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スターゲートアトランティス シーズン4

4X13

アトランティス。
ロドニーの研究室。
大きなスクリーンは、地球から持って来たコンピュータゴルフゲームが表示されています。
ゲームは終わりスピーカーから拍手が聞こえます。
ジョンはテーブルに置かれたノートPCの前(その奥に大画面がある)に座っています。
ロドニー・マッケイは別のテーブルで背を向けて立っています。

シェパード:おい、もう一ラウンドやろうぜ。
マッケイ:もういいだろ。
シェパード:18ホールとは言わない。
      9ホールでどうだ?簡単なコースのパー3で。
マッケイ:いや、ケイティーと約束があるんだ。
シェパード:遅れていけばいいさ。
      女は男が遅れてくるのに慣れてる。
マッケイ:いや、皆がそうじゃない。
     それにこのランチに遅れちゃまずいんだ。

ロドニーはジョンの後ろに近づき笑顔になります。
ジョンはコンピュータでもう一ラウンド始めます。

シェパード:なんで?
マッケイ:秘密を守れるか?
シェパード:ああ。
マッケイ(即座に):それなら。

ロドニーはにやりと笑って彼により近づきます。
彼はズボンのポケットをまさぐり、
小さな箱を取り出して開きます。

マッケイ:この前地球に戻ったときこれを買ったんだ。

箱の中身は小ぶりのダイヤモンドがついているホワイトゴールドリングです。
ジョンは箱を取ってリングを見ます。

マッケイ:ケイティーと僕はもう少し関係を深める時期が着てると思う。
     だから…
シェパード:二塁にか?
マッケイ(憤然と):結婚だよ。
シェパード:本当か?
マッケイ:ああ
シェパード:お前が?
マッケイ:そうだよ。
シェパード:結婚するって?
マッケイ:何?まだ早いって言うのか?
     事を急ぎすぎてるって?
シェパード:そうは言っちゃいないが…
マッケイ:まあ、僕もそうは思ってる。
     デートする機会もなにもなかったし…
シェパード:(リングを見て)これってダイヤモンドか?
マッケイ:そうだよ。
     1カラットが8個だ。
     何の問題もなくいい取引だった。
シェパード:まあ、お前にしちゃ上出来だ!
マッケイ:そうだろ、だから…
     (耳の無線機に手をやり)
     僕は行って来る!

彼は無線機をテーブルにおきます。
ジョンは少し驚いた顔で箱を彼に返します。

シェパード:じゃあ、俺は…
      後でビールでも持って行ってやるよ。
      祝杯を挙げようじゃないか。
マッケイ:ああ、もし彼女が断ったら、やけ酒だ。
シェパード:ああ、どっちにしてもな。

ロドニーは不安そうに微笑みます。

マッケイ:ようし。

彼は少しためらってドアに向かってじっと見つめます。

シェパード:さあ、彼女に会いに行けよ!

ロドニーは訳の分からない事を言いながらドアを示します。
そしてポケットに箱を入れて出口に向かうとテイラがいました。
彼女のお腹はかなり大きくなり、散歩の途中でした。

テイラ:こんにちは、ロドニー。
マッケイ:いや、今は話せない。

テイラはロドニーが走り去っていくのを見てジョンに振り向きます。

テイラ:ジョン。
    今、話せる時間はある?

医務室。
ロノンとジェニファーに入ってきます。
彼の腕は血で覆われています。

ケラー:また練習で怪我したの?
デックス:実はシャワーを浴びててな。
ケラー:ウソでしょ?
デックス:(微笑)ウソだ。
     スパーリングで怪我をした。

ジェニファーが医療用手袋をとって来ると、彼はベッドの脇に座ります。

ケラー:今週で三回目よ、縫うことになったのは。

彼女は傷口を確認します。

ケラー:空き時間に他の事をしたほうがいいんじゃない?
デックス:他の事は面白くもない。

ジェニファーは目を上下させ手袋をつけ始めます。

廊下。
カーターはトランスポーターに向かって歩きます。
別の方向からタブレットを持ったゼレンカがやってきます。
ドアに達すると彼らはお互いに微笑みます。

ゼレンカ:大佐。
カーター:博士。
     どこに行くの?
ゼレンカ:コントロールルームです。
カーター:じゃあ一緒ね。
     一緒に行きましょ。
ゼレンカ:よかった。

トランスポーターのドアは開いて、2、3人の科学者が出てくると、
サムとラデックはわきへ寄ります。

植物学研究室。
ロドニーは入ってきて見回します。

マッケイ:ケイティー?

ケイティー・ブラウンは隣の部屋でいくつかの植物を世話しながら彼に大声で叫びます。

ブラウン:こっちよ。
マッケイ:よかった。
     すごいな!

彼は彼女に近づきます。

マッケイ:お腹が空いただろ?
ブラウン:ええ、そうね!

彼女は手袋を外します。

マッケイ:(不安そうに)ああ、僕も腹ペコだ。
     空腹で、空腹でしかたがない。

ケイティーは彼の心配そうな顔を見ます。

ブラウン:大丈夫?
マッケイ:平気さ。
     ああ、その…
     これはたくさんあるな…

ケイティーはテーブルを回り込んで彼を見ます。

ブラウン:汗をかいてるわ。
マッケイ:えっ、そうかい?

彼は額に指を走らせます。

マッケイ:ああ、本当だ。
     ようし、言うぞ、思い切って。
     あのさ、バンドエイドを取ると誰でも…痛いって言うけど……
     実は正反対なんだ。
ブラウン:(笑い)ロドニー!
     どうしたの?
マッケイ:(彼女に笑いかけますがまだ不安そうに)何でもない。
     実際君が正しい…僕達はつまり。
     僕は思ったんだけど君の事を知らない、でも僕らは出合った…
     そう考えると、多分それは時間だ…あの…

ケイティーは恥ずかしそうに後ろに手を組んで彼を見ます。

マッケイ:僕らがどこで出会おうと…

彼はズボンのポケットから先ほどの箱を取り出そうとします。
ちょうどその時アラームは鳴り始め開いていたドアはスライドして閉じました。
ロドニーは驚いてドアを見つめます。

医務室で。
ジェニファーがロノンの腕を縫っていると、
アラーム音と共に近くのドアがスライドして閉じます。
そして部屋の別のドアも閉じてしまいます。

基地内のドアは全て閉じていきます。

ロドニーの研究室では隔壁が閉じ、ジョンとテイラは閉じ込められます。

植物ラボでは、ロドニーとケイティーがドアに急ぎます。
ロドニーは壁のセンサーに手をかざしますが否定的なビープ音が鳴るだけです。

ブラウン:どうなっちゃったの?

ロドニーは再びセンサーに手をかざしますが同じ状態です。

ブラウン:どうしてドアが閉じたのかしら?

ロドニーは手でドアを開けようとします。
ケイティーも手伝いますがドアは動きません。

ブラウン:ロドニー?
     どうなってるの?
マッケイ:ロックされてる。
     閉じ込められた。

ロドニーの研究室。
テイラは入り口に走り壁のセンサーに手をかざします。
しかし何度やっても否定的なビープ音を鳴すだけです。
ジョンはドアを手で開けようとしますがびくともしません。

テイラ:閉じ込めらたようね。
シェパード:(無線で)ロドニー?
      応答しろ。

テイラは再びセンサーに手をかざしますが同じです。

医務室。
ジェニファーとロノンはそれぞれ別のドアを開けようとしています。
ジェニファーはロノンの方に振り返ります。

ケラー:こっちもロックされてる。
デックス:一体どうなってる?

彼はドアを開けようと続け、ジェニファーはヘッドホンを動かします。

ケラー:マッケイ博士、こちらケラー。
    聞こえる?

トランスポーター。
中では、ラデックが壁のパネルを開けてクリスタルの点検をしています。
点検を終えトレーは壁に収納されます。
サムは後部の壁のタッチパネルをあちこち押しながらヘッドホンを動かします。

カーター:ロドニー、サムよ。
     聞こえてる?
ゼレンカ:制御機構が反応しないね。
     多分手でドアを開けられるかも。

彼がタブレットを床に置くとサムもドアに向きます。

ゼレンカ:トランスポーターのドアは軽いから。
     他のドアと違ってね。

二人はドアを押し開けようとしますが、どんなに力を入れても開きません。
ラデックはチェク語で文句を言います。
サムは再びヘッドホンを動かします。
カーター:ロドニー、サムよ。
     応答して。

彼女は数回ヘッドホンを叩きます。

カーター:シェパード中佐、聞こえる?

ラデックが自分のヘッドホンを作動させるとサムが彼を見ます。

カーター:何が起きたか分かった?
ゼレンカ:いいえ。
     通信もダウンしてるみたいね。
カーター:(ため息をつき)それは大変だわ。

植物学研究室。

マッケイ:よし。(彼は何度か指を鳴らします)
     無線機が必用だ。
     僕のは研究室に置いてきたから。
ブラウン:えっ、無線?

彼女は少し戸惑ってから、閉じているドアを指します。

ブラウン:この中よ。
マッケイ:なんで?
     どうして無線機を持ってないんだ?
ブラウン:植物学の研究室じゃ必要ないから。

ロドニーはドアから離れ室内をぐるりと見回し始めます。

マッケイ:今は必用なときだ。
     あのアラームは隔離封鎖だよ。
ブラウン:隔離って?
マッケイ:アトランティスの自己防衛機能で、
     病気の蔓延を防ぐために都市がセクションを封鎖するんだ。
     Kirsan熱が大発生した後システムをいじったんだけど。
ブラウン:でもあの時は隔離されなかったわ。

マッケイ:(部屋を捜しながら):だからシステムをいじったんだ。
     もっと有効に働くように。
     PCを使って調べる必用があるな。
     状況の度合いがどれぐらいなのか。
     つまり、これは隔離されたのが数セクションなのか全部なのか?

ロドニーは探すのを止めて目を大きく開けます。

マッケイ:もしかしてPCもあっちの部屋?

ケイティーは首を縦に振ります。

マッケイ:無線機も。

ケイティーは残念そうな顔をします。

医務室。
ロノンはまだドアをこじ開けようとしています。
ジェニファーは近くに立っています。

ケラー:何か病気が発生したに違いないわ。

ロノンは唸ってドアを手放します。

ケラー:マッケイがより効率的になるように隔離システムを変更するって言ってた。
デックス:無線も使えなくするのが効率的なのか?
ケラー:どうみてもプログラムのバグね。
    問題なのは通信ができないとなると、
    隔離状態がどれだけ広がってるのか教える事ができない。
    それに安全なドアを開けるパスコードも教えられない。
デックス:あ、そうなのか。
ケラー:いずれにしても、病人がやってくるための準備をしておかないと。
    手伝ってくれる?
デックス:何をしたらいいのか言ってくれ。

ロドニーの研究室。
ジョンは下ろされた隔壁に手をあてています。

シェパード:今本当にロノンの使ってる銃が欲しくなってきたぜ。
テイラ:ジョン、見て。

ジョンは振り返ってテイラがコンピュータの前に立っているのを見ます。

シェパード:何だ?
テイラ:病気が蔓延したみたい。

ジョンはコンピュータに向かうと、目の前の大きいモニタに情報を呼び出します。
モニタには都市の全体図が映ります。
更に詳しい情報がモニタに表示されます。
そして「カテゴリ5により隔離」と表示されます。

テイラ:カテゴリ5って?
シェパード:まあカテゴリ1から4より悪い事は確かだな。
      しばらくここにいる事になる。

彼はテイラのポッコリお腹を不安そうに見ます。

テイラ:何?
シェパード:映画じゃよくこんな時にあるんだ。
     妊婦が今にも生まれそうだって。
テイラ:まだ早すぎるわよ。
シェパード:それでも映画じゃ突然…
テイラ:落ち着いて、ジョン。
    私は大丈夫だから。
シェパード:座ったらどうだ?
テイラ:平気よ。
シェパード:安全のために座っててくれ。

彼は彼女のためにスツールを引きます。
ため息をついて彼女は座ります。
ジョンはコンピュータに戻ります。

シェパード:他に情報がないか探してみよう。

トランスポーター。

カーター:隔離封鎖ね。
ゼレンカ:ええ。

サムは壁のパネルに戻ります。

カーター:どうして通信まで影響を受けたのかしら?
ゼレンカ:前にロドニーがエンシェントのプログラムを書き換えるって言ってました。
     たぶん何か間違ったんじゃ?
     安全対策の基準が高すぎたとか。
カーター:メインフレームにアクセスしないと。

彼女はタブレットを拾います。

ゼレンカ:ええ、でも残念ですができないんです。
     このタブレットじゃRAMが少なすぎて。
     せいぜい読み出すだけで解除までは。
カーター:少なくとも封鎖の範囲は特定できる。
ゼレンカ:ええ。

サムがタブレットのスイッチを入れるとデスクトップの写真が現れます。
サムは鳩の写真が出てきたので驚いて見ます。

ゼレンカ:ああ、すみません。

彼は不安そうに笑ってタブレットを受け取ります。

ゼレンカ:これは僕の鳩ね。

サムは彼が何を言ってるのか分からず眉をひそめます。

ゼレンカ:趣味で飼ってたのよ。
カーター:ああ。
ゼレンカ:よし、どうなってるか見てみましょ。

ロドニーの研究室。
ジョンはテイラの横でスツールに座り、彼らは別々のノートPCを操作しています。
ジョンは彼女をちらっと見ます。

シェパード:大丈夫か?
      何か欲しい物とか?
      横になりたいとか食べたいとか?
テイラ:あなたと話したい事があるの。
シェパード:何だ?
テイラ:私をチームの任務から外すっていうあなたの決定。
シェパード:また蒸し返すつもりか?
テイラ:ううん、そうじゃない。
    私は分かってる。
シェパード:ずっとじゃない。
      まずは君の安全だ。
      次に赤ん坊を生んで、数カ月後には元の任務に戻る。
テイラ:戻れるのかしら?
    今はお腹の中にいるから危険な目に遭わせないって言うけど、
    この子が生まれたらどうなるのかしら?
    ジョン、この子は父親がいない状態で育つわ。
    でも、もし私が怪我をしたり死んでしまったら、
    母親もいない状態で放り出される。
シェパード:それが大変なのは分かるつもりだ。
      俺の大学の友達に婦警がいる。
      彼女には3人の子供がいて、
      彼女は毎日勤務に就くときそう思うそうだ。
テイラ:その人はどうやって自分に言い聞かせてるの?
シェパード:通りで悪者を退治していると、
      彼女は子供を守っているのは自分の子供だけじゃない、
      全ての子供達を守っているんだって言ってたよ。

彼はテイラを見ます。

シェパード:なあ、分かるだろ?
      君やその子に何があってもここが我が家だ。

テイラは彼に微笑んで、彼らは仕事に戻ります。

トランスポーター。
ラデックはメインフレームにアクセスしました。
そして彼とサムは驚いてタブレットを見つめます。

ゼレンカ:カテゴリ5?
カーター:都市全体が?
     この病気ってこれまでにないスピードで感染するの?
     何か…
ゼレンカ:(彼女の言葉に続け)何か問題あるね、うん。
     その階をみて。
     第一、第二システム。
     ほら、あらゆるセクターでワイルドな変動。
カーター:他のシステムもダウンしてるの?
     通信だけじゃないわ。
     長距離スキャナーも、この塔を含むいくつかの換気も。
ゼレンカ:あっ、それに配線もだ!
     そんな!
カーター:都市の全体のオペレーティングシステムが故障しているようね。
     これは隔離閉鎖じゃないわ。
     この閉鎖は故障が原因よ。
     心配ないわよ。
     こうしてる間でも、マッケイがこの問題を修正するため、
     ワークステーションに座っているはずよ。

植物学研究室。
ロドニーは苛つきながら腕組みをしています。
ケイティーは彼の横に立って彼を見ます。

ブラウン:他の人達が何とかしようとしてくれてるわ。
     ケラー先生、ゼレンカ博士、カーター大佐…
マッケイ:まあ、それならいいんだけど。

医務室。
ロノンは点滴台を手にします。
梃子の変わりにドアの隙間にそれを挟んで開けようとします。
点滴台は途中から曲がって折れてしまいます。
音を聞いたジェニファーは隣の部屋から駆け込みます。

ケラー:ねえ!ちょっと!

彼女は彼に小走りして腕を掴みます。
彼の腕の包帯は血で真っ赤になっています。

ケラー:縫ったところが破れたじゃないの。

彼女はベッドに彼を連れて行きます。

ケラー:もう、本当にこんな無謀な人には始めて会ったわ。

ロノンはひとりよがりに微笑みます。

ケラー:褒め言葉じゃないわよ。
デックス:そうだろうな。
ケラー:(ベッドを指し)横になって。

ロノンは横になる間に、ジェニファーが手袋をつけます。

ケラー:OK、ねえ?
    私達でドアを開けるのは無理よ。
    マッケイに任せた方がいいわ。
    もし仮にドアを開けるにしたって、どのドアが安全なのか分からないでしょ?
デックス:それじゃここに座って待ってるだけか?
ケラー:ええ!
    そして運ばれてくるだろう病人の受け入れ準備をしておくの。
デックス:座るのと待つのは好きじゃない。
ケラー:(笑い)からかわないで!

彼女は彼の腕から包帯を切り取り始めます。

ケラー:じゃあ、お互いを知り合うためにも、話し合ってみる?

ロノンは彼女に目を細めます。

デックス:何を考えてる?

ジェニファーは驚いて目を丸くします。

ケラー:あっ、つまりその…あのね私が言いたかったのは…会話ってことよ。

彼女は不安そうに笑います。

ケラー:そういう意味じゃなくて…
    ええ!とにかく話をしましょ。

ロノンはあっけらかんと彼女を見ます。
ジェニファーはしかめつらをします。

植物学研究室。
ドアのところではケイティーがパネルを動かそうとしますができません。
彼女が振り向くとロドニーはテーブルに突っ伏していました。

ブラウン:これをいじってドアを開けられないの?
マッケイ:いじる事はできるけど、ドアは開かないよ。
     隔離プログラムはドアの制御機構を完全に無効にするから。
     つまり誰も出ることができないようにしてあるのさ。
ブラウン:(彼に近づき)まあ、大丈夫よ。
     ケラー先生やゼレンカ博士が…
マッケイ:(遮り)そんなの分からないよ。
     僕らだってどうなるか分かったもんじゃない。
     もしかしたらゼレンカやケラーは既に感染してるかも。
     感染がどれだけ広がってるかも分からないんだ!
     もしこれが重大な事になってたら?
     他に助かる方法がないとしたら?
     都市全体が隔離封鎖されてるかもしれない。
ブラウン:(腕を組)それって最悪の事態のシナリオじゃない。
マッケイ:おい!
     僕はいつもそう考えてプログラムを組んだ。
     適切に防御するためには、最悪の事態を予想しないといけない。
ブラウン:事態って?いい方は?
マッケイ:いい状況は考える必要はない。
     君が難しい試験が終わって自転車に乗ってたとする。
     君の顔には心地よい風が当たってることだろう?
     でも次の瞬間には地面の穴にタイヤが落ちて君は宙を舞う事になる。

ケイティーは同情して腕を解いて彼に向かって歩きます。

ブラウン:ねえ、ロドニー!
     どうしちゃったの?
マッケイ:(彼女の言葉を聴かず)問題なのはいつでもそういう事を想定しないといけない。
     どこにでも穴はあるんだから。
     君は僕の事を「破滅的考えの男」と思うだろうけど、
     それが僕に科せられた責任なんだ。

彼はドアに歩いてドアを見ます。

ブラウン:そんな考えじゃ誰もが怯えて暮らさないといけないじゃない。

ロドニーは彼女に向きます。

マッケイ:「絶望」が抜けてるよ。

トランスポーター。
ラデックはタブレットを見ています。

ゼレンカ:これは確かに故障だけど、
     驚いた事にこれはロドニーがやったんじゃない。

彼はサムにモニタを見せています。

ゼレンカ:これを見て。
     今朝早く電離層の嵐が起きた事で、電力が急激にスパイクを起こしたんだ。
     この新しい星は驚く事ばかりね。
     今後どんな電離層の活動も抜本的な再考が必用よ、間違いなく。
カーター:それじゃまず最初に、ワークステーションにたどり着いて、
     この故障を直さないと。
ゼレンカ:ええ、そうですね。
     まだロドニーがこれに気づいていないって事はないですよね?
     最近の彼は少し変で。
カーター:多分コンピュータが近くにないのよ。
ゼレンカ:ロドニーが?!
     彼がコンピュータから?
     (彼は鼻で笑いします)
     そんなのありえないね。
カーター:まあ、原因が何であっても、感染病の発生じゃないなら、
     ここに閉じこもってる必用はないわね。
ゼレンカ:ええ、でもドアは閉じてるし…

サムは当然のことを言う彼を失望して目を閉じます。

ゼレンカ:思ってた以上に重かったし。
カーター:このコントロールパネルにアクセスするのにそのタブレットを使える?

彼女はラデックが以前に開けた壁のパネルを開けます。
クリスタルのトレーが滑り出ます。

カーター:ドアを開けるぐらいならなんとかなるんじゃない?
ゼレンカ:どうですかね?
     トランスポーターのパネルには、ワイヤレスインターフェースはありません。
     直付けできたとしても、このタブレットにはRAMの限界がある…
カーター:(遮り)私がやるわ。

彼女はタブレットを取り上げケーブルを引き抜いてパネルに差し込み始めます。

カーター:ありがと。
ゼレンカ:どういたしまして。

ロドニーの研究室。
ジョンとテイラはまだコンピュータを使ってモニタの情報を見ています。

テイラ:都市中に生命反応があるわ。
    私達と同じように閉じ込められてる。
シェパード:換気が動いてない。
      空気がなくなってくるぞ。

彼は疲れて眉をこすると、テーブルの上にロドニーの無線機があるのに気付きます。

シェパード:あいつは植物学研究室にいる。
テイラ:誰?
シェパード:ロドニーだよ。
      あいつランチデートにケイティを迎えに行ったんだ。
      植物室にいたとしたら?
      コンピュータも無線も全くない…
テイラ:彼がそこに閉じ込められたら…
シェパード:あいつは狂うぞ。

植物学研究室。
ロドニーはスコップでドアをこじ開けようとします。
徒労に終わり彼はそれを引いてため息をつきます。
そして目をつぶって深く呼吸して屈みこみます。
ケイティーは彼を見ます。

ブラウン:ねえ、大丈夫?
マッケイ:分からない。
     目眩がして、少し熱っぽい。
ブラウン:ここに。

彼女はスツールをとって来ます。

ブラウン:ロドニー、こっちに来て座って。
マッケイ:ああ。

彼はスツールに座ります。
ケイティーは彼の額に手を当て熱を見ます。
彼は情けない声でうめきます。

ブラウン:熱はないみたい。
マッケイ:本当に?
     節々が痛くなってる。
     それって発熱の初期症状だ。

ケイティーは彼の左手を取ります。
彼女は腕時計を見ながら脈を測り始めます。

ブラウン:脈は…120。
マッケイ:それなら正常だ。
ブラウン:そうなの?

彼女はちょっと微笑んでから眉をひそめます。

マッケイ:ああ、僕の脈はいつも速いんだ。
     子供のときから、寝ててもね。
     主治医がそれで論文を書いたことがある。
ブラウン:ふーん。
マッケイ:君の気分は?
ブラウン:私は平気。
マッケイ:OK、じゃあ何かおかしくなったら教えてくれよ、いいね?

彼は立ち上がってドアに戻ります。

ロドニーの研究室。
ジョンとテイラはまだコンピュータを操作しています。

テイラ:数時間前に電離層で何かあったみたい。
    その直後からシステムが不安定になってる。
シェパード:新しい星に、新しい問題か。
テイラ:病気の発生じゃないかもしれないわ。
ジョン:ああ、だが都市はまだ隔離閉鎖中だ。
    ロドニーがコンピュータを使えなきゃ、
    これを直すことができない。
テイラ:多分、ゼレンカ博士かカーター大佐ならできるわ。
シェパード:もしそうなら、とっくにやってるはずだ。
      多分彼らも閉じ込められてるんだ。
テイラ:誰ならできるの?
シェパード:(頭を横に振って)
      ロドニーのパスワードが必要になる。

テイラはため息をつきます。

シェパード:運がいい事に、俺は知ってる。
テイラ:パスワードを教わったの?
シェパード:あいつは俺が覚えられないと思ってるがな。

彼はタイプし始めます。

シェパード:16431879196842。

コンピュータはパスを受け入れます。

シェパード:なっ、俺って天才?
テイラ:どういう事?
シェパード:1643年はアイザック・ニュートンが生まれた年だ。
      1879年はアインシュタイン。
      1968年は…
テイラ:ロドニーが生まれた年。
シェパード:あいつのエゴを過小評価しちゃダメだ。
テイラ:待って?
    他の数字は?
シェパード:42か?
テイラ:それは何なの?
シェパード:生命、宇宙に重要な数字何だとさ。

彼はうろたえるテイラを見ずにタイプします。

シェパード:OK、入ったぞ。

トランスポーター。
サムがクリスタルトレーに差し込んだタブレットで作業をしている間、ラデックはため息をつきます。
狭い部屋が暑くなったので彼はジャケットを脱ぎます。
サムは彼を見ます。

カーター:ああ、それがいいわね。

彼女は、タブレットを下に置いてジャケットを脱ぎます。
ラデックが床にジャケットを落とすと、ちょうど彼の目の前にサムの胸の谷間が目に入り、
彼はじっと見入ります。
彼女はそんな彼の事は見ずにタブレットに目をやっています。
彼女は袖を捲り上げて、襟をパタパタと風を送ります。

カーター:OK、ずっとよくなった。

彼女は再びタブレットを拾います。
ラデクも自分のシャツの胸の部分をパタパタとしますが、暑さだけじゃないようです。

ゼレンカ:ええ、いいですね。

カーター:(タブレットにタイプし)
     コントロールパネルが認証を認識しないわ。
ゼレンカ:そういった風にはできてないから…
カーター:分かってるわ。
     ローカル装置の入力を考えて、メモリ解放するように書き換えたわ。
ゼレンカ:(驚き)それは凄い。
カーター:まあ、どう見ても都市の全体のオペレーティングシステムを扱うRAM容量はないわね。
     でもこのドアを開けるぐらいはできるはず。
     この認証コマンドを認識させることできれば。
ゼレンカ:多分二次クリスタルをバイパスしてダイレクトに繋げば…

彼はパネルに行ってクリスタルを動かし始めます。

カーター:ダメよ、それは…

パネルは爆発してラデクは吹き飛ばされます。

カーター:あっ、博士!ラデック!

ラデックは床に転びます。
サムは彼に屈みこみます。
彼は手をはたいてドアを見上げます。

ゼレンカ:開かないね。
カーター:そうね。

彼女はタブレットを見ます。

カーター:タブレットもショートした。

ロドニーの研究室。
ジョンはコンピュータを操作していますが、テイラは少し離れた場所に座っています。
ビープ音がすると彼はそれを見ます。

シェパード:クソッ!
テイラ:どうしたの?
シェパード:隔離封鎖のプログラムの一部が、
      ここに近づく船に病気が発生していると警告を送信している。
テイラ:都市がやってるの?
シェパード:近くにいる奴なら完全に受信してる。
テイラ:止められないの?
シェパード:ここからじゃ無理だ。
      亜空間通信をオフにしないと、上のコントロールルームで。
      上にいる連中が気づいてたとしても、
      オフにするためのロドニーのパスワードを知らない。
テイラ:送信し続けてたらアトランティスは発見されて攻撃を受けるわ。
シェパード:もう気づかれてるかもしれない。

植物学研究室。
ロドニーとケイティーはドアの近くに立っています。

ブラウン:気分はどう?
マッケイ:同じだよ。


彼は彼女の残念そうな顔を見て彼女の手を握ります。

マッケイ:ねえ。
     君も大分疲れたようだ。
ブラウン:まあ、かなりね。

ロドニーは長い間、彼女を見つめます。
彼女は分からずに彼にまゆをひそめます。

ブラウン:何?
マッケイ:いや、僕は…

彼の声を次第に消え入り、辺りを見回し指を差します。

マッケイ:ああ、あれは…

ケイティーが指差したほうを見ると、綿毛のような毛を持った背の高い柱サボテンがあります。

ブラウン:ああ、Rodneyana Villosaね?
     あなたの名前を貰ってつけた植物。

彼らはそれに向かって歩きます。

マッケイ:そうだった。
     大きくなったな。
ブラウン:ええ、本当に成長したわ。

彼女は鉢の周りを指でなでます。

ブラウン:ここまでにするのに特殊なT.L.C.を与えて…

彼女はゆっくりサボテンの長さに身振りで示します。

ブラウン:そしたらどんどん大きくなて…

ロドニーは咳をしだします。

ケイティーは心配そうに彼に近づきます。

ブラウン:医務室に行った方がいいわ。
マッケイ:行けないのは分かってるだろ。
     隔離封鎖は病気の蔓延を防ぐことだ。
     誰もどこへも行けない。
ブラウン:でも、誰も行けないとしたら、医者はどうやって患者を診るの?

ロドニーは彼女を見つめます。

マッケイ:ごめん、ケイティー。
     君を感染させてしまったようだ。
ブラウン:私は平気よ。
     私に兆候が出てるの?
マッケイ:人によって兆候は違う。
     この病気の潜伏期間も分からない。
     何時間なのか、何日なのか。
     僕がいつ感染したのかも分からないだろ?
     君が発病するのも時間の問題だ。

ケイティーは顔をしかめます。

マッケイ:何の話をしてたんだっけ?

ケイティーは彼に微笑みます。

ブラウン:私を元気づけようとしてた。
マッケイ:ああ、そうだった。

彼は言葉を失い、遠くを見つめます。

医務室。
ジェニファーがベッドの足の方を歩き回っている間、ベッドにはロノンが横になっています。
二人ともしばらく話をしてないようです。
ロノンは座りなおし背筋を伸ばします。

デックス:大丈夫か?
ケラー:ええ、私は…何もせずに座ってられなくて。

ロノンは微笑みます。

ケラー:特に私を必要とする人がいるときには。
デックス:落ち着いてられないよな。
ケラー:病気が発生してて、私は医者なのにこの部屋に閉じ込められてる。
デックス:そうだ。閉じ込められてる。
     だがそれは君のせいじゃない。
     自分を責めるな。

ジェニファーは感謝して彼に微笑みます。
彼は微笑み返します。

デックス:君を見てると、知り合いを思い出す。
     彼女もずっと自分にプレッシャーを与え続けていた。

ジェニファーは彼に近づきます。

ケラー:セティダの人?
デックス:ああ。
ケラー:彼女って?
デックス:俺の思い人だった。

彼は咳払いをします。

デックス:レイスの攻撃で死んだ。
ケラー:ごめんなさい。
デックス:いいんだ。
     俺は彼女に逃げて欲しいと思ったが、
     彼女は残って他の者達を助ける事を選んだ。

彼は再び咳払いをしてジェニファーに微笑みます。

デックス:彼女を逃がすべきだった。
ケラー:それはあなたのせいじゃないわ。
    彼女が残る事を選んだの。
    それを自分のせいにしないで。

二人はしばらく見つめ合うと、ロノンは相槌を打ちます。

ロドニーの研究室。
ジョンは壁のパネルのカバーを開けてクリスタルを入れ替えています。
最後の1つを入れますがパネルは否定的なビープ音を鳴らします。

シェパード:クソッ!
テイラ:何も変化なし。

ジョンは室内をぐるりと見回し始めます。

シェパード:プランBに変更だ。
テイラ:Bって?
シェパード:ここを爆破してコントロールルームに行く。
      ロドニーが爆薬を残してないか探してくれ。
テイラ:あるかしら…

彼女は部屋を見回します。
その時突然彼女は腹の辺りを見て驚いた顔になります。
ジョンは彼女の表情を見て立ち止まり、不安そうに彼女を見つめます。
彼女はちらっと彼を見上げます。
そして再び腹を見て喘ぎます。
ジョンは彼女を心配して指さします。

シェパード:俺に言わないでくれよ…

テイラは微笑みます。

テイラ:赤ちゃんが蹴ったの。
シェパード:本当か?

彼は彼女に近づきます。

テイラ:また蹴ったわ。
    ここよ…

彼女は彼の手を取って腹におきます。
彼は微笑みます。

シェパード:多分この子も俺達と同じぐらいここを出たがってるんだろうな。

テイラの微笑は色あせ始めます。
ジョンは彼女を見ます。

シェパード:テイラ、大丈夫か?

彼女は痛みでため息をつきますが、首を縦に振ります。

シェパード:もう少しがんばってくれ。
      ここからみんなを出してやるから。

彼は窓に行って都市を見下ろします。
次に振り返ってスツールを手にします。
テイラは立ち上がって彼に向かいます。

シェパード:離れてろ。
テイラ:何する…?

ジョンは窓にスツールを投げつけます。
ガラス窓は粉々になります。
テイラは急いで彼の腕をつかみます。

テイラ:ジョン、何をしてるの?
シェパード:コントロールルームはこの4階上なだけだ。
      登っていって、中に入る。
テイラ:塔を登るつもり?
    できるの?

ジョンは窓から出て外壁の出っ張った場所によじ登ります。

シェパード:大丈夫だ。
      バットマンはいつもやってる!

ジョンの足元の数百フィート下は海で、一歩でも足を踏み外せば下にまっ逆さまに落ちてしまいます。
ジョンは外壁の出っ張りをロッククライミングのように登っていきます。
更に強風も手伝い困難さは増していくばかりです。
彼はテイラを見ます。

シェパード:大した事はない。
      心配するな。
      俺は大丈夫だ。
      信号を止めてみせる。

ゆっくり慎重に彼は登り始めます。

トランスポーター。
サムとラデックは床に汗まみれで座っています。
ラデクは自分の仕出かしてしまった事と吹き飛ばされたショックを受けているようです。

ゼレンカ:すみません。
     二次クリスタルを動かしたせいで…
カーター:(彼を責めずに)ラデク、分かってる。
     こうなったのはあなたのせいじゃない。
     怒ってないわ。

彼女は首を縦に振って気強く彼に微笑みます。

カーター:こんな時にあなたの鳩がいればよかったわね。

ラデックは顔をしかめます。

ゼレンカ:食べられないよ。
カーター:違うわ。
     助けを呼ぶのに使えるじゃない?

彼はあっけらかんと彼女を見ます。

カーター:伝書鳩みたいに、
     小さな紙にS.O.S.って書いて足に結んで…

彼女は空に鳩を投げるまねをします。
ラデックは上を見ます。

ゼレンカ:ここには窓がないから。
カーター:分かってる。
     私が言いたかったのは…

彼女はあきらめます。
ラデックは彼女が世間話をして気を紛らわせようとしている事に気づいていません。

塔の外。
ジョンは慎重に通気口の出っ張りを掴んでは登っていきます。
頭の上にあったライトの金属の出っ張りを掴みます。
すると彼の全重量がそれに掛かり上の部分が外れ宙ぶらりんの状態になります。
彼は両手でその金属に捕まり上に上ります。
そして周りに掴むものが見当たらず、少し離れた場所に突き出た梁のような物に飛び移ります。
鉄棒の要領でその梁によじ登り慎重にその上に立ち上がります。
そして次の足場を探してよじ登っていきます。

その後しばらくしてジョンはやっと4階の外のバルコニーにたどり着き、
手すりを越えてバルコニーの中に入ります。

ゲイトルームでは。
ローン少佐と科学者のグループはまだドアの1つをこじ開けようとしています。
同じ部屋の上のコントロールでは。
チャックは上からその様子を見ていましたが、元のコンソールに戻り女性の技術者に報告を受けます。

技術者:OK、タワーの大部分の換気は回復したわ。
    まだ空気はあるけど、換気は動かない。

ちょうどその時外のバルコニーからガラス窓が割れる音が聞こえます。
その音に驚いた皆は窓の方に眼を向けます。
その窓からジョンが中に入ってきます。

チャック:中佐!
     どうやってここまで?
シェパード:(コンソールに急いで)長い話さ。
      信号をオフにしないとならない。
      近くを通る船にこの位置を教える事になる。
技術者:もうやってみましたが、パスワードが掛かってって。

ジョンがタイプし始めるとローンや他の科学者が階段を駆け上がります。
床の上の割れたガラスを見ます。

ローン:何があった?

ジョンがロドニーのパスワードをタイプしているとローンは彼は見ます。

ローン:中佐!
    どうやってここまで来れたんです?

ラップトップのモニタのイメージは変化します。

チャック:信号がとまりました。

ジョンは身を起こし安心しました。
しばらくホッとしていると、急に緊急アラームが鳴り響きます。
ジョンが顔をしかめると、全てのコンピュータ・スクリーンが暗くなります。
チャックは別のラップトップに駆けつけてタイプしますが、
そのモニタも暗い状態になっています。

チャック:コンピュータが停止しました、全部の。
ローン:(アラームを示し)これは?
シェパード:自爆だ。

トランスポーター。
アラームを聞くとサムとラデックは立ち上がります。

カーター:自爆装置が起動したわ!
ゼレンカ:でも誰がそんな事を?
カーター:それよりも後どのぐらい時間があるのかよ?
ゼレンカ:わかりません。
     スイッチを入れた物が時間を指定するから。
     今すぐ爆発する可能性だってある。

医務室。
アラームを聞いて、ロノンはベッドから飛び出しドアに向かいます。
ケラー:ロノン。

ドアを開けようとして彼はドアを引っ張り始めます。

ケラー:ロノン、そこはもう試したわ。
    開かなかったじゃない。

ロノンはドアから顔を背けて室内をぐるりと見回し始めます。

デックス:爆破して穴を開けるんだ。
ケラー:何で?
    銃は持ってないでしょ?
デックス:C4はないか?
ケラー:医務室で?
デックス:爆弾の代わりになるものなら何でもいい。
ケラー:さあ…

彼女は少し考えて別の部屋に向かいます。

ケラー:酸素タンクは?
デックス:(微笑)いいぞ!
    ブロージ保安官が「ジョーズ」って映画でやってたな。
ケラー:ええ、私も見たわ。
    でもいつ見たの?

ロノンはタンクの1つに歩きます。

デックス:シェパードが見せてくれた。
     あれはいい映画だ!

彼はタンクに笑顔を向けます。

デックス:可燃か。

彼は部屋の向こう側にタンクを運んでベッドにそれを置きます。

デックス:よし、あと必用なのはこれを撃つ銃だけだ。
     ここにはないのか?
ケラー:ここは医務室よ、武器庫じゃないわ。

コントロールルーム。

ローン:どうして?
    なぜ自爆スイッチなんか入れたんです?
シェパード:俺じゃない。

アラームは止まります。
皆はちらっち上を見ます。
次にジョンは満足げに微笑むチャックに振り向きます。

チャック:やった。
シェパード:お前が止めたのか?
チャック:いえ、アラームだけ。
技術者:(ローンへ)都市自体の自爆は止まってません、少佐。
ローン:じゃあ、どうして?
チャック:私がモニタで見た最後のものは隔離封鎖の不履行でした。

ジョンとローンは共に壊れた窓を見ます。

シェパード:俺が中に入ったから都市は病気が蔓延したと思ったんだ。
ローン:(技術者へ)おいおい、病気のせいじゃないと言ってなかったか?
シェパード:いや、都市はそう思ってない。
技術者:全てのシステムが不具合なのはそのせいです。
    都市は病気が蔓延して、もう制御しきれないと思ったのでは。
チャック:だからアトランティスを爆発させる最終手段に。
シェパード:後どれぐらいで自爆するか見たか?
チャック:いいえ
     見る前にコンピュータが停止しました。

ジョンは壊れた窓に歩き外のバルコニーを見ると、他の者達に振り向きます。

シェパード:分かった。
     ここから止めることができないとなると、大元の電源をオフにしないとな。
技術者:でもメインの電源室は…
チャック:6階下です。
ローン:そこまでたどり着けません。
    ジャンパーベイも封鎖されています。
    ゲイトルームに通じるあらゆる廊下も。
シェパード:壁を伝っても降りる必要があるんだ。
技術者:電源室は塔の真ん中です。
    例え壁伝いに降りられたとしても、
    いくつものドアを通り抜ける必用があります。

ジョンはローンに向きます。

シェパード:C4は持ってるか?
ローン:ええ、少しですが。

彼はベストポケットから一塊のC4を取り出します。

シェパード:それだけか?
ローン:(肩をすくめ)これだけです。

ジョンはしかめ面をして、次にチャックともう一人の技術者を見ます。

シェパード:二人もついて来い。

植物学研究室。
ドアに面してロドニーとケイティーはスツールに並んで座っています。
ブラウン:アラームが止まったわ。
     これってよくないサイン?
マッケイ:(小さな声で)分からない。
ブラウン:誰かが病気の治療方法を見つけたのよ。
     それか自爆の解除方法を見つけたか。
マッケイ:(絶望的に)それともただアラームだけをオフにする方法が分かったか。

彼はため息をついて屈みます。

マッケイ:ああ、横になりたい。

彼は立ち上がると空いた床に行きます。
ケイティーは彼の後を着いて行きます。

ブラウン:ロドニー、あきらめちゃだめよ。

彼女を無視してロドニーは仰向けに床に横たわり始めます。
彼女は彼の横にひざまずきます。

ブラウン:戦い続けて。
     ダメだと分かってるけど…

ロドニーが床に寝ると彼女の声は次第に消えて、
何かが彼のズボンのポケットから落ちます。
彼女はリングの箱を拾います。

ブラウン:これは何?

呻きながらロドニーは再び頭を上げて彼女が持っている物を見ます。

マッケイ:あっ、それは…
     今日ここに来たのは…

ケイティーは箱を開け中のリングを見て驚きます。
マッケイ:プロポーズするつもりだったんだ、そのリングを持って。

彼は目を閉じ呻き床に頭をおろします。

医務室。
ベッドの上に酸素タンクが横たわって載せてあります。
ロノンがもう一本タンクを持って運び始めると、ジェニファーは顔に保護シールドをかぶせます。

ケラー:うまく行かないかも?
デックス:(タンクを下に置いて彼女に向き)
     何言ってんだ?
     これは君のアイディアだろ?
ケラー:言ったけど、100万に1の確率よ。
デックス:ああ、それじゃこれがその1つだ。
ケラー:もし1ミリ以上切ったら…
デックス:タンクは吹き飛ぶ。
     分かってる。
     だったら切り過ぎないようにやるんだ。
     言いだしっぺだろ?

ジェニファーは不安そうにタンクを見下ろします。

デックス:(微笑)おい、もしできないんなら、俺がやるぜ。

ジェニファーは不安そうに首を縦に振ります。

デックス:さあ、やってくれ。

彼はもう一本のタンクを持って部屋の向こう側にいます。
恐怖の目でベッドの上のタンクを見ているジェニファーは、
外科用のドリルを手にとってタンクの首に当てます。
オドオドしながら彼女はほんの一瞬ドリルを回すとスパークが飛びます。
彼女はしかめ面をしながら再度ドリルを回します。

ロドニーの研究室。
テイラは立ち上がって窓の外を見ます。
そして身を乗り出し上を見ます。
そして体を窓枠から出し外壁のでっぱりに出ます。
窓枠に捕まりながら彼女は上下を見ます。
しばらく後、彼女は研究室に戻ります。

医務室。
ジェニファーがドリルでタンクを削り火花が飛び散っているのに顔を背けていると、
ロノンが彼女のところにやってきます。
彼女は気づいて顔を上げます。

ケラー:OK、できたわ。
    これ以上はもう無理。
デックス:よし、やるか。

彼はタンクをドアに直角に向けます。
そしてスキャナー付きのベッドの上にもう一本のボンベを載せ、
先ほどジェニファーが切っていたボンベの上に直角になるようにスキャナーの稼動部分に立てかけます。
ロノンは小さなリモコン装置を手に取り、ボンベがセットされていることを確認すると、
ジェニファーに微笑みかけます。
二人は隣の部屋に行って壁の後ろに隠れます。
ロノンはジェニファーを見ます。

デックス:ようし、いいか?
ケラー:ええ。

にやりと笑ってロノンは装置を動かします。
スキャナはベッドの上を動き出します。
上にあったボンベは亀裂の入ったボンベの首の部分に落ちます。
下のボンベの首は内圧で吹き飛びタンクはドアに向かって飛び出します。
ボンベはドアに当たりますがボンベは跳ね返ってしまい、ドアは少しへこんだ程度です。

そしてボンベは室内をぶつかりながら跳ね回ります。
ボンベが跳ね返っている間、二人とも壁の向こう側で伏せています。
J>>ロノンはジェニファーを見ます。

デックス:大丈夫か?
ケラー:ええ。
デックス:よし。

彼らは部屋を出てドアに向かいます。

ケラー:ああ、全くダメね。

ロノンは無傷のドアを見ます。

デックス:サメより手ごわいな。

都市のどこかでジョンはドアにC4をセットし起爆装置を取り付けます。
安全装置を引き抜き、ローンたちのいる場所まで引き戻ります。
彼は起爆装置を上げます。

シェパード:爆破で穴を開ける。

彼が起爆装置を作動させると爆発します。

近くのトランスポーターでは、サムとラデックが爆発音を聞きます。

ゼレンカ:あれは何?

彼らは立ち上がってドアに耳を押し当てます。
そして大声で叫びながらドアをたたき始めます。

カーター:ねえ?
ゼレンカ:おい!
カーター:ねえ?
ゼレンカ:僕達はここね!

近くにいたジョンたちはその声を聞きつけます。

ローン:聞こえますか?
シェパード:トランスポーターだ。
      誰かが閉じ込められてるんだ。

サムとラデックは叫び続け、ジョンたちはトランスポーターに走ります。

シェパード:そっちを頼む。

彼とローンはドアの左右を持ってこじ開けます。
ラデックとサムは外に出てきます。

シェパード:大佐。
      大丈夫ですか?
カーター:ええ、平気よ。
ゼレンカ:僕もね!
シェパード:病気ではありません。
      ただの故障です。
カーター:知ってる。
     ロドニーが自爆装置を止めたの?
シェパード:いえ、まだ止まってません。
      ロドニーからも連絡はまだ。
カーター:私が止めてみるわ。
チャック:コンピュータがダウンしてます。
ローン:我々は動力室に行って直接メインパワーを切るつもりだったんです。
シェパード:でも、ドアが封鎖されてて。
      ここまで来るのにC4を使い切ってしまいました。
ゼレンカ:それってまだここに閉じ込められるって事?
シェパード:まあ、そんなもんだ。
カーター:自爆まで後どのぐらい?
技術者:分かりません。
    確認する前にコンピュータがダウンしたんです。
カーター:それじゃ今すぐでも?

チャックは頷きます。

カーター:大変だわ。

植物学研究室。
ロドニーは床に仰向けで寝ています。
ケイティーは立ち上がって箱の中のリングに微笑んでいます。

ブラウン:プロポーズするつもりだったのね?
     今日?

ロドニーは顔を上げます。

マッケイ:うん?
     隔離封鎖する前だったら。

ケイティーは微笑んで彼に向きます。

ブラウン:えっ?
     どうして?
マッケイ:今?
     こんな状況で?
ブラウン:(彼に笑顔で)私の答えは聞きたくないの?

ロドニーは再び頭を床におきます。

マッケイ:もうそんなのどうでもいいだろ?
ブラウン:どうしてそんな事言うの?
マッケイ:だって、もう死の間近にいるんだぞ?
ブラウン:(怒り)そんな事言わないで。
     まだ可能性はあるわ。
     誰かがドアを開けてくれるかもしれない。
マッケイ:(頭を上げ)ケイティー、お願いだ。
     もう十分だよ。
     誰かがやってきて助けだしてくれるとは思いたいけど、
     たぶんそれは起こらないと思うよ。
     望みもなくこれが宿命なら僕はあきらめるよ。

しかめ面をして彼は再び頭をおろします。
ケイティーは悲しげにため息をつきます。

廊下の外ではローンがドアを無駄に引っ張っている間、
サムは壁のパネルのクリスタルをいじっています。
ため息をついて、彼らは他の者に振り返ります。

ゼレンカ:僕達は何をすればいいんだい?
ローン:何ができる?
シェパード:この通気口は電源室まで続いてるか?

彼らはジェパードが見ているところを見ます。
壁の上には通気口があります。

ゼレンカ:ああ、それはメインの通気道に通じてるはずね。
カーター:でもシステムが停止してるから、途中がふさがってるはずよ。
技術者:それは大丈夫のはずです。
    コンピュータが落ちる前に、タワーの大部分を復旧させる事ができました。

ジョンはいすに登って通気のカバーをこじ開けます。
いすの背に上がって彼は中をのぞきます。
ジョンが後ろに振り向くとローンがペンライトをベストから取り出します。
ジョンはそれを受け取って通気口の中を照らします。

シェパード:よし、繋がってるぞ。
      でもかなり狭い。
      俺じゃ中に入る事ができない。
カーター:私がやるわ。
ゼレンカ:いえ、僕がやるよ。
カーター:いいの?
ゼレンカ:ええ、僕の方が小さいし。
     僕が行けばすぐに電源を切れる。
カーター:分かったわ。
シェパード:頼んだぞ。

ジョンはラデクにペンライトを渡します。
ラデクはペンライトを口に咥え椅子に乗り通気口を覗き込みます。
そしてちらっと後ろのサムを見ます。
彼女は元気づけるように頷きます。

ローン:いいか?
ゼレンカ:ああ。

彼らは慎重にラデクの足を掴んで中に押し込みます。
ラデクは腹ばいで前進します。

医務室。
ロノンとジェニファーは並んでベッドに寄りかかって床に座っています。
ロノンは微笑みます。

デックス:君を勘違いしてた。

ジェニファーは不審そうに彼を見ます。
彼は彼女に微笑みます。

デックス:君が最初にここに来たとき、俺は君が頼りないと思った。
     ここには合わないと。
ケラー:(頭を横に振って目を逸らします)身の上話をするわね。
    (しばらく間があり、続けます)
    私は飛び級で15歳で卒業したの。
    早すぎたけど、私は学士の学位をとったのよ。
    私は多くのものを逃してしまった。
    社会的行事って分かる?
    パーティーに行ったり踊ったり?
    (彼女は悲しげに微笑み)
    私のいたところではそんな生活はなかった。
デックス:ああ、まあな。
     でもあのタンクを吹き飛ばしたりするのが、
     君の本当の姿だろ?

彼女は彼に微笑みます。

ケラー:でもうまく行かなかった。
デックス:そんな事はどうでもいい。

彼らはお互いを見つめます。

通風路。
細長いシャフトに沿ってラデクは這い回りながらつぶやきます。

ゼレンカ:着いたらすぐに電源を切るんだ。
     (チェク語で)
     ああ、信じられないよ。
     僕は大馬鹿だ。
     彼女は僕を大バカだと思ってるはずだ。

彼は分かれ道に来て、初めは一直線に進んで、次に後戻りしてもう片方をライトで照らします。

ゼレンカ:(チェコ語で)さて、どっちだ?
     いや、こっちじゃないな…

そして始めに行った方とは別のシャフトに進みます。
別の分かれ道があり彼はライトでそちらを照らします。


ゼレンカ:(チェコ語)こっちじゃないな…
     ウッ、クサッ!

またつぶやきながら真っ直ぐにシャフトを進みます。
先に進むと前左右と下に続く縦穴が開いています。

ゼレンカ:(チェコ語)イエス・マリア!

彼は全てのシャフトをライトで照らします。

ゼレンカ:(チェコ語)こんな事ってないよな!

彼は深呼吸をして前の穴に体を動かし頭から縦穴へと入り込みます。

医務室。
ロノンは少し腰を浮かせジェニファーに身を寄せます。
彼女は微笑しながら彼の方に頭を持たせかけます。

植物学研究室。
ロドニーが仰向けに床に横たわっているそばで、ケイティーはスツールに座って彼を見ます。
彼の目は閉じ彼女の視線に気づかず、彼は死を覚悟しているように見えます。

廊下。
ジョン、サム、ローンたちは換気口をじっと見つめます。

シェパード:頼むぜ、ラデク。
カーター:彼ならやってくれるわ。

サムのその言葉にジョンとローンは肩越しに振り返ります。
二人の顔は自信なさそうでしたが彼女は自信ありげな顔をします。
二人が顔を戻すと彼女の顔は曇ります。

医務室。
ロノンは肩にもたれているジェニファーを見ます。
彼はそっと彼女の髪の臭いを嗅ぎます。
彼女は気づき顔を上げ微笑を向けます。

メイン電源室。
アラームが鳴っています。
悲鳴をあげながらラデックは天井の通気口をまっ逆さまに落ちて床にぶつかります。
うめきながら彼は痛みで右手を振りながら立ち上がります。
そして腰をかがめ落ちた眼鏡を拾います。
メガネを掛けると慌てふためいて部屋の中を見回します。
そして壁のブレイカーに行くと、ひとつずつレバーを引き下げ始めます。

医務室。
ロノンとジェニファーはゆっくりお互いに顔を寄せます。
彼らの唇が触れ合う寸前、全てのライトが消えます。
彼らは離れて、驚いて回りを見回します。

電源室。
まだ痛みで手首を振りながらラデクはレバーを引き下げ続けています。

廊下。
ライトが消えると、ジョン、サム、ローンは見上げます。
サムは微笑みます。

カーター:やったわね!

ジョンはホッとした顔になり、ローンは笑顔になります。

電源室。
ラデクは再びレバーを戻し電源を戻します。

医務室。
ロノンとジェニファーが再びキスをしようと顔を近づけると、ライトは再び点きます。
ドアが開くと彼らはそちらに顔を向けます。

廊下。
サムの後ろのドアが開くと、皆がドアに振り返ります。

ロドニーのラボ。
隔壁が上に上がり開きます。
テイラは喜び微笑んで階段に向かいます。

植物学研究室。
ドアが開くと、ロドニーは立ち上がり出口に向かいます。
ケイティーもスツールから立ち上がります。

マッケイ:何だって!
     治療法を見つけたか、プログラムを解除できたのか?!
     信じられない!
     何とかなるぞ!


彼は振り返り嬉しさのあまり彼女を抱きしめます。
彼女も嬉しそうに笑顔になります。

マッケイ:死ななくてすんだ!

ロドニーが彼女から離れると、彼女がリング箱を持っているのを見ます。
彼はためらって後退します。
彼女は手にした箱を見て、隠すために腕を組みます。
ロドニーは気まずそうな顔をします。

夜。
食堂。
ジョン、テイラ、ロノン、ラデックはテーブルに座っています。

テイラ:あなたがあの狭い通気口を通って行ったの?
デックス:俺もこいつがやったとは驚いてるよ。
シェパード:ああ、彼だからできた。
      隙間に余裕があったからな。
ゼレンカ:そうでもなかったね。
シェパード:見せたかったな。
      まるでハムスターみたいだったぜ…
ゼレンカ:ええ、まあそうですよ。
     重要なのは時間内にたどり着いて、電源を止められた事ね。

ロノンはテイラを見ます。

デックス:なあ、聞いたか?
     マッケイは本当の病気が発生したと思ってたようだ。
     病気になりかけたんだと!
     奴の思い込みは…

彼はジェニファーが近づくと微笑えんで、足を乗せていた椅子から足をどけます。

デックス:やあ…
ケラー:(笑顔で)ハイ。
    一緒に座ってもいい?
シェパード:もちろんだ、どうぞ。

彼女はロノンをチラッと見てトレーを下に置いて彼の横に座ります。
----------
E<<Ronon looks awkward, then frowns at John and Teyla who are both looking at him curiously, aware that something is going on.)
ロノンは気まずそうにジョンやテイラを見ます。
ジョンは何があったのかというような顔で彼らを見ます。
ロノンはその視線に気づきます。

デックス:なんだよ?
シェパード:(肩をすくめ)何でもない。

サムがテーブルに来ます。

カーター:こちらの警告信号が止まってから数時間たつけど、
     誰も信号を拾った形跡はないわ。
     もう安心してもいいみたいね。
シェパード:まだ、監視は続けておくべきだ。

サムはラデクを見ます。

カーター:いい仕事をしたわ、ラデク。

彼女は彼の肩を軽くたたきます。

カーター:基地の皆はあなたに感謝してる。
ゼレンカ:(彼女に微笑み)ああ、光栄です。

ジョンはテイラに向きます。

シェパード:マッケイはこれを欲しがるんだ。

ジェニファーは笑って再びロノンを見ます。

植物学研究室。
ロドニーが入ります。

マッケイ:ケイティー?

ケイティーは隣の部屋から植物の乗ったワゴンを押して出てきます。

ブラウン:こんにちは、ロドニー。
     すっかりよくなったみたいね。
マッケイ:(ぎこちなく)えー、まあ。
     僕は、つまりそのー。アレルギーだったみたい。
     もう平気さ。
ブラウン:それで病気は?
     あれは本当の隔離封鎖だったの?
マッケイ:あー、いや。
     ただの故障だった。
     この星の異常で、電離層が乱れたんだ。
     もうシステムは再調整したから、今後こんな事はない。
     もう大丈夫だ。
ブラウン:誰かが言ってたけど、
     ゼレンカ博士が最終的に自爆を防いだって?
マッケイ:技術的にはそうだけど、実際にはみんなの努力のおかげだ。
     その事でここに来たんじゃないんだ。
     僕が…ここに来たのは…
     この一年半で、僕はあることに気づいた…
     「欠点」という言葉は使いたくない…「短所」かな?
     例えば、時々否定的になったり、要求も厳しかったり、
     横柄だったりする。
     だけど…君も気づいてるだろうけど、
     短所って最初に躓くステップで、それを今後どうやって補っていくかだと思う。
ブラウン:(微笑)分かってるわ。
     それって難しいことよね。
マッケイ:問題なのは、今朝僕がここに来たのは君にプロポーズするためだった。
     でもあんな事が起きて、考えてみたら、僕は事を急ぎすぎていた。
     僕はまだ準備ができていなかった。まだ
ブラウン:分かるわ。
マッケイ:本当に?
ブラウン:(頷き)私もまだ早いと思ってる。
マッケイ:ああ、そうか。
     よかった。

彼は不安そうに笑います。

マッケイ:僕の気持ちが変わったとか、気持ちが薄らいだとかじゃない…
ブラウン:ええ、分かってるわ。
マッケイ:それはつまり…
     (ため息をつき)
     僕達が今結婚したら、君の人生を台無しにする。
     それに君はとてもいい人だから。
ブラウン:(柔らかく)自分を責めないで。

ロドニーは微笑みます。

マッケイ:ああ。
     言うは易し行うは難し、だろ?

ケイティーは短く微笑んで、すぐに悲しそうな顔になります。
ロドニーは彼女を見つめます。

マッケイ:OK。
     それじゃ、ランチデートは中止だね?
ブラウン:(微笑)そうね。
マッケイ:(微笑)分かった。

彼は歩き去るためにターンします。

ブラウン:ロドニー?
マッケイ:(彼女に振り返り)ん?

彼女はちょっと彼を見ます。

ブラウン:さようなら。
マッケイ:(彼女に手を振り)さようなら。

彼は振り返って研究室のドアまで行きます。
その時再び彼女を見るために振り返ります。
二人が見詰め合っていると無情にもドアが二人の間を遮ります。
ロドニーは寂びそうな顔になりドアを後にします。

 

おしまい