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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

編集後記
  今回は本家サイトに脚本がないのでDVDを見ながら翻訳しました。
  その分カット映像も入れておきます.

シーズン5.10Fanatic(狂信者)

どこかの会場の楽屋裏のような場所でライフル銃を組み上げている者がいます。
会場からは大きな拍手が響き渡っていました。

会場では「州知事候補、ケントへ一票」というプラカードを持った人や
応援グッズをもって盛り上がっている人たちでいっぱいでした。


壇上の壁にはアメリカ国旗を挟んでジョナサンの大きなポスターが二枚貼られています。

楽屋裏では銃を組み立てていた人物は弾層に弾を込めています。
その時会場から司会者の声がスピーカーから聞こえて来ます。

司会者:将来のカンザス州の上院議員になるのは
    ジョナサン・ケント氏だ!

壇上左袖からジョナサンがスーツ姿で出てきて応援する会場の皆に手を上げて挨拶します。



ジョナサン:ありがとう

中央の演壇にやってくるとジョナサンは会場の最前列にいたマーサを見つけ笑顔を向けます。
マーサもジョナサンに笑顔を返します。
そしてジョナサンは両手を上げ会場の皆に声をかけます。

ジョナサン:ありがとう、本当にありがとう
      ここにお集まりの皆さん本当に感謝します

会場はジョナサンの話を聞こうと静まります。

ジョナサン:今夜は、皆さんにお集まりいただき大変感謝します。
      トウモロコシの助成金の話を蹴ってまでね。

会場からクスクス笑う声が聞こえます。
ジョナサンはスーツの内ポケットから演説用の用紙を取り出します。

ジョナサン:あー…
      家族に話したら
      レックス・ルーサーと戦う事に驚いていました

その頃楽屋裏にいた人物はライフルに弾層を取り付け弾を装填してました。

ジョナサン: 本当の事を分かってないんだと思いました...
      どうして私が出馬したのか

楽屋裏はちょうど会場の後ろ、舞台の真向かい上の方にあり小窓が開いています。
その小窓からライフルの銃身を突き出します。

ジョナサン:そしてこの事がどれほど私にとって重要なのか
      しかし実際…答えは単純です

ライフルのスコープはジョナサンの頭部を狙っています。

ジョナサン:カンザス州のために奮い立ちました
      金持ちだとか…
      貧しいとか関係なく
      そして最善を尽くします
      よりよくするために

会場はジョナサンの締めの言葉に拍手を送ります。
ジョナサンは用紙を手に持ち手を上げ挨拶します。

ジョナサン:ありがとう

ジョナサンは会場にいるマーサに投げキッスをします。
マーサも投げキッスを返します。
スコープは依然としてジョナサンを狙っていました。
会場には天井から紙吹雪や風船が降ってきています。
今までライフルを構えていた人物は不明でしたがやっとその人物の顔が分かります。
驚いたことにその人物はロイス・レインでした。


ロイスは一旦スコープから目を放し舞台で手を振るジョナサンを見ます。
再びスコープを除く眼だけがクローズアップされ、引き金には震える指が掛けられます。
その指が引き金を引くと銃口から弾丸がジョナサンめがけて発射されました。

48時間前。
レックスの屋敷。
夜。
室内には絵画の他に大きなレックスの選挙用ポスターが飾られています。

秘書:ルーサーさん、明日の予定です

レックスは机に着いていて秘書と打ち合わせをしていました。

レックス:市長との昼食後、病院でマスコミ向けのポーズか
秘書:そうです
レックス:ナース組合が49番目のキーだな
秘書:もう一度これを
レックス:昨夜からの新しい世論調査の数が知りたい
秘書:分かりました

入口から十数人の若者たちが入ってきます。
秘書はレックスに耳打ちします。

秘書:中央カンザスの生徒達があなたに…
   五分だけですよ

秘書はレックスから離れます。
若者たちはレックスの前に進み出て前後二列に並びます。
前列にいる若者はスーツ姿で、一人女性がいます。
後列は選挙用のロゴ入りTシャツを着ていました。
レックスはイスから立ち上がり若者たちの前に出て話しながら彼らの前を行ったり来たりします。



レックス:トゥキュディデスはこう言った
     「王になるのか...仕えるのか」
     君たちがここにいるという事は前者を望んでいるとう事だ
     予想以上に票は集まっている
     それには感謝する

前列にいる金髪でセミロングの女性、サマンサ・ドレイクはレックスを眼で追いかけながらうっとりとしてレックスを見つめます。
他の男性達も真剣な眼差しでレックスの話を聞いています。

レックス:だが、まだ満足はしていない
     真の指導者とは
     大差で当選するものだ…
     余裕を持ってな
     十分なる余裕だ
     敗北の文字はない

若者たちは拍手を送ります。
レックスが一人ずつ若者達と握手します。
サマンサの番になるとサマンサはレックスに話しかけます。

サマンサ:サマンサ・ドレイクです…
     レックス・ルーサーの学生親衛隊会長をしています
レックス:感謝しているよ、票の獲得にはね

秘書がレックスに合図を送るとレックスはちらっと彼を見ます。

サマンサ:ついにあなたに会えて光栄です
     おかしいと思われるかもしれませんが
     一緒に写真を撮っていただければ嬉しいんですけど
レックス:君たちの士気が上がるのなら何でもしよう

若者達は嬉しそうに笑顔になります。

サマンサ:まあ。
     すみません。 ありがとうございます。
     背景にあの絵を

サマンサは机の後ろの壁の絵を指します。

サマンサ:あれはあなたがメトロテックとの取引を止めた後
     お父様があなたに与えたものですね?
レックス:(少し驚いたように)十分な勉強をしてきたようだな、ドレイク

若者の一人がカメラを構えるとレックスとサマンサはポーズをとります。


フラッシュがたかれ写真を撮り終えると二人は笑います。

レックス:どうもありがとう

レックスはサマンサのネックレスに気づきます。
ペンダントヘッドは「LEX」を筆記体であしらったものでした。
気がついたサマンサはレックスに言います。

サマンサ:前はクロスをしてたんです

レックスはあきれたような感心したような顔をします。

秘書:ルーサさん?
   リムジンが待っています

レックスは皆を見回します。

レックス:皆、どうもありがとう

そしてレックスは部屋を出て行きます。
若者達は拍手でレックスを送り出します。

廊下を秘書と一緒に歩くレックス。
レックスの携帯に着信があります。
スーツの内ポケットから携帯を取り出し電話に出ます。

レックス:レックスだ
男:ケント陣営に手榴弾を投げるだけか?
   原爆を手に入れたぞ

レックスは秘書に待つように合図します。

レックス:ここでは話せない

男は公衆電話からかけていました。

男:ランパートで待っている

電話を切った男は辺りを見回しながら電話ボックスから出てきます。
手にはA4サイズぐらいに封筒を持っています。
振り向くとそこにはライオネルが立っていました。
男はたじろいで後退します。

ライオネル:核戦争かね?
      たかが地方の選挙に少しオーバーじゃないか?

男は上着の内ポケットから拳銃を取り出しライオネルに向けます。

男:何も問題はないさ
  この会話を終わらせればな

ライオネルは一瞬ひるみます。
しかし右手でそおっとコートの合わせを開きます。
すると内ポケットに札束が入っていました。

ライオネル:私は政治的な武器を信じている

男はライオネルの内ポケットから札束を取ります。

ライオネル:取引とは通常
      最高入札者に落札されるものだ

男は頷き納得して封筒をライオネルに手渡します。

ライオネル:どうも

ライオネルは封筒から書類を出すと封筒は道路に投げ捨て
中の書類を一読してからライターで火を付けます。


男は振り返りライオネルのした事に驚いて目を丸くしました。
ライオネルは男にニヤリと笑みを投げかけます。

ケント農場。
日中。
ケント家の一室は議員の執務室と見間違えるくらいすっかり変わっていました。
ジョナサンはスーツを着て机に着きます。


そこへロイスが新聞を持って入ってきます。
カメラマンがジョナサンを撮影していました。
どうやら選挙用の宣伝のためのセットの様です。

ロイス:まじですか?

ジョナサンは立ち上がります。

ジョナサン:ああ
      ソスニックが全部メトロポリスから運んできたんだ
ロイス:(あきれたように)私はカーネーションを持ったどこかの暴力団が
    影から飛びだしてくる事を期待し続けるわ。

ジョナサンは笑います。
そこへクラークとマーサがコディーネーターの女性に従われてやってきます。
二人ともスーツを着用し髪型も整えられていました。
しかし二人とも浮かない顔です。

ジョナサン:おーっ
マーサ:あなたどうしてなの、私達よ
クラーク:父さん、この人たちが何をしてるのか知ってるの?
ジョナサン:クラーク、ソスニックは役に立つ
      私たちより詳しいんだ

ロイスは持ってきた新聞を突き出します。

ロイス:彼はあなたからルーサーに寝返るんじゃないかと思います

新聞を受け取るジョナサン。
ロイスの後ろからソニックスが声をかけます。

ソニックス:問題でも?

ロイスはソニックスに振り返ります。

ロイス:ええ、本当にいつもあなた達が
    ケントさんのためにやってるのかって?
    (クラークとマーサは顔を見合せます)
    皆がケントさんに投票するのは関心があるからです
    (ジョナサンは新聞から顔をあげます)
    地元の農家に支援すると信じてるから
    (ソニックスも顔をあげます)
    大企業の高慢ちきに見せかける必要はないの
    そんなつもりはないのよ、ケントさんは…
    (ジョナサンの方をちらっと見て)
    誰かに買収でもされた?


ソニックス:それはデモ・ギャップを埋めるためだ
ロイス:へえ、ギャップを埋めるには候補を誤ったんじゃない?
ジョナサン:ちょっと待ってくれ
      (新聞を読みながら)
      それについて「ジョナサン・ケントが引用した
      企業の興味を果たすことは可能だ
      そして公共の生活保護を維持する」
      私はこんな事は言わなかったぞ
ソニックス:私が
ジョナサン:君が?
ソニックス:多くの野郎どもは…誤解しないで下さい。
      あなたは別ですから。
      カウボーイの支持は得るかもしれません
      でもベント・ラッテにもっと精通している投票者の集まりがある
      そんな者達を掘り起こすより

マーサ、クラーク、ロイスはあきれ顔になります。

ジョナサン:私がここで本当に必要とするのは何なのか
      (ソニックスの肩に手を置き)
      選挙に勝つ事以上に、もっと何かを信じる事だ
      申し訳ないが、君はクビだ

マーサ、クラーク、ロイスは嬉しそうな顔をします。
ソニックスは計画書をつき返します。

ソニックス:(憮然とした態度で)荷造りしろ、みんな

ソニックスは出て行きます。

ロイス:それでもまだ完全とは言い切れません、ケントさん
    でも私には思いつきません
    どうやってすぐに欠員を補充するんですか?

ジョナサンはロイスを見つめます。

ジョナサン:そうだな
      (計画書を渡し)
ロイス:えっ、私が?
    あのー、キャンペーンのマネージャっなんてどうやればいいのか?
ジョナサン:よい上院議員になるにはどうしたらいいんだね?

その時電話のベルが鳴ります。

ロイス:そうですね

ジョナサンは電話の方に行きながら。

ジョナサン:私が出るよ

ロイスはまんざらでもないという笑顔を見せます。
マーサ、クラークは心配そうに顔を見合せます。

ジョナサン:(電話に出る)ジョナサン・ケントです
男:(機械的に変えられた声で)キャンペーンをやめろ、これは最終警告だ
ジョナサン:(怒って)二度と電話をするなと言ったはずだぞ

ジョナサンは電話を切って不安そうな顔をします。
そしてピルケースを開け赤いカプセル錠を一粒取り出ししばらくそれを見つめた後飲みます。
そして電話に不安そうに視線を投げかけます。

大学。
日中。
屋外。
掲示物を貼ってある円柱があります。
そこには他の掲示物を隠すようにレックスの選挙ポスターがベタベタと貼ってあります。
さらにロイスがその上にレックスのより大きなジョナサンのポスターを貼っています。
そこへサマンサが男を二人従えてやってくると先に貼ってあったジョナサンのポスターを剥がし丸めます。

ロイス:ちょっと!何をするのよ?
サマンサ:悪いけど、キャンペーン運動の規則違反よ
     ポスターは20x24以下のはず

そう言うとサマンサは後ろにいる男に丸めたポスターを渡します。

ロイス:オーケー、はりきり屋さん
    まるでキャンパス内のゲシュタポね
サマンサ:州の将来に係わってくる事だもの、レインさん
ロイス:どうして私の名前を?
サマンサ:レックスは「常に己の敵を知れ」って言ってるわ
ロイス:レックスに買収でもされた?
    彼ならやりかねないわ
サマンサ:犠牲はつきものよ
ロイス:ケントさんとは接戦じゃない
    あなた達のファシズムとね
 


サマンサは少し不服そうな顔をします。
ロイスは勝ち誇ったように笑みを浮かべます。
サマンサは二人を従えて立ち去ります。
少し離れると二人の男に話しかけます。

サマンサ:レックスが言ってたのを聞いてたでしょ
     「真の指導者とは大差で当選するものだ」って
     目標は達成してる
     私達はもっと数字を高するのよ
     敗北はありえないわ

ラナの部屋。
夜。
ラナは流星群の詳細な写真を見て何やら分析をしているようです。
ドアにノックの音がします。

ラナ:どうぞ

ラナは立ち上がってドアに向かいます。
彼女はドアを開け笑顔でクラークを迎えます。

クラーク:やあ
ラナ:ハイ

クラークはラナにキスをします。
そして彼は室内に入りラナのベッドへと倒れこみます。



ラナ:(苦笑いしながら)選挙運動で一日中大変だったみたいね

ラナはクラークの方へと近づきます。

クラーク:ロイスの方が大変そうだよ
ラナ:スケートにでも行ってはしゃぎたいけど

彼女はクラークの上に覆いかぶさります。

ラナ:今晩は家にいられるわ
クラーク:(笑顔で)オーケー

二人は抱き合いキスをします。
クラークがラナをゴロンと体を入れ替えると。

ラナ:あっ !

クラークは慌てて離れます。

クラーク:どうしたの?痛かった?

ラナは背中の方から惑星のクルクル回るおもちゃを取り出します。

ラナ:あなたのせいじゃないわ。
   これのせいよ。

クラークは何か浮かない顔です。
ラナは立ち上がりクラークに近づきます。

クラーク:あのさ、よく考えたら、僕はもう行くよ

ラナは悲しそうな顔をします。
背を向けて出て行こうとするクラーク。
ラナはクラークに追いつきます。

ラナ:ねえ、あんまりだわ…

クラークはラナを見つめます。

ラナ:今まで一緒じゃなかったけど
   あなたは変わったわ
クラーク:それは、つまり…
     (間があり)
     しなかったから…
ラナ:セックスの事?
   クラーク、私が気付かなかったとでも思ってるの

クラークは黙り込みます。

ラナ:(イライラして)あなたが奇跡的に蘇った時から、
   私達の間は今迄とは違うものになった

クラークはラナをすり抜けます。

クラーク:(ラナに背を向け)分かってるよ、ラナ
     説明はできないけど
     それで僕は変わったんだ
ラナ:あなたが何を体験したのか私には分からないわ
   でもあなたはあなたでしょ?

ラナはクラークの前に回り込みます。

ラナ:クラーク
   どうしてなの…私に触る事を恐れてるみたい
   (間があり)何があったの?
   クラーク?
   (クラークは下を向いて何も言いません)
   多分こうじゃないの?
   あなたはもう離れないって言ったわね?
クラーク:(しばらくためらった後)
     どうして僕が?
     君から最初に離れたんだ
     そう言った2週間後に、君はメトロポリスに行ってしまった

クラークは少し離れて下を向きます。
そして机から本を取り上げます。

クラーク:そして今君はこんな本を呼んでいる
     どうして天文学なんか?
ラナ:宿題よ
クラーク:(本を突き付け)強迫観念からだろ
     正直言って…両方なんじゃないか
ラナ:(悲しそうな眼をして、間があり)
   偏見ね
   でももう騙されないわ

クラークは言葉を失います。

ラナ:少し外で空気を吸ってくる

ラナは外へと出て行きます。
クラークは後姿を見つめたままです。

ケント家。
夜。
納屋でジョナサンはチェーンソーで木材を切っていました。
木材を切り終わるとチェーンソーを手放し安全眼鏡を外すと
地面に落ちていたクシャクシャになった自分のポスターをしゃがんで拾い上げます。
立ち上がって背後を振り返ると一人の若い男が立っていました。
ジョナサンは不審そうに顔をしかめます。
 


ジョナサン:おい、君は誰だね?

男は何も言わず後ろ向きに下がって行き陰に隠れます。
ジョナサンは男を追いかけます。

ジョナサン:今まで私に電話をしていた人か?
      おい!
      お前が電話の主か?
      私と家族に近づくんじゃない

ジョナサンが男が隠れたあたりに行くと陰に隠れていた男がバットでジョナサンの腹を殴りつけます。
うずくまったジョナサンに更に後頭部を殴りつけます。
ジョナサンは苦しんで呻き気を失います。
男はジョナサンを見下ろします。
すると別の蔭からサマンサが出てきてジョナサンを見下ろします。

タロン。
夜。
閉店後、マーサはゴミを出しに表に出てきます。
ゴミ回収箱にゴミを入れ店内に戻る最中、
店内に貼られたジョナサンのポスターを見かけ立ち止まります。
見ているとガラスにライオネルの姿が映ります。
マーサは驚いて振り向きます。

ライオネル:よく言われている事は本当だったな
      素晴らしい男の後ろには素晴らしい女性がいる

マーサは首をわずかに振ります。

ライオネル:キャンペーンで忙しいんじゃないのかね?
マーサ:(頷いて)ええ、そうね
    でもジョナサンと協力し合ってるから

ライオネルはニッコリとうなずきます。
マーサは店内へと戻ろうとします。

ライオネル:残念だが、勝つのには十分ではない

マーサは立ち止まります。

ライオネル:知っているはずだ。
      レックスは無限の資金を使ってキャンペーンを行っている事を
      (マーサは振り返ります)
      君らは財政難に陥ってるんじゃないか
      もうないんだろ
マーサ:あなたは自分の息子を自慢したいの
    でもあなたは私をよく知ってるはずよ、ライオネル
    決して夫は断念しないわ
ライオネル:誤解しないでくれ
      レックスは十分な資金を持っている
      (スーツの内ポケットから小切手を取り出し)
      ジョナサンには必要だろ
      (小切手を手渡し)
      それに見合った金が。
マーサ:(小切手を見て)
    これはそれ以上じゃない
    (ライオネルは笑みを浮かべます)
    私達は夫の信念でこのキャンペーンをしてるの
    彼のために選挙を勝たせようとしても
    ジョナサンは決してこれを受けとらないわ

マーサはライオネルに小切手を返します。

ライオネル:(小切手をしまいながら)
      私は彼のやり方ではキャンペーン中に脱落すると思っていた
      盲目的な理想主義によってね
      だが君の方が賢いと思う
      (マーサは厳しい顔になります)
      君はジョナサンを個人的な理由でそうしてしまっていいのか
      勝てないぞ

しばらくの間二人は見つめあってから、ライオネルは歩き去ります。
マーサはしばらくその後ろ姿を見送ります。

デイリープラネット。
夜。



クロエ:記者たちがいるから夜遅くに来たんでしょ
    何があったの?

クロエは自分の机に行きます。

クラーク:君はどのくらいこの友情の境界線を守っていけると思う?
クロエ:(笑いながら)私達にいつから境界線があったっけ?
    (真剣なクラークを見て)
    分かったわ
    細かい内容を教えてよ?

クラークはオフィスの中を歩き回ります。

クラーク:まあ…
     僕が人間になったとき、ラナとはうまくいってた
     つまり、楽しかった
クロエ:それで?、クラーク

クラークはクロエに振り向きます。

クラーク:でも能力が戻った今、そのー…
     セックスが…
     できなくなってしまった
クロエ:へえ
    あー、こんな質問をすると変だけど…
    そのー、なんで?
クラーク:(間があり)新しい力が芽生えると
     その力をコントロールするまでに時間がかかるんだ
     そうゆう事さ
クロエ:(渋い顔をして)へえー
    随分屁理屈を並べ立てたね
    あー、それで、基本的に言っていることは
    怖がってるんだ、
    ちょっとした弾みで力を出しちゃう事が
    (クラークは黙り込みます)
    黙ってないで何か言いなさいよ、クラーク
クラーク:まあね
     そういう事さ
     いつ何が起きるのか僕にも分からない
クロエ:つまり、コントロールできなかったら…
    あのさ、あんまり気にする事ないんじゃない?
クラーク:そんな
クロエ:そういう事じゃなくてさ
    この話はクリプトン人の力のせいでしょ
    ねえ、クラーク…
    私の手を握りつぶさないように握れるでしょ?
    それに見た物全てをヒートビジョンで焼き払ってしまうわけでもない
    他の力も似たようなもんじゃないの?
    つまり…比喩的に
    (クラークは眼を伏せます)
    でもあなたは私に全て話す事はなかったのに、何で?
クラーク:友達としてラナと付き合っている時はウソをつく事に慣れてた
     だけど今は違う

クラークはクロエに背を向けます。

クロエ:そう
    あのさ、クラーク
    私は最大限秘密を守ってるわ
    でもラナには知られたくないと思ってるんじゃない
    (クラークはクロエに向きます)
    彼女は天文学を勉強してる
    隕石のね、この事は消すことのできない事実だし
クラーク:でも、彼女には教えられない、リスクが大きすぎる
クロエ:分かったわ、クラーク、それなら話さなくても構わない
    でも守る事から攻める事に変わる必要があるよ
    遅かれ早かれラナは
    正攻法で意外な人物から聞き出そうとするはずよ

クロエはその場を後にします。
クラークは黙ったまま立ちつくします。

ケント家。
夜。
マーサとクラークが買い物袋を持ってキッチンに入ってきます。
二人ともテーブルに荷物を置きます。

クラーク:母さん、帰る途中話さなかったね?
     何かあったのかい?
マーサ:(首を振って)いえ、平気よ
    選挙が終わればいいなって思っただけ

表からシェルビーの鳴き声が聞こえてきます。
二人は表に出て納屋の方に行きます。
マーサは納屋の中で鳴いているシェルビーを見つけます。

マーサ:シェルビー!
    どうしたの?
    (シェルビーの脇にしゃがみ込み)何があったの?

マーサはシェルビーの見ている方に目を向け息を飲み立ち上がります。
クラークも振り返ります。
そこには逆さ吊りにされ失神しているジョナサンがいました。


その下の梁には赤ペンキで「今のうちに降りろ」と記されています。
二人は息を飲んでジョナサンを見つめます。

スモールビルメディカルセンター。
夜。
ロイス、クラーク、マーサはジョナサンの病室へと向かっています。

ロイス:ケントさんが回復するまで、集会は来週に延期しました

三人は病室に入って驚きます。

ロイス:その必要はないかも?
クラーク:父さん、何をしてるんだ?

ジョナサンは着替えをしていました。

ジョナサン:私は決して降りない

クラークとマーサは顔を見合せます。

ロイス:もう一度、集会の調整をします

ロイスは病室を後にします。
ジョナサンはベッドに腰掛けます。


マーサ:(ジョナサンに近づいて)今夜は入院だってお医者に言われたでしょ
ジョナサン:(靴を履きながら)そりゃ医者はそう言うさ
クラーク:(近づきながら)今回が初めてじゃないって言ってたじゃないか

ジョナサンはクラークをちらっと見ます。

マーサ:(驚いて)ジョナサン!
    どうして私達を遠ざけようとするの?
    家族でしょ?
ジョナサン:そうなのか?
      走る事だって満足にさせてくれない
      今度は私が降りる事を望んでいるんじゃないのか?
マーサ:これ以上あなたの命を危険にさらす事はできないわ
    それを黙って見ていろっていうの?
ジョナサン:私は見届けなければいけないんだ、マーサ

マーサは怒って出て行きます。

クラーク:「行動よりも言葉」じゃないの、父さん?
ジョナサン:(立ちあがって)おい、私はお前に圧力には屈するなと教えたはずだ
      特にレックス・ルーサーにはな
クラーク:レックス?
     彼がやったと思ってるのかい?
ジョナサン:レックスには際限がない

病室を出て行くクラーク。
廊下の向こうからレックスがやってきます。

レックス:クラーク
     話は聞いた
     親父さんは大丈夫なのか?
クラーク:君が思っている以上に大丈夫さ
レックス:俺が裏で操ったと思ってるのか?
クラーク:どう信じればいいんだ?
レックス:やはりそうか
     俺は襲わせてはいないと新聞に発表する
     そして犯人に関する情報もしくは捕まえた者には懸賞金を出そう。
     お前に信じてもらうために何でもするぞ

レックスは踵を返し立ち去ります。
クラークは彼の後ろを追います。

クラーク:レックス、こんな片田舎の上院議員なそれほど重要なのか?
レックス:(立ち止まって)これは手段さ
クラーク:何の?
レックス:(クラークに向いて)
     それはアポロがイカルスに
     なぜ翼を作っているのか聞いているようなものだ
     クラーク、お前は全てを手に入れている
     俺はまだ探している最中なんだ
クラーク:もし勝てなかったらどうするんだ?
     もし探しているものが見つからなかったら?
レックス:ホワイトハウスがあるさ
     (間があり)約束しよう、君の親父さんを吊るした犯人を必ず見つけ出す

レックスは出て行きます。

中央A&M大学。
サマンサ他二人の男が薄暗いレックスの選挙事務所のような場所で集まっています。
サマンサは新聞を呼んでいます、見出しは「ケント襲われる、選挙は継続」



サマンサ:(新聞を置いて)引かないわね
     彼はクビにしたわ
     何が必要なのか分かってるでしょ
     もうやる事は決まってるのよ
男1:サマンサ、少し頭を冷やせ
   少しやりすぎた
   そして全くの裏目に出てる
男2:自首するんだ
   レックスを名指しされる前に
サマンサ:レックスが私達に余裕を持つようにと言ったのよ
     私はそれをするわ

男達は顔を見合せます。

男1:何の話をしてるんだ?
サマンサ:ケントがあきらめる方法が一つあるわ
男2:取り返しがつかなくなる前に警官に行く

男2は部屋から出て行こうとします
サマンサはテーブルの上に会ったハンドバッグに手を入れます。
男1も後に従います。
サマンサはハンドバッグから拳銃を取り出し男2を撃ちます。
続けて男1も撃ちます。

サマンサ:レックスは
     決して…
     簡単にはあきらめない

サマンサは鏡の前に移動し鏡を見ながら自分の頬を叩きます。
そして電気バリカンを手にすると自分のブロンドの髪を剃り始めました。



レックスの屋敷。
夜。
レックスは携帯で話しながら書斎に入ってきます。

レックス:回収は待て
     だが、グリフが見当たらない
     何が起きたのか見つけだすんだ

レックスが携帯を切って机の方を向くと坊主頭の誰かが後ろ向きで座っていました。
イスが回転しレックスの方に向きます。
それはガウンをはおってグラスで酒を飲んでいるサマンサでした。
サマンサと分かったレックスはホッとします。

レックス:(自分の頭を触って)誰かと思ったよ

サマンサはグラスを机に置くと立ち上がってレックスに近づきます。
そしてガウンを脱ぎ去るとその下は全裸でした。


レックスは驚いた顔をします。

サマンサ:どれだけあなたに尽くしているのか示したの
レックス:(サマンサの顔を見て笑い)そのようだな
     必要な人材はそろっているよ
     ありがとう
     (サマンサをすり抜け)
     だがもっといいセキュリティが必要のようだな

レックスはガウンを拾ってサマンサにかけます。

サマンサ:それなら暗証番号に誕生日を使わないように言わないとね?
     (ガウンに袖を通しながら)
     厳密にいえば…
     (振り向いて)
     あなたの弟の?
レックス:いい香水だな
サマンサ:エルメスよ
     あなたのお気に入りでしょ
     あなたの全てを知ってるわ
     上院議員
レックス:上院議員?
     もう少し先の事じゃないか?
サマンサ:違うわ
     ジョナサン・ケントは消える
レックス:(厳しい口調で)
     ケントさんに手を出したら容赦はしないぞ

レックスは彼女から離れます。
サマンサはレックスを追いかけます。

サマンサ:もちろんそんな事はしません
     (レックスは立ち止まります)
     あなたは距離を置いてください
     前にそう言いましたよね…
     「攻撃される前に攻撃をする」って
レックス:(振り返って)その攻撃に無関係だと言って欲しいな
サマンサ:(近づき)うまくやるわ、レックス
     あなたが何を望むのか分かってる
     あなたの名誉を汚すことはしないわ
レックス:(サマンサの胸倉を掴み)
     俺の事を調べたからといって知った気になるな
     俺はケント家の者は決して傷つけたりはしない
サマンサ:あなたらしくないわ、レックス
レックス:その事は知っているはずだ
     (サマンサは眼を丸くします)
     警備員に警察へ連行させる

レックスは離れて室内の電話に向かいます。
サマンサは近くにあったガラス製の物を掴みレックスの頭に振りおろします。
レックスは粉々に砕けたガラスの破片の上に倒れ気を失います。
サマンサは倒れたレックスに覆いかぶさります。

サマンサ:それがあなたの唯一の弱さよ
     (レックスの頭をなでながら)
     だから私が必要なの

デイリープラネット。
廊下をクロエとクラークが並んで歩いています。

クロエ:レックスがお父さんの後見人?
    うそでしょ、クラーク
    レックスは勝つためなら手段を選ばないわよ
クラーク:(メモを出しながら)
     今日かかってきた電話番号がある
     父さんが隠していたんだけど…

二人はオフィスに到着します。
クロエは自分のデスクのパソコンに入力をはじめます。

クロエ:私の指にかかってるわけね
    ちょっと待ってて
    (入力を終え)
    あのさ、こんな事を秘密にしておくのは
    あなたのお父さんらしくないわ
クラーク:最近、人が変わったようになったんだ
     皆に何かを証明しようとしてるみたいに
クロエ:あなたも彼の息子ね。
クラーク:上院議員の事と僕に何の関係が?
クロエ:考えてみて、クラーク
    燃えている建物から人を救い出すのは大変な事よ
    そして煩わしい仕事や夕食の間に核弾頭ミサイルを止めに行ったり
クラーク:誰もそんな事は期待してない
クロエ:そうよね、でもそれはお父さんがやらないわけないでしょ
    (モニターを見て)
    おっと、帰って来たわ
    すごい
    (クラークはモニターを見ようとクロエの後ろに回ります)
    電話をかけてきたのは…
    「レックス・ルーサーの学生支部」よ。

クロエは後ろにいるクラークに向きます。

レックス・ルーサーの学生支部。
クラークが入ってきます。
中には誰もいなく中へと入っていくと床の上に何かを引きずったような血の跡が付いていました。
その血の跡を付いていくと二人の男が並んで仰向けで倒れていました。
顔にはレックスのポスターから切り抜かれたレックスの顔がお面のように被されていました。
それはサマンサが撃ち殺した男たちです。
クラークはその遺体に屈み込むと落ちていたサマンサの髪の毛を拾います。
そしてテーブルの方に行くとその上にはレックスとサマンサの写った写真がありました。
彼は写真を手にします。
そして置いてあったジョナサンのポスターを手にします。
そのポスターはジョナサンの顔の部分が滅茶苦茶に傷つけらていました。
クラークは犯人を確信します。

選挙遊説演説会会場。
会場では「州知事候補、ケントへ一票」というプラカードを持った人や
応援グッズをもって盛り上がっている人たちでいっぱいでした。
楽屋から会場へと向かうジョナサンとロイス。
ジョナサンはロイスから渡された演説のメモを読んでいます。

ジョナサン:「心を中心地域に戻すために私は私の役割を果たします」
ロイス:素晴らしい閉め文句でしょ、ケントさん
ジョナサン:これはマーサへの言葉だな、私じゃない
      彼女がこの言葉を聞くのに間に合ってくれるといいんだが
ロイス:本当にいいんですか?
    安全には念を入れてはいます
    でも延期するのはまだ間に合いますよ
ジョナサン:ロイス、たかが暴漢に襲われたぐらいで
      辞退してリーダーが勤まると思うかね?

会場に司会者からのアナウンスが聞こえてきます。

司会者:将来のカンザス州の上院議員になるのは

ロイスは慌ててジョナサンの身なりを直します。

ロイス:上着を?
ジョナサン:ありがとう。
ロイス:素敵ですよ

ジョナサンは会場へと向かいます。

ロイス:皆を感動させてきて下さい、ボス

ロイスは楽屋裏へと行きます。

ジョナサンは会場の袖から舞台へとニコやかに出て行きます。
そして会場の皆に手を振って挨拶します。

ジョナサン:ありがとう
      ありがとう、本当にありがとう

ロイスのいる楽屋裏に誰かがやってきます。

ロイス:失礼ですが?

その人物は目深に帽子を被っていて顔は分かりません。

ロイス:(近づき)ねえ

その人物が振り向くとそれはサマンサでした。
彼女は振り向いた瞬間ロイスの顔を殴りつけます。
ロイスは床に倒れます。

会場ではジョナサンが演説をしいていました。

ジョナサン:家族に話したら
      レックス・ルーサーと戦う事に驚いていました

最前列でマーサは心配そうにジョナサンを見上げています。

ジョナサン:しかし家族のサポートによって
      インスピレーションが浮かびました

楽屋裏でロイスが失神から目を覚まします。
ジョナサンの演説が聞こえてきます。

ジョナサン:私は奮起しました。
      勇気とは何のか息子から教わりました…

目を上げると帽子を脱いで坊主頭をさらしているサマンサが拳銃を向けていました。
ロイスは身を起こします。

ロイス:間違って入って来たわけじゃないわね
サマンサ:立ちなさい、少しはできるようね
     見くびってたわ
     (ロイスは立ち上がります)
     言ったわよね…
     己の敵を知れって
ロイス:重症のようね…
    あなたにはジョナサン・ケントは撃てないわ
サマンサ:(不気味な笑みを浮かべ)そうね
     あなたが撃つのよ

会場ではジョナサンの演説に会場が沸きます。
マーサは後ろを向いて傍聴者に手を振り答えます。

ジョナサン:実際、そうなのです。
      勇気ある家族のために懸命なのです
      家族が理解したとは思ってません…
      私がどうして出馬したのか
      そしてこの事がどれほど私にとって重要なのか
      しかし実際答えは単純です…とてもね

ライフル銃のスコープがジョナサンを捕らえます。

ジョナサン:カンザス州のために奮い立ちました
      金持ちだとか…

ライフルを構えているのはロイスです。
ロイスは一旦スコープから目を離します。

ロイス:誰も私がケントさんを撃つなんて信じないわ

後ろではサマンサが拳銃をロイスに向けています。



サマンサ:そうなの?
     美しい少女が彼の家にやってきて住みはじめた
     妻はコーヒーショップで忙しく働いている
     突然、彼は経験豊かな政治顧問を解雇し
     選挙演説にその少女を連れて行く
     それがうまくなかった
     そして放っぽり出された若い恋人は復讐をする
     さあ、ジョナサンの頭を狙って撃つのよ
     レイン将軍は何も教えなかったの?
ロイス:(自信ある笑みを浮かべ)そうね
    教えてくれたわ

言葉を言い終わらないうちにロイスは急に振り向き後ろのサマンサをライフルで殴ります。
しかしサマンサはライフルを奪い取り逆にロイスを銃座で殴り倒します。
そして自らライフルを構え弾を装填するとジョナサンを狙います。

会場ではジョナサンが皆に手を振っていました。
会場の入り口からクラークが入ってきて真剣な顔でジョナサンを見つめます。

サマンサはジョナサンの頭をクロスゲージに合わせます。

クラークは会場にサマンサを探しているようです。
その瞬間サマンサは引き金を引きます。
クラークはその銃声を聞いた瞬間、超スピードモードに入ります。
そして発射された弾丸を追いかけます。
弾丸はまっすぐにジョナサンの頭に向かいます。
間一髪のところでクラークは飛び込み弾丸を掴み取ります。


通常スピードに戻ると、会場は銃声に慄きます。
ジョナサンもあたりを見回します。
スタッフがジョナサンを演台の影に伏せさせます。

スタッフ:伏せてください

クラークは手に握った弾丸を見ます。
ジョナサンは会場のマーサを心配します。

ジョナサン:マーサ?

マーサはスタッフに連れられて会場から連れ去られます。

楽屋裏ではサマンサが二発目を装填します。
気が付いたロイスはサマンサを後ろから羽交い絞めにします。
その時会場にいたクラークは銃の所在を見届けます。
ロイスはサマンサを床に組み伏せます。
そこへクラークがやってきました。

クラーク:ロイス
ロイス:心配ないわ、スモールビル
    遅れても来てくれたわね

レックスの屋敷。
書斎でレックスは床に置いてあった「兵法」という題名の本を拾います。
するとライオネルの声が聞こえてきます。

ライオネル:「兵士と子供達の事を考えろ」
      さすれば彼らは後について深い谷の中に行くだろう
      (レックスは振り向いてライオネルを見ます)
      「彼らを自分の最愛の息子として見ろ…
ライオネル&レックス:…そうすれば己が死んでもそばにいてくれるだろう」
レックス:「戦争の芸術」を引用しなくてもいい、親父
     高校を卒業するまでに3回は読んだからな



レックスはライオネルに近づき本を押し付けます。

レックス:…だが
     14歳の誕生日には自転車の方がよかったけどな

レックスはバーに行きます。

ライオネル:そうかね、お前の懸命な努力もかなわず
      昨日の集会の後、ジョナサン・ケントの方が世論調査で優位になった
レックス:(グラスに注ぎながら)俺には関係はない
ライオネル:いやいや、もちろんそうだろうとも
      だがお前の弟子がお前のためにやったように見えるがな
      (レックスに近づき)
      なかなかの酷い有様を展開したものだ
      どう思うかね、レックス
      お前を崇拝させるには?
レックス:精神病者のカルトのアイドルに親分風を吹かせるとでも?
ライオネル:ああ、だが上院議員になるのは同じ事だ
      だから立候補したんじゃないのか?
レックス:本当の事を知りたいか?
     (ライオネルはうなずきます)
     俺がどうして立候補したかの理由を

レックスはライオネルを通り越し暖炉の方へと向かいます。

ライオネル:ああ
      お前の気高い努力は殺し屋を雇う事も含まれる
      (レックスに向いて)
      ケント家を破滅に追いやる情報を見つけ出すために
レックス:(振り向いて)
     このキャンペーンでの父親としての
     誇りとサポートはこれまでだな、親父?
     (ライオネルはにやりとします)
     グリフは死んでいた
     (ライオネルに近づき)
     今朝、シューサイドスラムの奥の路地で遺体が発見された
     ケント家の者がやったとは思えない
ライネル:危険な場所だぞ、レックス
レックス:親父も殺されぞ
     今回は俺側につくのか?
ライオネル:お前は間違っている、息子よ。
      最初に、ファイン・ミルトン教授、次にグリフが消え…
      (本を渡しながら)この本を開きなおす時期かもしれんぞ



ライオネルは立ち去ります。
レックスは本を抱えたまま宙を見つめていました。

ケント農場。
日中。
ジョナサンはコーヒーカップ片手に普段着でキッチンから出てきます。
ロイスが後ろを追いかけます。



ジョナサン:全教師が集まるのか?
ロイス:はい。
ジョナサン:そうか、いいぞ
ロイス:(原稿を渡しながら)
    教師組合に話すポイントはこれです
ジョナサン:オーケー。
ロイス:忘れないでください…
ジョナサン:分かってる、今朝は消防士との朝食だろ
      心配するな、ロイス、忘れたりはしない
ロイス:(ニヤッとしながら)
    うーん、消防士か
    ついて行こうかな、少しは役得もないと

玄関からマーサが入ってきます。

マーサ:(ジョナサンに)いい知らせよ
ジョナサン:んー?
マーサ:(書類を見せ)
    昨日の集会後、10ポイント世論調査で上回ったわ
ジョナサン:(書類をチラッと見て)
      そうか!
ロイス:勝見込みが出てきましたね?

ロイスも嬉しそうに笑みを浮かべます。

ジョナサン:(上着を着て)行ってくるよ、じゃあ

ジョナサンはロイスに手を振ります。

ロイス:(手を上げ)行ってらっしゃい

マーサはロイスに近づきます。

マーサ:ホッとした顔を見れて安心したわ
ロイス:ええ。
    でも、それを台無しにされるのは嫌ですね
マーサ:どういう意味?
ロイス:レックスが800の広告と3つのメイラーを落とします
    来週から2週間で
    今はいいかもしれませんが、多くの報道が選挙日にケントさんを…
    私が言えるのは…
マーサ:資金繰りに困ってるのね
    (ロイスはうなずきます)
    この2日間どうやって彼に話そうかと考えてたの
ロイス:でも、スポンサーを見つけないと、州知事のイスとはおさらばですよ
マーサ:一つ方法があるの
    でも絶対にジョナサンには内緒にしておいて

ロイスはうなずきます。

屋根裏部屋。
クラークが階段を上がってくると天体望遠鏡を覗いているラナがいました。



クラーク:ラナ
     (ラナは顔を上げます)
     ここで会うとは思ってなかった
ラナ:あれで終わりにするつもりは毛頭ないわ
   ねえ、クラーク
クラーク:ラナ、僕は…
     (間があり)
     君は正しかった
     僕が離れていったんだ
     (ラナに近づき)
     君とずっと一緒でいたかったから…
     でもそれをぶち壊しそうで
ラナ:クラーク、強制はしないわ
   もっとゆっくりと、元に戻る事が必要よ
クラーク:僕は幻覚症状を起こすし
     心も弱いし、責任を君に押し付けた
     それでも許してくれるのかい?
     質問もしないで?
ラナ:それはあなたのせいじゃないからよ
   私が逃げてるってあなたは言ったわ
   そして宿題を取り上げて…
   それは間違ってはいない
   クラーク、隕石群の事を調べてたの
クラーク:忘れる事にしたって言ってたろ
ラナ:そうよ、そうしようとしたわ
   でもあの隕石のせいで私の人生が変わったの
   そして2度目の流星群…
   クラーク、あれが偶然とは思えない
クラーク:何の事だい?
ラナ:あなたはこの前の流星群の時に私の見た宇宙船の事を知ってる?
   最初の流星群の衛星画像を調べてみたの
   子供だった時のを
   そこには隕石とは違うものが映ってた
   それは、うーん…
   どちらかと言うと着陸したような
   クラーク、もし宇宙船が最初の流星群で来たとしたら
   そしてその中にいた人は
   ここで私達と一緒にずっと過ごして来たんじゃないかって?

タロン。
夜。
マーサが外階段を下りてきます。
そこへ黒塗りの車がやってきて停まります。
後部座席にはライオネルが乗っています。

ライオネルは窓を開けマーサを見ます。



マーサ:(窓越しに)来てくれて、ありがとう
ライオネル:私の方こそ嬉しいよ

ライオネルはドアを開けます。
マーサは辺りを見回しながら用心深く乗り込みます。
車は走り出します。

ライオネル:(マーサを見つめながら)
      君のためならいつでも、マーサ

おしまい