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スターゲートアトランティス シーズン4

4X14

オフワールド惑星。
セツルメントの城。
2人の美しい若い女性が長い美しいガウンを着て、
その脇にはジョンとロドニーが立っています。
彼ら4人は赤ワインの入ったガラスのゴブレットを持っています。
そして、皆で乾杯のためグラスを合わせます。

フローラ:そして、素晴らしい取り引き年に。
マッケイ:そのとおり!
フローラ:本当に、この数年間、
     あなた方にいただいた医療品は私たちの民に計り知れない恩恵をもたらしました。
マードラ:最近のレイスの刈り取りがあるとの警告は言うまでもなく。
     あなた方は多くの命を救ってくださいました。
シェパード:(遠慮深く)まあ、大した事じゃない。
マッケイ:僕のお気に入りの任務は、ここに取り引きしに来る時だ。
     そして僕はそれを立証できる。
     ただ言ってるわけじゃない。
シェパード:立証する必要はない。
      (近くのテーブルにグラスを置き)
      えー、そろそろ帰らないといけないので。
マードラ:そんなに早く?
マッケイ:もう、そんなに?
フローラ:もう少しいらっしゃると思ってましたわ。

彼女は恥ずかしそうに二人に微笑みます。
ロドニーは目を見開きます。

シェパード:じゃあ…もう少し居ようかな。
フローラ:こんな事…
     (一瞬沈黙して、頭を振り)
     いいえ、気になさらないでください。
マッケイ:何なの?
フローラ:あまり厚かましいお願いはできません。
     私たちの民は既に、あなた方にとても親切にしていただいております。
シェパード:何か問題でも?
フローラ:私たちの妹が…
     あなた方の助けが必用なんです。
マッケイ:妹さんがいたんだ。
フローラ:いるんですの。
マッケイ:僕が想像するに、えー、あなた方二人のように美しいのかな?
フローラ:もっとですわ。

ジョンとロドニーは微笑みます。

フローラ:そして彼女には腕のいいガイドが必要なのです。
マッケイ:ガイド?
     僕に任せて。
フローラ:あなた方はとても親切です。
     少しの間、失礼いたします。
     妹を連れてまいります。

フローラはマードラの後を追って部屋を出ます。
ロドニーはジョンに向きます。

マッケイ:僕のね。
シェパード:何だって?
マッケイ:3番目の妹は僕のだと言ったんだ。
シェパード:そういうわけにはいかないだろ!
マッケイ:なあ、お互い分かってるんだから。
     フローラとマードラは「英雄」って言葉で気を引けば君のものになる。
     でももう一人の妹は、
     多分男の好みがもっとその…
シェパード: …変わり者か?
マッケイ:僕は「優秀」だって言いたかったの
     えー…多分、気が合うはずだ
シェパード:貿易をするのにお前の性生活は必要ない。
マッケイ:彼女は悲しませないよ。
     約束はできないけど。

近づいてくる足音が聞こえます。
ロドニーはワインを一口飲んでからテーブルにグラスを置きます。
フローラはまだ見えない妹に呼びかけながら入ってきます。

フローラ:この方達が話した人たちよ。

彼女は男達に微笑みます。

フローラ:お二方、こちらが妹のハーモニーよ。

十三歳の少女がマードラと一緒に笑顔で部屋に入ります。
ロドニーの笑顔は色あせます。

マッケイ:最高。

ロドニーは残念そうな顔でジョンを見ます。
ジョンはちらりとロドニーに眼をやります。

フローラ:ご承知のとおり、私たちの母親であり女王は、月の始めに亡くなりました。
     秘密で神聖な儀式により、三人の娘の誰が後任となるかを決めたのです。
     そしてハーモニーが新たな女王となる事に決定しました。
シェパード:本当に?
      ワオ。
      (ハーモニーへ)
      おめでとう。

ハーモニーは彼に微笑みます。

フローラ:戴冠する前に、歴代の女王は由緒ある通過儀礼を行わなければなりません。
マードラ:(フローラに)
     通常、通過儀礼は一人で行うもの。
フローラ:(振り向き)
     それはどこにも書かれないわ。

マードラはうっかり秘密を漏らしたことに苦笑いします。
フローラはジョンたちに戻ります。

フローラ:そしてハーモニーはまだ若いから私は心配なのです。
ハーモニー:私はできるわ。
フローラ:(彼女に向き)
     あなたはとても勇敢だけど、道のりは厳しいわ。
     誰かがあなたについていてくれたら安心できるんだけど
シェパード:「通過儀礼」って俺達はどうすればいいんだい?
マードラ:森の奥深くにラロスと呼ばれる寺院の遺跡があります。
     全ての女王は選ばれた月の終わりまでに巡礼の旅を終えなければなりません。
     そこに行き彼女は今までの事を思い描き、
     知識と人々を統治する力を授かるように祈りを捧げるのです。
シェパード:森の中ってどのぐらいの距離なんだ?
フローラ:歩いて一日かかります。
マッケイ:分かった。
     そういった意味じゃなくて、
     僕らはとても名誉に思うけど、
     ご自分達の衛兵二、三人をつければいいんじゃないの?
フローラ:そうしてはいけないと書かれてはいませんが、
     民は新たな女王が一人で旅を終えることを期待するでしょう。
シェパード:だから彼女を一人では行かせたくないが、誰にも彼女を手助けした事を知られたくはない。
フローラ:その通りです。
シェパード:分かった。
      (しかめ面をし)
      手伝うのは構わないが…

フローラは魅力を出し切り彼に近づきます。

フローラ:ジョン。
     私達はそのような実り多い同盟を喜んでいます。
シェパード:ああ…フローラ:これは大いに双方のためになります。
シェパード:そうだな…
フローラ:私は心配したくないのです、妹が一人で森を歩くという危険な行為など。


ジョンはうまい口実を考えようとします。
フローラをゆったりと魅力的に彼に微笑みます。
彼はロドニーに助けを求めチラリと見ますが目を戻します。
シェパード:いつ出かけるんだ?

ロドニーはため息をつきます。
ハーモニーは喜びに微笑みます。

後に。
ハーモニーは森を歩く旅のため、より適切な衣服に着替えています。
そして彼女と二人は湿地帯の向こう側の森に向かって歩いています。

ハーモニー:白状するとね、これをかなり楽しみにしてたの。
      森林サバイバルのトレーニングを多く受けたけど、滅多に城の外には出たことがないの。
シェパード:へえ、そうなんだ?
ハーモニー:ええ。私はノラー・ラムズブリックと3つの訓練を終えたの。
      彼は民の中で最も偉大なハンターの一人よ。
シェパード: 3つの訓練ね?
マッケイ:(皮肉に)ノラー・ラムズブリックとね!
ハーモニー:それらは必要だったの。
      私は覚えが速いから。
シェパード:君ならそうだろうな。
ハーモニー:教えて、上官はどっちなの?
マッケイ:どっちが偉いかって事?
ハーモニー:ええ。
マッケイ:僕は民間人だ。
     僕にはランクはないから、基本的に同僚になる。
シェパード:俺は戦術担当だ。
ハーモニー:やっぱりね。
      あなたのほうがいいリーダーとなる素質の持ち主だわ、ジョン。
シェパード:それは、ありがと!

森。
グループが森に入るに従って、ロドニーは最後のパワーバーを食べ終えます。
彼はジョンを見ます。

マッケイ:君はパワーバーを食べないのか?
シェパード:あるよ、ロドニー。
      言ったはずだ?
      朝早くから物を食べるなって。
マッケイ:餓死しそうだよ!
     僕達が来るときはいつも、フローラが色々と食べ物をくれるだろ?
     なあ、食べないんだったらさ!
シェパード:ダメだ、ロドニー!
マッケイ:じゃあ、食べなかったら後でくれない?
ハーモニー:(ジョンへ)何で彼に言わせておくの?
シェパード:もう慣れちまった。
ハーモニー:殴れば大人しくなるんじゃない?
マッケイ:僕らは滅多に人を殴らない。
ハーモニー:どうして?
シェパード:そんな事しても効果がないのは分かってるからさ。
      残念ながらな。
ハーモニー:本当に?
      あなたって本当に優しいリーダーね、ジョン。
      尊敬するわ。
シェパード:ありがと、ハーモニー。

彼らは川の見晴らしがきく峡谷に達しました。
峡谷の縁に橋の柱は立っていますが、橋自体はそこにありません。
ジョンは持ってきた巻き物を見ます。

シェパード:ロープの釣り橋がここにあるはずなんだが?
マッケイ:多分地図を読み間違えたんじゃないか。
シェパード:いや、一本道で迷うはずない。

彼は崖の縁の上から見下ろします。

シェパード:この地図はどれくらい前のものだ?
ハーモニー:何世代も前から伝わってきてるものよ。
シェパード: OK。
      橋が無くなってしまったという事だな。

彼は巻き物を巻いてベストにしまいます。
二人に振り返ってバックパックを外して下に置きます。

シェパード:二人はここにいろ。
      俺は川の向こう側に渡る安全な道を探してくる。

ロドニーはハーモニーと共に放って置かれる事が不満で支離滅裂な声を出します。

シェパード:心配するな。
      直に戻って来る。

ロドニーは彼の背中に「彼女とここに置いていくな」という
あまいで無意味なジェスチャーをしますが、彼は森の中へ立ち去ります。
ハーモニーはロドニーに振り返ります。
ロドニーは彼女にぎこちなく手と微笑を向けますが、すぐに振り返って数歩歩き出します。
ハーモニーは即座にジョンのバックパックに屈んで中を引っ掻き回し始めます。
ロドニーは倒木に腰を掛け、ハーモニーが近づいてくるのを見ます。

マッケイ:どこでそれを見つけたんだ?
ハーモニー:(一口齧りながら)ジョンのバッグよ。

彼女の手のパワーバーが既に開かれていて、彼女はロドニーの隣に座ります。

マッケイ:でもそれは君のじゃないだろ!
ハーモニー:(もう一口食べ)お腹が空いたから。
マッケイ:だからと言って人の物をとるなんて!
ハーモニー:お腹が空いたから食べるの。
マッケイ:シェパードが知ったら何て言われるか?
ハーモニー:ばれないと思うわ。
マッケイ:そうかもしれないけど、僕が彼に話す。
ハーモニー:(厳しく彼を見ます)私だったらそんな事はしないわ。
マッケイ:何で?
ハーモニー:私は女王だから。
マッケイ:でもまだそうじゃない、ただの子供だ。
ハーモニー:私を信じて、あなたを悪いようにはしないから。
マッケイ:そうなの、もし敵に回ったらどうするんだ?
     僕を殴るつもりか?

ハーモニーは彼に目を細めます。
ロドニーは不安そうに見えます。
彼女はバーをもう一かじりをします。

マッケイ:分かったよ、お姫様。

彼は立ち上がって彼女に手を差し出します。

マッケイ:それを返せ。

彼女は彼に包装紙を手渡します。
包装紙はもう空です。

マッケイ:おい、もうないじゃないか。
     シェパードが戻ってくるまでここで待ってろ。
     帰ってきたら…

ジョンが戻ってきます。

シェパード:分かったぞ、道を見つけきた…

ジョンはロドニーが空の包装紙を持っているのを見て声が次第に小さくなります。

シェパード:それは俺のパワーバーだろ?
マッケイ:(ハーモニーを示し)彼女が盗んだんだ。
ハーモニー:(憤然と立ち上がり)私じゃないわ!
マッケイ:おい、何だって?
     君だろう!
     彼に言えよ!
ハーモニー:(ジョンへ)私はそんな事決してしないわ!
マッケイ:(ジョンへ)君がいなくなって直ぐに彼女が君のバッグを漁ったんだ!
ハーモニー:あなたはウソツキよ!
      大ウソツキだわ!
マッケイ:おい、勘弁してくれ!
     (ジョンへ)どっちを信じるんだ?
シェパード:彼女が盗んだなら、ロドニー
      なんでお前が包装紙を持ってるんだ?
マッケイ:それは僕が彼女から取り戻そうとしていたから、
     そしたら彼女は食い終わった包装紙を手渡したんだ!
シェパード:本当か?

ロドニーは怒り狂った状態でハーモニーに振り返ります。

マッケイ:OK、白状した方がいいぞ、ガキめ。

ハーモニーはロドニーを見つめて目を大きく見開いて、
次に顔をしわくちゃにして泣き始めます。
彼女は手で顔を覆いすすり泣き、次にジョンを見て手を伸ばします。
いやいやながらジョンは彼女に近づきます。
彼女は腕を彼に巻きつけてすすり泣きます。

シェパード:OK、もういい。
      俺も時々あいつに泣かされるんだ。

ジョンには見えませんが、ハーモニーは泣くふりをするのを止めます。
ロドニーをチラリと見て彼に脅すように拳をあげます。
そしてジョンの優しさを得るために再び泣きべそをかきます。
彼はしかめつらをします。

シェパード:ようし、もう行くぞ。

彼は彼女を引き離します。

シェパード:いいか、俺が道を見つけてきた。

彼は歩き去り始めます。

ハーモニー:(涙ぐんで)私が地図を案内してもいい?
シェパード:(振り向きざまに)
      いいとも、すぐに戻って来たいからな。

彼の後ろではロドニーがハーモニーに振り返って睨み付けます。
彼女は独りよがりに彼に微笑んで、ジョンについて来ます。

後に。
ハーモニーは狭い道に沿って他の二人を導きます。
彼女は地図を見ていますが、どうやらどの方向に行くのか分からないようです。

ハーモニー:(躊躇いがちに)今…私達が行くのは…
シェパード:(地図を見ずに)どっちだ?
ハーモニー:こっちよ。

彼女は別の道に振り返って、二人は彼女について来ます。
不気味なシューという音を聞くと、彼らは立ち止まります。
ジョンとロドニーはライフル銃を上げてあらゆる方向を見ます。

マッケイ:あの音は何だ?
ハーモニー:あれはたぶん獣よ。
マッケイ:何だって、今何て言った?
ハーモニー:獣よ、ラロスの遺跡の保護者。
      フローラは言わなかったの?
マッケイ:(皮肉に)その事を言い忘れたんじゃないのか?
ハーモニー:心配しないで。

彼女は小さなペンナイフを取り出して刃を広げます。

シェパード:「獣」っていうのは、何かの例えなのか?
ハーモニー:違うわ。
      「獣」よ、分かる?
      誰も見た事はないけど、それを見たものは皆直ぐに死ぬのよ。

ロドニーは彼女の小さな刃物を見てげながら皮肉っぽく身振りで示します。

マッケイ:でも君のその小さなナイフが僕らを守ってくれるんだろ。
ハーモニー:私は女王よ。
      私には危害を加えないわ。
シェパード:まあ、獣に遭わないかもしれないしな。
ハーモニー:(刃を戻し)そうかも。

彼女は道に戻って歩き出します。
ロドニーは彼女を追いかけます。

マッケイ:聞いてくれ、遺跡まで行ったと僕達がお姉さん達に話してあげる。
     だから実際にそこまで行く必要はないだろ。
     誰も分かりゃしないさ。
ハーモニー:私が知ってるわ。
マッケイ:ああ、でも君が女王なんだから、誰も気にならないだろ?
ハーモニー:私は気にするわ。
      民も気にする。
マッケイ:聞いてくれ…
ハーモニー:話すのはやめて頂戴。
      あなたの声は耳障りだわ。
マッケイ:その獣は僕らを襲うかも知れないんだぞ。
     OK、悪いんだけど
     これは僕らが申し出たわけじゃない。
     シェパード、何とか言ってくれよ。

二人がジョンを見るために振り返ると彼はそこにいませんでした。

マッケイ:(不安そうに)シェパード?
     ジョン?

ハーモニーは再びナイフを広げ始めます。

ハーモニー:伝説によると、獣は静かに襲うそうよ。
マッケイ:でも君は、獣は女王を襲わないはずだろ。
ハーモニー:まあ、私は襲われないわ。

ロドニーはヘッドホン無線を作動させます。

マッケイ:ジョン?
     ジョン、どこにいるんだ?

回答は全くありません。

ハーモニー:おかしいわね、だって、
      獣は国王の敵を襲うだけなのに。
      殺すならそれはあなたのはずよ。
マッケイ:僕は国王の敵じゃない!
     僕は違う!
     僕は君を守るためにいるんだ!
男声:動くな。

ロドニーの背後で撃鉄を引く音が聞こえ、木の陰から男がピストルを向けながら現れます。
ロドニーは手を上げます。
ロドニーに向いていたハーモニーは振り返えって彼の前に隠れます。
彼女は肩越しに彼を睨み付けます。

ハーモニー:それほど、そうは思えないけど。

ロドニーは用心深く後ろに振り返ります。
そこには三人のジェナイの軍人が立っています。
ジェナイは彼らに銃を向けていました。

軍人:武器を下ろせ。


ゆっくりロドニーはベストからライフル銃を外します。そして軍人をチラリと見ます。
慎重にライフルを地面に置きます。軍人はポケットから無線を取り出して話します。

軍人:彼女を捕まえました。マップグリッド11。森の中の小さな空き地です。
声:(無線機から)そちらに向かう。

無線を片づけ、軍人はロドニーを見ます。
ハーモニーはロドニーの後ろから垣間見ています。

軍人:彼女を引き渡せ。

マッケイ:ジェナイだな。
軍人:後ろに下がって、彼女を引き渡すんだ。
マッケイ:何か大きな勘違いをしてるんじゃないか?
     僕はロドニー・マッケイ博士だ。
     ラドン・ラディムの親友だ…

軍人は反応を示しません。

マッケイ:君らのリーダーだろ?
     僕は君らの同盟国じゃないか!
     僕が誰だか分からないのか?
     僕は天才科学者で、ジョン・シェパードの友人だぞ。爆弾をやっただろ!
     なあ?
     分からないのか?
     ジェナイ学校で何を教わったんだ?

軍人:直ぐに彼女を引き渡すんだ。
マッケイ:OK、話し合おうじゃないか。
軍人:俺は気が短い。
   (より近づき)
   言い争うつもりはない。
   彼女を引き渡せば、お前は自由だ。
マッケイ:本当に?
軍人:ああ。

ロドニーは考え込みます。

マッケイ:ふむ!

彼はハーモニーを見下ろします。
彼女は憤然と彼を見つめます。

ハーモニー:しないわよね!
      私を守ると神聖な誓いを立てたでしょ!
マッケイ:いや、誓いなんか立てた覚えはない。
軍人:三つ数える。

ロドニーはハタと止まります。
ロドニーが不安そうに軍人を見ているとハーモニーは怯えたようにロドニーを見ます。

軍人: 1…

銃声が森に鳴り響きます。
弾丸は三人のジェナイに当たります。
そして彼らは倒れます。
ロドニーは縮こまって、ハーモニーは彼の陰に隠れます。
ジョンが木の後ろから出て来て軍人にライフル銃を向けます。

マッケイ:(憤り)どこに行ってたんだ?
シェパード:俺のスパイダー感覚が待ち伏せを感じたんだ。
マッケイ:なら、何で言ってくれなかったんだ?
シェパード:連中に気づかれないためだ。
マッケイ:じゃあ、何であんなに長い時間が掛かったんだ?
     僕らはもう直ぐ…
シェパード:三人を一度に撃てる場所を探してたんだ。
      (ハーモニーを見て)
      大丈夫か?
ハーモニー:いいえ。

少し躊躇ってから、女王の態度を取り戻します。

ハーモニー:そういう意味じゃなくて。
      (ロドニーを指し示し)
      この人は私を引き渡すつもりだったのよ!
マッケイ:(ジョンへ)
     違う、そんな事はしてない。

ハーモニーは彼に振り向きます。

ハーモニー:あなたの目を見てたわ。
      自分をどう守ろうか考えてた。
      臆病者よ。
マッケイ:奴らの話を引き伸ばしてたんだ。
     時間稼ぎをしてたんだ、分かる?
     これを戦略っていうんだ。
     君はそんな事も知らないほど子供なんだよ。
ハーモニー:戦略ぐらい知ってるわ。
      事実、今考えてる事があるわ。
      お城に戻ったら直ぐに、衛兵に命令して…
シェパード:(中断させ)もういいだろ。
      歩きながら処罰を考えればいい。

ジョンは歩き始めて、ロドニーは彼を追いかけます。
ハーモニーはジョンに向いて呼び止めます。

ハーモニー:でもジョン!
シェパード:指を捻るってのはどうだ?
      面白そうだろ?
ハーモニー:(彼に続き微笑み)ええ!
      指捻りがいいわね。
シェパード:しばらく隠れてた方がいい。
      連中の呼んだ仲間が数分でここに来るぞ。

後に。
ジョンはいくつかの木が倒れてできた自然の隠れ場所を見つけます。

シェパード:ようし、ここがいいな。
マッケイ:あいつらはジェナイだった。
シェパード:気づいてるよ、ロドニー、ありがと。

彼らは中に入って座ります。
ジョンとロドニーは木の隙間から森を探ります。

マッケイ:ああ、それじゃジェナイはここで何をしてるんだ?
     どうして連中は彼女を殺したがってる…
     つまりどんな理由があるんだ?
シェパード:ハーモニー?
ハーモニー:知らないわ。
      ジェナイは好きじゃない。
マッケイ:でも連中は知ってるんだろ?
     貿易相手か?
ハーモニー:もう違うわ。
マッケイ:でもそうだったんだろ?
ハーモニー:ええ、彼らは多くの取り引きで母をだましたのよ。
      だから母は国から彼らを追放したの。
マッケイ:君はどうなの?
     君が女王になったらまた貿易をするのかい?
ハーモニー:いいえ!
      絶対しないわ!
シェパード:だから誰かさんは国王を狙おうとしてるんじゃないか?
      かつての事を帳消しにするために。
ハーモニー:私が死んでも、姉達が後任になるわ。
      でもジェナイがそう考えているんなら、
      私より姉と取り引きした方がましだと思ってるんなら、
      彼らはとんでもない間違いをしてるわ。
マッケイ:(ジョンへ)本当にそう思うか?
     ラドンが幼い女の子を殺す命令なんかだすか?
     そんな事で?
シェパード:連中がどう動いてるのか分からないぞ。
      多分、彼は問題を解決するように誰かに言って、
      連中がこれを思いついたのかも。
マッケイ:それは考えすぎだ!
シェパード:連中がここにいる理由が分かっても助けにはならない。
      だろ?
      外に出て連中の人数を確認してくる。
      お前は彼女とここにいろ。
マッケイ:(諦めてため息をつきます)分かった。
シェパード:(ハーモニーに)よし。
      ここにいて、静かにしてろ。
ハーモニー:分かったわ、ジョン。
      世話をしてくれてありがとう。
      (甘く彼に微笑みます)
      あなたがいなかったら、どうしていいか分からなかったわ。

ジョンはちょっと不安そうに彼女を見ます。

シェパード:ふむ。

彼は立ち去ります。
ハーモニーの微笑は色あせて、
ロドニーがジョンが行くのを見ていると、彼女はロドニーをにらみつけます。

ハーモニー:教えてくれない、ドクター。
      あなたが夜眠る場所は安全なの?

ロドニーは肩越しに彼女を見ます。

マッケイ:君の言いたい事は分かるよ、
     だからと言ってそうは行かない僕は君を怖がってないし、
     君はまだ子供だ。
     君が女王になるのだって僕には関係ない。
     事実、何の関心もないしね。
     だから冷ややかな目で見ててもいいから、
     僕を無視しててくれないかな?

彼は目を逸らします。

ハーモニー:でもあれはあなたを守るようにはできてないのよ。

ロドニーは再び彼女で目をやって不安そうな顔つきになります。

彼女は微笑んで彼にウィンクをします。

川。
六人ほどのジェナイが川岸に沿って探しています。
声は彼らの無線機から聞こえます。

声:第三分隊、峰に着きました。
  第四分隊、マップグリッド9へ移動。
軍人:了解。

ジョンは近くに隠れて彼らを見ています。

シェパード:凄いな。

彼は再び立ち去ります。

隠れ場所。
ハーモニーがロドニーを睨み付けいるのでロドニーはますます不愉快になっています。

マッケイ:それを止めてくれ。
     何をしてるんだ?
ハーモニー:あなたの顔を目に焼き付けてるの。
マッケイ:何で?
ハーモニー:そうすればあなたの賞金首の似顔絵が正確に描けるから。
マッケイ:分かったよ、殿下殿。
     さっきは言い過ぎた…

ジョンは近づきながら小さな声で話します。

シェパード:話は最小限にしろって言っただろ!
マッケイ:そうだけど…彼女が…

ロドニーは怒りながら声が消え去ります。

ハーモニー:ジェナイは何人?
      ジョン?
シェパード:多分、大人数だ。
マッケイ:何、そんなに多いの?
シェパード:ああ、ロドニー、多いぞ。
ハーモニー:これで巡礼の旅も難しくなるわ。
シェパード:楽しそうだな?
      俺も同じ事を考えてた。

彼女は彼の近くに移ります。

ハーモニー:私たちは共通点が多いわね。
      ジョン。

彼女が彼に微笑むと、ジョンは不安そうに彼女をちらりと見ます。

シェパード:えー。
      ああ。
      とにかく、日暮れを待って、村に戻るんだ。

彼女の微笑は色あせます。

ハーモニー:村に?
シェパード:ああ。
      ロード・トリップは終わりだ。
ハーモニー:でもそれじゃこの旅が失敗に終わるわ!
シェパード:勝つ事もあれば、負けることもある。
      女王になるんだったら、早めに手を引く方法も学んだほうがいい。
ハーモニー:でも、もう月の終わりに近づいてるわ。
      明日の日没までに遺跡に行かなと、私は玉座を没収される。
シェパード:例外だってあるさ。
ハーモニー:いいえ、例外はないわ。
      それが私たちのやり方よ。
シェパード:(ため息をつき)今行くのは危険過ぎるんだ。
ハーモニー:あなたがそう思うだけでしょ。

ジョンは憤慨して彼女に振り向きます。

シェパード:俺が危険過ぎると思うなら、君にとっては尚、危険なんだ!
      日暮れになるまで待って、村に戻る。
      話はおしまいだ。
マッケイ:残念だったな!
ハーモニー:あなたが決定することじゃないわ。
      私が女王よ。
シェパード:いいや!
      まだだ。
      君はまだ普通の子供だ。
      俺が指揮をとる。

彼女は立ち上がって腕を組み、彼を睨み付けます。

ハーモニー:多くの者達は女王が反逆の行為をしたと思うわ。
シェパード:俺は女王が死ななかった事を喜ぶと思うがな。
      とにかく引き返す。

夜。
城。
誰かがマードラの寝室のドアをノックします。
彼女がドアを開けると頭巾を被った男が外に立っていました。
彼は頭巾を下げて中に入ります。

マードラ:ここに来てはいけないわ。
トラン:用心はしている。
    誰に見られていない、心配するな。

彼はジェナイの無線を取り出して下に置きます。

トラン:これから先、連絡にはこれを使用する。
マードラ:それは、まだ済んでいないって事?
トラン:ああ、彼女に付いている二人の護衛が邪魔をしている。
    仲間三人が殺された。
マードラ:ええ、あれは不測の事態だった。
     私のミスよ。
トラン:謝ってもらっても役には立たない。
マードラ:報酬を増やすわ、心配しないで。
     三倍よ。
トラン:三倍?
マードラ:三人とも片付けて、だから報酬は三倍。
トラン:皆殺しにしろと?
マードラ:彼らが生きて戻れば、ジェナイが関わったと妹に言うわ。
     今、それはまずいでしょ?

トランは彼女に頭を下げ出て行きます。

森。
ハーモニーは地面に横になって眠っています。
ジョンは隠れ場所の外で辺りを見回しています。
ロドニーが表に出て来ます。

マッケイ:聴いてくれないか、考えがあるんだけど。
シェパード:へえ、何を考えたんだ?
マッケイ:バックパックの中にレイスのスタナーがある。
     彼女は90ポンドもない。
     彼女を気絶させて連れ帰ったらどうだろう。

ジョンはしかめ面をして考え込みます。

シェパード:ふむ。

ロドニーを見ます。

シェパード:ダメだ、十三歳の女の子を気絶させることはできない!
マッケイ:だって危険だろ!
     森はジェナイでうじゃうじゃしてるんだ。
     彼女がいつヒステリーを起こすか?
シェパード:いや、彼女は大丈夫だ。
      彼女はこの状況がどれだけ危険か理解している。
      俺が彼女と話したんだからな。
マッケイ:君はそう言うけど、彼女は十三歳だ。
     無理じゃないか?
     こんなひどい条件で。
シェパード:あのな、お前がそう言うのは、おまえ自身がイヤだからだろ。
マッケイ:それがどうした?
シェパード:だからそう言っている。
マッケイ:僕らは誰でも気持ちは違う!
シェパード: OK。
マッケイ:彼女は高慢ちきな知ったかぶりのガキだ…

彼の声は次第に消えてジョンを見ます。
ジョンは「それで?」という顔になります。

マッケイ:おお、ははは。
シェパード:よし、もう十分暗くなった。
      彼女を起こして帰るぞ。

隠れ場所に戻りますが、ハーモニーはいません。

シェパード:何だと!
マッケイ:だから言ったんだ…気絶させるべきだって!

後に。
ジョンとロドニーは森を捜しています。

マッケイ:見つけたらお仕置きだ。
シェパード:お前は子供を扱う事を学んだほうがいい。
マッケイ:1時間以上も捜してるんだぞ。
     それだけじゃなく、ジェナイと出会っちまうかもしれない。
     こんなにどうにもならない、いたずらっ子が考えて行動すると思うか?
シェパード:とにかく探せ、文句は言うな。
マッケイ:ゴメンよ。
     僕は腹が減ったんだ、腹が減ると怒りっぽくる。
シェパード:怒りっぽくなると、撃たれるかもな。
マッケイ:ああ、OK、OK。
シェパード:ここにロノンがいればな。
マッケイ:あの
     それってどういう意味?
     ここにいるのは僕なんだけど。
シェパード:ただの独り言だよ。
      俺達二人が束になったって、あいつの方が追跡者としては上だって事だ。
マッケイ:えっ、そうなの!

彼らはしばらく続けます。

マッケイ:OK、幻覚が起きてきた。
シェパード:何が見えてるんだ?
マッケイ:見るんじゃなくて、匂いだ。
     食べ物の匂い、美味しそうな焼いた食べ物の匂いだ。
     ローストビーフ、ハンバーガー、ホットドッグは串焼き…
シェパード:チキンだ。
マッケイ:ああ、それ、この匂いはそれだ。
シェパード:いや、本当にチキンの香りがするんだ。

彼らは見回して、次にロドニーは自分の鼻を示します。

マッケイ:僕の鼻が知っている。
     ついて来て。

彼は右に曲がって、更に森の奥に行きます。

しばらくして彼らは崖の狭い小峡谷に到達します。

マッケイ:見つけたぞ!
     この匂いはこの下から来てる。

彼らは小峡谷をじっと見ます。
遠くに炎のチラチラする光が見えます。

マッケイ:君は言ったけど、
     僕がいれば、ロノンは必要ないだろ。
シェパード:えー、まあな。
マッケイ:何を考えてるんだ?
     ジェナイのキャンプか?
シェパード:スタナーを用意しろ。

ロドニーはバックパックからスタナーを取り出しジョンに渡します。

シェパード:よし、後ろから付いて来い。

彼らは用心深く前方に進みます。
洞窟に入り慎重に石で組まれた小さなキャンプファイアに向かって進みます。
そこにはローストチキンに似た物が串に刺さっています。
ハーモニーが炎の横で座っているのを見ると、ジョンはスタナーを下ろします。
彼は急いで炎に向かって駆け出します。

ハーモニー:ジョン!
      どうやって私を見つけたの?
シェパード:1マイル離れたところから炎の匂いを嗅ぎつけたんだ。
ハーモニー:それは凄いわね。ちょうど料理し終わったし。
マッケイ:僕らから逃げたのか?
ハーモニー:私の言い分は聞いてくれないから。
シェパード:1時間以上探し回ったんだぞ。
      もう少しで二度捕まるところだったんだ。
ハーモニー:ええ、あっちの方は今とても危険よ。
      だからこの洞窟でテントを張ろうと決めたの。
マッケイ:(炎を示し)自分でやったのか?
ハーモニー:ええ! (彼女はローストを示します。)
      そしてローデン鳥を捕まえたの。
      この鳥はとても美味しいのよ。
マッケイ:どうやって?

彼女はペンナイフの刃をだして彼に示します。

マッケイ:それ一本でこれを作ったのか?
ハーモニー:言わなかった?
      ノラー・ラムズブリックと3つのセッションを終了したって。
マッケイ:その3つのセッションでこれを全て覚えたのか?
ハーモニー:私は覚えが速いから。
      聞いてるの?

ジョンとロドニーはお互いを見てため息をつきます。
心配そうにハーモニーはジョンを見ます。

ハーモニー:あなたは私に腹を立ててるの?
シェパード:えー。
ハーモニー:(考え)私たちの最初の戦いね。

ジョンの目は大きくします。

ハーモニー:こうなる事は分かってたわ。

ジョンはまだ目を大きく見開いていた状態でロドニーを見つめます。

ハーモニー:後にこの事を思い出して笑う事にするわ。
シェパード:それはそれでいいが、もう動き始めないと。
マッケイ:ローデン鳥を食べた後でいいじゃないか。

ジョンは彼を睨み付けます。

マッケイ:まあその。

ちょうどその時、彼らは再び不気味なシューという音を聞きます。

マッケイ:すぐ近くで聞こえたぞ。

彼はハーモニーを見ます。

マッケイ:ここが獣の洞窟だって事はないよな?
ハーモニー:あなたはとても無知ね!
      獣は洞窟には生息しないわ。
      危険が去るまで、ここにいた方がいいわよ。
シェパード:分かった。
      30分までだ。

ハーモニーが炎から串を取ると、ロドニー嬉しそうに彼女の横に座ります。

ハーモニー:いいわ。
      お腹が空いた。

彼女は鳥から肉を切り始めます。
ロドニーは期待でもみ手します。

マッケイ: OK!

後で。
ジョンは迫ってきているジェナイがないかどうかチェックしながら
洞窟の入り口で屈んでいます。
ハーモニーは彼に近づき横にしゃがみます。

ハーモニー:鳥の心臓を持ってきてあげたわ。

小さい黒焦げの肉を彼女は差し出します。

ハーモニー:私達のところでは一度食べれば素晴らしい運をもたらすと言われてるわ。
シェパード:ありがとう、でも結構だ。
ハーモニー:本当に?
シェパード:まあな。
ハーモニー:分かったわ。
      (自分の口に入れて噛み始めます。)
      まだ私に腹を立てているの?
シェパード:いや、もう怒ってない。
ハーモニー:よかった。
      怒ってるあなたは好きじゃないもの。
シェパード:それなら、俺を怒らせるようなことはするな。
ハーモニー:分かったわ。
シェパード:まだ十三歳なんだろ?
ハーモニー:あと5ヶ月で十四歳になるわ。
シェパード:そうか!
      女王になるのに不安はないのか?
ハーモニー:いいえ!
      なぜ不安になるの?
シェパード:責任が重いからさ。
ハーモニー:知ってるわ。
シェパード:他のなによりも国民を優先しなけりゃならないだろ、
      自分の事は後にして?
ハーモニー:時々はね。
シェパード:いや、常にだ。
ハーモニー:うまくバランスをとってやっていくわ。
シェパード:これだけは覚えておくんだ。
      神から与えられたから女王になるんじゃない。
      国民が君を女王と認めるから女王なんだ。
      君が国民を苦しめれば、国民の気は変わる。
      よく覚えておくんだ。
ハーモニー:リーダーシップの事を言ってるのね、ジョン。
シェパード:苦労して学んだ教訓だ。
ハーモニー:私は民の事ならよく知っているわ。
シェパード:そう願うよ。
ハーモニー:私たちいいコンビになりそうね。
シェパード:ん?
ハーモニー:女王には、いつか王が必要でしょ。

ジョンは目を逸らし見ます。
この会話が嫌な方向に向かっています。

シェパード:あー、聞いてくれ、ハーモニー…
ハーモニー:今答える必要は全くないわ。
      唐突な申し出だと分かってるから。
      軽率に決定してはいけないわ。
シェパード:まあ、どっちにするかはもう決まってる。
      君は偉大な小さな女性だ、それは…

ちょうどその時、不気味なシューという音が再び聞こえます。
それに続くように、男達の悲鳴が聞こえてきます。
ジョンは立ち上がって悲鳴の聞こえた森を見つめます。
銃火器の音も続いて聞こえてきます。
音が聞こえなくなるとロドニーが洞窟の奥から出てきます。

マッケイ:あれは何の音だ?
シェパード:ジェナイが獣と争ったみたいだ。
      (ハーモニーを見下し)
      勇気を出してマッケイとここにいるんだ。
マッケイ:おいおいおい、なんでいつも僕がお守り役なんだ?
シェパード:お前が獣を調査するか?
マッケイ:いや、僕はここでいいや。
シェパード:そうだろ?
      ここにいろ。

彼は森の中に向かいます。
ロドニーはハーモニーの横で屈みます。

夜。
城。
マードラはジェナイの無線を手に取り動かします。

マードラ:マードラよ。
     様子を知りたいわ。
     どういう状況なの?

森の中では、トランは何人かの軍人と共に歩いています。

トラン:遺跡に続く道に兵隊を配置してある。
    奴らは別の道を行ったようだ。
マードラ:どうやら、彼らは愚か者ではなさそうね。
     遺跡に続く道以外を調べるべきだわ。
トラン:そうしたいが、夜の上この森はかなり広い。
    兵隊が少なすぎる。
マードラ:彼らが村まで戻ってきたらどうするの?
     そうなったら私達の協定は無駄になるわ。
トラン:さっき仲間からの連絡が途絶えたばかりなんだ。
    その場所に向かっているところだ。
    多分うまくいくだろう。
    トラン、アウト。

彼は無線を切ります。
マードラは憤然と無線機を見つめます。

森。
洞窟の入り口でまだ屈んでいるロドニーはぐるりとぎこちなくハーモニーを見ます。
彼女は彼を睨み返します。

ハーモニー:あなたはドクターなんでしょ?
マッケイ:ああ、そうだ。
     でも、医者じゃないよ…
ハーモニー:あなたはウソツキね。
マッケイ:(憤然と)なんで、僕は…

彼女と言い争うのをやめて彼はため息をつきます。

マッケイ:何が聞きたいんだ?
ハーモニー:愛ってどんな気分になるの?
マッケイ:(あきれて)やれやれ!
ハーモニー:ジョンに恋をしたみたいなの。
マッケイ:ああ、そんなの今回が初めてじゃない、これからも何度もあるさ。
ハーモニー:それはどういう意味?
マッケイ:色んな女性、特に異星人の女性は、
     ジョン・シェパードの顔と魅力にほれ込む傾向があるんだな。
ハーモニー:私はそういう事とは違うわ。
マッケイ:君よりもあいつの方が年上過ぎると思わないか?
ハーモニー:そんなの気にしてないわ。
マッケイ:そうか、まあ、あいつに希望を持たないほうがいい。
ハーモニー:彼にそう言うつもりじゃないでしょうね?
マッケイ:そんな事はしないよ。
ハーモニー:私の事が嫌いなんでしょ?

ロドニーは目の前をじっと見つめて、本当に言いたい事を食い止めます。

マッケイ:いや、そうじゃない。
     僕は…
     君が好きじゃないんだ。
ハーモニー:それはどういう意味?
マッケイ:君はとても煩わしい態度だって事、でも君は子供だから大目に見てるんだ。
ハーモニー:私が大人だったら、「煩わしい態度」は許してくれないのね?
マッケイ:そうだ。
     大人だったら…

彼は彼女を見ます。
彼女はひとりよがりに微笑み返します。

マッケイ:おい、僕の気持ちは関係ないだろ!
ハーモニー:私はあなたが好きじゃないから。
マッケイ:そりゃご親切に。
ハーモニー:それでジョンと私を引き離さないって約束してくれる?
マッケイ:約束するよ。
     君にこれだけは言える、
     君は彼に惚れ込む大人の女性よりはるかに成熟してる。
ハーモニー:ありがとう、ドクター!

彼女は立ち上がって中に戻ります。

森の中では、ジョンは何かを見つけて、ヘッドホンを動かします。

シェパード:(小声)マッケイ。
マッケイ:(無線機から)どうした?
シェパード:(見つけた物を見るためにしゃがみ)二人のジェナイが死んでいる。
      ズタズタだ。
      何箇所も穴が開いている。
マッケイ:(不安そうに)それって咬み傷の事?
シェパード:そうじゃないみたいだ。
マッケイ:(心配そうに)それじゃ何なんだ?
     鉤爪、指、鋭いくちばし?
シェパード:分からない。
      一度も見た事がない。

ジョンは近くで歩く音が聞こえ、その場を急いで後にします。
直ぐにトラン分隊は到着して、倒れている仲間を見つけます。

軍人:こっちだ。

彼とトランは遺体を確認するために近づきます。
他の者は辺りを警戒しています。

軍人:どういった生き物がこんな事を?
トラン:そんな事はどうでもいい。
    奴ら三人が死ぬまで、我々はこの森を出られないんだ。

低木の陰に隠れたジョンは自分達に何が起きているのか理解します。

後に。
ジョンは洞窟に戻り、入り口でロドニーに会います。
彼らは中に入っていきます。

マッケイ:こんなに長い間どうしてたんだ?
     迷子になったかと思ったぞ。
シェパード:ジェナイに出会ったんだ。
      安全に動けるようになるまで、隠れてなきゃならなかった。
マッケイ:それで何があったんだ?
シェパード:分からない。
      獣がどのようなものでも、致命的だ。
ハーモニー:言っておいたはずよ。
シェパード:ああ。
      それとジェナイは俺達全員を殺す命令を受けている。
マッケイ:へえ、そりゃ凄い。

ジョンはハーモニーを立たせます。

シェパード:よし、お姫様、行くぞ。

ジョンは先頭に立ち道の前方にライフルを向けます。
ハーモニーは立ち止まります。

ハーモニー:待って。
シェパード:何だ?
ハーモニー:どこに行くつもり?
シェパード:どこって?
      村に戻るつもりだ。
ハーモニー:でも遺跡はもうすぐよ。
      それにもう直ぐ夜明けになるわ。
シェパード:夜が明けるとまずいんだ。
      夜なら身を隠せる。
ハーモニー:ここまで来て戻る事はできないわ。
      (腕組みをして)
      私は拒否する。

マッケイはバックパックの中のスタナーに親指をぐいと動かしジョンを見ます。

マッケイ:僕もまだここにいた方がいいと思うけど。
シェパード:ハーモニー、今一番しなきゃいけない事は、戻る事だ。

彼は村の方向を指します。
その時再び森の中で不気味なシューという音が聞こえてきます。
その方向を見ていたジョンは震えます。

シェパード:変な音を聞いたみたいだ。
マッケイ:(不安そうに)
     子供と同じ意見なのは嫌だけど…

ロドニーは遺跡の方向を指します。
ジョンはハーモニーに近づき地図の巻物に手を伸ばします。

シェパード:それを貸してくれ。

彼は地図を広げて見ます。

ハーモニー:獣は遺跡を避けるわ。
      そこなら安全よ。
マッケイ:(ジョンへ)どのぐらいの距離なんだ?
シェパード:(地図を見て) 30分ぐらいだ。
マッケイ:それで、どうする?
シェパード:(地図をハーモニーに返し)まあ、獣に遭遇するよりはましだ。

彼は跡の向きに立ち去ります。
ハーモニーは喜び微笑んで、彼女とロドニーは彼について来ます。

夜明け。
グループは川岸の崖を登ります。
上に着くとジョンは身を低くしろと他の者に身振りで合図します。

シェパード:(小さな声で)おい!

彼らは丸太の後ろに身を隠します。
上ってきた反対側の崖下では、ジェナイの一人が長い柱を見ながら立っています。
ジョンがジェナイを見ている間、ロドニーはバックパックを開けて引っ掻き回し始めます。

シェパード:これを恐れていたんだ。
ハーモニー:ここは聖地よ。
      どうして彼らが?

彼女は立ち上がります。
ジョンは再び彼女を引き下げます。

シェパード:おいおいおいおい!
      俺達が何とかする、いいな?

ロドニーはバックパックからレイスのスタナーを出します。
ひざまずいて、よりいい位置に移り、丸太の上に両手で構え片目を閉じます。
そしてジェナイに向かってピストルを向けます。

マッケイ:いいぞ。
シェパード:俺がやる。
マッケイ:僕がやるよ。
     大丈夫さ。
シェパード:いや、本当に…
マッケイ:(彼を無視し)安心しろ。
     パパのところにおいで。

彼は目標に向かって眼を細め続けています。
彼は視覚に男を完全に入れるために大変な時間がかかっています。


マッケイ:行くぞ。

あまりにも時間が掛かっているロドニーに、ジョンは我慢ができなくなり、
ピストルをひったくり一瞬でジェナイを撃ちます。
光線はジェナイの背中に当たり倒れます。
ハーモニーは立ち上がります。
一方ジョンは彼女を引き下げます。

シェパード:おいおい。
ハーモニー:何?

彼女が彼を見ると二人目のジェナイが遺跡に来ます。
彼は倒れている仲間の方向に下を見ながらやってきます。
しかし何が起きたのか気づいてはいません。
ハーモニーは憤然とジョンをにらみつけます。

ハーモニー:さっき撃ったじゃない。

ジョンはスタナーで二人目を撃ちます。

シェパード:今だ、行くぞ。

彼は立ち上がって下に向かいます。
ロドニーも彼の後を追います。
ハーモニーは立ち上がって遺跡に行ける喜びに微笑み、二人の後を追います。

ロドニーは遺跡の全景を見ます。
ジェナイが見ていた円柱は石というよりむしろ金属的で、
柱の前には、緑色のライトの点いたパネルがある装置があります。

マッケイ:こりゃ、凄い!
シェパード:(気を失ったジェナイの武装を解除し)エンシェントか?
マッケイ:ああ、そうだな。

彼はベストからエンシェントのスキャナを取り出して作動させ、再び円柱を見ます。

マッケイ:なんか変だな?
     この場所は妙によく知ってる感じだ。

ロドニーは装置の方を調べます円柱の側面からクリスタルのトレーが出ています。
ハーモニーはロドニーに近づきます。

ハーモニー:想像してたより美しいわ。

彼女は首につけているペンダントを右手で握り、
装置に手を伸ばすとロドニーは脇によけます。
彼女は左手をパネルに置き、目をつぶって集中します。
しばらくすると彼女は目を開けペンダントを見てしかめ面をします。

ハーモニー:何か変だわ。
シェパード:何が?
ハーモニー:働かない。
シェパード:多分、何か静かに瞑想したらいいんじゃないか?

ハーモニーはしっかり再び目をつぶってペンダントを握りしめます。
しばらくすると彼女はイライラして目を開けます。

ハーモニー:ペンダントは光り輝かなきゃいけないのよ。

ロドニーは目を見開きます。

マッケイ:壊れてるのか?

彼はスキャナをハーモニーに持って行ってペンダントをスキャンします。

シェパード:俺が当ててみせる。
マッケイ:そうだよ!
     エンシェントの物だ!
ハーモニー:こそれはラロスのペンダントよ。
      女王の、本当の女王だけのものよ。
      これ遺跡に返さなければならないの。
      ここに戻せば、これは輝いて、
      偉大なる力を私に吹き込むことになってるのよ。
シェパード:君のお姉さんはその事は言ってなかったぞ。
ハーモニー:それは私たちの極秘事項よ。

ロドニーは閃きます。

マッケイ:ここは試験場だ。
シェパード:何だって?
マッケイ:この場所が何なのか分かった。
     ここの事を読んだ事がある。
     この二年間この場所を探してたんだ!
     回路図を見ていたんだ!
シェパード:授業をしてくれないか。
マッケイ:この場所が何であれ、獣を制御する事ができるはずだ。
     僕の思っているものが獣だとすれば。
シェパード:どういう事だ?
マッケイ:ミニドローンだよ、僕が正しければ。
     そして君ならこれを使いこなせるはずだ。
     つまりこの星はエンシェントが
     最初にドローンの技術を開発した場所に違いない。
     ここがその試験場だったんだ!
シェパード:だからジェナイがスイスチーズになってたのか分かったよ。
      ミニドローンが連中を通り抜けたんだ。
マッケイ:獣が出していたあの音は唸り声っていうより電気の唸り音に似ていた。
シェパード:ペンダントは…
マッケイ:多分ある種のパスキーだ。
     エンシェントたちは研究を保護しようとした。
     お互いからもね。
     ドローンを制御するには遺伝子ともう一つが必用だ。
     そうでなければ…

彼は装置のパネルからハーモニーの手を外してそれを見ます。

マッケイ:そうだ、その通りだ!
     自動保護モードだ!
     ミニドローンは森をパトロールしている。
     遺伝子のない者達は襲われるんだ。
     僕達を狙わずにジェナイ向かっていったのはそういった理由だ。
     そして例え王族でもこれがないと動かせない。

ハーモニーは憤然と彼を見ます。

シェパード:じゃあなんで動かないんだ?
マッケイ:(気を失った軍人を指して)
     多分こいつらがクリスタルトレーを動かしたんだろう。
シェパード:そうか。
      それで?
マッケイ:どのくらい壊したのか調べるのに少し時間をくれ。

彼は円柱に戻ってクリスタルを動かし始めます。
ジョンは装置に手を置いて目を閉じ集中しているハーモニーに近づきます。

シェパード:機械は壊れているんだ。
      だからそのペンダントが輝かないんだ。
ハーモニー:これは機械なんかじゃない。
      私が女王にふさわしいなら神は純粋な光のパワーを与えて、
      ペンダントを輝かせるわ。

ジョンはロドニーを見ます。

マッケイ:誰がそんなルールを作ったかわかるか?
     つまりそれは一世代に一度キーをここに戻す必要があったからだ。
     多分そのために城から誰かが来て
     エンシェントの技術を使用しなければならなかった。

ジョンはハーモニーに向きます。

シェパード:複雑だが、それは輝く。
      ただ修理をしないといけない。
ハーモニー:(悲しげに)あなたは分かってない。
      私は選ばれなかったのよ。
      私は女王に相応しくないんだわ。
      無駄な旅をしてきたのよ。
シェパード:俺を信じろ。
      それは輝く。


悩むハーモニーは装置から顔を背けて、後ろに下がります。
まだ彼女はペンダントを握っています。
ジョンはジェナイに近づき、彼らを蹴って起こします。

シェパード:起きろ。

彼らが目覚めると、ロドニーはやってきます。
ジョンは円柱に頭で合図します。

シェパード:これに何をした?
軍人:分からない。ただクリスタルを置き換えただけだ。

仲間のヘイロンが彼を見ます。

ヘイロン:話すな。どの道、殺されるだけだ。

ジョンはロドニーを見ます。

シェパード:あれを働かせるか?
マッケイ:すぐには無理。ジャンパーでチームを連れて来ないと無理だ。

ため息をついてジョンは、ハーモニーに近づき彼女の横でひざまずきます。

シェパード:聞いてくれ、俺達は一旦戻る。
ハーモニー:ダメよ!光らないペンダントと共に戻ったら私は許されないわ。
シェパード:(中断させ)ああ、君は女王だ、俺が保障する。
      これは壊れただけなんだ。
ハーモニー:もう一度チャンスがあるわけじゃないの、ジョン。お願いよ。

ジョンは呆れます。

ハーモニー:私にはできるはずなの。
      (台に上がります)私は…もっと集中する必要があるのよ。

彼女はパネルに手をおき目をつぶってペンダントを握って集中し始めます。
その時ジェナイの無線が作動します。
軍人二人とも無線機に触れますが、ジョンは急いでスタナーを向けます。

シェパード:ワオ。慌てるな。
声:(無線機から)ヘイロン、応答しろ。ヘイロン、応答するんだ。

ヘイロンはポケットから無線をゆっくり取り出しジョンに手渡します。

マッケイ:ほら、応じないと調査しに来るぞ。

ジョンは口元に無線機を上げ作動させます。

シェパード:(太く低い声で)こちらヘイロン。
声:(無線機で)どういった状況だ?
シェパード:(太い声)問題ない。
声:(無線機で)詳しく言え。
シェパード:(ためらって、再び太い声で)本当に問題ない。
ヘイロン:(叫び)助けてくれ!

ジョンは彼を気絶させます。

軍人:助けてくれ!

ジョンは彼も気絶させます。

声:(無線機で)ヘイロン!
シェパード:(普通の声で)ちょっと忙しくてな、出られないそうだ。

彼は無線を切りロドニーを見ます。

シェパード:さて、やってみる価値はあるだろう。
      (円柱に身振りで示します)あれを速やかに動くようにしろ。
マッケイ:急いで逃げ出すことはできないの?
シェパード:四方八方囲まれてるんだぞ。
      ミニドローンが動かせるようにならなけりゃ…
マッケイ:僕達は死ぬ。

その後、まもなく。
ジェナイの軍人は森を通って遺跡に急ぎます。
遺跡ではロドニーがクリスタルトレーを動かしています。

マッケイ:おたくらはいいよな。

彼はジョンとハーモニーが隠れている壁の隙間をちらりと見ます。
ジョンは森の中にライフルを向けながら、壁の入り口で屈んでします。

シェパード:ん?
      どうしてだ?
マッケイ:そんな岩陰に隠れてるじゃないか。
     僕とジェナイとの間には、涼しい風しかない。
     僕がどう思ってるか分かるか?
シェパード:こっちに来るのは構わんし自分を守るのも構わない。
      だがそいつの修理が終わってからだ。
マッケイ:一体どのぐらいクリスタルの組み合わせがあるとこもってるんだ?
シェパード:七ぐらいか?
マッケイ: 7,000だよ。
シェパード:まあ、無限ってわけじゃないのか。

ロドニーは別の組み合わせを試みて、スキャナをチェックします。
それは否定音を鳴します。
彼はかんしゃくを起こしてため息をつきます。
ジョンはハーモニーに向きます。

シェパード:いいか?
      ジェナイがここに到着したら、かなり騒がしくなる。
ハーモニー:悲鳴を上げるって事?
シェパード:いや、銃が、一斉に火を吹くからだ。
      君はここで耳を覆っているんだ、いいね?
ハーモニー:代わりに私に銃を貸してくれないの?
シェパード:(厳しく)ここにいて耳を覆っているんだ、そして動くんじゃないぞ?

彼女は答えるのを拒否します。
ちょうどその時ロドニーは別の組み合わせを試みるとトレーが灯ります。

マッケイ:(喜んで)やった!うまく動いたぞ!

ハーモニーは即座に隠れ場から飛び出して、装置に向かって駆け下り始めます。

シェパード:ハーモ…ハーモニー!俺の言う事を聞いてなかったのか?

彼女がスロープを駆け下り続けていると尾根から彼女に発砲され始めます。
ロドニーはクリスタルトレーの横で屈みます。
ジョンがどこに相手がいるのか探していると
ロドニーは避難所を求めて走るために振り返って、ハーモニーに衝突します。
彼女は地面に倒れます。ロドニーはその時に手にしていたライフルを落とします。
彼はそれを拾おうとハーモニーの上に覆いかぶさります。
トラン達は発砲しながら隠れ場から飛び出して進んで来ます。
ジョンは応戦します。彼らは木の後ろに隠れたりして応戦します。
ハーモニーは顔を上げてロドニーを見つめます。
ロドニーはジョンのライフル銃が援護射撃をしているのを聞き、彼女を立たせます。

マッケイ:行け。行け、行くんだ!

彼ら二人は壁の後ろにいるジョンのところに走ります。
尾根では、トランはジョンが発砲を止めるまで待っていて、次に大声で叫びます。

トラン:お前達は包囲されている!
    お前達に弾薬の残りはないだろう。
    こちらには多くの者が残っている。
シェパード:チャンスに掛けるさ。
トラン:これ以上抵抗すれば、ゆっくりと死の恐怖を味わう事になるぞ。
シェパード: OK。もう一つの選択は?
トラン:娘を渡せ、そうすればお前達は解放する。
ハーモニー:まさか!あんな野蛮人と取引するなら死んだ方がましよ!
      姉達が聞いたら、ジェナイは終しまいよ!
      終わりよ、聞こえてる?
トラン:俺達がどうやってお前さんを見つけたと思う?
    お嬢ちゃん。
ハーモニー:あなたは嘘をついてる!掛かってきなさいよ!
      あなた達を黙らせてあげるから!
シェパード:(小さく彼女に)おいおい!俺達が何とかする、いいな?
トラン:一分与えよう。

ジョン、ロドニー、ハーモニーは壁の後ろにしゃがみます。
彼女はショックでジョンを見ます。

ハーモニー:本当のはずがないわ。
シェパード:今は正直なところ、それは重要じゃない。
ハーモニー:そんな事、言う資格があるの?

ジョンはロドニーを見ます。

シェパード:動かせるようになったのか?
マッケイ:ああ、連中が来る前は動いていた。
シェパード:それじゃ、また壊れたのか?
マッケイ:パワーは取り戻してる、動くかどうかは五分五分だ。

ジョンはしかめつらをします。

ハーモニー:私を援護して。
      私が装置に行って、獣を呼び出して彼らを倒すわ。
シェパード:今日は無理だ。
      君には!
      一度もあれを操作した事はないだろ?
ハーモニー:でも私は女王よ、そして獣は私の保護者でしょ。
シェパード:もう少し複雑なんだよ。

彼はちょっと思って、次にロドニーを見ます。

シェパード:エンシェントの遺伝子を持ってなくても
      誰でも動かす事ができると言ったよな?
マッケイ:ああ、あれを持ってれば…ペンダントを。

彼はハーモニーを見下します。

ハーモニー:まさにそうよ!
シェパード:(ロドニーへ) 50%だな?
マッケイ:この話が長引けば、100%僕らは殺されるよ。

ジョンはため息をつきます。

シェパード:マガジンを交換したか?

ロドニーはライフルを見ます。

マッケイ:充填した。
シェパード:3で行くぞ?
マッケイ:(不安そうに) OK。
ハーモニー:(微笑)いいわ。素晴らしいわよ。
シェパード:1… 2…3。

彼は前に出てハーモニーの首からペンダントを千切り取ります。
彼女が喘ぐとロドニーはジェナイに向かって立ち上がって援護射撃をします。
ジョンは隠れ場所から走り出し、装置に着きます。
ペンダントを手に巻きつけ、彼はパネルにその手を叩きつけます。
パネルは光り、ペンダントも輝きだします。
ロドニーがジェナイを近づけさせないようにしていると
どこからともなく何十ものミニドローンが遺跡の上に飛び交います。
それを見たジェナイ達はうろたえます。
ジョンはミニドローンを操ってジェナイの方に飛ばします。
ロドニーはもう撃ってはいません。
トランは木の後ろから出てきて部下を見ます。

トラン:何をしてる?
    奴を撃つんだ!

彼らはミニドローンに気を取られます。
まるでハエを追うがごとくに叩き始めます。
トランは銃を取り出してジョンを狙います。
ジョンは彼を見つめるとミニドローンはトランに向かって突撃します。
いくつかがトランに当たり彼は倒れます。
全てのドローンが彼に向かって突入します。
ドローンがトランの体を包み込むと、他のジェナイたちは逃げ出します。
ジョンは危険が去ったと分かり装置を切ります。
ロドニー急いで降りてきます。

マッケイ:大丈夫か?
シェパード:ああ、平気だ。お前は?
マッケイ:もちろんだ。

ハーモニーが彼らに加わります。

ハーモニー:今までに見た中で最も勇敢だったわ。

ジョンは皮肉に微笑みます。

シェパード:君は若すぎる。
      君が大人になったとき、相応しい勇敢な男に出会うだろう。

ハーモニーは彼の手からペンダントをひったくります。

ハーモニー:あなたじゃないわ、泥棒!
      私があなたを気に入っててよかったわね。
      さもなきゃ、反逆罪に絞首刑になるところよ。

ジョンが驚いて大口を開けると、彼女はロドニーに向きます。

ハーモニー:でもあなたは、私の命を救ってくれた。
マッケイ:僕が?
ハーモニー:ジェナイが撃ってきたとき、自分を盾にして私を守ってくれたわ。

むしゃくしゃとしてジョンは振り返って歩き去ります。

マッケイ:(目を見開き)いや、そうじゃない。
     僕は、君の上につまずいて転んだだけだ。
     あれは事故だ。
ハーモニー:(より近づき)そして、私を逃がしてくれた。

彼は答えられずに彼女を見ます。

ハーモニー:あなたは私を好きじゃないと言ったけど。

ロドニーは次の言葉を想像して目を細めます。

ハーモニー:私が好きなのね!
マッケイ:いいやそんな事はない、えー…

彼はジョンを見て助けを求めます。

ハーモニー:いいえ!私の命を救ったうえに、遺跡を直してくれた。
      あなたは英雄よ、マッケイ博士、私と民のね。

ロドニーは無関心を装います。

マッケイ:僕は「英雄」なんかじゃない。
     「例外的な勇気」がでただけだ。
ハーモニー:そして控え目で。
シェパード:ジェナイが戻る前に、もう行くぞ。
ハーモニー:それはどうかしら。
      彼らは単純な種族よ、あなた達の勇敢な行動に驚いたに違いないわ。
      でも私は違うわ。

彼から顔を背けます。
彼女は片手でペンダントを持って、再び装置のパネルに手を置きます。
今度はパネルは光り彼女のペンダントも輝きます。
彼女は満足げに微笑みます。

ハーモニー:ペンダントが輝いたわ。
      神は、私を相応しいとお考えのようね。
      さあ、戻りましょう。

彼女は歩き去ります。
ジョンとロドニーはなんとも、もどかしそうな表情をして彼女について来ます。

城。
マードラは書物を読みながら部屋にいます。
ドアが押し開くと彼女は顔を上げます。
そして城の護衛に続きハーモニーとフローラが後から入ってきます。
二人目の護衛は彼女の後ろからやってきてドアを閉ざします。
マードラは立って、ハーモニーに微笑もうとします。

マードラ:戻ってきたのね。

護衛が部屋の中を探索し始めると彼女は見回します。

マードラ:何をしてるの?
     ここは私の部屋よ。
フローラ:大丈夫よ、マードラ。
     彼らはもう私の部屋も捜索したから。
     あなたも許可すべきよ。
マードラ:どうして?
ハーモニー:ジェナイが私たちを襲ったわ。
マードラ:そんな!
     では、あなたを守るためにシェパード中佐を連れて行って正解だったわね。
フローラ:彼らは遺跡の場所を知ってたわ、マードラ。
     どうして?
マードラ:まるで私が知っているかのように聞くのね。

護衛の一人がジェナイの無線を見つけ、彼女の正面の机に置きます。
彼女は喘ぎます。
ハーモニーは彼女をにらみつけ説明を待っています。
マードラは彼女を見下ろします。

マードラ:あなたはまだ女王になるには若すぎるわ、ハーモニー。
ハーモニー:そうかも。
      でもあなたが刑務所から釈放されたとき、
      分からなくなるほど年取る事でしょうね。

数日後。
城の玉座のある公式謁見室。
ハーモニー女王は低い壇の王座に座り、フローラ姫は近くに立ちます。
様々な廷臣が部屋を埋め尽くし、雑談をしています。
ジョンとロドニーは玉座の下に立っています。
ハーモニーが立ち上がると全ての廷臣が、黙り込んで彼女に一礼をします。

ハーモニー:ロドニー・マッケイ博士とジョンシェパード中佐。
      民への貢献は決して恩返しできないかもしれません。
シェパード:まあ、俺たちは何か欲しくてやったわけじゃない。
      陛下殿。
マッケイ:(小さな声で)ウソばっかし。
ハーモニー:私は個人として大逆罪のジェナイを打ち倒した
      あなた方への恩を忘れはしません。
      一番腕のいい職人にあなた方と私の栄光の勝利の姿を描かせました。

彼女は玉座の脇に立ち後ろの壁、覆の掛かっている絵の方を向きます。
彼女が頷くと使用人は覆いを引き、絵を明らかにします。
絵はミニドローンが彼女の前を横切り、
彼女の表情は自信に満ちた顔で装置の前に立っています。
彼女の右手は猛然と怒鳴って敵に向かって発砲しているロドニーの肩にあります。
そして彼女がドローンを制御しているかのように左手を伸ばします。
彼女の左後ろには、ジョンが恐怖で屈んで縮こまっています。
廷臣が拍手喝采し始めると、ハーモニーは誇らしげに微笑みます。
ジョンは諦め顔で絵を見つめます。
ロドニーは肩をすくめます。

マッケイ:うん、このシーンは覚えてるよ。

ジョンは彼に振り返って睨み付けると、ロドニーはひとりよがりに拍手と微笑を送ります。

おしまい