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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

シーズン5.16Hypnotic(催眠術)

どこかのジャングル。
夜。
二人の男がジャングルの中を懐中電灯を持って歩いています。
彼らは黄色いエマージェンシースーツを身につけ
「バイオハザード」と書かれたジュラルミンのケースを持っています。
先頭を歩いている男が先の方に小屋を発見します。

男1:(立ち止まって)小屋があるぞ。
男2:救護ヘリをここまで呼ばない事を願うよ。
男1:行くぞ。

二人は小屋の中に入り懐中電灯で中を照らします。

男1:クソ!
男2:何てこった!

小屋の中には数名の家族が倒れていて、
目、鼻、口、耳ありとあらゆるところから血を流し死んでいました。
どうやらエボラ出血熱のような症状です。

男1:よし、血液サンプルを採取だ、各10ccづつ
男2:了解。

男1はケースを開け血液サンプルを採る注射器を取り出します。
そして目の前の遺体から血液を抜き取ります。
試験管を注射器から外すと小屋の入口の方で音がしました。
男1が振り返るとミルトン・ファインが立っていました。
男1はミルトンに怒鳴ります。

男1:おい、ここは汚染区域だ !
   直ぐに出て行け !

ミルトンは言葉を無視して小屋の中に入って行きます。
男1は立ち上がってミルトンの背後から肩を掴みます。

男1:聞こえないのか?
   最悪のウイルスに晒されてるんだぞ。

ミルトンはゆっくりと振り返り男1が手にしていた血液サンプルを奪い取り、
男1のヘルメットを取り去って着き飛ばします。
男1は遺体にぶつかり血まみれになり感染に慄いて騒ぎます。
男2はミルトンに立ち向かおうと走りだしますが、男2の頭に尖った剣のようなものが刺さります。
男2が倒れると刺さっていた剣のようなものはミルトンが拳を剣のように変化させたものだと分かります。
ミルトンは剣を元の拳に戻します。
そして目を見開き小屋の中をヒートビジョンで焼き払います。
小屋の中に十分火が回ると手にした血液サンプルの試験管(バイオハザードと書いてある)を目の前に掲げ見ます。
そして超スピードで小屋から走り出て行きます。

タロン。
夜。
ラナとクラークがテーブルに着きおしゃべりをしていました。

ラナ:クラーク、驚いたわ
   ダンスコンテストでは優勝できないと思うけど
   あなたのせいじゃない
クラーク:(笑いながら)
     ラナ、10人もいてほとんどツーステップしかできなかった
     誰かが怪我する前にダンスを止めた方がよさそうだ
ラナ:他の事をした方がよさそうね
クラーク:何を?
ラナ:ヒントを上げる
   クロエは今夜デイリープラネットで徹夜だって
クラーク:(まじめな顔になり)つまり寮の部屋が空いてるってこと?
ラナ:自由に使えるわ
クラーク:(困ったように笑って)いいね、本当に
     でも、農場に戻らないといけなし
     明日は雨予報だから、雨漏りを直さないと。

ラナはがっかりした顔になります。

ラナ:クラーク…あなたを待ってるわ、いつまでも
   プレッシャーはかけたくないの

ラナは立ち上がって帰ろうとします。
クラークは呼び止め立ち上がります。

クラーク:ラナ
ラナ:もう帰らないと、遅くならないうちに
   明日、話しましょ
クラーク:分かったよ
ラナ:じゃあ

クラークがラナの後姿を見送っていると後ろから女性が声をかけてきます。

女性:彼女が帰るとは思ってなかったわ

クラークが振り返ると女性が近づいてきます。

女性:ハイ…私はシモーヌ
クラーク:僕も帰るところだから
シモーヌ:急ぎの用は何?

シモーヌが首から下げた大きめの青い石のペンダントヘッドを指で持つと
クラークはその石をじっと見つめます。

シモーヌ:私がいいと言うまで、あなたは何処にも帰らない
クラーク:(ボウッとした顔で)分かった
シモーヌ:私が言う事を全てを信じて
     そして私の言う通りにするの…
     今からよ
クラーク:何をするんだ?

タロンの外。
金網フェンスの前でクラークとシモーヌは激しいキスをしています。
そこへ一台の車が停まりロイスが出てきます。
そして二人を見て声をかけます。
彼女はスーパーの紙袋を抱えていました。

ロイス:スモールビル?
    (クラークは振り向きます)
    一体何をしてるの?

クラークはシモーヌを紹介します。

クラーク:ロイスか
     シモーヌを紹介するよ…
     新しい彼女だ

ロイスは驚いた表情で二人を見つめます。

レックスの屋敷。
書斎。
レックスがイスに座り机の上のノートPCを見ています。
机の上には中央アメリカの地図が広げられています。
モニタにはミルトン・ファインのプロフィールが表示されています。
ドアが開きラナが入ってきます。

ラナ:(机に近づき)メールを見たわ
レックス:(顔をあげ)ラナ
     土曜の夜を台無しにした事は謝る
     だが君には興味があると思ってな
ラナ:構わないわ
   メトロポリスに帰る途中だったから
   何があったの?
レックス:(立ち上がり机の前のラナにの方に回り)
     親父は決して手の内を明かすなと教えたが…
     君をパートナーと見込んで話す
     君がいなかったら
     宇宙船の事を知らなかったしな
ラナ:(驚いた顔で)船を見つけたの?
レックス:いや、ミルトン・ファインを見つけ出した
ラナ:彼が関係しているの?
レックス:船を保存していた倉庫の周りで何度か見かけてた
     (バーに行きボトルの栓を開け)
     そして船が消え失せた同じ日に
     スモールビルから忽然と消え失せた
     これは偶然の一致でないと思う

レックスはボトルをラッパ飲みします。

ラナはテーブルの地図を見ます。

ラナ:休暇を計画しているわけじゃなく
   その教授を中央アメリカのどこかに探しに行くのね?
レックス:ホンジュラスで消息を絶っている
     一時間後、俺はジェットで出発する
ラナ:(レックスに近づき)
   レックス、連れて行って
   手伝うわ
レックス:(ボトルを置きラナに向いて)
     ラナ、その情熱には感謝するが
     自分でも危険だと思っている
     君を危険にさらす気はない
     戻ってきたら全て話そう

ラナはジッとレックスを見つめます。

ケント家。
夜。
シモーヌとクラークはキッチンにいます。
シモーヌが部屋の中を興味深げに見ている間、クラークは何か準備しています。

クラーク:(アップルパイを乗せた皿を出して)
     どうぞ
シモーヌ:(振り向いて)
     アップルパイね
     誰が作ったの?

シモーヌはテーブルに着きます。

クラーク:母さんさ
シモーヌ:もちろん、そうよね
     (一口食べて)
     美味しいわ
     シャンパンが飲みたくなっちゃった
     マーマレードの後ろにはないわよね

クラークはしばらく考えますがすぐにニヤリとして超スピードで姿を消します。
シモーヌは目の前から消えてしまったクラークを探します。

シモーヌ:クラーク?

彼女は立ち上がってクラークの出て行った方向(彼女はその事は知りません)を見ます。

シモーヌ:クラーク…

突然空気を切り裂く音と共に彼女の髪が風に揺れます。
振り向くとクラークが手にシャンパンのボトルを持って立っていました。

シモーヌ:何して…
     (ボトルに気づき)
     どこから持ってきたの?
クラーク:メトロポリスの酒屋から

彼はボトルを差し出します。

シモーヌ:えっ?
     (ボトルを受け取り)
     メトロポリスって?
     どうやって?
クラーク:僕は早く走れるんだ
シモーヌ:(冗談だと思い笑って)
     それじゃあね、クラーク…
     チョコレートでコーティングされたイチゴが食べたいわ

クラークは又超スピードで姿を消します。
しばらく待っていると突然目の前にクラークが現れシモーヌは短い悲鳴をあげます。

クラークは片手に一輪の薔薇を持っています。

クラーク:(バラとケーキを差し出し)どうぞ
シモーヌ:(笑顔で)話がうますぎるわ
     もう私たちの事を彼女に話した方がいいんじゃない
     (クラークは彼女の眼をじっと見つめます)
     彼女を呼んでよ

クラークは笑顔でうなずきます。

クロエとラナのアパート。
夜。
クロエとロイスがいます。

クロエ:この世には何でもありだと思うわよ
    でもクラークがキスを?
    別の娘と?
ロイス:クロエ、ホントの事よ
    タロンの外で見たんだから
    特等席で見ちゃったんだから。
クロエ:(疑い深く)
    でも…彼ならそんな事はしないわ
    したとすれば何かが起こったのよ
ロイス:あなたが彼の事をヒーロー崇拝してるのは知ってるわ…
    でもクラークだって他の男達と変わらないわよ
    頭の中だって…そんなもんよ
クロエ:違うの、ロイス
    あなたは知らないのよ、彼は普通じゃないの
    ラナにはそんな事はしないでしょ
ロイス:だってやってるじゃない
    ラナが友達なら何とかしないと…
クロエ:(外に出ようとコートを着て)
    ダメ、待って
    ラナに言う前に、確かめたい…

クロエはそこまで言うと入り口にラナがいるのに気が付きます。

ラナ:(不審そうに)何の話?
   (ロイスは振り返ります)
   何があったの?
クロエ:(ごまかそうと)
    そのー、ロイスが泊まりたいんだって
    二、三日この寮に泊られたいの
ロイス:そうなの、ヒーターが故障しちゃって
クロエ:でもそれをあなたに言う前に本当なのか確認しに行こうって
ラナ:(納得して)
   いいわよ
   ロイス、あなたならいつでも歓迎よ
クロエ&ロイス:よかったわ
ラナ:(クロエに)
   今晩は徹夜するって言ってなかったっけ?
クロエ:ええ、そうなんだけど
    眠すぎて、締め切りを延ばしてもらったの
ラナ:よかったじゃない

ラナの携帯が鳴りだします。

ラナ:あっ!
   (電話に出て)
   もしもし?
   えっ、本当に?
   (ロイスとラナは顔を見合せます)
   ええ、すぐに行くわ

ラナは携帯を切りバッグにしまいます。

クロエ:誰から?
ラナ:クラークから
   話したい事があるって
   急だけど、また後で

ラナは急いで部屋を出ます。
ロイスとクロエは腑に落ちないという顔をします。

ケント家、納屋。
シモーヌとクラークは二階へと上がります。

シモーヌ:それで、早く走れる以外
     他に何ができるの?
     あなたの事は全て知りたいわ

クラークは部屋を見回し金属バットを見ます。
そしてバットを手にするとシモーヌの目の前でバットを「S」の字に曲げます。

クラーク:シモーヌの「S」だ

シーモヌは驚くと言うよりは嬉しそうに笑います。

シモーヌ:(クラークに近づき)小さい頃からずっと
     私を守ってくれるナイトを夢見てたの
     今、夢がかなったわ

二人はキスをしだします。

シモーヌ:シャツを脱いで

彼はシャツを脱ぎます。

クラーク:君も

シーモヌはクラークから離れ背を向けてシャツを脱ぎます。
シーモヌが振り返るとクラークはじっと見ています。

シーモヌ:(恥ずかしそうに)全部脱いでよ

クラークはズボンを脱いでパンツ一丁になります。

クラーク:シモーヌ…
     僕の力は…
     君をやけどさせる
シーモヌ:それはチャンスね
     見てみたいわ

二人は抱き合いキスをします。
クラークは彼女のスカートを脱がせます。

シモーヌ:私を愛して、クラーク

クラークはシモーヌをお姫様抱っこしソファーに連れて行きます。
そしてキスを再開します。
そこへラナが二階にやってきて二人の様子を見て驚きます。

ラナ:どうして?

その声にクラークは気づき顔を上げラナを見ます。
シーモヌもちらりと見ます。
ラナは下へと下りてきます。

シモーヌ:(クラークの目を見つめて)
     あなたはもう彼女なんか眼中にないわ
     クラーク、彼女にそう言うのよ

クラークはラナを追いかけます。
追いつくとラナの腕を取って振り向かせます。

クラーク:ラナ、待って

ラナは腕を振りほどき怒ったような悲しい様な顔をします。

ラナ:こういう事だったの
   私とは夜を過ごせない理由は?
クラーク:…ラナ、僕は別の人を好きになったんだ

二人はしばらく見つめあっていましたが、
ラナは耐えきれなくなり踵を返し納屋を出て行きます。
納屋を出たラナは陰に隠れしゃがみ込んで嗚咽を漏らし泣きだします。

レックスの屋敷。
夜。
書斎にシモーヌが入ってきます。

シモーヌ:ルーサーさん?

呼びかけると目の前にあった液晶テレビのスイッチが自動で入ります。
そこにはレックスが映っていました。

レックス:やあ、シモーヌ
     今晩は上機嫌そうだな?
シモーヌ:驚いたわ、億万長者が面と向かって話せないんなんて?

レックスはジェット機で移動中でした。

レックス:まあ、個人的には君の力を尊敬するよ
     だが俺は自分の意志で行動するのが好きなんだ
シモーヌ:そうなの
レックス:進展は?
シモーヌ:ラナ・ラングはもうクラークに
     バレンタインデーカードは贈らないとだけ言っておくわ
レックス:クラークは?
     何か見つけたか?
シモーヌ:まあね
レックス:何だ?
シモーヌ:クラークは並はずれてるわ…
     …キスがうまいの
レックス:もっと他には?
シモーヌ:彼に秘密があったら言ってるわ
     クラークに何の興味があるの?
     農家の子供に?
     あなたに言われた通りにしたわ
     だからもう、私には構わないで
レックス:もう少しだ、シモーヌ
     会って欲しい者がいる…
     ハンダースほどな
シモーヌ:どうして、最初の話と違うわ
レックス:君を死ぬまで獄中に繋いでおく証拠を握っているのを忘れたのか?
     最低限の事しか頼んでないぞ
     明日の夜戻る、話しあおう

レックスはノートPCのスイッチを切ります。
後ろから秘書が来ます。

秘書:すみません?
   ロバートからの連絡です
   ミルトン・ファインと思っていた人物はどうやら違うようです

レックスは物思いにふけります。

ケント家、納屋。
クラークはボンベを運んで仕事をしています。
そこへクロエが入って来ます。

クロエ:ああ、よかった
    服は着てるようね
    何か危険な事に巻き込まれてると思ったわ
クラーク:(仕事を続けながら)
     ラナから聞いたんだろ
クロエ:泣きながらだったけど聞いたわ
    でも、ネールおばさんのところから電話してきたわ
    それで、彼女はどこ?
クラーク:シモーヌなら家にいるよ
クロエ:帰ってないの?
    赤い「K」じゃないわよね?
    ちゃんと仕事をしてるから
    もし銀の「K」なら
    あの三人があなたを串刺しにするし
    一体どうしたの、クラーク?
クラーク:恋に落ちたんだ
クロエ:落ちたって?
    崖からでも落ちたの?
クラーク:クロエ、僕の秘密を知ってるからって
     そんな言い方はないだろ
クロエ:ええ、でも無暗にラナを傷つけたりもしないでしょ?
クラーク:クロエ、君には僕とラナの関係がどうなっても関係ないだろ?
     ずっと嘘をつき続けてきた
     そして君は正しかった
クロエ:シモーヌとどういう関係が?
クラーク:シモーヌに話したんだ
     僕の力の事を
クロエ:(驚いて)ちょっと待って、クラーク
    その子に惚れてるのは分かるけど
    その子から離れた方がいいわ
クラーク:(怒って)
     シモーヌの事を知らないくせに
クロエ:操られてるのよ
クラーク:いつも一線を越える君だけど、クロエ
     君の事は信頼してる
     だから今回は僕を信じてくれないか?
     僕の事に立ち入らないでくれ
     帰ってくれ

ケント家、勝手口。
クロエがこっそりと入ってきます。
キッチンに行くとテーブルの上にシモーヌのハンドバックが置いてあるのを見つけます。
すると二階から声がします。

シモーヌ:クラーク、あなたなの?

シモーヌはバスタオルを巻いた姿で降りてきます。

クロエ:ハイ、あなたがシモーヌね
    クロエよ
    クラークの友達の

シモーヌは胸のペンダントに手をかけます。

クロエ:あなたに会えて光栄だわ
シモーヌ:(階段を降りながら)
     こんにちは
クロエ:あなたがクラークと付き合うのは構わないわ
    でも、ラナを傷つけるのは…
    そして正直言って彼が幸せだとは思えない
    あなた達はお似合いだと思うけど
シモーヌ:(ペンダントから手を外し)
     いい響きね
     彼がどこにいるか知ってる?
クロエ:ええ、納屋にいたわ

シモーヌはキッチンのドアを開け外に顔を出します。
その隙にクロエはシモーヌのハンドバッグを漁りシモーヌの身分証明書を抜き取ります。

シモーヌ:クラーク、ちょっと来て
     クラーク?

ホンジュラス。
日中。
レックスの乗ったジープが村にやってきます。
ジープを降りたレックスは近くに張ってあるテントに入ります。
中には土偶や古代の彫刻などが置いてあります。
レックスがその一つを手にすると後ろから声をかけられます。

男:紅茶とプチフールをお持ちしましょうか?
  こんなに早く到着するとは思いませんでしたよ?

レックスが声のする方を向くとミルトンが立っていました。

レックス:俺が来る事を知っていたのか?
ミルトン:(テントに入りながら)
     パンくずを追ってカラスが来れば
     驚く事の程ではないでしょう
レックス:ほう、電話で呼び出した方が簡単だったかな
ミルトン:自分に関して真相を明らかにすることはできない
     あなたが私を調べるのは当然だ
レックス:(ミルトンに近づき)失望させたくはないが
     あんたが何者なのか知ってる

ミルトンは後ろ手に組んだ右一指し指をナイフの形に変形させます。

レックス:歴史の教授ではない
     いや、もっと興味深いものだ
     教えろ…
     政府の情報部員が、国の隠機関で何をしている?

ミルトンは正体を知られたのではないと安心し指を元に戻します。

ミルトン:いいでしょう
     どうやら一人でパン屑を見つけてきたようだ
レックス:カンザスの田舎町でどうして歴史の教授なんかに?
ミルトン:地球外生命体の存在の可能性を調査していました

ミルトンはテントを出ます。
レックスは後に続きます。

ミルトン:この調査は…
レックス:結果は?
ミルトン:未確認の宇宙船は信じてますよ
     この前の流星群で着陸した
     だが…どこかの金持ちが持ち去ってしまった
     我々の前にね
レックス:そういうわけでルーサーコープを調査したのか
ミルトン:ええ…
     あなたの科学的着目には賞賛します
     残念だが、宇宙船の中を調査する事は出来なかった
レックス:それがどこにあるのか知ってるな?
ミルトン:マヤの伝説に天から偉大なる存在が下りて来たというのを知ってるかね?
レックス:ホンジュラスにあると言うのか?
ミルトン:コーヒーを飲みに来たわけじゃありませんよ

デイリープラネット。
日中。
クロエとロイスが歩いています。

クロエ:それでクラークの異常な行動は催眠術によるものだと思ったわけ
ロイス:禁煙とかダイエットなんかの催眠術は聞いたことあるけど
    クラークをあんな風にするなんて
クロエ:ショーの催眠術とは違ってかなり強力ね
    元に戻らないんだから

クロエは自分のデスクに座るとPCを起動させます。

クロエ:調べてみたんだ、シモーヌのお父さんは世界的に有名なドクターね
    色んな病状の患者を治してる…
    精神病からガンまで
ロイス:その人と話してみるか
クロエ:それは少し遅すぎたわ
    (モニタに新聞記事を出し)
    先月、強盗に襲われて亡くなってるわ

記事の写真にはシモーヌの父親が写っていて、シモーヌのかけているペンダントをしています。
見出しは「催眠術師、殺される」となっています。

ロイス:ちょっと待って、その宝石見た事がある
クロエ:私もよ、シモーヌがかけてた
    (シモーヌのIDカードをロイスに渡し、立ち上がって)
    中世のイングランドで偉大な錬金術師が作ったとされる宝石よ
    (後の書類棚の中から書類を取り出し)
    そして盗まれてるの
ロイス:シモーヌが父親を殺したって言うの?
クロエ:もし父親の催眠術の力がその宝石のせいだとしたらね
    オリンピックのメダルみたいに自慢してるだけだと思う
ロイス:警察が信用できないんだ?
    分からないんだけど
    どうして皆クラークに夢中になるの?
クロエ:分からないわ…
    でも彼に忠告しないと…
    戻ってこれる今のうちに
ロイス:(IDカードを返し)
    それでどうするの?
    待つの、行動するの?
クロエ:ああ、そうね
    探らないと、そこで待ってて
ロイス:分かった

ロイスは出て行きます。
クロエは辺りを気にしながら机の引き出しを開けます。
中にはケースに入った隕石があります。
彼女は隕石を手に取ります。

ホンジュラス。
日中。
ミルトンはレックスを連れて村を歩いています。
村の少年に現地の言葉で話しかけます。

ミルトン:あの子はどこだ?
少年:あそこにいるよ。

少年の指差した方に向かうと、もう一人の少年が何か手にして遊んでいました。

ミルトン:それを見せてくれないか?
少年2:いいよ。

ミルトンは少年から手にしていた物を受け取ります。
そしてレックスに手渡します。
その物体は木彫りでしたが宇宙船によく似ていました。

ミルトン:あの子の父親が見たと言って作った物です
     ロスジオースのcarroが空から着陸したのをね
レックス:"神の二輪戦車" か?
ミルトン:そうです
レックス:本人と話したい
ミルトン:そのー、何でもしたいのは分かります、ルーサーさん
     しかし、死んだ者とは話せないでしょう
     目撃した数日後、彼の奥さんが帰ってきたら床に焦げたカスを見つけた
     彼の燃えカスをね
レックス:都市伝説だろ…
     (少年に投げ返し)
     人間は自然発火はしない
ミルトン:(頭を振って)我々はその宇宙船が彼を焼き殺したと思っています
     実際、エイリアンがこの星に重大な脅威をもたらすと思います
レックス:その脅威とはどのぐらい?
ミルトン:それはかなりのものでしょう…
     しかし我々は抵抗するための武器を開発しています
     ルーサー・コープが支援してくれれば
     大いなる利益になるでしょう
     地球外生命を探ろうとするその意欲はよく知ってますよ
     ルーサーさん
     あなたの粘り強さは印象的だ
レックス:できる限りの事はしようじゃないか
     その代り全てのデータへのアクセスが条件だ
ミルトン:それはかなり横暴じゃないかね
レックス:でなければこの話は終わりだ
ミルトン:私の事をよく理解していないようだ
     ルーサーさん
     もし手を組まなければ
     ルーサー・コープも政府もなくなるんですよ
     帰る飛行機の中でよく考えてください

ケント家。
クラークが二階から嬉しそうに手にスーツケースを持って降りてきます。
ロイスが入って来ます。

ロイス:どこへ行くの、ロミオ?
    バイブ付きベッドのモーテル?
クラーク:シモーヌとカルフルニアだ
     君の実況放送から逃げるためにね

クラークが行こうとするとロイスが止めます。

ロイス:へえ、じゃあ言うわ
    あなたは催眠術にかけられてる
    クラーク、スーツケースを置いて
    どこにも行っちゃダメ
クラーク:優しく言うよ
     そこをどいてくれないか?

再び行こうとするのをロイスは止めます。

ロイス:ねえ、こんな事はしたくないの
    でも必要とあれば容赦はしないわよ

クラークは失笑します。
ロイスの後ろからシモーヌが現れます。

シモーヌ:お友達が来たの?

ロイスは催眠術にかからないように濃いめのサングラスをかけ振り向きます。

ロイス:彼を正常に戻して
    バールでその白い歯を引っこ抜かれる前に
シモーヌ:クラーク、軽く彼女をのしちゃって
ロイス:やってみなさいよ

クラークはロイスの頭を指で軽くつきます。
ロイスは気を失いその場に倒れます。
シモーヌは笑って見ています。
クラークの後ろからマーサがやってきます。
マーサは倒れているロイスを見つけ駆け寄ります。

マーサ:まあ、一体どうしたの?
シモーヌ:(ペンダントに手をやり)
     ケントさん…
     (マーサは彼女を見ます)
     私達を引き留めようとする彼女を
     どんな手を使っても止めてください

マーサは唖然とした顔ですが頷きます。
そしてクラークの荷物を見て質問します。

マーサ:どこに行くの?
クラーク:スモールビルを離れるんだ
     永遠に

マーサは一瞬唖然とします。

シモーヌ:悲しくなんかはないわ
     クラークがいなくなっても

マーサはさっきと同じように頷きます。

マーサ:そうね…
    二人とも素敵な時間を過ごしなさい
クラーク:(マーサに抱きつき)
     ありがとう、母さん

クラークはマーサから離れます。
クラークもマーサも嬉しそうな顔をしています。

クラーク:じゃあ行くよ
マーサ:(シモーヌに手を振り)ええ、じゃあね

シモーヌとクラークが出て行こうとするとシモーヌは立ち止まり振り返ります。

シモーヌ:ああ、そうだ、ルーサー邸に寄ってほしいわ
     一つ片付けてもらいたい事があるの
     いいでしょ?
クラーク:君のためなら
シモーヌ:クラーク、レックス・ルーサーを殺して
クラーク:喜んでやるよ

しばらく後。
床に倒れていたロイスが目を覚まします。

ロイス:一体…

ガチャリと銃に弾を込める音が聞こえます。
目を向けると目の前にマーサがライフルを構えて立っていました。

ロイス:ケントさん…
    何してるんです?
マーサ:あなたをここから行かせないように
ロイス:あの、あなたは自分を見失ってます
    (身を起こしながら)
    てっ言ったってやめませんよね
    (立ち上がって)
    それを置いてください
マーサ:こんな事はしたくわないのよ、ロイス
    でもあなたをここから出せないの

突然マーサが誰かに殴られ気を失い倒れます。
クロエが麺棒を持って立っていました。

クロエ:大変、ケントさんをノックアウトしちゃった!
ロイス:あのねえ(クロエが振り向きます)
    私の脳みそで壁紙を貼ろうとしてたんだよ
クロエ:そうね、クラークは?
ロイス:気を失う前に、彼女が言ってた
    ルーサー邸に行くって

ロイスは冷蔵庫を開け中からビニール袋に入ったアップルパイ用のリンゴで頭を冷やします。

ロイス:それであなたはここでケントさんを…

振り向くとクロエはもういませんでした。
テーブルの上には麺棒が置いてありました。
ロイスは床に倒れているマーサを見ます。

ロイス:ケントさん?

レックスの屋敷。
レックスが書斎のドアを開けて入ってきます。
中にはクラークが待っていました。

レックス:いつも旅から帰ると出迎えてくれるんだな
     だがここでお前と会うとは思わなかった

するとクラークは突然レックスの胸倉をつかみ投げ飛ばします。
レックスはガラステーブルの上に落ちテーブルが粉々になります。

レックス:(倒れた状態で)
     クラーク、お前は催眠術にかけられてるんだ
     でなきゃ俺をここまで投げ飛ばす事なんてできないだろ?
クラーク:(近づきながら)
     僕にはできるんだ、レックス
レックス:シモーヌの催眠にかかってるんだ
     あの女は冷酷な殺し屋だぞ、クラーク
クラーク:(レックスを掴み立たせ)
     ウソをついても無駄だ!

クラークはレックスを壁に叩きつけます。
そしてレックスをつかみ振り向かせ殴ろうとします。

レックス:(喘ぎながら)
     クラーク、あの女は宝石を手に入れるまでは
     チンケな万引きをしていた
     彼女の父親は宝石を渡さなかったため
     彼女は父親を殺したんだ
     証拠のビデオを持っている

クラークは殴るのをためらいます。
すると後ろからシモーヌの声がします。

シモーヌ:彼の言葉を信じないで、クラーク

クラークは振り返ります。
シモーヌは近づいてきます。

レックス:警備員が来るぞ
シモーヌ:そう?警備員には会ったわ
     気に障るかもしれないけど
     今日一日休みにしたわ
     とどめをさして、クラーク…
     …苦しむようにね

クラークはレックスの喉を掴み空中に持ち上げます。
シモーヌは笑ってそれを見ています。
すると突然クラークは力を失いレックスを放します。
入り口の所にクロエが隕石を持って立っていました。
クロエは倒れたクラークのポケットに隕石を入れます。

クロエ:ごめんね、クラーク
クラーク:(苦しんで)
     やめろ、クロエ !

レックスは近くに落ちていたバッグの中に手を入れると拳銃を取り出します。
そして銃をシモーヌに向け立ち上がります。

シモーヌ:レックス !

シモーヌはペンダントを掴みレックスに向きます。

シモーヌ:彼女を殺しなさい
     そしてあなた自身も

レックスは後ろにいる二人に振り返ります。
クロエはレックスに飛びかかり銃を奪おうとします。
そしてもみ合っていると銃はシモーヌの方に向き引き金が引かれてしまいます。
弾はシモーヌのペンダントに当たりペンダントを粉々にうち砕いた上、
彼女の心臓を撃ち抜きます。
シモーヌは倒れ死んでしまいます。
レックスの催眠は解けたようで、クロエと二人して唖然とシモーヌを見つめます。
クロエは急いでクラークのもとに走りポケットから隕石を取り出し廊下に投げ捨てます。
クラークも催眠が解け立ち上がります。

クロエ:大丈夫、クラーク?
クラーク:多分ね

デイリープラネット。
クラークとクロエが階段を降りてきます。

クラーク:まるで悪夢だ
     血生臭い事は全部覚えてる
クロエ:ええ、まあ、シモーヌとは、実は…
クラーク:いいよ、聞きたくない
クロエ:分かった
    今回は教訓になったでしょ?
    きれいな女の人の目はあまり見つめない事ね
    宝石の原石を首にかけてない事
    もちろん、ラナは別よ
    もう話したの?
    キスてたわけを?
    (クラークは黙ります)
    話してないの?
クラーク:うん
クロエ:何をグズグズしてるのよ?
    彼女は催眠術にかけられていた事を知ってるのよ
    それに誰もがその危険はあったわけだし
    スモールビルならあり得る事でしょ?
    彼女なら分かってくれるって
クラーク:多分僕は分かって欲しくないんだと思う
     こんな目に会って
     話す勇気がなくなった
     僕とラナはもうお終いだ
クロエ:何で?
    ちょっと待ってよ
    まだ催眠にかかってるの?
クラーク:クロエ、ボロボロになるまで
     何度も誰かを傷つけてもいいと思うかい?
クロエ:でもあなたのせいじゃないでしょ?
    催眠術にかけられてたんだもん
クラーク:ラナは君じゃない
     彼女は感じ取ってる
     ラナの目を見て傷ついてるのを知った
     僕とシモーヌを見た時に…
     それで分かったんだ
     僕の力を全開にしたよりも
     ラナは傷ついてるんだって
クロエ:それとこれとは違うでしょ
クラーク:ああ、でもラナを傷つけたのは事実だ
     そしてウソを付き続けなきゃいけない限り
     彼女を傷つける
クロエ:やってもみないで
    彼女が嫌いになるわよ
クラーク:それでもいいと思う
     彼女が前に進むの手助けになる
     僕の事は忘れて、彼女は自分にあった人を見つけるさ
クロエ:それなら覚悟すべきよ
    これでお終いだって
    まだ四半世紀も生きてないのに
    永遠にお別れをしてしまうつもりなの
    ラナが壊れちゃうよ、クラーク
    そうする前にもう少し真剣に考えてみて

ケント家、納屋。
夕方。
クラークは2階の窓から夕日を見ています。
ラナが2階に上がってきます。

ラナ:前にもこんな事はあったわね
   でも何で今回は?
クラーク:(振り向き)
     来てくれてありがとう
     学校では言いたくなくて
ラナ:クラーク、言い訳はしなくていいわ
   全部分かってるから
   催眠術をかけられたって
   そして私はあなたの行動をちゃんと理解してなかったって
クラーク:君には正直でいたい
ラナ:もういいの
クラーク:(ラナに背を向け)どう言っていいのか…
     …でも本当は…君への気持が変わったんだ
ラナ:(クラークの脇に回り)
   クラーク、お願い…
   私の目を見て…
   そして言ってよ
   愛してないって
クラーク:(ラナの目を見て)
     愛してないんだ
ラナはその言葉に愕然とし後ろのベッドに腰をおとします。

ラナ:待ってたのに…
   あなたが心を開いて
   打ち明けてくれるのを待って
クラーク:(ラナの前にひざを付き)傷つけるつもりはないんだ
ラナ:もう謝らなくてもいいわ
   おしまいね…
   …永遠に

ラナは立ちあがって出て行きます。
クラークは悲しそうな顔でその場を動きません。

ホンジュラス。
日中。
ジャングルの中に黒い宇宙船があります。
宇宙船からは黒い液体が滲み出てミルトンの姿になります。
その数は一人ではなく4人いました。

ミルトン1:もっとサンプルが必要だ

すると他の3人は頷くと超スピードで四方に散っていきます。

ケント家、キッチン。
日中。

マーサはクラークにお茶を注ぎます。

マーサ:彼女とはどうなったの?
クラーク:(浮かない顔で)
     こんなに傷つくなんて…
     怒ってたよ
     あの一言を言うのがこんなにつらいなんて
マーサ:(頭を振って)
    もう大人でしょ、クラーク
    大人なら、本当の終わりとは何なのか分かってるはずよ
クラーク:どうしたらいいか分からない
     いい別れ方が…
     秘密を打ち明けるとか
マーサ:そうね
    ラナを守りたいために秘密を打ち明けなかったのよね
    でもそうじゃないでしょ?
クラーク:(分からず)どういう事?
マーサ:どうして打ち明けなかったのか…
    多分悲しませるから…
    思わなかったわけじゃないでしょ?
クラーク:母さん、僕はいつでもラナを愛してる
マーサ:分かってるわ
    それじゃあ、どうして?
    彼女を傷つけたくないから
    嫌われるようにしたんでしょ?
    彼女の怒りが他の人たちに向かないように

レックスの屋敷。
夜。
書斎ではレックスが赤々と燃える暖炉の前に立っていました。
そこへラナが入ってきます。
レックスは振り向きます。

レックス:ああ、ちょうど会いたかったんだ
     (ラナは近づきます)
     研究者だった
     ミルトン・ファインは教授じゃない
ラナ:レックス、ミルトン・ファインの事は聞きたくない
   真っ先に知りたいと思ったけど
レックス:(心配して)大丈夫か?
ラナ:クラークと別れたの、本当に
レックス:ラナ、残念だ
ラナ:いいのよ
   (ソファーに腰掛けて)
   ウソだって分かってる
   でも肩の荷が下りたわ
   なんでクラークなんか…
   彼が何てあなたに言ったのかなんてどうでもいい
   本当の事はあなたも知らない
   本当の彼を知らない
レックス:(ラナの脇に座り)ラナ…
     クラークは単純な男じゃない
     あいつの考えてる事は分からない…
ラナ:お願い、彼の事は言わないで、レックス
   バカだったのかしら、私?
レックス:そんな事はない
     信頼を寄せる者を間違っただけだ
 

おしまい