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スターゲートアトランティス シーズン4

第63話 − リユニオン
4X03 - REUNION

とあるオフワールドの村。
長い革のコートを着たロノンとテイラが村の中に入ります。
一人の村人が彼らが近づいてくるのを見て、座っていたベンチから跳び上がって微笑みながら走ってきます。

「神に感謝を、ここが目的地です。」

彼はテイラに微笑みながら彼女を褒め称え周りを歩きます。

「これは想像していたより美しい。」

テイラとロノンは理解できずに眉をひそめます。

「何だ?」
ロノンが尋ねると村人が応えます。
「見合に来たのでは?」
「いいえ。」
テイラは否定します。

村人はがっかりして頭を下げますが、元気を取り戻し再び彼女にほほ笑みます。

「結婚相手を探してるのでは?」
「いいえ。」
村人は再びがっかりします。
「そんな。それならこの村に何の用が?」
「私達はレイスキラーと呼ばれる者達がこの町にいると聞いたんですが?」
テイラは村人にこの村に来た理由を言います。
「セティダ人だと思うんだが。」
ロノンは尋ね人の出身惑星の名を言います。
セティダはロノンの出身惑星ですがもうレイスのせいで残ってはいません。
「ああ、はい。それなら居酒屋で毎日飲んで騒いでいる3人のことでしょう。」
「あたりのようだな。」
ロノンはニヤリとします。
「そこの宿に泊まってますよ。」
「ありがとう。」
テイラは礼を言います。
「どういたしまして。」
村人はそう言うと彼女に近づきます。
「あなたは結婚相手を探すべきだ…」

ロノンが村人の前に威嚇するように出ると村人は慌てて走って逃げていきます。
ロノンはテイラに向かって引き返します。

「よし。 俺は宿を見てくるから、居酒屋を見てきてくれ。」
彼は歩き去ります。
「分かったわ。」

彼女は居酒屋に行き中に入ります。
中に入ると彼女は客を見ながらバーに近づきバーテンに微笑みかけます。

「こんにちは。
 最近ここに来た3人組を探してるんだけど。
 大食いで、大酒飲みで、最近レイスを大勢倒したって言いまわってるって。」

バーテンが口を開く前に、近くのテーブルから男が立ち上がって彼女に近づきます。

「あんたが探している奴らは本当に勇敢なのか、馬鹿のどっちかだ。」
「どんな風に?」
「まあ、もしその自慢話がレイスに聞かれたら大変な事になる。」
「レイスがどこで聞いているか分からないものね。」
「それだけじゃない。 レイスに言う奴も出てくるからな。」
「私の探してる人達を知っているの?」
「悪いな。
 自分の事しか興味ないんでね。
 君がその一人かもしれないだろ。
テイラは不愉快そうに微笑みます。
「アドバイスに来たんだけど、違うみたいね。
 頼んでもいないのに近づいてくるなんて。」

彼女は歩き去ろうとしますが男は彼女の左手首を掴みます。
テイラは掴まれた手を見てから彼を睨み付けます。

「そんな態度じゃ怪我だけじゃすまなくなるぞ。」

彼はニヤリと彼女に微笑みます。
テイラはムッとした顔で掴まれていない右手でタイヤを殴ります。
男は最初の攻撃は阻止しましたが二度目以降は顔に当たります。
直に近くのテーブルに座っていた別の男と女が立ち上がってテイラト争っている男に近づきます。
二人は加勢に入ってテイラを取り抑えます。
加勢に入った女は取り押さえたテイラの喉元にナイフを押し付けます。

「最初は耳がいいかしら、それともそのかわいい目?」

その時ロノンのブラスターがパワーチャージしている音が聞こえました。

「お前の頭なんかどうだ?」

テイラを取り押さえていた二人は振り返り出入り口でブラスターを向けているロノンを見ます。
ロノンは彼らの顔を見ると、笑顔になりブラスターを降ろします。

「ロノン!」
女はロノンを見て破顔します。
デックスはブラスターをホルスターに戻します
「アラ! ラカイ!」
ロノンは二人の名を呼びます。
最初にテイラに近づいた男は「タイヤ」、もう一人の男は「ラカイ」、女の名は「アラ」です。

アラはテイラを解放して嬉しそうにロノンに近づき彼に抱きつきます。
ロノンは彼女を抱きしめて宙に抱きかかえます。
ラカイも武器をしまい嬉しそうにロノンに抱きつきます。
テイラはしかめっ面で再会に喜ぶ四人を見ながら殴られたあごをさすります。

アトランティス。
ラディクがタブレットを見ながら廊下を歩いていると、ロドニーが笑みを浮かべながら歩いてきます。
「おい。 うわさを聞いたか?」
ロドニーはゼレンカに声を掛けます。
「いいや。 何のうわさだい?」
「気にしないでくれ。 忘れてくれ。」

マッケイはゼレンカを通り越し廊下を歩き続けます。
ゼレンカは振り返って彼の後を追います。

「待ってくれ。 何の話だ?」
「いや、こんないい加減な話をしたら無責任だからな。」
ロドニーは少し躊躇ってから話を続けます。
「分かった、I.O.A.がついに最終決定をしたんだ。
 アトランティスの新しいリーダーを選んだんだ。」
「誰だい?」
「まあ、正式発表じゃないが、
 エンシェントのテクノロジーとレプリケーターの最も重要な専門家だという事だ。」
彼はニヤリとして両手で自分自身を指し示します。
「誰だと思う?」

ラデクの目は驚いて丸くなります。

「君か?!」
「ああ! 他に誰がいる?」
「まあ、科学的知識者だって聞いてはいたけど…」
「だから? ここの科学部門は誰が責任者だ?」
「ああ、それは君だ。」
「その通り。」
ロドニーは立ち止まって、不安そうにします。
「だが、少し不安なんだ?
 都市だけじゃなく、銀河全体に影響を与える決定をするんだろ。」

ラデクはゾッとして彼を見ます。

「ああ、恐いね。 とっても、怖いよ。」
「もう一つは、リーダーは決して結果論で判断をしない。
 挑戦するしかないな。
 分かった、誇りに思うよ。
 ラデク、君は僕の誇りだ。」

マッケイは彼に舌打ちをして歩き去ります。
ラデクは顔を恐怖に引きつらせながら彼の後姿を見送ります。

コントロールルーム。
ジョンが壁のスクリーンに向かって話をしています。

「レイスとレプリケーターの戦いは最高潮です。
 聞いたところによるとレプリケーターは最後の攻撃で大失態をしたということです。」

スクリーンにはサマンサ・カーターが映っていました。
スターゲイトは開いており、彼女はスターゲイト司令部から話をしていました。

「それはいいニュースね、ジョン。
 見事だわ。」

ロドニーが近づいてきてジョンに挨拶をします。
「やあ。」
シェパードはサムに言います。
「報告書を準備しておきます。」
マッケイはスクリーンに映っているカーターを見て驚きます。
「サム! あー、何かニュースか?」

彼は期待した微笑を浮かべます。

シェパードはロドニーに説明をします。
「ここの司令官の変更の準備だ。」
「話さなくてもいいよ。 もう知ってるから。」
カーターは少し驚いたように言います。
「本当に?」
「I.O.A.はとてもいい選択をした。」
カーターは微笑みます。
「ありがとう、ロドニー!」
「いやいや、お礼には及ばない…」
彼の微笑が色あせ始めます。
「何だ?」

サムは不審そうに頭を傾けます。
ロドニーは何か違っている事に気づき顔が曇り始めます。

「あー、”ありがとう、ロドニー”って、
 いやいや、ちょっと待ってくれよ。
 つまり君は…」
「ああ。 彼女が新しい俺達のボスだ。」
ジョンがサムの就任を伝えます。
ロドニーは彼に微笑んで肩をすくめるサムを見つめます。
ロドニーは微笑みますが直ぐにがっかりした顔になります。

ロノン達のいる村。
テイラ、ロノン、タイヤ、アラの四人は居酒屋のテーブルに座っています。
タイヤはジョッキを傾けて酒を飲んでいます。

「お前らはもう死んでいると思ってたぞ。」
ロノンが言うとタイヤが応えます。
「信じろ、俺達は生きている。」
「どうやってセティダを襲ったレイスから逃れられたの?」
テイラが尋ねるとそこへラカイが四つのジョッキを持って来て皆に配ってから座ります。

「俺達はそこにはいなかったんだ。」
タイヤが応えるとテイラは更に聞き返します。
「どういう事?」
ラカイがそれに応えます。
「最初にレイスに反撃しようと決断したとき、
 俺達はただ奴らが来るのを待ってなかった。
 いくつかの砦に攻撃を仕掛けた。」
タイヤが後を続けます。
「奇襲作戦だ、潜入して攻撃、そして脱出。
 その時脱出をミスったんだ。」
ロノンがそれを聞いて話します。
「お前らがいる場所をダーツが攻撃したのを見た。」
「お前は知らないと思うが、俺達は山腹の洞窟に通路があるのを見つけたんだ。
 レイスが攻撃をしたときに入口が閉ざされ閉じ込められた。
 掘り返して出るまでに3日かかった。」
タイヤが応えるとラカイが続けます。
「その時、表にはレイスが沢山いた。
 奴らは攻撃準備をしていたのは明白だった。
 ゲイトたどりついて戻るまでに二週間かかった、遅すぎたがな。」
「セティダに戻ったときには何も残ってなかった。」
アラが続けます。
「すまなかった。 お前らを置き去りにしてしまった。」
ロノンは謝ります。
「バカ言うな、ロノン。
 お前が第2部隊をゲイトに返したあの時、
 ダーツが現れるのを予測するのは無理だったんだ。
タイヤの後にラカイが続けます。
「もし俺がその立場でも同じ事をした。
 そうなったらセティダで皆と一緒に死んでただろうな、
 お前が生き残った訳も、奴らがお前をランナーにしたからだろう。」
「それをどこで聞いたんだ?」
ロノンが驚いて聞くとタイヤが応えます。
「だいぶ前に聞いた。」
「奴らはあんたの事を身長7フィートで五人力だって言ってた。」
アラが続けます。
ロノンはニヤリとします。
「噂は大げさになるからな。」
ラカイが更に続けます。
「奴らはお前が百人ものレイスを殺したと言っていた。」
「その部分はあっている。」
ロノンが否定しないとラカイはニヤリとしてクスクス笑います。

「それじゃあ…」
タイヤはジョッキを掲げます。
「敵からの攻撃を免れた友の再会と死からの生還に。」
皆はジョッキを手にして持ち上げジョッキを合わせます。
「乾杯!」

地球。
スターゲイト司令部。
サムは第一種正装に身を包み、寂しそうにSG-1のユニフォームをスーツケースに入れ閉じます。
出入り口でティルクが彼女を見つめて立っています。
彼が話し出すとサムは入り口を見ます。

「俺がチュークラを去るとき、マスター・バータクが言った。
 ”過去を忘れるな、だが過去に囚われるな”と。」

彼は部屋の中に入ります。

「素晴らしいアドバイスだわ。
 でも私はこの場所から出て行くのが辛いのよ。」
ティルクは微笑みます。
「何も感じていないなら、怒っていたところだ…」
「10年は長かった。」
「充実した10年だった。
 我々は多くの敵を破り、多くの脅威に打ち勝ってきた。」
サムは微笑します。
「決してつまらなくはなかった。」
「我々はここで多くの事を達成した。
 しかし今、君を必要としているのはアトランティスだ。」
「ええ。
 心の一部は行くのを楽しみにしてる、
 でもここの仕事を中途半端で行くのは気が引けるの。」
「君の仕事は別の場所で続くんだ。
 これは君に与えられた信じがたい名誉だ、カーター大佐。
 君なら勤まると俺は信じている。
 そしてこれだけは覚えておいてくれ、
 俺達は共には行けないが、SG-1は常に君と共にあることを。」
サムの目には涙が潤んでいます。
「いつか訪ねに来てくれるわよね?」
「野生馬のようにな。」
サムはニコリとして彼に近づき抱きしめます。
「いい返事を聞かせて。」
サムの肩の上のティルクの顔は寂しげでした。
「分かった。」
サムはしばらく彼を抱きしめていましたが、彼から離れ涙をぬぐいます。
「ええ。 時間だわ。」
彼女はスーツケースを手にしてティルクと一緒に部屋を出て行きます。

アトランティス ゲイトルーム。
ゲイト前の階段とバルコニーには多くの科学者や技術者が立ち並び、
ジョンはロドニーとラデクがいる階段下に降りてきます。
ジョンはロドニーが持っている小さいバスケットを見ます。
「それは何だ?」
「色んな地域のフルーツだ。 いいと思ってね。」
「古臭いな。」
ロドニーは苛立ちます。
「何で? それなら何がいいと思う?」
「こういう時は花だろう、彼女の部屋が華やかになる。」
「ふーん、花ね。」
彼は技術者にバスケットを手渡します。
「なあ、これを持って行って…ほら。」
技術者が歩き去るとジョンはにやにや笑います。

ゲイトがダイアルされイベントホライゾンが開くと、サムがイベントホライゾンから歩いて出てきます。
ゲイトの脇にいた海兵隊員が彼女に近づき彼女のケースを受け取ります。
彼女が笑顔で近づいていくとジョン、ロドニー、ラデクも微笑んで近づきます。

シェパードが最初に声を掛けます。
「カーター大佐、アトランティスにようこそ。」
「ありがとう。 ここに来れてうれしいわ。」
彼女は皆に微笑みかけます。
ジョン、ロドニー、ラデクはサムの脇に並びサムが他のメンバーに直面します。
「えー、私がこの決定を受け入れる事がどれほど光栄な事だったのか皆に知って欲しいわ。
 あなた方や私にとってこの遠征はとても重要な事です。
 アトランティスにとっても。
 皆さんと一緒に働くことを楽しみにしています。
 ありがとう。」

皆が解散するとロドニーは彼女に話しかけます。

「いいスピーチだった。」
「ありがとう。
 結婚式や授賞式でも同じよ。
 早めに言ってくれないとね。」
シェパードが先を促します。
「それじゃ新しい部屋に案内しましょうか?」
「ええ。」

ジョンが歩き出すとサムはロドニーに向きます。
「ロドニー。」
「サム。」
ロドニーは嬉しそうにジョンの後に続く彼女の後姿を見つめます。
ラデクはロドニーに向き何を見ているのか眉をひそめます。
それに気づいたロドニーはごまかそうとします。

ロノン達のいる居酒屋。
ロノン達はまだテーブルで座っていて腕をテーブルの上に出していました。
ラカイが刺青を入れる機械でロノンの腕に刺青を彫っています。
ラカイが同じ場所を執拗に針を打ち込むとロノンは痛みに呻きます。
「おぅ!」
ラカイがロノンの顔を見るとロノンは彼の横っ面を引っ叩きます。
ジョッキで飲んでいたアラはそれを見て吹き出すのをこらえます。
「痛てえじゃねーか!」

アラはくすくす笑います。
ロノンは他の仲間ににっこり笑います。

「お前ら、今までどうしていたんだ?」

タイヤ「ああ、食べて、飲んで、レイスを殺していた。」
ラカイ「その繰り返しを数え切れないぐらいにね。
    かなりうまくやってたさ。」
アラ「12隻のダーツも撃墜したし。」
ラカイ「「ああ!」

ラカイはロノンの入れ墨に戻ります。

タイヤ「俺達は武装していつでも動けるようにしている、
    そしてたまにはいい情報も聞ける。」
デックス「そいつはかなり良さそうだな。」

ロノンはジョッキを取り上げ飲みます。

タイヤ「だが何人かは犠牲になった。」
デックス「そりゃ、どういう意味だ?」
タイヤ「洞窟で助かったのが5人。
    だが最初のレイスの襲撃でマリカを失い、去年ヒミを失った。」

ロノンは悲しげにため息をつきます。

アラ「簡単じゃなかった。
   たいして働いてないけど、なんとかなってる。
   十分じゃないけど。」
デックス「それなら力になれるかもしれない。
     人も設備もある。
     友人達と俺、俺達で…」

ロノンがテイラに向くと彼女は彼を睨み付け彼は次第に言葉を濁します。

デックス 「あー…
      とにかく、まあ…」
ロノンは再びジョッキを掲げます。
「マリカとヒミに。」
タイヤ、ラカイもジョッキを掲げます。
「マリカとヒミに。」
彼らは皆でジョッキを打ち合わせて飲みます。

アトランティス。
サムの部屋。
種々のケースと箱が部屋に持って来られます。
ベッドの上で開いているスーツケースにはアトランティスのパッチのついた黒い革ジャケットがあり、
その脇には写真たてに入っているジャック・オニールの写真があります。
一人の技術者が部屋の中に箱を持って来て置くと、
礼装用のジャケットを脱いだサムはテーブルに小さなプラスチックの箱を運びます。

「ありがとう。」

技術者が部屋を出て行くとすれ違いにロドニーが小さな花束を持って入って来ます。

「あら、ロドニー、どうぞ。」
「ああ、少し部屋を明るくしようと思って持ってきた。」
「あら、ありがとう。 かわいい花ね。」
サムはテーブルを指差します。
「そこに花瓶があるわ。」

サムが荷を解き続けるために振り返ると、ロドニーは微笑して花瓶の置いてあるテーブルの方に向きます。
するとテーブルの上には最初にロドニーが渡そうとしたフルーツバスケットが置いてありました。
サムは振り返って彼が何を見ているのか見ます。

「ああ、シェパード中佐がそれを持ってきたの。
 聞いたところではここの取引相手の星の果物だって。」
「ふーん。
「なかなか思いやりがあるわよね。」
「クッ…」

彼は怒って花を花びんの中に投げ入れサムに向きます。

「とにかく、アトランティスにようこそ。
 何か用がないかと思って来たんだ。
 何か必要な物とか…誰かに会いたいとか?」
「何?」
「僕とか誰かに会いたいとか。
 僕がここに来たのは君が着たからで、
 これからずっと一緒に働くわけだし、過去の事は…
「”過去”って?」
「そのー、過去にあった僕らの確執がずっと引っかかってて。」
彼は笑ってポケットに手を突っ込みます。
サムは頭を振ります。
「ロドニー…」
「二人の関係がギクシャクするのはイヤなんだ、あー…」

サムは彼がまだ気にしている事に唖然とし、彼は言葉を弱めます。

「…どちらかって言うと。」

サムは落ち着かないで微笑します。

「ロドニー、私は気にしてないわ。」
「もちろん!
 僕も平気だし、僕は君の事を…」

ロノンが入って来てまっすぐにサムに近づきます。

「あんたがここに来たって聞いてな。」
「あー、ロノン、カーター大佐だ。
 サム、ロノンだ。
 彼は…」
「セティダね、あなたのチームのメンバーの。
 もちろん知ってるわ。
サムはロノンに近づきます。
「私に何か?」
「何人か友人をアトランティスに連れて来たいんだ。
 あんたに了解を貰おうと思ってな。
「残念だけど、少しセキュリティの見直しをするつもりなの。
 当分の間アトランティスへは外部からの訪問者は許可できないわ。
「誰の権限で?」
「I.O.A からの指令よ。」
「奴らは関係ない。」
ロドニーがロノンに言います。
「ロノン、彼女は…」

サムはロドニーが言いかけるのを手を上げて制します。

「今いるここがどれほど無防備なのか分かってるわよね。
 この基地を隠さないといけないのは緊急なの。
「それは分かってる。
 俺の仲間だ、保証する。」
「分かったわ、でもしばらくは新たな惑星でも新たなルールを適用します。
「そして新たな担当者がな。」

彼は彼女に近づき見下ろします。
彼女は彼の凝視を見つめ返します。

「ウィアーなら俺を疑わなかった。」
「オーケー、まず第一に、ロノン、私はあなたを疑ってないわ。
 この新しいルールはこの基地全員に適用されるの。
 そして第二に、私はウィアー博士じゃない。」

ロノンは彼女を見つめたまま後ろ向きに後退し部屋を去ります。

「うわーっ! 彼っていつもあんな感じ?」
サムはロドニーに尋ねます。
「いや、いや。 今日はいいほうかも。」

OFFWORLD 惑星。
村の広場でタイヤが3人の小さな子供たちに空手の技のような動きを教えています。
彼のリードに引き続いて子供達は拳を握り腕を突き出します。
「そうだ!」
タイヤは子供たちの動きを見て声を掛けます。
そこへロノンがやってきました。
「おい。」
「早かったな。」
タイヤは子供たちに言います。
「終わりだ。」
子供達は解散し、彼はロノンに近づきます。
「ああ、まあな。」
「もっとゆっくりでよかったんだ。
 俺達はここが気に入ってるしな。
 もうしばらくここにいたい。
「次はどこに行く気だ?」
タイヤは肩をすくめます。
「どこでもいい。
 縛られない事が好きなのさ。
 どこへも行けるという事は、指名手配されてないっていうことだ。」

ロノンはしかめっ面をします。

「そうか、俺達の仲間に招待したかったんだが…」
「気にするな。
 分かってるさ。
 誰もがアトランティスへ招待されるわけじゃない。

ロノンは立ち止まって顔を伏せます。

「そんな風に見るなよ。
 お前も俺達と同じぐらいこの銀河の旅を続けていれば、
 遅かれ早かれエンシェントの都市に行った人間達とランナーの事を耳にするさ。」
「すまなかった。
 始めっからお前達に話しておけば良かった。
「彼らはお前を信頼した、そしてお前はそれに応えたんだろ。
 俺はそう思っている。」
「ああ、だが…」
「何だ? 彼らが例外を認めるとでも?」
「俺はあいつらを仲間だと思っていた。
「いや。
 お前は同盟者だ、客にすぎない。
 俺とラカイ、アラがお前の親友だ。
 彼らを疑ってるわけじゃない、お前を助けたんだからな。
 聞いた話じゃレイスを倒す事にかけてはお前の右に出るものはないそうじゃないか。
 お前はそれを誇りに思うべきだ。
 でも、それとこれとは話が別だろう?
 お前と再び出会えた事で、俺達はお前を仲間にしたいと思っている。」

アトランティス。
サムがコントロールルームの外のバルコニーで外を見ているとジョンがやってきます。
彼女はアトランティスのユニフォームに着替えていました。

「いい眺めでしょ?」
「正直言って、少し圧倒されるわ。」
「あなたの事を知っている者からみれば、その言葉は疑いますよ。」
「知ってる、ジョン、あなたの名前が最終候補者リストにあったのを。」
「ええ、知ってます。
 彼らがエリザベスに求めたのは、政治と行政の手腕。
 別に羨ましいとは思ってない。
 あなたの事もね。
「ありがとう!」
「俺達の多くはまだエリザベスが亡くなったとは信じてない。
 彼女はまだそこにいるんだと。」
「あなたも本当に彼女がまだ生きているという可能性があると?」
「確認する方法は一つだけだ。」
「あそこに戻るってこと?」
「もっと早くするべきだった。
 だがI.O.A.が妨害してきた。
 あなたが担当している今なら、許可をくれますか?」
「申し訳けないけど、あまりにも危険過ぎるわ。」
「前の時よりは危険は少ない。」
「状況は異なってるし、彼女の能力はもうないのよ。」
「そう、彼女は俺達のためのその能力を使った。
 俺達がここでこうしてられるのは彼女のおかげだ。」
「私を信じて、私は誰かを置き去りにするのは好きじゃない。
 でも特攻作戦であなたや誰かを送るつもりはないの。
 あなたは作戦を持ってきた、成功する確立は少ないけど、私も考えてみる。
 不満だろうけど、ジョン、分かって。
 今の私にはこれしか言えない。
シェパードはいやいやながら応えます。
「分かりました。」

ジム。
ロノンはアソスの戦闘用スティックを振り回しながら、
目隠しをして部屋の真ん中に立って同じ武器を持っているテイラの周りをゆっくり歩きます。
彼女はロノンが振り回すスティックが立てる音や足音を聞き分け向きを変えます。
ロノンがテイラの右側をスティックでフェイントをかけます。
しかし彼女は頭を回して音に向かっては突きません。
ロノンは彼女に向かって攻撃をかけます。
しかし彼女は打撃をスティックで交しロノンの右顔を打ちます。
彼は唸って方ひざをついて手で顔を抑えます。

「今日は注意力散漫のようね。」
「いや、大丈夫だ。」
「どうかしたの?」
「何でもない。 大丈夫だと言ったはずだ。」
「それなら、訓練を続けるわよ。」

彼女は再びロノンの顔を打ちます。
彼は再び顔を抑えます。

「何でもない。」

テイラは再び彼の背中をスティックで叩きつけます。
彼は唸って立ち上がり彼女から逃げます。

「分かった! 叩くなよ!」

テイラは目隠しを外して待ちます。

「俺はアトランティスを出て行こうと考えている。」

テイラはどうしてという顔をします。

「どこに行くの?
 アトランティスとセティダの友達を天秤にかけたの?」
「あいつらは友達以上だ、テイラ。
 家族も同然だ。
 俺達はいつも一緒にいた。
 お前には分からないだろうがな。
「そうは思わない。
 私達アソスはアトランティスで暮らしてる。
 それは苦渋の決断だった。
 私はリーダーだった、今までに経験のない事をする。
 スターゲイトをくぐってここに来たとき、それが裏切り行為だと感じた事もあった。」
「それを乗り越えたんだろ?
「いいえ! あの時の決断を今でも悔やむ時があるわ。
 でも仲間を助けるためにそれ以上の事をしてきた。
 そしてこの銀河で生き残ってる人達にも同じようにできるようになった。」

大食堂。
ロノンはテーブルについて食事しています。
ジョンがトレーを持って彼の反対に座ります。
ロノンがジョンに尋ねます。
「テイラがもう話したのか?」
「ああ、少し話をしたい。」
「ふーん。 で、何を話したいんだ? 」
「何って?」
「言いたい事があるんだろ?」
「何もないよ。」
「本当か?」
「もう分かってるんだから、何も話す事はないさ。
 お前は俺のチームの貴重なメンバーだ。
 他にお前の代わりになる奴なんかいない。
「ウーム − ふーん。」
「お前は失ったものを取り返したいと思ってるんだろ?
 でもなセティダはもうない、仲間と一緒に行っても帰る場所はないんだ。」
「言ってくれるじゃねえか。」
「そうでもない。」
「なあ、俺は過去にしがみ付こうっていう気じゃない。」
「じゃあ、何なんだ?」
「あいつらが俺を必要としてるんだ。
 あいつらを手伝って、共に戦い、生きて家に帰してやりたいんだ。
「お前の体は1つだ、ロノン。
 永遠に仲間を守り続けることはできないぞ。
「たぶんな…だがお前らも手を貸してくれれば。
 レイスの次の目標情報を持ってる。」
「レイスとレプリケーターは今戦いの真っ最中だろ。
 今仕掛けるのは得策じゃない。」
「細かい話を聞けば、気が変わると思うぜ。」
「聞こうじゃないか。」
「まだだ。 タイヤ、アラ、ラカイが待ってる。」

OFFWORLD 居酒屋。
ジョン、マッケイ、テイラ、ロノンはテーブルを挟んでタイヤ、アラ、ラカイの前に座っています。

シェパードが尋ねます。
「レイスの研究施設を攻撃するっていうのか?」
タイヤは頷きます。
「正直言って、気が狂ってるとしか思えない。」
アラ「武器の研究施設よ。
   聞いたところによると、警備が手薄のようね。」
タイヤ「レイスは今戦闘状態にあるため、
    全ての施設を警備できる状態じゃない。」
マッケイ「待ってくれ、「無人」じゃなく「手薄」だって言っただろ。
     大違いじゃないか。」
タイヤ「それは重要じゃない。
    そのぐらいなら何とかなる。」
シェパード「それなら俺達は必要ないだろう?」
タイヤ「ああ、だが君らには俺達の作戦が終わった後の退路を確保して欲しいんだ。」
シェパード「なるほど。 俺達が運転手ってわけだ。」

タイヤはコートから研究室複合センターの地図を取り出してジョンの前に置きます。

タイヤ「これがターゲットだ。
    ゲイトから歩いて半日ほどの距離だ。
    だから君らの船で送ってもらい、援軍が駆けつける前に退避する。」
ラカイ「心配ない、あんたらには飛んでもらうだけだ。 仕事は俺達でやる。」
シェパード「それは思いやりがあるな。
       だが一度引き受けたからには、一緒に行動する。
マッケイ「そこに行ってどうするんだ?
      レイスの最新テクノロジーが手に入れたり、持ち出したりはできるだろうけど…」
シェパード「こいつが言いたい事は、こんな作戦に命を懸ける必要があるのかってことだ。
       多分あと1、2ヶ月でレプリケーターとレイスは両方とも弱体化する。
       それから昼飯を食べながら話をしても遅くはないだろう?」
デックス「奴らの取り組んでいるものの一つが、
      レプリケーターのレイスへの攻撃コマンドを解除する研究だ。」

アトランティスチームは一同驚いた顔になります。

テイラ「そんな事できるの?」
マッケイ「コードは以前一度効力を失っていた。
     つまり、それをやったのはレイスだと思う。」
デックス「そうさせるわけにはいかない。」
テイラ「そうね。もしレプリケーターとの戦いが終われば、レイスはまたこの銀河の人々を餌にするわ。」

タイヤはジョンを見ます。

タイヤ「それで…返事は??」

後に。
ジョンとロノンは村を歩いています。

「お前の相棒はかなり優秀だな。
 だが俺なら十分な準備もできてないのにこんな作戦を冒すのは、バカげてると思う。」
「こんな事は初めてじゃない。」
「だが俺達が組むのは初めてだ。 それが障害にならないといいが。」
「ああ、俺が仲間を率いる。 お前は自分の仲間をみろ。」
「この前までお前だって俺達の仲間だった。」

ロノンはため息をついて立ち止まります。

「ああ。」

ジョンは振り返ります。

「なあ、話すつもりでいたが、決めたよ。
 この作戦が終わったら、俺はアトランティスを出て行く。」

ロノンはジョンを残して歩き去ります。
ジョンはロノンの後姿を見送ります。

アトランティス。
ロノンの部屋。
ロノンは入口の壁パネルに手を当てドアを開けるとそこにはサムが立っていました。
彼女は少し申し訳なさそうに彼にほほ笑みます。
ロノンは彼女に入るように示します。

「入れよ。」

サムは彼の後について部屋の中に行きます。
部屋の中は物が散乱していました。
壁には三人のセティダが描かれた絵が飾られています。
その絵の空は赤く、左の男は剣を持ち、真ん中の男は銃を高々と上げ、右の男は銃を胸に抱えています。
ロノンは歩きながら荷物を拾い上げ袋に入れ始めます。

「荷造り?」
「ああ。」
「ここにある荷物の山が、あなたがここにいて幸せだったという証よ。
 アトランティスにいてよかったと。」
「ああ、そうだった。 今もな。」
「皆があなたのことを心配してるわ。」
「それは関係ない。 俺自身の問題だ。」

彼は荷造りし続けます。

「そういう事じゃないわ。
 あなたがアトランティスに住み始め時から、あなたはここの一員になったの。
 どう思っていてもあなたの居場所はここよ。
 皆もあなたを頼りにしてる。
 逃げ出すのは考えてるよりずっと難しいかもしれないわ。」
「逃げ出すわけじゃない。
 俺はシェパードのチームじゃない。
 ましてやあんたらのために命をかけるつもりもない。」
「私はあなたの忠誠心のことをいってるんじゃないわ、ロノン。
 あなたがアトランティスを出て行きたいっていうのなら、今は無理だけどいずれあなたの仲間とも。」
「俺達がうまくいってないのにか?」

サムはため息をつきます。

「もう一度考え直して。」
「俺がアトランティスの事を知っているから、俺を引きとめようとしているのか?」
「そうはならない事を望むわ。」

レイスの惑星。
パドルジャンパーがゲイトをくぐって出て来るとステルスモードで飛び去っていきます。
ジャンパーにはジョンのチームとセティダのチームの計7人が乗り込んでいました。

タイヤ「南の端に下ろしてくれ。そこなら帰りも抵抗に遭う可能性は低い。」
シェパード「分かった。」
タイヤ「着いたら俺達が先頭を行く。 あんたらには後ろ任す。」
シェパード「どこに行くのか分かってるのか?」
タイヤ「ターゲットは二階のどこかだ。」
マッケイ「あー、もう少し特定できないか?」
タイヤ「見取り図は持ってない、残念だがな。 二階はセキュリティが厳重だしな。」
テイラ「特定できないんなら、一緒に行動するのはどうかしら?」
ラカイ「この方がいい。 レイスの施設は迷路のようだからな。
    俺達が探した方がいい。」
マッケイ「おい、僕達ができないっていうのか?
     こっちだって初めてじゃないんだ。」
ラカイ「本当か? ならレイスを何人素手で殺した事がある?」
マッケイ「それとこれとは別の問題だ。」
ラカイ「同じだ。」
マッケイ「あのさ、僕達はレイス母船を丸ごとやっつけてるから。
     僕らと比べれば雲泥の差だろ?」

ラカイはロドニーに掴みかかろうとしますがロノンがそれを制し後ろへ押し返します。

デックス「落ち着け。」
シェパード「仲良くできないんなら、作戦は中止だ。
      目的地まではもう直ぐだ。
      それまではあんたらに従う。
      だが二階に着いたら二手に分かれる。
      それでいいだろ?」

タイヤはロノンを見ます、ロノンは彼にうなずきます。

タイヤはジョンに向きます。
「いいだろう。」
「よし。」

コントロールパネルがビープ音を出します。

シェパード「目標の場所に接近。」

レイス武器研究施設。
デックスのチームは力ずくでドアを開けると、周りを用心しながら武器を掲げて中に急ぎます。
シェパードのチーム3人は彼らの後に従います。
ジョンは時々ライフサイン探知器をチェックしながら進みます。
前方へ動いてロノンはレイスの見張りを撃ち倒します。
その音を聞きつけ見張りが彼らを目指して進みます。
しかしロノンとタイヤはレイスを撃退します。
タイヤが閉まっているドアを見つけ出します。

「ここがそうだ。」

彼はドアのそばのパネルにタイプし始めます、しかし何も起きません。

マッケイ「急いで!」
デックス「俺にまかせろ。」

タイヤがパネルから離れるとロノンはブラスターをパネルに発砲します。
パネルはショートし入口が開き小さな部屋が出てきます。

タイヤ「皆、中に。」

タイヤとジョンが監視をしている間、他の皆は部屋に入ります。
皆が入るとタイヤとジョンは後に続きます。
タイヤが内側の壁のパネルを始動させると入口が閉まり、
一瞬後にはレイスの転送ビームが彼らを転送します。
全員、施設のどこかに再び実体化します。
レイスの見張りが近くに立っていてチームが到着すると向きを変えます。
しかし全員で発砲してレイスを撃ち倒します。

タイヤは方向を指差します。
「俺達はこっちに行く。 お前達はあっちだ。」

ジョンは再びライフサイン探知器をチェックします。

シェパード「何か見つけたら連絡をくれ。」
デックス「ああ。」

デックスのチームが離れ始めるとロノンはジョンに振り返ります。

デックス「グッドラック。」

ジョンは彼に頷きま、それからテイラとロドニーは反対方向に歩き去ります。
ロノンはしばらく彼らの後ろ姿を見ていましたがアラが呼びかけます。

アラ「ロノン 。」
デックス「行くぞ。」

彼とアラは他の2人の後を急いで追いかけます。

シェパードのチームが廊下を進んで行くと食物貯蔵庫にたどり着きます。
数人の人間が繭の中に閉じ込められています。

シェパード「これは何だと思う? モルモットか?」
マッケイ「あるいはレイス用の自動販売機か。」
シェパード「こう言っちゃ何だが、今は助けてる時間がない。
      先を急ぐぞ。」
マッケイ「そうだな。」

残念そうに彼らは部屋を出て廊下の方に出て行きます。

シェパード「あまりにも静か過ぎるし、簡単すぎる。」
マッケイ「僕は静かで簡単の方がいいけどな。」

ジョンがライフサイン探知器を先に向けるといくつかのシグナルを示します。

シェパード「レイスだ!」

レイスの見張りがコーナーに来るとジョンはそこに向けて発砲します。
2人目の見張りが視界に入って来ます。
別の場所でロノン達はP-90の発砲音を聞きます。
すぐにロノンは向きを変えて音の方向にさっと走り去ります。

ラカイ「ロノン、待て!」

彼を制しようと腕を掴もうとしますがロノンは素早く走っていきます。
シェパード達の方は見張り次々とやって来ます。
レイスの一人が発射したショックガンがテイラに当たり彼女は倒れます。
発砲しながらジョンは後ろに下がりテイラのベストを掴んで下がります。
ロドニーは援護射撃をしながら後ろへと下がります。
ジョンがコーナーにテイラを隠すと外に走り戻って発砲し続けます。
ロドニーは廊下の閉じられたドアに走って壁のパネルを始動させようとします。

シェパード「ロドニー、ドアを開けろ!」

ジョンは近づいてくるレイスに発砲し続けて、ロドニーは壁パネルのボタンを押し続けます。
しかし入口は開きません。

マッケイ「畜生!」

ロドニーは後ろに数歩下がりパネルに向かって銃を撃ちます。
しかしそれでも入口は開きません。

マッケイ「おい、なんでだよ、ロノンだってできたのに!」

一方ロノンは廊下を走りながら視界に入ってくるレイスを撃ち倒します。

ロドニーはパネルの穴に手を突っ込みドアを開けようとしてます。
嫌な音をさせながらドアは開きます。

マッケイ「おい! 開いたぞ!」

ジョンがロドニーの方を見た瞬間、ショックガンに撃たれてしまいます。
ジョンが地面に倒れるのをロドニーは驚いた顔で見つめています。
直ぐにレイスの見張りが歩いてきてあたりを見回します。
2人目の見張りはジョンに近づき彼の銃を取り上げベストを掴んで無理やり引きずって行きます。
最初の見張りはテイラをにも同じことをします。
見張りのレイスが行ってしまうと入れ替わりに一人のレイスが歩いてきます。
レイスはあたりを見回しながらロドニーの開いたドアから出てきます。
ロドニーは繭の繊維を破り中に隠れて隙間から外を見ていました。

後に。
ロドニーは用心深くオドオドしながら廊下を進みます。
タイヤ、ラカイ、アラがコーナーに来ると、驚きますが彼らだと分かってため息をつきます。

マッケイ「ああ、よかった、君らで!
     奴らがテイラとシェパードを捕まえ…」

ラカイはショックガンを上げロドニーを撃ちます。
ロドニーが呻いて床に崩れ落ちると、一人のレイスが彼らの後ろから出てきました。

レイス「連れいけ。」

ラカイは屈んで気を失ったロドニーの顔を見ます。

ラカイ「どっちが素人だ?」

彼はベストを掴んで引きずって行きます。

アトランティス ゲイトルーム。
ゲイトは開いています。
ロノンは後ろ向きにゲイトを飛び出しながらイベントホライゾンの中に撃ち返して床に倒れます。

近くにいたラディクは驚いて彼を見下ろします。

ゼレンカ「ロノン! 何があったんだ?」
ロノンは立ち上がると歩き出します。
「すぐにカーター大佐に話がある。」

ラディクは困惑して階段を上っていく彼を見送ります。

レイス武器研究施設。
テイラは意識を取り戻してしいて閉じ込められている牢の外を見ています。
ジョンとロドニーは床の上に気を失ったままでしたが、ジョンが唸って気がつきます。
テイラは彼に近づきます。

テイラ「ジョン、大丈夫?」
シェパード「まるで二日酔いだ。
彼は身を起こします。
「ロノン達がここにいないのは幸いだ。」
ロドニーも苦しそうに起き上がります。
「そうじゃない。
 ロノンの相棒が俺達を売ったんだ。
 奴らのせいだ。
シェパード「何のことだ?」
マッケイ「逃げながら次の手を考えてたら…奴らに出くわしたんだ。
     撃たれたよ。」
シェパード「本当か?」
マッケイ「見間違えるはずはない。」
テイラ「ロノンは一緒だった?」
マッケイ「ロノンはいなかった。」

レイスと2人の見張りが出入り口に来ます。
レイスはロドニーを指し示します。

レイス「あれだ。」

ドアがスライドして開くと二人は立ち上がり見張りに近づこうとします。

シェパード「待ってくれ…」

見張りの1人がジョンを撃ち彼は再び床に倒れます。
見張りはロドニーのジャケットをつかんで牢から彼を連れて行きます。
テイラは心配そうに見ています。

テイラ「ロドニー!」

ドアが再び閉まります。

テイラ「気をしっかり、ロドニー!」
ロドニーは不安そうに言います。
「やってみるよ。」

アトランティス医務室。
医療補助員がロノンの腕の火傷を治療している腕を引き離します。

デックス「俺は平気だ。」

サムとラディクが近くに立っています。

デックス「シェパードと無線連絡しようとしたが、誰からの応答もなかった。」
ゼレンカ「セティダはどうなったの?」
デックス「俺達は分かれたんだ。 多分レイスに捕まったんだろう。」
ゼレンカ「簡単な作戦だと思ってたけど。」
カーター「オーケー、救援部隊を向かわせましょう。
     ゼレンカ博士、ジャンパーを用意して。」
ゼレンカ 「はい、大佐。」
デックス「待ち伏せされてるぞ。
カーター「二隻準備して。」

レイス武器研究施設。
ロドニーはレイスと一緒に歩いています。
その後を見張りが二人ついてきています。

マッケイ「僕をどこへ連れて行くんだ?
     僕は怖いのが苦手なんだ。
     子供のころクリスマスプレゼントをこっそり見るのだって。
     今でも覚えてる…」
レイス「我々はお前の助けが必要だ。」
マッケイ「何だって?」
レイス「お前はレプリケーターのベースコードを不法に変更した。」
マッケイ「何の話をしてるんだ?」

レイスは彼を見ます。

マッケイ「…分かった、多少はやったさ。 それがどうした?」
レイス「この事を奴らに対して行ったのは初めてじゃない。」
マッケイ「ああ、あんたらが攻撃コードを無効にしたのか。」
レイス「数千年前にな。
    我々はエンシェントに勝ち、この銀河は我々のものとなった。
    そして奴らが現れた。」
マッケイ「嬉しくはないわな…」
レイス「嫌悪さえ覚える。 奴らを生かしてはおけない。」
マッケイ「言い換えれば食べる事もできないから、何の役にも立たない。」
レイス「奴らは機械だ。 再プログラムしてやる。」
マッケイ「分かった、で、僕に何をしろと?」
レイス「もう一度非活性化ウイルスをアップロードしようとした。
    しかし失敗に終わった。
    お前が書き換えたプログラムを元に戻して欲しい。」
マッケイ「なるほど、分かった。 でもそう簡単にはいかないよ。」
レイス「モルモットなら用意してある。」
マッケイ「モルモット?」

部屋の入口が開きます。
中には空中に何らかの保護フィールドに包まれたレプリケーターの制服を着た男がいます。

マッケイ「レプリケーター! 何だよ!」

レイスはロドニーのジャケットをつかんで研究室の中に彼を押します。

アトランティス。
パドルジャンパーがゲイトルームに下りてきます。
ゲイトは稼動中です。
ジャンパーの副操縦席にはサムが、その後ろにはロノンが座っています。

カーター「考えたんだけど、私はあなたと一緒に未来を切り開きたいと思ってるの。」

ロノンは彼女に傾きます。

デックス「これが一緒にやる最初で最後の作戦だ。」

サムはニコリとして彼を見ます。

カーター「それなら最大限に利用するべきね。」

レイス武器研究施設。
ロドニーは動かないレプリケーターの前でラップトップコンピュータに取り組んでいます。
レイスが入って来ます。

レイス「マッケイ博士。 進捗状況は?」
マッケイ「あー、少しずつだが。
     つまりベースコードを元通りにするには、徹夜してもまだかかるって事。」
レイス「シェパード中佐とテイラがそれを聞いたらがっかりするだろうな。
    伝えに行こう。」

レイスは去ろうと振り返ります。

マッケイ「もう少し早くできるかもしれない。」

レイスは振り返ります。

レイス「時間稼ぎをしたいんだろう。
    救助隊が車でのあいだ。
    実際こっちに向かって来ているという連絡を受けた…
    だが返り討ちにしてやる。」

レイスは部屋を去ります。
ロドニーがレプリケーターの方をみるとレプリケーターは憎悪の瞳で彼を見つめていました。
ロドニーはしかめっ面をして仕事に戻ります。

施設の外ではパドルジャンパーが建物を掠めて飛びます。
2機のダーツが飛び立ちジャンパーを追いかけます。
囮のジャンパーがダーツを引き付けるともう一隻のジャンパーがステルスモードを解除します。

ジャンパー2パイロット「(無線で)オーケー、引っかかりました。」
カーター「ありがとう、ジャンパー2。」

彼女はパイロットに向きます。

カーター「行って、中尉。」
ジャンパー1パイロット「はい、大佐。」

ジャンパー1にはラデクも搭乗していました。

少し後。
ロノンが施設の外部ドアを開けます。
サムはしゃがみこんで床に手榴弾を転がします。
手榴弾は爆発して数人のレイスの見張りを倒すと、
煙が晴れる前にロノンは中に入り威嚇射撃をします。
サムは後方に待機していた海兵隊員に中に入るよう指示します。

海兵隊員「行け、行け!」

ラデクは中に入りながらハンドヘルドスキャナーで中を検索しています。
壁の方でスキャナーがビープ音を出します。
彼は指さします。

ゼレンカ「ここの壁の後ろに送電線がある。」

サムは頷くと彼にどくように身振りで合図します。
彼女はP-90を掲げ壁に銃弾を打ち込みます。

研究室で、ロドニーは遠くで聞こえる発砲音に顔を上げます。
すぐに研究室のライトが消えます。
緊急照明が2秒後には点灯します。
ロドニーがレプリケーターの方に向きを変えて見ると、
レプリケーターの保護フィールドは弱まり動き出します。

牢の外で、レイスの見張りが撃たれ倒れます。
ロノンを除いたサム達がやってきてドアを開けます。

カーター「大丈夫?」
シェパード「間に合わなかったら、俺達でここを抜け出すつもりだった。」

海兵隊員の1人がジョンとテイラに武器を手渡します。

テイラ「ロノンがアトランティスに戻って救援を?」
カーター「ええ、そうよ。」
テイラ 「彼は?」
カーター「二手に分かれたから。
     (海兵隊員に)入口を確保して。
     (ジョンとテイラに)行きましょう。」
     
別の場所ではロノンが銃を構えながら廊下を走っています。
セティダの仲間を見つけるとロノンはホッとして銃を下げます。
彼らも武器を下げロノンは向きを変えます。

デックス「よかった、来い。 ここから出るんだ。」

ロノンは彼らを導き始めます。
しかし彼が出入り口に着くのとちょうど同時にレイスが入って来ます。
ロノンはブラスターをレイスの頭に押し付けます。

デックス「他の仲間はどこだ?」
レイス「友人に尋ねてはどうだ?」

ゆっくりとロノンが仲間の方に振り向くと三人とも銃を彼に向けていました。
ロノンは信じられないと言った様子で見つめています。

研究室。
ロドニーがラップトップで作業している間も銃撃戦の音が聞こえています。
出入口のレイスの見張りは廊下に向かってショックガンを打ちますが撃ち倒されます。
ロドニーはラップトップを掴んでコンソールの後ろの影に飛び込みます。

ジョン、テイラ、サムが走ってきます。

シェパード「オールクリア。」
マッケイ「オールクリアだって?! 僕まで撃たれるところだった!

ちょうどその時レプリケーターのシールドが弱まります。
レプリケーターはシールドが破れ床に降ります。

マッケイ「そんな。 大変だ。」

レプリケーターが近づいてくると、ジョン、テイラ、サムはライフル撃ち込みます。
レプリケーターは銃弾の嵐をものともせずに歩いてきます。
そしてジョン達を無視して部屋から出て行きます。
ジョンはライフルのマガジンを交換しレプリケーターの後姿を見ます。
二人の見張りのレイスがレプリケーターにショックガンを撃ちますが効果はありません。
レプリケーターはいとも容易く彼らの武装を取り上げ殴りつけて倒します。

シェパード「ロノンを探しに行くぞ。

ジョンたちは部屋を出て行きます。

別の場所で、ロノンはまだショックで仲間を見つめてブラスターを下げます。

レイス「説明してやれ。」

ロノンが仲間を見ている間にレイスは離れます。

デックス「レイスに魂を売ったのか?!」
タイヤ「ロノン、分かってくれ…」
デックス「(怒って)これがセティダのやる事か?!」
タイヤ「セティダはもうなくなったんだ、おかげで生きてられる。
    選択を迫られた、過去と共に死ぬか、未来に生きるか…」
デックス「奴らは何をしたんだ?」
アラ「永遠の命を与えたわ。
   もしあなたも受け入れれば同じよ。
   私達だって最初は抵抗した。
   頑なにね…でもレイスはあきらめなかった。」

回想。
レイスが怯えているアラの胸に手のひらを叩きつけます。
命を吸われると彼女は悲鳴を上げます。

アラ「(声だけ)奴らは私達の未来を見せた。」

レイスはタイヤをむさぼります、彼は白髪になり年をとっていきます。
同じくアラも白髪になり、衰弱し死ぬ寸前です。

アラ「(声だけ)奴らは私達を死ぬ寸前まで貪って、」

タイヤの顔は再び若くなります。

アラ「…また生き返させる。」

ロノンの顔はその時の恐怖を思い描きタイヤを見ます。

回想。
アラ、タイヤ、ラカイは繰り返し命を吸われたり戻されたりします。

アラ「(声だけ)奴らは何度も何度も繰り返した。」
デックス「(嫌悪して)それで屈服したのか?」
アラ「私達は受け入れたの真実を、使命を。」
タイヤ「ロノン、一緒に。」

ロノンは鼻を鳴らします。

デックス「まともじゃねえな。」
アラ「(武器を取り上げ彼に向け)邪魔はしないで、マリカとヒミみたいに…」

ロノンは真実を理解して彼女を睨み付けます。

デックス「作戦で死んだんじゃなかったのか?
     屈服しなかったから殺されたんだな!」
タイヤ「彼らは頑なに拒んだから殺された。
    同じ過ちはしないでくれ。
    仲間になってくれ。」
デックス「いやだ。 絶対に。
     お前らは逃げろ、逃げるんだ。
     遠くにな、次に会った時は…」
タイヤ「次はない。」

タイヤは武器をホルスターに入れ銃のベルトを外し始めます。

タイヤ「セティダらしく決着をつける。」
デックス「(猛然と)お前らはセティダなんかじゃない!」

ロノンは銃のベルトの留め金を外し始めます、そしてアラもそうします。
ラカイは武器を床に落としてわきにけります。
ロノンは腿と胸を叩いて狂ったように雄たけびを上げます。
彼ら三人はロノンに飛び掛ります。
激しい戦いが続きタイヤを残し他の二人をロノンは倒します。
ロノンとタイヤの一騎打ちとなります。
ロノンがタイヤの腕を固めると、後ろで起き上がったラカイがナイフを取り出します。
それを見たタイヤはラカイに叫びます。

タイヤ「ラカイ、よせ!」

ロノンは振り返ってラカイを見てからタイヤを睨み付けます。

デックス「名誉のためか?」

アラはラカイに走って彼の腕を掴みます。

アラ「武器はダメ!」

ラカイは本能的に彼女の喉にナイフで切りつけます。
彼女は血の流れ出る喉を押さえて仰向けに倒れます。
ラカイは一瞬彼女を見てから雄叫びを上げてロノンに向かって急ぎます。
ロノンはタイヤの腕を握ったまま振り回し彼を投げ飛ばします。
おしてラカイに直面するとラカイはロノンの顔を切り付けます。
ロノンは顔を手で覆って痛みに呻きますが、直ぐにラカイの反撃を交しナイフを持っている腕を固め折ります。
そしてナイフをもぎ取るとラカイの胸にナイフを突き刺します。
ラカイは口から血を吐き出し、ロノンはナイフを抜いてラカイを抱きしめます。
そしてラカイを離すと彼は地面に倒れます。

近くにいたタイヤ は立ち上がってアラの遺体を見ます。
同じくロノンも彼女を見ます。
しばらくの間がありロノンはタイヤに背を向けて立ち上がります。
ロノンの顔には切られた痕と口からも血を流していました。
彼は首を後ろに向けタイヤに向かって肩越しに睨み付けます。

デックス「これで満足か?」

タイヤは答えません。

デックス「(怒って)どうなんだ?」

何も言わずにタイヤは後ずさりして部屋を去ります。

一方ジョンたちは廊下を歩いています。
あちこちにレイスの見張りが死んでいるのを見て驚きます。
レプリケーターが殺しまくったようです。
ロドニーが影から近づいてくる何者かを見つけて銃を構えます。
ジョン達も同じようにします。
直ぐにロノンだと分かる皆銃を下げます。

カーター「ロノン、仲間はどこ?」

ロノンはジョン、ロドニー、テイラを見ます。

デックス「仲間ならここにいる。 家に帰ろうぜ。」

疲れきったロノンを見たジョンは何事があったのか理解し、硬く唇を結びます。


アトランティス。
夜。
ロノンは部屋でラカイが彫った入れ墨を見てベッドの上に座っています。
テイラが入口から大きな絵のフレームを持って中に運んできます。
絵はテイラの方を向いていてロノンには見えません。

デックス「俺のか?」
テイラ「(微笑んで)ええ。 ロドニーがあなたが返してくれって。」
デックス「あいつにやった覚えはないぞ。」
テイラ「あなたの思い出としてとって置いたみたい。」

ロノンはしばらく絵を見てからイスに置いてテイラの方に振り返ります。
二人はしばらく顔を見ていますがロノンは口を開こうとはしません。

テイラ「気分はどう?」
デックス「うーん…
    (しばらく考えてから少し微笑し)
    大丈夫だ。」
テイラ「あなたが返ってきてうれしいわ。」
デックス「ありがとう。 戻ってきてよかった。」

テイラは微笑して部屋を去ります。

ロノンは座って絵を見つめます。

おしまい。