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スターゲートアトランティス シーズン4

第61話「漂流」
4X01 - ADRIFT

意識を失ったエリザベス・ウィアーがストレッチャーに乗せられ連れて行かれます。
ジェニファー・ケラー医師は無線で指示をしながら医療補助員と一緒に走ります。

ケラー:意識がないし、瞳孔が開いてる。
    手術室とスキャナーを着いたらすぐに使えるように。

医務室のナースが無線で返答します。

ナース:準備中です。
    スキャナーを所定の位置に。

廊下で、エリザベスに取り付けられたモニターがビープ音を発します。

医療補助員:心停止です。

ジェニファーはストレッチャーにまたがってエリザベスに心臓マッサージを始めます。

ケラー:急いで!
    廊下じゃ何もできないわ!

医療補助員は医務室に向かってストレッチャーを引っ張って行き続けます。

コントロールルーム。
ロドニー・マッケイの顔にはガラスの破片で傷だらけとなり壁のスクリーンを見ています。
彼はコンソールに向きを変えて歩きます。

マッケイ:さあさあ。

彼がコンソールから別のコンソールへと移りながらチェックしているのをシェパードとテイラは見ています。

シェパード:都市のセンサーは回復するのか?
マッケイ:完全じゃないけど。
     ゆっくり再起動している。
テイラ:アポロと連絡を取れる?
マッケイ:まだだ。
テイラ:どうして?
マッケイ:唖空間通信装置がダウンしている。
     心配ない、チャックが直している。

チャックは壁パネルのボタンを押します。
彼がコンピュータタブレットを見下ろしたときパネルは爆発します。
火花が周り中に飛び散るとチャックはすくみます。

シェパード:(ロドニーに)お前が直した方がいいんじゃないか?
マッケイ:僕には他にしなければならないもっと重要な仕事があるんだ。
テイラ:アポロと連絡を取るより重要な事って?

ロドニーはコンピュータタブレットで新しい情報を見て目を丸くします。

マッケイ:そんなバカな。
シェパード:どうしたんだ?
マッケイ:パワーだ。
     パワーの大部分がなくなっている。
医務室。
ロノンはベッドに腰掛け医療補助員はロノンの肩から突き出ているガラスの破片を調べています。

デックス:引き抜いてくれ。
医療補助員:できないよ。
デックス:何でだ?
医療補助員:スキャナーで確認してからでないと、 引き抜いても大丈夫なのか分からない。
デックス:引き抜くんだ。
医療補助員:ああ、やるよ。
      タフだな。
      やりたいんなら自分でやれば、僕は知らない…

ロノンはガラスに手を伸ばします。

医療補助員:気でも違ったのか?!

その時エリザベスが運ばれてきました。
ジェニファーはまだ心臓マッサージをを続けています。
ロノンは医療補助員を押しのけ立ち上がり手術室へと運ばれるエリザベスを見ます。
ジェニファーが下りると医療補助員は手術台にストレッチャーを並べます。

医療補助員:3でいくぞ。
      いいか?
      1、2、3。

彼らはベッドにエリザベスを移します。
ジェニファーは細動除去器のパドルを掴みます。

ケラー:クリア。

皆が離れるとジェニファーはエリザベスの胸にパドルを当てスイッチをを入れます。

ケラー:もう一度チャージして。

電力室。
ゼレンカはZPMをチェックしてから別のコンソールに歩きます。

ゼレンカ:問題はここじゃないと思うね。
マッケイ:(無線で)問題なんかどうでもいい。
     知りたいのは原因だ。

科学者がコンピュータタブレットをラデクに持って来ます。
彼はそれを見ます。

ゼレンカ:配線だよ。

コントロールルームで、ロドニーはうなります。

ゼレンカ:メインの配線がビームによって焼き切られたんじゃないか。
マッケイ:分かった、つまり僕らがしなきゃならないのは…
ゼレンカ:そう、そう。君が…
マッケイ:直ぐにシャットダウンして…
ゼレンカ:そうだ。
     僕も同じ事をする。
シェパード:待ってくれ。
      何があったんだ?
マッケイ:(別のコンソールに急いで移り)パワーが秒単位で失われている。
     僕に任せて、大丈夫だから。

医務室。
ジェニファーはエリザベスに心臓マッサージをしています。

ナース:(モニターを見て)変化なしです。
ケラー:マンニトール(脳圧降下剤)を点滴で200cc

コントロールルーム

シェパード:何が起きてるのか説明しろ、ロドニー!
マッケイ:早い話ショートしたんだ。
     今まで使われたなったシステムがある。
     最新の情報だとそこから都市のパワーが漏れてるんだ。
テイラ:止める事はできないの?
マッケイ:ちょっと…待って…あー… 多分できる。

彼は別のコンソールに行ってタイプし始めます。

医務室。
ジェニファーは再び手でエリザベスに心臓マッサージをしています。

ケラー:お願いよ。

コントロールルーム。

ロドニーはタイプし続けます。

マッケイ:ほら、さあ。

医務室。
医療班がエリザベスに治療を続け、モニタは彼女の心臓の波形を示しています。

ケラー:時間は?
ナース:2分間心停止しています。
ケラー:お願いよ、あなたは必要な人なの、エリザベス。
    (心電計はビープを出して急流に変わります。)
    心室細動よ。
    (細動除去器のパドルつかみ)
    もう一度ショックを。
    クリア。

彼女はエリザベスに除細動をかけます。
波形は通常の波形へと戻ります。

ケラー:やったわ。
    よかった。
    スキャンを。

医療補助員はスキャナーをエリザベスの頭の上に動かします。

ナース:ケラー先生?

ジェニファーはスキャナーのデータを見ます。

ケラー:良くないわ。
ナース:脳圧がかなり上がっています。
ケラー:それが意識のない原因ね。
ナース:ええ、そうですね。
ケラー:ニモジピンを投与して。
    3mg、Q4Hを、血圧に注意して。

コントロールルーム。

マッケイ:ダメだ!
     コントロールから外れている。
     ここからじゃシステムをシャットダウンできない。
     このままじゃタダモレだ!
シェパード:手動でシステムをシャットダウンできないのか?
マッケイ:時間がない。
テイラ:やってもみないで?
マッケイ:そうだな、分かった。
    (無線を作動させ)
     ゼレンカ、何人かチームを集めてくれ。

医務室。
ジェニファーとナースはエリザベスの脳のスキャンを見ています。

ケラー:意識が戻らない。
    彼女を失うかもしれない。

コントロールルーム。

シェパード:部下を同行させよう。
      5分で準備ができる。
      時間はどうだ?
マッケイ:分からない。
     残っているパワーもほとんどなくなった。
     夜を過ごせるかどうかも怪しいもんだ。

後に。
ロドニーが壁パネルで作業し続ける中、ジョンは近づき誰にも聞かれないように小声で話しかけます。

シェパード:聞いてくれ。
マッケイ:(彼に向き)何?
シェパード:俺に相談もしないで色々やってるようだな。
マッケイ:(少し憤然として)悪かった、でも緊急事態だ。
     行動は早く起こさないと。
シェパード:分かってる、だがエリザベスが・・・いない今、 言いたくはないが…

ロドニーは彼が何を言おうとしているのか理解して静かに答えます。

マッケイ:君が指揮権を持ってるんだったな。
     悪かった。
シェパード:報告ぐらいしてくれ。
マッケイ:(コンソールの方に向き)分かった。
     あとでメモを渡すよ。
シェパード:それは何だ?
マッケイ:あー、走り書きのメモだ。
シェパード:どうして言わなかった?
マッケイ:あー、気にしないで。
     ランティアから脱出した時、レプリケーターの人工衛星ビームにかすめられただろ?
     タワーの側面に被害を受けた、そのために多くの電力線が寸断された。
シェパード:それで?
      別回線で送ればいいだろ?
マッケイ:そんなに簡単な事じゃないんだ。
     ゼロPMはタワーのベースにある。
     そのメインの配線にビームが当たったんだ。
     だから別回線なんかないんだ。
シェパード:それで都市の一部にパワーが送られないのか?
マッケイ:そうじゃない。
     損害を受けただけで、断線したわけじゃない。
     複雑なんだが、水漏れが起きているパイプを想像してみてくれ?
シェパード:オーケー。
マッケイ:そのパイプに水を汲み上げても水は漏れてしまうだろ?
シェパード:(いらいらして)例え話はいい、殴るぞ。
マッケイ:悪かった。
     都市は自己管理しているが、
     漏電のためにパワーが一番外側の埠頭にまで届いていないとしても修復はできない。
     すると漏れの分を補おうとゼロPMの出力は上がってしまう。
     そしてパワーは末端まで供給される。
シェパード:それが悪い事なのか。
マッケイ:いや、正常だ。

ジョンはイラ立ってため息をつきます。

マッケイ:まあ、そうじゃなきゃシールドは失われ、空気がなくなる。
     全員死ぬことになる。
シェパード:オーケー。
マッケイ:現在必要のないシステムがパワーを求めている。
     このまま何もしなければ致命的なパワーを失う事になる。
     でも不要なシステムがシャットダウンできれば、
     ゼロPMの出力を最小限に抑えられる。
     差し迫ったこの状況を伸ばすだけの事だ…1時間ぐらいね。
シェパード:それで、どういう状況なんだ?
マッケイ:まあ、チームはガンバッてるよ。
     不要なシステムの60パーセントはシャットダウンした…

アラームが鳴ります。

マッケイ:何だ?

ロドニーとジョンは壁のスクリーンのところにいるチャックに歩きます。

テイラが彼らに合流します。

マッケイ:何が起きたんだ?
チャック:都市の外の建物の人工重力がシャットダウンしました、減圧しています。
テイラ:どうして都市がこんな事を?
マッケイ:シールドを小さくして、パワーを節約しようとしてるんだ。
シェパード:そこには人を送ってるぞ。
     (無線を作動させ)
      マシューズ、すぐにタワーに戻れ。

遠い廊下で、マシューズと2人の科学者が壁パネルを直していました。
彼は無線を作動させます。

マシューズ:まだ終了していません。
シェパード:都市のシールドがもたない。
      そこから戻るんだ!
マシューズ:(科学者に)聞いたな。
      行くぞ!

科学者は装置を手放し、三人は走り始めます。

コントロールルームで、皆が壁のスクリーンでその状況を見ています。

テイラ:(小さな声で)間に合わないわ。
シェパード:(ロドニーに)止めるんだ。
      なんとかできないのか!
マッケイ:都市はシールドを小さくしないと維持できないと思っている。
     もし止めたら完全に崩壊する。
シェパード:構わない。
      優先しろ!
マッケイ:僕には無理だ。

都市の外側のエッジで、シールドは中心に向かって縮小し始めます。
シールドの有効範囲が狭まると、隔壁が自動的に閉まります。
マシューズと科学者は階段を走り降ります。

マシューズ:(無線に)もうすぐだ。

コントロールルームで、
壁スクリーンがマシューズと科学者の三人を現す3つの点をクローズアップしるのを他の者たちが見守ります。
シールドのエッジは彼らの後ろから迫ってきます。

シェパード:あいつらが死んでしまうぞ、マッケイ!
マッケイ:(怒って、半狂乱で)そんな事分かってるよ!
マシューズ:(無線で)重力が停止しました!

廊下で、マシューズ達は無重力で浮かび、シールドが彼らの後ろから通り越して行きます。
ロドニー、ジョン、テイラはスクリーンに映る三人の点が次々に消えるのを目を丸くして見つめます。
スクリーンにはすぐに「生命反応消滅」と表示されます。
ジョン、ロドニー、テイラは数秒間悲しそうにスクリーンを見つめます。

シェパード:他のチームに急ぐように言ってくれ。
      これ以上犠牲はだせない。

彼は向きを変え無言で出て行きます。

ミッドウェイ宇宙ステーション。
ステーションはほとんど完成に近い状態です。
骨組みであったステーションは今や壁が張り巡らされています。
内部では、スターゲイトから下へと下りるためのタラップが固定されています。
中は重力状態でサマンサ・カーターはコンピュータタブレットを持って向きながら、壁に様々なコンソールパネルが取り付けられたステーションの中央に向かって慎重に移動します。
ビル・リーはサマンサの行こうとしている部屋の壁で何かをしていました。

カーター:ねぇ、フラッシュドライブから重複データを削除したの?
     ビル?ビル?

その時、ビルはエチケット袋の中に激しく吐き出しました。
ビルは袋の口を閉じ謝ります。

リー:ごめん。
カーター:(しかめっ面をして)本当にもう。
リー:無重力状態のせいで。
カーター:地球に戻ってもいいわよ、てりと 誰か他の人に代ってもらうから。
リー:いや、無重力状態に慣れれば元に戻るよ。
   えーと、フラッシュドライブがなんだって?
カーター:毎回ソフトウェアのアップデートをするたび、ドライブを…

スターゲイトの稼働する音がします。
サマンサは二つのゲイトをモニターしているスクリーンを見ます。
左右に並んだゲイトの映像で右側のゲイトが稼働します。

カーター:ペガサスのゲイトが稼働しているわ。
エリス:(無線で)こちらエイブ・エリス大佐、アポロの指揮官だ。
    ミッドウェイステーション、応答願います。
カーター:エリス大佐、こちらサマンサ・カーター中佐です。
     只今ミッドウェイステーションにいます。
     状況はどうでしょう?

エリスはアポロのブリッジに立っています。

エリス:我々が分かってるのは、アトランティスはレプリケーターのビームを回避し、
    ハイパースペースに入ったところまでだ。
カーター:それだけですか?
エリス:彼らは前もって決めておいた合流地点にはいない。
カーター:本当ですか?
     合流地点に間違いありませんか?
     だったらどうやって、ここにダイヤルしたんですか?
     M12-578にはゲイトは無いはずでしょ。
エリス:彼らが君に連絡をしたのかと思い、一番近くのゲイトにジャンプしたんだ。
カーター:残念だけど、知りません。
エリス:悪いことが起きたのかも。
カーター:いいえ、そんなはずは。
エリス:元の場所に戻る、1時間後にダイヤルする。
    もし彼らから連絡が入ればすぐにでも連絡する。
カーター:そう願うわ。
エリス:アポロ、アウト。

アトランティス。
シールドが都市の外周部を覆わない状態で宇宙空間を飛んでいます。
医務室で、ロノンは肩からガラスの破片を取り除かれ点滴台を持ちながら歩いてきます。
そして、腕を組み2人の医療補助員が手術室を映すモニタを見ている後へと近づきます。
前にロノンの治療に当たっていた医療補助員は彼を見ます。

医療補助員:おい。
      まだ寝ていないと。

ロノンは彼を見てからモニタを見ます。
モニタにはエリザベスの顔が上から見た映像が映っていました。

デックス:彼女はどうなんだ?
医療補助員:脳が腫れている、これ以上腫れると危険だ。
      これ以上悪化すれば、頭蓋骨を開く必要がある。
      頭蓋を取り除くことによって脳の圧迫を弱めるんだ。

ロノンは心配そうにモニターを見つめます。
エリザベスのオフィス。
ジョンはドアのところに立ち部屋の中を見ています。
ロドニーがやって来て彼に近づきます。

マッケイ:彼女はどうなんだ?
シェパード:まだ手術室にいるよ。
      まだ情報は入ってきてない。
マッケイ:そうか。
     聞いてくれ、シールドをタワーに集中させるべきだと思うんだ。
シェパード:ほとんど無防備になるぞ。
マッケイ:ああ、その通りだ、だがパワーが残り少ない。
     他に方法が見つからない、このままだと今日中に終わりになっちまう。
シェパード:分かった。
      ゼレンカと調べてくれ、科学者チームに説明して。
マッケイ:もう言ってある。
     準備はできている。

彼らはコントロールルームへと歩いて行きます。

シェパード:分かった。
      やるべきことやってくれ。
マッケイ:オーケー。
    (コントロールルームにいる科学者チームを見ます)
     いいぞ。

科学者達は作業へと移ります。

宇宙空間で、アトランティスを覆っていたシールドはすぐに中央のタワーへと収縮します。

医務室。
手術室で、エリザベスに繋がれた装置を全員で監視したり操作しています。
ジェニファーがエリザベスを見ているとナースが彼女に報告します。

ナース:カルシウム拮抗薬の効果があまりでていません。
ケラー:彼女の脳圧は?
ナース:35です。
ケラー:40にするわけにはいかないわ。
    仕方がないわ、頭蓋骨切除の準備に入るわよ。

手術が始まります。
ナースがエリザベスの髪をバリカンで剃り落としている間、ジェニファーは別の看護師に手術着を着せられます。
エリザベスの髪が剃り落とされるとナースが彼女の頭に固定金具を取り付けます。
後に、ジェニファーはエリザベスの頭骨にドリルで穴を開けます。
削り取った骨を外しているとビープ音が鳴り響き、ナースはモニターを見ます。

ナース:脳圧低下、29です。
ケラー:できれば25まで下げたいわ。

コントロールルーム。
誰かがゲイトルームの床に散らばっているガラスを掃除しています。
ロドニーは誰かが持って来たコンピュータタブレットを見ながら近くに立っています。

マッケイ:ふむ。
     いいよ。

男が歩き去ると、ジョンとテイラが入って来てロドニーに近づきます。

マッケイ:いいところに。
     いい知らせが2つある。
     1つ目は、僕らのいる場所が特定できた。
テイラ:ゲイトが使えるって事?
マッケイ:残念だが、だめだ。
     ゲイトを使うには宇宙空間の特定の場所に留まらないと。
     アトランティスは速く動いてるから。
シェパード:亜光速ドライブを使って速度を落とせないのか?
マッケイ:そりゃ、もし動けば出来るけど、亜高速ドライブとナビゲーションは使えない。
シェパード:それが「いい知らせ」なのか?
マッケイ:少なくともどこにいるのか分かったんだから、いいじゃないか?
     2つ目は、ハイパードライブは壊れていなかった。
テイラ:それならどうしてハイパースペースから出てしまったの?
マッケイ:パワー導管が破損したせいだ。
     燃料はあっても、エンジンに流れていない。
     それで止まった。
シェパード:それじゃ導管を修理すればハイパースペースに入れるのか?
マッケイ:できるとは思う。
     でも着陸してシステムを停止しないと、完全に修理することはできないよ。
     でも応急処置ならできる。
     ゼレンカのチームが全力でやってるよ。
     問題は、まだパワー漏れが直ってない。
テイラ:こんなに省エネしてるのに?
マッケイ:残念だけど、そうなんだ。

彼はモニタにパワーレベルを示すイメージを呼び出します。
上の三分の一が赤で、下三分の二が緑色です。
そして緑の範囲内に線が引かれています。
ロドニーはその線を指します。

マッケイ:ここがハイパースペースにジャンプするのに必要な最小量パワーだ。
     一時間以内にパワー導管を修理しないとこのラインを割ってしまう。
     そうなればここに立ち往生だ。
     多分30時間後にシールドがなくなり真空状態になって窒息死だ。

シェパードの目は真剣なまなざしになります。

医務室。
ロノンはベッドに横にはなっていましたが目は覚めていました。
ジョンが中に入ってきます。

シェパード:大丈夫か?
デックス:ああ、平気だ。
     ガラスは全部取り除いたからな。
シェパード:それは良かった。
デックス:俺が必要なのか?
シェパード:もう少しここで大人しくしててくれ。
デックス:そうか。
     いつでも準備はできてるからな。

ジェニファーが手術室から出てきてジョンを見ます。

ケラー:中佐?

ジョンは少しの間いやそうに彼女を見てから近づきます。
彼女は彼の肩に手をかけて部屋にいる者に聞かれないよう場所を移します。
彼らは医療補助員が手術後のエリザベスを看ている手術室のモニタに歩きます。
一人は包帯をエリザベスの頭に巻いています。

シェパード:彼女は?
ケラー:生きてはいるわ、でも状態はよくない。
    肋骨が六本折れて両方の肺をつぶしてしまった。
    奇跡的に背骨にはなんの損傷もなかった、でも頭をかなり激しく打ったようで。
    脳浮腫のため深刻な脳障害を起こすかもしれない。
シェパード:それはどういう意味だ?
ケラー:確実とは言い切れないけど、もし彼女が助かっても…元のエリザベスには戻れないかも。

ジョンはコンピュータ・スクリーンを凝視します。

ケラー:ごめんなさい。

ジョンはコンピュータ・スクリーンを凝視し続けます。

ケラー:あそこに戻らないと。
    人手が足りなくてね。
    ほとんどがアポロの方に行ってるから。

ジョンはスクリーンから目を離さずに理解したかのように頷きます。
しばらくすると彼はちらっとジェニファーを見てからスクリーンに振り返ります。
ジェニファーは歩き去ります。

電力部屋。
ラデクと同僚がコンピュータタブレットを見ながらZPMのコンソールを覗いているとロドニーがやってきます。

マッケイ:どんな塩梅だ?
ゼレンカ:ああ、なんとかなりそうだ。
マッケイ:(嬉しそうに驚いて)本当か?
ゼレンカ:ああ、そうだ。
     第二の導管からクリスタルを外してメインのインターフェースに接続すれば、
     まあ、うまくいきそうだ。
     もし現在のペースを維持できれば必要なパワーを落とさずに、ハイパースペースに入れる。
     アポロに出会えるだろう。

ロドニーは驚いて。

マッケイ:そりゃ結構だ!
ゼレンカ:(ほほ笑んで)うん!
     そうだろ嬉しいだろ。
マッケイ:(ほほ笑んで)嬉しいって?!
     このままいけば可能性は開けるんだ!
     有頂天にもなるさ!
     少しは…
チャック:(無線で):シェパード中佐、マッケイ博士。
     至急コントロールルームに出て来てください。

ロドニーの笑顔はあせて行きます。

マッケイ:手伝って…なんだ、ちょっと?

意気消沈して彼は向きを変えて出て行きます。

コントロールルーム。
ジョンとロドニーが入って来て中国人の技術者に近づきます。

技術者:これを見てください。

彼らはスクリーンを見ます。

シェパード:これは何だ?
マッケイ:小惑星帯か?
シェパード:亜高速ドライブはまだ使えないのか?
技術者:はい。
シェパード:(ロドニーに)シールドを拡大した方がいいんじゃないのか?
マッケイ:パワーが足りないんだ!
シェパード:(技術者に)着くまでにどれぐらいかかる?
      それと通過するまでの時間は?
技術者:およそ10分で着きます。
    通り抜けるまで2分ほどです。
シェパード:2分?
      小惑星帯を通り抜けるのに?
技術者:ど真ん中を通過するわけじゃないので、 端の部分を通過する事になります。
シェパード:(ロドニーに)二分程度ならシールドを全開にできないか?
マッケイ:個人的には君と思いは一緒だよ。
     でもパワーに全くに余裕がない。
シェパード:(スクリーンを指し)ロドニー!
マッケイ:ゼレンカが後45分でパワー導管の修理を完了するんだ。
     もしここで一分でもシールドを使ったら時間の無駄になるんだ。
     そんな事はできないよ。
シェパード:そうか。
     (彼は急いで考えながらスクリーンを凝視します)
      どのぐらいの大きさなんだ?
マッケイ:ちょうど今はかなり大きな太陽系の真ん中にいる。
     おそらく惑星が作られる前かできそこないだと思う
     …ビルディングぐらいかそれ以上か?
シェパード:制御椅子に座ってドローンで進行方向を吹き飛ばしたらどうだ?
マッケイ:そりゃ考えとしては悪くない。
     でもチェアルームはシルードの外にある。
     行く事はできないよ。
     僕らができる事は…何かないか…
     僕らにできる事…

彼は何も思いつかず次第に声が小さくなります。

シェパード:ここにエンシェントの遺伝子を持っているのは何人いる?
マッケイ:20人ぐらい。

彼は突然ジョンが何を考えているか悟ります。

マッケイ:おい、だめだ。
     そりゃよくない。
シェパード:他に良い考えがあるのか?
マッケイ:あるさ。

彼は激しく考えながらジョンに対して指を向けます。
ジョンは顔を向けて待ちます。

マッケイ:やっぱ、ない。
     少し時間をくれ。
     もし君が…

ジョンは向きを変えて歩き去ります。

シェパード:エンシェントの遺伝子を持っている者に連絡を取ってくれ。
      ジャンパーベイに集合させるんだ。

ロドニーはアイディアが浮かばなかったために技術者に向きます。

マッケイ:やってくれ。

ため息をついて彼は階段に行くジョンの後に従います。

ジャンパーベイ。
ジョンはそこに集まった皆に状況を説明しています。

シェパード:…つまり十分なパワーがないためシールドが使えない。
      都市の行く手を開けないと都市は壊滅する。
      そこでだ、全てのジャンパーを動員してドローンで行く手をきれいに掃除するんだ。

パイロット、科学者、医療補助員達は気が進まず不安そうな顔をします。
以前にロノンの治療にあたった医療補助員が手を上げます。

医療補助員:いいですか。
      僕は二度しかジャンパーを飛ばした事がありません。
      それに一度もドローンを発射したこともないんです。
シェパード:シミュレーションではやっただろ?
医療補助員:ええ、まあ、でも…
シェパード:基本的には同じだ。
      マッケイにできるんなら、お前さんもできる。
マッケイ:ああ、それについては実際、僕は…
シェパード:(話しを遮り)いいか、これがどれだけ危険なのか百も承知だ。
      君らが経験不足なのも分かってる。
      だがこれしか方法はないんだ。
      でなければ…

彼の声は次第に弱まります。
ロドニーは彼が正しいことを悟って言葉を継ぎます。

マッケイ:…死ぬ事になる。
シェパード:さあ行くぞ。

彼は最も近くのジャンパーに近づきます。
ほかの皆もベイの中に散会します。
それぞれがジャンパーに乗り込みパイロットの席に入ります。
何人かは緊張しているように見えます。
皆が乗り込みヘッドアップディスプレイがそれぞれのジャンパーのフロントガラスの上に生じるとジョンは無線で話しかけます。

シェパード:いいか皆のためにフライト形態はプログラムしてある。
      指定された位置で待機し、目の前の障害物を排除しろ。
      ドローンはフル装填されている、弾薬の心配はない。

ロドニーはヘッドアップディスプレーを見ます。

マッケイ:昔のビデオゲームみたいだな、アステロイドっていう。
シェパード:まあ、そんなもんだ。
マッケイ:僕はアステロイドは苦手だったんだ。
     前には0点だった。
シェパード:もう方法はないんだ、やるしかな。

ロドニーはその言葉に慰められたようには見えません。

シェパード:いいか、皆、行くぞ。
      ジャンパーベイを開けろ。

天井のアイリスが開きます。
そして一機ずつジャンパーが飛び立ちシールドを飛び出し都市の前方にある小惑星帯に向かっいます。
ジャンパーの数は15機はあります。
彼らはフォーメーションを作ります。
ジョンがヘッドアップディスプレーを見るとフォーメーションのラインが滅茶苦茶です。

シェパード:おい、みんな、フォーメーションを維持しろ。
      隙間を埋めるんだ。

ゆっくりとジャンパーは一直線に並びます。

シェパード:そうだ、いいぞ。
      難しくないだろ?

コントロールルームからテイラが報告します。

テイラ:ジャンパー、射程内に入ります、3、2、1。
シェパード:撃て!

ジャンパーは近づいてくる小惑星に発砲し始めます。
ドローンは小惑星に当たり爆発し始めます。

シェパード:いい腕だな、みんな。
マッケイ:数が多すぎるよ。
     それに速すぎる。
     全部は無理だ。
シェパード:分かった、倍にするぞ。
      一度に4発だ。
マッケイ:同時に4つもドローンをコントロールなんかできないよ!
シェパード:集中しろ。

不安そうにロドニーは4つのドローンを発射します。
3つが当たり3つの小惑星が爆発します。
撃ちそこなった大きな小惑星が彼のジャンパーをかすめて行きます。

マッケイ:くそっ!
シェパード:心配するな。
      全部撃ち落とせるわけがないのは分かってるんだ。

彼らは小惑星を爆破しながら撃ちそこなった小惑星をよけて飛びます。
コントロールルームで、テイラは技術者を見ます。

テイラ:通過できるようになった?
技術者:じきに分かりますよ。

宇宙空間で、ジャンパーは小惑星帯の終わりに近付きます。

マッケイ:今のは何だ?
シェパード:俺が撃った。
      お前とボルトンとレビンはフォーメーションから外れて、
      都市に戻り撃ちそこなったのをなんとかしろ。
マッケイ:(不安そうに)おい、それは荷が重すぎるよ。
     誰かほかの人に替ってくれ…
シェパード:行け!

ロドニーと他2機のジャンパーは反転して撃ちそこないに発砲します。

レビン:マッケイ、左側に大きのがあるぞ。
マッケイ:見えてるよ。
レビン:10秒で衝突するぞ。
    大きな小惑星が中央タワーを目指して進んでいます。

ロドニーは集中してジャンパーで追いかけ2機のドローンを発射します。
二つとも命中し小惑星はロドニーのジャンパーの目の前で砕け散ります。
一瞬砕け散った破片で視界をふさがれたロドニーは身をすくめます。
視界が開けるとタワーにぶつかる直前にコントロールを掴んで垂直上昇をしてよけました。
ロドニーは安堵のため息をつきます。

コントロールルームで、すぐ近くで聞こえてくる音にテイラを含め皆が見上げます。

テイラ:(不安そうに)あれは?
技術者:砕け散った破片でしょう。

より大きな何かが都市とタワーに衝撃を与えます。

テイラ:小さくはなさそうね。
技術者:(コンソールをチェックし)都市の外縁部で損害が出ています。
テイラ:それ以上ないといいんだけど。

宇宙空間で、シェパード率いるジャンパーは小惑星を爆破し続けます。

シェパード:いいだろう、俺たちはおしまいだ。
      今度は戻って撃ちそこないを始末するぞ。

コントロールルームでは、タワーを揺さぶる振動に皆が見上げています。
技術者は再びコンソールをチェックします。

技術者:成功です。
   (皆を見回し)
    うまく行ったようです!

ジャンパーベイ。
最後のジャンパーが格納されると、ジョンは自分の船から降りてロドニーの船に行きます。
ロドニーが船から出てきます。

マッケイ:こんなにうまく行くなんて信じられないよ!
     すごかっただろ!
シェパード:うまかったよ、ロドニー。
マッケイ:ああ!
     ゼレンカ達も修理が終わってるはずだ。
     危機は乗り越えたと思う!

彼は嬉しそうに微笑します。

技術者:(館内放送で)シェパード中佐、マッケイ博士。
    至急コントロールルームに。
マッケイ:(憤然として)なんだよ!

2人は歩きだします。

コントロールルーム。
ジョンとロドニーは階段を降りて来ます。

シェパード:一体何事だ?
テイラ:ハイパードライブが使えないの。
シェパード:前は大丈夫だったろ?
ゼレンカ:そうなんだけど、大きな小惑星の破片が都市にぶつかった。
     それで制御盤の1つが破損したんだ。
     直すまでジャンプできないね。
マッケイ:(悲しげにジョンに)言っただろ、僕はアステロイドが苦手だって!

後に。
ジョン、ロドニー、ラデクは廊下を歩いています。

マッケイ:破損した導管は残念な事にシールドの外、それも外縁部だ。
ゼレンカ:トランスポートで近くまで行けるけど、 宇宙遊泳が必要よ。
シェパード:それならいいじゃないか。
マッケイ:はぁ!
     小さな破片が飛んでるんだよ。
シェパード:それが?
マッケイ:小惑星帯を通って来たんだ。
     大きいのは通り過ぎたが、まだ銃弾サイズの石が飛んでる。
シェパード:小さい弾丸か。
マッケイ:そう、分かってくれた?
ゼレンカ:で、君が行くのか?
マッケイ:お前の方が修理には詳しいだろ。
     僕だと時間がかかっちまう。
シェパード:時間っていえば、どのぐらい余裕があるんだ?
マッケイ:まあ、15分ぐらいかな?
シェパード:そんだけか?
マッケイ:もし修理が済んでなかったらパワー消費速度を遅くしていなかったら、
     とっくに時間切れだぞ。

彼らは宇宙服のある棚に着きます。
ジョンはヘルメットを取り出します。
ラデクは不安そうにスーツを見つめ少し距離を置きます。

マッケイ:なあ、お前なら大丈夫さ。
ゼレンカ:(いやいやながら)分かったよ。

まもなくその後。
ロドニーはコンピュータタブレットを操作しながらタワーを目指して進んでいます。
ジェニファーが階段を降りて来て彼のところに走ります。

ケラー:マッケイ!
マッケイ:ん?
ケラー:探してたのよ!
マッケイ:色々と都市を何とかしようとしてたんだ。
     それより、エリザベスは?
ケラー:それを話したかったの。
    危険な状態よ。
もう長くは持たない、私達も手を尽くす術がないわ。

マッケイ:(ショックを受け)そんな。
     それは間違いないのか?
ケラー:考えられる事は全て手を尽くしたわ、でも何の効果もなかった。
マッケイ:彼女は…死ぬのか?
ケラー:一つアイディアがあるんだけど、あなたの助けが必要なの。
マッケイ:僕の?
     何をだい?

まもなくその後。
ジェニファーはラップトップを開いてロドニーに映像を見せます。

ケラー:分かる?
マッケイ:これは何だ?
ケラー:前にウィアー博士がレプリケーターに攻撃された時、彼女を感染させたのを覚えてるでしょ?
マッケイ:ナノナイツか。
     カーソンが電磁パルスを使って不活性化した。
ケラー:でもまだ彼女の中で動いてるの。

ロドニーは驚いて彼女を凝視します。

マッケイ:君は天才だ!

ジェニファーは無頓着に肩をすくめます。

ケラー:彼女を救いたいだけよ。

ロドニーはうなずいてラップトップにタイプし始めます。
少し後に、ロドニーは無線でジョンに話をします。
ジョンはすでに彼の宇宙服を着ています。
そして2人の男達がラデクにヘルメットをかぶせています。

シェパード:何だって?!
マッケイ:ウィアーのナノナイツを復活させてくれ。
シェパード:それはダメだ、問題外だ。
マッケイ:何で?
     再プログラムすればいい。
シェパード:ダメだ!
マッケイ:ジョン、このままでは彼女を失ってしまう。
     ケラー達はできる限りの手を尽くしたんだ。
     もしナノナイツを再プログラムできれば彼女の体も脳も直せる…
シェパード:それは「もしも」の話だろ?
マッケイ:僕は再プログラムにはかなり自信がある、必要な部分だけ…
シェパード:「かなり自信がある」?
      ならもし他のレプリケーターと通信を開始し始めたらどうする気だ?
      俺たちの目の前に現れるのはロボット軍艦だぞ。
マッケイ:話を聞いていなかったのか?
     再プログラムで排除すると言っただろ、完全に無害にできる。

ジョンは頭を振ります。

シェパード:「確実にできる」と言えるまで、この話はしたくない。
      俺だってエリザベスを救いたい。
      だが彼女だって自分のために都市を危険にさらすのは望まないだろう。

ロドニーはジョンが正しいことを知って悲しげにジェニファーを見ます。
しばらくして彼は再びタイプし始めます。
ラデクはジョンに近づき肩に手をかけ準備ができた事を知らせます。
彼らはトランスポートに入ります。

ゼレンカ:正しい選択だよ。
シェパード:ああ、そう願うよ。

ラデクは壁のスクリーンを押します、トランスポートの入口は閉まります。

ミッドウェイ宇宙ステーション。
重力は制御されています。
ビルはサムに近づきます。

リー:アポロからの連絡は?
カーター:まだ何も。
     彼女はコンソールに行って座ります。
リー:あー、何をしてるんだい?
カーター:アトランティスを見つけるか、連絡を取る方法をね。
リー:多分、彼らはコースを外れたんじゃないかと思うんだが?
   アトランティスがハイパードライブを最後に使ったのはいつ?
   百万年前ぐらいだろ?
   その間に何らかのトラブルが起きていたとしても?
カーター:私はハイパースペースから出るのが早すぎただけだと思ってる。
     たった一つのZPMで飛んだのよ。
     多分マッケイがパワーの計算を間違ったのよ。
リー:マッケイか… いずれにしても彼らを見つける方法はあるよ。
カーター:本当に?
リー:ええ。
   全ゲイトに検索をかけるんです。
   非常警報のように、スターゲイトだけに。
カーター:(疑って)そんな!
リー:いや、いや、本当です!
   プログラムを作って、すぐにペガサス銀河全てのゲイトに発信するんです。
   そうすればアトランティスと無線で連絡をとれる。
カーター:でもアトランティスのゲイトは座標が分からないのよ。
リー:その通りです!
   しかしもし彼らがどこかのゲイトの近くにいれば…
カーター:…それなら今までに私達に連絡を取ったはずよ。
リー:(長い間の後に)…ええ。
   それじゃ、他にアイディアは?
カーター:まだ、何も、でも…
リー:(憤然として)少なくとも試す価値は!
   一つぐらいあってもいいでしょ…

サムの表現を見て彼は次第に言葉を弱めます。

リー:すみません。

アトランティス。
ジョンとラデクはゆっくりと廊下を歩いています。

ゼレンカ:驚いたね。
     このエリアは損害が最も少ない。

ジョンはコーナーに着いて見回します。

シェパード:違うみたいだな。

ラデクはコーナーに着いて見ます。

ゼレンカ:そんな。

彼らは角を曲がって少し前へ歩きます。
壁はもぎ取られ、向こうの端まで渓谷のようになっていました。
およそ百フィート、彼らの前には隣りのタワーまで引き裂かれていました。
2つのタワーの間にあった通路が小惑星によって壊された跡でした。

シェパード:多分、配列版はあそこだろう。
ゼレンカ:怖いよ。
シェパード:そうだな。

二人が立っている脇をものすごいスピードで何かが飛んできて後ろの壁に当たります。

シェパード:何だあれは?!
ゼレンカ:ミイクロ小惑星だよ。
シェパード:へえ、そうか。
      よし、あそこまでジャンプする必要があるな。
ゼレンカ:でも百フィートも跳び越えられないよ!
シェパード:おい、ここは宇宙空間だぞ?
      そんなに遠くはないさ。
シェパード:この鎖でお前と繋ぐぞ?

彼はスーツから鎖を取り出しラデクのスーツにつなぎます。

シェパード:それでブーツの電磁石を解除する…

彼はラデクのスーツのスイッチを切り替えます。
ラデクは床から浮き始めます。
彼は不安そうにハッと息をのみます。

シェパード:…そして、お前さんを投げる。
ゼレンカ:待って!
     何で?!
     どうして?!
シェパード:俺のブーツの電磁石も解除すれば鎖が引っ張られるだろ。
      お前の引っ張られて慣性の法則によって二人ともあっちに着く。
      簡単な理屈だ。
ゼレンカ:でももし失敗したら?
シェパード:俺を信頼しろ、博士。
      うまく投げられるのをな。
ゼレンカ:面白そうね。
シェパード:いいか、行くぞ。

彼はラデクを押し出します。
ラデクが反対側のタワーに向かって進みだすとジョンは床を蹴って彼の後に続きます。
彼らは反対側のタワーに向かってゆっくりと漂流しなんとか向こう側に着きます。
ラデクはゆっくりと壁に突き当たり手で壁を押さえます。
ラデクは驚いた顔でジョンに振り向きます。

ゼレンカ:信じられないよ!
シェパード:仕事に取りかかるぞ。
ゼレンカ:了解。

ラデクは上に手を伸ばしてスーツに繋がれている小さな道具箱を引き寄せます。

研究室。
ロドニーが二台のラップトップの前でモニタを見ているとジェニファーが入って来ます。
彼はキーボードから手を外しもう一台を見ます。

ケラー:どんな調子?

ロドニーはしかめっ面をします。

マッケイ:まあまあだ。
ケラー:ナノナイツを安全に復活させる方法が見つかった?
マッケイ:簡単に言うと、イエス。
     だけど、完全じゃない。
ケラー:何で?
マッケイ:ナノナイツを復活させてエリザベスを元通りに治す事は百パーセントできる。
ケラー:それで…
マッケイ:問題は、彼女の損傷した細胞とナノナイツが置き換わる。
     その瞬間にナノナイツを不活性化させると…
ケラー:…細胞が不活性かして彼女は死ぬ。
マッケイ:ああ。
     いいニュースもあるよ、再プログラムしたから彼女は決して傷つく事はない。
     唖空間通信でレプリケーターとの交信機能もシャットダウンした。
     だから彼女も僕らも安全だけど、彼女は一生半分レプリケーターのままだ。
ケラー:シェパードが許可しないわね。
マッケイ:彼女の有機的な細胞を修復するまでナノナイツを使って、
     終わったら機能を停止させるっていう、
     かすかな望みもあるけど、それには時間が必要だ。
ケラー:分かったわ、邪魔にならないように行くわね。
    がんばって。

彼女は向きを変えて去ります。

マッケイ:ああ。
     ありがとう。

廊下。
ラデクは壁から出したパネルを操作しています。

ゼレンカ:申し訳ないね。
     思った以上に長くかかりそうよ。
     この手袋が邪魔で仕事がやりにくいんだ。

ヒューンと音と共に壁に小さな小惑星が近くの壁を突き破る音を聞きます。
彼らは向きを変えて穴を見ます。

シェパード:気にするな。
      まだ4分しかたってないし、エネルギーディップも下がってる。
      ワープはできないから。
ゼレンカ:それってプレッシャー。

彼はパネルを直し続けます。
ちょうどその時小さな小惑星が壁を突き破ってラデクの右のふくらはぎを貫通します。
彼は悲鳴を上げます。
ジョンは彼を見ます。

シェパード:ラデク!

彼は近づいて痛みで顔をしかめているラデクに手を貸します。
傷口から血がシャボンの泡のように宙に流れ出てきます。

医務室。
エリザベスはベッドに横たわり呼吸器をつけています。
入口は開きロノンが点滴台を押しながら入ってきます。
他に誰も部屋にいないことを確かめ彼は部屋の中に入ります。
入口は閉まります。
彼はベッドの脇に近づきエリザベスを見下ろします。

デックス:なあ、聞いてくれ。
     聞こえないのは分かってるが、そのー聞いて欲しい…

彼は彼女に顔を寄せます。

デックス:あー、俺は感謝してるんだ…
     こんな俺を二年もここに置いてくれて…俺が勝手にそう思ってるだけかもしれないが…
     (ためらって彼女の手に自分の手を重ねます)
     ありがとう、ウィアー博士。

突然モニターは警報を発します。
ジェニファーと医療スタッフ達が急いでやってくるとロノンは驚いて立ち上がります。

デックス:俺のせいか?
ケラー:違うわ。
    それよりここを出て行って。

彼女はドアに彼を向かわせるとナースに向きます。

ケラー:マニトールをもう一袋。

医療班が働けるようにロノンはゆっくりと部屋からでていきます。

廊下。
ジョンは安心させるようにラデクを支えています。

シェパード:小惑星の破片が当たったんだ。
      痛むか?
ゼレンカ:そんなには。
シェパード:ショック状態だな。

ラデクは見下ろしてからジョンに振り返ります。

ゼレンカ:スーツに穴があいてる。
シェパード:大丈夫だ。
      圧力の調整はした。
      ジャンパーを呼んで、手術をしてもらわないと。
ゼレンカ:まだ終わってない。
     修理をしないと。
シェパード:俺にできないか?
ゼレンカ:あまりにも複雑すぎて。
     (しかめっ面をして)
     もうすぐ終わる。
     僕を元の位置に。

いやいやながらジョンは彼をパネルに向けるのを手伝います。
そしてラデクは作業に戻ります。

研究室。
ロドニーがラップトップで作業をしているとジェニファーの声がヘッドホンに聞こえてきます。

ケラー:マッケイ博士?

ロドニーはいら立ってため息をつきます。

マッケイ:何だ、ケラー?
ケラー:エリザベスが危ないわ。
    もしやるなら今しかない。
マッケイ:もう少し時間が必要だ。
ケラー:もうそんな余裕はないの。
    血圧は維持できないしICPも上がりっぱなし。
    このままだと本当に。

ロドニーはため息をついてからタイプし始めます。

マッケイ:分かった、今プログラムを転送する。
    (転送を完了してコンピュータタブレットをつかんで立ち上がります)
     そっちに向かう。

ミッドウェイ宇宙ステーション。

カーター:もし彼らが予定より早くハイパースペースを出たとしたら
     一番確実に分かってるのはM12-578 と前の惑星との間をさまよってるはずなの。
リー:百万年以上かかるよ。
   ハイパースペースのせいだ。
カーター:アポロの長距離センサを使ったら。
リー:(頭を振って)できないよ。
   長距離センサーはハイパースペースでは効かない。
カーター:分かってる、でも短距離を飛んで探すのよ。
     見つからなかったらまた同じことを繰り返す。
リー:(コンピュータタブレットにタイプしながら)それならできるかも。
   あー、でもそのセンサーの有効範囲だと…(彼女を見て)18万回ジャンプが必要だよ。
   数年はかかる。
カーター:長距離センサーの範囲を広げれば?
リー:誰がやるんだい?
   アスガードがいるわけでもないのに。
カーター:(彼にほほ笑んで)ペガサス銀河に行ってみない?

アトランティス廊下。
ラデクは痛みでしかめっ面をしながらパネルを操作し続けます。

ゼレンカ:あとは最終調整だけね。
シェパード:お疲れさん、ラデク。
      ジャンパーを呼ぶ。

ラデクはクリスタルをパネルに挿入します。

ゼレンカ:これで。
     終わりだ。

彼はパネルを押し閉めます。

シェパード:(無線で)コントロールエウーム、こちらシェパード。
      俺たちがシールド内に入ったら直ぐにハイパースペースを起動しろ。
テイラ:残念だけど、ジョン、できないのよ。
シェパード:どうして?
      ゼレンカが修理をし終わったんだぞ。

テイラはパワーレベルを示しているスクリーンに歩きます。

テイラ:ええ、分かってる。
    でもたった今ラインを越えたところなの。
    十分なパワーがないのよ。

ジョンとラデクは絶望してお互いを凝視します。

医務室。
ラデクは宇宙服を脱いでいます。
ジョンはロノンが座っているベッドに歩きます。

デックス:あいつは大丈夫なのか?
シェパード:そうだといいが。
       幸い重要な動脈は切らなかったようだ。
デックス:運がよかったな。
シェパード:そうとばかりは言い切れない。
      俺たちは依然としてここで立ち往生だ。
デックス:そうなのか?
シェパード:ハイパードライブは修理した。
      だがパワー不足でどこにも行けない。
      シールドがなくなるのが28時間遅れただけさ。
デックス:じゃあ、次の計画は?
シェパード:分からんね。
      マッケイを探さないとな。

ロノンは手術室を指さします。

デックス:奴はあそこだ。
シェパード:何で?!

ちょうどその時、ロドニーとジェニファーが出てきます。

シェパード:おい!

ロドニーは彼に振り返りますがすぐに罪の意識を感じて顔をそむけます。

マッケイ:修理が間に合ったって聞いたけど…
シェパード:そこで何をしていたんだ?
マッケイ:(不安そうに)あのさ、彼女が死にかけていたんだ。

ジョンは厳しい顔つきで彼に近づきます。

シェパード:ロドニー?
マッケイ:彼女の心臓は弱ってた、神経系統もズタズタで…
シェパード:何をしてたんだ?

ロドニーはちらっとジェニファーを見てからジョンに向きなおります。

マッケイ:ナノナイツを復活させたんだ。
シェパード:(激怒して)なんて事を、マッケイ!
マッケイ:君は忙しそうだったかったから!
     それに生きるか死ぬかの瀬戸際だったんだ!
     もし僕がやらなかったら…
シェパード:ああ、彼女は死んだかもな!
マッケイ:分かってるよ、でもエリザベスを助けたからといって危険にはならない。
シェパード:レプリケーターのナノナイツを復活させたんだぞ。
マッケイ:無害だ!
     彼女を乗っ取ったり連絡を取り合う事なんか百パーセントない。
シェパード:いいや、言いきれるはずはない。
マッケイ:いや。僕にはできるさ。

そうは言うものの彼の目は不安そうになります。

シェパード:直ぐに止めるんだ。
マッケイ:でも…彼女は死んでしまうぞ。
シェパード:エリザベスが望んでいると思うか?
      こんな事を…
マッケイ:ああ、彼女は望んでるさ!
     君がそうだたったら彼女なら間違いなく同じことをするさ。
シェパード:彼女の事をよく知らないようだな。
マッケイ:多分ね、じゃあ君は知ってるのか?
     もう少し時間をくれ、彼女に直に聞いてみればいい。
シェパード:ダメだ!
      あまりにも危険すぎる。
      今すぐ止めるんだ。

ロドニーはちらっと彼を見てから反抗的に腕を組みます。

マッケイ:いやだ。
     そんなつもりはないね。

ジョンはロドニーの目を見据えたまま踏み出します。
ロドニーは緊張しているように見えますが見つめ返します。
直ぐにジョンは無線を作動させます。

シェパード:マイヤーズ、E.M.P.ジェネレーターを手術室へ。
マッケイ:持ってくれ、話を聞けって?
ナース:ケラー博士!

手術室の入口が開きます。
ジョンとロドニーが入るとジェニファーとロノンは後を追います。
大きな呼吸音がベッドの方から聞こえてくるとナースは不安そうに壁へと後ずさりします。

エリザベスがベッドから起き上がって座るのを皆が見つめます。

ウィアー:ジョン?

まだ震えた声で彼女は頭の包帯に手を伸ばして取り去ります。
彼女の髪は元通りに伸びていました。

ウィアー:ロドニー?
     何があったの?

後に。
ジェニファーは防護服を着てベッドの縁に座るエリザベスの体をスキャナーで検査しています。
エリザベスの顔には絶望とショックの色が満ちています。
部屋の外で、ジョンは室内のモニターを見ています。
ロドニーが彼に近づきます。

マッケイ:隔離は不必要だよ。
シェパード:(怒ってモニターを見ながら)俺が別の人間だったらな。
マッケイ:分かった、バカだったよ。
シェパード:何が?
マッケイ:僕らの争いさ。
     僕に不満なのは分かる、そしてその理由もあるかもしれない。
     それでも、重要じゃなく、考慮しなきゃいけないとしたら?
     (ジョンは彼を見ません)
     僕らは一緒に働いてるんだ…だから、その、ごめん。

ついにジョンは彼を見ます。

シェパード:分かったよ。
マッケイ:よかった。

二人とも緊張感を解きほぐします。

マッケイ:彼女と話をしないと。
シェパード:テイラがあそこにいる。
マッケイ:そうか。

彼は向きを変えて歩き去ります。

手術室
テイラは防護服を着てエリザベスの枕許に歩きます。

ウィアー:こんな事はしちゃいけなかったのに。
テイラ:皆あなたを失うの事は望んでないわ、エリザベス。
ウィアー:もしナノナイツが他のレプリケーターと連絡を取り合う事ができたらどうするの?
テイラ:ロドニーはできないようにしたって。
ウィアー:(頭を振り)いいえ、それは無謀よ。
テイラ:個人的にはリスクは冒す価値はあるわ。

エリザベスは彼女により近づきます。

ウィアー:この前起きた事を忘れたの?
     これはとても危険な考えよ。

コントロールルーム。
ラデクは杖をついて、技術者がコンソールに取り組んでいる隣りに立って話をしています。
ジョンが入って来ます。

シェパード:ここで何をしてるんだ?
ゼレンカ:医務室にいても退屈だし。

彼は別のコンソールへ足を引きずり座ります。
ロドニーは別のコンソールに取り組んでいます。
彼は先ほどの口論におびえたようで、
ジョンと目を合わせないようにしています。

シェパード:(ラデクに)そうか。
      で、どこにいるんだ?
ゼレンカ:唖空間通信のことは忘れた方がいいね。
     メインコントロール基盤はレザーで完全にお釈迦になってる。
     でも、ひとつアイディアがあるんだ。

ロドニーはコンソールから顔を上げますが何も言わず見ません。

シェパード:聞こうじゃないか。
ゼレンカ:ハイパースペースの短いジャンプすら実行できないのは都市がパワーを持ってないからだ。
     それはセーフティ機構だ、でもそれをバイパスすることができるかもしれない。
シェパード:それで?
マッケイ:(向きを変ずに)ないよ。
ゼレンカ:アポロに出会えないかもしれないし、スターゲイトが近くにないかもしれない。
     でも移住に適した惑星を見つけられるかもしれない。
     僕のチームが今センサーで探ってるんだ。
マッケイ:(まだ向きを変えず)いいように解釈してる、セーフティープロトコルがどうして働いてるかって事を。
ゼレンカ:ああ、不十分なパワーのためハイパースペースに入るとき都市がバラバラになる可能性がある。
シェパード:確率は?
ゼレンカ:(しかめっ面をして)50:50。
シェパード:ふーん!
      まあ、残念だがそのアイディアはいただけないな。

指でトントンたたく音が聞こえます。
ロドニーは何かアイディアをひらめきます。
彼は立ち上がって指を鳴らしながら彼らに近づきます。

マッケイ:ジャンパーの実験だ。
     数カ月前に僕が今以上に頭が良くなった事件の事を覚えてるか?
シェパード:ほとんど死にかけたあれか?
マッケイ:ああ、僕が元に戻る前にパドルジャンパーの1機にハイパードライブを組み込む寸前だったんだ。
シェパード:完成させられるか?
マッケイ:まあね!
     おそらくできると思う。
シェパード:そうか、いいぞ。
      アポロにジャンプをして俺たちがどこにいるか教えるんだ。
マッケイ:いや。
シェパード:何が?
ゼレンカ:ジャンパーのハイパードライブは制限されると思うね。
     そんなに遠くにはジャンプできないよ。
シェパード:どれぐらいの範囲何だ?

ロドニーとラデクはお互いを見ます。

ゼレンカ:君はどう思う?
     2ぐらい?
マッケイ:ああ。
     その辺だろうな。

彼はジョンを壁のスクリーンに導きます。
ラデクは既に地図を呼び出しています。

ゼレンカ:確実なところ、2千光年ね。
      これが限界内にあるアドレスのリストよ。
シェパード:分かった。
      グループを組んで惑星とのフェリー輸送をしよう。
マッケイ:それも、だめだ。
シェパード:どうして?
マッケイ:ドライブは一度もテストしてない。
ゼレンカ:二回ものジャンプができればいい方だ。
シェパード:どこに行けばいいんだ?

ロドニーは向きを変えて再びアドレスの表示された地図のゲートを見ます。

マッケイ:(考え込んで)まあ、
     理想的にはゼロPMのあるどこかだな。
     そして戻って来たらアトランティスをパワー全開にできる。
シェパード:(皮肉に)ああ、そりゃいい。
ゼレンカ:(地図を見つめ)M7R-227は?
シェパード:それは?
ゼレンカ:まあ…
シェパード:(ロドニーに向き)そこにはZPMがあるのか?
マッケイ:ああ、あるよ。
     皆もゼロPMがある事を知ってる場所だ。
シェパード:そこには誰がいるんだ?
マッケイ:そこにはか?
     (地図を指さし)
     レプリケーターのいる惑星さ。

彼は向きを変えてジョンを見ます。

マッケイ:奪い取る気はあるか?

つづく