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SMALLVILLE(スモール・ビル)
邦題:ヤング・スーパーマン

編集後記:今回は英語の言葉遊びが沢山あって大変でした。
       それと映画「SAW」のオマージュとなっていますので
       知らない方は一度見ておいた方がいいかもしれません。

シーズン5.19MERCY(慈悲)

国道40号線。
日中
リムジンが走っています。
車中ではライオネルが新聞を読みながら
携帯電話のイヤホンを使って話をしています。
新聞の一面はマーサが大写しで、
見出しは「ケント上院議員、金融設計の自由」と書かれています。

ライオネル:ああ そうだ。
      君が一生懸命やっているのは分かる。
      だが残念だが 中学校じゃないんだ。
      それではダメだ。
      結果が全てだ。
      (新聞を脇に置き)もう少し時間をやろう。
      ルーサー・コープの帳簿をよく調べるんだ。そうだ…
      成功する事を願うよ。
      ああ、ありがとう。

ライオネルがイヤホンを外し薬をポケットから取り出し飲もうとします。
すると突然、運転席との堺の壁が競り上がって備え付けの液晶TVが点きます。
画面には銀色のマスクをかぶった人物が写っていました。

銀仮面:やあ、ライオネル

リムジンは踏切で急停車すると、
運転手のアレックスは慌てて外に飛び出して行きました。

ライオネル:アレックス!何をしている?
銀仮面:申し訳ないが、アレックスは少し忙しいそうだ
ライオネル:どうする気だ?お前は誰だ?

踏切が鳴り出すとライオネルは窓の外を見ます。
リムジンはちょうど線路の真上で停車しています。

銀仮面:あなたは人を操るのがうまい
    (自動的にドアのロックがかかります)
    助かりたいのなら、少しゲームをしてもらおう

ライオネルは慌ててドアの取っ手を引きますが開きません。

銀仮面:11:35にスモールビル・メトロポリス間の列車が来る
    ゲームに勝て。
    さもなければ大変な事になるぞ
ライオネル:何のゲームを?
銀仮面:処刑ゲームだ

車内に備え付けられているタブレット型パソコンの映像が乱れます。
そして画面には吊るし首用の台が線で描かれます。

銀仮面:文字を探せ、言葉を作るのだ
    ゲームに負ければ、あなたの命はない
    急げ、ライオネル

ライオネルはタブレットを手に取ります。
列車は警笛を上げ遠くに見えてきました。

銀仮面:「a」から始めてみろ
ライオネル:(慌て)
      あー「a」
銀仮面:残念

画面の吊るし首の台に頭の部分の丸が描かれます。

ライオネル:「e」、「o」

画面には続けて「E」「O」の文字が入ります。

銀仮面:運がいいな
ライオネル:「t」

画面には体の部分が描かれます。

銀仮面:さあ、続けろ

ライオネルは窓の外を見ます。
列車は大分迫ってきています。

ライオネル:あー、「g」
銀仮面:残念だな

画面には右腕が描かれます。

ライオネル:「s」

今度は左腕が描かれます。

銀仮面:違うな
    ヒントが欲しいか?
    それはあなたから学んだ事だ
ライオネル:「m」
      「c」
      (連続で)
      「n」「r」「y」、no mercy!
      (慈悲がない)
      答えは「慈悲がない」だ!

画面には「NO MERCY」と描かれドアのロックが解除されます。
ライオネルは迫りくる列車を目前に慌てて車外へと飛び出します。
飛び出した瞬間、列車はリムジンを破壊して突き進んでいきます。
ライオネルは地面に倒れこみます。
辺りにはリムジンの残骸があちこちに散らばり燃えていました。
列車が行ってしまうと、立て看板に赤いペンキで
「HAVING FAN YET?(楽しんでくれたか?)」と書かれていました。
ライオネルは肩で息をしながら呆然と看板を見ていました。

デイリープラネット。
エレベーターでクロエとクラークが降りてきます。

クラーク:ライオネルがよく家に来るんだ
     まるで自分の家みたいに。
クロエ:それって、あなたのお母さんがオオカミを
    招き入れてるって聞こえるんだけど。
    前とは違ってるのは知ってるけど
    あなたはそうは思ってないんでしょ?
    もしライオネルがあなたの秘密を知らなかったら?
クラーク:目を見れば分かる…知ってるんだ。
クロエ:そして、お母さんを利用して
    あなたに近づこうとしてるって?
クラーク:母さんにアドバイスするためいつもいる。
     ますます信頼し始めてる。
クロエ:本当の事を言ったらそうはならないでしょ。
クラーク:言うさ。
     確信ができたらすぐに。
クロエ:だったら、何で言わないの?
クラーク:母さんは色々大変だから…
     父さんが死んでから。
     余計な心配はかけたくない。
クロエ:それじゃもっと悪い事になるかもよ?

レックスの屋敷。
レックスは書斎で一人でチェスをしています。
そこへライオネルが入ってきます。

ライオネル:チェスか?
      ここしばらくチェスなんかしてなかっただろう?
      今更どうしてそんな頭を使うゲームを?
レックス:友達が教えてほしいと言ったからさ。
ライオネル:お前の二次元的な策略は私が破っただろ?
      もっと簡単なゲームを教えた方がいい。
      処刑ゲームなんかどうだ?
      面白いぞ。
レックス:どうも。
     チェスの方がいいんだ。
ライオネル:負けるぞ、いつものようにな。
レックス:勝つためにやってるわけじゃない。
     教えるためにやってるんだ。

レックスは立ち上がりバーに行きます。

ライオネル:「慈悲がない」とは?
レックス:何の話だ?
ライオネル:お前だろ、レックス。
      分かってるんだぞ。
レックス:何が?
ライオネル:私のリムジンを列車で粉砕した。
      その手のドラマはサイレント映画と共に流行遅れだ。
レックス:待ってくれ。
     誰かが親父を殺そうとしたのか?
ライオネル:ほう、とぼけるのか?
レックス:俺は親父をもう一度ルーサー・コープに戻した。
     一度も利益を上げた事がなかったからな。
     それなのにどうして死んで欲しがる?
ライオネル:つい最近までお前からルーサー・コープを取り上げようとしたからだろ。
レックス:エイペックスからな。
ライオネル:そうだ。
レックス:なあ、親父が失敗したのは自業自得だろ。
ライオネル:(レックスではない事に気づき)そうか。
      分かった。
      (こめかみを押さえ)お前じゃなさそうだな。
レックス:俺は親父の事は好きじゃない。
     だが、ルーサー・コープにとっては貴重な財産だ。
     親父を殺しても利益にはならない。
ライオネル:お前には関係はない。
レックス:関係はあるさ。
     親父の脅威はルーサー・コープにとっても脅威だからな。
ライオネル:お前が生まれる前から自分の命は守ってきている。
      何とかするさ。

ライオネルは部屋を出て行きます。

ケント家。
キッチンではマーサが演説の原稿を書いています。
そこへクラークが入ってきます。
マーサはクラークに原稿のできを確認します。

マーサ:ねえ、クラーク。
    こんな締め文句はどうかしら?
    「私たちがしている事は簡単ではありません。
     真実の原則を支持すること
     正義、そしてアメリカ人は
     利便性の問題ではありません
     それは良心が決定すべき事柄です」
クラーク:いいんじゃない、人道的で。
マーサ:(忙しそうに)
    そう願うわ、市民の資金集めパーティーでね。
クラーク:話したい事があるんだけど。
マーサ:後じゃダメ?
    メトロポリスに行かないといけないの。
クラーク:ライオネルは知ってる。
マーサ:(驚いたように振り返って)
    何を?
クラーク:僕の事を。
     秘密の事を。
     どうしてかは分からない。
マーサ:私のせいかも。
    前にポーチで封筒を見つけたの。
    その中に、あなたのビデオがあったわ。
    爆発の中を出てくる。
クラーク:誰が送ってきたの?
マーサ:分からない、でも…
    ライオネルがそれを何とかしてくれた。
    彼は私が強請られて理由には興味を持ってないって言ったわ。
    ただ私を助けたいって。
    だから信じたの。
クラーク:どうして話してくれなかったんだ?
マーサ:あなたはまだお父さんの事で傷ついてたから。
    多分…あなたを守りたかった。
    今夜のパーティーにはライオネルがくるわ。
    あった時に…
クラーク:ダメだ、何も言っちゃいけない。
     父さんと同じように守らないと。
     今まで通り守るんだ。
     何喰わぬ顔で。
     ライオネルに悟られないように。
マーサ:もう行かないと。

マーサはクラークから離れます。

クラーク:僕もついて行くよ。
マーサ:ダメよ。
    あなたがいつも私を守っていたら
    彼は確実に気がつくわ。
    心配しないで。
    うまくライオネルを丸めこむから。
    じゃあ。

マーサはバッグや書類を抱えてドアから出て行きます。

ライオネルのオフィス。
夜。
ライオネルの部下が探知機を使い中国の古美術品をスキャンしています。

部下:このオフィスには電子装置類は何処にも隠されません。
   オフィスは大丈夫です。
ライオネル:君のためにも そう望んでるよ。
      ホットドッグが回ってるのを見てたら
      気付いた時にはコンビニで働いてるかもしれないぞ。
      どうも。

部下はその言葉が嫌そうに頭を掻きながらオフィスを出て行きます。
ライオネルは机に行きノートPCの電源を入れます。
そして後ろに向いて水差しからコップに水を汲み一口飲みます。
PCに振り向くと画面には例の銀仮面が映っていました。
ライオネルはPCを触ります。

銀仮面:ホットドッグが回ってるのを見るとは?
    それはよくないな
    だが、それが部下に対するあなたのやり方だ
    そうだろ、ライオネル?

ライオネルは部屋の中をチラリと見てから後ろの窓の方に振り返ります。

ライオネル:一体…読唇術か?
銀仮面:私は全て見る事ができる

ライオネルはモニタに向きます。
モニタが突然切れるとオフィス内の照明が点滅を始め切れてしまいます。
ライオネルは机の下に隠してあった拳銃を取り出し、
立ち上がって携帯をかけます。

携帯:911です!
   (笑い声が聞こえ)
   やあ、ライオネル、無力なのはどうかな?
ライオネル:思い知らせてやるぞ。
銀仮面:それがあなたを億万長者にした勝利の精神だ。
    見せてもらおうじゃないか、
    生き残れるかどうか

ライオネルは暗闇の中辺りを見回します。

ライオネル:それで…
      何が目的だ?

突然銀仮面がライオネルの後ろに現れライオネルの首に注射器を撃ち込みます。
ライオネルは床に倒れ気を失ってしまいます。

銀仮面:(倒れているライオネルに)もう1ゲームしたい。

ライオネルが目を覚ますとそこは暗闇の倉庫のような場所でした。
手元にあったマッチを擦り辺りを見ます。
すぐ目の前には黒焦げになった死体が横たわっていました。
ライオネルは悲鳴を後ずさりします。

突然部屋の中に仕掛けてあった数台のモニタが点きます。
銀仮面が映っていました。
壁の喚起口が開き僅かばかりの光が漏れています。


銀仮面:やあ、ライオネル
ライオネル:ここはどこだ?
銀仮面:地獄だよ、あなたのためのね
ライオネル:お前は誰なんだ?
銀仮面:誰でもない
    あなたの欲のため全てを失った者だ
ライオネル:それなら限られた人間じゃないか?
銀仮面:あなたは私を知る事はできない、ライオネル。
    だが私はあなたを知っている
    あなたのような人間は…
    自分の部下に帝国を築くために負担を強いる
    あなたのために、部下はこつこつと働く
ライオネル:それは事業を営むという事だ!
      それが働くという事だ!
銀仮面:そうではない
    これから、あなたは自分の手を汚さなければならない

突然天井の照明が点きライオネルは眩しくて手で顔を覆います。

銀仮面:明る過ぎましたか?
    そうですか

照明は消え元の闇に戻ります。

銀仮面:まあいいでしょう
    どうしてここにいるのか?
    よく見なさい
    ほら

ライオネルが目を凝らし壁を見ると蛇口が付いていて
液体が滴っていました。
彼はその液体を手に取り匂いを嗅ぎます。

銀仮面:ただの水じゃないでしょう?

ライオネルが部屋の中を見回すと中央には天井から鎖でフックが下がっていました。
床は鉄のグレーチングの床で彼は素足でした。

銀仮面:いい話にはフックが付き物だ、そうでしょ?
ライオネル:分かった。
      それで何をするんだ?
銀仮面:もう1ゲームしましょう
    どうやるのか見たくはありませんか?
ライオネル:ああ、見せてくれ。

モニタの映像が切り替わります。
ライオネルの運転手のアレックスが映っています。
彼は肩に棒を担ぎその両端にはバケツが下がっています。
そしてフックへと歩いて行きます。
彼の後ろの床は下から炎が上がっていました。

銀仮面:これは正義の計りです

アレックスはフックの前に来ると踏み台に登ります。

銀仮面:バケツにはタップリ液体が入ってます
    そしてポールをバランスよく乗せる

アレックスは担いでいる棒をフックにかけようとします。

銀仮面:成功すれば、この部屋のドアは開く

アレックスはフックに棒をかけるのを失敗し
床にバケツを落とします、すると下の火が引火し彼は火だるまになります。

銀仮面:アレックスはごらんの有様だった

ライオネルは床に横たわる死体を見ます。

銀仮面:液体が可燃性だとは言いませんでしたか?

ライオネルは上着を脱いでアレックスに被せます。

ライオネル:彼は私の運転手だった。
      真面目な。
銀仮面:あなたに毒されなかった者は皆まじめですよ
    準備は?
ライオネル:いや。
      ライオネル・ルーサーともあろう者はこんな真似はせん。
銀仮面:10分で、足下の炎がこの部屋を襲います。
    やるか、それとも焼け死ぬか?

床の下に火が付きます。

レックスの屋敷。
暖炉の前でレックスとラナはチェスをしています。
ラナは駒を動かそうとしますが悩んで元に戻します。

レックス:ゆっくり落ち着いて。
     チェスをマスターする鍵は、敵の動きを予想して守りを固める事だ。
ラナ:リラックスして?
レックス:チェスを楽しむんだ。
     モノポリーも持っているが。
ラナ:私が何の話をしたか分かってるでしょ。
   先週その事を話したばかりじゃない。
レックス:君がそう言うのを待っていた。
ラナ:あなたがキスをしたから?
レックス:そして、君は応じた。
ラナ:(立ち上がって)
   友達としての話をした後で友情を壊したくなかったから…
   どうしてうまく伝わらないんだろ?
レックス:(立ち上がり、ラナに近づき)あれを忘れろと言うのか?
     頭でも打たない限り、忘れる事なんか無理そうだ。

レックスの携帯が鳴りだします。
彼は電話に出ずにラナを見つめます。

ラナ:出たら?
   私はメトロポリスに戻るから。
   後で電話する。

ラナが部屋を出て行くとレックスは携帯に出ます。

レックス:何だ?
     (間があり)
     セキュリティチームを手配しろ、
     ルーサー・コープ・プラザで落ち合う。
     内密に処理するんだ。
     親父が失踪したのを知られたくない。

倉庫。

銀仮面:少し暖かくなかったかね?

ライオネルはYシャツを脱ぎランニングシャツ姿で棒を担いでいます。

銀仮面:どう感じる…
    踵が熱くて火ぶくれでも起こしたか?

ライオネルはゆっくりとフックに近づきます。

銀仮面:一足千ドルのイタリアの靴を賭けよう
    右だけになるかもしれませんがね?
    汗をかいたことのない者が
    こんな事をするのは大変でしょう?
ライオネル:私はシューサイドスラムで育ったんだ。
      お前にそんな事は言われたくない。
銀仮面:あなたの貧しい青春時代は知ってますよ
    しかしあなたは変わった
    両親を火事で殺した時に
    気に障りましたか?
ライオネル:私は殺していない。
銀仮面:長い間ウソをつき続けたため
    それが本当だと信じ込んでる
    時間がありませんよ
    骨になる前にこのゲームで
    学んだ事を教えてくれませんか?
ライオネル:いいだろう。
      お前は口数が多過ぎる。
      黙っていろ。

ライオネルは踏み台に昇り棒を肩から外しフックにかけようとします。

銀仮面:慎重に…慎重に…
    運転手がどうなったか思い出せ
    正義の秤は手を血で染めたあなたには
    バランスをとるのは難しいでしょう?

ライオネルはゆっくりと棒をフックにかけます。
彼が手を離すと棒はバランスを取りフックに下がります。

銀仮面:おめでとう、よくやった

フックがわずかに下がるとライオネルの前の扉が開きます。
ライオネルはその扉にジャンプして飛び込んだ瞬間床の炎が吹きあがります。
扉が閉まりライオネルは床の上に倒れています。
真っ暗だった室内に電燈が灯ります。
ライオネルは立ち上がり辺りを見回すとモニタが点きます。

銀仮面:ライオネル?
ライオネル:何だ?
      まだゲームをするのか?
銀仮面:ええ
    でも今回はパートナーが必要です…

ライオネルは振り返り後ろを見ます。
後の方の電燈が灯るとそこにはガラスケースに閉じ込めらたマーサがいました。

銀仮面:…あなたの暗闇を祓える者は
ライオネル:マーサ!

マーサはライオネルを見つけガラスを叩きます。
しかしマーサの声は聞こえません。
マーサの足元にある配管から水が流れ出します。
ライオネルは急いでガラスケースに近づきます。

マーサ:(ガラスの中で)
    ライオネル、お願い…
ライオネル:やめろ…
      止めるんだ…

ライオネルはガラスケースの上にあるコックを閉じようとしますが動きません。

ライオネル:止めてくれ…
      慌てるな!

水嵩がどんどんと高くなってきます。
ライオネルはガラスケースの脇についているインターホンのスイッチを入れます。

ライオネル:マーサ?
マーサ:ライオネル、何が起こってるの?!
ライオネル:誰かがバカな事をしてるんだ。
マーサ:誰なの?!
ライオネル:分からない。
      どうやってここに?
マーサ:分からないわ。私…
    プラザの駐車場にいたら…
    後ろから音が聞こえてきて。
    分からない、ここから出して!
ライオネル:分かった。
      マーサ、離れていろ。

ライオネルは後ろにあったイスを取り上げガラスケースに叩きつけます。
しかしガラスはびくともしません。

ライオネル:くそーっ!
      これでどうだ!
      (銀仮面に)
      彼女は関係ないだろう、離してやってくれ!
銀仮面:彼女にも参加してもらう権利がある
    あなたの富を使ったのだから

銀仮面は画面に新聞を広げます。
ライオネルが最初に読んでいた新聞で、写真にはマーサの他にライオネルも写っていました。

銀仮面:どこにでも顔を出し影響を与えている

マーサは首を振ります。

銀仮面:この男と同じぐらい…有罪だ
    同様の運命に値する
ライオネル:分かった、このゲームは何だ?
      どうすれば彼女を出せるんだ?
銀仮面:言葉を作れ、武器の
    言葉を捻り、二重の意味で真実を隠してある
    今度は、私の番だ。

モニタの脇にある台に明かりが灯ります。
台はレントゲン写真を見るための灯火式で、
プラスチックの板にアルファベットが一文字づつ並べられて言葉を作っていました。
「a Toad like Fever」

ライオネル: "a toad like fever" ?(フィーバーのようなヒキガエル)
      こんなのは知らない。
銀仮面:頭を捻るんだ。
ライオネル:捻る…
銀仮面:彼女の命はあなたの手の中だ。

モニタは消えます。

ライオネル:何だって?待て、待ってくれ!
      もう少し。

マーサのケースには水が増していました。

デイリープラネット。
クロエとクラークが階段を降りてきます。

クロエ:普通の事なら分かるけど、真実を調べ出すのは。
クラーク:クロエ。
クロエ:クラーク。
    ライオネルだけじゃないのよ。
    ファインの情報をくれたのは彼よ、
    あなたが私のところに来るのを知ってて。
    どうして彼を利用させてくれないの、
    情報は正しかったでしょ?
クラーク:もし君まで係わっていると知られたら?
     危険過ぎる。
クロエ:じゃあルーサーが悪だくみを計画するのを待つの?

クラークの携帯が鳴ります。

クラーク:(携帯に出て)ロイスか?
     いや。
     だいぶ前に家を出たよ。
     そうか、何か分ったら連絡する。
クロエ:どうしたの?
クラーク:母さんがパーティー会場に行ってない。
クロエ:大変じゃない。

ライオネルのオフィス。
レックスと部下がいます。

レックス:24時間内のセキュリティビデオを。
     何か変わった事がないかどうか調べるんだ。
部下:はい。

部下が部屋を出て行こうとするとクロエとクラークが入ってきます。
部下は二人を止めようとしますがレックスが許可をします。

レックス:構わない。

部下は部屋を出て、二人はレックスの方に行きます。

レックス:クラーク、何しに来た?
クラーク:君のお父さんを探してる。
クロエ:どこにいるの?
レックス:俺が知りたいよ。
     親父は会議を欠席、パーティーにも現れていない。
クラーク:母さんもなんだ。
     レックス、何が起こっているのか知ってたら、すぐに教えてくれ。
レックス:クラーク、今日親父が命を狙われたと俺を疑って来た。
クロエ:それが誰なのか心当たりは?
レックス:分かっているのは、このオフィスから連れて行かれたということだ。
クラーク:どうしてそれを?
レックス:ここの床に携帯電話が落ちていた。
     (机の上に置いてある携帯を取り上げ)
     最後の通話記録は911だ。
     その時刻は警備ビデオに映ってない時間と同じだった。
クロエ:ここのカメラは?
レックス:ないんだ。
     親父はある業務を行っていたから
     電子的な装置はない。
クロエ:それはあまりにも無謀じゃない?

クラークは室内をX線ビジョンで透視します。
すると中国の古美術品の一つに機械が入っているのを見つけます。

クラーク:レックス…
     (その美術品を指し)
     これは初めから欠けてたのか?

その美術品の台座の部分が少し欠けていました。

レックス:親父がコレクションにそんなのを許すわけがない。
     (美術品を手にして)
     これかも。

レックスは美術品を床に叩きつけます。
粉々になった破片の中からクロエは機械を見つけ手に取ります。

クロエ:ワオ。
    これは標準タイプじゃないわね。
    誰かが手造りした物だわ。
    高周波で、ワイヤレスタイプ…
クラーク:動いてるのか?
クロエ:いえ、電池が切れてる。
    でも取り換えればトレースして
    受信先を見つけられるかも。
レックス:やってくれ。

クロエは頷きます。

ライオネルは言葉の意味を考えています。

ライオネル:「a Toad like Fever」 !
      フィバー、分からん…全く。
マーサ:(胸下まで水につかり)
    どういう意味なの?
    聞いた事があるの?
ライオネル:いや。
マーサ:(文字を見て)
    待って。
    それは同じじゃない?
    単語の最初の文字よ。
    「T」と「F」は大文字なのに、「a」と「l」は小文字よ。

ライオネルは文字板をまとめます。

ライオネル:「T」と「F」そうか、奴は…
      何て言ったんだ?何と…
      捻る…捻る…言葉を捻る!
      あー…アナグラム、アナグラムか…
      本当の意味が隠されている…
マーサ:単語パズルよ!
ライオネル:単語パズル…

ライオネルのオフィス。
クロエが発信器をPCに繋ぎ検査をしています。

クロエ:繰り返しコードを発信してる。
    シーケンスをハックして、受信場所を見つけてみるわ。
クラーク:急いでくれ。
レックス:(クラークに)恥とは思わないか?
     同じ部屋にいたって俺たちは何もできない。
     なあ、クラーク、もう手遅れだとしたら
     同じ事をしていても無駄だ
     (携帯が鳴り)
     失礼。
     電話に出ないと。

レックスは二人から離れます。
クラークはクロエのPCを覗き込みます。

クラーク:手伝えることはないか?
クロエ:コンピュータなんて使えないでしょ?
    信号が強くて、減衰してない。
    つまり近くって事よ。
    (PCが位置を特定します)
    やった。バーモント通り8320よ。
    ここから5マイルほど。
クラーク:よし。

クラークが行こうとすると後ろからレックスが声をかけます。

レックス:何か分かったのか?
クラーク:この近くの住所だ。
レックス:そうか、俺のポルシェで行こう。
     お前のトラックよりは速いだろ。
     行こう。

クラークはチラリとクロエを見ます。
彼女は仕方がないという風に首を動かします。

その頃ライオネルは文字を並べ替え単語を作り出していました。

ライオネル:「v」「i」「l」"evil(邪悪)"
      「To dare Fake evil」(あえて邪悪であるように見せかける)
      わけが分からない。
マーサ:(水は首のあたりまで来ています)
    意味があるはずよ… じゃなきゃ!
ライオネル:いや、ある…
      私に失敗して欲しいんだろ?
      彼女が死ぬのを見せたい?!
      そうなのか?
マーサ:(おぼれかかり)ライオネル!
ライオネル:奴は失敗させたがっている。
      失敗、失敗、失敗。
      失敗。
      奴は真実を二重の意味で曖昧にしたと言っていた。
      (文字を並べ替えながら)
      二重の意味、無慈悲(no mercy)
      あー…greed(欲張り)
      grab(グラブ)take(取る)
      take. take, take.
      do take. over...
      takeover(乗っ取り)だ。
      Failed Takeover ! (失敗した乗っ取り!)
      答えはFailed Takeover(失敗した乗っ取り)だ!
      Failed Takeover(失敗した乗っ取り)!
      エイペックス、エイペックスだ!
      それはエイペックスだ。

ライオネルはマーサを見ます。
既に彼女は水の中に頭までつかり気を失いかけています。
突然ガラスが割れ水と共にマーサが流れ出てきます。
ライオネルはマーサを抱き起こします。
彼女は咳きこんでいます。

ライオネル:マーサ。
      マーサ。
      マーサ。
      よかった。
      もう大丈夫だ。

モニタが点き銀仮面が映ります。

銀仮面:他人を本気で心配しているのか?
    上院議員とあなたとの関係は
    政治絡みだけではないと疑っていました。

二人は立ち上がります。

ライオネル:OK。
      OK。
      ゲームに勝ったんだ。
      すぐに私達を解放しろ。
銀仮面:お望みの通り

今まで暗かった場所に電気が灯り上に行く階段があるのが分かります。
ライオネルはマーサの手を引き階段へと向かいます。

ライオネル:マーサ。
マーサ:待って。待ってよ。
    まだ何かあるみたい?
銀仮面:自由か…
    …死か、最後のゲームで結果がでる。

ライオネルハ階段の上の扉を見ます。

ライオネル:別の罠を仕掛けているのか?
銀仮面:その通り、早くしないと床に電流が流れてくるぞ。

突然天井の電線がスパークして水で濡れている床に垂れ下がります。
ライオネルはマーサの手を引っ張り階段を駆け上がります。
電線は床に触れ一面を電気で包み込みます。

ライオネル:早く!

ライオネルは扉を開き中に入ります。
二人が小さな部屋に入ると金網でできたドアが閉まります。

マーサ:一体何なの?
ライオネル:私にも分からない。
おい!

それは工場などで使われているエレベーターでした。
背面以外のパネルは全て金網状の構造となっています。
エレベーターは上へと上がって行きます。

ライオネル:すまない。
      君を巻き込んでしまった。
マーサ:巻き込むって?相手は誰なの?
ライオネル:分からないんだ。
マーサ:エイペックスって?
    失敗した乗っ取りて?どういう意味?
ライオネル:エイペックスはアジアンコミュニュティだ。
      レックスから会社を奪い返そうと利用したんだ。
      レックスは見つけ出した。
      私を追いだそうと説得力のある議論をした。
      エイペックスは何百もの会社に資金を提供し。
      投資家は破滅した。多くの人間が職を失った。
マーサ:あなたのせいで。
ライオネル:いや、私の事でじゃない、レックスのせいだ。
マーサ:レックス?
    彼を傷つけることを?
    そんなに息子が嫌いなの?
ライオネル:倅を鍛えるためだ、マーサ。
      難しい試練だ。
      私は考えた、誘惑を取り除けたらと。
      そして金を与えた、
      自分の人間性を再発見させるために。
マーサ:彼とちゃんと話さないの、親子として?
ライオネル:ケント家ではそうかもしれん、
      だがレックスはクラークとは違う…
      私はジョナサンのような父親にはなれない。
マーサ:遅くはないわ、変われるわよ。

突然壁に備え付けられたモニタが点きます。

銀仮面:もうじき死ぬ
    ライオネル・ルーサー
    あなたは勝つために何も考えず命を奪って来た
    あなたも同じか見てみたい
    どちらかが死ななければならないとしたら、あなたがどうするのか

モニタの下のボックスが開き、中には銃が入っていました。

銀仮面:弾は一つ
    ケント上院議員を殺して…自由を勝ち取るんだ。
    それともあなたが殺されるか、勝者が自由だ。
マーサ:いやよ !
ライオネル:これ以上はせんぞ。
銀仮面:エレベータのワイヤーには爆薬を仕掛けてある。

二人が見上げると確かに爆薬が仕掛けられていました。

銀仮面:二分たって死んでいない場合は、二人とも死ぬことになる。
    決定するのはあなただ

画面が消えるとワイヤーに仕掛けられているタイマーが作動します。
マーサとライオネルは見つめあいます。

ライオネルのオフィスからクロエが携帯でクラークに電話します。

クロエ:クラーク、着いた?

クラークは倉庫のような建物の中をレックスと二人で歩いています。

クラーク:建物にいる。
     (扉を見つけ)
     見つけたかもしれない。待って。

クラークが扉の前に着くとレックスに振り返ります。

クラーク:セキュリティチームを待つかい?
レックス:いや
     (拳銃を取り出し)
     行くぞ。

レックスは扉を蹴って開け、二人で室内に入ります。
しかしそこには誰もいなく、部屋は暗い状態です。

クラーク:(携帯で)クロエ…
     ここには誰もいない。
クロエ:カメラを見つけられる事を予想して
    信号を別ルートで送ったのかも。
レックス:クラーク。

レックスは何かを見つけ見ています。
クラークがそばに行くとモニタの前に紙が貼ってあり
「ゲーム・オーバー」と書かれていました。
クラークがその紙を取るとモニタにはマーサとライオネルが映っていました。
ライオネルは拳銃をボックスから取り出しています。
レックスは驚いた目でクラークを見ます。

クラーク:母さん。

ライオネルは拳銃を握りしめます。

ライオネル:すまない、マーサ。
      私を許してくれ。
      私達のどちらかがここから出られる。
マーサ:(不安そうに)ライオネル…
ライオネル:いや、言わなくていい。
      (マーサの手に拳銃を握らせ)
      取ってくれ。

そしてライオネルはマーサの手を掴み自分の胸元に銃を突き付けます。

ライオネル:君がやるんだ、マーサ。
      多くの人間が君を頼りにしている…
      特にクラークは。
      私達はそれを知っている、彼は…
      特別な少年だ。

レックスはその言葉を聞くとクラークを見ます。
クラークはじっとモニタを見ています。

ライオネル:そして、今
      ジョナサンが亡くなって
      彼はますます君を必要としている
      彼は必要なんだ
      この絶望的な世界に

ライオネルがマーサの手を離すとマーサは銃をきちんと持ち直しライオネルに向けます。
マーサの目には涙が浮かんでいます。

ライオネル:さあ、やってくれ。
      そして息子の待つ家に帰るんだ。

唇を震わせ躊躇っているマーサの手をライオネルは掴み胸元に引き寄せます。

マーサ:できない…できなわ…

マーサは手を下します。
ライオネルは手を伸ばしマーサの手から拳銃を取ります。

ライオネル:私は思っていた…いつも
      私達は異なった終わりを迎えると。マーサ。
      自分を責めないでくれ。
      君の命は大切なんだ。

ライオネルは拳銃を顎の下に当てがいます。

マーサ:やめて!

ライオネルは引き金を引きます。
しかし弾は発射されません。
二人とも驚いています。

クラーク達の見ていたモニタが突然消えます。

クラーク:(携帯で)クロエ?
     何があった?
クロエ:送信が切れたの
    バックトレースしてるんだけど
    信号がアチコチ飛んじゃって。

ライオネル達のところに銀仮面がやってきます。
二人は驚いて銀仮面を見ます。

銀仮面:ライオネル・ルーサーが無私無欲な行為か。
    驚いたよ。
    だったら死んでもらおう。

ライオネル:(金網にしがみ付いて)クソッ!

一方レックスとクラークは、今レックスの前には部下がいます。
クラークは携帯でクロエと話をしています。

クロエ:分かったわ、町の反対側よ
クラーク:どこだ?
クロエ:ちょっと待ってて。
    西の方角。
    誘導するわ

クラークはレックスが部下たちに指示をしているのを確認すると
超スピードで部屋を出て行きます。
レックスはクラークに話しかけようと振り向きます。

レックス:クラーク、俺たちは…

レックスはクラークがいないのに気付き唖然とします。

一方ライオネルは金網を揺さぶり銀仮面に対峙しています。

銀仮面:逃げる事は出来ない、ライオネル。
    予告通りだ。ボタンを押せばな。
    (リモコンスイッチを取り出し)
    そして、ルーサー・コープ帝国は創設者を悼む。
ライオネル:初めからそのつもりだったのか?
銀仮面:あなたも仕掛け人だ、ライオネル。
    八百長だと気づくべきだったな。
ライオネル:なら、どうして私を殺さなかった?
銀仮面:見たかったからさ、あなたの苦しむ姿を。

銀仮面はマスクを外します。

ライオネル:(男の素顔を見て)
      お前は…お前は…
銀仮面:今日初めて会う。
    私が誰かも知らない、
    あなたは見ていない、私が家を…妻を…子供を失うのを。
    あなたのつまらないゲームのために人生を失った。
    私は誰でもない。
    ライオネル・ルーサーの巻き添えを喰った一人だ。
ライオネル:それは私と…お前の間の事だ。
      彼女は放してやってくれ。
銀仮面:痛みを感じるのか、ライオネル?
    彼女が死ぬのを見るのは?
    あなたが犠牲にした一人一人の命を。
ライオネル:彼女を放せ。
      これは私の責任だ。
      全て。
      (間があり、顔を伏せ)
      申し訳なかった。

銀仮面は満足そうな笑みを浮かべます。

クラークが超スピードでライオネルがアナグラムを解いていた部屋に入ってきます。

銀仮面:それが聞きたかったんだ。

銀仮面はワイヤーを見上げリモコンのスイッチを入れます。
爆薬が破裂しワイヤーは切れエレベーターは落下します。

クラークはエレベーターの落下する音を聞き透視能力を使います。
はるか上からエレベーターが落下するのを確認すると壁を破壊し
エレベーターの下にやってきます。
そしてものすごい勢いで落ちてくるエレベーターを受け止めます。
クラークはその状態でライオネルを見ます。
ライオネルとマーサは恐怖の顔をしていました。
クラークはゆっくりとエレベーターを下におろします。
そしてドアを開けるとライオネルが立ち上がります。
マーサも立ち上がりクラークに抱きかかえられエレベーターからおります。
ライオネも降り驚いた顔でクラークを見つめます。

ライオネル:これは…奇跡だ。

ライオネルはクラークの壊した壁に歩きます。
壊れた壁を見てからクラークに振り返ります。

ライオネル:ありがとう…
      息子よ。

そしてライオネルは出て行きます。
マーサはその言葉を聞いてクラークを見ます。
クラークはライオネルの後姿をじっと見ていました。

ケント家。
リビングにマーサが座っています。
クラークはお茶をマーサに持ってきます。

マーサ:(カップを受け取って)クラーク、ありがとう。
クラーク:(前の椅子に座って)大丈夫、母さん?
マーサ:火傷と打ち身はあるけど、生きてるわ。
クラーク:ライオネルに感謝はしない。
マーサ:どうしたの?
    あれは被害妄想者の仕業よ?
    ライオネルは守ってくれた。
    彼のせいじゃないわ。
クラーク:直接的にはね。
マーサ:彼は自分を犠牲にしても構わないと言ってた。
    あなたの将来のために。
クラーク:ライオネルは自分のためにならない事はしない。
     信じる事はできないよ。
マーサ:あなたの秘密を守りたいんなら
    私達に選択の余地はないわ。

エレベターの中で。
ライオネルは服を着替えています。
そして床に落ちている拳銃を拾い上げます。
レックスが入ってきます。

レックス:リンカーン・コールだ。

ライオネルは振り返ります。

レックス:それがあの男の名だ。
ライオネル:(レックスに近づき)
      見つけたのか?
レックス:バーでな。
     奴は、親父の死に祝杯を上げていたよ。
     親父が死んでいたら、奴を捕たかどうか。
     親父が死んでいないとなれば、奴を当局に引き渡さないとな。

レックスはエレベーターを見上げます。

ライオネル:大した息子だ。
      私たちは時々精神異常者を引き付ける。
レックス:(振り返り)
     そのせいじゃない、親父。
     あんたのせいだ。
ライオネル:誰もが過ちを犯す。
レックス:そのせいでマーサ・ケントは一緒に死ぬところだった。
ライオネル:まあ、エレベーターの安全装置が
      スピードを抑えてくれたのには感謝している。
レックス:そうか?
     そうだろうな。
     コールが壊していたのにな。
ライオネル:(笑って)
      奇跡の存在を信じるには十分だろ。
      違うか?
レックス:俺はクラークが神のご加護と関係があったと思っている。

レックスは壊れた壁のところに行きます。

ライオネル:クラーク…
レックス:ビデオで言ってたのを聞いていた…
     あいつがどんなに特別な少年だと。
     それはどういう意味なんだ?
ライオネル:それは…
      息子を父親が誇りに思うという事だ。
レックス:(ライオネルに近づき)俺はあいつと同じ部屋にいた…
     そして次の瞬間、町の反対側にいた。
ライオネル:お前は彼に固執しすぎている。
      クラーク・ケントはただの農家の子供だ。
      行くぞ、レックス。

ライオネルは踵を返し出て行きます。

ライオネルのオフィス。
夜。
ライオネルが窓の外を見ているとクラークが入ってきます。

ライオネル:(振り返って)来ると思っていたよ…カル-エル。
クラーク:どのぐらい前から知っていたんだ?
ライオネル:私はクリスタル持っていた。
      君が孤独の要塞を作った瞬間からだ。
クラーク:昏睡していたんじゃないのか?
ライオネル:昏睡?
      考えてみると…状態は…
      静観的な休息だった。
クラーク:1年前から僕の秘密を知っていたのか。
ライオネル:そうだ。
クラーク:どうして何もしないんだ?
ライオネル:何故?君をさらして何になる?
      別の星からの奇妙な訪問者としてか?
      私は言おうとしていた…敵でないと。
      君の秘密が明らかになれば
      運命は変ってしまう。
      そしてそうなれば私はその者に危害を加えるだろう。
クラーク:あなたには選択があった…
     母さんを殺すか、自害するか。
ライオネル:君のお母さんを殺す気は全くない。
      選択の余地は全くなかった。
クラーク:そうか?
     弾が装填されてなかったのを知ってたんじゃないか?
ライオネル:私の言う事が信じられないのは分かる。
      だが、いつか私を信じる事を願っているよ。
      私は君とお母さんに幸せになって貰いたいだけだ…
      息子よ。
クラーク:そう呼ばないでくれ。
     僕の父さんはジョナサン・ケントだけだ。
ライオネル:いや、
      彼の代わりをしようというのではない。
クラーク:それは無理だ。
     母さんはあなたをいい人だと思っている。
     だけど僕はそうは思えない。
ライオネル:それには時間が必要だ、クラーク。
      多分ね。
クラーク:それともあなたが正体を見せるか。
     秘密にかかわらず、
     母さんから離れてくれ。
     そしてあなたを二度と救う事にならないのを願いたい。

クラークは部屋を出て行きます。
ライオネルはクラークが出て行くと突然頭を押さえ呻きだします。
そして机に行くとメモとペンを取り出し何か書き始めます。

おしまい。