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スターゲートアトランティス シーズン4

第62話 − 命綱
4X02 - LIFELINE

アトランティス。
ジャンパベイ。
ジョン・シェパードがベイの中へと入ります。
ロドニー・マッケイとラデク・ゼレンカはパドルジャンパーの中にいます。
ラデクは前部のコンパートメントに横たわりコンソールパネルを操作しています。
一方ロドニーは後部の床に跪きデバイスを操作していました。

マッケイ:オーケー。
     僕が合図したら左のを試してくれ。

デバイスはショートを起こし、火花をかぶったロドニーはすくみます。

マッケイ:おい!
     なんだよ!
     (怒ってラデクに向き)
     合図したらって言っただろ!
ゼレンカ:合図されたと思ったんだよ!

ジョンがジャンパの後部から入ります。

シェパード:どんな塩梅だ?
マッケイ:(憤然として)こいつが度々僕を痛めつけなきゃ、もっと進んでるはずなんだけどな。
ゼレンカ:僕はやってないよ…そんな事。

彼がわずかなにためらったのは彼がロドニーを傷つける事をなんとも思っていなようです。
ジョンは頷きます。

シェパード:それで、ハイパースペースのジャンプを成功させることができるかのか?
マッケイ:ああ、できると思うよ。
シェパード:思うって?
マッケイ:ああ、思うだ。
シェパード:お前はできるって言っただろ。
マッケイ:訂正する、「多分」をつけたすよ。
ゼレンカ:そうね、高みの存在に登りかけた時に作成したアルゴリズムの1つに問題があるね。
マッケイ:あれは信じられないほど複雑な物理学じゃないか?
     つまり、ストリング理論を非線形の力学のように見せてる。

ジョンは理解していないように眉をひそめます。

シェパード:…オーケー。
マッケイ:たとえそれを機能させたとしても、多くの間違いがまだあるかもしれない。
シェパード:俺には全く分からないな。
マッケイ:(立ち上がり)一体何しに来たんだ、僕を冷やかしに来たのか?
シェパード:いやいや。
      そんな事はない。
      問題はないかと思ってな、そこに着いた時にどうするのか?
      ジャンパーでハイパースペースにジャンプするのは可能だろう。
      都市に潜入し、ZPMを盗んで脱出するには危険がありゃしないか?
ゼレンカ:まあ多分ね。
マッケイ:それは考えてたよ。
シェパード:それで ?
マッケイ:これを成功させるには、助けが必要になる。
シェパード:誰の?

医療隔離室。
2人の武装した海兵隊員がドアの外に立っています。
ドアが開くとエリザベスはベッドに座って患者着の裾を引っ張って足を隠します。
そして、ジョン、ロドニー、テイラ、ロノンが入って来ると彼女は顔をあげます。
ジョンは彼女を見てため息をつきます。

シェパード:一緒に行って欲しい?
マッケイ:君の中のナノナイツだ。
     人型レプリケーターの都市に接近した時、
     レプリケーターのメインフレームにハッキングして操作する事ができると思う。
シェパード:ZPMがある一番近くに行ければ、行って帰って来るのが早くなる。
マッケイ:それだけじゃない、同じ様に奴らの動きを追跡することもできる。
デックス:奴らが俺たちを見つけ出す前に、そいつを持ってこれる。
テイラ:危険を回避できるわ。
マッケイ:まあ、なんとか、でも…
テイラ:…でも問題はあるわ。
ウィアー:もしレプリケーターが私の中のナノナイツを制御したらって事ね?
マッケイ:それはさせない。
     僕がなんとしてでも食い止める…
ウィアー:(遮り)もしそうなったら?
シェパード:ロドニーにナノナイツのプログラムを書き換えさせた。
      プログラムを無効にするように。

エリザベスは彼女の頭を下げます。

ウィアー:その無効にするって、止めるっていうこと?
マッケイ:(小さな声で)ああ。
ウィアー:ナノナイツが私を生かしてるって言ってたわね。
シェパード:そうだ。
      もし止めたら…君は死ぬ。
      (落ち着いて安心させるように)だがそうなるとは限らないだろ?
      ロドニーにナノナイツを見張らせておく。
テイラ:あなたに相談しなかったけど、これしか成功させる方法がないの。
マッケイ:その通り。
     もしゼロPMが手に入らなければ、この都市とその中の人間は…

彼が終わる前にエリザベスはジョンを見ます。

ウィアー:いつ行くの?

ロドニーとジョンは少し驚いています。
しかし彼女の目を見てジョンは理解します。

シェパード:すぐに。
マッケイ:何だって?
     待ってくれ、今すぐだって?
     まだパワーの制御すら終わって…
シェパード:完成させろ、時間はないんだ。

ロドニー、ロノン、テイラは部屋を出ます。
ドアが閉まるとジョンはエリザベスに近づきます。
彼女は彼の見つめる目に向かおうとしますが顔を下げます。

シェパード:平気か?エリザベス。

エリザベスはちょっと微笑して彼を見ます。

ウィアー:私から少しでも目を離さないようにしていて欲しいの。
     ちょっとでも怪しい行動をするようなら、ためらわずにプログラムを破壊して。
シェパード:分かった、だがそれは起きない…
ウィアー:(厳格に)ジョン、お願いよ。

彼らはしばらく見つめ合い、それからエリザベスはほんの少し頭をうなずかせます。
いやいやながら、ジョンもうなずきます。

回廊。
テイラが歩いている後をジョンが追いつこうと急いでいます。

シェパード:おい、テイラ。
      待て。

テイラは立ち止まって振り向きます。

シェパード:君はここにいるんだ。
テイラ:ジョン、もしこのミッションが成功しなければ…
シェパード:ゼレンカが人の住める惑星を見つけだす。
      あいつなら都市を移住させる星を見つけられるさ。
テイラ:シールドがなければ着陸はできないわ。
シェパード:分かってる。
      軌道につくパワーだって残ってはいないだろう。
      君はジャンパーで他の皆と一緒に降りるんだ。
テイラ:それは都市を捨てるってこと?
シェパード:まあ、そう思ったんならそれでいい、降りた皆にはリーダーが必要だ。
      生き残るためには冷静な判断のできる者が必要なんだ。
      一番重要なのは、皆に希望を失わせない事なんだ。
      それが君だ、テイラ。
テイラ:ジョン…
シェパード:もし俺が12時間以内に戻らなければ、命令を実行してくれ。

パドルジャンパー。
ラデクが前のコンパートメントで作業している間、ロドニーは後部コンパートメントでデバイスをいじっています。

マッケイ:よし、いいぞ。
ゼレンカ:ホントか?
マッケイ:ああ。
ゼレンカ:前の時は合図したらって言ったけど…
マッケイ:ラデク!
ゼレンカ:分かったよ。

彼はクリスタルをフロントパネルに挿入します。
デバイスは唸りを上げ始めます。
ロドニーはコンピュータタブレットの表示を見てうれしそうにします。

マッケイ:オーケー!
ゼレンカ:はぁ?
マッケイ:これならいけるぞ。
ゼレンカ:それはよかった。
     (ツールキットを拾い上げてロドニーに足を引きずって行きます)
     今の電源投入では大丈夫だったけど、初めてのジャンプで焼き切れたら…

ロドニーがいらだって彼を見ると次第に言葉が小さくなります。

ゼレンカ:はい、はい、その通りです。
     オーケー。
     僕は行くよ。

彼が出て行くとちょうどロノンが入って来ます。

デックス:(ロドニーに)準備は?
マッケイ:ああ。
     まだ動くかどうかは確信できないけど、
     できる限りの事はした。

ロノンは無線を作動させます。

デックス:シェパード、準備OKだ。

彼は前のコンパートメントに入っていきます。

廊下。
ジョンとエリザベスは前と後を武装した海兵隊員に挟まれたままジャンパベイに向かっています。
2人の科学者が驚いて脇に避けて見守ります。

コントロールルーム。
ジョンはジャンパから無線報告をします。

シェパード:いいか、テイラ、出発の準備は整った。
テイラ:了解。
    (ラデクに)ジャンパベイのドアを開けて。

ジャンパで、ロノンはジョンの後ろに座り、エリザベスは副操縦席の後ろに座ります。
ロドニーは後部コンパートメントでまだハイパードライブ発生器をいじくり回しています。

シェパード:俺たちがいない間に、派手なパーティーをしないでおいてくれよ。
テイラ:(笑い)自粛するわ。
    (彼女の顔は真剣になります)
    グッドラック。
シェパード:よし、行くぞ。

ジャンパはベイを出てシールドの外へと飛んで行きます。

シェパード:ロドニー?
      準備は?

ロドニーは不安そうな顔で後部コンパートメントからやって来ます。

マッケイ:うまくいかないかも、途中でハイパースペースから出て宇宙の真ん中で迷子になるか、
     それとも入った途端に蒸発してしまうか…
デックス:質問に答えろ!
マッケイ:ああ、準備はできてる。
シェパード:よし。
      座ってろ。

ロドニーは副操縦席に着きます。

シェパード:行くぞ。
マッケイ:オーケー。
     ハイパースペースウィンドウを開く、3、2、1。

ハイパースペースウィンドウがジャンパの前に開きジャンパーは飛びこみます。

ペガサス銀河の惑星。
スターゲイトは開いています。
サマンサ・カーターとビル・リーは二人とも小さなバックパックを背負い出てきて見回します。
彼らはうっそうとした高い木のある森います。

リー:おお、すごい!
   これはきれいだ!
カーター:ええ、そうね。
リー:まるでElwynnの森みたいだ。

サムは不審そうに彼を見ます。

リー:ああ、何でありません。
   ウォークラフト地方です。
   (彼はサムににっこり笑います)
   そこは私がよくゲームで…

彼女の表情を見ると彼の微笑は色あせます。

リー:…時々。
カーター:そう。

ビルは再び森を見回します。

リー:(畏敬の念に打たれて)おお、うわーっ。

サムは嬉しそうに彼を見ます。

カーター:あなた大丈夫?
リー:ええ、ええ。
   私は今までこういった惑星に来た事がないんです。
カーター:じゃあ、写真を撮ったら。
      ここには長くはないんだから。
リー:ああ、そうですね!
   いい考えだ!

サムがヘッドセットを作動させると、彼はジャケットからデジタルカメラを引っ張ります。

カーター:こちらカーター中佐、アポロ、応答願います。
     エリス大佐、聞こえますか?
エリス:(無線で)聞こえてるよ、中佐。
カーター:ゲートを通りぬけました、転送の準備はできています。
リー:(まだカメラをいじって)えっ、待って、待ってください!
エリス:待機。
リー:待って、待って!

彼はカメラを自分に向けて上げます。
転送ビームが彼とサムを包み込みます。

アポロ。
サムとビルはブリッジに現われます。
ビルがカメラのボタンを押すとフラッシュが光ります。
カメラのモニタには彼の顔が映っていました。
ビルがカメラを下げるとエリス大佐は立ち上がります。

エリス:ようこそペガサス銀河に、中佐。
カーター:ありがとうございます。
     アトランティスからの連絡は?
エリス:ない。
    (手にしているコンピュータタブレットを見下ろして)
    今まで君が提案したセンサの変更仕様をチェックしていた。
    君は通常の5倍のパワーを使い、空間通信を含めほとんどのシステムから部品を集めるというのか?
カーター:その通りです。
エリス:もし彼らがこちらと連絡を取ろうとしていたらどうする?

サムはしかめっ面をします。

カーター:それができるぐらいなら、とっくの昔にやっていたはずです。
エリス:それは彼らがハイパースペースから早めに出てしまったという過程だろ。

サムはうなずきます。

リー:ええ。
   その可能性が1番高いと思います。
エリス:そうか。
    やってみよう。

彼は座ります。
ビルは又偶然にカメラのシャッターを押し、フラッシュが光ります。
サムは彼の胸に肘をぶつけます。
彼はすくみ、そして彼らはブリッジを去ります。

宇宙空間。
パドルジャンパーはアスラに非常に近い場所でハイパースペースから出てきて、ステルスモードで惑星を目指します。

ウィアー:おめでとう、ロドニー。
     ハイパードライブは機能したじゃない。

ロドニーはしかめっ面をして指を鳴らします。

マッケイ:残念だけど、ゼレンカの言ったことは正しかった。
     片道だけで予想以上のパワーを使ってしまった。
デックス:どういうことだ?
     戻ることができないのか?
マッケイ:いやいや。
     そうじゃなくて…。
     実は、その通りなんだ。

ジョンとロノンはお互い目を丸くします。

マッケイ:ゼロPMを取ってくることができれば、そのパワーを回すことができる。
     オーヴァーロードさせないようにしないといけないけど…
シェパード:(言葉を遮り)一つずつ片付けていこうじゃないか?
      まず最初にZPMをどうやって取ってくるかだ。
マッケイ:そうだな。
     (後ろに座っているエリザベスを見ます)
     オーケー、リンクを初期化する。

彼はラップトップを見下ろします。

ウィアー:私は何をしたらいいの?
マッケイ:何も。
     そこに座っているだけでいい。
     何か思い浮かんだら教えてくれ。
ウィアー:どういうこと?
     何かを感じるということ、それとも…

彼女はまっすぐに前を見つめて、言葉が次第に小さくなります。

ウィアー:何てことなの。

ウィアーには目の前にエンシェントの文字が見え、その後ろにはレプリケーターの都市の概略図のような物が見えています。

マッケイ:よしつながったぞ!
     その、彼女がってこと。
     さあ、急がないと。
     エリザベスのナノナイツは今、分からないように潜入してはいるが、他の奴らが気付くのは時間の問題だ。
シェパード:どんな感じなんだ、エリザベス?
ウィアー:とっても変な気分。
     目の前に都市の内部が全部見えるの。
     つまり、回廊や部屋なんかが。

ロドニーとジョンは微笑します。
エリザベスはフロントガラスの向こうを指さします。

ウィアー:あそこよ。

ジャンパは都市に着いてタワーの間を飛んでいます。

ウィアー:ZPMは第4地区の一番上の階よ。
     誰も近くにはいないみたい。
シェパード:そうか、それは結構。

ジャンパは建物の屋根に着陸します。

シェパード:よし、着いたぞ。
      ロドニーはここでエリザベスからの情報を伝えるんだ。
      無線で俺たちを案内するんだ。

彼とロノンはジャンパの後部に行って武装し始めます。

ウィアー:20メートル左手、ジャンパの後ろに入口がある。
     階段を一つ降りると廊下に出るわ。
     (彼らを見回し)
     今がチャンスよ。

ジョンとロノンはジャンパから急ぎます。

まもなくその後。
ジョンとロノンは階段を駆け降り、A.R.Gを持って進みます。
ロノンはもう一方の手にZPMを入れるケースを運んでいます。
階段の下につくと彼らは立ち止まり用心深く見回します。

シェパード:今廊下にいる。
ウィアー:(無線で)右に行って。
     6.5メートル先に別の回廊があるわ。

ジョンとロノンは彼女の指示に従います。

シェパード:オーケー、見えたぞ。
ウィアー:左に曲がって。
     待って!
     戻って!

二人がコーナーに後退するとレプリケーターがその回廊を歩って行きます。

ウィアー:大丈夫。見られてないわ。

彼女が前方をじっと見ているのをロドニーは見つめます。

マッケイ:本当なのか?
     何でわかるんだ?

エリザベスは彼を見て不安そうに微笑します。

ウィアー:ええ。
     とっても変な感じ。
シェパード:(不機嫌に)行ってもいいのか?
ウィアー:ええ、行って。

ジョンとロノンは再び離れます。

ウィアー:左に曲がったら、次は右。

そのエリアを見る事のできるエリザベスの能力にもかかわらず、彼らはその場所へ来ると反射的に隠れて辺りを確認します。
ロノンはドアのパネルに手を伸ばします。
ドアが開きます。

ウィアー:真正面にあるはず。

シェパード:ああ、見えた。

ロノンはZPMのコンソールに向かって走ります。
ジョンはゆっくりと中に入ります。

シェパード:ちょっと待て。

ロノンはコンソールから身を引いてドアのところへ戻ります。
ジョンはコンソールに歩いてA.R.G. を下に置きます。

シェパード:こいつを引き抜いた途端、奴らは気が付くんじゃないか?
マッケイ:多分ね、でも奴らにはゼロPMをいくつも持ってるんだ。
     僕らが行っちまうまで気付かないことを祈るだけさ。
シェパード:それりゃどうも。
       今の状態は?
ウィアー:あなた達のいる方に向かって2つのグループがいるわ。
     急いで。

ジョンはコンソールの側面のパネルに手を置きます。
ZPMはスロットから出てきます。
彼はそれを引き抜いてケースに入れふたを閉じるとロノンに手渡します。

デックス:手に入れたぞ。
シェパード:戻るぞ。

彼らは部屋から急いで、回廊に沿ってそしてジャンパへと走ります。

シェパード:ZPMを接続しろ。
      戻るんだ。
マッケイ:ちょっと待ってくれ。
     まだ行けない。
シェパード:どういう事だ?
      こいつを繋いでハイパードライブを使えるようにすると言ったんだろ。
マッケイ:ああ、できるよ、できるけど、まだだ。
     エリザベスが接続されていた間、レプリケーターのベースコードをチェックしていたんだ。
     そしてこれを見つけた。

彼はラップトップの画面をジョンに向けます。


デックス:それは何だ?
マッケイ:聖杯さ。
     つまり奴らの存在意義の全てさ。
     レイスを攻撃するように指示するコマンドコードだ。
シェパード:ああ、だが奴らはレイスを攻撃しない。
      1万年の間奴らを野放しにしてた。
マッケイ:それは効力をなくされたからだ。
ウィアー:どうしてそんな事が?
マッケイ:分からないけど、
     多分、エンシェントが奴らをコントロールする事ができないと悟ったときにやったんじゃないか。
シェパード:今気づいたのか?
マッケイ:いくつもあるベースコードコマンドの中の一つなんだぞ。
     何かがあるのは分かっていたけど、見つけ出すのは簡単じゃないんだ。
ウィアー:それを復活させられる?
マッケイ:ああ…だが問題がある。
     君のナノナイツを使えば再プログラムをアップロードする事は出来る。
     でも全てのレプリケーターに行き渡るまでは時間がかかるんだ。
     それまでに気付かれたら、それにここに僕たちがいる事を知られてしまう。
     そしたら君を同化させようとすぐに手を打ってくるはずだ。
シェパード:それなら止めだ。
ウィアー:ジョン、これがどういう意味か分かってるの?
     もしレプリケーターがレイスと戦う事になれば…
シェパード:それは忘れてくれ。
       それはやらない。
ウィアー:あなたらしくないわ。
シェパード:ここが地獄じゃなきゃな!

彼はパイロット席に入ります。

マッケイ:まぁまぁ − まぁまぁ − まぁまぁ。
     待って。
     別の方法があるかもしれない。
     バックアップ用のハードドライブのように全てのレプリケーターのデータコアがある。
     そこに直接再プログラムをアップロードできれば、エリザベスを使う必要はない。
     攻撃コマンドが次のマージで効力を発するときには、僕らはアトランティスに戻っている中途だ。
シェパード:そりゃいいかもしれないな。
マッケイ:はぁ!
     (短い間ためらいます)
     1つ問題がある…
     極々小さな事なんだけど。
ウィアー:コアは都市の最下層の中央にあるわ。
     そこに行くまで見つからずに行くのは不可能よ。
シェパード:分かった。
      それじゃZPMをアトランティスに持って帰って都市を降ろした後、もう一度来る事にしよう。
マッケイ:こんなチャンスがもう一度を来るとは思えない。
ウィアー:その通りよ。
     奴らがZPMがなくなった事に気付けば、侵入者を見つけ出そうとするわ。
     そして二度とこんなチャンスは来ない。
マッケイ:もしやるなら今しかないんだ。

後に。
ロドニーが後部コンパートメントでコンソールに取り組んでいる間、ロノンは近くにしゃがみ込んでいます。

デックス:ステルスを反レプリケーターフィールドに変えるのか?
マッケイ:ああ、ジャンパのステルス発生器にA.R.Gのコントロールクリスタルを繋いでな。
     唯一の問題はどのくらいフィールドを広げることができるかだ。

彼は都市の中を飛ばしているジョンを見上げます。

マッケイ:そして可能な限り都市の中央近くに行ってほしい。

エリザベスはジョンが行くべき方法を指します。

ウィアー:そこよ。
デックス:だが俺たちは奴らに見えるんじゃないか?
マッケイ:ああ、そうなる。
     アンチレプリケーターフィールドは僕らを保護する。
     ジャンパだけでじゃなく十分広いフィールドをカバーすることができると想定している。
     中央の部屋までね、そして同じくそこに着くのに速く走る事を想定してだ。
     コマンドを入力して戻ってくるんだ、レプリケーターがにフィールドとどちらを優先するべきか理解する前に。
     でなきゃ僕らは皆殺しだ。
シェパード:それは心配するな。
      お前は連れて行かない。
      またエリザベスと一緒にいてくれ。
マッケイ:すないが、聞こえなかった?
シェパード:さっきと同じように無線で俺たちを誘導するんだ。
マッケイ:(立ち上がって前へ行き)ちょっと待ってくれ。
     僕が行かないで誰がにコマンドを入力するんだ?
シェパード:タブレットに入れてくれ。
      俺がそれをコアに差し込んでアップロードすればいいだろ。
マッケイ:ああ、プラグ・アンド・プレイね?
     簡単にできると思ってるのか?!
シェパード:お前ならできるだろ?
マッケイ:(抗議し始めと)ああ…
シェパード:(中断させ)お前はここにいてほしいんだ、ロドニー。
マッケイ:どうして?!
シェパード:ロドニー!
ウィアー:(ロドニーに向いて)私を見張るためよ。
     私のナノナイツを止める必要があるかもしれない。
     もし二人でジャンパに残れば、あなたは私を近くで見張り続けることができるでしょ。

ジョンはエリザベスに気を使っていた事を彼女に指摘され彼を一瞥します。
ロドニーはしばらく黙ります。

マッケイ:…分かった。

彼はロノンがせん索しているステルスジェネレーターに引き返します。

マッケイ:おい、いじるなよ!
     おい!

ジョンとエリザベスはちらっと彼らを見てからフロントガラスに引き返します。
エリザベスは再び指さします。

ウィアー:コアはあのプラットホームの下よ。
シェパード:どのぐらい下なんだ?
ウィアー:9階。
シェパード:(納得していないように微笑し)そりゃ結構。

宇宙空間。
アポロがハイパースペースから出てきます。
ブリッジで、ビルは最新のスキャンの結果を示す壁のスクリーンを見てため息をついて頭を振ります。
エリスが彼を見ます。

エリス:何か?

サムは、エリスの右とコンソールモニターを見ながら席に座って返事します。

カーター:いいえ。
エリス:11回目のジャンプだ。
カーター:申し訳ありません。
     スキャナーの範囲を限界まで広げたとしても、わずかなエリアをカバーしただけです。
     元のランシャンの惑星から指定した位置までは39回のジャンプが必要です。

エリス:39?!

サムはうなずきます。

リー:(考え込んで)宇宙は広いから。

エリスは向きを変えて皮肉な顔を彼に向けます。

エリス:君が言うな!

ビルは恥ずかしそうにします。

エリス:ハイパードライブを開始。
    12回目だ。

アポロは再びハイパースペースの中に飛び込みます。


アスラ。
ジャンパは着陸してステルスを解除します。

シェパード:丸見えの状態だぞ。
マッケイ:今、アンチレプリケーターフィールドを立ち上げる。

ちらちらする光がジャンパの周りに現われます。
ジョンはジャンパの周りのフィールドを示す H.U.Dを呼びだします。

マッケイ:動いたぞ。
     (コンピュータタブレットにタイプします)
     オーケー、それじゃやってみるか、どのぐらい下まで貫通するか。
シェパード:「貫通」?
マッケイ:(彼を見上げ)何?

ジョンは頭を振ります。
ロドニーは再びタブレットを見下ろします。

マッケイ:よし、行くぞ。

彼がタイプすると、皆はH.U.D.を見ます、下へとフィールドが下がっていくのが示されます。
数フロア下に4人のレプリケーターが回廊を歩いています。
フィールドは彼らを捕え、ごく小さな破片へと分解します。

ウィアー:うまく機能してる。
マッケイ:機能して当たり前だ!
     コア部屋を包み込んだぞ。
     準備はいいか。

ジョンは席を立ってエリザベスを見ます。
彼女は彼にうなずきます。
ロドニーは憤然として彼らを見ます。

マッケイ:何?
     僕は信じられなくても、彼女を信じるのか?
シェパード:当たり前だ。
マッケイ:侮辱だ!
ウィアー:(ジョンに)まっすぐ9階下へ、底底部まですぐのはずよ。

ジョンは立ち上がってロノンと共にジャンパの後部に行きます。

マッケイ:オーケー。
     基本ク記憶装置トランスポートプロトコルをこのタブレットからコアへ直接アップロードするよう書いておいた。
     君はこのケーブルをメイン回路に差し込むだけだ。
     自動的にアップロードするはずだから。

彼はタブレットに付いている接続アダプターを示してからジョンに手渡します。

シェパード:それを接続するのか。
マッケイ:簡単だろ。
シェパード:簡単だ。
マッケイ:レプリケーターは模倣することが得意だから、エンシェント用のインタフェースアダプタを作った。
     それならうまくいくはずだ。
     素早くやってくれ、気づかれたらすぐに対策を打ってくる。
シェパード:(エリザベスを見て)さっきと同じように誘導してくれ。
      終わったら戻ってくる。
      (ロノンに)行くぞ。

彼とロノンは離れます。
ロドニーはジャンパの後部ドアを閉じます。
そして彼とエリザベスはフロントシートに座ります。
エリザベスは深呼吸をしてから集中し始めます。

レプリケーターコントロールルーム。
レプリケーター技術者がコンソールを操作していると、オベロスが入ってきて脇に立ちます。

オベロス:それは何だ?
レプリケーター技術者:通信タワーの2番目のクォードラントでの異常なエネルギーがあります。
オベロス:原因は?
レプリケーター技術者:現時点ではまだ未確認です。
             屋上から9階下まで異常なフィールドが伸びています。

オベロスは目を丸くします。

オベロス:コアだ!

パドルジャンパー。

シェパード:(無線で)オーケー、下まで来たぞ。
      左か右か?
ウィアー:左よ。

ジョンとロノンは彼女の指示に従います。
角を曲がると三人のレプリケーターがいて二人を見つけると武器を向けて来ます。
彼らは素早くARGを構えます。
しかしレプリケーターはフィールドの向こう側にいて、彼らがその中に入ると、あっという間に崩壊します。
二人は武器を下げます。

シェパード:シールドが効いてるぞ、ロドニー。

マッケイ:よかった。
     そこを超えないようにしてくれ。
シェパード:了解。
ウィアー:ここを右に曲がって。

二人はドアを開け部屋の中に入ります。
中央には光り輝く円形のコンソールがあります。

シェパード:よし、入ったぞ。
       大きな物がある、多分コアだと思うが…
マッケイ:それだと思う。
     オーケー、コントロールパネルにケーブルを差し込めるスロットがあるはずだ。
シェパード:分かった。
      ここだな。

彼はA.R.Gをコンソールに置いて、コンピュータタブレットからアダプタを取り出しプラグをソケットに差し込みます。

シェパード:接続したぞ。
マッケイ:本当か?
     何も起きないぞ?
     ちゃんと正しいスロットに差し込んだのか?
シェパード:(素早くコンソールに目を走らせ)スロットは1つだけだ、ロドニー。

エリザベスは前を見つめ脅えているように見えます。

ウィアー:急いで、ジョン。
     奴らが来る、かなりの数よ。
デックス:フィールドが守ってくれてるんだろ?
マッケイ:急いだ方がいい。
    もう一度接続しなおしてみてくれ。

ジョンはアダプタを取り外しもう一度挿入します。

シェパード:やったぞ。
マッケイ:何も起きない。
     (憤然として)何かしたのか?
シェパード:何もするわけないだろ!

廊下では2人のレプリケーターがフィールドの中に走って来て崩壊します。
もう2人が彼らの後に続いて同じく崩壊します。
ジャンパでは、エリザベスが当惑して眉をひそめます。

ウィアー:フィールドを破ろうとしてる。
     犠牲を覚悟のうえで。
デックス:どうして?

エリザベスは理由を理解してロドニーに向きます。
ウィアー:フィールドに飛び込む事で、フィールドの破り方を試してる。
デックス:それならここから脱出した方がいいな。
シェパード:ロドニー、どうしてうまくいかない?
マッケイ:コアがタブレットを認識してないんだ、だから機能しない。
シェパード:どうして?
マッケイ:知らないよ!

外では一人のレプリケーターがフィールドの中に歩いて入ります。
今度は崩壊する前に二、三歩歩けました。

コントロールルームで、技術者はオベロスに報告します。

レプリケーター技術者:ほとんどフィールドを解析できました。

オベロス:よし。
     私が行く。

彼は離れます。


ジャンパで、ロドニーはジョンに話をします。

マッケイ:オーケー、デバイスインタフェースを認識させるためにはプロトコルを調整する必要がある。

ジョンとロノンは眉をひそめます。

シェパード:何だって?!

ロノンは同時に「何だって」と声に出さずにささやきます。

マッケイ:言う通りにやって。
     まずケーブルを抜くんだ。
     次にタブレットのルートディレクトリにアクセスして。

ジョンはコンソールから怒りながらアダプタを引き抜きます。

シェパード:こりゃ「簡単」じゃないぜ。

廊下では、レプリケーターがフィールドの中に歩いて入ってそのまま歩き続けます。
数人の他の者達は走ってきて難なくフィールドを通りぬけます。
エリザベスはロドニーに向きます。

ウィアー:二人を救出しないと。
マッケイ:まだ終わってない。
ウィアー:時間がないの!
     レプリケーターがフィールドを破ったわ!
シェパード:何だって、破られたのか?
マッケイ:奴らはフィールドを解析したみたいだ。

ロノンはA.R.G.を取り上げてドアに向かって歩きます。

マッケイ:急いで。
     直接データプレースメントにプロトコルを変更する必要がある。
     データを流すパケット量の再同期が必要だ。
ウィアー:オベロスがコアに向かってる。
     (彼女はロドニーを見ます。)。
     私達だとばれてるわ。
マッケイ:(目を見開き)どこにいるんだ?
     逃げ切れる?
ウィアー:無理よ!
     全方向からレプリケーターが接近してる。
     袋の鼠よ。
マッケイ:それじゃ死んだも同然だ。

ジョンはタブレット上で作業してちらっと顔を上げます。

シェパード:おい、聞こえてるぞ。
マッケイ:な、何が?
     いや、違うよ「死んだも同然」っていうのは…

彼が話をしているとエリザベスは立ち上がってジャンパの後部ドアを開けるパイロットのコンソールのボタンを押して外に走って出始めます。

マッケイ:エリザベス!
     何をする気だ?
ウィアー:(肩越しに)ここにいて!
マッケイ:エリザベス、行っちゃダメだ!

しかし彼女はもう行ってしまいました。

マッケイ:エリザベス!
シェパード:どうした、ロドニー?
マッケイ:エリザベスがジャンパから出てった。
シェパード:どうして?
マッケイ:し、知らないよ。
     走って行っちゃった。
シェパード:エリザベス?
      こちらシェパード。
      聞こえるか?

応答がありません。

シェパード:エリザベス。
      応答しろ。
デックス:もし奴らが彼女を捕えたら…
シェパード:分かってる、分かってるよ。
マッケイ:それでどうする?
デックス:もし怪しい行動をしたら、ナノナイツを止めろと言っていたな。

ロドニーはおびえているように見えます。

マッケイ:分かってるけど…

彼の顔には恐怖の色が満ちてきて座ります。

デックス:シェパード。

ジョンの顔も恐怖に満ちています。

デックス:命令しろ。

ジョンは彼にうなずいてからロドニーに話をします。

シェパード:やれ。

ロドニーはあきらめたような表情で、数秒間ためらってからタイプし始めます。
コンピュータは否定的なビープを出します。
再びタイプしますが同じくビープを出します。

マッケイ:機能しない。
シェパード:何だって?
デックス:どうして?
マッケイ:ちょっと待ってくれ。

ジョンとロノンは待ちます。
ロドニーが再びタイプしますがそれでも否定的なビープは変わりません。

マッケイ:そんな、バカな。
     聞かないでくれよ、分からないんだから?
     彼女の中のナノナイツはコントロールする事ができた。
     多分、多分彼女は今、自分でコントロールしてるんだ。
     それで周波数に影響が与えられて。
     分からないけど。
     とにかく調べてみないと分からない。
デックス:それよりも俺たちをここから脱出させる事を考えたらどうだ?
シェパード:まあ、どうせならこのミッションを完了させてみるか。

彼はタブレットを拾い上げてタイプし始めます。

回廊。
オベロスが歩いて来て角を曲がると、エリザベスが彼を待っていました。
彼が反応する前に彼女は前に出て手を彼の額に入れます。
画面はホワイトアウトします。
2人は向かい合って上からのスポットライトに照らされ他には何もありません。

オベロス:ウィアー博士!
ウィアー:こんにちは、オベロス。
     驚いているようね。
オベロス:まさに。
ウィアー:ニームが私をナノナイツに感染させたの。
オベロス:ああ、君から検出することができる。
ウィアー:私達はこれを再プログラムで無力化して、必要な物に作り替えた。
オベロス:それはそれは。
ウィアー:だから今私があなたを通してレプリケーターへのリンクを確立することができるのよ。

オベロスは眉をひそめます。

ウィアー:私が今コントロールしてるのよ。

コア部屋。
ジョンはコンピュータタブレットをコンソールに差し込みます。

シェパード:接続したぞ。
       どうだ?

ロドニーはスクリーンを見ます。
しばらくするとデータ転送が開始されます。

マッケイ:よし!
     やったぞ、動いてる!

ちょうどその時、コア部屋のドアが開きます。
ジョンはA.R.G.を掴んでコンソールの後ろに走ると、ロノンはコラムの後ろにかがみます。
8人のレプリケーターが入って来ます。
彼らはジョンに武器を向けてますが、次第に動きがゆっくりとなり止まってしまいます。
ジョンは武器を向けながらコンソールの後ろから出てきます。
それから狙いを定めてそこに立つが動かない事を悟って当惑します。
ロノンはコラムの後ろから用心深く出て来ます。

シェパード:一体どうなってる?

ロドニーは驚いてスクリーンを凝視します。

マッケイ:全レプリケーターが動かなくなってる。
シェパード:それは見れば分かる。
       誰がやったんだ?
マッケイ:僕じゃない。

ロノンは動かないレプリケーターから武器を取り上げ始めます。

マッケイ:エリザベスかも。
デックス:彼女にできるのか?
マッケイ:分からないよ。
     レプリケーターに直接リンクしたんだと思う。
     彼女はナノナイツを操る事が出来るくらい急激に増加させたんだ。
シェパード:元に戻るのはどのぐらいだ?
マッケイ:君の推測通りだと思うよ、でも僕はもっと短い時間だと思う。


ロノンはレプリケーターの武装解除し終えてジョンを見ます。

デックス:行くのか?
シェパード:ああ、予定通りな。
      アップロードはどうなってる?
マッケイ:もうすぐ終わる。
シェパード:一体どのぐらなんだ?
マッケイ:すぐったらすぐだよ!

オベロスの心の中。
オベロスはコントロールをしようとします。

オベロス:ウィアー博士、あなたの強さには感銘します。
     しかしそれは時間の問題だ。
     あなたを追いだすのはね。
ウィアー:可能な限り戦うわ。
オベロス:それは感心だ。
     仲間を守りたいというあなたの心意気は称賛に値する。
     だが必ずあなたは負ける。
ウィアー:それはどうかしら。
     その横暴さが自分を傷つける事になるわ。
オベロス:自分で分かってるんじゃないかね、ウィアー博士。
     あなたがすでに弱っているのを感じることができる。

エリザベスの表情は少し緊張し彼を凝視します。
オベロスは彼女に向かって一歩踏み出します。

オベロス:あなたの思いは分かるが、これは明らかにあなたの準備不足な争いだ。

コア部屋。
ロドニーは無線で報告します。

マッケイ:やったぞ。
     終わった。
     プラグを引っこ抜いて逃げろ!

ジョンはコンソールからアダプタを引き抜いてコンピュータタブレットを拾い上げます。
彼とロノンは部屋から走り去ります。
回廊に出ると多くのレプリケーターが固まった状態でいました。

オベロスの心の中。
エリザベスとオベロスは支配争いの戦いで動きが取れずにお互いを凝視しています。
数秒の後、オベロスは手を伸ばして彼女の手をつかみます。
エリザベスはフラストレーションで息が止まります。

オベロス:もう一度言う、あなたは私を過小評価している。

廊下。
ジョンとロノンが走っていると、レプリケーターが息を吹き返し、彼らに振り返ります。
ロノンは彼を押し脇に避けます。
そして全てのレプリケーターが彼らを追い始めます。

シェパード:おい!
      動き出したぞ!

ジャンパでは、2人のレプリケーターが入って来て手を上げるロドニーに武器を向けます。

マッケイ:ああ。
     分かってるよ。

彼は立ち上がって手を挙げたまま捕獲者にゆっくりと歩きます。

オベロスの心の中で、エリザベスは彼を見つめ敗北を認め頭を下げ目を閉じます。
彼は満足そうに微笑します。

都市では、ジョンとロノンが階段を駆け上がり、上に到着すると立ち止まります。
レプリケーター達が彼らに武器を向けて彼らを囲みます。
いやいやながら彼らはA.R.G.を下げます。

ブリッジで、オベロスと2人のレプリケーターが入って来て、営倉の中のジョン、ロドニー、ロノンに直面します。
ジョンは皮肉に彼にほほ笑みます。

シェパード:これは、よく知った顔だな。
オベロス:この侵略が勇敢なのか愚かなのか判断しかねる。
マッケイ:ウィアー博士はどこだ?
オベロス:我々をコントロールする彼女の試みは、彼女の心と身体をかなり疲労させたようだ。
     彼女は修理中だ。
シェパード:彼女をコントロールするつもりか。
オベロス:それはもう試した。
     残念だが彼女からは必要な情報は得られなかった。
     そのため君たちから集める事にする。
マッケイ:「情報」?
オベロス:アトランティスの正確な場所だ。
     破壊する前に君たちはあの惑星を出て行ってしまった。
デックス:(皮肉に)そりゃ残念だったな。
オベロス:(皮肉に気付かない振りをして)何も問題はない、君達の助けで破壊を完了させる。
シェパード:俺達が協力するとでも…
オベロス:我々がどのように情報引き出すのか知っているだろう?

彼は見張りに頭を傾けます。
そしてフォースフィールドが外され、営倉のドアが開きます。
オベロスと2人が入って来ると、ロドニーは不安そうに後ずさりします。
一方ロノンは闘争心をむき出しに彼らに向かって歩きます。
しかし見張りは直に武器を向けて彼に向かいます。
ロノンは立ち止まる以外ありませんでした。
もう二人のレプリケーターはジョンの両側に立ち彼の肩に手をおきます。
そしてオベロスは彼に近づきます。
ジョンはため息をついてレプリケーターの指示通りひざまずきます。
オベロスは前に進み出て手をジョンの額にいれます。
ジョンはしかめっ面をします。
オベロスは集中しますが、困惑顔で眉をひそめます。
ジョンの顔は落ち着きます。

シェパード:問題でも?

オベロスはまだ眉をひそめて、ポケットに手を入れてひとりよがりに微笑しているロドニーをちらっと見ます。
同じくロノンも微笑しています。
オベロスは当惑顔で彼らを見て、それからジョンの額から手を抜きます。
ジョンの顔はゆっくりとモーフィングし始めてエリザベスの顔に変わります。
彼女はニヤッと彼を見上げます。
そしてオベロスと彼女の二人は、元のオベロスの心の中に戻り向き合っています。
オベロスは驚いて彼女を見つめます。

オベロス:どうしたことだ?!
ウィアー:あなたがこうすることは分かっていたわ。
     だから先に仕掛けたの。
     私には勝てないわ、オベロス。
     レプリケーターはチームを捕えてはいない。
     全てあなたの心に反映させた架空のシナリオよ。
     まだ見張りは向けないわ。
     その間に仲間は逃げだせるはず。
     あなたは侮っていたわね、オベロス。
     私はあなたたちを過小評価しなかった、でもあなたたちは私たちを過小評価した。
オベロス:(怒って)この都市からは逃げられないぞ!
ウィアー:多分ね、でも仲間はどうかしら。

廊下。
ジョンとロノンは動かないレプリケーターでいっぱいの回廊を走ります。

シェパード:エリザベスからの連絡は?
マッケイ:(ジャンパから)何も。
     彼女とコンタクトできない、追跡ができない、まるで姿を消したようだ。
シェパード:もし彼女がレプリケーターを動かなくさせたのなら、彼女はまだ生きている。
マッケイ:多分ね。
シェパード:それほど遠くにいるはずがない。
デックス:彼女を見つけ出す。
マッケイ:それなら早くした方がいい。
     レプリケーターが動き出す前に。
シェパード:ありがとう、ロドニー。

オベロスの心の中。

オベロス:あなたの粘り強さには驚嘆する、しかし2度目は無い。

エリザベスは目を丸くし彼を見つめます。
彼女が呼吸は荒くなります。

オベロス:限界のようだな、ウィアー博士。

二人は支配権争いのため動きが取れず見つめ合います。
数秒後オベロスは手を伸ばして彼女の手をつかみます。
現実世界の廊下では、オベロスは額に入っているエリザベスの手をつかみます。

そして顔をしかめ期待からエリザベスの手を抜きます。
ジョンとロノンがコーナーを走りまわって彼女の後ろに着くと、彼らはA.R.Gを向けます。
同時に彼女は顔をあげます。

シェパード:エリザベス。
ウィアー:(まだオベロスをじっと見て)ジャンパーに行って。
シェパード:一緒に来い。

ロノンはオベロスに銃を発射します。
しかし当たったもの効果はありません。

ウィアー:これ以上は抑えつけておけない!
シェパード:君をおいては行けない!
ウィアー:すぐに行かなければ、誰もここからは逃げられないわ。
     だから、行きなさい。
     (頭を少しジョンに向け)
     これは命令よ!

彼女の気を散らせる行為は集中力を欠きます。
オベロスは彼女の手を下に落とします。
すると彼の後ろにいたレプリケーターは武器を打ちながらロノンを目指して進みます。
ロノンはかがんでジョンをつかみ走り去ろうとします。

デックス:来るんだ!

シェパード:(悩んで)エリザベス!

レプリケーターがオベロスの後ろから回廊へと急いでやってきて、エリザベスは振り返ってジョンに大声で叫びます。
ウィアー: 行きなさい!

レプリケーターが彼女を囲むと、ジョンを見るエリザベスの最後の一瞥は気が狂ったような表情です。
レプリケーターが彼女の腕をつかむと、ジョンとロノンはコーナーを回り立ち去ります。

パドルジャンパー。
ジョンとロノンはジャンパに入ります。
ロドニーはほっとしてため息をつきます。

マッケイ:ああ、よかった。

ドアが閉まり始めると彼は船の後部を見まわします。

マッケイ:エリザベスは?

ロノンは残念そうに頭を振って副操縦席に進みます。

シェパード:ステルスモードは使えるのか?

ロドニーは悔しそうな顔で後ろを見つめます。

シェパード:ロドニー!
      どうなんだ?  
マッケイ:いや。
     まだ使えない。
     ステルスをアンチレプリケーターフィールドに変えたためパワーを消耗してしまった。
     ゼロPMをつなぐから、でも少し時間がかかる。
シェパード:それまでの間、逃げ切る必要があるな。

ジャンパは飛び立ち都市の上空へと出ます。

シェパード:ハイパースペースはどうなってる?
マッケイ:良くない。
     ゼロPMからパワーを吸い出すのはイレギラーだ。
     少しだけでも取り出せれば、なんとかなる…
シェパード:前方に2隻来たぞ。

武器がこちらに向かって発射されます。
ジャンパは揺れます。

シェパード:ロドニー?
マッケイ:もうちょっと時間をくれ!

再びジャンパーが揺れます。

シェパード:こっちは武器がないんだぞ!
マッケイ:くそっ!
デックス:早くしろ、マッケイ!
マッケイ:そんなに簡単な作業じゃないんだ!
     もし適切な出力を出さないと、ハイパースペースのウィンドウが開いた途端、燃えあがってしまう。
シェパード:前方に何かいるぞ。

前方の空間に巨大なレリプリケーターの戦艦がステルスモードを解除して出てきます。
彼らは皆恐怖でそれを見つめます。

シェパード:畜生。

彼はちらっとロドニーを見ます。

シェパード:奴らは武器を持っている。

彼はコンソールを操作します、しかし何もありません。
しかしちょうどその時右側からミサイルがレリプリケータの船のシールドにあたります。

シェパード:どうしたんだ?

それはレプリケーターの戦艦に向かって飛んでくる、そして発砲し続けるアポロでした。
レプリケーター戦艦は撃ち返します、しかしアポロのシールドは持ちこたえます。

エリス:(無線で)シェパード中佐、こちらアポロ。
    応答しろ。
シェパード:エリス大佐ですか?
エリス:そうだ。
    302用のベイが開けである。中に入って来い。
    急いだ方がいいぞ。
シェパード:了解、アポロ。
      そちらに向かいます。
マッケイ:随分とタイミングがよかったですね?
カーター:ついさっき着いたばかりよ、でもアトランティスを見つけられなかった。

ロドニーは驚きます。

マッケイ:サム?
     君なのか?
カーター:私よ、ロドニー。
     こっちにきたら説明するから。

シェパード:中佐、レプリケーターの惑星でウィアー博士を失いました。
      彼女を見つけ出して転送することはできませんか?

サムはコンソールを見てから、無線で応答する前にエリスに頭を振ります。

カーター:彼女のシグナルが見つからない。

ジャンパにいるみんなは残念そうな顔になります。

シェパード:…了解。

2隻の戦艦が攻撃をする中、ジャンパはF-302ベイに飛び込みます。
アポロはすぐに離脱してハイパースペースの中に飛び込みます。

アトランティス。
都市は再び完全にシールドに覆われ宇宙空間を飛んでいます。
コントロールルームで、ジョン、ロドニー、サム、ビルは壁のスクリーンを見ています。

マッケイ:ここがよさそうだ。
     M35-117。
カーター:ウィアー博士はそこを知っているの?
マッケイ:予備調査にもリストアップにもない場所だ。
     僕らが一度も考慮しなかった惑星を探した。
     あー、レリプリケータが彼女の頭を探っても、見つけられないはずだ。
シェパード:そうか…(しかめっ面をし)…よかったな。
マッケイ:(悲しげに)ああ。
     ほら、安定した大気だ、それに大きな海。
     大陸にいる大きな毒ヘビのような生きもの以外、僕らを歓迎しているようじゃないか。

ジョンは彼にうなずきます。

マッケイ:よし。
     (ヘッドセットを作動させます)
     ラデク。
     準備はどうだ?
ゼレンカ:(無線で)準備完了よ。
     ZPMはつなげた。
マッケイ:オーケー。
     これで行けるぞ。

都市はハイパースペースに入ります。

新しいランテア。
アトランティスがハイパースペースから出てきて惑星を目指して進みます。
ジョン、サム、ロドニーはコントロールルームのまだ壊れた後の窓に歩いて外の新しい星を見つめます。

シェパード:ようやくきたな。
マッケイ:まだこれを降ろす問題が残っている。
シェパード:ああ。
      俺が椅子に座ってこいつを降ろせばいいんだろ。
カーター:それはイレギュラーね。
     ここにつくまでにZPMをかなり消費してしまったから。
シェパード:再突入の際、シールドを保つ十分なエネルギーは残っているんだろな?
マッケイ:そう願うよ。
     このサイズだ、おそらくものすごい摩擦熱を発するだろう。
     あまりにも早いスピードで突入すると危険だ。
     シールドに負担がかかり粉々になるか、燃えあがるかどちらかだ。

ジョンは苦虫を潰したような顔になります。

シェパード:そうはならないようにしないとな?
マッケイ:えっ?
シェパード:皆にシートベルトを締めるように言ってくれ。
      行くぞ。

彼は椅子ルームに向かいます。
ほかの皆はコントロールルームの中に戻ります。

まもなくその後。
ジョンはコントロールチェアーにいます、目を閉じ集中し頭に都市を思い描きます。
コントロールルームで、テイラとロノンが近くに立つ脇で、サム、ロドニー、ビルは種々のコンソールをチェックします。
都市は少し振動しています。

カーター:シールド保持。
     問題ないわ。

ロドニーは嫌そうな声を出します。

テイラ:どうかしたの?
マッケイ:角度が急すぎる。
     もしこのまま突入すれば、ゼロPMが消耗しシールドが破られる。
     シェパード、危険な角度で突入している。
     もう少し再突入の角度を調整する必要がある。
リー:もう、突入している。
   こんなことは想定…
カーター:ビル!
リー:分かりました、分かりましたよ。

都市が大気に触れ底面が燃え上がっています。
コントロールルームでの振動はもっと激しくなります。
ジョンは椅子で集中し続けます。

マッケイ:(無線で)角を修正しろ!
シェパード:それはもう聞いた、ロドニー。
マッケイ:それならどうして角度が変わらないんだ!

振動はもっと激しくなります。
コンソールにしがみついていたテイラは身を引き締めるために両手でつかみます。

マッケイ:待ってくれ!

都市は急降下し続けます。

リー:海の上だ!
マッケイ:シェパード、速度を緩めろ。
     水の上に中に入ってしまうぞ。
シェパード:了解。

高層大気から離れて、都市は大洋に向かって落下します。
ジョンは集中し続けます。

マッケイ:まだ早すぎる!
     速度を落として!
     池の表面に落ちる木の葉のように穏やかに着水してくれ。

強い振動があります。
皆が前方へ投げだされます、そしてテイラとロノンはころばずにいようと踏ん張ります。
都市は海の表面に着水して横滑りして止まります。
海面をゆっくりと小さな津波が四方八方に離れていきます。
ずり落ちためがねをかけ直しながらビルはコンソールや他の機器を見まわします。
ロドニーは上をにらみつけます。

マッケイ:(皮肉に)いい着陸だ!

椅子がまっすぐなポジションに上がりジョンはきちんと座ります、そしてライトは消えます。
彼は情報を待って用心深く見回します。

カーター:どうなの?
マッケイ:システムは正常のようだ…
     ゼロPMもパワーは残っている。
カーター:シールドを解除して。

ロドニーはシールドを解除します。
サムは無線でジョンに報告します。

カーター:シェパード中佐、成功よ。
     都市は海の上に安全に浮いているわ。
     すばらしい着陸ね。

ジョンはほっとして静かにため息をつきます。

シェパード:ありがとうございます。

しかし彼はエリザベスがここにいないことを悟り彼の表情は沈みます。

夜。
アトランティスの新しい星の最初の夜空を見ます。
空に2つの月があります。
エリザベスのオフィスで、テイラは机から悲しげに写真を手にします。
彼女がうつむいてそれを見つめているとロノンが入って来ます。
彼女が机の上のプラスチックボックスに写真やラップトップを入れていると、彼は彼女に近づきます。

デックス:あの女が彼女の代わりか?

テイラは悲しげにため息をつきます。

テイラ:わからないわ。

彼女はエリザベスの父親の時計の鎖腕時計を取り上げて見下ろします。

デックス:誰が来たとしても、変わることはない。

テイラはうなずきます。

テイラ:(小さな声で)そうね。

彼女が腕時計をボックスに入れると、ロノンは穏やかに彼女の肩にそっと手を置きます。
テイラは涙をこらえようと目をそらして、それから手を伸ばして彼の手に手を置きます。


コントロールルーム。
ロドニーはコンソールに向かって座っています。
その後にはサムとビルがのぞき込んでいました。

カーター:オーケー、やってみて。
マッケイ:分かった。

彼はコンソールの8つのボタンを押します。
ロドニーがそれから中央のボタンを押すと、彼ら3人はスターゲイトを見ます。
ゲイトが開きます。
近くの壁のスクリーンを見ていたラデクは振り返ってその光景に笑みをうかべます。

カーター:こちらアトランティス、スターゲイトコマンド応答願います。
     聞こえますか?

長い間があり、それから声が通信器を通して伝わります。

声:聞こえます、アトランティス。
  あなたの声が聞けてよかった。

ロドニーはほっとしたため息をつき、サムは微笑します。

カーター:私もよ。
     ランドリー将軍に私たちのいる位置が確定したって知らせて。

後部のスクリーンを見ていたラデクは悲痛な叫び声をあげます。

ゼレンカ:ロドニー?
マッケイ:何だ?
ゼレンカ:長距離センサーがレプリケーターの惑星から戦艦が衰えた発進したのをとらえた。

ロドニーは立ち上がって壁のスクリーンに向きます。

ゼレンカ:でもこっちに進んで来てるわけじゃない。

ロドニーはスクリーンを指さし目的地を指し示します。

マッケイ:レイスの惑星だ!
     攻撃コマンドが活性化したに違いない。
     (微笑します)
     わかってる?
     機能したんだ!

ロドニーが驚いて微笑すると、ラデクはうれしそうに笑います。

外のバルコニー。
ジョンが海をじっと見ているとサムがやってきます。

カーター:ここにいたの?
シェパード:(空を指し)月が二つある!
カーター:実際には、5つよ。
     肉眼で見えるのは2つだけど。
シェパード:本当か?
カーター:ええ。
シェパード:はぁ!
      聞いたかい、ロドニーがブリッジに再接続したって。
カーター:ええ。
     ランドリー将軍も私たちの無事を知って安心してたわ。
シェパード:そうだ、興奮しててお祝いをいうチャンスがなかった。

サムは理解できず眉をひそめます。

シェパード:大佐に昇進だそうだな。

彼は気軽に彼女に敬礼をします。

カーター:ああ。
     ありがとう。
シェパード:それで、ここに残るのか?
カーター:いいえ。
     ランドリー将軍がリー博士と私にここでの状況説明を求めているの。
     万一に備えて、アポロがこの軌道上で待機しているわ。

ジョンはうなずきます。

シェパード:俺達を守ってくれるわけだ。
      危ない任務だな。
カーター:あなたたちが背負ったリスクに比べればどうってことないわ。
     正直言って、これほどうまくやり遂げたことに驚いているわ。

ジョンはしかめっ面をします。

シェパード:俺達は多くの犠牲を払った。

カーター:(静かに)ええ。
     ランドリー将軍も悔やんでいたわ。
     ウィアー博士を失ったことに。
     全員そうよ。
シェパード:俺達は諦めてはいない。
      もし彼女がまだ生きている可能性があるなら、彼女を見つけ出す。
カーター:分かってるわ。

おしまい。