言葉のごった煮>トップへ
SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン
シーズン4.17Onyx[漆黒]
第1幕 プロローグ
ルーサー・コープ。
夜。
レックスはシンクレア博士と研究所にいます。
レックスは熱心にガラスタンクの前で緑色のクリプトナイトをじっと見つめています。
シンクレア博士は大きなレーザープロジェクターを制御してクリプトナイトにレーザー照射を行います。
レックス:問題は解決したと思いますか、シンクレア博士?
シンクレア:成功でしょう、ルーサーさん。
全てポジティブの反応でした。
温度を上げた事によって不純物は98%除去されたはずです。
レックスはレーザープロジェクターを周りコンピュータの方へ歩くシンクレア博士の方へ歩きます。
レックス:半年もかけて出た答えが温度なのか?
シンクレア:そんなに単純じゃありませんでしたよ、ルーサーさん。
つまり、これらの隕石の組成は非常に珍しい。
正確な温度を計算するのは大変な作業でした。
レックス:俺があなたに望んでいる事は一つだ。
もしこれが成功すれば、俺は世界中の誰もが決して忘れない事を成し遂げる事ができる。
シンクレア:それならあなたの預金口座も安泰ですね。
シンクレアはレックスに黒い保護眼鏡を手渡します。
レックスは眼鏡をかけて深呼吸をしガラスタンクの隣に立っています。
シンクレア:シーケンスを始めます。
シンクレアはコンピュータのボタンをいくつか操作します。
するとコンピュータ化された女性の声が聞こえます。
コンピュータ:温度上昇を開始します。
プロジェクターは隕石の中心に細い青色レーザーを発します。
緑のクリプトナイトの内部はゆっくり渦巻き始めます。
シンクレア:温度上昇中、出力70%。
レックス:[静かに期待して]さあ、さあ。
コンピュータ:設定温度に到達。
シンクレア:照射サンプルを開けろ。
クリプトナイトの下、タンクのベースにはいくつかの植物の種が置かれていました。
コンピュータ:対象、種、放射します。
シンクレア:90%だ。予想通りの吸収レベル。
コンピュータ:不規則な分子の刺激作用が対象の種にみられます。
シンクレア:[コンピュータスクリーンを見て]95%、98%。
目標の数値に達したぞ。
分子活動が制御モデルを上回っている。
[悲嘆し]熱のレベルが加速度的に増え続けているぞ。
クリプトナイトの緑の輝きが段々暗くなりやがてクリプトナイト自体が黒くなると青い光がタンクの種の上で光ります。
コンピュータ:温度が安全領域を上回りました。
レックスはシンクレアに振り向きます。
レックス:どうしたんだ?
シンクレア:温度が目標数値を上回って上昇中です。
レックスは安全眼鏡をはずしてシンクレアの脇のコンピュータに歩いて戻ります。
レックス:止めるんだ!
シンクレア:やってます!
黒いクリプトナイトの中では青いエネルギーが大きくなり始めやがて破裂するようにヒビが入り始めます。
レックスはコンピュータからシンクレアを押しのけ彼を守ろうとします。
レックス:ここから逃げるんだ!
シンクレアは踵を返し出ようとします、しかし途中で頭を手すりにぶつけ気を失い倒れます。
レックスも逃げようとして踵を返しますがもう一度クリプトナイトに振り返ると、
青っぽい紫色のエネルギーがレックスの背中に当ります。
彼は両腕を広げ感電したように痺れながら叫びます。
エネルギーが止まるとレックスは床に倒れます。
そしてガラスタンクは爆発し部屋全体を破壊します。
レックスは痛みに呻きながら立ち上がります。
部屋のテーブルは全てはひっくり返され、蛍光灯は弱々しく明滅します。
レックスはひざまずいてシンクレアを助け起こします。
レックス:博士、大丈夫か?
シンクレアは呻きます。
彼は左目の上にから出血しています。
二人は部屋を見回します。
レックス:どうやら失敗のようだな。
さあ、シンクレア博士、病院に連れて行こう。
レックスはシンクレアに肩を貸し研究所から出るのを助けます。
二人が去ろうとしたとき粉砕されたクリプトナイトのタンクの後ろで
もう一人のレックスが立ち上がって二人が出て行くのを不思議そうに見ていました。
第1幕 場面1
スモールビル医療センター。
夜。
クラークとクロエが診察台に座っているレックスの病室に入ります。
クラーク:[心配そうに]レックス、大丈夫か?
レックス:クラークか、大丈夫だ。
[レックスは立ち上がります]
どうして俺がここにいるのを知ったんだ?
クロエ:救命士の中に友達がいるから。
彼女がルーサー・コープで爆発があったって言ってたけど?
クラーク:何があったんだ?
レックス:実験をしていたんだ。
クラーク:じゃあ、失敗したのか。
レックス:いや、結果が思わしくなかっただけさ。
だが危険を犯すだけの価値はあった。
クロエ:そうかもね…ルーサー・コープの基準じゃ。
レックス:世界的にはだ、クロエ。
そうだ、二人して研究室に来ないか、シンクレア博士と取り組んでいたものを見せるぞ?
クラークとクロエは弱ったように一瞥を交わします。
そして招待に驚きます。
レックス:君らも興味が沸くんじゃないかと思うよ。
レックスはドアのそばに掛かっているコートを掴み部屋を出ます。
クラーク:わかった、行くよ。
クラークは去り始めます、しかしクロエは彼を止めます。
クロエ:クラーク、待って、レックスの話を信用する気?
私はシンクレア博士と会って一体何をしていたのか突き止めるわ。
クラーク:OK。僕はレックスと一緒に研究室に行くよ。
クロエ:慎重にね、いい?
彼がたとえ何を言ったとしても、ルーサー・コープでの実験はいい事ないから。
クラークはあいまいにクロエに微笑んで部屋を出ます。
シンクレアがベッドで寝ている病室にレックスが入ります。
レックスはベッドに屈みこんでシンクレアの目の上の縫い合わされた傷を見ます。
レックス:ああ。かなり痛そうだな。
シンクレア:[辺りを見まわし]一体何があったんだ?
レックス:それは俺が聞きたい。
シンクレア:爆発したんだ。
レックス:事故の後、他に何かを覚えている事は?何か変わった事は?
シンクレア:たとえば?
レックス:俺を二人見たとか。
シンクレア:[混乱し]えっ?
レックス:俺はあの爆発で何らかの分離を引き起こしたと思う、分子レベルのな、よく分からないが。
だが、俺は自分を見た、博士。俺はもう一人のレックス・ルーサーを見たんだ。
シンクレア:ああ、なんてことだ。
レックス:元に戻すにはどうすればいい?
二人を元に戻すためにどんな方法があるんだ?
シンクレア:研究室に行けば私の研究ノートがある。
それがあれば、プロセスを逆にする方法を見つけられるかもしれない。
レックスは微笑みます。
レックス:俺が研究室に戻ってノートを持ってくる。
レックスは病室の窓まで歩いてブラインドを閉じシンクレア博士に歩いて戻ります。
レックス:その間、少し眠っておいたらどうだ?
シンクレアは頭を縦にふって目を閉じます。
レックスは空の注射器をシンクレアの点滴のチューブに突き刺して空気を送り込みます。
そして悪賢そうな顔でシンクレアをじっと見つめます。
医療センターの廊下を歩くクロエ。
彼女はレックスがシンクレアの部屋から出て来るのを見ます。
クロエ:[混乱し]レックス?
レックス:クロエか。
クロエ:クラークと一緒に研究室に行ったんじゃないの?
レックス:まあな、先にシンクレア博士に会っておきたかったんだ。
クロエ:そう、博士は大丈夫なの?
レックス:[笑って]何も感じてないさ。
クロエ:じゃあ、博士と話したいんだけど。
レックス:ああ、博士は今眠っている。
[シンクレアの病室から離し]
後で来るといい、目が覚めた後でな。
クロエ:OK。
レックスはクロエを廊下に残したまま歩き去ります。
突然、ピーッと激しい音がシンクレアの病室から聞こえてきます。
そして女性の声がスピーカーから聞こえます。
女性:コードブルー、213号室。コードブルー、213号室。
すぐに二人の医者が部屋に入りシンクレアに細動除去器を使います。
クロエがレックスに振り返ると彼は彼女を冷ややかな目で見て角を曲がって行きました。
それからクロエはそおっとシンクレアの病室を覗くと医者と看護士が彼を蘇生させようとしていました。
クロエの顔は疑いと恐れの入り混じった表情です。
第1幕 場面2
クラークとレックスはルーサー・コープの研究所にいます。
夜。
彼らは植物でいっぱいのガラスタンクの隣に立っています。
クラーク:これが秘密の実験か?ガーデニングが?
レックス:[微笑]いや、クラーク。
これには将来性があるんだ。
これはほんの一滴の水さえあれば普通の砂で成長する。
クラーク:もし父さんがこれを植えたら、二度と収穫の事で心配する必要がなくなるな。
レックス:そして夕食のテーブルに出るまでな。
レックスは近くのテーブルまで歩き、クラークは彼の後を追います。
レックスはリンゴの沢山入った入れ物からクラークにリンゴを手渡します。
レックス:味見してみろ。
[クラークはかじります]
それは照射した種から収穫した物だ。
クラークはしかめっ面をします。
クラーク:何か変な味…
レックス:腐ってたか?
[クラークは頷きます]
それが目下の課題なんだ。
植物を弱くする遺伝子をようやく破壊できた。
そして最も厳しい環境でも成長できるようにしたんだ。
だがその結果、運悪く果実にも影響を与えてしまったんだ。
クラーク:それが爆発が起こった時にしようとしていた事なのか?
レックス:シンクレア博士は反応の温度を増やすことで問題を解決できると思ったようだ。
レックスは粉砕されたタンクが置かれている部屋の中央へ歩きます。
クラークはリンゴを置いて彼の後を追います。
レックス:今まで以上にいい感じだった、クラーク、
だが隕石が不安定になってな。
クラーク:待ってくれ、また隕石を使ったのか?
レックス:もしこの事が成功すれば、ルーサー・コープは永遠に飢えと飢饉をくい止める事ができる。
何かがうまくいかなかった原因か究明するためにシンクレア博士のノートが必要なんだ。
レックスは壁の金庫へ行って暗証番号を打ち込んで扉を開けます。
そして棚の中にはシンクレア博士のノートがありました。
ノートのある下の棚にはいくつかのクリプトナイトの大きなサンプルがあってクラークは突然苦しみ後ずさりします。
クラークはつまずいてテーブルをひっくり返します。
レックス:クラーク、大丈夫か?
クラーク:ああ、その、リンゴにあたったみたいだ。
外で待ってるよ。
クラークが研究室を出るとレックスは心配そうな顔でクラークを見ます。
クラークが行ってしまうともう一人のレックスが隠れた場所で先ほどの会話を聞いていました。
第1幕 場面3
レックスの屋敷。
夜。
レックスが書斎に入るとライオネルがソファーに座って待っていました。
レックスはライオネルを見て立ち止まり、ライオネルは立ち上がります。
ライオネル:レックス。忘れてはいないぞ、ここでは歓迎されない事をな。
だがルーサー・コープで事故があったと聞いた。
お前の事が心配でな。
レックス:大丈夫だ、親父。心配してくれてありがとう。
レックスはライオネル通り越してブリーフケースを机に置きます。
ライオネル:まあ、無事で何よりだ。勝手に入って申し訳なかったな。
ライオネルは去り始めます。
レックス:親父。
[ライオネルは振り向きます]
まだ土曜日のチャリティーを予定しているのか?
ライオネル:[微笑み]まあな。
サラダバーとチキンのしょうが焼きはなかなか面白い趣向だと思っている。
レックス:もしルーサー・コープの社長が姿を現したら、役に立つかな?
ライオネル:本当か?お前が来るのか?
レックス:一つ条件があるが。
ライオネル:[頷き、驚かず]ほう。
レックス:メトロポリスのルーサー・コーププラザの最上階に親父の物がかなりある。
そのうちいくつかを手放して寄付したい。
ライオネル:[呆気に取られ]随分気前がいいじゃないか。
レックス:親父の気持ちが伝わってきたんだ。
俺は親父が突然の慈善行為をするなんて疑っていた。
だが親父のその行為が僅かだが貧しい者たちを喜ばせている事に気づいたんだ。
親父、俺は…あなたを誇りに思う。
ライオネルは言葉に窮します。
ついに彼は前に進み出ます。
ライオネル:ありがとう、レックス。
本当に感謝するよ。
[レックスの顔に触り]
色々とな。
ライオネルが部屋を出ます。
レックスは机のブリーフケースに戻ってシンクレア博士のノートを取り出します。
突然、レックスの後ろにもう一人のレックス(訳者注:以降、レックス#2)が彼の後に立っていました。
レックス#2:いい仕事をしたな?
レックスは声に驚き振り返ります。
そして更にレックスは自分と同じ顔をした者を見て飛び上がります。
レックス#2:こんにちは、俺。
レックス#2はピストルでレックスの顔を殴り床に倒します。
レックス#2:本物は俺だ。
フェイドアウト
第2幕 場面1
大きなアンティークのシャンデリアのある部屋。
夜。
レックスは頭を垂れ床に体育座りをしています。
そして鎖に繋がれ柱に寄りかかっていました。
その部屋は棚や古い家具でいっぱいの収納スペースのようです。
レックス#2がレックスに近寄って彼を見下ろします。
レックス#2:さて、お前を野放しにしておくわけにはいかないな?
レックス:お前は、誰だ?
レックス#2:ああ、それは俺が長い間求めていた問いかけだ。
おい、最後にこの部屋に来たのを覚えているか?
親父はここで遊ぶなと言った。
だが、俺はお前に遊べとささやいただろ?
レックス:ドアは閉じられて閉じ込められた。
誰も俺の声が聞こえなかったんだ。
レックス#2:[残酷に笑い]
お前は、とても怖がっていたな。
怖がって震えている子供だった。
俺はそんなお前が嫌いだったんだ。
レックス:なんて事だ。お前は俺か。
レックス#2:[レックスの脇にひざまずき]
いや、レックス。俺が本当のレックスだ。
レックスは立ち上がり理解し始めます。
レックス:研究室の爆発か。
レックス#2:俺はお前の弱さから解放された。
ついに本当の運命を受け入れる事ができるんだ。
レックスはレックス#2を殴ろうとします。
しかし手首に結びついている鎖のためできません。
レックス#2はそんな彼を見て喜び叫びます。
レックス#2:ああ!さあ!さあ!やれよ!俺を止めてみろ!さあ!
[レックス#2はレックスの顔を掴みます]
俺をガッカリさせるつもりか。
[彼はレックスを押しのけます]いつものように。
レックス:そんなにガッカリしてるなら、どうして俺を殺さないんだ?
レックス#2:そんな事をすればそうなると思うんだ。
残念な事にお前が死んだ場合、俺に何が起こるか分からないんでね。
俺たちはまだ繋がっているかもしれないだろ?
お前が息をするのを止めたら、俺も存在できないかもしれないだろ?
そんな冒険は犯したくないんでね。
レックス:俺を永遠にここに閉じ込めておく事はできないぞ。
レックス#2:どうしてだ?
子供の頃、誰も俺たちの悲鳴が聞こえなかったじゃないか。
だから今でもそれは変わらないはずだ。
ちょっとそのデュマの物語のようにな。
[興奮して彼は微笑みます]
ああ、この話は俺たちのお気に入りの一つだったな?
ルイ14世がバスチーユで双子の弟を収監して鉄のマスクを生涯被らせておいた。
レックス#2は近くの棚へ手を伸ばして機甲部隊の鉄のマスクをつかみます。
レックスは恐れ再び鎖と戦い始めます。
レックス:止めろ。
レックス#2:この話は誰もがルイが弟の顔を隠すためにしたと思ってるはずだ。
だが俺たちはもう少し見解が違っている。
ルイは弟の顔に自分の反面を見たくないためにマスクを被せたんだ。
レックス:違う。
レックス#2はマスクをレックスの頭の上に乗せてロックします。
レックス:止めろ!外せ!外すんだ!
レックスはマスクの下でブツブツ言います。
レックス#2:シッ。王になるのは気分がいいな。
レックス#2が部屋を出ようとするとレックスは叫び続けます。
レックス#2:世界に本当のレックス・ルーサーを示すのは俺次第だ。
レックス#2は明りを切って部屋を出ます。
レックスは静かになります。
第2幕 場面2
スモールビル高校。
日中。
クラークはクロエが待っているトーチに入ります。
クラーク:クロエ。
クロエ:もう、遅いわよ。クォーターバックのくせにゆっくりなんだから。
クラーク:元クォーターバックだ。重要な事って?
クロエ:シンクレア博士よ。
クラーク:ルーサー・コープの爆発について何か言ってたかい?
クロエ:それが無理だったの。死んだわ、クラーク。
クラーク:えっ?何があったんだ?
クロエ:心停止よ。心臓疾患の病歴なんてなかったのに。
クラーク:じゃあ、レックスに教えないと。
クロエ:もう知ってるはずよ。
シンクレア博士が死ぬ直前、病室から出くるレックスに会ったから。
クラーク:いつの話しだい?
クロエ:あなたが研究室に向かったすぐ後よ。
クラーク:クロエ、僕はレックスといたんだ。
一緒に研究室まで行った。
クロエ:その時間、私はシンクレア博士の病室の外でレックスと話をしていたわ。
クラーク:それは不可能だ。
クロエ:ここはスモールビルよ。忘れたの。
クロエはコンピュータへ行って座ります。
するとクラークは彼女の言葉に対して彼女を変な風に見ているのに気がつきます。
クロエ:あのね、いろんな事があったでしょ。
クラーク:その時間帯のビデオを調べれば分かるはずだ。
クロエ:ええ、ここにあるわ。
医療センターの監視システムのビデオよ。
まだハッキングしてないわ、具合が悪くなりそうだから。
クラークは頷きわずかに微笑みます。
クロエ:ちょっと時間がかかりそうね。
クラーク:何かを見つけたら電話をして。
クロエはキーボードをタイプします。
そしてクラークは去ります。
第2幕 場面3
ラナは買物袋を持ちアパートに入ります。
日中。
レックスがソファーに座っているのを見て混乱して歩くのを止めます。
ラナ:レックス。どうしてここにいるの?
レックス:君が俺と会いたいと携帯にメッセージを残したんだろ。
ラナ:だからって勝手に入ったの?
レックス:悪かった。じゃあ帰ってもいいんだな?
ラナ:いえ、いいわ。ちょっと驚いただけだから。
レックスは立ち上がって彼女の方へ歩きます。
レックス:いつも驚かせてばかりだな。
レックスは紳士らしくラナの買物袋を受け取ってキッチンカウンターに置きます。
ラナは更に混乱したようになります。
レックス:それで、俺は今日の午後何をしたらいいんだ、ラング君?
ラナ:ジェイソンの事をあなたと話したかったのよ。
レックス:[平然と]ああ。彼か。
ラナ:私、あー、ジェイソンと彼のお母さんの事を話してくれた事は感謝するわ、
でも…本当にそう思ってるの…
レックス:何をだい、ラナ。
君はいい思いをするべきだ。
君をどれだけ特別なのか認める者が必要だ。
レックスはラナの方へ歩きます。
そしてジリジリと彼女に迫ってきます。
彼が指の背で彼女の顔を愛撫すると彼女を尻ごみします。
ラナ:レックス、何をするの?
レックス:俺はいつもこうしたかったんだ。
レックスは頭を傾け力強くラナの唇にキスをします。
ラナは彼を押しのけて顔を叩き彼から離れてます。
レックス:そんな積極さは好きだ。
ラナ:アパートから出てって。
レックス:それが君の望みならな。
ああ、ところで、タロンは閉鎖した。
ラナ:えっ?!そんな事はあなたでもできないはずよ!
レックス:うーん、俺にはできるのさ。
ラナ:レックス、ここは私の家よ。
私はどこに行けばいいの?
レックス:それは君次第だ?
ラナ、俺の側で女王のように生きるか、ゴミのように捨てられるか。
どうしてその事を考えないんだ?
俺ならそうするがね。
レックスはアパートを出ます。
第2幕 場面4
レックスと女性が書斎でフェイシングをしています。
日中。
彼らはマスクを含む完全なフェンシングギアを着ています。
ライオネルが入ります。
ライオネル:レックス。
レックスの相手方は気が散ってライオネルを見ます。
レックスはそのチャンスを逃さずに剣を相手の胸に突き勝ちます。
ライオネル:どうして来たんだ?一体何しに来た?
レックスと相手方はマスクを脱ぎます。
レックス:ちょっと待っててくれ、親父。
何か言いたそうだな。
[相手に]明日も同じ時間だ?
彼女は彼に微笑んで書斎を去り始めます。
彼女がレックスの脇を通り越すとき彼は彼女のお尻をたたきます。
そして彼女は振り向きます。
彼女は驚きますがまだ微笑んでいます。
彼女は去ります。
ライオネルは手を腰にあてよく思わないため息をつきます。
レックス:今更俺に何のようだ?
ライオネル:ルーサー・コーププラザのパーティーに参加するのはお前が望んだことだろ。
どうして私が手配した事を全てキャンセルしたんだ?
レックス:[声マネをして]そんな物にかかずりあうのは時間と金の無駄遣いだぞ、レックス!
これは前にライオネル・ルーサーが言った事じゃないのか?
ライオネル:私は変わったんだ。人は変わるんだ、レックス。
レックス:いや、変わらないね。弱腰になっただけだ、親父のようにな。
わかった、親父。
チャリティーに参加しようじゃないか。
気前よく寄付もしよう。
ライオネル:そして、それと引き換えに私に何を求めてるんだ?
レックスは二本の剣を選んでライオネルに一本を投げます。
そしてライオネルはそれを捕えます。
レックス:あんたが俺の親父だという事を証明して欲しいね。
ライオネル:[冷静さを失い]狂ったのか、レックス?!
レックス:いや、気になるだけだ。
ライオネル:お前とは戦えない…
レックスは剣でライオネルを突きます。
ライオネルに身を守ることを強いられます。
彼らは互いに戦いあい、ライオネルはレックスに怒鳴りながら半円を描き歩き回ります。
ライオネル:レックス、止めるんだ!レックス、止めなさい!
レックスはしばらく止まります。
レックス:白いスーツを着た男への奇跡的な変化は本物なのか、それとも今までウソをついてきたのか?
レックスは再び攻撃します。そしてライオネルは剣でブロックします。
ライオネル:レックス、止めてくれ!すぐに止めるんだ!レックス、止めろ!
二人の剣は互いの頭の上で鍔迫り合いになります。
レックスはライオネルを引っ張り顔を近づけます。
レックス:その質問に対する答えさえ分からないのか、あるいは聞かれるのがそんなに怖かったのか?
心の内に何を秘めてるんだ、親父?
本当に子犬のように大人しくなったのか、
それとももう一度自由になるために断腸の思いでそんなマネをしてるのか?
ライオネルは怒り、グリップでレックスの顔を打ち剣を引き離します。
そして床に倒れたレックスにライオネルは剣の先端を胸に押しつけます。
レックス:あんたがいつかそんな風に変わるのは分かっていたんだ。
ライオネルは落ち着かない様子でレックスを見下ろします。
そしてライオネルは自分のした事を理解します。
レックスはゆっくり立ち上がりますがライオネルの剣先はまだ彼の胸に押しつけられています。
レックスはライオネルの剣を叩き落し剣は床に放り投げられます。
レックス:[脅迫的に]刑務所にいた方がよかったんじゃないか。あそこの方が安全だぞ。
レックスはライオネルの顔に剣を激しく切りつけます。
ライオネルの頬には小さな切り傷がつきます。
ライオネルは頬を触り血を見て喘ぎます。
レックスはライオネルに自分の剣を投げます。
そしてライオネルはそれを捕えます。
それからレックスは笑顔を見せて部屋を出ます。
ライオネルは目に怒りの色を浮かべ彼を見ます。
フェイドアウト
第3幕 場面1
ケント家、納屋。
日中。
クラークが納屋に入るとラナが動揺したように階段に座っているのを見て立ち止まります。
クラーク:ラナ?大丈夫かい?
ラナ:[微笑を作り]ええ。
[立ち上がり]ううん、レックスがタロンを閉鎖した事、聞いてる?
クラーク:いや、誰がそんな事を言ったんだい?
クラークは彼女へ歩いて行きます。
ラナ:彼よ。
クラーク:夕べレックスに会ったときには何も言ってなかったよ。
ラナ:クラーク、私、うーん、私がアパートに帰って来たら、彼が私のアパートにいたの。
なんて言ったらいいか…全くの別人みたいだった。
クラーク:もしかするとそうかも。
ラナ:もしかって、レックスが精神分裂症だって思ってるの?
クラーク:それよりもっと大変な事だよ。
ラナ:それってどういう事?
何か知ってるのね、でももう遅すぎるわ、あなたが知らないレックスの別の面があるのよ。
クラーク:君は確か最悪の僕を見ただろ。
ラナ:それに、最高の方もね。
クラーク:[重要な何かを言おうとして]ラナ…
クラークの携帯電話が鳴ります。彼はそれに答えます。
クラーク:もしもし?
クロエがトーチのコンピュータに座って電話をしていました。
クロエ:クラーク。シンクレア博士の病室の外でレックスと私が映って場面を見つけたわ。
それに医療センターを出るあなたとレックスのもね。
モニタにはその映像が映っています。
クラーク:時間は?
クロエ:同じ時間よ。
レックスはとんでもない精神分裂になってるみたいよ。
クラーク:分かった。ありがとう。
クラークは電話を切ってラナにどう言うべきか悩みます。
第3幕 場面2
レックスは書斎の暖炉の前で跪いています。
そして火かき棒で火をつついています。
夜。
クラークが入ります。
クラーク:レックス。話がしたい、重要な事だ。
レックスは立ち上がって火かき棒を片づけます。
レックス:親友のためにはいつでも時間を割こうじゃないか、クラーク。何の話しだ?
クラーク:夕べ僕らが話したことを覚えてるか?
レックス:さて、色々と話したからな。
将来と世界をよりよい物に変える話し。
それからお前は気分が悪くなったな。
リンゴのせいだと言った。
クラークは安心してため息をつき、レックスはバーに行って飲物を作ります。
クラーク:その通りだよ。
レックス:クラーク、一体何の話だ?
クラーク:誰と話をしているのか確かめたかったんだ。
レックス:なに?
クラーク:レックス、シンクレア博士が死んだんだ。誰かが彼を殺した。
レックス:[驚き]クラーク、誰がそんな事を?
クラーク:君だよ。
[レックスは不思議そうにクラークを見ます]
つまり、君と同じ顔をした人物だ。
クラークはレックスに二枚の写真(クロエと一緒の、そして医療センターを出るクラークと一緒の)を手渡します。
レックス:どこで、これを手に入れたんだ?
クラーク:クロエが医療センターの監視システムから取り出したんだ。
僕らがルーサー・コープへ向かう同じ時間に、彼女は君が博士の病室を出て来るのを見てる。
レックス:そんなバカな?
クラーク:隕石が実験で爆発したとき何かが起こったんだ。
レックス:何を言ってるんだ?
もう一人のレックスはコピーだって言うのか?
クラーク:君の一部分が分かれたんじゃないかと思う。
レックス:セキュリティチームを呼ぼう。クロエに研究室に来るように言ってくれ。
クラーク:どうすれば、本物の君だと分かるようにするんだ?
レックス:秘密の握手で確かめよう。
だが、これだけ長い間の付き合いだ、誰よりも俺の事をよく知っているはずだよな。
クラーク、この事は俺の誤りだ。
だが今夜、全てに終止符を打つ。
第3幕 場面3
クラーク、クロエ、レックスの三人はルーサー・コープの研究室に入ります。
夜。
レックス:俺を気遣ってくれて二人に感謝するよ。
セキュリティチームが周りを固めている。
クラーク:僕らに手伝える事は?
レックスの携帯電話が鳴ります。
レックス:すまない。
[彼は電話に出ます]
もしもし?ああ、ここにいる。
[電話を切り]
すぐに戻る。心配しないでくれ。
すぐに片がつくから。
[行こうとして]
セキュリティチームには注意しろよ。
彼は出ます。
クロエは小びんを近くのテーブルから拾います。
クラーク:クロエ、何をしてるんだ?
クロエ:調査よ。
持って帰って調べたいの。
クラーク:レックスはすぐに戻ってくるって言ってただろ。
クロエ:どうして彼が本物だって確信できるの?
クラーク:僕は慎重にやったさ。
それに彼が本当の友達だと思うよ、クロエ。
クロエ:クラーク、何度その友達に予想もしてなかったような事をされたと思ってるの?
人っていうのは色んな異なった側面があるの。
それに、時としては愛する者達にさえその事を隠すもんだわ。
クロエは別のテーブルへ歩いて行って捜し回り続けます。
クラーク:時には望まない事でも受け入れないと。
クロエ:[わずかに興奮し]ええ、でも、遅かれ早かれ自分の心に任せないといけないでしょうね。
さもないと、結局はあなた一人で生きていかないといけなくなるわ。
クラークはこの言葉への反論はしません。
彼は爆発の痕から叩き潰された金属片を持ち上げて黒いクリプトナイトの一部を見つけます。
石は薄気味悪く青っぽい紫色に輝きクラークは石を持って素早く後ずさりします。
彼は苦しむ事はありませんでした。
クロエは気づきません。
彼女はキャビネットを開けます。
クロエ:クラーク?クラーク!
クラーク:何か見つけたのか?
クラークはキャビネットに来ます。
そして二人ははルーサー・コープの警備員が胸から血を流し中で死んでいるのを見つけます。
レックスは彼らに気づかれないようにこっそりと見てました。
二人がキャビネットの前に立つと彼はリモコンのボタンを押します。
そして巨大な鉄の井桁が天井からクラークとクロエめがけて急落下し始めます。
二人は音を聞いて上を見上げます。
しかし逃げ出すには遅すぎました。
クラークはクロエを床に押し倒して彼女の上に覆いかぶさり彼女を保護します。
井桁はクラークの背中の上で折れ曲がり、完全にクラークとクロエを押しつぶします。
レックス:[満足げに]予定通りだ。
レックスは立ち去ろうと踵を返すと壊れた井桁から音が聞こえ立ち止まります。
彼が振り向くとクラークが立ち上がって、いとも簡単に井桁を押しのけるのを見ます。
クラークは見られているとは思っていません。
クロエは気を失っていました。
レックスは目に涙を潤ませ見ていました。
クラーク:[ひざまずき]クロエ?クロエ?
レックスの目は丸くなります。
そして研究室を出ます。
フェイドアウト
第4幕 場面1
ケント家。
夜。
キッチンでクロエは布を顔の切り傷に当てたままカウンターに座っています。
クラークは冷蔵庫から水のピッチャーをとってクロエに注いでやります。
クラーク:本当に病院に行かなくてもいいのか?
クロエ:ええ、シンクレア博士みたいになりたくないからね。
クラーク、私は大丈夫だよ。
どうやって助かったのかよく分からないけど、あなたは分かる?
クラーク:僕が覚えているのは君を捕まえてテーブルの下にもぐり込んだ事だけさ。
それが助かった理由じゃないかな。
クロエ:元クォーターバックが速く動けてよかったわ。
クラーク:いや、そんなに速くないさ。
クラークはクロエの額のあざを見るためにクロエの前髪をよけしかめっ面をします。
クロエは微笑みます。
クロエ:クラーク、二つ三つぐらいの痣なら耐えられるわ。
あなたは必要なときにはいつでもいてくれるから、クラーク。
いつか私もあなたの役に立ちたいと思ってるの。
クラーク:すぐに君を安全な場所で保護してもらわないと。
クロエ:私は…ロイスと一緒に軍事基地に行くわ。完璧でしょ。
でもロイスと将軍を仲直りさせる事を考えると気が重いけどね。
[彼女は立ち上がってコートを着ます]
気をつけてよ?
レックスは十分に危険よ。
凶悪なもう一人の方の力がどんな物なのか分からないけど。
電話するから。
クロエは去ります。
第4幕 場面2
クラークは携帯電話で話しながら納屋に入ります。
夜。
クラーク:OK。でも彼に会うなら僕に電話をして。
そして慎重に行動するんだ。
レックスは本当の彼じゃない。
思ったより危険だ。
ありがとう、ラナ。
クラークは電話を切ります。
レックスが屋根裏の上からクラークに声をかけるとクラークは驚きます。
レックス:お前の俺を見る目はそうなのか、クラーク?
傷ついたよ、親友だと思っていたのにな。
クラークは上へ超スピードを出します。
クラーク:レックスはどこだ?
レックス:目の前に立っているだろ。
クラーク:いや、彼じゃない。
本物のレックスは決して僕やクロエを殺そうとはしない。
レックス:いや、半分はあってるな。
だが奴はその事を考えていた!
いつもお前は奴の計画に干渉して野心を失わせていた。
奴はお前たちを殺す事を考えていた。
だやそれをやり通す勇気が全くなかった。
クラーク:何だって?
レックス:こっちが聞きたいな。
俺はお前とサリヴァン君の上に研究室の半分を落とした。
だがまだ、ここにお前は立っている。
クラーク:運がよかったんだ。
レックス:謙遜するな、クラーク。
お前の強さが常人以上なのを知ったんだ。
それで全ての謎が解けた。
俺たち初めて会った日、車ごと橋から川に落ちたのにお前が俺を助け出せた事。
まず間違いなく死ぬだろうと思った時でも奇跡的に無事だった事、
ほん少し目をそらした瞬間にいなくなったり、
都合がいい具合に現れたりな。
クラークは不安そうに息をします。
レックス:お前は長い間俺に嘘をついてきた、クラーク。
だがもうお前の秘密を知った。
クラーク:[小さな声で]何の話をしているのか分からないな。
レックス:言うな!俺は見たんだ。
何でもなかったようにコンクリートの塊を持ち上げていた。
もっと前に知るべきだった。
すべてはそこにあったんだ。
俺は友情に目が眩んで見えなかったんだ。
方程式からかけ離れた要因をな。
クラーク:お前がたとえ何者であっても、たとえ何を計画していたとしても、僕はお前を止める。
レックス:いや、そうはならないな。
俺に組する事になるんだ。
クラーク:何だって?
レックス:よく考えてみろ、クラーク。
俺の知性、お前の力。
一緒にこの世界を支配する事ができるんだぞ。
俺たちは神として崇められるんだ。
クラーク:お前は神なんかじゃない。
人間ですらない。
レックス:お前はどうなんだ?
レックスは背を向けて屋根裏の窓の方へ歩きます。
クラークはあとに続きます。
クラーク:本物のレックスはまだ生きているのか?
レックス:はあ、何を言ってるんだ?俺が本物のレックスだ!
クラーク:まだ生きているのか?!
レックス:まあな。奴を殺せば俺がどうなるか分からないからな。
だから人の目に触れない場所に閉じ込めている。
気が滅入ったときに、時々憂さ晴らしができるようにな。
クラークは超スピードでレックスの元に行き強い力で彼の首をつかみます。
クラーク:どこにいるんだ?どこに?!
クラークは突然苦しみだし床に倒れます。
レックス:どうした、クラーク?
顔色が悪いぞ。
もう一人の俺が研究所で金庫を開けて隕石にさらされたのを見ていたんだ。
レックスは小さな箱の中に緑色のクリプトナイトを持っていました。
クリプトナイトは指輪にされていて、彼は指輪を箱から取ると指にはめます。
レックス:どんなに超人的な力を持っていても、必ず弱点はあるものさ、クラーク。
俺は俺の運命を受け入れる。
すぐにお前も受け入れるんだ。
一緒に新しい世界を創り出すんだ。
クラーク:[ゆっくり立ち上がり]絶対に加担はしない。
レックス:そうか。お前の愛する者が苦しんでもか!
レックスはクラークの顔を殴ります。
屋根裏の窓から下の地面へと落ちるクラーク。
レックスは窓から離れます。
マーサ:[家から]クラーク?
クラーク:母さん!
ジョナサン:クラーク!
クラークは納屋に転がり込んで倒れます。
クラーク:父さん!
ジョナサンとマーサは納屋に入ってクラークに助けを求めます。
クラークの顔にはレックスが殴った傷があります。
マーサ:どうしたの、クラーク!血が出てるわ!
レックスが階段を降りてきます。
レックス:これ以上はしたくない。
ジョナサン:レックス。
[レックスは銃を彼らに向けます]
一体どうして?
レックス:お前らも同じだな。
つまり、こんな風に秘密を隠し続けるのは大変な能力が必要だ。
多分、ケント家とルーサー家には共通したものを持っているんだろう。
ジョナサンはレックスのクリプトナイトリングに気がつきます。
レックスは頷きリングを指します。
レックス:これか、緑色の隕石だ、クラークへのユニークな贈り物だよ。
マーサ:何が望みなの?
レックス:世界さ、ケントさん。
そしてあなたの息子はそのために俺の手伝いをする。
今すぐ不幸な事が起こる前に、こいつを説得しろ!
彼は銃をジョナサンの足へと発砲します。
ジョナサンは倒れ、マーサは叫びます。
レックス:そうなりたくなかったらな。
クラーク:父さん!
マーサはジョナサンの側に駆け寄ります。
クラークはジョナサンへ行こうとします。
しかしクリプトナイトによって苦しみ再び倒れます。
レックスは微笑みます。
レックス:あんたは俺のことについて正しい判断だったよ、ケントさん。
俺は悪党だ。
フェイドアウト
第5幕 場面1
スモールビル医療センター。
夜。
ジョナサンが診察台に横になっています。
そしてマーサとクラークは近くに立っています。
ジョナサン:レックスが二人?そんなバカな事が?
クラーク:ルーサー・コープで事故があったんだ。
レックスが影響を受けたと思う…黒いクリプトナイトで。
マーサ:どうやってレックスは黒いクリプトナイトを手に入れたの?
クラーク:レックスは黒いクリプトナイトの事は知らないと思う。
隕石で実験したときに偶然できたんじゃないかと思うんだ。
[大声で]
待ってよ、どうやれば二人のレックスを元に戻すか分かったぞ。
ジョナサン:どうやってだ?
クラーク:納屋に現れたレックスはまだ本物のレックスは生きているって言ってた。
どこかに閉じ込めてあるって。
彼を見つけることができれば…
クラークは病室を出ます。
マーサ:クラーク!
レックスの書斎へと超スピードで来るクラーク。
彼はスーパーヒヤリングを集中させます。
そして収納部屋でレックスが鎖と戦っているのを聞きます。
レックスはまだ鉄のマスクをつけていました。
クラークは超スピード部屋に急ぎレックスの脇にひざまずきます。
そしてレックスの手足を結びつけている鉄の輪を壊します。
クラーク:レックス。
レックスはマスクを被ったままなのでクラークが鉄の輪をどう壊したのか見ていません。
クラークはマスクをレックスの頭から持ち上げます。
レックスは頭を柱に付け深く呼吸します。
レックス:[ささやき]クラーク。
クラーク:話さなくていい。
レックス:逃げろ。
クラーク:ダメだ、君も一緒だ。
レックス#2がクラークの後に入ります。
そしてまだリングを着けています。
クラークの顔には苦しい表情が浮かびます。
レックス:逃げるんだ。
レックス#2はクラークの上着を掴み部屋の向こうに彼を放り投げます。
レックス#2:ヒーローが助けに来たか。
そのぐらい予想してなかったと思ってるのか?
レックスはレックス#2の背後で立ち上がります。
レックス:あいつには手を出すな。
レックス#2:自分と同じ声に嫌気が差すな。
レックス#2はレックスの顔を押しのけ、床にレックスを倒します。
レックス#2:[クラークに]もう一度チャンスをやろう、俺に従うんだ。
クラークは彼を殴ろうとします。
しかしレックス#2はクラークの拳をつかんで力いっぱい握り締めます。
今のクラークの力では戦う事はできません。
レックス#2:今日の事を後悔するんだな、クラーク。
お前がどんなスーパーパワーを持っていたとしても、お前を殴り飛ばす事ができる男がいた事をな。
レックス#2はクラークの顔を殴り飛ばし床に倒します。
それからレックス#2は古い剣が壁にかかっているのに気がついてそれを手にします。
レックス#2:多分、これが俺たちの運命だったんだ。悲しいことだがな。
レックス#2は剣を振り上げクラークに振り下ろそうとします。
しかしその直前にレックスがレックス#2の背後にやって来てチェーンでレックス#2の首を締め上げました。
レックス#2は剣を落として息をしようと喘ぎます。
レックス:お前が死んだら俺に何が起きるのか見てやる!
レックス#2はレックスの腹を肘打ちし、レックスのチェーンを締め上げる力を失わせます。
レックス#2:お前が俺を殺す事はできないぞ!
[レックスの顔を殴り]
教えてやる!
[再びレックスを殴り]
お前を生かしておく意味をな!
[再び殴り]
俺はお前の魂だ。
そしてお前は弱く感傷的な小さな男だ!!!
本当のレックス・ルーサーはこの俺だーっ!!!
レックス#2 は再びレックスを殴るために拳を振り上げます。
するとクラークはレックス#2のクリプトナイトの指輪にヒートビジョンを放ちます。
熱は緑色のクリプトナイトを黒く変化させました。
レックス#2はその熱さに叫びレックスを殴るのを止めます。
黒いクリプトナイトは爆発し、二人のレックスは互いの方へ引っ張られます。
彼らは光り輝く渦の中で回り始めます。
その光はクラークが目を覆わなければならないほどでした。
そしてレックスは一人に戻り床に倒れます。
クラークは彼の所へ行きます。
クラーク:レックス?レックス?
レックスは体を起こします。
クラーク:うまくいった、全て終わったよ。。
第5幕 場面2
ルーサー・コープの植物。
日中。
レックスはレックス#2が隠れて見ていた場所から研究所の中を見回します。
クラークが彼の後から歩いてきます。
クラーク:何を見てるんだい?
レックス:壊れた夢さ、あまりに儚い。
クラーク、助けてくれてありがとうと言いたいが、この気持ちは言葉では言い尽くせない。
お前がいなかったら俺はこの世から消えていただろう。
お前は本当の親友だ。
クラーク:もう一人の君はそうは思ってなかったみたいだ。
レックス:悪いな、俺は…奴は何て言ったんだ。
クラーク:覚えてないのか?
レックス:何も、本当だ。
二人に分かれてしまったときの人格は全く違っていたようだ。
クラーク:じゃあ、ラナに話をしてくれないか、チャンスを与えて欲しい。
レックス:奴は彼女を傷つけたりしなかっただろうな?
クラーク:僕には何があったかよく分からないんだ。
でもかなり動揺してたみたいだった。
レックスはため息をつきます。
クラーク:あまり自分を責めない方がいい。
あれは本当の君じゃなかったんだ。
レックス:それを理解しようとしてここで考えていたんだ。
悪のレックスは事故で作られたものなのか、それとも本当に俺の心の中にあるものなのか?
第5幕 場面3
タロン。
日中。
ラナがアパートのドアを開けて出るとレックスがそこに立っているのを見ます。
レックス:やあ。
ラナ:ハイ。
彼らはしばらく黙って立っています。
そしてどう話を進めようかと迷います。
レックス:気まずい雰囲気だな、これは明らかに忘れがたい。
ラナはしばらく黙ったままでしたがドアから下がり中に入るようレックスに合図します。
ラナ:クロエが教えてくれたわ。
レックスはアパートに入ります。
レックス:ちゃんと謝罪したいんだが、俺の分身が何をしたのか覚えていないんだ。
全てを戻して、水に流して欲しい。
ラナ:じゃあ、タロンを閉店しなくていいの、私を追い出さないの?
レックス:そんな事を言ったのか?
ラナ:少し…迫られもしたけど。
レックス:[後悔して]ラナ、悪かった。俺の本心じゃない。
ラナ:本当?
レックス:たとえ俺の感情がどうであっても、自分との友情を壊すような事はしない。
ラナ:分かってる。
レックスは去るために踵を返しますが止まって引き返します。
レックス:本当にすまなかった。
ラナは頷きます。
そして釈然としないような微笑みを浮かべます。
レックスは去ります。
ラナ:私もそうだから。
第5幕 場面4
書斎でレックスは机に着いています。
日中。
ライオネルが入ります。
ライオネル:次はどんな攻撃をして来るんだ、レックス?
レックス:親父。
[ライオネルの傷をみて]そのキズは?。
ライオネル:ただのモーニングコールだ。
そして、私はそれに感謝している。
ライオネルはバーに行って飲物を注ぎます。
レックスは立ち上がります。
レックス:俺はこの数日間、何をしたか…
ライオネル:謝らなくていい。むしろ感謝している。
[ライオネルはブランデーのグラスのにおいを嗅いで、レックスへ歩いて行きます]
本当のところ、お前こそが私の求めていた息子であることを証明した、
そして私が間違っていた事を気づかせてくれた礼を言うよ。
レックス:何の話しだ?
ライオネル:慈善団体はもう辞める。
レックス:えっ?そんな。慈善団体は生きがいなんだろ。
ライオネル:[彼は笑います]浅はかな夢だった。
目が覚めたよ。
男とは本来の性格を否定することができない生き物だ、そうだろ、レックス?
[レックスは答えません]
私達はルーサー家の人間じゃないのか?
ライオネルはレックスに近づきブランデーグラスを手渡します。
ライオネル:我々はルーサー一族だ。
ライオネルは出て行きます。
レックスは一人残り入口をじっと見つめます。
フェイドアウト。
おしまい