンで倒れてる姿だったわ。
クロエ:まあ、何とかして彼を助けてあげようよ、ねっ?
ラナ:[頷きます]
   保険のカードが必要だわ。
   私の部屋にあるはずよ。
   二人で取りに行ってくれる?
   彼の傍を離れたくないの。
クロエ:ええ、いいわよ。

クロエはクラークの腕に触れてから病室をでます。
クラークはもう一度同情的にラナに振り返ってクロエの後に従います。
ラナは愛情を込めてジェイソンを見つめます。

第1幕 場面2
クラークとクロエがラナのアパートにいます。
日中。
クラークが額に入ったジェイソンとラナの写真を手に取り静かにそれを見ます。

クロエ:クラーク、こんな事は言いたくないけど、認めた方がいいよ、二人の関係をさ?
クラーク:なあ、クロエ。
     それはもう過ぎた事だ。
    [写真を下に置き]
クロエ:そう、あなたがアパートの中に入った時からずっと、
    あなたの顔にそんな色が出てると思ったけど。
クラーク:今までずっと悩んできてやっと踏ん切りがついたんだ。知ってるだろ?
クロエ:クラーク、あなたは彼女が好なんでしょ。
    ちょっとやそっとで傷が癒えるわけないわ。
クラーク:僕が知った時にはもう二人は真剣に付き合ってたんだ。
クロエ:そうね。
    でも私達は自分勝手な理由で秘密を持ってるわ。
    その事を話さなきゃいいんじゃない。

クラークは返事をしません。
クロエがジェイソンのブックバッグが置いてある椅子に歩きます。
彼女はバッグのチャックを開けて中を調べます。

クラーク:僕はジェイソンのプライバシーまで侵害してまで詮索する君のようにはなりたくないよ。
クロエ:まあ、私は仕事のためならチャンスは逃がさないわ。

クロエがジェイソンのPDAを見つけだしてバッグから取り出します。

クロエ:多分ジェイソンの二日前の事が分かれば彼を助ける手がかりになるかもしれないわね。
    [彼女はPDAのいくつかのボタンを押します]
    へえ。
    ジェイソンは今朝、ルーサー・コープにミーティングに行ったみたいね。
クラーク:[驚いて]
     どうしてラナはその事を言わなかったんだ?
クロエ:多分彼女も知らないんだわ。

第1幕 場面3
クロエとクラークがルーサー・コープの外の階段を歩いています。
日中。
彼らは会社の正面玄関に向かって歩きます。
他には誰も近くにいません。

クラーク:[見回し]
     この場所は動いてないようだな。
クロエ:ええ。
    私の親なんて土曜日もなく働いてたわ。
    今の時間ならいっぱい人がいるはずよ。

クロエはポケットからセキュリティカードを取り出しゲートの外のスロットに通します。
彼女はゲートを押し開き中に入ります。

クラーク:皆はどこにいると思う?
クロエ:分からないわ。
    でもあなたがレックスと話してる間に、私が調べてみるわ。

彼らは別れます。
クロエは前方へ歩き続け、クラークは左手に行きます。

ルーサー・コープの内部。
レックスは天井にパイプが並んだ廊下を歩いています。
クラークが角を曲がるとレックスの歩く廊下に出ます。
レックスは明らかに慌てた様子で非常にびくついています。

レックス:[腹を立て]
     クラーク?
     一体どうやってここに入ったんだ?
クラーク:それは、そのー、ゲートが開いていて。

レックスは歩き続けます。そしてクラークが彼の後に従います。

クラーク:君のセキュリティは最近あまいんじゃないか。
レックス:そうだな、だがここは立入禁止区域だ。
クラーク:ちょっとだけ話してもいいだろ。

レックスは壁のセキュリティ電話の脇に止まります。
彼は受信機を取り上げ話をします。

レックス:客が来ている、誰かをよこせ。
     [電話を切り]
     なあ、クラーク、悪いな、だがちょうどメトロポリスに着たんだ。
     沢山仕事があってな。

レックスは再び歩き始めます、そしてクラークが彼の後に従います。

クラーク:今だけでも?
     今朝ジェイソンとミーティングしただろ。
レックス:俺と一緒じゃない。
     彼はHR部の部長と会っていたんだ。
クラーク:彼に仕事を?

レックスは歩くのをやめてクラークの方に向きます。

レックス:少しはな。
     ジェイソンを学校から解雇した事に少し罪悪感を感じてな。
     彼はラナに知られたくなかったようだ。
     お前に話したことに驚いてるよ。
クラーク:彼は今病院で意識不明の状態なんだ、神経のストレスか何かで。
レックス:医者は何と言ってる?
クラーク:いや。
     でもHR部の部長が彼と話した最後の人かもしれないんだ。
レックス:分かった、部長に確認しよう。
     だがクラーク、ジェイソンの体調が問題になるぞ。

レックスは歩き去り始めます。

クラーク:土曜日なのにどうしてこの場所だけひと気がないんだ。
レックス:[振り返り]
     メトロポリスから専門医を呼んで彼を診せよう。
     ラナに俺ができる限りの事をすると言っておいてくれ。

保安要員が小さなカートでクラークの後ろに近づきます。
クラークがレックスが歩き去るのを見ます。

プラントの暗い階段を歩いているクロエ。
電圧が急上昇するような音が聞こえ、階段の電気が薄暗くなり完全な闇になります。
少し驚いたクロエは目を凝らしながら階段を降りていきます。
階段の下の角の辺りに部屋から漏れる青い光があります。
彼女は中を覗こうとゆっくりと開いている出入口に近づくと光がクロエの顔を染めます。
クロエは不安そうに部屋の中を覗きます。
クロエに背を向けて黒い窓を見つめて短く乱れた髪をした女性が背を丸めて座っていました。
床は白と黒の市松模様です。
クロエは驚いて数回まばたきすると部屋に入り女性に向かって歩きます。
近づくと女性は拘束服を着せられていました。
女性は頭を仰け反らせささやきます。

女性:あなたを待ってたわ、クロエ。
クロエ:[小さな声で]
    ママ?
女性:ここからは逃げられないわよ、クロエ。
   私達一族の女達は誰も逃げられなかった。

クロエは女性のすぐ後ろまで近づきます。
不安そうにしばらく見つめた後、女性の肩に触れようと手を伸ばします。
しかし肩に触れる寸前、クロエは手を引き戻します。
そしてもうしばらく考えた後再び女性の肩に手を伸ばしました。
突然イスが回転しクロエに向くとクロエは驚いて後ろに飛び去ります。
女性の顔は大きな黒い目をし硬く乾ききった唇の恐ろしい顔をしたクロエ自身でした。
クロエはヒステリックに金切り声を上げ始めます。

クロエ:きゃーーーーっ!

イスに座っているクロエは静かに彼女を見上げて口を大きく開けます。

突然本物のクロエが悲鳴を上げながら拘束服を着てイスに座っていました。

クロエ:いや!いやだ!

彼女は拘束服を脱ごうと必死になりながら部屋から走り出します。
廊下を走るクロエはまだ悲鳴を上げながら拘束服を脱ごうともがいていますが既に拘束服は着ていませんでした。

クロエ:いやだ!なんなのよ!

彼女が悲鳴を上げ続けているとクラークと警備員がカートに乗って彼女に近づいてきます。
警備員はカートを止めてクロエを見て立ち上がり始めます。
クラークが警備員の後頭部を軽く殴ると警備員は気を失います。
それから彼はクロエのところに走ると、彼女は気を失い彼は腕に彼女を抱えます。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
ルーサー・コープ。
日中。
レックスは白衣を来た者とスーツを着た者が働いている部屋に入ります。
皆、コンピュータやテーブルで何がしかの研究を忙しそうにしています。
レックスがその部屋の中の別室に入って窓から覗くと、
無菌室のような場所で横たわる数人の者たちを白衣とマスクをつけた作業員が世話をしていました。
彼は近くに立っているフォード博士に声をかけます。

レックス:ここの予防安全措置で、ラボの爆発は一体どうなるんだ?
フォード:[不安そうに]
     隕石を扱っている限り、化学薬品がどう反応するのか予測は難しいですな。
     ルーサーさん、できる限りの手は尽くします。
     警報が鳴った後、我々は部屋を閉鎖しました。
     影響を受けた者たちは全員隔離しています。そして破損したパイプを修理しています。
レックス:[疑い深く男を見ます]
     まだ細菌が漏れているという事か?
フォード:その部屋だけですが。
レックス:状況が治まったら直ぐにプロジェクトを閉鎖する。
    [彼は去り始めます]
フォード:しかしルーサーさん、あなたの父親は軍と契約をしています。
     もしこれらの研究成果を市場に流す事ができれば多くの利益になります。
レックス:それで人に最悪の悪夢を見せ気を失わせる市場とは何だ、フォード博士?
フォード:いい方に考えてください。
     つまり、この薬を使えば暴力に訴えなくても敵を壊滅させる事ができるんです。
     我々にはそれを証明する統計があり…
レックス:統計はあのベッドで横になってはいない!
     俺の従業員だぞ。
     それに彼らだけじゃない。
フォード:どういう事ですか?
レックス:今朝プラントに来ていた者が同じ徴候で今病院にいる。
     伝染するのか?
フォード:あー、いえ。
     細菌は人からの感染はしません。
     直接吸い込まない限りは。
レックス:CDC(疾病対策センター)に連絡して町全体をパニックにする必要はないな。
     [フォードはうなずきます]
     解毒剤はどこにある?

フォードはガラスドアの向こう側に見えるテーブルの上に置いてある培養機に近づきます。
培養機には黒っぽい液体の入った小ビンがいくつか入っています。
彼はそれを指し示します。

フォード:これが絶対温度千度になれば分かります、そしたらそれをテストすることができます。
レックス:あとどれぐらいだ?
フォード:[長い間の後に]
     後5時間。

レックスは信じられないというような顔でフォードを見ます。

第2幕、場面2
クラークはキッチンにいるジョナサンとマーサに話をするために中に入りながら電話を切ります。
日中。

クラーク:8人の人達がちょうどジェイソンとクロエと同じ症状で入院したって。
マーサ:お医者様は何か見つけたの?
ジョナサン:確かジェイソンとクロエが今日ルーサー・コープにいたと言わなかったか?
クラーク:うん、でも半分以上の者はそうじゃない、何にしても無差別に起こってる。
     次に誰がなるのか分からない。
ジョナサン:じゃあ、それは伝染するという事か。
      空気感染かそれとも水か?
クラーク:多分、調査の結果が出れば分かると思うよ。

ドアがノックされ窓越しにラナが見えます。

クラーク:ラナ。
ジョナサン:お入り。

ジョナサンは彼女のためにドアを開け彼女は入ります。

ラナ:あの、こんな時に来てごめんなさい。
   他に行くところがなくて。
マーサ:クラークがジェイソンの事を話してくれたわ。
    何があったの?
ラナ:他の感染した人の一人が死んだんです。

マーサは悲しげにラナを見ます。

ジョナサン:ラナ、医者は何が原因か分かったのか?
ラナ:[目に涙を浮かべて]
   心臓が止まる前まで長い間パニック症状が続くだけです。
   [いっそう不安になり]
   私…
   クロエとジェイソンが死ぬのをただ見て…これ以上病院にいることができない。
   助けてあげたい。

クラークが深刻にラナを見ます。

第2幕 場面3
カンザス刑務所。
日中。
女性の刑務官と警備員が囚人の共用スペースに向かって歩きます。
ブザーが鳴りドアが開きます。
ライオネルは部屋から出てきて売り子に近づきます。

刑務官:お仲間から離れさせちゃったかしら。
ライオネル:[クスクス笑い]
      皮肉がうまいな。
      だが私は変わったんだ。
刑務官:[懐疑的に]
    あら。
    頭がいいわね。
    ここの皆に突然教皇みたいに変わったって言いまわってから、
    誰も暗殺を企てなくなったわ。
ライオネル:私は皆の助けになりたいだけだ。
      私と同じ罪人、快楽主義の魅力や不信や貪欲から皆を導き同じ過ちを繰り返させない。
      それが私の罪滅ぼしだと思うんだがね?
      他に何かいい方法があれば?
刑務官:[笑い]
    えぇ、まぁ。
    そうね、皆があなたに宗旨替えするのが怖いわ。

彼女が後ろに立っている警備員に向かって手を伸ばすと彼は彼女にファイルを手渡します。

ライオネル:それはどういう意味だね?
刑務官:上訴裁判所はあなたの有罪決定を覆しました。
ライオネル:[驚き]
      覆った?
      私はもう何ヶ月も嘆願はしていない。
      それは無理だ。
刑務官:あら、あなたはこの司法制度で何が可能なのか驚くわ。

ライオネルは再び笑って刑務官に近く踏み出します。

ライオネル:いいか、私はこのために全てをやってきた。
      正解でも指降りの弁護士を雇った。
      アメリカ大統領まで買収しようとしたが、
      誰としてもうこの壁の外を見ることはできないと言われたんだ。
刑務官:そんな事を話したいの。
ライオネル:ああ、そうだ。
      私は有罪だ。
      今入っている罪だけじゃなく…
      何年も前から犯していた罪でここに入るべきだったんだ。

刑務官は彼の誠実さに驚きじっとライオネルを見つめます。

ライオネル:私がいるべき場所はここなんだ。
      それが私にとって一番なんだ。
刑務官:[懐疑的い]
    あなたは…
    刑務所に留まっていたいの?
ライオネル:ああ、その通りだ。
      私は見つけたんだ…
      [彼は笑い]
      …人生をかけた仕事を。
刑務官:ここはあなたが思っているよな場所とは正反対よ。
    チェックインしたからといって都合のいい時にチェックアウトすることができる場所じゃないの。
    この場所からあなたを出所させようと、誰かがあなたを助けてくれたのよ。
    感謝すべきだと思うけど。
ライオネル:だが誰が?
      誰がそんな事を?
刑務官:あなたよりも力のある誰かね。
    [ライオネルは考えます]
    この書類手続きが終わればあなたは直ぐに自由の身になります。

刑務官と警備員はライオネルを一人廊下に置き残して歩き去ります。

第2幕 場面4
ラナとクラークはトーチオフィスにいます。
日中。
クラークがコンピュータの前に座りモニタのカンザスの環境レポートを見ています。

ラナ:ジェイソンが9時まで町にいた事が分かってるわ。
クラーク:一時間毎の衛星画像によると朝からずっと晴れていたんだな。

ラナはモニタを見るためにクラークの隣りに寄りかかります。

ラナ:一時間毎?
   もう少し細かく分からないかしら?
クラーク:やってみるよ。

クラークがタイプし始めます。

ラナ:ジェイソンがどうして私に内緒でルーサー・コープにミーティングに行ったのか分からないの。
クラーク:それはプライドを傷つけられたのかもしれないし、レックスの申し出を受け入れたのかも。
ラナ:多分両方ね。
   [クラークが彼女を見ます]
   最近彼が私に何か隠し事をしているんじゃないかって感じてたの。
クラーク:多分別の面から見たら違うジェイソンを見るかもしれないよ。
ラナ:[ショックを受け]
   私がそんなに浅はかに見える、クラーク?
クラーク:僕と同じように彼も打ち明けるには時間が必要なのかもしれない。

ラナは彼の答えを受け入れるようにクラークを見ます。
コンピュータからのビープがありラナはモニタを見ます。

ラナ:それを見て。

モニタ上に、急速にカンザスの上にできる雲のシミュレーションがあります。

クラーク:この雲は沸いて出たように見えるな。
ラナ:完全に消えるまで5分かかってるわ。
クラーク:消える直前までに2マイルを覆ってる。
ラナ:どうしてこんな雲が現われたのかしら?
クラーク:多分雲なんかじゃないんだ。
     多分光化学スモッグか何かの煙だ。
ラナ:じゃあこの画像だとクロエの家はちょうど真ん中にあるわ。
クラーク:ルーサー・コープもだ。

クラークがコンピュータから立ち上がり歩き去ります。

彼はラナが突然ヘナヘナと力が抜けるのを見ません。
そして机に倒れ掛かるのを力を振り絞って身を奮い起こします。
彼女が窓の方に向くと空は突然暗くなり白い光が不規則に光り投げかけます。
彼女は顔に当たる光を防ぐため目の前に手を上げます。
彼女は前に進もうと何かを払いのけるかのように顔の前で手を動かし続けます。
彼女の顔にかかっていたのは汚いビニールシートでそれを取り除こうとしていました。
彼女は頭のてっぺんからつま先までシートに覆われ金属テーブルの暗い死体安置所で横になっています。
シートは突然彼女の体の下に引っ張られ顔が出てきます。
ラナが左に頭を回すと薄暗い蛍光は薄気味悪く点滅を繰り返しそして彼女は見た物に口を閉じる事ができませんでした。
彼女が起き上がり辺りを見回すと、すべて同じビニールシートに包まれた死体で同じような金属テーブルが並んでいます。
ラナはテーブルから降りて隣のテーブルに向かってゆっくりと歩きます。
遺体を覆っているシートを引き下げるとララ・ラングの死体があります。
ラナは息をのみます。

ラナ:[恐れ]
   ママ…

彼女は母親の顔に触れると次に隣のシートを開けルイス・ラングの遺体を見ます。

ラナ:パパ!

ラナは次のテーブルに歩き続けます、そしてシートを開けると青白いそして動かないクロエがいました。
ラナは再び息をのみます。
そして彼女がパニックになり始めると呼吸を荒げます。
彼女は次のテーブルに歩いてシートを剥ぎ取るとジェイソンがいました。
ラナは彼にかがみ込みます。

ラナ:[すすり泣き]
   ジェイソン。

彼女は手を伸ばしジェイソンの青白い顔を手で撫でます。
それから彼女は後ろから女性の声を聞きます。

女性:[侮辱的に]
   ラナ。
   ラナ。

ラナは向きを変えます。
そして部屋の終わりのテーブルに横たわるもう一つのシートで覆われた遺体があります。
彼女はテーブルに歩いて手を端に置きます。
シートの下から突然手が伸びてきてラナの手首をつかみます。
彼女の目は恐怖で大きくなり息をのみます。
テーブルの上の遺体は身を起こします。
それはもう一人のラナでした。
毛は乱れ肌は白っぽいグリーン、そして斑点があります。
彼女の歯は緑色に染められ、長い間腐っていたかのように彼女の唇は深いグリーンです。
彼女の目はどんよりして黒目が白くなっていました。

死んだラナ:皆あなたから去っていくわ。
      あなたにはどうすることもできない。

ラナは悲鳴を上げ始めます。

トーチオフィスで悲鳴を上げるラナ。
彼女が気を失うのと同時にクラークが彼女の側に来ます。

クラーク:ラナ!
     彼は彼女を抱き起こします。

第2幕 場面5
ルーサー・コープオフィスで、巨大な患者の血圧を高めることを示すモニター。
日中。
その脇にベッドの上でパニックに苦悶している患者を押さえつけようとしている保護スーツを着た男がいます。

男:[警備員に]
  もう抑えきれない!
  手伝ってくれ!

警備員:はい!

警備員が患者を押さえつけるのを手伝うために来ます。
レックスは窓を越にこのすべてを見ます。
患者が押さえつけられていると、レックスが窓から離れた途端にフォード博士はゴム手袋して培養機を開きます。
彼は小瓶の1つを取り医療用の注射銃にそれをセットします。

フォード:ルーサーさん、一度もこの解毒剤はテストしたことがありません。
     まず最初に動物実験するべきです。
レックス:従業員の一人が死のうとしているんだ。
     他にどんな方法があるというんだ?
フォード:いいえ、そうじゃありせん。
     でも思い出してください、これはインフルエンザの予防接種のようなものです。
     伝染性の要素はほんのわずか含んでいます。
レックス:それは患者が良くなる前にもっと悪くなというのか?
フォード:これが機能すると想定すれば。
     [彼は少しうなずきます]

レックスは患者が強制的に押さえつけられたのをモニタで見ます。
それからレックスは壁のところまで行くと掛かっている防護服を取ります。

フォード:ルーサーさん、あそこには行けません!
     感染の拡散を保持しなければ!
レックス:俺はこのプラントとここで働く皆に対して責任がある。
     君と一緒に行く。

保護スーツを着たレックスとフォード博士は患者のいる部屋との間に設えたチャンバに立ちます。
二人は白い蒸気で殺菌され患者のいる室内へと入っていきます。
フォード博士は解毒剤の医療用注射銃と2つの小瓶を小さいトレーに乗せています。
彼とレックスはもう動けなくなりまだ苦しむ患者に近づきます。
フォード博士がベッドの脇に立ち注射のために患者の腕をまくると、もう片側にレックスは座ります。
彼が患者に針を刺すと小瓶の液体は直ぐに空になります。
二人は反応を待ちます。
次の瞬間患者は苦痛を訴える声を上げると目を大きく開き、
心臓のモニタは物凄いビープ音を出し始めます。
患者はレックスの方に勢いよく手を伸ばして体を起こします。
そしてレックスは立ち上がり退いき腕をテーブルにぶつけます。
心臓のモニターはフラットライナーになり患者は再び仰向けになると死んでしまいます。
レックスはテーブルでぶつけた腕をちらっと見ると保護のスーツに小さい穴を見つけます。

フェイドアウト。スキャンラン

第3幕 場面1
レックスはスモールビル医療センターに入ります。
日中。
待合室は患者で溢れかえっていました。
レックスは待機中のエリアの近くでストレッチャーの脇に立っているスキャンランに近づきます。

レックス:スキャンラン先生、ジェイソン・ティーグという患者の担当ですね。
スキャンラン:レックス、今は手が離せないんだ。

スキャンランはレックスから離れるとレックスは彼を追いかけます。

レックス:他の人たちも?
     全員同じ症状なのか?

二人はストレッチャーの上で気を失っている患者のところで止まります。

スキャンラン:残念だが。
       何がどうなっているのかさっぱりだ。

スキャンランは心臓モニターを見てそして次に歩き続けます。

レックス:これは合成された毒だ。

スキャンランは立ち止まって後ろのレックスを見ます。

レックス:[声を落とし]
     今朝うちの工場で圧力タンクの爆発事故があった。
     我々は漏れないように対処したが、毒素は漏れたに違いない。
     ここにいる患者は皆その毒にやられた可能性がある。
スキャンラン:どうして今頃私に?
       CDCに連絡しないと。
レックス:[スキャンランに立ちはだかり]
     どう償いをすればいいのか分からない。
     だが我々の研究員が作った解毒剤がある。
スキャンラン:どれぐらい効くんだ?
レックス:最初のテストは失敗だった、だが我々が何とかする事を保証する。
スキャンラン:それで遅すぎる。

クラークがラナを運んで廊下に入ります。

クラーク:医者は!
     医者はどこです!

クラークはスキャンランとレックスの方へ歩きます。
スキャンランは壁の脇の空のベッドに合図します、そしてクラークはラナをそこに寝かせます。
病棟勤務員がベッド運びます、そしてスキャンランが後に続きます。
クラークはレックスの所に行き彼の肩を乱暴につかんみます。

クラーク:今日僕と話したときこの事を知っていたのか?
レックス:クラーク、ジェイソン以外にルーサー・コープの外には誰もなんともないと思っていた。
     信じてくれ。
クラーク:これは何なんだ?

レックスが返事をする前に輝く隕石が医療センターに衝突し、待合室の窓は爆発で粉々になります。
待合室に充満する中クラークが振り向くといくつかの隕石が壁に衝突します。
そしてベッドを倒し床に男性が投げ出されます。
クラークがラナの病室に駆けていくとラナはベッドに起き上がり病院のガウンを着ています。
彼女は車のクラクションが鳴る方の窓を恐る恐る見ます。
クラークが窓に走ってブラインドを引っぱり上げます。
火のようなオレンジ色と黒い煙の長い尾を引いたいくつかの隕石が車に衝突して吹き飛ばしています。
二つの隕石が舗装道路にぶつかり大きい黒いクレーターを地面にあけます。
それからクラークが空を見上げるとまっすぐに彼の立っている窓に向かってくる隕石を見つけます。
彼は隕石がぶつからないようにラナの所まで走り彼女を抱きかかえるように包み込みます。
壁は吹き飛び何十ものクリプトナイトはクラークの背中にぶつかります。
しかしラナは腕で頭をカバーし彼はうまくラナを守ります。
彼女が頭を上げてクラークを見上げると、部屋中に散らばったクリプトナイトが彼を弱めます。
そして彼はうなりながら床に倒れます。
壁には巨大な穴があり日の日差しが部屋を照らし出しています。
ラナはゆっくりとベッドからクラークへと近づきます。
壁の中の電線が切れ火花を散らすと部屋のライトが激しく明滅します。
ラナはクラークを見つめます。

ラナ:一体どういう事なの。

ラナの後ろで蛍光灯が音と光を放ち砕け散ります。
彼女は少し驚いて後ろを向きますが再びクラークを見ます。

クラーク:[苦しんで]
     ラナ…
     助けてくれ。
ラナ:[ショックで]
   流星群。
   あなたは同じ日に来たのね。
   どうして気づかなかったんだろ?
クラーク:僕がここにいるのは流星群のためなんだ。
     クリプトンという星からやってきた。

クラークが意識を失うまいと必死でいるとラナはクラークを凝視します。

クラーク:ラナ、君に話そうとしたんだ。
    [彼は痛みでしかめっ面をします]
     でも君が受け入れてくれないと思った。

ラナはかがんで長い尖ったクリプトナイトを拾い上げます。

ラナ:あなたは人間じゃないの?
クラーク:[彼はうなります]
     お願いだ。
     それは僕を弱めるんだ。
ラナ:[涙を浮かべ]
   あなたのせいで両親は死んだのよ、もう二度と両親には会えない。
   [ささやき]
   あなたが両親を殺したんだわ。

クラークは嘆願するようにラナを見上げます。
彼女は手にクリプトナイトを持って目を伏せます。
そして次に彼女は彼を刺すために頭の上のクリプトナイトを振り上げクラークに向かって行きます。
クリプトナイトがクラークの胸に刺さる直前、
病院のベッドの上でクラークは目を覚ましました。
ベッドは廊下にあり廊下にはまだ患者と医者で溢れています。
流星群は夢でした。
彼はある考えが心に浮かびます。

クラーク:母さん。

クラークはベッドから出て廊下を歩き出すと、別の患者を診ていたスキャンランが大急ぎで彼の後を追います。

スキャンラン:[驚いて]
       クラーク?
クラーク:両親を探しに行かないと!
     父さんたちはどこだ?
スキャンラン:皆この中には入れないんだ。
       クラーク、君は感染したんだ。
       座りたまえ。
クラーク:いえ、僕は大丈夫です。
スキャンラン:クラーク…

スキャンランがそれ以上何かを言う前にクラークは廊下を走り出します。

ケント農場に超スピードでやってくるクラーク。
キッチンのドアを開けて中に入ると壊れたガラスの近くで床に倒れて気を失っているジョナサンを見つけます。

クラーク:父さん?

クラークはジョナサンの脇にひざまずいて彼の肩に触れます、しかしジョナサンは手ごたえがありません。
クラークが辺りを見回し続けると電話が外れている音が聞こえてきます。
音に続いて電話と壊れたランプの脇にマーサが倒れています。

クラーク:母さん!
    [彼は彼女のところに行きます]
     母さん?

彼は彼女の背中を穏やかに仰向けにしますが彼女の体はぐったりしたままです。
クラークが部屋から超スピードを出します。

レックスは隔離された患者の部屋の外で携帯電話で話をしていました。
保護服を着た医者はまだ患者に接していました。
フォード博士はレックスと一緒にオフィスにいて不安そうにしています。
クラークがオフィスの中に走ります。

クラーク:レックス!
レックス:[電話で]
     早く更新しておけ。
     [電話を切り]
クラーク:もう時間がないんだ。
フォード:どうやってセキュリティを?
レックス:そんな事どうでもいい。
    [クラークに]
     どうしたんだ。
     病院においてきたはずだ。
     何があったんだ?
クラーク:両親が今あそこにいる。
レックス:[話を理解するのにしばらくかかります]
     クラーク…
クラーク:ラナ、クロエ、ジェイソン…皆死んでしまうんだ、何かしなきゃ!
レックス:俺に何をしろって言うんだ?

クラークは培養器の小瓶の液体に気づいて考えます。

クラーク:僕を使ってくれ。

フォードは困惑したレックスを見ます。

クラーク:僕を使って欲しい。
     僕はこのパニックから助かったんだ。
     多分僕の何かが助けになると思う。
     必要なら僕のサンプルを取ってくれ。
フォード:まあ、たとえ君の免疫が何がしかの効力を持っていたとしても、
     人に使うにはテストをしないにしても、数カ月から数年、分析に時間がかかる。
     ダメだ。

レックスは考え込んで頭に手をあて培養機器に向かって歩きます。
頭中いたる場所から玉のような汗が吹き出ています。
彼は背中をクラークに向けます。

レックス:その通りだ、クラーク。
     後数時間で試験ができる解毒剤を開発中だ。
クラーク:時間はないんだ。
レックス:この薬が透明になるまで1000ケルビンに加熱する必要があるんだ。
     でなければ、使う事ができない。
フォード:[レックスに]
     これは我々が最初に試験を行うんです。
レックス:人の命がかかってるんだ。
     時間がない!
フォード:[窓を指し示し]
     あれを見て下さい、ルーサーさん。
     あれを。
     あの者達を見ても、まだ助かるかどうか分からない薬を打とうとするんですか?
     たとえどう言い繕っても彼らを殺してしまう事になるんですよ。

レックスは窓のところまで行くと悔しそうに見つめます。
レックスとフォードがクラークに背を向けたとき、
クラークは培養器にヒートビジョンを放ちわずか数秒で温度を1000ケルビンに上げてしまいます。
小瓶の中の黒い液体は透明になります培養器はビープ音を出します。
レックスとフォードは信じられないような顔で培養器に振り返ります。
するとレックスはカウンターに行くと医療用注射銃を掴み培養器を開いて小瓶を取り出すとセットします。
フォードとクラークは彼が何をしようとしているの分からず彼を見守ります。
何も言わずにレックスは自身の腕に針を刺して解毒剤を注射します。
クラークは驚いて口を開きます。

フォード:ルーサーさん、ダメだ!

レックスは白目をむきます。
白の閃光が走ると、突然ワシントンD.C.のホワイトハウスで机の後ろに立っている真っ白な服を着たレックスがいます。
それからカンザスの農家の二棟の納屋に移り、
はるか彼方の空には数発のミサイルが白い尾を引いて飛んでいました。
レックスは机から離れ外に続くオフィスのドアに向かって歩きます。
彼がドアを開けると太陽が彼をまぶしく照らします。
彼はミサイルの一機が着弾し視界に入いる全てを覆う大規模な爆発を起こすのを見ます。
フィールドの真ん中で立つレックス。
それからミサイルは色んな場所から発射されてます。
宇宙空間から見る地球は、あちこちで丸い爆発の輪が広がり地球全体が炎に包まれます。
フィールドに立っているレックス、しかし今は地面には土くれと人間の骨以外何もありません。
彼は血のように赤い雲を暗い微笑で見回します。

ルーサー・コープ内のオフィスで目覚めたレックス。
彼はクラークが脇にひざまずいているのを見ます。

レックス:[息を荒げ]
     クラーク?
フォード:うまくいった事を神に感謝してください。
     解毒剤を病院に持って行きます。
クラーク:レックス、大丈夫か。

クラークは誇らしげにレックスにほほ笑みます。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
ライオネルはカンザス州刑務所から出てきます。
日中。
彼は白いレジャースーツを着て、黒いリムジンが待っている縁石に向かって歩きます。
彼がリムジンに到着すると彼は屈んで開いている後部座席の窓を覗きます。
微笑が彼の顔の上にゆっくりと広がります。
それから彼は窓からバッグを投げ入れてドアを開け中に入ります。
中で座っていた人物は彼に笑いかけます。

ライオネル:分かっておくべきだったな。

リムジンは走り去ります。

第4幕 場面2
クラーク、マーサ、ジョナサンは家に入ります。
日中。
ジョナサンはコートを掛けるために立ち止まり、マーサとクラークはキッチンに歩きます。

マーサ:[安心したため息で]
    ただいま。

ジョナサンは彼らの後に従います。
クラークは台所の入り口に立つと落ち着かない様子で見回します。

ジョナサン:クラーク。
      何を悩んでるんだ?
クラーク:違うんだ、2、3日前にこの場所に入った時…二人が床に倒れていたのを思い出すんだ。
マーサ:掃除しておいてくれたのね、ありがとう。
クラーク:ああ、その後ろでランプが割れていた。
     悪夢を見てたんだね。
ジョナサン:そして目を覚ましたら本当になっていた。
マーサ:クラーク、レックスのオフィスに行ってあなたの秘密を打ち明けたの。
    あなたが何をしたのか知ってるの?

ジョナサンは冷蔵庫からピッチャーを取り出し戸だなから3つコップを取り出します。

クラーク:他に選択の余地がなかったんだ。
     それが変なんだ、最近誰かに僕の真実を話すことになるんじゃないかって思っていたんだ。
     今では誰にも話そうとは思わないけど。
     特にラナにはね。
マーサ:彼女があなたの秘密を知ってしまったらどうなるか分かってるでしょ。
クラーク:[頷きます]
     今まで以上に距離が離れていく、毎日そう考えてるんだ。
マーサ:私達の恐れている事があなたの妨げにならないといいんだけど。
    後であなたが話しておけばよかったって思う時がきたら。
    つまりね、ラナは理解してくれるかも知れないわ。
クラーク:そうかも。
     でももしそうじゃなかったら?

マーサは同情的にクラークを見ます。

ジョナサン:クラーク、なあ、私はそれがラナだとは断言できない。
      だがいつか本当の事を話せる者が現れると確信してるよ。

クラークは励ましの言葉に少し微笑します。

第4幕 場面3
タロン。
日中。
ラナが食べ物の入った袋を持って入るとジェイソンはバックに荷物を詰め込んでいました。

ラナ:エッグフーヤン(料理)だけど手伝って!

彼女はジェイソンが何をしているのか見て微笑は色あせます。
彼女はドアを閉じます。

ラナ:それって。
   私がペキンダックを探してたら、あなたは何も言わずに行ってしまうとこだったの?
ジェイソン:いや、俺はいたと思うよ、君に話して理解してもらうために。
ラナ:[彼に近づき]
   理解なんかしない。
   お母さんのこと?
   私がお母さんに会ってからあなたはずうっとおかしかったわ。
ジェイソン:違うんだ、スモールビルに来たときからずっと俺は変なんだ。
      つまり、半年前まではレックスみたいな男に仕事のためとはいえ頭なんか下げたくなかった。
      俺が悪かったのはその事を君に話すのが恥ずかしかったんだ。
ラナ:私と会ってから今まで恥ずかしかったことなんてあった?
ジェイソン:そうだな。
      俺は君にふさわしい人間じゃない、ラナ。
      自分自身に憤りを感じる以上に君を待ってられないんだ、だから…

ラナは探るような目でジェイソンを見つめます。

ラナ:理由はそうじゃないでしょ。
   クラークとの事で学んだ事があるわ。
   本当の事を話してない。

ジェイソンはどう返事を返そうかとラナの目を見ます。
それから彼は目を伏せます。

ラナ:ジェイソン、本当の事を話して。

ジェイソンは再び彼女を見ます。
そして二人はしばらくの間見つめあいます。
それからジェイソンはバッグのジッパーを締めて手に持つとラナに向かって歩きます。
彼は彼女の前で止まるとしばらく彼女を見て頬にキスをします。

ジェイソン:気をつけろよ。

ラナはジェイソンがこれ以上何も話さない事を悟り悲しげに顔をしかめます。
彼がドアから出て行くのを彼女は見送ります。

第4幕 場面4
スモールビル高校。
日中。
クロエはイライラして携帯電話で話しながらトーチオフィスにいます。
クラークが中に入ると彼女は電話を切ります。

クロエ:[熱弁をふるいながらゆっくりと机のまわりを歩き]
    ルーサー・コープから話が聞けないのよ。
    つまりね、巨大な化学爆発は誰にでも最悪の悪夢を見せるのかって?
    それって何なの?!
    それに誰も訴えでないのよ。
    まるで皆が完全に忘れてるみたいにさ!

クラークが不思議そうに彼女を見ます。

クロエ:何よ!
    何なの?!
    何なのよ?
クラーク:[バッグを下に置き]
     君がそんなに興奮してるのを始めてみたよ。
クロエ:[落ち着いて]
    もう落ち着いたわ。

クラークは彼女が続けるのを待ちます。

クロエ:ママを見つけたの、クラーク。

クラークはクロエの机の方へと歩きます。

クラーク:へーっ。
     そりゃ…クロエ、よかったじゃないか。
クロエ:ええ、ずっと前から調べてきたんだけど三ヶ月前にとうとう分かったの、それで…
    結局ママは行方不明じゃなかった…なんていって言いか。
   [彼女は泣き始めます]
    ママは精神病院にいるのよ。
クラーク:ごめん。
クロエ:[頷き]
    本当に以外だったのは遺伝性のものだったのよ。
クラーク:[なだめるように]
     聞いてくれ。
    [彼は彼女の腕に手を置きます]
     僕が学んだ事から言えば、両親からの運命を引き継ぐとは限らないだろ?

クロエは涙を拭って頷きます。

クロエ:ええ、ありがとう。
   [彼女は離れます]
    それじゃ、一番気になる質問ね。
    クラーク・ケントの最も悪い悪夢は何だったの?
クラーク:僕が目を覚ました時。
    [彼は机の上に座ります]
     知ってる人が皆いなくなってた。
     僕は一人ぼっちだった。
クロエ:いつでもあなたの隣にいられたらって思うわ。
    でもどういうわけかその約束は守れそうにないって感じるの。

彼女はクラークのところに行って机の彼の隣りに座ります。

クロエ:あなただけがあの悪夢から抜け出す事のできたたった一人なのよ、クラーク。
    それはあなたのビタミンをとっていたからだなんて思ってないわ。
クラーク:クロエ…
クロエ:あのね?
    話してくれなくてもいいの。
    あなたの事はもう詮索しないって約束したから、でも…
    この数ヶ月、ママの事を隠すっていう秘密を持った気持ちを感じたわ。
    そしてこれまで以上に孤独を感じなくなった。
クラーク:[思いにふけってうなずきます]
     人が怪しんでくるかもしれない、でもその事は何も言わない方がいい。
クロエ:ええ。
    私はそんな一生を送りたくなんかないわ。
    でも告白したらなんだかすっきりしたわ。
    もしあなたが友達に話せない事ができないとしたら、
    誰になら話せるの?
    ねえ、クラーク?

クラークは何か決心するかのように長い間クロエを見ます。
クロエは彼の目を見つめ返します。

フェイドアウト。

おしまい