言葉のごった煮>トップへ

スターゲートアトランティス シーズン3

第43話「抵抗できない惑星」
3X03 - IRRESISTIBLE PLANET.

パドルジャンパーがある惑星の上を飛んでいます。
シェパード中佐がジャンパーの操縦をしています。
マッケイが副操縦士の席に座っています。
テイラとロノンはその後ろの席に座っていました。
ジョンはくしゃみをしたり、咳をしています。
ロドニーはちょっと目をつぶった後、ジョンが鼻をすするのを睨みつけます。

テイラ:中佐、大丈夫なの?
シェパード:(少しかすれた声で)大丈夫さ。
      ただの風邪だ。大した事じゃない。
      少し体調がおかしいけどな。
マッケイ:体調は…シェパード:何が?
マッケイ:スペースゲイトの調査に集中すべきだろ。
シェパード:だからやってるじゃないか、ロドニー。
      マルプがライフサインを検出した。
      だから確認しに来たんだろ。それが手順通りの調査ってもんだ。
マッケイ:こんな田舎の住民達の事より、
     銀河間を繋ぐためのブリッジにここのゲイトが使えるかどうかを調べる事が優先だと云いたいんだ。
テイラ:そんなに地球に戻りたいの、ロドニー?
マッケイ:個人的な事だけじゃない。
     アトランティスと地球を行き来できるのは好都合なんだ。
     …僕らがいつでも行きたい時に行ける。
デックス:それは一体どんなものなんだ?

ロドニーはロノンの方にイスを回転させ、聞きたそうにしているロノンに向きます。

マッケイ:オーケー。
     ペガサス銀河と天の川銀河間にゲイト置いて各ゲイトを繋げるんだ。
     そうするとジャンパーで最初のゲイトについた途端次のゲイトに順々に繋いで行く。
     そうすればゼロPMを消費せずに地球とアトランティスを繋げる事ができるんだ。
     ダイダロスを使うと3週間かかるが、これなら30分で行ける。

彼は微笑して椅子を戻します。

テイラ:すごいわね。
マッケイ:まあね。(一瞬ためらい)サマンサ・カーターのアイディアだ。
シェパード:前方に村だ。

まもなくその後。
チームは村の中に入り道を歩いています。
その村は中世時代のような雰囲気でした。
村人はいつも通りの日常生活を営み、マーケット広場の周りを歩いています。
村人はチームが来た事に驚いているようには見えません。
たぶん彼らは訪問者に慣れているのでしょう。
何人かはチームに手を振ったり、通り過ぎる際彼らに微笑みかけたりします。
ある女性はチームに手を振ってから口を手で覆いまるで女学生のようにくすくす笑います。
ロドニーはため息をつきます。

マッケイ:(退屈そうに)オーケー、ちょっと挨拶をして、記念品でも買って…ここから出よう!

彼は先の方で何が興味深いものを見つけ最後の言葉が元気良くなります。
目の前には2人の若い美しい女性達がいて、彼女達は明るい色の服を着ています。
もっと先の方には沢山の若く美しく、明るい服装をした女性達がいました。
近くにいた1人はチームに微笑みかけます。

ウィラ:いいお天気ね。
シェパード:ああそうだな!

彼とロドニーは女性達を見つめながら歩き続けます。

シェパード:(何気なくロドニーに)ここには何もないな、もう行こうか?
マッケイ:ああ、でも地元の人間に話を聞かなくてもいいのか?
シェパード:いやいや。お前の言う通りだ。

テイラはため息をつきます。

マッケイ:そうじゃなくて、せっかくここにいるんだから…
男性の声:こんにちは!

チームは声のする方を見ます。
一人の男がにこやかにチームに近づいてきました。

ルーシャス:こんにちは、みなさん!
     どうして誰も私に彼らが来た事を教えてくれなかったんだ?

近くにいた村人達はルーシャスに振り返りました。
村人達はルーシャスを見て喜びます。
女性の中の一人がルーシャスに近づき彼の首に腕をまとわせて頬にキスをします。

ウィラ:ルーシャス、あなたがいなくて淋しかったわ!
ルーシャス:(微笑んで)おいおい。ただ散歩に行っただけじゃないか。
     君はもう、この人達に会ったのかい?
シェパード:我々は、たった今来たばかりだから。
ルーシャス:おお、そうか。そうか。
     それなら何も見逃していないな。
     私は見逃すのが嫌いなんだ。
     (彼はウィラを抱きよせ、チームに近づきます)
     私の妻には会ったかい、ウィラだ?
     妻は素晴らしいだろ?
     (彼は肩越しに親指を向けて、近くの女性達のグループに向きます)
     他の妻達は昼食を作っている。
妻2:こんにちは、ルーシャス!

ルーシャスは彼女に手を振ります。

ルーシャス:こんにちは。
     (彼は彼女に投げキッスを送ります。)
     みんな、愛してるよ。愛してる。
     (彼は他の村人達に手を振ります)
     こんにちは、皆。

村人達は嬉しそうに微笑んで、彼に手を振ります。

シェパード:あー、俺はジョン・シェパードだ。
      (彼は他の人達を紹介します。)
      こっちはロドニー・マッケイ、ロノン・デックス、テイラ・エマガン。

彼らが紹介されている間、ルーシャスはチームのメンバーに微笑みかけますがテイラに興味を持ちます。

ルーシャス:テイラ?

彼はウィラを脇に押しやりテイラに向かって踏み出します。
ウィラは少し憤慨しているように見えます。

ルーシャス:(テイラを眺め回し)どこの出身だい…?
テイラ:(まじめに)アソス。
ルーシャス:アソス。アソスね。
     そこには一度も行った事はないが、いい場所なのかい?
テイラ:(彼の微笑に心を動かされずに)レイスの刈り取りがなければ。
ルーシャス:あー、それは私も嫌いだ。
     話をしないか、一緒に昼食でも食べながら?
     (テイラは眉を上げてジョンとロドニーを見ます。)
     ワインは飲むかね?
マッケイ:お宅の名前すら知らないんだが?

ルーシャスは一瞬彼を見て笑い出します。
村人達も一緒に笑い出しました。
ロドニーは恥ずかしそうに下を向きます。
ジョンはルーシャスに肩をすくめます。

シェパード:真面目に聞いてるんだが。
ウィラ:本当にルーシャスの事を聞いた事がないの?
   (彼女ともう一人の妻は、うっとりとルーシャスを見つめます)
   この星じゃあ、誰もが彼の事を知ってるわ、賢くて、とっても親切だって。
ルーシャス:ああ、皆がそう言ってくれる。
     信じてないだろう、彼らと会っても?
シェパード:まあ、それじゃ、ルーシャス、あなたにお会いできて光栄です。
ルーシャス:いや、まだまだ信じてないな。
     さあ、昼食を食べに行こうじゃないか?
     みんなも食べるだろ?
     さあ、こっちだ。

彼の妻の何人かがチームの男性に付き添い案内をします。

ルーシャス:(テイラに)さあ。
     君も一緒に。

ロノンは先に歩く二人を追ってテイラと一緒に行きます。

ルーシャス:こんにちは。
村人:こんにちは、ルーシャス。

ルーシャスは案内されて連れていかれるチームを見てから他の村人に微笑みます。

ルーシャス:こんにちは。
村人2:こんにちは。
ルーシャス:いい天気だね。

ルーシャスはコートの中に手を伸ばして小さなガラスの小瓶を取り出します。
彼は栓を抜いて中の液体を一口飲み苦そうな顔をします。
再び栓をしてコートに戻すとチームの後を追います。

ルーシャス:待ってくれ!

後に。
ルーシャス、ウィラ、チームはテーブルに座り食事をしていました。
村人達はその周りに立って嬉しそうに微笑んでいました。

ルーシャス:私はアーキテクチャが好きなんだ。
     私にはよく分からないんだが…
     (彼は広場を取り巻いている建物にジェスチャーで示します)…止める事ができない.。
テイラ:そうね。

彼女は明らかに退屈そうに村を見まわします。
ルーシャスはジョンに向きます。

ルーシャス:彼女はもう結婚しているのか?
テイラ:(ジョンが答える前に)いいえ。
    その事は私以外に誰も答える事はできないわ。
ルーシャス:(彼女を見て)おお、そうか。
     君は妻にふさわしい。

ロドニーは信じられないと云ったように手で顔を覆います。

ルーシャス:私は強い心と…素晴らしい肉体を持った女性が好きだ。

テイラは彼を睨みつけます。

マッケイ:(テイラをさえぎり)申し訳ない、ルーシャス、
     マナー違反に聞こえたら許してくれ、でもなんであんたは…?
ルーシャス:君の言いたい事は分かる、だから質問しなくてもいい。
     (彼はロドニーにほほ笑みます)
     私には天からの贈り物があるんだ。

チームは顔を見合わせます。
ロノンは嬉しそうににっこり笑います。

シェパード:あー…贈り物とは?
ルーシャス:医学に錬金術、そして薬学さ。
     私は何種類かの素晴らしい薬を持っている。

ジョンはくしゃみをします。

ルーシャス:それだって治せる…(指を鳴らし)…簡単に。
シェパード:ただの風邪だ。
ルーシャス:だが私の薬を使えば6・7日で治る。
マッケイ:ほーう。
シェパード:それはすごい。
ルーシャス:あなたにも使えますよ。
      貿易をすればね。
     (彼はチームににっこり笑います)
      それで、皆さんはどこから来たのですか?
シェパード:特に決まった場所はないんだ。
      あちこち動き回っているんでね。
ルーシャス:あの素晴らしい機械で。
      見ましたよ。
      散歩しているとき、空を見たら、聞こえた…聞いたところによれば先祖の遺したリングを通って来たとか?

ジョンは頭を振ります、しかしロノンが話し出します。

デックス:ああ、それは俺達だ。

テイラがロノンを突きます。

ルーシャス:どうやって飛ばすんだい?
マッケイ:それは複雑でね、人が…
ルーシャス:(中断させ)どこでその機械を手に入れたんだい?
      手に入れられれば素晴らしい旅行ができる。
      操縦するのは難しいのか?
シェパード:ああ。飛ばすのは難しい、それにあんたでは無理だろう。

ルーシャスの微笑は初めて色あせます。

ルーシャス:だがひとつ欲しい。どうだろう。
シェパード:申し訳ない。
ウィラ:彼の作った薬と取引したら?
マッケイ:無理だ。
ルーシャス:何しにここへ来たんですか?取引もせずに?
     それでは船でなくてもかまわないよ。
     船の事は忘れて、船なんか欲しがらないから、いいだろ?
     あなた方は取引しに何かを持ってきたのではないのですか?
     なら(ジョンに向き)…髪を刈りに来たわけじゃないでしょ?

ジョンはしばらく黙って彼を見つめます。
テイラは笑いを押し殺して顔を伏せます。

シェパード:素晴らしい昼食でした、でも用事を思い出しましたので。
マッケイ:何の?
シェパード:重要なだよ。

彼が立ち上がると
残りのチームも同じように立ち上がります。

テイラ:ええ、もっと居たいけど、本当に行かなくてはいけないから。
ルーシャス:(立って)そんな。行かないでください。
     着いたばかりでしょ。
     さあ、さあ。次の料理もまだなのに。
     お願いです!
     私の作った薬を見てください。

チームが歩き去り始めると彼はウィラに向きます。

ルーシャス:薬を取って来なさい。
     走って!早く!

ウィラが立ち上がって急いで立ち去ると、ジョンはルーシャスに向き直ります。

シェパード:では、また、ルーシャス。
      もう行かないと。
ルーシャス:いや、いや、行かないでほしい。

村人達は彼らを行かせないようにチームを取り囲みます。

ルーシャス:オーケー、オーケー、オーケー。分かった。
     行かせてやってくれ。
     ここでは皆友人だろ?

村人達は再び後ろに下がります。
チームは歩き去り始めます。

シェパード:それなら、すぐに戻ってきますよ、俺達より医学に詳しい者を連れて。
      その時に取引について話しましょう。
ルーシャス:(希望を抱いて)今日かね?
シェパード:多分。
ルーシャス:それまでに用意しておきます。
シェパード:どうも。
ルーシャス:失望はさせません!

チームは村の広場を去ります。
ルーシャスは嬉しそうに微笑します。

ルーシャス:いい人達だ。

その場にいた者達は全員微笑してうなずきます。

アトランティス。
ジョンとロドニーはエリザベスと一緒にコントロールルームの階段を歩いています。

シェパード:言葉に例えれば…
マッケイ:…不愉快?口先男?
シェパード:まあどちらも正解だな。
マッケイ:その一方で村人は彼を慕っている、多分、薬でも使ってるんじゃないか。
シェパード:インチキセールスマンみたいだが、ベケットに調べさせる価値はある。
ウィアー:まあカーソンならすぐに答えを得られると思うわ。
     それでゲイト探しは?
マッケイ:(熱心に)ああ。すぐに。
シェパード:競争じゃないんだぞ、ロドニー。

ルーシャスの惑星。
カーソン・ベケット医師はルーシャスと一緒に部屋に入ってきます。
ハーブや根っこなどがガラス瓶に入って壁の棚に置いてあります。
テーブルの上にはポットが置いてあります。

ルーシャス:ハーブなどは、この星で集められるが、大部分は他の星を回って集めたものだ。
     告白すると、病気の治療などほとんどしていない。
ベケット:(懐疑的に)ほとんどって?
ルーシャス:まあ、この村人達の病気は治している、ラメはまた歩く事ができるようになったし…まだ治っていない者もいる。
     だが、よくはなってきている。
ベケット:(面白がって)なるほど。
ルーシャス:誰もが私のところにやってきて、最初にいう言葉は
     「ありがとう、ルーシャス。あなたのおかげで治りました。賢く親切な人」だ。

カーソンは微笑んでルーシャスから顔をそむけます。

ルーシャス:若者も、年寄りも、女性もね…。
     女性は好きですか、ベケット先生?
ベケット:えっ?ああ、もちろん。
ルーシャス:それならいい薬を持っています、それを使えば広場にいるだけでいい。
     誰かから声をかけられる「ご一緒しても?」とね?
ベケット:そりゃ、よさそうだ。
ルーシャス:それなら、その薬とあなたの持っているバッグの中身とを交換しましょう。

カーソンは肩にかけたバックの紐に手をおきます。

ベケット:この医療のキットと?
ルーシャス:ええ。
ベケット:村人の病気を治せる君が必要なのかい?
ルーシャス:村人全てではない。
     そう言ったのを忘れましたか?
ベケット:とても魅力的だが、でもそれはできないよ、ルーシャス。
     すまないけど。

ルーシャスは笑います。

ルーシャス:今は、まだだろ?
     さて、お腹が空いるんじゃないか。
     素晴らしい食事を用意してるんだ。

ルーシャスが部屋から出て行くと、カーソンはうんざりしたようにため息をつきます。

アトランティス。
エリザベスがコントロールルームに入って来るとスクリーンを見ているラデク、ジョン、ロドニーに話しかけます。

ウィアー:調査はうまくいってる?

ジョンは激しい咳をします。

シェパード:ああ、M3R‐428の軌道上で使われていないゲイトを見つけた。
マッケイ:たった一つだ。
     この調子じゃノルマが達成しない。
シェパード:何のノルマだ?
マッケイ:僕のさ。
シェパード:ダイダロスはまだ修理中だ、ロドニー。
      飛ぶ事ができるまではゲート探しは無理だ。
      (エリザベスに向き)
      ベケットは何か収穫はあったか?
ウィアー:いいえ、まだ戻って来てないの。
     さっき、彼から無線でもう少し居るって連絡があったわ。
     何か興味深いものを見つけたみたい。
マッケイ:はぁ?

ルーシャスの惑星。
夜。
ルーシャスは大勢の村人達の前で物語を語って聞かせます。
村人達はじっとルーシャスの話を聞いています。

ルーシャス:赤ん坊は凍っていた、固く。
     まるで凍りついた像のように。
     それは水の中だったのかどうかそれは分からない。
     とにかく長い時が経っていた。
     どうしていいか分からなかった。
     私はまだ子供だったから。
     私は赤ん坊を取り、コートに包み、そっと赤ん坊の背中をなで始めた。

カーソンも村人達と同じようにルーシャスを見つめ話を聞いていました。

ルーシャス:今となっては分からないが、私の体温せいなのか私自身の力なのか、赤ん坊は再び鼓動を開始した。
     力強く…

村人達とカーソンは驚きの笑顔をみせます。

ルーシャス:…そして泣き始めた、冷たい夜の空気を切り裂くように、まるで「生きていたい」というように。

村人達は彼の話に歓声を上げます。
カーソンは喜んで拍手を送ります。
村人達もそれに続きます。

ベケット:(嬉しそうに)驚いたよ。
ルーシャス:そしてその赤ん坊が…成長して…

ルーシャスはそばにいる女性を指さします。
カーソン達は彼の指さす方向を見ます。
若い女性がトレーにゴブレットとワインの水差しを置いています。

ベケット:美しい女性になったのか。

女性は向きを変えて嬉しそうにルーシャスにほほ笑みます。

ルーシャス:いやいやいや、彼女じゃない。
     彼女の後ろだ。

女性がトレーを持ってその場を立ち去ると、男が虚ろな表情で何かローストをするための手回し車を回していました。

ルーシャス:あー、少しの脳障害が残ったようだ。
     だが話は本当の事だよ。
ベケット:一緒に話を聞かせてくれて、ありがとう。
ルーシャス:気にしないで、ベケット先生。
     (立ち上がってカーソンに近づき彼の肩に手を置きます)
     分かちあう事が好きなんだ。
     (カーソンを立たせて。)
     私にも分かち合う事を。

カーソンはほれぼれと彼にほほ笑みます。

ベケット:今なら分かりますよ。
ルーシャス:(カーソンの肩を軽くたたき)そうだろ?
     私を知ってもらいたかったんだ。
     (腕をカーソンの肩にかけ歩き始めます。
     カーソンは嬉しそうに笑いながらルーシャスの背中に腕を回します。)
     分かるかい、カーソン…カーソンと呼んでも?
ベケット:もちろんだとも!
ルーシャス:カーソン、君のいる都市の…
ベケット:アトランティスかい。
ルーシャス:そう、アトランティス。
     10段階で表すと、この村が3だとして…
ベケット:まあ、アトランティスは間違いなく10だね。
ルーシャス:それで?
     そのー、あの空飛ぶ船は、まだあるのかい?
ベケット:ジャンパーの事かい?
     ああ、何機かあるよ。
ルーシャス:本当か?
     それは興味深い。
     もっと話を聞かせてくれ。
ベケット:ルーシャス、もっと簡単な方法があるよ。

アトランティス。
コントロールルーム。

技術者:ワームホール接続。
    シールドを開きます。

エリザベスは不審そうにカナダの技術者を見て近づきます。

技術者:ベケット先生のIDシグナルです。
ウィアー:時間通りね。

彼女はゲイトルームへの階段に向かいます。
ゲイトの前では海兵隊員が武器を向けて待っていました。
カーソンがゲイトから出てくると彼らに武器を下すよう手で合図します。

ウィアー:カーソン。

ルーシャスが後に続いて出てくると彼女は立ち止まります。
ルーシャスの顔は喜びにあふれ手で口を覆います。
カーソンは誇らしげに微笑します。

ルーシャス:これは!
     君は10だと言ったが私は8ぐらいだと思っていた。
     でもこれは!
ウィアー:カーソン?
ベケット:ウィアー博士、ルーシャス・レビンの許可を。
ルーシャス:(エリザベスに向かって歩き)驚いた、彼女の事は何一つ話さなかったじゃないか。
     これは。
     (彼は彼女の体を眺めまわします。)
     ここはまさに素晴らしい。

エリザベスは何も言わずにカーソンを睨みつけると次にルーシャスを睨みます。

監視ルーム。
エリザベス、ジョン、カーソンは窓の下の隔離室を見ています。
ルーシャスは自分の映っているモニタを見て興味をそそられます。
ロドニーはモニタでルーシャスの映像を見ていました。

ウィアー:許可なくここに連れて来たなんて信じられないわ。
ベケット:(ルーシャスのおどけた姿を見ながら)そう言われるとは思わなかった。
ウィアー:私がそう言うとは思わなかったの?
     手続きは知ってるでしょ。
     それとも忘れてしまったの。
ベケット:彼から得られる事は沢山ある!
シェパード:1週間で俺の風邪を治す事ができると言った男からか?

ロドニーはモニタから振り返り腕組みをします。

ベケット:自分の仕事は分かってるさ、シェパード中佐。
     少し興味深い薬を彼が持っているんだ。
ウィアー:本当に?あの人が?

彼女は隔離室を見下ろします。
ルーシャスはカメラの前で口を開いてモニタに映った喉を見ようと頭を動かしています。

ベケット:ええ。他にも貴重なハーブやスパイス…それにヒョウタンも。
マッケイ:ヒョウタンだって?!
ベケット:そうだよ、ロドニー。ヒョウタンだ。
     僕らだって何もかも分かってるわけじゃない。
     (ロドニーはあざけります)
     彼は非常に強力な同盟者になれる。
     彼は非常に賢く、そして親切な男だ。

カーソンは嬉しそうに隔離室に微笑します。
エリザベスは目を細めます。

ウィアー:本当に問題ないの?
ベケット:どういう意味?
シェパード:先生の行動は少し…
ウィアー:…馬鹿げてる?
シェパード:別の言葉を言おうとしてた。
ベケット:これは軽く扱うべきものじゃない。
ウィアー:いいえ、そういう事じゃないわ。
     あなたは事前の承認もなしで見知らぬ人間をアトランティスに連れて来た。
     今彼はここのアドレスと都市の事を知ってしまったわ。
ベケット:ルーシャスは僕らを傷つけたりはしないさ。
     彼は平和的で、友人だ。僕はそう確信してる。

まもなくその後。
エリザベス、ジョン、ロドニーはどこかの階段を歩いています。

ウィアー:彼が脅威になると思う?
シェパード:確かに厄介者ではあるが。
マッケイ:もしベケットの言う事が正しいなら、これらの薬は価値があるわ。
シェパード:奴を見張らせておこう。
     俺とマッケイとゲイトを探索するために行かないとならないから、
     テイラとロノンに奴から目を離すなと言っておいてくれ。

ゲストルーム。
カーソンはゲストルームにルーシャスを案内します。
海兵隊員が出口をガードしています。

ベケット:ここだよ。

カーソンがルーシャスを見ると彼は驚いた表情で口を開いたまま部屋の中を見ます。

ルーシャス:完ぺきだ。

カーソンはルーシャスが部屋に満足した事に喜んで拳を前に突き出し勝利のジェスチャーをします。
ルーシャスはバッグをソファーの上に置きます。

ベケット:もしよかったら僕の部屋も使って。
ルーシャス:いやいや。そこまでは、カーソン。
     君が強く望むのなら見に行くが、ここは素晴らしい。
ベケット:それは良かった。嬉しいよ。何か欲しいものがあったら言って。
ルーシャス:ここに来た事以上の事は望まないよ。
     (カーソンは微笑します。)あるにはあるが…
ベケット:(心配そうに彼に近づき)何だい?
ルーシャス:いや、何でもない。
ベケット:そんな、話してくれないか!
ルーシャス:君の友人達は私をあまり歓迎してないようだ。
ベケット:そうか、ルーシャス、それじゃ皆に君を知ってもらえるチャンスをつくるよ。
ルーシャス:ぜひそうしてほしい。
ベケット:ああ、約束する。
     実は僕はウィアー博士に君達との同盟を交渉するように言おうと思ってるんだ。
ルーシャス:本当に?
ベケット:本当だとも!
ルーシャス:それは素晴らしい!

後に。
ルーシャスは部屋のドアのカーテンを開けて外にいる二人の海兵隊員を見ます。
それからドアを開けて彼らに近づきます。

ルーシャス:やあ。
     ちょっと食べる物を取りに行きたいんだ、持ってくるのを忘れてしまった…
     君達は話をする事を許されてないのか?

テイラとロノンが階段を上がってきます。

テイラ:ゲストはエスコート無しで都市の中を歩きまわれないわ。
ルーシャス:(彼女にほほ笑み)じゃあ、私をエスコートしてくれないか?
     (彼は彼女のまじめな顔に気付きます。)
     まだ私を好きになってないようだね?
デックス:まだ?
ルーシャス:すまない。
     (彼はテイラの体を眺めまわします)
     美しい女性の前ではマナーが悪くて。
     彼女はそうなんだろ?
デックス:ああ。
テイラ:何を持ってきましょうか?
ルーシャス:あー、いやいや。
     一緒に来てくれないか。
     私を一人であそこに座らせて置かないでくれ。
     (彼は彼女により近づきます)
     お願いだよ?

テイラはいらいらして彼から離れます。

テイラ:分かりました。
    一緒に連れて行きます。
ルーシャス:おお、一緒に。
     それはいい。
     もっとお互いを知り合おうじゃないか?

テイラは彼を案内し始めます。
ルーシャスが彼女の後に従うと彼はロノンに向きます。

ルーシャス:なんでそんな髪をしてるんだい?

彼らの後を海兵隊員がついて行きます。

エリザベスのオフィス。
入口のところでエリザベスは日本人の女性技術者の持っているコンピュータタブレットにサインをしています。
カーソンは机に座っています。

ベケット:僕の話を聞いてくれないか。
ウィアー:(技術者に)ありがとう。

技術者は去ります。
そしてエリザベスは机の方に歩いて向かい側に座ります。

ウィアー:いいわ。
     言っておくけど、あなたはあの男に対して持っている興味に心配になって来たわ。
     あまりにも…過剰よ。
ベケット:僕には分からないな、どうしてルーシャスをそんなに敵視してるんだい。
ウィアー:多分それはあなたが手順を無視して危険にさらしてるから…
ベケット:(中断させ)それは謝るよ、でもそれは過ぎた事だもう一歩前向きに考えて、同盟の事を話さないか?

エリザベスはいらいらしてため息をつきます。

ウィアー:分かったわ。
     私のオフィスに来るように。

ゲストルーム。
ルーシャスは鏡の前に立ち、エリザベスと会うための練習をしています。

ルーシャス:(鏡の中に)こんにちは、ウィアー博士。
     (彼はコートを脱いで再び試みます)
     こんにちは、ウィアー博士。

彼は満足そうにほほ笑むとベッドに行ってコートを落とします。
彼は持って来たバッグからガラスの小瓶を取り出して一気に飲み干します。

エリザベスのオフィス。
ルーシャスは2人の海兵隊員に付き添われオフィスの中に歩いて入ります。
彼は手に火のついていない黄色のろうそくを土で作ったヒョウタンに乗せて持っています。

ルーシャス:こんにちは、ウィアー博士。
     話を聞いてくれるそうで、感謝します。
ウィアー:それほどでもないわ、レビンさん。
ルーシャス:いや、どうぞルーシャスと呼んでください。

エリザベスは不安そうに彼にほほ笑みます。
ルーシャスは彼女にヒョウタンを差し出します。

ルーシャス:これは最初のプレゼントです、我々の取引の証として。
ウィアー:ありがとう。

彼女は丁寧にほほ笑んで彼からヒョウタンを受取ります。

ルーシャス:私が作りました。
     ヒョウタンは私の星の沼地で、ロウソクは動物の脂肪を使いました、私が素手で殺した動物のね。

エリザベスはしかめっ面を隠そうとします。
彼女は手に持っているヒョウタンを手放したいような感じで笑顔を作ります。

ウィアー:素敵だわ。
ルーシャス:それほどでもありません。
ウィアー:どうぞ座って。
ルーシャス:あなたから先に。

エリザベスはテーブルの上にヒョウタンを置きます。
2人はテーブル脇の椅子に向かい合って座ります。
座るとすぐにルーシャスは彼女の両手を握ります。
そして彼女の目を見つめると体を眺めます。

ウィアー:何をしてるの?
ルーシャス:(彼女の顔に目を戻し)はぁ?

エリザベスは突然立ち上がっていつもの机に行って席に着きます。

ウィアー:二つの世界の同盟を結ぶ交渉に来たんじゃないの?
ルーシャス:同盟?オーケー。もちろんです。
     私がここに来たのはまさにその事について話をしに来たんです。
ウィアー:それなら私達が必要だと思える事から話してくれませんか?

ルーシャスはひとりよがりに彼女にほほ笑んでからテーブルのヒョウタンをちらっと見ます。

ウィアー:(目を細め)ろうそく以外にね。

ルーシャスはにっこり笑います。

ルーシャス:分かりました。

彼はがっかりしたように目をそむけます。

夜。
ジョンとロドニーはジャンパーベイからコントロールルームへの階段を降りて来ます。

マッケイ:あの惑星には小さな村があっただろ?
     だから移動してもらわないとならない。
シェパード:ゲイトを使うために惑星から出て行かせるわけにはいかないだろ。

彼らがコントロールルームに入ってくると片手にマグを持ってバルコニーにいたカナダの技術者以外誰もいないのに当惑します。

技術者:ああ!お帰りなさい。
マッケイ:ゼレンカはどこだ?
技術者:ここにはいません。
シェパード:いないって?
     (彼は眉をひそめ部屋を見回します。)誰もいないじゃないか。
     皆はどこに行ったんだ?

大食堂。
入口が開きジョンとロドニーが入って来ます。
笑い声が聞こえてきます。
中に入って行くとアトランティスのクルー達が大勢座っていてルーシャスの話に耳を傾けていました。
ロノンは彼の隣りに立って見ていました。

ルーシャス:私は外に立っていた。どうしていいか分からなかった。
     私は走った。走しって!走って、武器を持ってはいたんだが

クルーは笑います。
エリザベスはルーシャスの隣りに座っていました。

ルーシャス:それである事を思いついた。
     何をしたのか。
     私はそこに立っていて、そして走って、私に向かって来る獣に出会った。
     だから向かってくる獣の左に避けて剣を振るった…
     (剣を引き抜く真似をすると、皆はたじろぎ完全に物語に没頭していました)その獣の頭を切り落としたんだ!

クルー達は驚きます。

ルーシャス:そして勝利の証としてその首を持って村に戻った。
ウィアー:(物語に熱中して)すごいわ。
デックス:本当なのか!
ルーシャス:ああ、もちろんだとも、友よ、私がやったんだ。
     付け加えて言うなら、その日の晩は女性にモテモテになった!

クルーはうれしそうに笑います。

ゼレンカ:(チェコ語で)かっこいい!
ルーシャス:ありがとう!

クルーはヒステリックに笑います。
ルーシャスがエリザベスを抱き寄せると彼女は手を彼の膝に置きます。
テイラは彼の手を握ります。

ルーシャス:いいね!いいね!

クルーが笑い続ける中、ロドニーとジョンは信じられないというようにお互いを見ます。

エリザベスのオフィス。
日中。
ジョンとロドニーはエリザベス、カーソン、テイラ、ロノンに話をしています。

シェパード:一体何があったんだ?

他の者達は混乱してお互いを見ます。

ウィアー:どういう意味?
シェパード:どういう意味って?
     俺達がいなかった間にルーシャスは皆を虜にしてしまった!
マッケイ:奴は何をしたんだ?
ウィアー:何もしてないわ。カーソンが正しかっただけよ。
テイラ:私も同じ意見だわ。彼は色んな事を私達に提案してくれると思う。
マッケイ:ハーブとヒョウタンがか?!
ベケット:おい、薬だけじゃない他にも色んな事を知ってる。
シェパード:本当に薬に価値があるっていうのか?
ベケット:実際には試してないけど。
マッケイ:おい、奴の言葉に惑わされてるんじゃないか。
デックス:それが何か問題なのか?
マッケイ:僕がか?
     (不安そうに)あー、いや。
     (彼はジョンを指さします。)
     彼が言ってるんだ。
シェパード:テイラ、君を7番目の妻にしようとした奴だぞ。

エリザベスは彼女を見ます。

テイラ:知ってるわ。
    (彼女は申し訳なさそうにエリザベスを見ます)
     彼をがっかりさせなかった事を望むわ。
ベケット:(ジョンとロドニーに)君達はルーシャスを知る機会がなかったんだ。
ウィアー:カーソンの言う通りよ。
     (彼女は彼の腕を軽くたたきます)
     ねえ、私は彼が大きな資産だと思ってるわ。
     彼はこの銀河中を旅してものすごい量の知性を奮い起こしたのよ。
シェパード:奴はその知性とやらを授けてくれたのか?
ウィアー:いえ、まだよ…(彼女はろうそくのヒョウタンを取り上げます)これをくれたわ。

テイラは口を開けて驚きます。
エリザベスはカーソン、テイラ、ロノンがよく見えるようにとヒョウタンを差し出します。
彼らは尊んでそれを見つめます。

デックス:賢く、そして親切な男だ。

彼ら四人はうなずきます。
カーソンはエリザベスに「僕にもいいかい?」と言うように見ます。
彼女はうなずき彼にヒョウタンを渡します。

ロドニーの研究室。

シェパード:これには寒気がするな。
マッケイ:(コンピュータを操作しながら)ああ、昔見たバットマンを思い出すよ。
     キャットウーマンがバットマンに惚れ薬を使うやつ。
     バットマンは彼女のためにどんな悪い事でもした。
     (コンピュータから立ち上がり)
     ワクワクしたな。
     猫の衣装を着て宝石商を…
シェパード:アーサ・キットがキャットウーマンだったな。

ロドニーはひとりよがりに微笑します。

マッケイ:シーズン3までは違うぞ。
シェパード:本当か?
マッケイ:ああ。知らなかったのか?

ジョンは頭を振ってからコンピュータを見下ろします。
ロドニーは彼を見続けます。
ジョンはちらっと彼を見てからコンピュータに頭をクイッと動かします。
ロドニーは意味を察します。

マッケイ:ああ。
     そうだった、とにかく少しの調べる必要がある…
     (スクリーンに映像を呼び出します)…奴の部屋の監視映像だ。

モニタにはルーシャスがバッグからガラスの小瓶を取り出して飲むシーンを見ます。
ロドニーが映像を一時停止させ拡大するとジョンはルーシャスの持っている小瓶を指差します。

シェパード:これは何だ?
マッケイ:ああ。奴の部屋を探して見つけたやつだ。
     (テーブルからガラスの小瓶を拾い上げます)
     まだほんの少し液体が残ってる。
     解析するには少し時間がかかるぞ。
     カーソンの助けが必要なんだが…
シェパード:…新しいお友達のところに張り付いてるからな。
マッケイ:そうなんだ。

コントロールルーム。
ラデクはルーシャスにモニタの1つを示しています。
エリザベスは誇らしげに近くでほほ笑んでいでいます。

ルーシャス:これは素晴らしい。
ゼレンカ:これで我々はあなたの星を見つけ出したんです。
ルーシャス:それであなた達は星へと移動するためにゲイトを持っていくのか。
ウィアー:まあ、軌道上にあるゲイトだけよ惑星に人がいなかった場合に限りゲイトを使おうと思ってるの。
     貿易などにゲイトを使っている星からゲイトを奪うのはよくないでしょ。

ルーシャスはスクリーンの地図を見ます。

ルーシャス:ちょっと待って。
     (彼はスクリーンを指さします)
     この惑星の事は聞いた事がある。
ウィアー:それは本当?
ルーシャス:ああ、本当さ。
     この惑星は完全に無人だと聞いた事がある。
     君らには分からないかもしれないが、この星は良い感じがする。
ウィアー:じゃあ、それなら銀河間をつなぐゲイトに改造する事ができるわね。

ルーシャスは彼女に向いて手で彼女の顔を包みます。

ルーシャス:美しい、そして才知に長けているね。
     (エリザベスは作り笑いをします。)
     君にふさわしい。
     
ジョンが入ってきても誰も気付きません。
彼はエリザベスが舞い上がっているのを睨みつけます。

シェパード:ウィアー博士。

エリザベスは嬉しそうに彼に向きます。

ウィアー:あら、ジョン。
     今ゲイトシステムの事について話してたの。
シェパード:ええ、聞いていました。
ウィアー:ルーシャスが調査対象の惑星を知っていたのよ。
シェパード:それも聞いてました。
     そこは最近レイスが拠点にしようとしている場所だと云う情報を手に入れたはずです。
     3つのレイス同盟がね。
ルーシャス:(顔にショックの色を浮かべ)そんな。本当に?
ウィアー:その情報は確かなの?
シェパード:地上を調べたわけではないですが、情報は信頼できます。
     チームを送るつもりはありません、まだそれほどゲイトを見つけているわけではないので。
ウィアー:ジョン、それってロドニーを僻んでるの。
シェパード:そんなんじゃない。
     俺はチームを危険にさらしたくないだけだ。
ルーシャス:聞いて欲しい?シェパード中佐は正しい。
     間違ってなければ、あなた方の進歩した武器でなら、
     簡単に小規模のレイスの居留地など破壊できるんじゃ。
     もし居留地があるとすればですが、
     ですが実際、危険を冒す価値があるのか?
     その危険が少なかったら?
     (彼はエリザベスとラデクに向きます)
     つまり、皆はあなた方を臆病者というレッテルをはるかも…
シェパード:いいかげんにしろ?!
ウィアー:中佐。
     私は調査する価値があると思うわ。
シェパード:いいえ。俺は許可できません。
ウィアー:(彼に向いて)ジョン、あなたは私の判断に文句があるの?
シェパード:この基地のセキュリティの話となれば別だ。
     (彼女により近づき)
     今から誰も俺の認可なしでゲイトをくぐる事は許さない。

彼は向きを変えて歩き去ります。
ルーシャスは悲しげに頭を振ります。

ルーシャス:かなり風邪の具合が悪そうだ。
ウィアー:(彼の腕に手を置き)いつもの彼らしくないわ、ルーシャス。
     謝ります。
ルーシャス:彼は私が嫌いなようだ。
ウィアー:彼は本当はいい人なの。
ルーシャス:そうは見えない。
     (否定的な声で)
     もし彼が意見を変えないなら、君が手を打たないと。

ロドニーの研究室。
ロドニーは注射器でルーシャスのガラスの小瓶から液体を採取しています。
それを医療機器の分析器にセットしてボタンを押すと、ジョンが入ってきて顔を上げます。

シェパード:エリザベスはレイスの居留地があるかもしれない星にゲイトチェックのためにチームを送ろうとしている。
マッケイ:何だって、気でも違ったのか?
シェパード:皆おかしいんだ、ロドニー。
     気付いてただろ?
マッケイ:分かってる。
シェパード:お前は気づかれずに探るんだ。
マッケイ:やってるよ、でも調べるには液体が少なすぎる。
     もっと必要だ。
シェパード:俺はルーシャスの村に戻る。
     奴の家に隠してあるはずだ。
     そこからくすねてくるさ。
マッケイ:何で、僕一人ここに残していくつもりか?
シェパード:お前が液体が必要だって言ったんだろ。
マッケイ:ああ、だがここは精神病院だ!
シェパード:誰かがここにいないといけないだろ。
     ただ皆からは離れているようにしろ。
     俺が行ったらすぐに誰もダイアルアウトできないようにホームダイヤルを停止させるんだ、
     分かったな?

ロドニーがため息をつくとジョンは激しい咳をして研究室を出て行きました。

ルーシャスの惑星。
ジョンが村の広場を歩いていると前に来た時とは随分雰囲気が変わっていました。
村人は混乱したように歩き回って気分がすぐれなそうです。
彼らの着ている華やかな服もコートで覆われ寒そうにしていました。
何人かはすすり泣いています。
ジョンが村人達の間を歩いていると彼らは疑い深くジョンを見つめます。
彼は先の方でウィラを見つけます。
彼女もコートをまとっていました。

シェパード:ウィラ。
ウィラ:シェパード。
    (彼女は他の村人達を大声で呼びます)
     シェパードよ!
シェパード:大丈夫か?
ウィラ:彼はどこにいるの?
シェパード:ルーシャスか?
ウィラ:彼を連れて行ったんでしょ?
    (彼女は緊張しているように少し彼から後ずさりします)
    もしそうだとしても私達は怒らないわ。
シェパード:あいつは自分の意志で俺達の星に来たんだ。
妻2:お願い彼を返して。
   こんなに長い間彼から離れているのは辛いの。
シェパード:みんな、前からこんな風なのか?
ウィラ :いいえ、でもいつか彼が品物を遠い星に売りに行って戻ってきた時、
    彼は私に偶然あったという素晴らしい、賢明な、甘い物語を話してくれたわ。
妻2:そしてその日から私達は彼こそが本当に素晴らしい人だと気づいたの。
シェパード:それ以前は?
ウィラ:(顔を下げ)私は何度も彼の誘いを拒否した事が恥ずかしかった…

ジョンがしかめっ面をすると、妻2は慰めるように彼女の肩に手を置きます。

ウィラ:…そして彼がいなくなってしまうと、皆は病気になってしまいます。
    段々と悪くなる一方。
シェパード:落ちついて。
     今まであいつが何か飲むのを見た事があるかい…小さい瓶に入った液体?
ウィラ:毎日のお薬ね。
妻2:彼が必要としているの?
   なら私が持って行ってあげるわ。
ウィラ:みんなで行くわ。
シェパード:俺が持っていく。
ウィラ:あなたに渡したら、彼を戻してくれる?
シェパード:もちろんだ。

2人の女性は急いで立ち去ります。

アトランティス。
コントロールルーム。

技術者:ワームホール接続。
    シェパード中佐のIDシグナルです。

ジョンはゲイトから出てきます。
彼がゲイトルームの中に入るとルーシャスの声が聞こえてきました。
ジョンが見上げると、エリザベスのオフィスでルーシャスがロドニーに物語を話して聞かせていました。
ロドニーは大喜びで笑っています。
ジョンは心配そうな顔をします。

ルーシャス:そして次の日彼女は私の妻になった、5番目のね、そして今じゃ6番目の妻がいる!

ロドニーは喜んで笑います。

マッケイ:あんたは悪党だ、分かってるのか?
     そりゃそうだろ。
     (ジョンが入って来るとロドニーは見上げます)
     シェパード、こっちに来いよ。
     この話を聞けよ。
     ルーシャスがものすごいおかしな話をしてるんだ。
     彼の星のマーモットを知ってるか?
     まあ、正確にはマーモットじゃないが、げっ歯類だしマーモットに似てるんだ…
シェパード:(中断させ)俺は近づくなと言ったはずだぞ。
マッケイ:ああ、僕はは人とかかわらないようにしてたんだが、ルーシャスが僕を心配して降りて来たんだ。
     ロノンが僕を壁に抑えつけてルーシャスと面白い長い話をしてたんだ。
シェパード:ほう、そうなのか?
マッケイ:言わせてくれ、この男は何も心配いらない。
     お前はこいつを変な奴だと思ってるんだろ、お前の方が変だぞ。

ロドニーがルーシャスの腕をたたくと二人して笑いあいます。

シェパード:エリザベスはどこだ?
ルーシャス:彼女は私のために食物を何かを作ってくれるそうだ。
シェパード:何だって?
ルーシャス:さあ。彼女はびっくりさせると言っていたが。
     だからロドニーとここで戻るのを待っていたんだ。
     君が戻って来たのを彼らだと思ったが。
マッケイ:テイラ、ロノン、ベケットだ。
     皆M6H- 491をチェックしようと言ったんだ。
シェパード:言ったはずだ…
マッケイ:(にっこり笑って)…ホームダイヤルを停止する事か。
     分かってるよ。悪かった。やらなかったんだ。
     でもロノンとテイラがついて行ったんだ。
     二人なら大丈夫だ。
シェパード:ベケットはどうなんだ?
マッケイ:ああ、あいつか…なあ、あいつは逆立ちで歩けるんだぜ。
     知ってたか?
     行く前にルーシャスを見せてた。
     それを見るべきだったな。
     手を下についてさ…

彼はかがんで床に手をつき逆立ちしようと足をけり上げようとします。

シェパード:(怒って)マッケイ!
マッケイ:(再び立ち上がり)レイスがいるとは限らないだろ。
     (彼はルーシャスににっこり笑います。)
     直ぐに調査は終わるよ?
ルーシャス:そうだな。

ルーシャスとロドニーは楽しそうにジョンににっこり笑います。

後に。
スターゲイトが開きカーソンの声が通信で聞こえてきます。

ベケット:アトランティス、こちらベケット!
     攻撃を受けている!

海兵隊員が武器を向けながらゲイトルームの中に走ります。
ゲイトを突き抜け、3つの攻撃が壁に当たります。
ルーシャス、ジョン、ロドニー、エリザベスは階段を降りて来てかがみます。
ロドニーとエリザベスはルーシャスが問題がない事を確認して階段の下に彼に手を貸します。
カーソン、テイラ、ロノンはゲイトから出てきます。
ロノンは後ろ向きに走りながら嬉しそうにイベントホライゾンの中に撃ち返します。
彼らは何らかの種類の植物でいっぱいの袋を運んでいます。
ゲイトが閉じると彼らはくすくす笑いながら他の者に振り返ります。
ルーシャス、ロドニー、エリザベスは嬉しそうに彼らににっこり笑います。
ジョンはいっそう心配そうな顔をします。

シェパード:大丈夫か?
デックス:(にっこり笑って)ああ、少し厄介だったが、大丈夫だ。
ベケット:それはもう興奮したよ。
シェパード:その惑星にはレイスがいる事が分かっていたはずだ。

彼はルーシャスをにらみつけます。

テイラ:(ほほ笑んで)ええ。
     よく分かってるわ。
ウィアー:そんなに過剰に反応しないで、ジョン。
シェパード:俺をからかってるのか?
     ベケットを連れてチームをレイスだらけの星に送ったんだぞ。
     俺にどんな反応を期待してるんだ?
ウィアー:まあ、第一に彼らは自発的に申し出たのよ。
ベケット:そして第二に、ハーブを手に入れたんだ!

彼とテイラとロノンは勝ち誇って持っている袋を上げます。
ジョン以外の皆は拍手をします。

ルーシャス:カーソン、私はこれからの将来に渡って君達の勇敢さを後世に伝えていくよ。
ベケット:(喜んで彼に近づき)本当かい?!
ルーシャス:ああ、もちろんだ!

ルーシャスとカーソンは抱き合いルーシャスはカーソンの背中をたたきます。

シェパード:(ルーシャスに信じられなくて)ハーブを手に入れるために彼らを行かせたのか?
テイラ:(ほほ笑んで)私達が望んだのよ。

ジョンは微笑します、しかし彼のは激怒の微笑です。

シェパード:オーケー。
     俺が持て行ってやるよ。

彼は袋をつかむつもりでチームに向かって歩きます。
しかしロノンはブラスターを彼に向けます。

マッケイ:まぁまぁ。
デックス:触るんじゃねえ。

エリザベスは前に出てロノンにブラスターを下げるようジェスチャーで表現します。
彼女はジョンに向きます。

ウィアー:ジョン、一体何がそんなに不満なの?
     ただ友人に手を貸しただけじゃない、何も悪い事じゃないでしょ。

ルーシャスはロドニーに向いて小さな声で話をします。

ルーシャス:私は彼が何か悪い事を考えてると思う。
マッケイ:(疑い深くジョンを見て)ふーん。

ジョンは味方がいない事を悟って速く考えます。

シェパード:なあ、俺は疲れてるんだ。
     この風邪のせいで。
     (彼はルーシャスに向きます。)
     謝るよ。

ルーシャスは愛らしく彼にほほ笑みます。

ウィアー:少し休んだ方がいいわ。
シェパード:そうさせてもらうよ。
     ぐっすり眠りたい。

エリザベスは微笑して彼にうなずきます。
海兵隊員は疑い深くジョンを見ますがジョンはゲイトルームから出て行きます。
出入り口で彼は彼を見つめている皆に振り返ります。
彼は部屋を去ります。

ジャンパーベイ。
ルーシャスはジャンパーのパイロット席に着き、ロドニーとカーソンは熱心にどのような装置なのか説明しています。

ルーシャス:それで、これは何だい?
マッケイ:それはHUD、ヘッドアップディスプレイだ。
ルーシャス:「ヘッドアップ」…(彼はくすくす笑います)…それは素晴らしい!

他の2人は笑います。

ベケット:それはジャンパーを飛ばすときに必要などんな情報でも出してくれる、ナビゲーションや武器なんか…
ルーシャス:君はこれを操縦できるのか?
マッケイ:(速く)僕も飛ばせるぞ。
ベケット:ああ、僕が開発したATA療法を受けた今はね。
     (ルーシャスに)僕は生まれつきエンシェントの遺伝子を持っていたけど。
マッケイ:そりゃないだろ。
     僕よりうまく操縦できない。
ベケット:ルーシャスに嘘をつかないでよ…!

ルーシャスが割って入るまで彼らは言い争いを続けます。

ルーシャス:二人とも、いい争いはよしなさい。
     遺伝子って言ったね?
ベケット:それは遺伝子の指紋のようなものだよ、もしあなたが望むならアトランティスのテクノロジーについては僕に聞いて。
     マッケイ博士のように遺伝子を持ってない人達にもこれらの機械を動かせるように遺伝子を注入したんだ。

彼はひとりよがりに微笑します。

ルーシャス:本当かい?
     遺伝子ねえ?
     注入ねえ?
     それは素晴らしい。

カーソンは喜びの笑顔を浮かべます。

ロドニーはルーシャスの注意を得る事に必死で干渉します。

マッケイ:本当に面白い事は何か分かる?
     (彼はコンソールの上にコントロールを示します。)
     もしここでこれを見たら…

後に。
医務室。
カーソンはスキャナーを操作しています。
ジョンは出入り口で不安そうにうろついて彼に声をかけます。

シェパード:あー、先生?

カーソンは立ち上がって彼に向きます。

シェパード:ちょっと話ができますか?

ベケット:(アシスタントに)いいかな。

ベケットはまだ仕事が片付いていないのにジョンに近づきます。
そして、ジョンが謝ってくるのを待つかのように、彼に手をかけます。

シェパード:俺が…悪かったかも知れない。

カーソンは落ち着いて、笑顔でジョンの肩に手をおきます。

ベケット:(静かに)そうかい。
     それを認める事が第一歩だ。

2人の医療スタッフが通り過ぎるときジョンはためらいます。
カーソンは人前で、こんな話をするのが恥だと感じて微笑します。
それを察して、ジョンは外に出ようと頭を動かし合図します。
二人は隣の部屋に行きます。

ベケット:ついにやってきたね?
     (二人は歩き続けながら、ジョンは肩をすくめます。)
     あのね、君がルーシャスの事を知ればすぐに彼が本当に非常に賢くて優しい…

ジョンは振り向いてジャケットからレイスのショックガンを引き抜いてカーソンを撃ちます。

ベケット:(大きな音をたて倒れ)くそっ。

彼は痙攣を起こして気を失います。
ジョンは誰かがさっきの音を聞いていないかと不安そうに見まわし、カーソンを引きずって隣の部屋に行きます。

コントロールルーム。
ロドニーは心配そうにコンソールを見ます。

マッケイ:ジャンパーベイの天井がどうして開いてるんだ?
     (彼は調べます)
     ジャンパー3が起動してるぞ。
     誰かいるのか?

技術者は自分のコンソールを見てからロドニーに向きます。

技術者:分かりません。

ロドニーはヘッドホンラジオを作動させます。

マッケイ:ジャンパー3、誰が乗ってる?

返答がありません。

マッケイ:ジャンパー3、これはフライトか?
     誰が操縦してるんだ?

返答はなく、ロドニーは技術者を指さします。

マッケイ:おい、ドアを閉じるんだ。
技術者:遅すぎます。もうベイを出ました。

ジャンパー3。
ジャンパーはステルスモードで海の上を飛びます。
内部ではカーソンが目を覚ますと彼は腕を縛られコックピットの席に座っているのに気付きます。
ジョンは彼を見ます。

シェパード:やあ、カーソン。
     手荒なまねをしてすまなかった。
ベケット:何だって?どうして…?
シェパード:メインランドに連れて行く。
     これはあんたのためだ。信じてくれ。

カーソンは戒めから抜け出そうとしてしかめっ面をします。

アトランティス。
エリザベスとルーシャスは廊下を歩いています。

ルーシャス:こんな事がよく起きるのか?
ウィアー:今までにこんな事は一度も起きた事がないわ。
     私達には、とても厳しいフライトプロトコルがあるの。
ルーシャス:彼はキーか何かを持ってたのか…

テイラが彼らに急いでやって来ます。

テイラ:ジャンパーが飛び立つ前に保安要員が、
     シェパード中佐がジャンパーベイにベケット先生を運んでいるのを見たって。
ルーシャス:それは空飛ぶ機械の事かい?

ロドニーが到着します。

マッケイ:僕のコンピュータがない!
     タブレットも2つのドライブも全部の研究も。
ルーシャス:私は君にあの男は危険だと言っただろ。
     言いたくはないが、リズ、期待はずれだったな。

取り乱したエリザベスは向きを変えて悲しそうに彼の胸に手を置きます。

ウィアー:本当にごめんなさい、ルーシャス。
     (彼女はテイラに向きます。)
     ジャンパーチームを動員して。
     彼らを見つけるのよ。
テイラ:はい。

エリザベスがルーシャスに振り返って彼のシャツをいじりだすと、テイラは急いで立ち去ります。

ウィアー:彼らは非常に優秀よ。
     必ず見つけ出すから。
ルーシャス:そう願うよ。

ジャンパー3。
夜。
ジャンパーはメインランドに上陸していました。
ジョンは咳をしながらコンピュータタブレットに取り組んでいます。
カーソンは悲しげに席に座っています。

ベケット:僕は戻りたい。
シェパード:いいや、だめだ。
ベケット:ルーシャスは僕を必要としている。
     君がこんなふうに僕を誘拐するなんて、あんまりだ。
シェパード:助けたと言ってくれ。
     たぶん、今すぐは理解できないだろう。
     だが後で分かる事になる…毒さえ抜ければ。
     (ロドニーのコンピューターを見てから咳をしてカーソンに向きます)
     ロドニーが、ルーシャスのファンクラブに入る前に奴が飲んでいた薬の成分を調べた。
     それによれば何種類かの化学物質が含まれている。
     それは体と相互作用してフェロモンに似たようなものを出す…そして次に脳のどこかにガンマ活動についての何かがある。
ベケット:(訂正し)前頭葉脳皮質だよ、積極的な感情に関して機能している脳の部分の事だ。
シェパード:そうかい?だから、あんたが必要なんだ。
     人間が近くでこのフェロモンにさらされていると大変な事になる…
     長くさらされていればさらされているほど中毒患者のようになってしまう。
ベケット:(興味を持っているように)それは、文字どおり中毒患者いう事?
シェパード:俺にはそう見える。
ベケット:(憤然として)そんな馬鹿な!
シェパード:自分を調べてみろよ。
     1年分の給料賭けてもいい、その小瓶の中の液体が奴のために集めたハーブから作られた物だって分かるから。
     奴はあんたをおかしくしたんだ。
ベケット:もしそれが本当なら、どうして君は影響を受けないんだ?
シェパード:風邪のせいさ。俺は今鼻がつまっているからな。
     それに、俺は奴の近くにはいなかった。
     なぁ、俺は奴をだましてフェロモンがなくなるまでどこかに連れていく、
     だが、奴の星の人達は奴がいないために病気になり始めている。
     だから、悪影響が出る前に。
ベケット:(ヒステリックに)もう、そうなりかかってるよ!

ジョンは少し怒ったような顔でカーソンを見つめ、それから彼の肩をたたきます。

ベケット:イタいな!
シェパード:かんばれ、カーソン!
     それほど、長い間さらされてはいなかっただろう。
     (彼はジャケットの前部をつかみます。)
     なあ、あんたにこれを打ち消す方法を見つけてほしいんだ。
     必ず解毒剤はあるはずだ。

彼らはしばらくお互いを見つめます。

ベケット:できないよ。
シェパード:いや、大丈夫さ。
     あんたならできる。
ベケット:(涙ぐんで)でも、彼は僕を必要としている。

カーソンは下を向いてすすり泣き始めます。
ジョンは信じられないといったように彼を見つめます。

ジャンパー2では
ロドニーが操縦席に着きテイラが副操縦士の席に座りロノンはその間の後ろにいました。
ジャンパーはメインランドを捜索しています。

マッケイ:もう戻るべきだ。
     何時間も捜索してるんだぞ。
デックス:手ぶらで帰るわけにはいかない、マッケイ。
マッケイ:アトランティスから遠く離れるのは好きじゃない。
     おそらくルーシャスが心配している。
     (彼はロノンを見上げます。)
     彼が心配してると思う?
ウィアー:(無線で)ジャンパー2、報告を?
テイラ:いくつかのライフサインを確認しましたが、多分アソスの狩りパーティーかも。
     それを確認しに行くところです。
マッケイ:ルーシャスは僕らの事を心配してる?
ウィアー:(振り返りながら)ルーシャスが?
     彼は元気よ。
     探し続けて。

ロドニーは悲しげに頭を振ります。

マッケイ:僕は彼と一緒にいたかった。

メインランド。
外で焚き火が燃えています。
ジョンとカーソンはジャンパーから出ています。
近くにはジャンパーは見当たりません。
カーソンはまだ前手に腕を縛られ地面に膝をついた状態でロドニーのコンピュータタブレットを持って読んでいました。
ジョンは近くに座っています。

ベケット:ちょっと待って。
シェパード:何だ?

その瞬間、ロノンのブラスターを操作する音が聞こえます。
そしてブラスターはジョンの後頭部に突き付けられます。

デックス:(脅すように)動くな。

テイラはジョンにP90を向けて木の後ろから出てきます。
ジョンは腕を上げたままゆっくりと立ち上がり始めます。

シェパード:気絶モードにセットしてあるよな?
デックス:ああ。

ジョンはゆっくりとロノンに振り返ります。

シェパード:よかった。

ジョンはロノンめがけて突進するとロノンはすぐに発砲します。
ジョンは地面に倒れます。
テイラはナイフを取り出してカーソンに近づき戒めを解きます。

テイラ:カーソン、大丈夫?

ベケット:平気だ、一度ルーシャスのところに戻らないと。

彼は嬉しそうに彼女にほほ笑むとロドニーが木の蔭から出てくるのを見ます。
ロドニーは地面に横たわるジョンを見てからロノンを見ます。

マッケイ:どうして撃ったんだ?

ロノンはじっと彼を見ます。
ロドニーは目をきょろきょろさせます。

マッケイ:これじゃジョンを担いで遠くに置いてきたジャンパーまで運ばないとならないじゃないか。

アトランティス。
ブリッジ、ジョンはフォースフィールドは張り巡らされてはいないが営倉に入れられています。
彼が営倉の中をゆっくり歩きまわっているとドアが開きルーシャスがヘッドレシーバーを装着して入って来ます。
ジョンは目をきょろきょろさせて房の真ん中の床の上に座ります。

ルーシャス:お早う、中佐。
     (近づきながら営倉のバーを示します。)
     こんな厳しい処置をした事を謝るよ。
     エリザベスがこんな事をするなんて。
シェパード:クソッタレ。

ジョンがバーに向くとルーシャスは微笑します。

シェパード:それで…あのハーブは?
ルーシャス:私の最も素晴らしい発見の1つだ。
     たった一つのね、だが認めてほしい、かなり素晴らしいものだろ。
シェパード:どうやってハーブを手に入れたんだ?
ルーシャス:私はパン屋だった。主に食パンだ。
     祝祭時における特別なマフィンをね。
シェパード:それがハーブのせいで変わったんだな。

ルーシャスはクスクス笑います。

ルーシャス:ああ。
     (彼はセルの外でイスを出して座ります。)
     そうさ、私はパンの中にハーブを入れて焼いたんだ。
     実験が好きでね。
     そしたら村人達が私が好きになり始めた事に気付いた…
     まあ、憎まれてはいなかったがまもなく皆変わった。
     それで薬を完成させたんだ。
     何年もの間万事好調にいっていた。
     そしたらレイスがハーブを手に入れる事ができる唯一の惑星に居留地を準備しだしたんだ。
     もう行く事はできないと思った。
シェパード:俺達が現われるまではな。
ルーシャス:(ほほ笑んで)これは運命だよ。
     皆が私を助けたいと望んだ、だから彼らにお願いした。
     これがハーブの素晴らしい効果だ。
     誰も傷つかない。
     彼らはいつも私に手を貸す事を望む。
     それがどうしたというんだい?
     私はナイスガイだ。
     私は決して彼らに無理強いはさせてない。
シェパード:(鋭く)6人の奥さんは?
ルーシャス:(眉を上げ意地悪くほほ笑み)時々はな。

ジョンは息を吸わないようにしています。

ルーシャス:(立ち上がり)君の風邪が治ったら、私と面と向き合って話し合いをするんだ。
     そうすれば君は私の事を一番の友だと思うだろう。
     そして私を助けようとしたがる…(ジョンににっこり笑います)…そしてそれが幸せに感じるようになる。
シェパード:警告しておくぞ、ルーシャス。
     俺に近づけばそれはお前の最後になるぞ。
ルーシャス:それは問題ない、中佐。
     私は急がないからな。
ベケット:(無線で)ルーシャス?
ルーシャス:(ヘッドホンを作動させ)はい、どうぞ、カーソン。
ベケット:注入の準備が整った。
ルーシャス:分かった、下に行くよ。
     (ジョンに)接種しに行くので失礼するよ。
     また後で話をしよう。
シェパード:お前にATA治療をするのか?
ルーシャス:そうだ。
     (頷いてジョンににっこり笑います)
     素晴らしいだろ?

医務室。
カーソンがルーシャスに予防接種を終えるとルーシャスはベッドの上に座っています。
エリザベスとロドニーは近くで心配そうにうろついています。

ベケット:これで、全て終わった。
     忘れないで、この治療は47パーセントの人間にしか効かなかったんだ。
ルーシャス:私は自然に幸運な男だから。
ウィアー:確実に知るべき唯一の方法は、何かを操作してみれば分かるわ。
ルーシャス:オーケー。

彼はベッドから出ようとしますが少しおかしい感じです。
カーソンは元に戻すようにになだめます。

ベケット:効果が出るまでに1時間はかかる。
     その間、安静にして休んでいて。

ロドニーがルーシャスを横たえるのを手伝います。

マッケイ:大丈夫か?
     何か手伝う事は?
ルーシャス:ないよ、ロドニー。
     平気だ。
マッケイ:本当に?
ルーシャス:本当だ。
マッケイ:それならいいが。
ルーシャス:食堂から持ってきてくれないか。
     青いゼリーを。
     ホイップクリームのほんの少しだけかけて。
マッケイ:すぐに。

彼は立ち去ります。
エリザベスがルーシャスの肩に置いてた手にルーシャスは手を重ねます。
ロドニーが出て行くのを見ていたエリザベスは彼の手を感じて嬉しそうにします。

ルーシャス:結婚の事を話そう。

エリザベスは喜びで微笑します。

後に。
コントロールルームで、ロドニーは興奮して喜びながら無線で皆を集めます。

マッケイ:ジャンパー1、これからフライトする。
     ベイの入口は開いている。発進してくれ。

ジャンパー1でルーシャスはパイロット席に座っています。

ルーシャス:発進する。
     (彼はクスクス笑います。)
     これは興奮するな。

カーソンは彼の肩を軽くたたいて副操縦席に着きます。

ルーシャス:ありがとう、ロドニー!
     これから、発進する。

突然ジョンがルーシャスの後ろに現われてヘッドホンをむしり取り椅子から追い出します。

シェパード:ここは俺の席だ。

ルーシャス:待ってくれ、牢屋にいたんじゃ。

ジョンはルーシャスの腕を後手に縛ります。
ルーシャスは懇願するようにカーソンに向きます。

ルーシャス:カーソン。
ベケット:無駄口をきかないように。
     あなたのフェロモンはもう僕には効かないから。

ジョンはルーシャスを縛り終えて、カーソンが立ち退いた副操縦席に押しやります。

ルーシャス:そんな、カーソン、私達は親友だろ。
シェパード:(パイロット席に着き)カーソンはATA遺伝子を注入しちゃいないんだ。
ルーシャス:何で?
ベケット:あれはハーブの化学物質を中和する解毒剤さ。
     僕もそれを打った。
ルーシャス:そんな。

カーソンは微笑してジャンパーからおります。
ジャンパーが上昇するとルーシャスはジョンに向きます。

ルーシャス:どういう意味なのか分からないんだが。
シェパード:それはあんたと面と向かって話ができるようになったって事さ。
     心配なのはあんたに俺の風邪が移るかも知れない事だな。

コントロールルーム。
皆が心配して待っています。

マッケイ:少し長くないか?
     オーケー、僕も行ってみる。

彼は部屋を去り始めます、しかしちょうどその時コンソールがビープ音を出します。

ウィアー:待って!待って!
     発進したわ!

皆は喜びの微笑を浮かべます、そして外のバルコニーに走り空をじっと見ます。

マッケイ:やった、動いた!

ジャンパーが空に上へ舞い上がるのを喜々として見守ります。

ウィアー:(空をじっと見て手を握りしめ)彼は飛んでるわ。
ゼレンカ:(チェコ語で、喜びの涙を流し)飛んでる。素晴らしい。
マッケイ:(空をほれぼれと見て)飛んでくれ、ルーシャス。飛んで。

ジャンパー1。

ルーシャス:どこに私を連れて行くんだ?
シェパード:ちょっと一休みだ。
     ベケット先生が皆に解毒剤を与えるのに十分な時間だけな。
ルーシャス:そしたらその後は?
シェパード:そしたら家に送り届けてやるよ。
     村人達はあんたを見てわくわくするんじゃないか。
ルーシャス:それは本当か?
     ハーブの効果もないのに?
     私がした事を?
シェパード:まあ、俺はナイスガイだから。
ルーシャス:おお、中佐、感謝するよ。
     どうもありがとう…
シェパード:(中断させ)村人達に解毒剤を与えた後だがな。

ルーシャスの顔は気落ちした表情になります。

ルーシャス:そんな。

アトランティス。
シェパードのチームはゲイトを通って戻りコントロールルームの階段を速足で行きます。
エリザベスとカーソンは上で彼らに会います。

ウィアー:それで、ルーシャスは?
シェパード:まあ、彼らは奴を殺さなかった、離婚はするだろうがな。
デックス:なんですぐに奴を吊るさなかったんだろうな?
マッケイ:まあ、村人達は回復してきたし、そうならなかった事が不思議だ。
テイラ:アトランティスの場所を誰かに話したら。
デックス:そん時は俺がどこまでも追いかけて、逆さ釣りにして切り刻んでやるって言っておいた…
ウィアー:ありがとう!分かったわ。

ロノンとテイラはお互いにほほ笑みます。

シェパード:(エリザベスに)それでここの皆は、もう正常に戻ったのか?

カーソンはうなずきます。
そして彼とエリザベスは恥ずかしそうに見かわします。

ウィアー:もう平気よ、ジョン。
シェパード:もうためらわないのか?奴に触られたいとは?!
ベケット:君に言われ続けると恥ずかしいよ。
シェパード:分かった、分かった。
     (彼はロドニーに向いて彼の肩をたたきます。)
     おい、相棒、次のゲイト探索に向かう前に部屋は片付けておいた方がいいんじゃないか。

彼は再び肩を軽くたたいて階段の下へと走り去ります。
エリザベスとカーソンはショックで凝視します、他方ロドニーは緊張しているように見えます。

マッケイ:そうだった。

彼は直ぐに踵を返します。
しかしテイラとロノンは行く手をふさぎ、テイラは怖い顔で見つめます。

ウィアー:(厳格に)ロドニー。

ロドニーは彼女に振り向きます。

マッケイ:それは研究目的の1つでごく小さなサンプルだ。
ウィアー:燃やして。
ベケット:全部ね。
ウィアー:今すぐに。
マッケイ:分かったよ。
     (彼はすねて目をそらします。)
     僕の人生が。

ロドニーが再びテイラとロノンが開けた道を行くと、途中でテイラに笑みを浮かべます。
テイラはあきれ顔になります。
エリザベスとカーソンは見かわし、ロドニーが歩き去るのを見ます。

おしまい。