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スターゲートアトランティス シーズン4

4X09 - MILLER'S CROSSING
4X09 − ミラー家の受難。

アトランティス。
ラボで、ロドニーはホワイトボードの前に立って眉をひそめます。
彼の後ろにはラデクを含めた数人の科学者がそれぞれのデスクに座ってラップトップを見ながら眉をひそめています。
ロドニーは思いにふけって唇をすぼめます。

マッケイ:ふーん。もし僕らが、うーん…

皆は希望を抱いて彼を見上げます。

マッケイ:いや。違うな。

1人の科学者は髪を掻き毟りため息をつきます。
女性の科学者が話出します。

科学者:どうしてレイスを参加させないの?
マッケイ:(振り向かず)だめだ。
科学者:この新しいナナイツのコードは彼の計算に基づいているから、多分…
マッケイ:(中断させ)(A)奴は手を貸さない。
     (B)奴の手助けは必要としていない。
     そして(C)…誰か僕にコーヒーを持ってきてくれないか?
科学者:もう3時間もボードとにらめっこでしょ。
マッケイ:ああ、そうだ。もうすぐ分かるから。
ゼレンカ:彼女にEメールを出してみれば。

他の科学者はラデクの不安そうな顔にたじろぎます。
ロドニーは彼にゆっくりと向きを変えます。

マッケイ:何だって?
ゼレンカ:ロドニー、手詰まりだよ。
     10時間もこのままじゃないか。
     彼女に助けを求めてくれないか。
マッケイ:(自分を指し)手詰まりなんかじゃない。
ゼレンカ:前にもこんな事が起きた時、彼女は僕らを助けてくれたじゃないか?
マッケイ:それとこれとはまったく違う。
ゼレンカ:君が何か閃くまでここで座って待ってるなんてやだよ!
     もううんざりだ!

ロドニーは嫌々ながらもラデクが正しいかもしれないと悟って科学者を見回します。

マッケイ:今僕は重要な事に取り組んでるのに。
ゼレンカ:じゃあ好きにすれば、もういいよ。

ほかの科学者たちもラップトップを閉じ立ち上がって、ロドニーを1人だけで置き残して部屋を去ります。

マッケイ:ふーん!

地球。バンクーバー。 ミラー宅。
台所でジーニとケレブはマンディが巨大なクッキーの生地を作っているのを見守っています。

マディソン:ヤッター! すごいでしょ!
ケレブ:大きなクッキーを作るのかい?
マディソン:うん。
ジーニ:この型抜きを使ったら?
マディソン:ううん。私は大きいのがいいの。

ジーニとケレブはくすくす笑います。
ちょうどその時近くのキャビネットの上にあるジーニのラップトップが新しい電子メールの通知を知らせます。
ジーニは流しで手を洗いラップトップに行くと、ケレブはマジソンに近づきます。

ケレブ:もう少し生地を平らにしたほうがいいかも。
マディソン:いいの。
ケレブ:いいって? これじゃ大きなクッキーの山だよ?
    それを作ろうとしてるのかい?
マディソン:うん!
ケレブ:オーケー!

ジーニは電子メールを開いて読み始めます。

ケレブ:いい知らせかい?
ジーニ:兄からよ。
    (読み続け)
    また行き詰ったんだって!
    ちょっといいかしら…?
ケレブ:ああ、僕が後を引き受けるよ。

彼はマディソンが生地の上に小麦粉をまいているのを見て、もう1つの生地のボールを取ります。

ケレブ:ほら、手伝ってくれないか?
マディソン:オーケー。
ケレブ:オーケー。
マディソン:もっと小麦粉がほしいの。
ケレブ:もう少しチョコ・チップを入れたら?
マディソン:でもはみ出てるし。
ケレブ:いや、多すぎるからだよ。

彼らが作り続けている間、ジーニはノートを広げ時折考えながら何かを計算しています。

夜。
ジーニとケレブはベッドにいます。
ジーニは彼の方に寝返りすると、彼は目が覚めていました。

ジーニ:眠れないの?
ケレブ:何か物音がしたんだ。
ジーニ:マジソンかしら?
ケレブ:分からない。確認してくるよ。

彼はベッドから出て行きます。

ジーニ:あの子ったらクッキーを欲しがって降りてきたのよ。

ケレブは笑います。

ケレブ:そうかもしれないな。

彼がドアに着く前に、蹴り開けられます。
そして黒い戦闘服を身につけヘルメットをかぶった数人の男たちが、
ふたりに銃のレーザーポインターを向けて部屋に突入します。
男の1人が床にケレブをたたきつけます。
もう一人の男はジーニに銃を向け近づきます。
ジーニは恐怖の悲鳴を上げます。
レーザーが彼女の頭に固定されると彼女はベッドの上ですくみあがります。

男:我々と一緒に来るんだ。

スターゲイト司令部(S.G.C)。
ゲイトルーム、スターゲイトは開いています。

ロドニー、ジョンとロノンがイベントホライゾンから出てきます。
ロドニーは平服ですがジョンとロノンはいつもの格好です。
彼らがタラップを降りると、エージェント・マルコム・バレットが入って来ます。

バレット:皆さん。私はエージェントのバレットでN.I.D の者です。
     ウールジー氏に頼まれて皆さんに協力するようにと。
     こんな状況でお会いするのは残念ですが。

マッケイ:誘拐犯は連絡をしてきたのか?
バレット:いいえ、残念ながらまだ。
マッケイ:分かった。ならバンクーバーに行かないと。
バレット:分かりました、ダイダロスが軌道にいます。
     それですぐに行けるでしょう。

彼はゲイトルームから彼らを導きます。

シェパード:もっと新しい情報はないのか?
バレット:いいえ、まだです。
     N.I.D. は C.S.I.S と連絡をとっています。
     現地で我々を待っています。
シェパード:C何だって?。
マッケイ:カナダの保全諜報局。 こっちでいうC.I.A.みたいなものだ。
シェパード:(皮肉に)C.S.I.Sがか?
      ほんとにそうなのか?

バレットはエレベーターの中に彼らを導きます。

バレット:外に出る前に、着替えたほうがいいでしょう。

彼は鋭くロノンを見ます。

デックス:なんでだ?

バンクーバー。
数台の自動車がミラー家の外に駐車されています。
そして警官が歩き回っている中、1台の車が止まります。
そしてバレットとアトランティスのメンバーが外に出ます。
ロノンはブルージーンズと白いシャツと黒いジャケットを身につけています。

デックス:変に見えるんじゃねえのか!
シェパード:少しはましに見えるよ。
デックス:俺が何を着たって目立つよ。
シェパード:(髪を見て)そうだな。

野次馬たちが様子を伺っています。
しかしその中で1人が新たな到着に興味を示し、
携帯電話を取り出してダイヤルをします。

家の中。
ケレブとマディソンはソファーに座っています。
マジソンのおもちゃとゲームがテーブルの上においてあります。
ケレブが彼女の注意をC.S.I.Sから反らせようとしていたようです。
警官達が部屋の中で捜査しています。
ロドニーが入ってくるとケレブは指さします。

ケレブ:ほら、見て、メレ伯父さんだよ。
マッケイ:(マジソンに)やあ、お嬢ちゃん。
ケレブ:(マジソンに)「こんにちは」は?
マディソン:(ロドニーを見上げ)ママはどこ?
マッケイ:あー、ママは…
ケレブ:(マジソンに)言っただろ、ママはしばらくの間お出かけしてるって。
    もうじき戻ってくるよ。

彼はロドニーを見てそして台所の方を指さします。

ケレブ:いいかな、あー…?
マッケイ:ああ。
ケレブ:(マジソンに)よし、いい子にしてて。

彼は立ち上がってロドニーを台所に導きます。

ケレブ:犯人は誰なんだ?
マッケイ:分からない、でも最高の捜索隊を用意した…
ケレブ:(中断させ)去年君がここに来たとき、
    彼女はアトランティスに行ったまま戻らなかった。
    僕は「行って、やってこい。行かないと後悔する。」って言ったけど。
マッケイ:聞いて知ってるよ。
ケレブ:彼女はそれが危険だと知っていたのに、君らは喧嘩ばかりして。
マッケイ:聞いてくれ、僕らは…
ケレブ:(中断させ)これは君のせいだ、ロドニー。
マッケイ:おい、ちょっと待ってくれ。
ケレブ:君のせいで誘拐されたんだ。
マッケイ:まだそうと決まったわけじゃないだろ。
ケレブ:まだ? 本当に?
    君はここに覆面を被って銃を持った4人の男たちが、
    彼女のリンゴ入り団子のレシピを盗みに入ったとでも?
    嫉妬深い隣人とかが?
マッケイ:怒るのも分かる、当然だよな…
ケレブ:(悩んで中断させ)もし彼女に何かあったら…
マッケイ:ケレブ。僕らが彼女を見つけだす。
ケレブ:じゃあ、すぐに彼女を連れ戻してくれ。
マッケイ:分かった。

まもなくその後。
ケレブはジョンがマディソンと遊んでいるリビングルームに戻ります。

ケレブ:さあ、マッド。

彼は彼女を抱き上げます。

マディソン:どこに行くの?
ケレブ:しばらくお出かけだ。

ケレブが部屋から彼女を連れ出すと、ジョンは立ち上がってロドニーに近づきます。

マッケイ:ホテルを取ったよ。
     ここにいても仕方ないし。
バレット:(C.S.I.S. の士官に)よし、ありがとう、みんな。
     我々に部屋を明け渡してくれないか。

士官は去ります。

バレット:(ロドニーに)どこから始めますか?

マッケイ:ジーニと電子メールでやり取りしてた。
     彼女は…うーん…

彼は彼女に手助けを求めたのを認めたくなくて躊躇います。

マッケイ:彼女とアイディアの交換をしてたんだ。
バレット:何のですか?
マッケイ:シェパードの相棒のレイスが現われる前に、
     僕はナナイツを医学用にプログラム変更しようとしてたんだ。
デックス:ウェアを救った時のアレか?
マッケイ:そう、それのもっと複雑な改良型だ。
     だが、レプリケーターが銀河中の人間を攻撃した事が分かってから、
     すぐに無効化する方向に変更した。
バレット:ジーニにその作業していたプログラムを送ったんですか?
マッケイ:ああ。新たな観点からの意見が欲しかったから。
シェパード:問題はそれが彼女の誘拐と関係があるのかどうかだ?
マッケイ:ああ。多分トラストか、別の組織が僕のプログラムの情報が目的だろう。
     いずれにしても、僕のEメールのせいで彼女は誘拐されたんだ。
バレット:分かりました。
     それではそこから始めましょう。
マッケイ:誰か彼女のコンピュータに触ったか?
バレット:いいえ。あなたが最初に見ると思って、誰にも触らせませんでした。
マッケイ:(ラップトップがある机に行き)僕が調べてみる。

彼は座って他の者を見上げます。

マッケイ:時間が掛かるから、ホテルに戻ったら?
     何か見つけたら電話するから。
シェパード:構わない、俺たちもいるよ。
マッケイ:十一、二時間掛かるかも…
     ここにいたって何もする事がないだろ。
     もし何か分かったら電話するから。

ジョンはロノンを見てドアに向かって頭をぐいと動かします。
彼らは去り、ロドニーは仕事に取りかかります。)。

どこかの研究室。
見張りがドアを開けます、二人目の見張りがジーニを部屋に押し込みます。
彼女の手はインシュロックで縛られて、頭には袋が被されています。
部屋の壁の周り中にコンピュータがあり、部屋の真ん中には何台かの端末付のコンソールがあります。
見張りはジーニを椅子に座らせ袋を頭から取り去ります。
それから見張りたちはドアを閉じて去ります。
ジーニは照明に目を細くしてから立ち上がって、そして部屋を見物して回ります。

彼女はドアに向かって走ります、しかし彼女が届く前に男の声が聞こえます。

ウォレス:やあ。

ジーニが振り返ると男が部屋の反対側に立っているのを見ます。
彼はジャックナイフを取り出し彼女に向かって歩きます。
ジーニは怖がって後ずさりします。

ジーニ:いや。 待って。おねがい。
ウォレス:静かに。大丈夫だ。

彼は彼女の縛られた手首を掴みます。

ウォレス:信じて?

彼はインシュロックを切ります。
ジーニは再び彼から後ずさりします。

ジーニ:あなたは誰?
ウォレス:私の名前はヘンリー・ウォレス。
     申し訳なかった…

彼は彼女が寝巻きを着たまま立っていこっちを見てるのを見て、
一瞬申し訳なさそうに彼女にジェスチャーで表現します。

ウォレス:少し私のために仕事をして欲しい。

夜。ホテル。
ジョンとロノンは部屋で座っています。
ジョンの携帯電話が鳴るとジョンは立ち上がって電話の置いてあるテーブルに行き出ます。

シェパード:もしもし。

ロドニーはエージェント・バレットが運転してる車にいます。

マッケイ:(電話に)誰かが妹のコンピュータをモニターしていた。
     連中が仕掛けたトロイをハッキングして、住所を割り出した。
     バレットと二人で向かってるところだ。
シェパード:十時間は掛かるんじゃなかったのか?
マッケイ:自分の頭の良さを過小評価してたよ。
シェパード:分かった、家に戻ってくれ、俺たちも一緒に行く。
マッケイ:もう戻るのは無理だ。
     住所を教えるから、そこで落ち合おう。

ジョンはため息をついてペンに手を伸ばします。

シェパード:いいぞ。

後に。
ロドニーとバレットは倉庫に向かって歩きます。

マッケイ:ここのようだ。
バレット:シェパードとロノンを待ったほうがいいのでは?

ロドニーは手を振りってドアを見ます。

マッケイ:いや、構わない。

彼はドアを蹴り開けようとします。
同時にバレットはドアのとってを回しドアを開けます。
ロドニーの足は空気を蹴り、バランスを崩します。

マッケイ:ああ、開いたのか。

バレットはピストルを取り出します。
ロドニーは懐中電灯を持ってドアの中に入り、バレットの銃に振り返ります。

マッケイ:もう一丁銃は持ってないの?
バレット:ええ、車にショットガンがあります。

彼は車に戻るつもりで後ろ向きに踏み出します。
しかし黒づくめの男たちがどこからともなく現われて、彼を掴み顔を殴りつけます。
二人目の男がロドニーに銃のレーザーを向け進みます。
ロドニーの目は丸くなります。
男がより近づくと彼は顔を守るために手を上げます。

後に。
ジョンとロノンは倉庫の前に車で来て、地面に横たわっているバレットを見て急停車します。
車が止まる前にロノンは助手席のドアを開けて車から出て行きます。
そして周囲に銃を向けています。
ジョンがバレットに走っていく間、ロノンはあたりを警戒します。

シェパード:大丈夫か?

バレットは意識がありますが、右目の上に切り傷を負っています。

シェパード:(身を起こさせ)一体何が起きた?
バレット:二人組の男が。我々の後を追ってきたに違いない。
デックス:(叫び)マッケイ!
バレット:彼はここにはいない。
     連れて行かれた。

ウォレスの研究室。
2人の見張りがロドニーを連れて入ってきます。
ロドニーは後ろ手にインシュロックで縛られ頭に袋を被されています。
服を着替えたジーニが研究室の中で座っています。
しかし見張りが袋をロドニーの頭から取り去りインシュロックを切ると彼女は立ち上がります。

ジーニ:メレディス ?! 。
マッケイ:ジーニ!
     生きていてよかった!

彼は彼女に急いでやって来ます。
そして彼らは抱き合います。
見張りは部屋を去ります。

ジーニ:ここで何をしてるの?
マッケイ:君が誘拐されてたと聞いてすぐに地球に戻ってきたんだ。
ジーニ:マディソンとケレブには会った?
マッケイ:ああ。少し動揺してるけど、二人とも大丈夫だ。
     二人は安全にかくまわれている。
     心配しなくてもいい。
ジーニ:それで、あなたは…?
マッケイ:君を誘拐した連中を追ってたら待ち伏せされた。
ジーニ:へえ、すごいわね!
    最初に私を捕まえさせて、次はあなた…
マッケイ:おいおいおい。僕が君を捕えさせたって?
     どうすればそんな考えになるんだ?!
ジーニ:あのね!
    彼らは私のコンピュータをモニターしていたんでしょ?
マッケイ:ああ、それで?
ジーニ:あなたが私にEメールを送って来たから、私がここにいるんでしょ?
マッケイ:まあ、そうかも。
ジーニ:メレディス!
マッケイ:(部屋を見回し)ここは、研究室?
ジーニ:うわーっ、たいした探偵ね、ナンシー・ドリューみたい!
マッケイ:ここは一体どこなんだ?
ジーニ:さあ、飛行機に載せられたから…
マッケイ:ああ、僕もだ。
     この背後に誰がかかわってると思う?

彼はコンピュータ・モニタの1つを作動させます。
ちょうどその時ドアが開き、ウォレスは2人の見張りと一緒に中に入ります。

ウォレス:マッケイ博士。あなたの噂はかねがね。お会いできて光栄です。

彼は手を伸ばし握手を求めますがロドニーは後ずさりします。

ウォレス:(手を下げ)もしあなたの妹がいなくなったら、あなたが現われるかもしれないと思いました。
     もちろん、それを当てにはできませんでしたが、かなり大きいボーナスです。
マッケイ:(憤然として)ボーナス ?!
     あんたが何者なのか知らないのに。
     でも僕をここに連れて来たのはミスだったな。
     すぐに僕らを解放したほうがいいぞ。
     さもないと百人もの海兵隊員が2分後にはドアを蹴破ってやってくる。
ウォレス:そうはならないでしょう。
     あなたの亜空間送信機は効力を切りました。

ロドニーはショックを受けているように見えます。

マッケイ:あんたは誰だ?
ウォレス:そうでしたね。
     (座り)私の名前はヘンリー・ウォレス。 私は社長で…
マッケイ:…D.M.Tか。そりゃいい。

彼は怒って腕を組みます。

ウォレス:私の事を知っているなら…
マッケイ:あんたの仕事はよく知ってる。
ジーニ: D.M.T.って何?
マッケイ:Devlin 医療技術さ。
     こいつらは主に政府の資金を提供されて働く請負人だ。
     そして残念だけど、僕らの使っている亜空間送信機を作ってる。
ジーニ:へえ、いいじゃん。
マッケイ:ああ。
     (ウォレスに)どうやって僕の存在を知ったんだ?
     あんたの会社は軍が取り組んでいる新たな機密事項から外された実験についての
     基本的な情報に通じているだけだろ。
ウォレス:いえ。
     正確には私の会社はスターゲイトプログラムを通して発見された
     エイリアンの事項で限定されたアクセス権があります。

ロドニーは驚いた顔で彼を見つめ腕を下げます。

ウォレス:そしてそれらを地球ベースの医療技術に応用するよう依頼されました。
マッケイ:その事は許可されないはずだ。
ウォレス:ええ。そうです。
     しかしこの数年の軍の信じ難いほどの進歩に驚き、
     私は少し探り始めたのです。
     そしてS.G.C.、アトランティス、あなたの事を見つけました。

彼はジーニを見ます。

ウォレス:そして我々は長い間、あなたへのメールを監視していたんです。
マッケイ:僕に何を望んでるんだ?

ウォレスは立ち上がります。

ウォレス:行き詰ってしまい、手助けをお願いしたい。

まもなくその後。
他のどこかの施設にウォレスはロドニーとジーニを連れて行きます。
ガラスドアの向こうには病室がありベッドには意識不明か眠っている十代後半の少女が横たわっています。

ウォレス:私の娘、シャロンだ。
マッケイ:彼女がどうかしたのか?
ウォレス:娘は劇症性白血病で苦しんでいる。
マッケイ:それは残念だけど…
ウォレス:今まで化学療法や放射線治療をしたが無駄だった…
マッケイ:意味がよく分からないんだけど。
     僕がどうやって助けるんだ?
ウォレス:どんな名医も娘は手遅れだと言って、
     葬儀の準備を勧める。

ジーニは同情的に彼を見ます。

マッケイ:僕が言いたいのは僕は確かに博士だし博士号も持ってる。
     でも医者じゃないんだ…
ウォレス:私の会社が取り組んでいた事が
     S.G.C.の傷や病気を治すためのナノテクノロジーの応用だった。
     我々はプロトタイプに成功した。
マッケイ:待って、待ってくれ。
ウォレス:シャロンは1週間前にナナイツの試作品を注射した。
マッケイ:あんたらはかろうじて製造する事ができるようになっただけだ!
     僕は今プログラムに取り組んでる!
     何カ月も掛かってるんだ!
     まだ準備ができてないのに!
ウォレス:私のチームはプログラムの大部分を解決したと考えました。
マッケイ:「解決した」?!
     そんなに簡単じゃないんだぞ!
ウォレス:分かってます…今それらは誤作動している。
マッケイ:まあ、そうなるだろうな。
ウォレス:そして働いていないだけではなく…
     ガンより多くの問題を起こしている。
     娘の体はそれらを拒絶している。
     ジーニさんとあなたのメールをチェックしたとき、
     私はプログラムに精通した者が必要だと思った。
マッケイ:そうか、ジーニは囮か。
ウォレス:いえ。彼女はあなたよりプログラムの解決法を持っていた。
マッケイ:二回のメールのやり取りで僕を評価するのはどうかな。
     つまりあれだけで全部ではない…
ジーニ:メレディス! 今は関係ないでしょ。
ウォレス:速く何とかしなければ、シャロンは死んでしまいます。
     完全に使用可能なナナイツを開発してください。
     そうすれば開放します。
マッケイ:(腕を組み)本当に?
ウォレス:お約束します。
マッケイ:もしやらなかったら?

ウォレスは不愉快に彼にほほ笑みます。

S.G.C.
ジョン、ロノン、バレットはウォルターと共にコントロールルームにいます。
ウォルターはモニタを見ています。

ハリマン:間違いないでしょう。
     送信機を無効にしたに違いありません。
デックス:(バレットに)あんたの方はどうなんだ?
バレット:あー、行き詰まりました。
     シンガポール経由でデータを送信する賃借アパートでした。
     つまりどこの誰に転送されたか分かりません。
     しかしIT関係のスペシャリストがいますのでうまくいけば次の手がかりになるかと。
     交通情報と監視カメラを洗ってみます。
     目撃者の聞き込みにも、バンクーバー警察の半数を導入しました。
     突き止めて見せます。

ウォレスの研究室。
ロドニーとジーニは異なったコンソールに取り組んでいます。
シャロンの部屋は壁のスクリーンに映し出されています。

ジーニ:コミュニケートしてないわ。
マッケイ:何が?
ジーニ:ナナイツよ。
    原因はお互いを無視して勝手に動いてる。
    そのせいで3本も動脈閉鎖を起こしてる。
    プログラムの何かがお互いのコミュニケートを阻害してるんだわ。
マッケイ:(気を散らして)へえ、すごいね。
ジーニ:(彼を見て)聞いてるの?
マッケイ:ああ、「ナナイツ」の話だろ。

ジーニは彼に指を鳴らします。

ジーニ:バカ。このプログラムの問題を解決しないと。
マッケイ:いいや、僕らがしなきゃならないのはここから逃げることだ。
ジーニ:プログラムの問題を解決すればって事でしょ。
マッケイ:(ため息をついて)単純だな。
ジーニ:もっといいアイデアでもあるの?
マッケイ:ああ!僕らがリアルタイムでシャロンをモニターすることができるように、
     このコンピュータにネットワークアクセスを与えた、そうだろ?
     それは同じくセキュリティメインフレームをハッキングできるってことだ。
ジーニ:シャロンはどうするの?
マッケイ:僕らはどうなるんだ?
ジーニ:私たちならできるわ、メア。
    この子を助けることができる。
マッケイ:それからどうなるんだ?
     僕らを解放すると思うのか?
     あいつは自分の生活をあきらめて、会社を失うんだぞ。
     そして刑務所に送られるんだ。
ジーニ:彼は自暴自棄なのよ。
    親なら誰でもその気持ちは分かるわ。
マッケイ:へえ、そう思ってるのか。
     それなら僕たちが魔法使いみたいに治したら、あいつの言葉通りだとしよう。
     でももし失敗したらどうなる?
     もし彼女が死んだら?
     そのときあいつはどんな気持ちになるんだ?
     すんなりドアから出してくれると思うのか?
     「残念だが、次に期待しよう」ってさ?

ジーニは深く座り直します。
彼女はロドニーが正しいかもしれないことを悟ります。

マッケイ:だから、ここから逃げ出す必要があるんだ。
     全ての入口の錠を開けるためにコードを調べてた。

彼は立ち上がります、そしてジーニを見ます。

マッケイ:準備はいいか?
ジーニ:ドアが開いたらどうするの?
マッケイ:このコンピュータで建物のレイアウトは記憶した。

ジーニは不安そうにため息をつきます。

ジーニ:オーケー。

ロドニーはコンピュータにタイプします。
建物の平面図上にメッセージが出ます。
「ドアコード解除」
部屋のドアは音を立ててロックが解除されます。
そしてドアは少し開きます。
ジーニは驚いてそれを見ます。

ジーニ:はぁ!
マッケイ:さあ。

彼らはドアのところまで行きます。
ロドニーは用心深く外を見ます。
ジーニがドアを閉じると、彼は近くに誰もいないと確信しジーニを見ます。
それから彼らは部屋を去り、廊下に沿って進みます。
左に曲がる前にロドニーは見回します。
まったく彼を信頼しないジーニは右にドアのところまで行って、
その小さい窓を覗いてドアを開こうとしますが錠がかかっています。
いらついて彼女は手を上げて降参して、兄に振り返ります。

ジーニ:(ささやき)ここに階段があったって言ったじゃない。
マッケイ:(ささやき)あるはずだ!
     (黒く閉じられた窓を指し)
     うーん、オーケー、待ってくれ。
     あー、一旦戻ろう。
ジーニ:戻るって?どうして?!
マッケイ:分からなくなったからだ。
     最初からやり直しだ。
     多分北と南を間違ったんだ。


ジーニはいらだちでため息をつきます。

ジーニ:あなたの方向音痴に私の命を賭けるなんて!
マッケイ:何の話だ?!
     僕は方向音痴じゃない!
ジーニ:へえ、そうなの?
    昔、西エドモントン・モールに行った時、
    パパがあなたを見つけるのに警察に電話をしたのを忘れたの?
マッケイ:あのモールは巨大だった!
ジーニ:7メートルごとに地図があったわ!
マッケイ:紛らわしいからだ!
     それより戻らないと。

彼はもと来た道を戻ります。
激怒しながらジーニは彼の後に従います。

ウォレスのオフィス。
ウォレスはオフィスの中に入って壁の保全スクリーンを見ます。
研究室には誰もいません。
彼は電話を取り上げダイアルします。

廊下。
アラームが鳴り始めます。

マッケイ:あっ、しっまった…

彼とジーニは走り始めます。
しかし2人の警備員が二人に銃を向けて走ってきます。

マッケイ:逃げろ!

彼とジーニはきびすを返し反対方向に走ります。
しかし警備員の1人がロドニーの背中を撃ちます。
銃はテイザーで、ロドニーは電気に痺れて床に倒れます。
ショックは数秒続き、彼は気を失います。

後に。
ロドニーは目をゆっくりと開き頭を上げます。
手首はイスに結びつけられ、研究室に戻っています。
ジーニも同じくイスに結びつけられ、彼の向かい側に座っています。
彼が気がつくとウォレスはロドニーを見つめて近くに立っています。
ウォレスはロドニーに近づき残念そうな顔で見下ろします。

ウォレス:どうしてあんなまねを?どうして…

彼は頭を振りながらシャロンの部屋を示しているモニタに歩きます。

ウォレス:私の娘は死にかけている。
マッケイ:僕らを誘拐したのに、何を期待してるんだ?
ウォレス:ネットワークアクセスを与えるべきじゃなかった。
マッケイ:ああ、それは凡ミスだ。
ジーニ:メレディス。
ウォレス:手は貸してくれないんだな?
マッケイ:どっちにしろ僕らを殺すんだろ。
     何を信じろって言うんだ?
ウォレス:約束したじゃないですか。
マッケイ:信じられるわけないだろ。

ウォレスは嘆願するように彼に見下ろします。

ウォレス:お願いだ。
     妻は3年前に死んだ。
     二度と同じ思いはしたくない。
     シャロンしか私にはいないんだ。
     君たちなら娘を救える。
マッケイ:あのな、これはまだ実験段階の医学プログラムなんだ。
     まったく機能しないかもしれない。
     全ては無駄になるかもしれないんだ。
ウォレス:最悪の場合、シャロンは数週間あるいは数日持つかどうかだ。
     一日でも長く生きていて欲しい。
マッケイ:彼女に注射するべきじゃなかったんだ。

ウォレスは彼を見てからジーニを深刻そうな顔でちらっと見ます。
彼は近くのテーブルに歩いて置いてあるケースを開きます。

ウォレス:いや。そうじゃない、機能するはずだ。

彼は大きな注射器を取り出してジーニの背後に歩きます。

ウォレス:機能しなければならない。
マッケイ:それは何だ?
ウォレス:ナナイツの注射だ。

彼は彼女の首に掛かっていた髪を手でよけます。
彼女は恐怖で涙ぐんでロドニーを見つめます。

ジーニ:メレディス!
マッケイ:待て、待てよ、お願いだ。やめろ。
ウォレス:すまない。
     君はやらなきゃならないんだ。
マッケイ:やめろ!

しかしウォレスは注射器をジーニの首に押し当て注射します。
注射器を引き抜くとロドニーは恐怖で彼を凝視します。

ウォレス:直すんだ、さもなければ二人とも死ぬことになる。

後に。
兄妹は解放されて再びコンピュータに取り組んでいます。
ジーニはため息をついて痛みがあるかのように注射された首をさすります。
ロドニーは彼女を見ます。

マッケイ:大丈夫か?
ジーニ:ええ。平気よ。
マッケイ:そうか。
     君は正しかった。
     これはコミュニケートしていない。
     それに動かなきゃならないものが動いてない。
ジーニ:ええ、分かってる。
マッケイ:これを見てくれ、D.M.T.はナナイツを製造できたけど、
     プログラムの大部分はレプリケーターから取り出したものだ。
ジーニ:そうね。
マッケイ:それで認めたくはないけど、少し前にこのプログラムを少し理解できたんだ。
     レイスと一緒に仕事をしたおかげでね…
ジーニ:待って。レイスと一緒って?
マッケイ:ああ、話せば長い話だ。

彼は立ち上がって彼女のコンソールに行きます。

マッケイ:言いたかったのは、僕らがやってるこのプログラムは、
     レプリケーターの制御を止めようとしてる。
     制御はできるがそれだけじゃ…
ジーニ:効果がないって事ね。
マッケイ:それだと動かなくなってしまう。
ジーニ:それじゃあ、それをしなければ。
マッケイ:そのとおり。ナナイツは自己複製することができなくなる。
     技術的に開放することによって、問題を解決できるかも。
ジーニ:分かった。
    2から3千ラインのコードを変えるわ。
    あまり複雑じゃないわね。
マッケイ:(納得せずにコンソールに戻り)ああ、楽な仕事だ。
ジーニ:ええ!

彼女はタイプし始めます。 ロドニーは彼女を見ます。

マッケイ:なあ、本当にすまなかった。
ジーニ:(彼を見ずに)その話は今したくない。
    このプログラムを書き変えて、私のナナイツにアップロードする必要があるの。
    後であなたに文句を言うから、分かった?
マッケイ:分かった。

彼は座って仕事に戻る前に、一瞬悲しげに妹を見ます。
ジーニはちらっと彼を見てからタイプし続けます。

S.G.C.
ジョン、ロノン、バレットは書類の山を調べながらオフィスで座っています。
部屋には数箱の書類があり、軍人がもう1つの箱を持ち込んで机の上に置きます。

シェパード:堂々巡りだな。
デックス:俺たちは何をしてるんだ?
バレット:会社を調べてるんです。
     インターネットルーターのために部屋を借した会社は別の会社から借りていて、
     さらにその会社は別の会社から借りていてと続いてるんです。
シェパード:ジーニを誘拐した連中は彼女のコンピュータをモニターしていた会社だ。
      だがその会社が別会社から依頼されてるんだ。
バレット:おそらくトラストが関わってるんでしょう。
     だから接点を見つけられないんです。
シェパード:連中は送信機をシャットダウンする方法を知ってる。
バレット:その通りです。
     犯人がその事を知っているという事は
     スターゲイトプログラムの事を熟知していると言うことです。
シェパード:網を広げるべきだ。
      1人でできることじゃない。
バレット:他の周知の敵グループ?
デックス:あるいは同盟国。
バレット:中国人、ロシア人。
シェパード:マッケイはレプリケーターをシャットダウンするプログラムの作業していたと言った。
      地球上の誰かと協力していたのか?
バレット:いえ。私の知る限りありえません。
     待ってください、これはナナイツプログラムに取り組んでいた医学系の会社ばかりだ。
     しかし彼らは彼との直接のやり取りはしていません。
シェパード:どこの会社だ?
バレット:ちょっと待ってください。

彼は部屋を去ります。
同じくロノンは立ち上がり去り始めます。

シェパード:どこに行くんだ?
デックス:何か食ってくる。
シェパード:おい、マッケイと妹はまだ行方不明なんだぞ。
デックス:なあ、俺にそんな調査ができると思うか?
     銃を向ける相手を見けたら呼んでくれ。
シェパード:そうだな!

ウォレスの研究室。
ロドニーは研究室の中をゆっくり歩いています。

マッケイ:もう二時間もたつぞ?
ジーニ:それがどうしたの。
マッケイ:どうしたのって?
     僕らは人質なんだぞ!
     君にプログラムをアップロードするのに十秒しか掛からなかった。
     連中は何をもたもたしてるんだ?
ジーニ:パッチが実際にナナイツがガンを治しているかどうか調べるのに時間が掛かるのよ。
マッケイ:ウィアーに施したときには、すぐに治しだしたんだぞ。
ジーニ:でもその時はレプリケーターは彼女の破損した細胞に置き換わった。
    今回は治すのが目的よ。
マッケイ:でも遅すぎる!
     彼女の状態の変化を見るべきだ。
     なんで僕らに何も連絡してこないんだ?
ジーニ:オーケー、座って。
    私に怒鳴らないで。

ロドニーは座ってすねたように彼女をにらみつけて腕を組みます。
ジーニはぎこちなく、何を話そうかと考えます。

ジーニ:で、あなたはケイティって子と結婚するの?
マッケイ:何だって?!
ジーニ:私が聞いてるの!
マッケイ:(腕を広げ)どこで聞いたんだ?!
ジーニ:あなたの宿題を手伝ったときに。
    私は極小ロボットが私の静脈を流れているのを忘れたいの。
    それともその話をした方がいいの?
マッケイ:いやそうじゃないけど。
ジーニ:で、彼女と結婚するつもり?
マッケイ:さあ。
ジーニ:一年以上つき会ってるんでしょ。
マッケイ:思い出させてくれて、ありがとう!
ジーニ:他にいい人が見つかると思うの?
マッケイ:いや、それはなさそう。
ジーニ:(笑い)そうよね!
マッケイ:待ってくれ…
ジーニ:あなたの変な性格を我慢できる子なんて奇跡だわ。
マッケイいお…
ジーニ:それに容姿だって…なんて形容したらいいかしら?
    ジョン・シェパードとは違うから。
マッケイ:オーケー。
     (立ち上がり)僕の性格の話に戻そう、そっちの方がましだ…

ドアが開き見張りが中に入ると、彼は言葉をやめます。

見張り:一緒に来てください。

シャロンの部屋。
シャロンはベッドに起き上がり、脇には父親が座っています。
兄妹がドアに近づくと彼は立って手招きします。

ウォレス:さあ、中に入って、中に。
     シャロン、ロドニー・マッケイさんとジーニ・ミラーさんだ。
     二人はお前の命の恩人だ。

シャロンが彼らにほほ笑むと、彼は再び座ります。

シャロン:お会いできてよかった。本当にありがとう。
ジーニ:気分はどう?
シャロン:この数年来、初めてよ。
マッケイ:ガンは?
ウォレス:痕跡すら見つからない。

シャロンは楽しく微笑します。

S.G.C. 食堂。
ロノンはウォルターと一緒のテーブルに座っています。

ハリマン:僕は不安だったんだ。
     どうしてかって言うと、僕が話してるのが将軍だったんだ。
     それで「もしあなたがN-1の代わりにI-37を使うなら、
     G-72を100使った方がましです」って言ったら、間が空いたんだ。

ロノンは彼の皿に手を伸ばします、しかし彼が口にそれを持っていく前に、ウォルターは彼の手首をつかみます。)。

ハリマンは:誰も何も言わないし、僕も分けわかんなくなった。

ロノンは彼の皿に食物を落としてうんざりそうにイスに座り直します。

ハリマン:最終的にランドリー将軍がこっちを見て、
     「ハンク、君の子供はここにはいないぞ。
     だが日曜日の夜はビンゴ大会なんかいいんじゃないか」って言ったんだ。

ロノンが彼をにらみつけると、彼は笑います。

ハリマン:ビンゴ! 「I-37!N-1!G-72! ビンゴ!」
     (くすくす笑い)
     将軍にそんなユーモアのセンスがあるなんて思わなかったろ?!

ウォルターは他に何か思い出そうと、くすくす笑うのをやめます。

ハリマン:ああ! それからオニール将軍とのことを思い出した…

その時食堂の入口が開きます。
ロノンは見上げると真剣な顔つきになり立ち上がります。

デックス:何か分かったのか!

ジョンが来ます。

シェパード: Devlin 医療技術だ。
デックス:なんだそりゃ…?
シェパード:銃を向ける相手が見つかった。
デックス:(部屋から急ぎ)いいね!

ジョンはウォルターの皿からフレンチフライを取ってロノンについて出ます。
ウォルターは彼らが行くのを見て苦笑いします。

ウォレスのオフィス。
ウォレスはシャンペンを注ぎます。
ロドニーは心配そうに彼を見ます。

マッケイ:僕らをどうするつもりだ?
ウォレス:お祝いをするんだよ。
マッケイ:(ジーニを示し)彼女はまだナナイツを持ってる。
     そして二人ともまだ人質だ。
     だからシャンペンは遠慮したいんだが。
ウォレス:言葉に二言はないよ。
     君たちを解放する。
マッケイ:本当なのか?
ウォレス:うそはつかない。

彼はもう1つのグラスを取るためにサイドテーブルに行きます。

ジーニ:でも逮捕されるわ。
マッケイ:言うな!
ウォレス:(グラスを持って戻り、それを満たし)
     分かっています。
     君たちを誘拐することを決めた瞬間から刑務所に行くのは覚悟していた。
     私は構わない。娘が生きてさえいればそれでいい。

ジーニは彼にほほ笑みます。

ウォレス:(ロドニーに)君が理解できなくても構わない。
マッケイ:まあ、そうだな。僕に理解できない。
ウォレス:(二人にグラスを渡し)今日、娘だけではなく大きなことを達成した。
     ガン治療を克服できたんだよ。それに乾杯だ。

ロドニーとジーニはグラスを受け取ります。
ウォレスは3つ目のグラスを手に取り掲げます。

ウォレス:未来に。

ジーニはグラスを持ち上げます。
しかしウォレスのグラスに合わせる前にドアが開きます。
そして見張りは入ってきます。

見張り:すみません?問題がおきました。

シャロンの部屋。
シャロンはベッドに寝ています。
そして彼女の心臓モニターはトーンを発しています。
医者は除細動器のパドルを持ち、看護婦が彼女に酸素を送っています。

医者:クリア。

彼は彼女にショックを与えます。
トーンの変化はおきません。

医者:変化なし。もう一度だ。

ウォレスはロドニーとジーニを連れて入って来ます。
彼らは入り口で立ち止まります。

医者:チャージ、クリア。

彼は再びシャロンにショックを与えます。
トーンは変化しません。
医者は脈拍を調べるのにシャロンの手首を掴みます。

医者:(看護婦へ)それを止めて。

看護婦はモニターを消します。
ウォレスは苦渋に満ちた顔でベッドに歩きます。

医者:申し訳ありません。
ウォレス:元気だったのに。なんでなんだ。
医者:彼女の心臓は止まりました。
   再鼓動は無理でした。
   何が原因なのかさっぱりです。

ウォレスは穏やかに彼をわきに押しやって、娘の枕許に歩きます。
目に涙を浮かべ彼は娘を見つめます。
ジーニは同情的な顔で見守ります。
ロドニーは次に妹に起こることを予想して彼女に近づきます。

マッケイ:ここから出る必要がある。
ジーニ:分かってる。
マッケイ:君をS.G.C に連れて行かないと。
     同じナナイツのプログラムが走ってるんだ…
ジーニ:分かってる。
マッケイ:オーケー。僕が見張りの注意を逸らす。
     君は逃げろ…

ジーニはシャロンのベッドに向かって歩き始めます。

マッケイ:ジーニ。 ジーニ! 何をしてるんだ!

ジーニは座ってシャロンの手を頬に当てているウォレスに近づきます。

ジーニ:本当にごめんなさい。
    兄一緒に帰る必要があるの。
    もっと多くの科学者と大きな研究室に行く必要があるの。お願い。

ウォレスは彼女の言葉を理解するどころではなく悲しみに頭を振ります。

ウォレス:どうしていいのか分からない。
ジーニ:今のあなたの気持ちは想像できない。
    それは私にも言えること、もし私が治療されなければ…あなたと同じ気持ちになる者がいるの。
    私には家族が、夫と娘がいるのよ。
    お願い。助けが必要なの、ここではできないのよ。
ウォレス:(涙ぐんで)申し訳ない。

ちょうどその時、心臓モニターはビープ音を出します。
そしてシャロンは目を開いてあえぎだします。
ジーニは後ろによけ、驚いた医者は急いでシャロンの手首を掴み脈拍をチェックします。

ウォレス:シャロン ?! 。

彼女の目は半ば閉じられていて、理解できないような目で周りをじっと見ます。
ウォレスは医者を見ます。

ウォレス:娘は死んだのでは!
医者:死んでいました!

心臓モニターは確実に再鼓動を示しています。
彼女がぼんやりとじっと見続ける中、ウォレスは穏やかにシャロンの頭に手を置きます。

研究室。
ロドニーはコンピュータに取り組んでいる脇でジーニは立っています。

マッケイ:ナナイツはまだ活動している。
ジーニ:いいえ。ガンを治したら自らシャットダウンするはずよ。
マッケイ:生体で実験したことはないんだ。
     シミュレーションで機能しただけだ。
     (ウォレスを見上げ)
     なあ、あんたはこのプログラミングが完成したと言ってたな。
ウォレス:待ってください。
     ナナイツが娘を生き返らせたと言っているんですか?
マッケイ:それしか考えようがない。
ウォレス:それからなぜ娘は一度死んだんだ?
     娘を生かせるようにすべきではなかったのか?
ジーニ:そこが重要ね。
マッケイ:まぁまぁ、待って。
     医者が言うには突然彼女の心臓が止まったと言っていたんだろ?
ウォレス:その通りです。
ジーニ:シャロンにはガンとは別に心臓疾患がある?
ウォレス:ええ、僧帽弁逆流症と心雑音を持っています。
マッケイ:(ジーニに)おい、それって……
ジーニ:パラメータを広げたから。
    ナナイツはガンだけを治すようプログラムされてない。
マッケイ:白血病を治し終えた途端に、心臓の修復をはじめたんだ…
ウォレス:その間心臓を止めたと?
ジーニ:それじゃ意味がないわ。
    心臓を止めたら脳に酸素がいかなくなって脳障害を引き起こす。
マッケイ:ナナイツは修復するのが専門だ。
ジーニ:組織の修復はできたけど、患者は記憶や言葉、全てを失う。
マッケイ:ナナイツはそんなの気にしてない。
     体の障害箇所を治すように設計されてる。
     つまり本人の人格なんか維持する事はプログラムされてない。
ウォレス:それでは娘はこのまま植物状態に?
マッケイ:彼女の脳は完全に健康だ。
     でもリセットされた赤ん坊のようなものなんだ。
ジーニ:(不安そうに)メレディス、私はどうなるの?
    私はガンに掛かってないわ。
    まっすぐに向かってくるわよ…
マッケイ:(怯えて)…癲癇を持ってたっけ。
ジーニ:治されるために死ぬのはいやよ。
マッケイ:オーケー、オーケー。
     まずは確かめないと…

ちょうどその時銃声が響きドアの錠を吹き飛ばします。
軍人たちがドアをけり破って、ジョンとロノンが入ってきます。
軍人の1人がウォレスを掴んで床にねじ伏せます。

シェパード:大丈夫だったか?
ジーニ:…どうやって?
マッケイ:すぐにジーニを S.G.C.送らないと。
     ダイダロスはまだいるのか?
シェパード:どういたしまして!
      大胆な救出作戦だったな。
マッケイ:ああ、分かってる、ありがとう。
     でもまだ危機は脱出してないんだ。
     急いでS.G.C.に行かないと。

ジョンはヘッドホンラジオを作動させます。

シェパード:ダイダロス、こちらシェパード。
      転送してくれ。

軍人がウォレスを縛り上げている間、トランスポートビームがジョンたちを連れ去ります。

S.G.C. 研究室。

マッケイ:オーケー、ジーニを麻酔で眠らせて、彼女の足を折った。
デックス:何だって?!
マッケイ:ナナイツのスピードを遅くする必要があったんだ。
     十時間ぐらいは稼げたはずだ。
シェパード:彼女の足を折ったって?
      病気とか何かなかったのか?
マッケイ:すぐにでも重症の怪我が必要だったんだ。
     それにもし妹が治る前に、ナナイツをシャットダウンできれば、
     骨折だけですむ。
シェパード:病気だったらあとで苦しむことになるか。
マッケイ:その通り。
     こんな事してられないんだ。
     遅かれ早かれナナイツは折れた骨を治して、脳に移動する。
     早く何とかしないと。
バレット:電磁パルスで叩くのはどうです?
マッケイ:いや。このナナイツは特に E.M.フィールドに免疫がある。
シェパード:そりゃいい。
バレット:それではナナイツのシャットダウンプログラムを作るのに、
     十時間しかないってことですか?
マッケイ:そうだよ。
シェパード:で、どうするんだ?
マッケイ:恥ずかしい話だけど、助けが必要だ。

ゲイトルーム。
ゲイトは開いています、そしてロドニーとジョンはタラップの一番下で待っています。

シェパード:これは間違ってる。
マッケイ:ああ、でもこれしか方法がないんだ。

2人のアトランティス海兵隊員が、イベントホライゾンからショックガンを向けて後退して出てきます。
ゲイトルームの S.G.C. 兵隊は武器を構えます。
すぐにアトランティスに捕われていたレイスがゲイトから現れます。
しっかりとベルトに手首を鎖でつながれウエストの厚い革ベルトにつながっています。
足首も同じように鎖でつながれています。
レイスは呼吸を荒げてタラップの下にいるジョンとロドニーに見下ろします。

レイス:なぜここに私を連れて来た?

研究室。
ロドニーとレイスは数人の見張りと一緒にいます。

マッケイ:君は誰よりもレプリケータープログラムに精通している。
     早く解決したいために、君の助力が必要なんだ。

気が散っているかのようにレイスは部屋を見回します。
ロドニーはため息をつきます。

マッケイ:何を気にしているんだ?
     僕らが君を殺すとでも思ってるのか?
     そう考えてるのか?

レイスはまだ返事しません。

マッケイ:オーケー、オーケー、それじゃ、うーん…
     あー、まず第一に君を殺そうとは思ってない。
     もちろんそれはもう分かってると思うけど、
     君はあまりにもアトランティスのことを知っているから、
     でも協力するなら解放してもいい。

レイスはうなります。
それは疲れているように見え、その顔はいつもよりさらにいっそう油が多いです。

マッケイ:どうだい。信用できないよな。

彼は不安そうに笑ってレイスに少し近づきます。

マッケイ:君には肉親がいるか?
     レイスって兄弟とか姉妹はいるの?
     君らがどうなのか分からないけど、
     僕らにとって肉親は大切なんだ。
     僕の妹が窮地に陥っているんだ。
     僕のせいなんだけど、君に手を貸して欲しいんだ。
     君なら妹を救える。

レイスはあくびをします。

マッケイ:何も感じないのか?
     もし僕が君の立場なら、同じかもしれない。
     分かったよ。
     僕も君もどうすればこの地球製のナナイツをシャットダウンできるか分かれば、
     レプリケーターをシャットダウンできることになるのと違うか?
     君がハイブを失ったのは分かる。
     どれだけ損害が大きかったのか僕には計り知れない。
     でも レプリケーターはまだいる。
     君にとっても脅威のはずだ。
     だから僕のためだとか妹のためにじゃない…
     君自身のためにだ。
     君ならできるし、やらなければならないだろう。
     それがレプリケーターの殲滅につながるんだ。

ついにレイスは彼の方に向かいます。

マッケイ:やってくれるのか?

レイスはしぶしぶ頷きます。

マッケイ:ありがとう。

まもなくその後、
2人の見張りがレイスの両手首の皮ベルトを外し、足首の鎖もはずします。
モニタにはレイス文字が流れます。

レイスはテキストの一部を指さします、そしてロドニーはそれが何なのか見て論じます。

医務室では、看護婦が意識不明のジーニをチェックします。

研究室で、とロドニーとレイスは2つの別個のコンピュータにタイプします。
レイスは背後のモニタを確認すると元のコンピュータに戻りますが、
疲れ切っているかのように瞬きして、頭を振ります。

時間が過ぎ。
研究室で、モニタにはシミュレーションが動いています。

マッケイ:よし、少しバグはあるけど、僕らは近づいてるぞ。
レイス:「僕ら」?

レイスの声はしわがれ少し震えています。
ロドニーは気付きません。

マッケイ:おい、僕だって貢献してるだろ。
     今、僕が少しバグを見つけたのだって…

レイスはうなって椅子から落ちひざをつきます。

マッケイ:大丈夫か?
レイス:(弱く)いや。

そして床に崩れ落ちます。

オフィス。
ロドニーはジョンが机の縁に座っている前に立っています。

シェパード:もし奴が振りをしてたとしたら?
      もし奴が新鮮な餌を求めてるとしたら?
マッケイ:いや、僕はあいつを信じる。
     食べないでプログラムを終える事はできない。
     あいつのやってる事は僕にも理解できる。
     だけどあいつは僕よりも早いんだ。
     僕だったら2週間掛かるのを、あいつはたった1日やれる。
シェパード:俺がとやかく言う筋合いじゃないが、
      だがN.I.D.が奴に食べさせる人間を提供しないだろう。
マッケイ:分かってる。
     僕がやるよ。

ジョンの目は丸くなります。

シェパード:何だって?
マッケイ:僕が餌になる。
シェパード:(立ち上がって)本気か? !
マッケイ:僕を餌にすればあいつは力を取り戻す。
     それからプログラムを終えれば、ジーニを救うことができる。
シェパード:それからどうする?
      奴に命を返せって言うのか?
      奴が返すはずがない。
マッケイ:シャロンが30分前に死んだ。
シェパード:どうしてだ、何があった?
      ナナイツが動いてるんだろ…
マッケイ:今回はプログラムのせいじゃない。
     製造の欠陥だ。
     最初は彼女の動脈を治してたけど、ナナイツは動かなくなった。
     内出血を起こしたんだ。
     僕らには何もできなかった。
     (苦々しげにジョンを見つめます)
     僕は妹を失いたくないんだ、ジョン。
     どうやって彼女の夫に、子供に説明すればいいんだ?
シェパード:レイスはお前を殺すぞ。
マッケイ:僕はそれでもいいと思ってる。
シェパード:いや、よくないね。
      お前は俺のチームの貴重な一員だ、俺に直接報告する義務がある。
マッケイ:マジかよ?
     今更指揮系統の事を話なんて?
シェパード:お前を食わせるわけにはいかない。
マッケイ:僕のせいで妹はここにいるんだ。
     僕では問題を解決できない。
     でもこれができるレイスを助ける事はできる。
     簡単に決めた決断じゃない。
シェパード:(目をそらし)俺にはできない。
マッケイ:(涙ぐんで)お願いだ。

ジョンは彼の懇願するような目を見つめます。

シェパード:(静かに)すまない。

後に。
ジョンは拘置所のテーブルに座っています。
ウォレスはテーブルの反対側に座り、娘を失った事に悲しみ落ち込んでいます。

シェパード:理解を超えている。
      何が起きたのか理解できない。
      すまないな。
ウォレス:そしてジーニは?
シェパード:彼女を死なせるわけにはいかない。
      俺たちは、あー、ペガサス銀河でレイスと呼ばれる敵の種族からの専門家を呼んだ。
      マッケイはそいつにジーニの体内にあるナナイツを
      シャットダウンするプログラムを作るよう説得した。
ウォレス:そして?
シェパード:もうじきだった、本当に間近だったんだ。
      だだそいつはこの数週間、食事をしてないため倒れた。
      プログラムの修正を終えるには弱りすぎている。
ウォレス:どうしてなんだ。
     もし彼女の命を救う事ができるのなら、なぜ食事させないんだ?
シェパード:まあ、そいつの食事ってのは…人間の生命エネルギーなんだ。
ウォレス:(頷いて)そうなのか。
シェパード:ボランティアは少し見つけにくい。
ウォレス:それではジーニは…
シェパード:シャロンのように死ぬことになる。
ウォレス:(悩んで)本当に申し訳ない。
シェパード:あんたの気持ちは分かるよ。

ジョンはポケットに手を伸ばして数枚の写真を取り出します。
彼はウォレスの前のテーブルにおきます。
マジソンとケレブが一緒に写った写真で二人ともカメラに向かって微笑んでいます。

シェパード:これはケレブ、彼女の夫だ…

彼は机にもう1枚写真をおきます。
階段の上で微笑むマディソンの写真です。

シェパード:…そしてマディソン、娘だ。

ウォレスは写真を手に取り泣き始めます。

ウォレス:こんな事になるとは思ってもいなかった。
シェパード:それは分かるが、そうなってしまった。
      今マッケイは自分を責めている。
      だが俺はそれが何なのか分かってるつもりだ。
      (ウォレスを見て)
      あんたも分かってるはずだ。

ウォレスは目に涙を溢れさせため息をついて彼を見ます。

後に。
ロドニーは研究室の閉じられたドアに近づきます。
彼はキーカードをリーダーに通します。
しかしそれは否定的なビープ音を出します。
再びカードを通しますが結果は同じです。

マッケイ:くそっ!

近くにいた見張りが彼に近づきます。

フラー:どうしました?
マッケイ:(不安そうに)あー、いや。なんでもない。
フラー:(マッケイのカードに手を伸ばし)それを見せてくれませんか?
マッケイ:あー、いや、いいんだ。
フラー:カードをお願いします。
マッケイ:分かった。

いやいやながら彼はカードを渡します。
フラーはそれを見ます。

フラー:あなたはリー博士ではないでしょう。
マッケイ:ああ、それはリーのカードだったのか?
     ジムでズボンを履き違えたんだな。
     あー、ドアを開けてくれないか?
フラー:カードがなくては無理です。
マッケイ:おい、僕はロドニー・マッケイ博士だぞ。
     ここは僕の研究室だ。
     ドアを開けてくれないか?
フラー:私にはできません。
マッケイ:(怒って)これは生死の問題なんだ。
     ドアを開けろ!

フラーは返事しようと口を開きます、しかしちょうどその時ドアが開きます。

ロドニーは中を見ます。
ジョンは中にいてレイスの隣りで立っています。

マッケイ:シェパード?
シェパード:(フラーに)入れて構わない。

フラーは身を引き、ロドニーは研究室の中に入ります。
その時ジッパーの閉じる音が聞こえます。
ロドニーが見回すと、2人の医療補助員が遺体収容バッグのジッパーを閉じたところでした。
レイスがコンピューターにタイプしていると、
そして医療補助員が部屋から遺体収容バッグを運び出すのをみてロドニーは恐怖で凝視します。

マッケイ:何があった?!
シェパード:ウォレスに研究室を見せてたんだ。
      レイスは復活したと、お前を呼びに行こうと思っていたところだ。
マッケイ:(ショックで彼を見つめ)君は…
シェパード:おい。お前にはやるべき事があるだろう。
レイス:いや、必要ない。再プログラミングは完了した。
シェパード:速かったな。
      じゃあ、早速アップロードしてくれ。

ロドニーは気を取り直してレイスを手伝います。

医務室。
しばらく後にジーニは目を覚まします。
ロドニーは彼女の枕許に座っています。

マッケイ:ジーニ?
ジーニ:メア 。
マッケイ:もう大丈夫だ。
ジーニ:麻酔って変な感じ。
マッケイ:ああ。君だけじゃないから。
ジーニ:あなたも…?
マッケイ:ああ。
ジーニ:それで、私は…?
マッケイ:もう完全に大丈夫だ。
     まだ体内には不活性のナナイツはあるけど。
ジーニ:ありがとう、メア 。

彼女はベッドの上に身を起こします。

マッケイ:今回の事は本当にすまなかった。
ジーニ:ええ、これからは私の言う事を聞いてもらいますからね。
    (考えながらひと呼吸おきます)…永久に。
マッケイ:ああ、それでいいよ。

ジーニはベッドから出てます。

ジーニ:じゃあ、沢山野菜を食べる事…そして文句は言わない。
マッケイ:(スリッパを彼女の足元に置き)もちろんだ、分かった。
ジーニ:そして私の代わりにマディソンに三回は本を読んであげること。
マッケイ:分かった。

ジーニがゆっくりと立ち上がると、ロドニーは見回して彼女にローブを取って来ます。

ジーニ:車を買ってね。
マッケイ:少し言いすぎじゃない?
ジーニ:私はあなたのせいで死に掛けたのよ。
    車ぐらい、いいじゃない、ハイブリッドね。
マッケイ:ああ、家に帰りながら話をしよう。
ジーニ:ああ、家ね!
    いい考えだわ。

彼女は一瞬、彼を見てから抱きしめます。

ジーニ:愛してるわ。
マッケイ:(微笑んで)分かってるよ。

ジーニは彼を離し、「それだけ?」というように彼を見ます。

マッケイ:(照れくさそうに)僕も愛してるよ。

ロドニーがジーニにローブを手渡すと、彼女はため息をつきます。
彼女はローブを着ると、優しく彼にほほ笑みます。

アトランティス。ジョンの部屋。
ジョンは雑誌を読んでベッドの上で横たわっています。
ドアが開きロドニーが入ってきます。

シェパード:やあ!
マッケイ:やあ。
シェパード:戻ってきたのか。家族はどうだった?
マッケイ:(近くの椅子に座り)あー、よかったよ。プリウスを買ってやった。
シェパード:罪の意識からか?
マッケイ:ああ。(不器用にジョンを見て)
     聞いていいか、君がした事が信じられないんだ。
シェパード:その話はしたくない。
マッケイ:ウォレスに犠牲になるように説得したのか?
シェパード:いや、俺はしていない。
マッケイ:じゃあ、それなら彼はどうして…?
シェパード:俺は…
      (雑誌を閉じて、一瞬見つめます)
      状況を話しただけだ。
      彼は自発的に申し出た。
マッケイ:いや、彼を説得したんじゃないのか。

ジョンは顔つきを変え彼を見ます。

シェパード:彼は事態を正そうとしたんだ。
      俺は…

ジョンは罪の意識と戦って次第に言葉を弱めます。
ロドニーはそれを理解して彼を助けます。

マッケイ:状況を話しただけ?
シェパード:(静かに)ああ。
マッケイ:ありがとう。

ロドニーはため息をついて立ち上がりドアを指します。

マッケイ:何か食べに行かないか?
シェパード:行くか。

ジョンはベッドから降りロドニーと部屋を去ります。

マッケイ:あのさ、僕と君ってそんなに見た目変わらないよね?
シェパード:誰がそんな嘘をついたんだ?
マッケイ:いや、僕は真剣だ。
シェパード:俺もだ。
      誰がそんな事言ったんだよ?


おしまい