言葉のごった煮>トップへ

スターゲートアトランティス シーズン4

4X17

アトランティス。
大きなお腹のテイラがサムのオフィスに入ると、そこにはサムとジョンが彼女を待っていました。
ジョンはソファーに腰掛け、サムはデスクに寄りかかっています。
「お帰りなさい、テイラ。」サムは彼女を向かい入れます。
「ありがとうございます。 戻ってこれて良かったわ。」
彼女はジョンの隣のソファーに座ります。
「それで、地球はどうだった?」ジョンは地球に行っていた彼女に感想を聞きます。
「分からないわ。2日間、スターゲイトコマンドの壁以外何も見なかった。」
「面接はどうだった?」サムはテイラがIOAの面接に行った結果を聞きます。
「みんなが言ったとおりでした。
 I.O.A.の新しいメンバー、クーリッジさんは、少しぶっきらぼうで、横柄だった。
 自分が質問をするって言って。」
「ええ、彼ならそうかも。 この面接が彼の最初の仕事だから。」
「新人だから誇示してるんだ。」シェパードはクーリッジを揶揄します。
「ええ、どう見ても彼は異星人がスターゲイトプログラムに参加するのを信用してなかった。
 現役のメンバーなら尚更ね。」
「で、奴は気が変わったと思うか?」
「そう思いたいけど。彼は私の今のこの状態を迷ってる。」
「本当に? あなたの妊娠の事はI.O.A.を知らせたのに。」
「ええ、知っていました、そしてメンバーの大部分はかなり支持してくれました。
 でも、クーリッジさんは、女性に対しての振る舞いと男性にに対しての振る舞いは違ってた。
 彼は私を「ハニー」って呼び続けていたわ。」
テイラはクーリッジが自分の事を「ハニー」と呼んだ事に対してサムにしかめ面をすると、
サムは信じられないと目をつぶります。
「この男を殴りたい衝動に狩られたのは認めるわ。 でも、なんとか抑えた。」テイラは続けます。
「よく思いとどまったな、赤ん坊がいるのにそんなクソ野郎を殴っていいとは思えない。」
ジョンはテイラの身を案じてか、逆にIOAの不評を案じてか言います。
「最終的には、彼は私の事を問題にしてないと思ってるんじゃないかしら。
 多分、彼は、私が子供を産んだら、現役に戻らないと思ってるみたい。」
「そいつが驚くんじゃないか?」
ジョンがそう言うとテイラは彼に微笑みますが、彼女の顔は同意しているようには見えません。
出産後に彼女が任務に戻るのは確かですが、ジョンは顔をしかめます。
「まあ、そうなったらその時よ。
 差し当たり、問題なのは、できるだけスムーズに面接を終えて、波風を立てないことね。」
サムはテイラを見て続けます。
「レポートが来たら知らせるわ。」
「ありがとうございます。」
そう言うとテイラは立ち上がって部屋を出ます。
ジョンも一旦立ち上がりますが、サムが彼の脇まで行って隣にすわると、彼はため息をついて再び座ります。
「俺の考えてる事が分かる?」ジョンは頭をかきながら不安そうにします。
サムは溜息をついて応えます。
「次はロノンね。」
「ビッグウェーブだ、それも津波級だ。」
「私もそれは考えてた。もう面接まで3日間もない。
 それで、彼を指導してくれる人をアトランティスに招くつもり。」
「誰?」

その後。
スターゲイトが開きティルクが入ってきます。
ティルクの髪はかなり長く伸び、ジャファのローブを身につけています。
彼がゲイトルームを見回していると、サムが微笑んで近づいきて、彼女に向かって歩き出します。
「ティルク。」
サムが手を伸ばすとティルクはその手を取ります。
「カーター大佐。」
「アトランティスへようこそ。」
彼女が旧友に再会して喜びに微笑むと、ティルクは彼女に一礼をします。

その後まもなく。
サムとティルクは都市内を歩いています。
「それで、ティルク、その髪は?」
「似合わないか?」
「いえ、似あうわよ! とっても…地球的!」
彼らはお互いに微笑んでから、彼はそのエリアを見回します。
「この都市は私が予想したてよりはるかに大きい。」
「ええ、驚くほどの工学技術の偉業ね。 エンシェントは知り尽くしていたのね。」
「確かに。」
サムはいつもの彼の口癖を聞いて微笑みます。
「元気そうでなによりだ、カーター大佐。 司令官とは君に似合っている。」
「ありがと、ティルク! やっと慣れたわ。
 軍事関係は大分緩いけど、私はここが好きよ。」

ジム。
ロノンは海兵隊員とスパーリングをしています。
海兵隊員がワン・ツーパンチを繰り出しますが、ロノンはそれをダッキングで交わし、
腹を殴り、首に手刀を入れ首を掴み床に投げ倒します。
海兵隊員はすぐに立ち上がり左フックをロノンの顔に入れます。
ロノンがローキックを放つと海兵隊員は膝を落とします。
ロノンは彼の顔にパンチを繰り出し、海兵隊員は落とした膝を上げます。
そしてロノンは連続で彼を殴りつけます。
彼らが戦い続けていると、サムとティルクが入り口にきます。
「彼がそうか?」ティルクはロノンを見て訊ねます。
海兵隊員とロノンのスパーリングは続き、最終的には海兵隊員は床に倒れます。
海兵隊員は床でのたうちまわっています。
「ええ、彼よ!」サムは応えるとティルクを連れてジムの中に入ります。
「来て」
他の二人の兵士が同僚に近づき助け起こし連れて行きます。
サムはティルクをロノンに引き合わせます。
「ロノン・デックス。 ジャファのティルクを紹介するわ。
 あなたに話していた人よ。」
ティルクは彼にお辞儀します。
「逢えて光栄だ、ロノン・デックス。 カーター大佐から君の事は聞いている。」
ロノンはペットボトルの水を一口飲んで彼を睨み付けます。
サムの笑顔は色あせますが、ティルクは彼を無表情でじっと見つめます。
サムはロノンに言います。
「とにかく、言ったように、あなた方二人は色んな意味で同じだから、色々と共通点があるはず。」
ロノンはボトルからもう一口飲んでから、床に水を吐き出します。
ティルクはその吐き出した水を見下ろします。
そしてロノンを見て眉を上げます。
「ティルクは10年間以上もSG-1のメンバーだったの。
 だからI.O.A.の事については詳しいわ…」
サムが説明している間、ロノンは静かにティルクを睨み付け続けています。
「何かとアドバイスを伝えられるかと思って、面接の前に予行練習をした方がいいんじゃない。」
それでもロノンは睨み続けています。ティルクは冷静に彼の凝視を見つめ返しています。
ティルクはロノンから目を逸らさず口を開きます。
「カーター大佐。」
「何?」
「おそらく、二人っきりの方がよさそうだ。」
「そうね。」
サムは少しの間、二人を見比べ様子を心配しています。
「楽しんで。」彼女は体育館を出ます。
ロノンとティルクはしばらくの間睨み合い続けます。
「話せないのか、ロノン・デックス?」
「話す事がないんでな。」
ティルクはしばらく彼を見つめますが、理解したと言うように頷きます。

遠くの惑星。
レイスのクルーザーが砂地の惑星に着陸しています。
色々な設備を運んでいるレイスの大きなグループが惑星のスターゲイトとD.H.D.に向かって進んでいます。
「これがそうだ。仕事を開始するのだ。」
レイスの科学者が言うとレイス技術者は、彼に礼をして警備が持ってきた設備を組み立て始めます。
そしてケーブルをD.H.D.に差し込み始めます。

アトランティス。
食堂ではロノンがテーブルで食事をしていると、
ティルクが彼のテーブルにトレーを持って来て下に置きます。
「一緒で構わないか?」
ティルクは回答を待たずに向かい側に座ります。
ロノンは直視するのを拒否します。
「ハンバーグ・ステーキか。S.G.C.の食堂でよく出されたな。
 だが白状すると、私はジャガイモに目がない。」
ロノンはやっと顔を挙げて話し出します。
「なあ? 俺に面接のコーチなんかいらないぜ。
 前にもI.O.A.とやったことはある。」
「I.O.A.はウールジー氏だけではない。
 新たなメンバーのクーリッジ氏はあまり快くは思っていない。」
「ああ、なんとかなる。俺は落ち着いて、そいつの質問に答えるだけだ。
 やり方は知ってる。」
「それを聞いて嬉しい。
 分かった。他のことについて話をしよう。」
「どんな?」
「セティダについて教えてくれないか?
ロノンはティルクを睨みつけます。
「何を知りたい?」
「レイスが襲撃したのはいつだ?」
「何年も前だ。」
「軍隊は戦わなかったのか?」
「抵抗したさ。戦いは何日も続いた。」
「そしてお前たちが降伏したとき、レイスはどうした?」
ロノンは腹を立てだします。
「俺たちは降伏なんかしてねえ。
 俺たちは最後の一人になるまで戦い続けたんだ。」
「それでは、次だ。
 お前の部隊の怠慢のせいでレイスが警戒をしたのは本当なのか?
 お前達の無謀な行動のせいで何千人もの罪もない人々を死なせて…」
怒り狂ってロノンはテーブルからトレーを叩き落し、
立ち上がって腰のブラスターを引き抜いてティルクの額に向けます。
「そんな訳ねえ!」
銃を突きつけられてもティルクは冷静に果物を口に運びます。
「確かに。」
ティルクは果物を食べます。
「しかし、このような質問がお前の面接のときにされるはずだ。
 同じような反応をしないとは思うが。
 お前はゲームをする方法を知っているのだから。」
食堂のドアの方からジョンが急いでやってきます。
「ロノン! 置くんだ…銃を…しまえ。」
ロノンはすぐにブラスターを下ろしてホルスターに入れます。
ジョンは彼とティルクを見ます。
「何の騒ぎだ?」
「何の問題もない、シェパード中佐。」ティルクは平然とした態度です。
「なら、いいが。 ロノンは?」
ロノンは手をテーブルに着きティルクの目を睨み付けます。
ティルクは彼の凝視を無表情で見返します。
「分かったよ。
 それならティルクをジムに連れて行って、お前の戦闘のテクニックを見せてやれよ?
 そうすれば分かり合えるかもしれないだろ。」

後に。
ジムは観衆で埋め尽くされています。
そして観客は二人の戦いに賭けをしていて、取りまとめのチャックがお金を受け取っています。
部屋の中央ではロノンとティルクは棒術で戦い合い、観客は歓声をあげています。
サムが入ってきてジョンに向かいます。
「大佐? あなたも賭ますか?」ジョンは試合に夢中になっています。
「一体に何をしてるの?」
「友好試合ですよ。」
「どうみても友好的には見えないけど!」
「いえ。いい事ですよ。
 彼らはモヤモヤを吹き飛ばしているだけです。」
「どれくらい戦ってるの?」
「1時間ぐらいかな。」
「1時間?」
「休憩も取ってない。」
「じゃあ、今ね。」
サムは部屋の中央に入り始めます。
「それはどうかな…」
ジョンは不安そうに彼女を止めようとしますが彼女は近づいていきます。
ティルクが棒で頭を防御しているとロノンは跳躍して棒を振り落とします。
ティルクの棒は二つに折れてしまい、観客はそれに歓声を上げます。
「OK、もう十分でしょ!」
サムがそう言うと2人の男はゆっくり間合いを取り回ります。
ティルクがサムに近づくと彼は彼女の顔を見ます。
そして彼は折れた棒を床へ投げ捨て振り返ります。
観客は息を呑みます。
ニヤリと笑いロノンも棒を投げ捨てます。
ロノンはティルクに近づきワン・ツーパンチを顔に浴びせます。
観客は再び湧き上がり、戦いは再開します。
二人が打ち合うと、サムは後ろに下がります。
しかし一瞬彼らが離れると、彼女はその隙間に割って入いります。
「ロノン、ティルク! 止めなさい!」
ロノンは口から出血し、再びティルクに向かって行きます。
しかしサムはロノンの胸を押さえて止めに入ります。
ジョンは苛立ってため息をつきます。
「引き分けよ。」
ロノンは怒ってその場を離れます。
がっかりした観客は解散し始めます。
ジョンは横にいたチャックの持っている紙幣を取り、
数を数えて自分の取り分を取り戻してから部屋を出ます。

後に。
ジャファのローブを着たティルクはサムと共にゲイトルームに向かって歩いています。
ジョンとロノンは少し後ろに続きます。
ロノンは小さなバッグを肩にかけています。
そしてティルクに向かって怒ったように指を挿しジョンを見ます。
「何で奴と一緒に行かなきゃなんねえんだ?」
「一緒ってわけじゃない、彼も戻る予定なんだ。
 お前とたまたま一緒だっただけだ。
 銀河間ブリッジも一回で済むしな。」
「そんな事どうでもいい。
 直接ここから地球にダイヤルすればいいじゃねえか。」
「ZPMが必要になる。 無駄なパワーは浪費したくないんでな。
 第一ゲイトブリッジはかなり消費する。」
「だが24時間も検疫でミッドウェーステーションにいることになる。」
「まあ、しばらくの間、何もせずに座ってないとな、大丈夫か?
 なあ、彼は何年もの経験を持ってるし、100歳にもなるんだ。
 話を聞いたって何でもないだろ。」
ジョンはロノンに微笑んで、胸に手を置きます。
「いい子でな。」ジョンは歩き去ります。
「お前なんか嫌いだ。」
ロノンはジョンの後姿に言葉を投げつけます。

ゲイトルームで、サムがティルクに向きます。
「親善試合を途中で止めさせて悪かったわ。
 でも、あそこで止めなきゃずっと戦ってたでしょ。」
ティルクは彼女に頷きます。
「聞いて、ロノンが抵抗してるのに、来てくれて手助けしてくれたのはとても感謝してるの。」
「私も、彼に成功して欲しいと思っている。 素晴らしい潜在能力が彼にはある。」
「私も同意見だわ。」
ロノンが不機嫌に近づくと彼女は彼を見ます。
「準備はいい?」
「早く終わらせよう。」ロノンはふてくされた様に言います。
ロノンがサムの脇を通り過ぎると彼女はわずかに微笑みます。
彼女はコントロールルームを見上げます。
「ブリッジにダイヤルして、チャック。」
「はい。」
チャックがコントロール・コンソールに行くと、ティルクはサムに微笑みます。
「ここの遠征隊の皆が君をリーダーとして受け入れてくれたのが私の誇りだ。
 彼らもそう思っているだろう。」
「ありがとう、ティルク。」
彼らはお互いを抱擁します。
ゲイトがダイヤルアウトし始めると、ロノンは顔を背けます。

遠くの惑星。
ケーブルの束は現在、D.H.D.とスターゲイトを繋いでいます。
「ポータル作動。」
技術者が言うと科学者はDHDからゲイトへと歩きます。
「パターンはバッファに格納されます。
 直ぐにポータルをリダイヤルします。」
技術者は装置を動かします。

ミッドウェーステーション。
ゲイトの1つが動きはじめると、S.G.C.の科学者、デンプスターが報告します。
「ペガサス側が起動。」
ゲイトから、ロノン、ティルクが出てきます。
ゲイトは閉じて、彼らはスロープを歩きます。
2人の警備員がスロープの下で立っています。

ステーションのコントロールルームでは、ビル・リーはモニターで彼らの到着を見ます。
「予定通りだね。私は彼らのところに行く。」
彼はコンソールにいるピーター・キャバナー博士に向かいます。
「君は体調の安定化診断を開始してくれ。」
「デンプスターがやるはずじゃ?」
デンプスターは近くのコンソールから振り向きます。
「なんで俺がやるんだ?」
「君はいい。」
ビルはキャバナーを指さしながら指示をします。
「君がやるんだ。」
「僕は5時間も電力のアップグレードを終えばかりです!」
「君はここの配属を希望したんだろ!」
「いいえ。」
「いや、選んだんだ。」
「いいえ。」
「何しろに、私はこのステーションの全てを君に学んで欲しいんだ。
 そして、早く覚えてくれれば、それだけ早く、私は家に帰れる。」
ビルは正面の自動ドアに向かって歩きます。
彼が廊下へ立ち去るとキャバナーは不機嫌そうに頭を下げてぼぞりとつぶやきます。
「あんただけが家に帰りたがっているわけじゃないよ。」
ビルはその声を聞いて振り返えります。
「聞こえてるぞ!」

リーはロノンとティルクに会いに行きます。
「二人とも! ミッドウェーステーションにようこそ。
 ペガサスと天の川銀河の中間点だ。」
「ああ、知ってる。 前にも、ここに来た事がある。」
ロノンは無愛想に応えます。
「もちろんだ。
 それなら、地球に行く前に24時間の検疫期間も知ってるね。」
ロノンがビルを睨み付けるとティルクは脅すようにうビルに近づき不気味に迫ります。
ビルは話し続けますが次第に声が怯えたようになります。
「ペガサスの厄介な細菌を地球に持ち込みたくないんで。」
ビルはヒヤヒヤして咳払いをします。
「君達の部屋に案内しよう。」
彼は二人の間を抜けて廊下を歩き出します。
「あー、残念ながら君らの部屋は共有だ。
 知っての通り、このステーションにはそれほど部屋がないんでね。」
ビルは二人を2段ベッドのある小さな部屋に導きます。
「D.V.D.プレーヤーといくつかの映画がある。
 ああ、先日「ノーバート」を見た。実際、あれはちょっとおかしい。
 あと、何冊か数独の本があるけど…」
そう言いながらテーブルの本を見ます。
「そうだ、全部解いちゃったっけ。」
ティルクとロノンは彼の後ろから部屋に入りました。
ほとんど彼ら3人が立てる余地がありません。
「言ったように、小さい部屋だけど、1日だけここにいて、リラックスして…」
彼は部屋から出ようとします。
「紅茶でも飲んで、もっとお互いと知り合った方がいい。」
彼は部屋から急いでドアを閉めます。
ロノンとティルクはお互いを無表情に見て、次に同時に二段ベッドの下の段に屈みます。
彼らは体を伸ばし睨み付けます。

遠くの惑星。
ゲイトは再び停止し、レイス技術者は再びDHDに作業をし科学者へ振り返ります。
「プログラムを解読しました。」レイスの技術者が科学者に言います。
「第一波の準備だ!」

ミッドウェーステーション。
ビルはデンプスターが一生懸命コンソールで作業しているコントロールルームに戻ります。
別の椅子に座ってボーッとしているキャバナーに近づきます。
「調子はどうだ?」
キャバナーはびっくりして彼を見ます。
「素敵さ。」
「退屈のようだな? 私はいつもだ。
 ミッドウェーへようこそ!」
壁の二つ並んだゲイトのモニタに反応が現れます。
ペガサス側のゲイトが開くサインが表示されます。
「他に予定がありましたっけ?」キャバナーがビルに予定を確認します。
「いや。」
ゲイトの開く音が聞こえると、ビルはデンプスターのコンソールに向かいます。
そして、ステーション全体に繋がるマイクを使います。
「予定外のペガサス側の起動。」
彼はペガサスのゲイト付近のライブ映像を示している別のウォールスクリーンに歩きます。
2人の軍人がスロープの下で立っています。
ゲイトから現れた二人のレイスに警備員が撃たれ倒れます。
「一体何ごとだ?」ビルは映像を見て驚きます。
「そんな! レイスだ!」キャバナーも慌てふためきます。
ビルは部屋の窓に行って直接ゲイトルームを見下ろすと、多くのレイス達が入ってきます。
「そんなバカな!」

寝台部屋。
ロノンとティルクは壁に掛かっている小さなテレビでスリー・ストゥージズを見ながら立っています。
彼らはスクリーンを無表情でじっと見つめます。
その時ちょうどアラームが鳴り始めまました。
彼らはチラッとお互いを見ると、ロノンはベッド上段からブラスターを取り、彼らは部屋を出ます。

ステーションの他の場所。
2、3のレイスの警備員が自動ドアに近づくと開き、中にいた所員を撃ち倒します。
ロノンとティルクが別の通路を通って行くと、2人のレイスの警備に出会います。
ロノンは即座にブラスターを出し撃ちます。
「なんでここにレイスがいる?」
ロノンが呟くとティルクが応じます。
「私も同じ質問をしようとしていた。」
ティルクは倒したレイスのスタナーを二丁とも拾います。

コントロールルームでは、窓に爆風防止シャッターが下ろされていきます。
ドアが開き、レイスの科学者が入ってきます。
技術者と2、3の警備員があとに続きます。
キャバナーは怯え即座に挙手します。
科学者はコンソールに座ってタイプしているビルを見ます。
「やめろ!」
ビルは立ち上がって、コンソールから遠ざかりながら手を上げます。
また、デンプスターも挙手します。
レイス技術者はコンソールに向かいアラームを止めると座ってタイプし始めます。
科学者はモニターに歩いて、レイス達がゲイトを通り抜けるのを見ます。
最後のレイスは大きな球体を運んできました。
レイスの科学者は技術者へ命令をします。
「地球へダイヤルするのだ。」
ビルは同僚を心配そうに見ます。
キャバナーは怯えた目をしてします。

アトランティス。
ジョンはサムとロドニーが別々のコンソールに座って忙しく作業をしているコントロールルームに入ります。
「何が起こっているんだ?」
「銀河間ブリッジがダウンした。」ロドニーは手を止めずに応えます。
「どうしてそんな事に?」
「分からない。
 S.G.C.に毎日の現状報告を送ってるんだけど、ミッドウェーに接続できないんだ。」
「ゲイトのどこかに自動転送マクロが不具合を起こしてる。」サムが口を挟みます。
「ただの不具合だろう。
 単純なソフトウェアのしゃっくりみたいなものさ。」
「「しゃっくり」だって?」
「そう思いたいわ。」
サムがそう言うとジョンはハッとして目を見開きます。
「ロノンとティルクは!」
「彼らが通った数分後に不調が起きた。
 ミッドウェーに行ったのは間違いないよ。」
「だが絶対とは言い切れないわ。」
ロドニーはサムを憤然と見ますが、サムは「分からない」と言うように頷きます。
「ゲイトは宇宙空間にある。もし途中で投げ出されたら…」
ジョンが言うとロドニーは否定します。
「いやいやいや。不具合はM4F-788で起きてる。
 つまりペガサス銀河の縁の惑星のゲイトだ。
 最悪の場合、彼らが通り抜けた場所は、無人の惑星に足留めされる事になる。」
「「足留め」だって。
 二人が一緒に長い時間いたら、どうなると思う?」

ミッドウェーステーション。
ティルクが兵器庫にロノンを連れて行くと、二人は武装し始めます。
「よし、ゲイトルームを確保するぞ。」ロノンはティルクから銃とマガジンを受け取りながら言います。
「いや、コントロールルームに行くべきだ。
 レイス達はゲイトからやってくるんだ。」
「コントロールルームを占拠しない限りスターゲイトは使用できない。これがベストだ。
 我々が動き続けていても…」
彼らが話しながら部屋を出て行くと、二人のレイスの警備員が角を曲がって姿を現します。
ティルクは即座にライフルで射撃を開始して倒します。
ロノンも後から出て来て、別の方向からやってきたレイスたちを撃ち倒します。
始末するとティルクはロノンを連れて行きます。
「こっちだ。」

ミッドウェイ・コントロールルーム。
レイス技術者はコンソールにタイプしますが、否定的なビープ音が鳴ります。
再びタイプしますがまだ何も得ていません。
レイスの科学者は問いただします。
「どうした?」
「ポータルを動かすことができません。
 ロックアウト命令が開始されています。
 そのためコントロールにアクセスできません。」
「ハッキングするのだ。」
技術者は再びタイプしますが否定的なビープ音が鳴るだけです。
「やってはいますが、コードが必要です。」
科学者は人間を見回します。
「コードは何だ?」
「知らない。本当だ。」
ビルが恐る恐る応えると科学者は彼ら向かって近づきます。
「知らないんだ。 特定コードを知っているのはほんの一握りだけだ。
 セキュリティ上の関係で、それに今はこの基地には誰もいない…」
「お前がロックアウトをしたのか?」
「私がやったかどうかは関係ない、基準では…」
「お前がやったのか?」
「ああ…でも…まあ、私がやった。
 でもさっき言ったように、開始と解除は完全に分離してて…」
「黙れ!」
科学者は技術者に向きます。
「続けろ! なんとか方法を見つけるのだ。」
「時間がかかります。 インタフェースが数個あって…」
「話をすればするほど、時間がなくなる。」
科学者は再びぐるりと人間を見ます。
「その間に、コードを吐かせるとしよう。」

アトランティス。
ゲイトの接続音。
「ロックを解除できたわ。」
サムが言うとゲイトを見ていたジョンは二人のコンソールに近づきます。
「やっとか。」
「ああ。誰かが788からダイヤルしているようだ。
 だから今までダイヤルできなかったんだな。」
「それってロノンとティルクか?」
「それはどうかな。
 見て、不具合で惑星に吐き出されたとしても、彼らがダイヤルするのはこのアトランティスしかない。
 なのに戻ってこない。」
「たぶんそれは、ロックされてたからじゃないか。」
ロドニーは肩をすくめます。サムは無線を動かします。
「ロノン、ティルク、そこにいるの?」
応答は全くありません。
「ロノン、ティルク、こちらはカーター大佐。応答して。」
それでも応答がありません。
「だから言っただろ?
 不具合が起きる前にミッドウェーステーションに着いてるって。
 間違いないよ。」
ロドニーが言うとジョンは何かに気づいたように話し出します。
「ちょっと待ってくれ。 788は無人だと言ってなかったか?」
「そうだよ。」
「それなら、ロノンとティルクじゃなきゃ、誰がダイヤルをしたんだ?」

その後まもなく。
M.A.L.Pがゲイトに投入されます。
ゲイトを潜り抜け、サムとジョンはバルコニーの上に立っています。
ロドニーはモニタを監視しながらコンソールに座っています。
「M.A.L.P.が着いたぞ。 遠隔操作開始。 映像が来るぞ。」
ビデオ映像がウォールスクリーンに映り、砂地の地表をサムとジョンは見ます。
「なっ? ロノンもティルクもいない。」
ロドニーが言うとサムはそれを無視して指示をします。
「左にパンして。」
ロドニーがタイプするとM.A.L.P.カメラは左に移ります。
D.H.D.から多くのケーブルが接続されているのが見えます。
「レイスの技術だ。連中がD.H.Dを接続したのか。」
「右にパンして。」
ロドニーはカメラを右に向けます。岩の尾根に何か黒い巨大なものが映っています。
カメラを傾けると、尾根の頂上にクルーザーがいます。
「クソッ!」ジョンは予想が当たった事に舌打ちします。
ちょうどその時レイスの警備員が視界に入って、M.A.L.Pをスタナーライフルで撃ちます。
スクリーンは空白になります。
「送信が途絶えた。」ロドニーが言うとジョンが言います。
「ああ、MALPは捨てておけ。ゲイトを閉じるんだ。」
ジョンとサムはロドニーに近づきます。
「連中が銀河間ブリッジをハイジャックするなんてできるの?」
「「しゃっくり」よりも悪そうだな!」
ジョンはロドニーに皮肉を言います。
「いやいやいや、そんな事不可能だ!
 ブリッジを知られたにしたって、まず最初にやらなきゃならない事がある。
 多くのセキュリティバリアが設けてあるんだ。
 僕が自動転送マクロで使用した暗号を解くには何年もかかる…」
「パスワードを知っていたらどうだ?」
「どうやって?」
「レイスを基地で働かせただろ、ロドニー、お前と一緒に。お前のコンピューターを使って。」
「トッドのことか?あいつは僕らの同盟だろ!
 例えあいつが望んだとしても、絶対に僕のシステムに割り込むことができない…」
ロドニーは首をかしげます。
「できるかも。」
「DHDに繋がっていたのを見ただろ。連中は何をしようとしてる?」
「聞いて、ミッドウェーに行かないとならないわ。
 ダイダロスは地球に戻ってるし、ミッドウェイに辿り着く方法は?」
サムが訊ねるとロドニーは応えます。
「まあ、ペガサスの別のゲイトを介してブリッジに接続すれば。」
「できるだけ外縁に近いものを見つけないと。」
サムが言うとロドニーはタイプし、モニタにはM4F-788に近いいくつかのゲイトを示します。
「M6R-125がある。
 それを使ってブリッジに接続できるけど、マクロを書き換えないといけない。」
「OK、やってちょうだい。
 中佐、攻撃部隊を用意して。」

ミッドウェイ・コントロールルーム。
レイスの科学者はデンプスターの命を吸った体を床に落とします。
ビルとキャバナーはそれを見てぞっとします。
科学者はゆっくり彼らに近づくと、キャバナーは怯えた顔でレイスを見ます。
「正直言って、コードを知ってたら、今ごろもう言ってる。
「それはお前の忠誠心の強さに依存する。」
「違う、信じてくれ! 僕の忠誠心はそんなに強くない!」
キャバナーがそう言うとビルも同意します。
「本当だ。頼む! 頼む! お願いだ!」
レイスがキャバナーに向かって右手を上げると、キャバナーは目を回し床へ倒れます。
ビルはチラッとキャバナーを見てからレイスに言います。
「あー、気を失っただけだ。」
「次はお前の番だ。」
「待って…」
その時レイスの技術者が声を掛けます。
「できました!」
ビルとレイスの科学者は振り返ります。
「ロックアウトを無効にしてアクセスできました。」
「よし! ダイヤルをしろ。」
科学者は技術者に命令を下します。

ステーションの他の場所で、ロノンとティルクは下へと繋がるはしごを降ります。
そしてレイスの近づく音を聞くと辺りを見回します。
「こっちだ。」
ティルクはロノンを連れ角を曲がり宇宙服の保管してある小部屋に急ぎます。
多くのレイスの警備員がはしごに集まり登り始めます。
その様子を伺っていたロノンは呟きます。
「奴らゲイトルームに向かっている。」
「確かに。」
警備員の最終がはしごを昇ります。
「コントロールルームに行きたいなら、行けよ。
 俺は連中を追いかける。」
ロノンはティルクにそう言うとその場を後にします。
「ロノン!」
彼は怒って、後を追いかけます。

コントロール・ルーム。
科学者は通信システムを動かします。
「装置を送れ。」
「あー、装置って?」
ビルがそう質問すると科学者は彼を見ます。
ビルは生徒のように手を上げます。
「どんな装置?」

地球。
スターゲイトコマンド。
スターゲイト接続音。
コントロールルームで、ウォルター・ハリマンが報告します。
「オフワールド起動。
 ミッドウェーのI.D.シグナルです。
 アイリスオープン。」
彼が手のひらをスキャナに置くとアイリスが開きます。
先ほどレイスが運んできた大きな球体がゲイトから現れスロープを転がります。
球体は電気を帯びたように光り、床の上で止まります。
ゲイトルームにいた兵士達はその球体に銃を構え、
コントロールルームにいた者たちは立ち上がって覗き込みます。
ゲイトが停止すると球体は全方向へと強力なパルスを放ちます。
傍にいた兵士達、及びコントロールルームに広まっていき、
皆、床に倒れたり、椅子の上で気を失います。
基地内にまでパルスは広がって行き、全ての人間達は気を失い倒れます。

アトランティスコントロール・ルーム。
ロドニーはコンソールで作業を終えます。
「よし、書き直したぞ。
 アトランティスからM6R-125まで、
 ブリッジ・マクロのこのクリスタルをD.H.D.に挿入すると、
 最初のゲイトを迂回してミッドウェーまで繋がるはずだ。」
サムはジョンに向いて確認をします。
「攻撃部隊の準備は?」
「マッケイの準備ができしだい、直ぐに行ける。」
ロドニーは自分もメンバーの一人だと知って驚きます。
「だって、僕は…」
ロドニーは諦めため息をつきます。
「分かった、準備してくる。」

ミッドウェーコントロール・ルーム。
レイスの科学者は通信を起動します。
「次の部隊の準備だ。」
天の川銀河のゲイトのダイヤルが始まります。
ロノンとティルクはゲイトルームの上の階の窓にたどり着いて、
レイスの警備員がゲイトに入り始めるのを見ます。
ティルクはその様子を見て呟きます。
「天の川銀河のゲイトをダイヤルした。」
「奴らはスターゲイトコマンドに向かっている。」
「連中を追わなければ。」
「そうだな。」
彼らは部屋を出ると多くのレイスが視界に入ります。
二人は銃を発砲して全員倒します。
「ゲイトが停止する前に行くぞ!」
ロノンはティルクを連れて移動します。

その後まもなく、レイスの科学者は銃声を聞きます。
モニタを見るとロノンとティルクがスロープを後ろ向きで発砲しながらゲイトに向かっていました。
科学者は技術者に向きます。
「停止しろ、直ぐに。」
技術者はタイプしますが、二人は既にイベントホライゾンに入ってしまいます。
警備員は斜面を駆け上がりますが、たどり着く前にゲイトは停止します。
科学者は技術者に向きます。
「二人逃したが、すぐに排除してくれるわ。
 次を準備しろ…」
ちょうどその時、スターゲイトのモニターの右側のイメージに「接続」とメッセージが示されます。
技術者が報告します。
「ペガサスのポータルが作動!」
「次の部隊は私の指示待ちのはずだ。」
技術者はタイプして、モニターにペガサスゲイトの映像を出します。
ジョン、ロドニー、海兵隊員達が走り出てきてあらゆる方向に武器を向けます。
科学者は驚いて見つめます。

攻撃部隊は廊下を進んでいます。
「3,4のチームは下の階だ。
 1,2のチームは俺と来い。こっちだ。」
ジョンは仲間に指示をし、行動を開始します。

S.G.C.。
ロノンとティルクはゲイトを抜けて、床に倒れている者達を見て驚きます。
ゲイトは停止します。
彼らはスロープを下り、ロノンは軍人のひとりの首の脈を確かめます。
「まだ生きている。ただ気を失っているだけだ。」
ティルクは球体に近づきます。
「おそらくこの装置だ。」
「分からない。こんなの見たことねえな。」
ティルクはコントロールルームを見上げます。
「他の者達も同じようだな。問題は、被害はどれだけ広がっているかだ。」
「それとレイスはどこに行ったかだ。」

ミッドウェーステーション。
ジョン達のチームはステーションを探っています。
多くのレイスの警備員が現れて発砲してきます。
皆、隠れて応戦します。
銃撃戦は続き、ジョンは身を隠し無線を動かします。
「ロノン、ティルク、応答しろ。」
応答はありません、続けて無線に呼びかけます。
「ロノン、聞こえるか?」

コントロールルームでは、レイスの科学者はモニタで銃撃戦を見ています。
そして技術者に向きます。
「ドアを閉めろ。」
技術者がタイプするとコントロールルームのドアが閉まります。
ジョン達はレイスを倒すか、撤退するまで打ち続けます。
「クリアだ。」
ジョンが確認をすると彼らは前方へと用心深く進んでいきます。
近くのウォールスクリーンが作動し、レイスの科学者の顔が映ります。
「シェパード中佐。」
スクリーンの近くにいたロドニーは驚いてジョンに呼びかけます。
「シェパード。」
ジョンはスクリーンに近づきます。
レイスの科学者は警告を発します。
「お前達がこのステーションを取り戻せるチャンスはない。
 従って、すぐに引き返したほうが賢明だ。」
「俺を知っているのか?」
「個人的にはない。だがお前の事はよく聞いて知っている。
 無論、マッケイ博士もな。」
ロドニーは驚いて聞き返します。
「誰なんだ?」
「お前達がレプリケーターと呼ぶ連中と、最後に戦った時の知り合いだ。
 そいつから、この基地を接収するために必要なデータを調達した。」
ロドニーは怒ってジョンに向きます。
「トッドだ。あの野郎、僕のシステムをハックしたんだな。」
「ボランティアだったんだろ!」
ジョンはレイスに質問します。
「それでどんな計画なんだ?
 ミッドウェーを乗っ取った次は、地球か?」
「我々が話している間も、私の兵はコマンドセンターで活躍している。」
「そうは言うが、SGCは難攻不落だぞ。自分達の首を絞めることになる。」
「心配するな。我々には可能性を広げる方法がある。」

S.G.C。
ロノンとティルクがコントロールルームに入いると、そこもまた全員が気を失っていました。
ロノンは基地の別の廊下を表示しているスクリーンに近づきます。
レイスが廊下を歩いています。
「見ろ。連中は外に出ようとしている。」
レイスは非常はしごに通じるドアを開けていました。
「それは無理だろう。最初の攻撃で、あのレイスの装置からのSGCは自動ロックダウンをしている。」
「それじゃ、誰も出入りできないって事か?」
「確かに。」
「そりゃ好都合だな。」

ミッドウェイ・コントロールルーム。
ゲイトの右手のイメージは「予定外の接続」と表示されます。
レイスの技術者が報告します。
「接続されました。」
「我々の援軍が到着したようだ。」
稼動してるゲイトの映像を、科学者はジョン達に見せます。
「直ぐに「苦痛」が待っているぞ。」
ロドニーは目を大きく見開き、ジョンは怒って腕を叩きます。
「クソッたれ!」
ジョンはカメラに向かって怒鳴ります。
「座して待ってるほど暇じゃないんだ。」
彼はピストルを上げてカメラを撃ちます。
爆発するとロドニーはひるみます。ジョンは海兵隊員に向きます。
「行け。ゲイトを通り抜けて来た奴は皆殺しだ。」
「了解。」海兵隊員は動き出します。
ジョンは残りの2人の海兵隊員には別の命令をします。
「お前達は一緒に来い。」
ロドニーは不安そうにジョンに聞きます。
「どこに行くんだ?」
ゲイトを止めにコントロールルームに行くんだ。」

彼らはコントロールルームに通じる廊下に駆けつけます。
警備員が二人いるにもかかわらずジョンは駆け込みます。
直ぐにジョンはライフルを発砲します。
警備員の一人は倒れます。
もう片方はスタナーをジョンに向けますが、外してしまいます。
直ぐにジョンは反撃します。
警備員が下がるのに従って、ライフルを発射するとジョンの脇にいた海兵隊員に当たり、
彼は床に倒れます。
彼を無視してジョンは廊下を駆け抜けます。
ドアが開き、別の警備員が入り口に現れます。
ジョンは即座にそれを銃殺します。
その時、別の方向から撃たれます。
何とかジョンはレイスを撃ち倒しますが、もう一人の海兵隊員も気絶してしまいます。
技術者は警備員の銃に飛びつこうとしますが、ジョンは二度ピストルで撃ちます。
レイスは床に倒れます。
近くのコンソールの縁の上に指が現れます、そしてゆっくり禿げ頭が上がって来ます。
ジョンはそれにピストルを向けますが、それがビルであるとわかると、ホッとします。
「ワオ! おお、神に感謝だ。」
「親玉はどこに行った?」
「逃げた。」
「じゃあ、探しに行くぞ。どこに向かったんだ?」
「分からない。急に走って行って。」
ジョンはドアの外のロドニーに大声で叫びます。
「マッケイ、中は大丈夫だ。仕事を始めてくれ。」
ロドニーはコントロールルームに入ります。
ジョンはビルを見ます。
「ロノンとティルクはどこだ?」
「スターゲイトコマンドへのゲイトを潜ったよ。
 レイスの後を追っていった。」
「分かった。これを。」
彼はビルにピストルを手渡します。
「私はこんなもの…?」
ジョンは気を失った海兵隊員に向きビルに指示します。
「二人を中に入れてくれ。
 ドアを封印して、誰かが来たら撃て。」
「君はどこに行くんだ?」ロドニーは不安そうに尋ねます。
「他の連中を手伝ってくる。」
彼は床に横たわっているキャバナーを見下ろします。
「死んだのか?」
「気を失っただけだ。」
ビルが言うとジョンは馬鹿にしたように呟きます。
「使えない奴だ。」
コンソールが鳴るとロドニーは言います。
「そいつを起こしたほうがいいぞ。
 問題がある。」
「何だ?」ジョンが尋ねます。
「スターゲイトを止められない。」
それを聞いてビルが口を挟みます。
「君らが来る前に、連中はロックアウトプロトコルを入力していた。」
「ちきしょう!」
ロドニーはタイプし続けますが否定的なビープ音が鳴り続けます。
ジョンがモニタを見ると、多くのレイスの警備員がイベントホライゾンから続々と入ってきていました。
「レイスがゲイトを潜り抜けてきたぞ。もう後はない。」
彼は部屋から走り出ます。
さらに多くの警備員が到着するのを、ロドニーはモニタで見ています。
そして、それでもコンソールは否定的に鳴ります。

その後まもなく。
ジョンはヘッドホン無線に呼びかけながら、海兵隊員達に加わろうと進みます。
「へスター、応答しろ。どこにいる?」
へスターが応答すると、彼の声に混じって銃撃戦の音が聞こえ、彼の声を途切れさせます。
「まだゲイトルームの外です。多くのレイスが侵入してきています!」
「他のチームはどこにいる?」
「連絡が絶えました。後どれだけこの場を維持できるか分かりません!」
「もう少しだ。マッケイがゲイトをシャットダウンさせようとしている。」
へスター他、多くの海兵隊員達の叫び声と銃声が聞こえてきます。
「へスター?へスター?聞こえるか?」
ジョンの無線に雑音が入り途切れてしまいます。
ジョンがコーナーを小走りで曲がると、レイスの別のグループに出くわします。
彼はできるだけ銃を放つと、後ろを向いて逃げ出します。
警備員が彼を追跡します。

S.G.C。
ロノンとティルクは基地内を歩いています。
床には気を失った者達が倒れています。
ティルクは軍人のしなびている死体で止まって屈みます。
それを見たロノンが言います。
「レイスに食われたな。まずい状態だ。」
「確かに。」
彼は死体からザットガンを取ります。
「いつもそう言うな。」
「何が?」
ロノンは太く低い声でティルクの真似をします。
「確かに」
「言っているか?」
「ああ。」
ティルクは顔をしかめて呟きます。
「気がつかなかった。」

ロノンはコーナーを曲がります。
彼はレイスが床に屈み倒れた軍人の胸に手を置いているのを見つけます。
軍人は既にしなびていました。
「おい!」
彼はブラスターを抜いて撃ちます。
発砲を繰り返しながら進むと、二人のレイスが脇から現れます。
レイスの一人はロノンを壁に投げつけます。
もう一人はティルクがザットガンで撃ち倒します。
そして背後よりレイスたちが現れます。
彼はザットガンで撃ち倒します。
脇から別のレイスが現れ突っ込んできます。
ティルクはレイスをつかんで壁に頭を叩きつけます。
その間、ロノンは攻撃してきレイスと戦っています。
レイスは左手でロノンの首を押さえ右手で命を吸おうとしますが、
ロノンはレイスの手を掴み阻止します。
ティルクは格闘していたレイスの首を折ります。
ロノンが抵抗していると、後ろから銃声が聞こえレイスは倒れます。
銃を撃ったのはティルクで彼はロノンの落としたブラスターを使用しています。
彼はそれをロノンのところに持って行きますが、しみじみとブラスターを見ています。
「私もこの銃が是非欲しい。」
ロノンは銃を受け取ります。
「ああ。順番待ちだ。」

ミッドウェーステーション。
ジョンは顔の前にピストルを掲げて、慎重にドアを押して開けます。
彼はささやき声で無線に話します。
「ロドニー。状況は?」
ロドニーとビルはメインコンソールに働いています。
彼らは何とかキャバナーを起こしました。キャバナーはタオルを顔に当てて傍に立っています。
「まだ途中だ。」
「へスター達と連絡が絶えた。全滅だろう。
 ゲイトダウンまでどのぐらいだ?」
「分からない。これは非常に複雑なんだ。」
キャバナーが口を挟みます。
「クリティカル・システムの迂回は試した?」
ロドニーは彼を無視し続けます。
「危険なコマンドも避けて安全に解かないといけないんだ。」
「急いだほうがいい、さもないともっとレイスがやってくるぞ。」
「できるだけ速くやってるよ!」
キャバナーはビルに言います。
「なぜクリティカル・システムを迂回しないんだ?」
「まだだ。ドアを見張ってるんだ。」
ロドニーはジョンに話し続けています。
「それにゲイトを止められても、レイスが基地内のあちこちにいる。
 数で負けてるよ。連中がここを制圧するのは時間の問題だ…」
キャバナーは彼が話している間、前を横切って別のコンソールに歩いてタイプします。
ペガサスのゲイトは停止します。
ロドニーは驚きます。
「ゲイトが閉じたぞ!」
彼はビルをチラッと見てから、キャバナーに向きます。
「何をしたんだ?」
「クリティカル・システムを迂回して止めただけだ。」
「なんて事してくれたんだ?」
「何で?止まったじゃないか?」
アラームが鳴り、キャバナーの後ろのスクリーンには「自爆装置作動」と表示されています。
ビルはそれを見て驚きます。
「なんということだ!自爆だ!」
「そんなつもりは…僕は…」
あせるキャバナーにロドニーは怒ります。
「さっき僕が、危険なコマンドも避けて安全に解かないといけないと言ったのを聞いてなかったのか?
 馬鹿なのか?だから、僕は迂回してゲイトを止めなかったんだ!」
ジョンが無線で呼びかけます。
「ロドニー?」
「大ポカをしでかしちまった。キャバナーを起こすんじゃなかったよ!」
「あいつが自爆をセットしたのか?」
それを聞いたキャバナーは否定します。
「わざとない!」
「今は、そんな事は問題じゃない。」
ロドニーは怒りをあらわにしています。
ビルは腕時計を見ます。
「このステーションが爆発するまで、あと10分程だ。」
ジョンが尋ねます。
「切ることはできるか?」
「いいや、完全に締め出された。
 レイスはおろか、誰もステーションには来れないし、出られない。」
ロドニーは否定的です。
ビルは不安そうに額を叩きます。
「悪い事は重なるもんだな。」
ちょうどその時、部屋の外でレイスの発砲音が聞こえ、彼ら3人は目をドアにむけます。
二人のレイスが繰り返しドアに向けて発砲しています。
キャバナーは怖がります。
「ドアをあけようとしている。」

S.G.C。
ロノンとティルクは廊下を抜けています。
突き当たりのドアの向こうで何かが倒れる大きな音が聞こえ彼らは止まります。
彼らはドアに行き、ロノンはドアを開けます。
中には、三人の民間人がいて、二人はテーブルに倒れ、一人は床に倒れています。
ティルクはロノンを制止します。
「待て。」
彼がテーブルの方に近づくと、4人目の男がゆっくりと身を起こします。
どうやら椅子から落ちたショックで目覚めたようです。
「大丈夫か?」
ティルクの呼びかけに男はまだかなりボウッとした状態で答えません。
「ロノン・デックス。こちらがI.O.Aのクーリッジ氏だ。」
「へえ。よう。」
クーリッジはようやく口を開きます。
「何が起きたんだ?」
ティルクが応えます。
「レイスによる攻撃で気を失わされたんだ。」
「何!レイス?ここにか?」
「連中は基地に侵入した。
 ロノン・デックスと私が状況を打破するまであなたはこの部屋に留まったほうがいい。」
「いやいや。コントロールルームに行って、助けを求めねば。」
「助けなんか必要ねえ。」ロノンは否定します。
「どれぐらいのレイスがこの基地に?」クーリッジが尋ねます。
「はっきりと数は分からないが、かない多い。」
「君らの他に、誰が追いかけているのだね?」
「我々二名だけだ。」
「無線室に私を。」
「ここにいたほうが…」
言いかけたロノンを制止してクーリッジは命令口調で言います。
「直ぐだ!」

ミッドウェーステーション。
レイスの警備員が廊下を進んでいると、ジョンはコーナーの辺りをうろつきます。
レイスたちが行ってしまうと、彼は小さな声で無線に話します。
「アイディアがある、ロドニー。」

コントロールルームでは、まだ絶えずドアを開けようとするレイスの銃声が聞こえています。
「すごいな、僕らの方はレイスがドアを爆破しようとしてるよ。」
「ここにはパドルジャンパーがあったよな?」
「ああ、非常時用の脱出ポッドとして置いてある。」
「今がその非常事態だ。」
ビルは反対します。
「いや、ダメだ!私たちが銀河の真ん中に取り残される!」
「救出されなければな。
 2、3週間はかかるかもしれないが、ジャンパーには食物と水が蓄えられいる。
 なんとかなるかも?
 ここに留まって、ステーションごと吹き飛びたくなかったら。
 君のいうとおりだ。」
今回のロドニーはジョンの意見に賛成でした。
「もう一つ、問題がある。どうやってそこに行けばいい?」
キャバナーは疑問を口にします。

ジョンはライフルに弾を装填するのに一時休止しています。
廊下からかなりの数のレイスがやってきて、彼は銃を放ちながら逃げ出します。
角を曲がると床に倒れている2人の海兵隊員を見つけ止まります。
二人とも食べられていました。
「ロドニー、時間がない。空気を抜くんだ。」
「何だって?!」
「コントロールルーム以外の全て、空気に抜くんだ。」
「どこにいるんだ?」
「俺を待たなくていい。やれ。」
「ジャンパーに辿り着けるのか?」
「分からないが、やってみる。」
「ジョン、確かに時間はないけど…」
「議論してる時間はないんだ!やれ!」
コントロールルームのドアの外の銃声は激化します。
ロドニーはドアを見ます。
ロドニーは自分のしなければならない決定がどういう事なのか理解して、ビルは彼の肩に手を置きます。
ロドニーは目を見開き後ろを見ます。
「空気を抜くぞ。」
彼はタイプします。
壁のメッセージには「自爆装置作動」から「酸素排出」に変化します。
コントロールルームを除いたいたる所から、壁の換気口より空気が急速に排出されていきます。
レイス達は前のめりに倒れ、呻いてひざを付きます。
ジョンの顔は苦痛に歪みながらも、廊下をよろよろとパドル・ジャンパーへと向かって行きます。
突然、レイスの科学者が背後に現れ、ジョンを投げ飛ばし、彼の顔を殴ります。
ジョンはその攻撃を防ぎならが
やっとピストルを使える距離にレイスを離す事ができます。
彼は七発の弾丸をレイスに撃ち込みます。
レイスは廊下に倒れ死に絶えます。
ジョンは立ち上がって歩き出そうとしますが呼吸できません。
彼は床へ倒れてもなお、這って前に進もうとします。

S.G.C。
別のレイスが近くに立ち、もう二人のレイスは28と書かれたエレベーターのドアを開けようとしています。
すると後ろから発砲されて、レイスは倒れます。
ロノンとティルクはクーリッジを連れてコントロールルームの階段を駆け下ります。
レイスたちが銃声を聞きつけ集まってきます。
ロノン達は現れるレイスをことごとく打ち倒します。
クーリッジがコーナーに隠れると、別のレイスが後方のコントロールルームの方向からやってきます。
ロノンはそれに気づきブラスターを引き抜いてレイスを撃ち落とします。
後方のレイスの数は増え、彼は即座にブラスターをホルスターに戻し、ライフルで発砲を続けます。
ティルクは前方のレイスに発砲を続けます。
その間クーリッジはその様子を見て慌てふためき元来た道に駆け込みます。
ついにレイスを倒し終わります。
「よし。」
ロノンはコントロールルームを示します。
「俺はこっちに行く。あんたはあっちだ。」
ロノンは廊下の方を指します。
「クーリッジ氏はどこに?」
ロノンは辺りを見回します。
「さあな。」
彼らはそれぞれ反対の方向に立ち去ります。

ミッドウェイ・コントロールルーム。
キャバナーはドアに耳を当てます。
もう誰も来る音はありません。
部屋の隅では、気を失っていた2人の海兵隊員が起き始めます。
「むこうは静かになったぞ。」
ビルはモニタを見ます。
「全員死んだようだな。」
ロドニーは無線に呼びかけます。
「シェパード。聞こえるか?
 ジョン?どこにいるんだ?」
応答が全くありません。
ビルは腕時計を見ます。
「もう充分だろう。再加圧したほうがいいと思うが。」
ロドニーは答えず、能面のような顔をリーに向けます。
「マッケイ博士。」
「ステーションを再加圧する。」
彼はタイプしてから悲しみの顔で再び見上げます。

S.G.C。
ロノンがコントロールルームに行くと、クーリッジが壁のパネルに立っているのを見ます。
「何をしている?」
「軍に連絡をした。
 こんな事は百も承知だったが、残念ながら、彼らは基地を核攻撃する準備に入った。」
「何だって?!」
「スターゲイトコマンドは危うくなった。
 レイスがここから出て行かないようにするには、ここを破壊するしかない。」
「止めるように言え。」
「この基地でレイスが一人でも生きているのならば、私にはできない。
彼らの後ろでは、コントロールルームの職員達が目覚め始めます。
ハリマンがその会話を聞いて驚きます。
「レイス? 何でここに?」
ロノンはコントロールルーム内の皆に呼びかけます。
「聞け、俺達がレイスを何とかする。」
クーリッジに向き直ります。
「なあ、皆まだここで生きてるんだ。俺達にチャンスをくれ!」
「時間はない。直ぐに脱出口から非難をするべきだ。
 ティルクはどこだね?」
ロノンが警備用のモニタを見ると廊下をティルクがレイスに撃たれながら逃げている映像がありました。
「奴が囲まれている。奴のところに俺は向かうぞ。」
「ダメだ!時間はないんだ!できるだけ早く逃げ出さないと!」
「ティルクを置いていけるか。」
「彼のために戻っても無駄だ。泥沼に落ちるか、私たちが殺されてしまう!」
ロノンは振り返って部屋を出始めます。クーリッジは彼について来ます。
「脱出の通路は確保されているんだ、直ぐにここから非難すれば!」
ロノンは振り返って彼を睨み付けます。
「お前は逃げて自分だけ安全になりたいだけだろ、じゃあな。
 俺はここに残る。」
彼は走り出します。

ミッドウェーステーション。
ロドニー達は下の階へのはしごを降りてきます。
ロドニーは見回します。
「ジャンパーベイは…」
ビルが応えます。
「エレベーター室を通って、もっとも本当のベイじゃないが、
 ハッチに通じるエアロックのようなものだ…」
「そんな説明はいい!どこにあるんだ?」
「向こうにある。」
キャバナーは指で道を示します。
ビルはピストルで示そうとしますが、ロドニーは危険さに彼の手を押し下げて、先頭に立ちます。

彼らは二つの宇宙服が並んでいるエレベーター室にたどり着きます。
ロドニーは室内をぐるりと見回してから、ビルに身振りで合図します。
ビルは壁のハッチに近づきます。
「ここを通るんだ。」
彼はハッチのキーパッドにコードをタイプして、ハッチを開けます。
その中にははしごがあり、キャバナーが先にハッチを通り抜けます。
ビルと海兵隊員が後に続きます。
ロドニーがハッチを通ろうとすると、後ろから増幅された息づかいの音を聞きます。
彼は顔をしかめて振り返り、宇宙服のところに戻ります。
手前の暗いヘルメットの中をじっと見て、彼はスーツの前部のコントロールパネルのボタンを押します。するとヘルメット内部のライトが点き、ジョンが中にいました。
「シェパード!どうやってここに…?!」
「ここから出してくれ。」
「分かった!」
彼はヘルメットを外し始めます。

S.G.C。
ティルクはかなりの数のレイスを撃ち倒しながら、走って行きます。
多くのレイスが発砲しながら追いかけます。
攻撃が止み、ティルクは止まって不審そうに辺りを見渡し攻撃に備えます。
突然、彼の後ろのドアが開き、二人のレイスが襲い掛かってきます。
レイスの一人はティルクを掴み壁に押し付けます。
ロノンはコーナーを曲がり、多くのレイスを銃撃します。
そして、別のレイスがロノンを捕まえます。
ティルクとロノンは近くでレイスとつかみ合いの戦いをしています。
ロノンのレイスは、もろ手で彼の喉を掴んで、壁に彼を締め上げます。
ロノンはレイスの顔を殴り続け、手を放させます。
彼は後方によろけ、続いて再びレイスを攻撃します。
二組とも打ち合いの攻撃を続けています。
ティルクと戦っているレイスは、ティルクを捕まえ壁に投げつけます。
ティルクが床に倒れると、ロノンは自分の相手から少し離れ、
辺りを見回し天井に付いているパイプを見ます。
彼は手を伸ばしパイプを千切り取ります。
折れたパイプからはガスのようなものが噴出します。
ロノンはパイプを武器にしてレイスと戦います。
何度も攻撃を加えますがレイスにはほとんどダメージはありません。
その頃ティルクはレイスに壁に押し付けられていました。
ティルクは半ば気を失っているようで抵抗できません。
レイスはティルクの胸に手を当てます。
命を吸い始めるとティルクはうめきます。しかし突然レイスは悲鳴をあげます。
頭をそり返して、マスクの口の部分から血が流れ出します。
ティルクが下を見ると金属パイプがレイスの胴体を貫いていました。
レイスは床に倒れると、後ろにはロノンがいました。
ロノンがティルクに近づくと、ティルクは肩で息をしながら顔を挙げ口から流れ出る血を拭います。
「素晴らしいタイミングだ。」
「確かに。」
ロノンがティルクの口真似をするとティルクは彼を見て、口元を緩めます。
そして前へとよろめきながら歩き出します。
ロノンは彼の肩を軽くたたいて見回します。
「これで最後だと思う。」
「お前の言うとおりだといいが。」
「軍に連絡しねえと。ここを吹き飛ばすつもりだ。」
ティルクは頷いて、彼らは立ち去ります。

ミッドウェーステーション。
パドルジャンパー。
ビルは後部ハッチに走って見上げます。
「なんでこんなに時間が掛かってるんだ?」
キャバナーは腕時計を見ます。
「自爆するまで20秒!」
ロドニーがハッチを通って降りてきます。
ロドニーが前のコックピットに向かうと、次にジョンがハッチを降りてきます。
ビルはジョンを見て驚きます。
「シェパード中佐?!どうやって…?」
「後だ。逃げるぞ。」
ジョンは操縦席に走ります。
「座ってろ!」
彼はコントロールを起動して、ジャンパーでステーションから離れます。
ジャンパーが遠くへ飛ぶと、ミッドウェーは爆発します。

S.G.C。
小部屋では、I.O.A.の5人のメンバーがテーブルの片端に座っています。
クーリッジはグループの中央に座っています。
ロノンはテーブルのもう片側に座っています。
クーリッジは目の前の書類に目を通して、次にロノンを見上げます。
「ロノン・デックス。
 君はSGメンバーとして精勤、正直、敬意をもって義務を果たせると思うかね?」
マイクロホンがロノンの正面にテーブルにあります。
少し不安そうにロノンはマイクに顔を寄せます。
「ああ。」
彼は再び体をまっすぐにします。
クーリッジは左右の同僚を見回してから、ロノンを見返します。
「私には十分伝わった。」
クーリッジが書類を整理し始めると、ロノンは少し驚いたような顔をします。
部屋の外では、ティルクが待っていました。
ロノンは笑顔でドアを開けて出てくるとて来ます。
「で?」
「俺はまさにレイスと戦うために欲しいチームメンバーだ。
 って、あいつらが言った。」
「銃は振り回さなかったのか?」
「してねえ。」
彼ら2人が廊下を歩き始めると、ティルクは微笑みます。
「私は嬉しく思う。」
「まあな、コーチがよかったからな。」
「確かに。
 ダイダロスが帰る準備をしている。
 お前の準備ができていれば、コールドウェル大佐が君を転送するだろう。」
「ミッドウェイからの連絡は?」
「いや。全ての連絡が絶えている。
 ダイダロスは状況を把握するためアトランティスの途中で調査に立ち寄る。」

宇宙空間。
天の川とペガサス銀河の間で、パドルジャンパーは宇宙空間に浮いています。
キャバナーは背中をドアに付けて床に座っています。
ビルはその近くに座っていてトランプをしていました。
「とんでもない!あんなのが好きなのか?」
「あれは彼の一番素晴らしい映画だ。」
信じられないといったようにビルは手を広げ他の者達を見ます。
「「パールハーバー」が!」
「バカにすればいいさ、みんなで。
 でもあの映画は最高だ。重みがある。」
「ああ、それで興行収入が急落した理由はなんだ?」
「2億ドルの国内ですよ?急落ってほどじゃ。同意できませんね。」
近くに座っていたロドニーは苛立ったように腕を組み彼らに言います。
「いい加減にしろよ!
 ここにいつまでも足止めされてるのは確かに神様しか分からないけど、
 黙っててくれないか?どっちでもいいから!
 ずっと喋り捲って…」
彼は怒って、最後の言葉は支離滅裂になります。
ちょうどその時ジャンパーに衝撃があります。
「何だ?」
ロドニーが口にするとビルが応えます。
「何かが当たったのか?」
突然キャバナーが寄りかかっていた後部ドアが開きだします。
ロノンが視界に入ると、ビル、ロドニー達は急いで立ち上がります。
ロノンは彼らに手を振って合図します。
「おお!」キャバナーは嬉しそうに驚きます。
「ここはどこ?」ビルが尋ねます。
「ダイダロスの302ベイだ。お前らを助けに着たんだ。
 アトランティスに帰るぞ。」
キャバナーは大喜びします。
「神に感謝だ!」
ロノンが中に入ると、ビルとキャバナーは微笑んで、ロノンの肩を叩きます。
ロノンはキャバナーだけを乱暴に押しのけてロドニーに近づきます。
「ミッドウェーは破壊されたよ。」
「ああ、見てきた。シェパードがどこだ?」
ロドニーは後ろの隔壁に向いて、ドアを開きます。
ジョンはパイロット席を後ろに向けて眠り込んで、ヘッドホンを掛けていました。
「1日はもったけど、ここに閉じこもった。」
ロドニーはジャンパーを後にます。ロノンはジョンを見て中に入ります。
「無線が聞こえなかったのも無理はねえな。」
彼はジョンの顔に手を伸ばしてくすぐります。
目を開けずにジョンは手で払いのけます。
にやりと笑ってロノンは再び手を伸ばして、彼の鼻をくすぐります。
ジョンは再び払いのけますが、ロノンは繰り返します。
ジョンは驚いて飛び起きます、ロノンはそれを見て笑います。
「ありがたい!もう少しで、自分をスタナーで撃つところだった。」
「ああ。分かるぜ。」
ジョンはヘッドホンを取り立ち上がります。
「ここはどこだ?」
「ダイダロスの302ベイだ。」
「S.G.C.はどうなった?」
「もう安全だ。ティルクと俺でレイスをやっつけた。」
「お前らならできると思ったぜ。」
「さあ、ここから出ようぜ。」
「ああ!」
彼はベストを拾って、ジャンパーからロノンに続きます。
「そうだ、I.O.Aでの面接に通ったぜ。」
「本当か?」
「ああ、連中は俺が気に入ったみたいだ。」
「何で気に入ったんだ?」
彼らは話しながら格納庫へと出てきます。
ダイダロスはハイパースペースに向かいます。