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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン4.13Recruit[リクルート]

第1幕 プロローグ
メトロポリス大学。
夜。
キャンパス内の学生寮ではパーティーが賑やかに行われています。
部屋中いたるところで笑いあって話している若い男女でいっぱいです。
バーではグラスを並べてテキーラを注いでいました。
皆がダンスを踊っている中、テーブルでは三人の男たちともう一人がテキーラの飲み比べをしていました。
彼らの周りには人垣ができ声援を送っています。

周りの皆:一気!一気!一気!

三人の前にはいくらか残ったテキーラがあります。
彼らは明らかに長い間飲んでるようでした。
ついに真ん中に座っていた男はイスに寄りかかるように倒れ気を失いました。
三人の向かい側に座っている人物はロイス・レーンでした。
そして彼女は自分のグラスに残ったテキーラを手に取ります。
彼女も明らかに大分飲んでいつようですが平気そうな顔をしています。
彼女は空のグラスをテーブルに置くと勝ち誇ったように皆に微笑みます。
見学している中から二人の男が倒れた男を立たせてその場から連れ出します。

ロイス:[からかって]あんた達、大丈夫?
    手伝ってあげようか?

テーブルに着くもう一人の男はいくぶん神経質そうにロイスを見ます。
もう一人はデイブ・クーパーで汗をかきながら飲み比べを続けています。

デイブ:さあ。行けよ、飲めよ!ほら。

三人の前にはグラスにテキーラが注がれます。
ロイスがグラスを煽りテーブルにグラスを置くと先ほどの神経質そうな男が吐き気を催し始めます。
彼は次第にエズキ出して口を手で抑えると立ち上がって洗面所まで走って行きます。
周りでみていた皆は興奮して叫びます。
現在、ロイスとデイブだけが残ります。

ロイス:ねえ、知ってる?
    私はあなたが遊んでいる女学生とはわけが違うわよ。
    ロシアの将軍やイギリス大隊部隊と一緒にウォッカを飲んだ…
デイブ:話すのを止めて、飲めよ!

沢山のグラスが二人の前に並べられると二人はグラスを取ります。
もう一人の男、ジェフ・ジョーンズがデイブに近ずいて彼の肩にふれます。

ジェフ:おい、何をやってるんだ?
デイブ:[挑戦的に]飲んでるのさ。
ジェフ:身体検査があるんだぞ。
デイブ:尻の穴の小さい事言うなよ。
ロイス:止めるんじゃないわよ。飲み干すか、お金を払いなさいよ。

ジェフはデイブの手からグラスを取るとテーブルに置きます。

ジェフ:分かった。皆もここから出よう、いいな?
    明日の朝は何が何でも早く起きなきゃならないんだ。
    新人が来くる。

デイブは彼を無視してグラスを取りロイスに合図します。

ジェフ:[まじめに]なあ、もう十分飲んだろ。
デイブ:まだまだこれからだ、間抜けめ。

デイブのグラスを持つ手が揺れだします。
そして体全体が揺れ始め、ついにはグラスを落としテーブルの上にテキーラをこぼして椅子から落ちます。
ロイスが目を見開いて最後のグラスを飲み干すと部屋中の皆は拍手喝采します。
ジェフはデイブを助け起こします。

ジェフ:さあ、ベッドに連れて行ってやる。
デイブ:[弱々しく]放っておいてくれ、ジョーンズ。

ロイスは微笑んで立ち上がります。

寮から出てくるロイス。
彼女はパジャマとウサギのスリッパを履いてゆっくり歩いています。

ロイス:深呼吸、新鮮な空気。世界は回ってない。

デイブがよろめきながら彼女の後を追ってきます。

デイブ:おい、待ってよ。

ロイスは振り向きます。

ロイス:ピンクのゾウさんが見えるんじゃない?
デイブ:もう一回勝負しようぜ。今度は俺らの勝ちだ。
    [彼は微笑んで近くに来ます]
    さあ、何で勝負する。
ロイス:[彼を押しのけ]
    あんたの試合を見たわ、フットボールの。
    かくれんぼなんてどう?
    あんたが隠れて、私が十億数えるから。
    数え終わったら探すから、隠れなさいよ。

ロイスは振り向いて離れます。

デイブ:おい、おい!そんな事言うなよ!
ロイス:あんたには彼女がいるでしょ、バカ。変態。

彼は彼女に近づくと彼女の肩を掴み向きを変えさせます。

デイブ:来いよ!

ロイスは彼の腹を蹴ります。
彼は腹を抱え呻いて地面に倒れます。

ロイス:ねえ、かくれんぼの方がもう少し面白かったと思わない?
デイブ:おい、痛いじゃないか!
ロイス:おやすみ、軟派男さん。

ロイスは離れます。

翌朝、ロイスは寮の部屋でマクラに足を乗せて逆さまに寝ています。
日差しは部屋を明るく照らしています。
ドアを叩くしつこいノックがあります。
ロイスは寝返りをうちます。

ロイス:何なのよ![小さな声で]おねがい…

ノックは更に大きな音で続きます。
ロイスは起き上がるとドアへ歩いて行きます。

ロイス:朝の7時に寮の部屋のドアを叩くなんてどうかしてるんじゃ…

彼女がドアを開けると二人の警官がいます。

警官:ロイス・レーン?
ロイス:[頭を押さえ]大声を出さないでもらえますか?
警官:君は昨夜デイブ・クーパーと口論したという事ですが。
ロイス:口論って程じゃないけど、ええ、認めるわ。
警官:その子は意識不明の重体だ。君を逮捕する。

もう一人の警官が部屋の中に入ってロイスの腕を背中に回し手錠をかけます。
ロイスは深刻に警官を見ます。

第1幕 場面1
ケント農場。
日中。
屋根裏でジョナサンはクラークがバッグに詰めるのを手伝います。
クラークはレターマンのジャケットを着ています。

ジョナサン:私はお前がこういう事になったのは嬉しいさ、クラーク。
       だがなお前に嘘をつきたくはない。
       嬉しい反面、心配もあるんだ。
クラーク:父さん、MET Uフットボールの試合を見に行ったのを覚えてるだろ。
     今、そこから僕をスカウトしてきたんだ。

ジョナサンはバッグのジッパーを閉めて階段の方へ運びます。
彼とクラークは一番下の階に行きます。

ジョナサン:分かってる、だから、お前を誇りに思っているんだ。
クラーク:それじゃどうして他の高校生が夢にまで見る事をやっちゃいけないんだい?
ジョナサン:お前は普通の高校生とは違う、クラーク。
クラーク:フィールドでは普通だ、力は使ってないよ。
      それに僕はメトロポリス・ブルドッグの新しいクォーターバックだ。
ジョナサン:お前を見る者が何百万人もになる。
       大勢の人間にお前はさらされるんだぞ。
クラーク:前にもその事は話したはずだよ。
ジョナサン:クラーク、MET Uは高校とは違う。
       より大きなステージだ。
       もっと大きな問題がおきるかもしれない。
クラーク:父さんはいつも逃げるなって教えてくれたじゃないか。
      それならやってやるさ。

ジョナサンは頷きクラークが正しい事を認めます。

クラーク:父さん、僕ならできる。
ジョナサン:お前ならやれるだろう。週末は行儀よくするんだぞ。
       ビールの樽には近づくな。
クラーク:心配しないで。
      アルコールは僕にはきかない、覚えてる?
ジョナサン:そういう問題じゃない。
       お前はまだ未成年だ。
       お前が入学する前に追い出されないようにな、分かったか?
クラーク:[うなずき]OK。
ジョナサン:もう一つある。それは非常に重要なことだ。
       こんな経験は一生に一度だ。
       十分楽しんでくるんだ。

クラークは微笑みます。
ジェフ・ジョーンズがメトロポリス大学のレターマンのジャケットを着て納屋に入ります。

ジェフ:クラーク・ケントか?
    将来MET Uに入る選手は?

クラークは驚いてジェフを見ます。

ジョナサン:やあ!テフロン・テイルバックがこんな町に戻って何をしてるんだ?
ジェフ:どうも、ケントさん。
    [彼らは握手します]
    キャラウェイコーチがクラークを驚かせようとして、
    迎えに行く者に地元の者を選んだんです。
クラーク:驚きましたよ。
      ブルドッグの選手が僕の納屋に来るなんて思ってませんでした。
ジェフ:[クラークの肩を軽く叩き]
    おい、俺は君とかわらないさ、クラーク。
    俺も農家の子供だし、まともなフットボールプレーヤーだ。
ジョナサン:まともなフットボールプレーヤーとは?
       NFLに誘われてるんだろ、君はスモールビル高校にとって伝説だ。
ジェフ:ええ、でも、あなたの息子さんは、T.D.sシーズンで俺の記録を破りました。
ジョナサン:[誇りをもって]ああ。
ジェフ:君の方が伝説になったんだ、クラーク。
クラーク:本当にそう思ってます?
ジェフ:そうだよ。
    君はとんでもない事を手に入れたんだ。
    でもどこの高校を出たのか忘れるな、スモールビル高校だ。
    キグリーコーチに挨拶しに行こうか?
クラーク:はい。

ジョナサンはクラークにバッグを手渡します。
そしてクラークは興奮して微笑みます。

第1幕 場面2
ロイスとクロエがスモールビル高校の廊下を歩きます。
日中。
ロイスは黒いサングラスをかけています。

ロイス:彼って私の理想じゃなかったんだよね。
    でもそんなつもりでやったんじゃないわ。
    彼は話す事さえできないのよ。辛いわ。
クロエ:ロイス、腹を蹴ったぐらいで全身麻痺が起きるなんて医者じゃなくても分かるわ。
ロイス:[サングラスをはずし]
    裁判官が分かってくれるのを願うわ。
    さもなきゃ、刑務所の映画で女優にでもなるわ。
クロエ:どうやって保釈されたの?
ロイス:四人の親友がクレジットカードを使ってくれたのよ。
    クロエ、私は他に行く場所が見つからなかいのよ。
クロエ:いいえ、あなたはラッキーだったわ。
    私も奨学金の申請にMET Uに行くはずだったの。
    私と一緒に行って解決してみない。

クラークが歩いて来ます。

クラーク:ロイス、話しは聞いたよ。
ロイス:こういう話は伝わるのが速いわね。
クラーク:君の入院させた相手はジェフのルームメートだ。

クラークは一塊の高校生と話しているジェフを手ぶりで示します。

ロイス:クラーク、神に誓って言うけど、やったのは私よ。
    でも彼を麻痺させるなんて思わなかった。
クラーク:飲んでいたのか?
ロイス:あの日以来飲んでないわ。咳止めシロップやラムケーキさえもね。

ベルが鳴るとロイスは痛みで頭にさわります。

ロイス:アスピリン持ってない?
クロエ:[微笑み]トーチの左側の上の机の引き出しの中。

ロイスはトーチへ歩いて行きます。

クラーク:聞いてくれ、クロエ。
     今日車で行く約束をしたけどジェフが迎えに来たんだ…
クロエ:[冗談ぽく]ええ。分かってるわよ。
     スターのクォーターバックは普通の人とは乗りたくないわよね。
クラーク:そんな事じゃないのは分かってるだろ。
クロエ:分かってるわよ、クラーク。

クラークがジェフに戻ろうと踵を返すとクロエが引き止めます。

クロエ:ねえ、あー、クラーク。
    実はさ、あなたがフットボールをとったことにちょっと驚いてるんだ。
クラーク:どうして?
クロエ:あの…分からないけど。
     少し不公平な利点を持ってるような気がして。

クラークは不思議そうにしばらくクロエを見て近づきます。

クラーク:それはどういう意味?
クロエ:あのさ、あなたがすごい才能を持っているのは当然だと思うの…そのーフィールドでね…

彼女は期待を持って彼を見ます。

クラーク:スポーツの世界では僕よりすごい人がいるよ。
クロエ:[ガッカリして]いいわ。私のいいたい事が伝わらないみたいだから。

クラークは不審そうに彼女を見ます。

クロエ:フットボールのことよ。
クラーク:クロエ…

ジェフがクラークに近づき肩に手を掛け会話をさえぎります。

ジェフ:行こうか、クラーク。
    パーティーが始まるぞ。

クラークは微笑んでジェフと一緒に去ります。
クラークは一瞬クロエに振り返ります。

第1幕 場面3
ジェイソンがレックスの書斎に入ります。
日中。
レックスは机の席に着いています。

レックス:君が申し出を受け入れてくれて当然だと思うよ。
ジェイソン:それほど難しい決定じゃなかったよ。
レックス:言うのを忘れたが、会社の車は必要経費に含まれる。
ジェイソン:俺は彼女との関係を壊す奴と仕事をするつもりはない。

レックスは立ち上がってジェイソンの方へ歩きます。

レックス:ジェイソン、俺の唯一の懸念はラナの幸せだ。
     だが君は俺が心配する程の脅威じゃない。
     むしろ君の母親の方だ。
     子供の頃毎年夏になると母親に連れられてはるか遠くまで旅に連れて行かれたのをおかしいとは思わなかったか?
     水道水さえい地域にな。
ジェイソン:お袋は旅行が好きだからな。いつもそうだった。
レックス:それは休暇じゃない、ジェイソン。
     研究のための旅だ。
     そして四百年前に火あぶりにあった女性を調査していた。
ジェイソン:マルガリット・イソブル・セローか?
レックス:君のガールフレンドに憑依した伯爵夫人だ。
     君の直ぐ後で起きた事、そして君の母親がラナに介入した事?
     それは俺を悩ました。非常にな。
ジェイソン:それとは無関係だ。
      ラナを危険には巻き込まない。
レックス:俺は君を信じている、でなけりゃ仕事は提供しない。
ジェイソン:どうしてだ。俺に何を望んでるんだ?
レックス:俺には十分な資産がある、ジェイソン。
     だが俺が持っていないものが一つある、手段だ。
     君の人生に関わる二人の女性はどうもマルガリット・イソブル・セロールーと関係があるらしい。
     君には二人の知っている事を見つけて欲しい。
ジェイソン:それじゃ俺に二人を見張れって言うのか?
レックス:情報を得る方法は君次第だ。直ぐに返答してもらおう。

ジェイソンは考え込んでレックスを見ます。

第1幕 場面4
メトロポリス病院。
日中。
ロイスとクロエがデイブの病室に入ります。
彼は目をあけたままベッドに寝ていました。
心臓のモニターに接続され鼻の下には酸素管があります。

ロイス:クーパー?聞こえる?
    ロイスよ、一緒に飲んだでしょ。
    こんな事になってとても残念だわ。
    でも神に誓っても私がやったわけじゃないからね。

反応はありません。

ロイス:[クロエに]夕べ、断らなきゃよかった…
クロエ:さあ、ロイス。
    誰かに見つかる前にここから出ないと。

ロイスはテーブルの上の物に気がつきます。

ロイス:多分クーパーの親しい友達なら私じゃないって事を分かってくれるかも。

テーブルには花と見舞い状が沢山置いてあります。
クロエとロイスはテーブルに行ってカードを読み始めます。

クロエ:ロイス、私は…
    [カードを見て]
    おばあちゃんが答えを知ってるとは思えないわ。
ロイス:[別のカードを見て]
    でもガールフレンドのモニークなら分かるかも。
クロエ:どうしてその娘がガールフレンドだって分かるの?
ロイス:カードにこう書いてあるから。
    「あなたを永遠に愛します」
    これが何よりの証拠でしょ。

別のカードには「アルファ・アルファ・アルファの女子より、すぐに善くなりますように!!!」と書かれていました。

第1幕 場面5
クラークとジェフはジェフの大きな黒いSUVでメトロポリスの道を走っています。
日中。

クラーク:このトラックはすごいですね、何でも付いてる。
     でも空は飛べないでしょ。
ジェフ:おい、それを見てみろ。

ジェフはダッシュボードに埋めこまれているナビゲーションシステムを指さします。

ジェフ:そのボタンを押せば必要な情報が出てくる。
    ATMや映画の時間、それ以外にもな。
クラーク:[感心して]すごいですね。
ジェフ:ああ、来年のモデルの方がもっといいらしいぞ。
    スポーツカーみたいなものを望まなけりゃな。
クラーク:何ですか?
     僕がここに入学すればこんなトラックをもらえるって言うんですか?
ジェフ:ある卒業生がスポーツ選手に車を貸してくれるんだ。

クラークは疑惑の目でジェフを見ます。

ジェフ:クラーク、大学のフットボールはビッグビジネスだ。
    つまり色んなものを得る事ができる代わりに、彼らはその見返りを期待しているわけだ。
    そのためにも活躍しないといけない。
    [微笑み]
    お前はヒーローでなくちゃならないんだ。

クラークはこの言葉にわずかに狼狽します。
しかし次第に興奮してきて微笑みます。
彼は窓の外を見ます。

ジェフ:お前がどこで土曜日を過ごすか知りたいだろうと思ってな。

彼らはMet Uスタジアムの外に着きます。
そしてジェフは駐車場へ入っていきます。

フットボールスタジアムに入いるクラークとジェフ。
フィールドの真ん中ではマーチングバンドが演奏しています。
そしてメトロポリスブルドッグのチアリーダー達が声を合わせて歌っています。

チアリーダー:クラーク・ケント、クォーターバック!
         紛れもないブルドッグの選手!
         クラーク・ケント、クォーターバック!
         紛れもないブルドッグの選手!

ブルドッグのマスコットもそこにいて手を叩いていました。
クラークとジェフは選手たちが待っている場所へとチアリーダー達を通り越して歩きます。
選手たちは皆ユニフォームを着ています。
男の声がスピーカーを通して聞こえてきます。

男:レディース・アンド・ジェントルマン、メトロポリス・ブルドッグのクオータバック選手だ。
  カンザスのスモールビルから来たその男は!
  背番号八番、クラーク・ケントだ!

クラークは驚いてあたりを見まわします。
彼の後、フィールドの上の方にある特大スクリーンには「ようこそ、No.8クラーク・ケント」と表示されています。

ジェフ:どうだ、かっこいいだろ?
クラーク:[言葉を失ったように]それ以上だよ。
ジェフ:慣れてくれよ、相棒。
    [クラークの背中を軽く叩き]
    まだまだ序の口だぜ。

選手たちの中からチームのコーチが進み出てクラークの手を握ります。

コーチ:カンザスの金色の腕が到着したな。
    君に会えて嬉しいよ、クラーク。
クラーク:コーチ、僕もです。
コーチ:なあ、多くの学校が君をスカウトしにかかってるのは分かってるつもりだ、クラーク。
    だがここに来れば君はナショナル・チャンピオンシップも夢じゃない。
クラーク:[微笑み]いい響きですね。
コーチ:これを着てサイズを合わせてみてくれ。

コーチは背中にケントと8番の番号の入った青いブルドッグのユニフォームを渡します。

クラーク:[ユニフォームを受け取り]コーチ、ありがとうございます!
コーチ:私は君が正しい選択をすると思ってるよ、クラーク。

別のスーツを着た男性が歩いて来ます。
彼はゲイリー・バーゲンです。

ゲイリー:[クラークの手を握り]
      クラーク。ゲイリー・バーゲンだ、メトロモータース社の。
      ブルドッグ・ブースター・クラブを代表して、
      ようこそMet Uへ。
      もし必要な事があれば何でも言って欲しい、ここに連絡をしてくれたまえ。

彼はクラークに名詞を手渡します。
周りの皆が拍手を送ります。

ジェフ:皆がチームを勝たせたいんだ、クラーク。
    それができるのは、俺や君のような人間だ。
クラーク:わあ。これは素晴らしいよ。
ジェフ:おい、まだ何にも見てないだろ。

第1幕 場面6
クラークとジェフはアルファ・アルファ・アルファの女子学生のクラブハウスに到着します。
日中。
クラブハウスの前にはクラークの歓迎のためのバナーが飾ってあります。
クラークとジェフが中に入いると全ての女の子は興奮してドアに駆け寄ります。

女の子達:ハイ、クラーク!

クラークは微笑みます。

ジェフ:トリプル・アルファはフットボールの大ファンなんだ。
クラーク:えっ?

非常に魅力的な女の子が誘うようにクラークに話しかけます。

女の子:だから、私達であなたの事を調べたの、チョコレートが大好きなんでしょ。
      ケーキを作ってあげたわ。

彼女はクラークの手を取ってテーブルに案内します。
そこであった物は精巧にフットボールフィールドを模った大きなチョコレートケーキで、
その上には実物大の白いフットボールを模った物があり「ブルドッグ!」と書かれていました。
更にケーキの周りには「クラーク、来てね!」と書かれていました。

クラーク:何もこんな大げさにしなくても。
女の子:私達、あなたが来てくれるんなら何でもするわよ、クラーク。

彼女の甘ったるい口調はチョコレートケーキ以外の何かを暗示しています。
そして、クラークは不審そうに彼女を見ます。

女の子:ハウスの中でも案内しましょうか?
クラーク:あー…お願いするよ。

クラークが答え終わる前に女の子は再び手を取って階段の方へと連れて行きます。
別の女の子が二人の後を追います。

ジェフ:行けよ、クラーク。ゆっくりな。

クラークは不審そうにジェフに振り返ります。
そしてジェフが彼を放っておいていると理解します。

ジェフ:[微笑み]寮で待ってるからな。

女の子は階段へとクラークを引っ張ります。
二階につくと彼らはベッドルームに入ってドアを閉めます。

クラーク:二人はルームメートかい?
女の子:うーん…違うわ。
      私のルームメイトはクーパーの入院してる病院に行ってるわ。
      彼女のボーイフレンドなの。
クラーク:ああ。

もう一人の女の子がクラークの傍に立っています。
そして彼の腕に触れます。
最初の女の子がドアを閉めた後、彼女はクラークのもう片側に来ます。

女の子#2:クラーク。私達、聞いてるわよ、腕がいいだけじゃないって…手も大きいってね。

二人の女の子がクラークを襲います。
最初の娘がクラークの首にキスしようとしています。
彼は落ち着かず二人から後ずさりします。

クラーク:本当かい?誰が僕の事を話したの?

女の子:クラーク…

彼女はクラークの首に手をかけ唇にキスをしようとします。
彼は素早く背を向けて窓の方を見ます。

クラーク:あー、外の景色でも見ないか、眺めがいいだろ?
女の子:ええ、あなたがレンガ塀が好きならね。

彼女はベッドの上にクラークを押します。

女の子:もっとあなたの素敵なところを見せて。

二人の女の子は自分たちのシャツのボタンを外します。

クラーク:[さらに不安になり]ツタを見ようよ。

二人ともくすくす笑ってクラークの方へ乗り出します。
後ろのクロゼットの方から音が聞こえると二人は止めます。

女の子:何?

クラークはクロゼットのドアをX線ビジョンで透視します。
中に隠れていてるのは本を開いて持っている誰かがいました。

クラーク:開けて調べるよ。

クラークは立ち上がるとクロゼットのドアの方へ歩きます。
彼は背中を二人に向けてドアを開けます。
そのため二人には中を見る事ができません。
クロゼットに隠れていたのはロイスでした。
彼女は人指し指を口に当てクラークに黙っているように指示します。
クラークはドアを閉めて振り向きます。

クラーク:あー、セーターが落ちただけだった…中で。
     [彼は咳払いをします]
     あー、何か飲物でももらえないかな?
女の子:あっ、ええ、もちろんよ。

わずかに混乱した女の子はシャツのボタンを掛けて部屋を出ます。
もう一人の女の子は残ります。
そして魅惑的にクラークを見つめます。

クラーク:それから食べ物も何かないかな?

もう一人の女の子はため息をついて部屋を出ます。
クラークは振り向いてクロゼットのドアを開けます。

クラーク:ロイス、ここで何をしてるんだ?

ロイスが部屋の中に出てきます。

ロイス:同じ質問をするわ、でも、もう分かったから、フンッ。
クラーク:どうして他人の部屋に忍び込んでるんだよ?
ロイス:クーパーの彼女がいなかったから家捜ししようと思ってね。

ロイスはその娘の日記だと思える本を上げます。

ロイス:本当の面白いわよ。
    [彼女は日記を開けて読みます]
    「2ポンド体重が増えちゃった。
     今後、炭水化物は取らないようにしないと」
    彼女はヘミングウェイじゃないけど、大人しい…
クラーク:今はそんな時間はないんだ。

ロイス:[2、3ページをめくり]ここよ。
    「クーパーは新聞記者に会った事をものすごく隠してる。
     それはフットボールチームと関係があるかも、
     でもそれが何なのか分からないわ」

こちらに帰ってくる二人の女の子の笑い声が聞こえてきます。
クラークはクロゼットの方へロイスを押し戻します。

クラーク:入って、入って、早く、ほら、入れって!
ロイス:入るわよ!

ロイスがクロゼットに走って戻るとクラークはドアを閉めます。

二人の女の子はもう三人女の子を連れて部屋に入ります。
彼女たちはチョコレートケーキの「クラーク」という部分とレモネードを持ってきました。

女の子:[挑発的に]クラーク、ここの部分が好き?
クラーク:僕は…

第1幕 場面7
メトロポリスのデイブの病室。
夜。
ベッドの上には彼の手が出ていました。
そして指から心臓のモニターへと接続されています。
彼の指がピクっと動きます。
デイブは瞬きできるまで回復していました。
ジェフが入ってきます。

ジェフ:よう、相棒。気分はどうだい?

デイブはジェフを見ますが話すことができません。

ジェフ:段々よくなってきてるようだな。

デイブは呻きます。
ジェフはベッドに近づきます。

ジェフ:このままだと話すことができるようになるな。
    そうなったら俺の事を皆に話すことになる。
    俺が止めなきゃそうなっていた。

デイブは口を開いて話そうとします。
しかし出てくる声は意味のない雑音とあえぎ声だけです。

ジェフ:シーッ。

ジェフは指先でデイブの肩にさわります。
ジェフの指は赤く光りデイブの体に何らかのエネルギーを撃ちます。
デイブはしばらくの間痙攣を起こすと体を起こしグッタリとなって倒れました。
デイブが再び麻痺するとジェフはベッドから枕を取ります。
そして悲しげにデイブを見下ろします。

ジェフ:悪いな、クーパー。

ジェフはデイブの顔の上に枕を置きます。
心臓のモニターはフラットライナーになります。

フェイドアウト。

第2幕 場面1
メトロポリス大学。
夜。
クラークとロイスはフットボール寄宿舎の誰もいない廊下を歩いています。

クラーク:外で待ってろって言っただろ。
ロイス:待ってるなんてできないわ、私が裁判にかけられるんだよ。
    ジェフが知っている事を聞きたいの。ジェフの話…

ジェフが彼らの方へ近づいてきます。
彼は疲れているように見えます。
そしてまるで泣いていたように彼の目は赤いです。

クラーク:やあ。こちっは友達のロイスだ。

クラークはジェフの様子に気がついて心配します。

ジェフ:コーチに電話したところだ。クーパーが死んだんだ、クラーク。
ロイス:なんてことなの。
クラーク:いつ?
ジェフ:一時間前だ。
    容態はよくなってきてたんだけど。
    あれから医者が息をしてないと。
ロイス:ねえ、ジェフ。
    クーパーがフットボールチームのことでどこかの新聞社へ行っていたのを知ってるんだけど。

ジェフは危なそうな目でロイスを見ます。
クラークはその表情を悲しみと間違えます。

クラーク:ロイス、今はその話はようそう。
ロイス:今しかないのよ、クラーク。
    でなきゃ私が鎖でつながれることになっちゃうわ。
クラーク:[ジェフに]
     ごめん。彼女は最近ストレスがたまってて。
ロイス:違うわ、ストレスを抱えてるのはあなたの方でしょ。
    それとも今までやった事もない試験のためかしら。
    私は保釈されてるけど殺意なき殺人事件で監禁されようとしてるのよ。
ジェフ:クラーク、ちょっと話せるか?
ロイス:ねえ、クーパーは残念だったわ。本当に。
    でも私の事を話したいならコソコソと文句を言わないで堂々と私の前で言ったら。
クラーク:ロイス、お願いだ。
     後で追いつくから。

ロイスは降参して行ってしまいます。

ジェフ:君の友達を名指しで話すことはできなよ、クラーク。
    でもあれはトラブルのようなものだ。
クラーク:僕はそれを見つけ出そうと思ってる。
ジェフ:ああ、君から彼女にここにやって来ないように言ってくれないか。
    彼女も十分に傷ついている。

ジェフは歩き去ります。

第2幕 場面2
ラナとジェイソンはラナのアパートで話しています。
夜。
ラナは夕食をテーブルへ運んで座ります。

ラナ:[怒って]
   あなたが彼のために働くなんて考えてもいなかったわ。
ジェイソン:そういう問題じゃないんだ。
ラナ:そういう問題よ。
   セロー伯爵夫人を調査する?
   それは全て計略よ。
ジェイソン:ラナ、レックスが俺を利用するより、俺の方が奴を利用して奴の知っている事を見つけてやる。

ラナは立ち上がって興奮してジェイソンの方へ歩きます。

ラナ:分かったわ、でも秘密やウソを沢山つくことになりそうだわ。
   いつかばれるわ。
ジェイソン:残念だがレックスやお袋みたいな人間と付き合うには正直が必ずしもいい方法ではないんだ。
ラナ:そんな事じゃない。ウソをつくなんて、私にはできない。
ジェイソン:壁にぶつかったんだ。
      伯爵夫人の調査は進んでない。
      これはチャンスかもしれないんだ。
ラナ:または私達をバラバラにすの。
ジェイソン:そんな事は起こさせないさ。俺を信じて。
ラナ:どうやって信じればいいの、嘘をついてまで?
   レックスが何かを知っていると思うなら、私に考えがあるわ。

第2幕 場面3
レックスの屋敷。
日中。
ラナは廊下をレックスの方へと歩いて来ます。
それから二人は彼らは一緒に歩きます。

ラナ:あなたは自分を何様だと思ってるの?
レックス:何か悩み事でもあるのか、ラナ?
ラナ:私の事で何かを知りたいなら私に聞いて、レックス。
   コソコソと嗅ぎまわるのに彼を引っ張り込まないで。

彼らは書斎に到着します、そしてレックスは書類カバンを置きます。

レックス:どう思ってるのか知らないが、俺は君の味方だ。
ラナ:どうやってそれを分かれって言うの?
   みんあ秘密にして隠してるのに。
レックス:君が秘密と思っているものは、用心のためだ。
ラナ:私はもう大人よ、レックス。
   用心なんか必要ないわ。本当の事が知りたいの。
レックス:時々、人間っていうのは手に入れるまで真実を欲しがるものだ。
     ラナ、もし真実を話して欲しければそうしてもいい。
     だが、君はいやになるもしれない。
ラナ:ジェイソンの事を話そうとしてるんなら興味はないわ。
レックス:なあ、君にとって奴が大切なのは分かってる。
     だが聞きたいと思ったら知らせてくれ。
     君は自分自身を解き放つ事ができる。

レックスは彼女から離れていきます。

第2幕 場面4
MET Uフットボールスタジアム。
日中。
一団の人々がスタジアムより上のブースに立っています。
皆黒服を着てシャンパンを手にしています。
デイブ・クーパーの写真が飾られています。
ジェフがデイブに代わって話すように写真の隣に立っています。

ジェフ:クーパーは偉大なフットボール選手だった。偉大な。
    彼は大変、正しい事と間違っている事に気をかけていました。
    クーパーに。
全員:クーパーに。

全員はグラスを傾け飲みます。
フットボール選手全員はクーパーに対する献杯として缶ビールを飲んでいます。
クラークもその中にいました。

ジェフ:さて、彼はパーティーが好きだった、だから…パーティーを開こうじゃないか。

来賓が入り乱れ始めると、ジェフがクラークのところまで歩きます。

ジェフ:飲んでないのか?
    どうした、ビールを飲んだ事がないのか?
クラーク:いや、あるよ。
ジェフ:じゃあ、飲めよ。
    君が未成年なのは知ってる、クラーク。
    [彼はビールを開けてクラークの脇に置きます]
    でもな、気持ちを切り替えるんだ。

ジェフは自分のビールを飲み干すともう一本ビールを開けました。

クラーク:もう少しゆっくり飲んだらどうだい?

ジェフはしばらくクラークを見て深呼吸をします。

ジェフ:ケント、君は俺と同じ町の出身だったな、だから…率直に話すよ。
    ブルドッグに来るという事は誰もの夢なんだ。
    だが今の君はプレッシャーに負けている。
    皆が望んでいるのは勝者だ。
    プレッシャーは禁物だ。

ジェフはそおっとクラークの肩にさわって微笑みます。
それから彼はクラークの後ろに男が入って来るのを見ます。
男の存在はジェフを苛立たせます。

ジェフ:あー、ここにいてくれ。すぐに戻ってくる。

ジェフはクラークから離れると、入ってきた男を連れてフィールドを見下ろすデッキに行き別室に入りました。

ジェフ:一体どうしてここに来たんだ?

ドアが閉まるとクラークは会話を聞くためにスーパーヒヤリングを使います。
窓から彼らを見ます。

ジェフ:前にも言っただろ、マーカス、俺とお前は公然の前では会わないと。
マーカス:尿サンプルを持って来たんだ。
ジェフ:[悩み]ああ、それはよかった。
      後で仲間にを持っていってくれ。
マーカス:じゃあ、今日俺に払ってくれるって言ってたよな。
ジェフ:俺のところに来るんじゃないと言ったはずだ。
    俺がお前のところへ行く。
    明日会いにいく。
マーカス:[怒りだし]
     今日払ってくれる約束だろ。金が必要なんだ。

ジェフがマーカスの肩にさわるとマーカスがすぐに倒れたのをクラークは見ていました。
ジェフはマーカスを抱え戻ってきました。

ジェフ:ここから出てよう。
マーカス:何があったんだ?
ジェフ:[皆に聞こえる大きな声で]
    分からないよ。
    なんだか知らないけど倒れたんだ。
    なに、心配するほどの事じゃない。

マーカスは去ります。
ジェフはクラークに歩いて戻ります。

ジェフ:飲めよ、ケント。クーパーのために。

クラークとジェフは缶ビールを合わせると、クラークは少し飲みますが味にしかめっ面をします。

第2幕 場面5
クロエとロイスは寮のロイスの部屋にいます。
日中。
クロエは机で奨学金申請の書類を書いています。

ロイス:クロエ、この大学から奨学金を貰うんなら、私の100フィート以内に近づかないでよ。
クロエ:ロイス、あなたが無実ならこの書類はきっと証明してくれるわ。
ロイス:[申請書を見て]
    あなたの父親の出生地?
    何、奨学金のためにCIAに申し込んでるの?
クロエ:[笑い]分かってるって。

ノックがあり、クラークが入ってきます。

ロイス:あら、クラーク。部屋を間違ったの?
クラーク:ジェフ・ジョーンズがクーパーを麻痺させたんだ。
ロイス:えっ?
クラーク:ジェフは別の学生の尿サンプルを買って身体検査にパスしているんだ。
ロイス:おしっこの闇市場?何を隠すつもりで?薬?
クラーク:そうじゃないと思う。
     何か他のものだ。
     ジェフがそいつにさわるのを見たんだ。
     スタンガンで撃ったみたいに倒れたよ。
     そしてラインバッカーの皆がジェフ・ジョーンズに触られるとスタンガンを撃たれたみたいな衝撃を受けたって。
     それは毎回の事だって話しだ。
     ジェフには力があると思う。
ロイス:フィールドで不正行為をしてるって言うの、
    それはないわよ、麻痺まではさせてないでしょ。
クラーク:気絶させるとき強さをコントロールすることができるならどうだい?
ロイス:じゃあ、それが事実なら、証明する方法を見つけないといけないのよ、
    スモールビル以外の人たちはそう思ってなんだから。
クロエ:おしっこを売った人ならジェフの事を知っているかもしれないわ。
クラーク:彼を探し出せるかい?
クロエ:ええ。
クラーク:僕はフットボールの寮に行くよ。
     他の誰かに被害が及ぶ前にジェフを見つける。

第2幕 場面6
大学の外でマーカスが自転車を鎖でロックしています。
日中。
ロイスとクロエが彼の方へ近づきます。

ロイス:さあおしっこ野郎が何を知ってるか。
クロエ:[彼女はうなずきます]
    私は寮の一部屋づつ入ってジェフの本当の姿を探してみるわ。

クロエはロイスから離れて小走りに寮の方に向かいます。
ロイスはマーカスの所に近づきます。

ロイス:いいかしら。
    どこでおしっこが手に入るか分かる?
マーカス:[わずかに不安そうに]
     一体何の話だ。
ロイス:知らん振りするんじゃないわよ。
    ジェフ・ジョーンズについて知っている事を全て話しなさいよ。
    それとも私が…

ジェフがロイスの後ろから突然声をかけます。
彼女は振り向きます。

ジェフ:俺の何を知りたいんだ?
    聞いてくれよ。
    あっちに行ってろ、マーカス。

マーカスはその場から去ります。

ロイス:[突然不安そうに]
    えーと、私が知りたい事は、あなたってシャークスに誘われると思う?
    私、大ファンなのよ。
ジェフ:それなのにどうしてマーカスと話をしていたんだ?
    本当は何を探っていたんだ?
ロイス:[急いで]
    誓って何でもないわ。
    あなたに聞いたのと同じよ。
    他の皆と同じように見守ってるわ。さよなら。

ロイスは彼から急いで離れます。
ジェフは後をついてきて彼女の肩をつかみます。
彼の指が赤く輝くとエネルギーがロイスの体に注ぎ込まれました。
すると彼女のクビの静脈から顔へと赤いエネルギーが昇り顔が赤くなります。
彼女がジェフの方へ倒れると彼は彼女を抱きかかえます。

ジェフ:この力は使いたくなかったんだ。
    高校ではまともに試合をやっていた。
    でも…勝つためのプレッシャーが。

ジェフはしばらくあたりを見まわします。
そして腕に抱きかかえたロイスを彼の車に引きずり込みます。
ロイスが近くの路上にサングラスを落としたと気がつきません。
彼女を乗せると車で走り去ります。
クロエが寮から出てきます。
そしてロイスを呼びます。

クロエ:ロイス!寮に入るのにあなたのパスが必要なのよ!ロイス?

クロエはジェフの車が急いで離れているのを見ます。
彼女はナンバープレートの「テフロン」という文字を見てすぐに彼が誰であるか分かりました。

クロエ:[あたりを見まわし]ロイス!

クロエは路上にロイスの壊れたサングラスを見つけ拾い上げます。

クロエ:[不安そうに]ロイス。

フェイドアウト。

第3幕 場面1
クラークが大学から出てくるとクロエは彼に駈け寄ります。
日中。

クロエ:クラーク。クラーク、ジェフがロイスを連れて行ったわ。
クラーク:どこに?
クロエ:分からない。
    でも駐車場に来たらジェフの車がすごいスピードで走り去っていったの。
    ロイスを連れ去ったんだわ。
    大学の警備員に話したらてんで話しにならないのよ。
    つまり、彼らにとってジェフはヒーローらしいのよ。
    彼が歩く地面まで崇拝してるんだから。
    ロイスはもうどこかに連れて行かれちゃったわ、クラーク。

クラーク:いや、まだ車の中にいるなら探し出す方法があるかもしれない。

彼らは通りの方へ歩き始めます。

クロエ:こんな事言うと気分を害するかもしれないけど、
    ここはスモールビルより大きい都市だよ。

クラーク:彼の車はブースター・メトロポリス・モータースから貰ったんだ。
     その車にはトリップスターシステムが着いていた。
     もし暗証番号が分かれば、携帯電話とコンピュータを使ってハッキングすれば場所が分かるかもしれない。

彼らは歩くのを止めます

クロエ:OK、それは可能よ、でもどうやって暗証番号を手に入れるの?
    ディーラーが鍵をかけてしまってるはずでしょ。
    押し入って金庫を壊してあけるつもり?
クラーク:そんな事はしないよ。

クロエは疑わしそうにクラークを見ます。

第3幕 場面2
メトロポリス通り。
日中。
ジェフは地下の長い下水道にロイスを運びます。
パイプが壁に沿ってあります。
通路は小さな湿っぽい部屋で行き止まります。
そしてジェフはロイスを降ろします。
彼女はまだ完全に麻痺している状態ですが目は開いています。
ジェフは地面から突き出て天井へ上がる大きなパイプへ歩いて行きます。
そこにはハンドルが付いています。
彼はロイスを見下ろします。

ジェフ:心配しなくていい。すぐに済む。

ロイスはジェフを見ます。
彼女の目以外は動きません。

ジェフ:とても残念だ。
    誰も傷つけるつもりじゃなかった。
    でもこれしか方法はなかったんだ。

ジェフがハンドルを回すとロイスは目を大きくて恐怖に陥ります。
天井から突き出ているパイプから水の流れる怒号が聞こえるとパイプから水が噴出しました。
水は床に激しく落ちロイスの方へと迫ってきます。

ジェフは部屋を出てドアを閉めると閂をかけました。

第3幕 場面3
クロエは寮のロイスの部屋でノートパソコンを操作していました。
日中。
クラークは携帯電話を持って彼女の隣のベッドに座ります。

クラーク:もう入った?
クロエ:ええ。
    あとはダイヤルして、コードを入力して、ジェフの物まねをするだけよ。

モニタにはトリップスターのウェブサイトがあります。
クラークは携帯電話でトリップスターにダイヤルして出るのを待ちます。

クロエ:随分速かったわね、クラーク。
    メトロモータースは都市のずっと向こう側にあるのよ。クラーク:[クロエを見ることなく]急いだから。

クロエは彼を信じていません、しかし彼女は黙っています。
女性の声が聞こえてきました。

女性:こんにちは、ジョーンズ様。
    何か問題でもありましたか?
クラーク:[より低い声で]
     ああ、うーん、メトロポリスを走ってるんだけど、間違って曲がったみたいなんだ。
     道路標識がないんだ、それに地図が壊れている。
     今自分がどこにいるか教えてもらえないかな?
女性:はい、分かりました。お待ち下さい。

地図がモニタに現れます。

女性:今、三番外にいます。ご利用ありがとうございます。
クラーク:ありがとう。

クラークは電話を切ってクロエに渡します。

クロエ:すごい。分かったわ。行きましょう。私が運転するわ。

クロエがノートパソコンを閉じてしまいこむと空気を切り裂く音が聞こえて振り向いたときにはクラークはいませんでした。

クロエ:
クラーク?

彼女は全く驚いてはいなくて、むしろて怒ったように微笑みました。

第3幕 場面4
下水道ではまだロイスが地面に横たわっています。
日中。
水は部屋中に氾濫し始め彼女の耳のあたりに来ていました。

地上に出たジェフは路面の下水道入口を閉めて車の方へ歩きました。
クラークが超スピードで彼の後にやってくると、彼は車にはいってシートベルトをつけ始めます。
クラークは彼のジャケットを捕まえて窓から彼を引きずり出します。
そして乱暴に車に彼を押し上げます。
ジェフはクラークの腕をつかんで彼を麻痺させようとします。
クラークはジェフの手を押しのけます。

ジェフ:どうして効かないんだ?
クラーク:[再び彼を車に押し付け]彼女がどこにいるか言え!
ジェフ:[動揺して]こんな事はするつもりじゃなかったんだ、クラーク。
クラーク:彼女はどこだ?!
ジェフ:高校のときも力は使わなかった、でも大学に入るとどうしても勝たないといけなくなったんだ。
    使ったよ。もう立ち止まることはできなかったんだ!
クラーク:ジェフ、聞いてくれ。
     彼女がどこにいるか教えてくれ。
     もう一人殺させたくはないんだ。
ジェフ:クーパーは俺がフリークだと大会委員会に話そうとしたんだ。
    俺はそんなことさせるわけにはいかなかった。
クラーク:彼女はどこなんだ、お願いだ。

ジェフはしばらく考えてついに降参します。

ジェフ:[下水道を指し]彼女はそこの下だ。

浸水する部屋。
水は彼女の顔を覆っています。
彼女の目はまだ開いています。
そして彼女は息を吐き出し泡りなって鼻と口からでます。

クラークは穴の中へと飛び降り通路を駆け降ります。

クラーク:ロイス!

通路の端まで来ると閂のかかったドアから水が溢れているのを見ます。
ドアの格子からロイスが水の中に浸かっているのを見ます。鉄のドアを狙ってヒートビジョンを放つと閂は外れます。
彼は部屋に駆け込んで、ロイスを捕まえ頭を水から引き上げます。

クラーク:ロイス!ロイス!ロイス。
     [近くに彼女を引き寄せ]
     ロイス、聞こえるか?

反応はありません。

クラーク:ロイス?
ロイス:[かすかに]クラーク。
クラーク:よかった。もう大丈夫だ。

フェイドアウト。

第4幕 場面1
ケント家のキッチンでクラークはジョナサンとマーサに話をします。
日中。

マーサ:ロイスは無事だったの?
クラーク:運がよかったんだ。
     麻痺も徐々になくなってきたよ。
     病院からもう退院してる。
ジョナサン:誰かと思ったが…ジェフはいい青年に見えたがな。
クラーク:分かってるよ。
     僕がこのフットボールの奨学金をとればジェフと同じ状況になったかもしれない。
     あらゆる身体検査にウソをつかなきゃならないし、
     色んな検査に不正を行わなけきゃいけないところだった。
     秘密を守るためにできる事は何でもしなきゃいけなかったかもしれないんだ。
     大学に行くことができて、普通の大学生みたいにフットボールをすることができると思ってた。
     でも実際は、僕にはどんなスポーツマンにもない力がある。
     クーパーは正しかった。
     僕がいつジェフみたいになってしまうか公平じゃないよ。
     [間があり]
     それで、僕はフットボールを止める事にしたんだ。
マーサ:[ショックをうけ]クラーク…好きな事をあきらめるのがどんなに辛い事か。
ジョナサン:だがこの事はお前が決めたことだ。
      お前の年からすればたいしたものだ。
クラーク:[悲しげに]なのにどうして気分が晴れないんだろう?

ジョナサンはクラークの言葉に目を落とします、そしてクラークに目を戻します。

ジョナサン:私の方を見なさい、クラーク。
      お前が大学に行きたいのなら、何とかして私と母さんとでお前を大学に行かせてやろう。
      わかったか?

クラークは頷いて微笑みます。

クラーク:うん。
ジョナサン:よし。

第4幕 場面2
タロン。
日中。
ラナのアパートでレックスはカバンを開けて写真を取り出します。
彼はラナにそれを手渡します。

レックス:この写真のジェイソンと彼の母は、彼が君に会う一日前にパリで撮られたものだ。

ラナは写真を見ます。

ラナ:違うわ、そんなはずがない。
   彼のお母さんはハンプトンズにいたのよ。
レックス:なあ、ラナ、俺はジェイソンの完全性を審査するほど厚かましくはない。
     だが2、3の事実を説明する。
     ジェイソンが生まれた時から、ジェヌビエーブ・ティーグは伯爵夫人を研究していた。
     彼は生まれたときからマルガリット・イソブル・セローに関するに昔の物や大量の研究材料に囲まれて育ったんだ。
ラナ:そんな事、私に話さなかったわ。
レックス:君がどう思っているかは別にして、子供の時からジェイソンは伯爵夫人を知っていた。

ラナは激しく頭を振ります。

ラナ:違う、違うわ、そんな事信じない。
レックス:自分に問いただしてみろ、ラナ。
     どれくらい本当のジェイソン・ティーグを知っているか?

ラナは再び写真を見ます。

第4幕 場面3
クラークの屋根裏。
日中。
クラークは窓から外を眺めて座っていました。
ロイスが入ってきます。

ロイス:コンコン。
    [クラークは振り向きます]
    ドアに鍵でもかけたら。
    都会じゃ考えられないわ。
    でも、プライバシーが見れて嬉しいけど。
クラーク:[微笑み]ロイス、君の声を聞いて喜ぶとでも思ったのか?
ロイス:ねえ、クラーク、どうやって助けてくれたのか分からないけど、
    もしあなたが助けてくれなきゃ、今頃ミシシッピ川の底にいたわ。
    ありがとう。
クラーク:無事でよかったよ、学校に戻れてさ。
ロイス:それは少なくても正解じゃないわね。
    大学の寮から退寮を言い渡されちゃった。
クラーク:告訴は全て取り消されたんだろ。
ロイス:ええ、その事はね、でも…飲酒のことで再逮捕されるのよ…
    初めての事じゃないんだ、飲酒は。
クラーク:どうして驚けないんだろう?悪い事になってるのに?
ロイス:選択肢はないのよ。
    パパが「難しい」って言ってるから。
クラーク:それでどうするんだ?クロエと暮らすのか?
ロイス:彼女たちの家は小さいからね。
    そんな事はできないわ。
    モーテルにでも潜りこむわ、お金がなくなったら車の中で眠ればいいし。
    ひざを曲げてハンドルを避ければ後ろの座席でもいいわよ、それに…
クラーク:ロイス…
ロイス:それから…知ってる、車で食べ物を売ってもいいわね、面白そうじゃない。
    浮浪者もあこがれてたんだ。
    レール沿いに歩いたり、道の脇で豆を料理したりさ…
クラーク:[間があり]君がよければ、ここに住んだら。
ロイス:あなたって救世主ね!神様よ、熱いシャワーが浴びたかったの!

ロイスは去り始めて引き返してきます。

ロイス:心配しないで。三十分で戻ってくるから。

彼女は去ります。

クラーク:一体なんだったんだ?

第4幕 場面4
スモールビル高校。
日中。
クロエが階段を降りてきて廊下を歩いているクラークに追いつきます。

クロエ:[嬉しそうに]ねえ!週末にスモールビルに戻るときは私も載せて言ってね。
クラーク:Met Uに入ったのか?
クロエ:奨学金は多分大丈夫だって。信じられる?
    もう銀行を襲う必要はないわ。
クラーク:あー、クロエ、おめでとう。君にはふさわしいよ。
クロエ:ありがとう。
    でも約束してよ、あなたが全米代表になっても、年をとっても高校の友達を覚えてるって。
    つまり、キャンパスで私に会っても声ぐらいかけてよね。

クロエはからかうように彼に微笑みます。

クラーク:ああ、うーん、僕はMET Uへは行かないんだ。

彼らは歩くのを止めます。

クロエ:何?何があったの?
    別の学校があなたをスカウトしに来たの?
クラーク:僕はもうフットボールをしないんだ。
      奨学金はなくなったんだ。
クロエ:率直に聞くけど。
    好きなゲームをしながら車を貰らえたりするのに、
    お礼だけ言って何もないの?
クラーク:よく分からないんだ。
     フットボールが僕の将来の職業だとは確信してないからね。

クロエはしばらくクラークを見ます。
そして何が本当なのかを理解します。

クロエ:あなたを誇りに思うわ、クラーク。
クラーク:誇りに思う?どうして?
クロエ:私はあなたがこの世界でタッチダウンするよりもっと違うことをする運命にあると思うの。
クラーク:クロエ、最近変なことばかり言ってるな。
     何で僕がそんな運命だと思うんだ?
クロエ:[微笑み]ちょっとした予感よ。

第4幕 場面5
クラークはメトロポリス大学フットボールスタジアムの中央で立っています。
日中。
さよならを言っているように彼は悲しげに巨大なスタジアムを見まわします。
それから彼は出口の方へ歩きます。

フェイドアウト。

おしまい