言葉のごった煮>トップへ

スターゲートアトランティス シーズン4

4X20

M4S-587。
ジョンとローン少佐のチームがスターゲイトに戻ってきます。
「一体どうなってるんでしょう?」
ローンはジョンに訊ねます。
「ジェナイの連中は現れなかったな。」
「別に驚きませんがね。」
「どういう意味だ、少佐?ジェナイを信用できないか?」
「まあ、連中は女の子と一緒にいた中佐とマッケイ博士を殺そうとしましたからね。」
「それはそうだ、いつもなら疑うのは当然だが、ラドンはそんな命令は出してないといっている。
 奴は俺達サイドになろうとしてるんだ。」
「連中がマイケルがテイラをさらった事について何か知っていると本当に思いますか?」
「まあ、連中の情報網はしっかりしてる。どんな小さな情報でもすがりつきたい。」
「OK。それで、中佐はどうします?」
ジョンはD.H.D.に近づきアドレスをダイヤルし始めます。
「俺は先に帰る。お前達はあと数時間残ってくれ。連中が現れたら連絡をくれ。」
「了解。」
スターゲイトが接続するとジョンはローンに言います。
「必ず彼女を見つけるんだ。少佐。」
「はい。」
ジョンはゲイトに入っていきます。

ワームホール旅行。
アトランティス。
ジョンはゲイトを抜けてゲイトルームに出ます。
しかし全てのライトは消えていて、窓から差し込む赤い日差しで室内は赤く照らされています。
ゲイトルームにもコントロールルームにも誰もいません。
ジョンは不信感を募らせます。
「誰か温度を上げたのか?」
彼は見回します。
「おーい?」
誰の返事もありません。
ジョンは顔をしかめ、キョロキョロと見回しながら階段に向かっていきます。
「サプライズパーティーだとしても、今日は俺の誕生日じゃないぞ。」
心配そうにゆっくり階段を上り、暗いコントロールルームに行きます。
彼は振り向いてヘッドホン無線を起動します。
「こちらシェパード。誰か聞こえてるか?」
回答は全くありません。
「繰り返す。こちらシェパード。このチャンネルを聞いてるものは?」
まだ誰も答えません。
彼は外のバルコニーに通じるドアに歩きます。
自動ドアのはずなのに彼が近づいても作動しません。
彼は重いドアを手でスライドさせます。
やっとドアを何とか開け放つと、驚いた顔で外の風景を見つめます。
バルコニーに出ると更に驚いた顔になります。
海はなくなり、都市は砂に埋まっていました。
彼はバルコニーの縁に行って下を見ると、都市の下の階は砂に半分埋まっています。
驚いたまま辺りを見回すと都市だけでなく辺り一面が砂漠になっていました。

その後、まもなく。
ジョンはコントロールルームに戻り、様々なコンソールのパネルに手をかざしますが何も起動しません。
「何だよ。こんな事って。
 悪ふざけならもう終わりにしてくれ、それともとんでもない事になっちまったのか。」
ちょうどその時、彼の無線機に雑音交じりの通信が入ります。
よく聞き取れずジョンはヘッドホンに集中します。
「こちらシェパード。誰なんだ?」
雑音が途切れると、ロドニーの声が聞こえてきました。
「シェパードなのか?本当に君か?」
ジョンはホッとしてため息をつきます。
「マッケイ。」
「信じられない!本当に動いたぞ!」
「一体何の話だ?一体ここはどうなってるんだ?」
「今、君はかなり混乱してるだろう。
 やったぞ!君が到着してから5分経ったのか?」
「ロドニー!」
「先に、君の見ている光景を知る必要がある。どこにいるんだい?」
「コントロールルームにいる。誰もいない。」
「電力は残ってる?」
「いいや、全てダウンしてる。そうだ、海がなくなってるって言ったっけ?」
「ごめん、何?」
「窓から見える海だよ。なくなってるんだ。
 それが砂漠になってて、気温が50度ぐらいになってる。」
「大変だ、星がただ事じゃない気候変動をしたんだな。」
「説明をしてくれ、すぐにここに来て…」
「OK、君が大変な事は理解している。
 僕の言う事を聞いて、ホログラムルームに向かってくれないか。」
「どうして?」
「いいから。やってくれ。」
ジョンは階段に向い小走りします。
暗い廊下をP-90の明かりを利用して進んでいきます。
やっとホログラムルームに辿り着くとジョンは深く呼吸してから中に入ります。
部屋には誰もいなく、ロドニーは無線で応えます。
「よし。着いたぞ。」
「じゃあ、ホログラムプロジェクターを起動してくれ。」
「パワーがない。」
「それは独立型の電源を持っている。心配するな、動くから。」
ジョンはコンソールに手をかざします。するとロドニーが彼の後ろに現れます。
「ここだ。」
驚いてジョンは振り向きます。
そこにいたロドニーの風貌が変わっていて、ジョンは更に驚きます。
ロドニーは緑色のズボンと青い上着を身につけ、
みすぼらしい古い灰色のカーディガンのポケットに両手を入れています。
彼の年齢は70代半ばに見えます。
顔はしわくちゃになり、髪も眉も白髪になっています。
驚いて彼を見つめるジョンに彼は微笑みます。
「ロドニー!」
ロドニーは笑顔になります。
「よかった、君にまた会えて。」
「ホログラムか!」
「いや!」
彼はポケットから手を出し、その手を見て笑います。
「そうだな!僕は都市の内部センサーに組み込まれている、だから僕には目と耳がある。
 元気そうだな。」
「お前のほうは…」
ジョンはロドニーの胸に触ろうと手を伸ばします。しかし指はロドニーの胸をすり抜けます。
「…変わったな。」
「君の覚えてる僕は過去の僕だ。」
「過去って、今日会ったぞ?」
「ああ、変に聞こえるよな?
 僕はこれを理解しようと、残りの人生の25年を費やした。
 けど君がここに着いたとき、何て言おうかなんて考えてなかった。」
「何があったのか話してくれ!」
「ああ。分かった。
 OK。ミッションの報告書を思い出してくれ。
 SG-1がゲイトを通ったときの事だ。
 彼らは偶然、太陽フレアの最中にワームホールを抜けた。
 その結果彼らは1969年に送られてしまった。」
「ああ、なんとなく覚えてる。」
「まあ、それと同じ事が君にも起きたんだ。」
「過去に戻っちまったのか?」
「いや、君は未来に送られたんだ。」
「どれくらいの未来だ?」
「ああ、いい質問だ、とても特定しにくかった。
 問題のフレアの正確な特性を特定しなければならなかった…」
ジョンはイライラします。
「ロドニー!」
「4万8000年、およそ。」
ジョンはロドニーを見つめます。
「これは冗談だろ。」
「いや、残念だけど。異常な事故だ。残念だけど。」
「4万8000年の未来にたった10秒できちまったって事か?」
「分かるよ、少しクールだろ?」
「ワイアミのビーチで30フィートの波を相手にサーフィンするのがクールだ。
 スーパーモデルとデートするのもクールだ。
 これはクールじゃない!」
ジョンは腹を立ててまくし立てます。
「分かった、落ち着いて。」
ジョンはうっかり自分の心の内を明かしてしまい黙ります。
「俺が未来にいるなら、お前は、そのー…」
「…死んでる。
 死んでて埋められて、長い時間が経ってる、君の知ってる者達みんなね。
 人類がどうなってるかも全く分からない。まだ存在してるのかどうかも。
 どうやら都市を捨てたのは確かなようだ。」
「どうやら?」
「地球へ戻るにしても十分なパワーはないし、M.A.L.P.がなきゃどこに行くにしても危険過ぎる。
 君が最後に残った人類かもしれない。」
「俺を脅すために現れたのか?」
ロドニーは落ち着いて話します。
「ああ、君は運がよかった。
 この計画を思いついたとき、都市がこれほど長い間持ちこたえるとは思わなかった。」
「何、何を計画だって?」
「僕はこのシミュレーションを作成するためにホログラム技術の進歩を利用したんだ。」
ロドニーは忍び笑いします。
「僕は都市の中ならどこにでも動ける。
 僕は対話型で、回答や見た目もそっくりに設計されている、偉大なロドニー・マッケイ博士にね。」
ジョンはしかめつらをします。
「他の者を使う気にならなかったのか?」
ロドニーは再び忍び笑いします。
「おもしろいね。
 僕は都市のメインシステムにリンクされてるけど、
 外側の建物の基底部に独立したコアドライブを置いてる。
 マーク12ナクアダジェネレーターと重要なコンポーネントと一緒にね。
 似てる物は、えーと、なんて言ったっけ?そうだ、タイムカプセルだ。」
「本当に会えて嬉しいが、
 お前の言っていることが本当なら、俺にどんなメリットがあるんだ?」
「大丈夫、トラブルは回避できる、だから話ぐらいしたって。
 いやいや、君を戻すために僕はここにいるんだ。」
ロドニーは振り返って部屋を出始めます。
「着いてきて。」
うろたえながらジョンは彼についていきます。
彼らが歩くのに従って廊下のライトが自動的に点灯します。
彼らが会話を続けながら廊下を歩くと後方のライトは再び消えていきます。
「どこに行くつもりだ?」
「冬眠ポッドの部屋だ。」
「どうして?」
「時間を稼ぐためさ。」
「なあ、本当の事を全て教えてくれ!」
「理論上、君がここに到着した時と同じ方法で君を戻す事ができる。
 ゲイトと正しいアドレス、それにフレアを使ってね。
 唯一の問題はそれが非常に特定なものだという事なんだ。
 プロミネンスの形、サイズ、特徴、位置的な問題。
 それがワームホールと合致したとき君を正しい時間に送り返せる。」
「それはすぐには起こらないわけか。」
「その通り。」
「どれくらい掛かるんだ?」
「あー、7、800年。最高で千年ぐらい。」
ジョンは驚いて立ち止まります。
「おいおいおい。それが計画なのか?
 4万8000年の未来にやってきて、後千年ここにいろって?」
「最高でだよ。」
ジョンはショックを受けて見つめます。
「正確性が求められるんだ。
 君がいなくなってから2カ月以内に戻さないと…手遅れになる。」
「手遅れとは?どういった意味なんだ?」
ロドニーはため息をついて、思い出すような顔になります。
「色々な事があってうまく行かなかったんだ、君の失踪後の事だ。
 君に起こった事が何か分かったけど、僕らには手の打ちようがなかった。
 空軍は君の戦死を宣告し、地球で葬儀が行われた。
 棺は空だったけどね…」
ジョンは嫌悪感にしかめつらをします。
「…でも棺は必要だろ?
 そこからだ…色々な事がますます悪化した。」

フラッシュバック。
オフワールド惑星で、ロドニー、ローン、ロノンがビルに侵入します。
未来のロドニーは説明をします。
『テイラを捜し続けたけど、十分な人手が足りなかった。』
彼らは用心深くビルを捜索しながら部屋に入ると、床にテイラが横たわっているのを見つけます。
『二ヵ月後やっと見つけたマイケルのアジトで彼女を見つけた。』
部屋に誰もいないのを確認するとロノンはテイラに屈みこみ首の脈を確認します。
彼はロドニーとローンを見上げます。
『でも遅すぎたんだ。』
ロドニーの顔は悲しみに満ちた顔になります。

未来のアトランティス。
「彼女は赤ん坊を生んだ。奴はもう彼女の必要性がなくなったんだろう。」
いやいやながら彼はジョンの目を見て続けます。
「それで彼女を殺したんだ。」

後に。
ジョンとロドニーは再び都市を歩きながら話しています。
「それは君のせいじゃない。」
「俺がそこにいれば。」
ロドニーはため息をつきます。
「そうして欲しい。
 僕達がテイラを見つけた星のアドレスを知ってれば、すぐにそこに到着できるはずだ。
 テイラを救って、赤ん坊を救ってくれ、そして銀河の運命を変えてくれ。」
「どういう意味だ?」
「そこがターニングポイントだったんだ。全ての始まりだった。
 その赤ん坊が生まれると、マイケルは研究を完成させハイブリッドを完成させた。
 その後に、奴の本領が発揮された。」

フラッシュバック。
オフワールド惑星の町では、家屋に間に合わせの病院をしつらえてありました。
ジェニファーをリーダーとする力強い医療従事者達が、
星の医師達と一緒に多くの病人の世話をしています。
ジェニファーが受け持ちの患者の顔に毛布を引きます。
『奴は次々と人間にホフ薬をばら撒いていった。
 ジェニファーは治療法を見つけるために最善をつくした。
 死亡率を下げるためにね…』
ジェニファーは亡くなった患者から悲しげに体を起こし、
医療従事者がさらに多くの人々を運び込むのを失望した顔で見ます。
『…結局、それは勝ち目のないゲームだった。』

フラッシュバック。
宇宙空間では、2隻のレイスのハイブが砲撃戦をしています。
『レイス達の食料である人間が汚染され、派閥間の争いは最悪になった。
 連中が共倒れするまでマイケルは待った。そして奴は動き出した。』
ハイブ同士が砲撃を続けていると、三機目のハイブがハイパーウィンドウから飛び出します。
その船はマイケルの船で彼はブリッジの操縦している者に近づきます。
「戦況は?」
「互いに大破しています。
 ハイパードライブを失い、エアー漏れを起こしています。」
「そうか、ならばとどめだ。」
マイケルのハイブは他の二隻に発砲すると、二隻のハイブは爆発して崩壊します。

その後、惑星では、二人のハイブリッドがレイスの女王をテントへ引きずってきます。
『奴は内乱を利用して連中の力をそぎ落とした。
 そして一年もたたずにレイスたちを軍門に下した。』
ハイブリッドは女王をひざまずかせます。
『文字通りにね。』
マイケルはゆっくりと振り返り女王を見ると、女王は彼をにらみつけます。
彼は再び振り返ると大きなナイフを手にします。
「皮肉なものだ、私は何も求めはしなかった。」
彼は彼女に向き見ます。
「私は人間に捕獲され、実験という拷問を受けた…」
ゆっくりと彼は彼女に向かって歩きます。
「…そしてやっと逃げ戻った時、レイスの仲間に帰還を歓迎されるどころか、嘲笑された。」
「いつかツケが回るぞ。」
女王は威け高にマイケルに言います。
「まだプライドがあると見える。」
マイケルは皮肉をこめて言います。
「お前らしい。」
彼は彼女を睨み付けると、前に進み出て彼女の喉を欠き切ります。
彼女は床に倒れます。

その後、まもなく。
マイケルはテントの入り口の幕を捲り外に出てきます。
彼はテントの外にいる群衆の前に近づき歩みを止めると、
女王の生首をつかんでいる手を上に掲げます。
群集は歓声をあげます。
マイケルは拳を振り上げ歓声を上げる群衆を満足げに見回します。

未来のアトランティス。
ジョンとロドニーが廊下を歩いています。
「混乱しているレイスともどもマイケルはホフ薬に感染した人間達の元に戻った。
 奴は強く健康な生存者を選んで、彼らを変化させたんだ。ハイブリッドに。
 残りは絶滅させられた。」
「テイラを救えば、それが変わると考えてるのか?」
「その通りだ。
 君を無事に冬眠ポッドのところに連れて行って、センサを再プログラムする…」
階段を降りきり廊下に出ると前方のライトが点灯します。
しかし廊下の先は外部から入ったと思われる砂でふさがっています。
「あらら。問題かも。」
「いや、問題ない。別のルートを見つければいい。」
ロドニーのホログラムの姿がちらちらと明滅しジョンは心配します。
「ロドニー?」
「別の道はない。砂は下の階にまで達してる。」
「4万8000年経っても、お前は相変わらずだな。
 分かった、どうする?」
「分からない。」
「どういう意味だよ、分かんないって?」
「こんな事態はプログラムされてなかったんだ!」
「この計画のために25年費やしたと言ってただろ!」
「それはマッケイがした事だ。それに彼は見事に多くの問題を予想してた。
 でもこれは想定外だったんだ。」
「分かったよ。二つ上の階に戻ろう、そうすれば外に通じるドアがある。
 広場を抜ければ4分の1マイルほどだ。」
「無理だよ。」
「どうして?」
「外は非常に暑いだけじゃなく、ここ30分で気圧が低下して、風が強烈になっている。」
「嵐がきてるのか?」
「砂嵐だ。今までに経験は?」
「経験済みだ。」
「へえ、そうだったんだ。」
「他に選択肢はないんだ。」
ジョンは来た方向に小走りします。
ロドニーはため息をついてついて行きます。

その後、彼らは建物の外に出られる廊下にたどり着きます。
強烈な風鳴りが聞こえてきます。
ジョンはドアの前で風の音を聞きます。
「かなりヤバそうな音だな。」
「時速50マイル以上の突風で、更に酷くなっていく。
 視界はほとんどゼロだ。向こうに行くなんて無理だ!
 通り過ぎるのを待ったほうがいい。」
「どれくらい?」
「分からない。たぶん2、3時間。」
ジョンはため息をついて、壁を背にして座り込みます。
「空腹なのか?何か食べ物は持ってないのか?」
ジョンは頭を横に振ります。
「まあ、大した事じゃないか。
 嵐が通り過ぎたら、ここから出て行けばいいんだ。」
ロドニーは気まずそうに微笑みます。
「まあ、700年ここにいる事になるけど、実際には君には何の意味もない。」
ジョンはしかめつらをして、ロドニーを見上げます。
「他の皆はどうなったんだ?テイラの事は聞いたが、他は?
 何もせずにマイケルに銀河を乗っ取られたわけじゃないだろ?」
「いや。」
「何が起きたんだ?」
「I.O.A.と軍は別の銀河を守るために多くの資源を投入するのをいやがったんだ。」
彼は優しく微笑みます。
「でもサムは、サムは「いや」とは言わせなかった。」

フラッシュバック。
サムとロドニーはダイダロスクラスの戦闘巡洋艦の廊下を歩いています。
科学者達は艦の内部を整備しています。
『ついに彼らは新造船を彼女に与える事を決定した。
 フェニックスだ。ほとんど未完成だった。
 アスガードシステムの半分も終わってない。
 他も中途半端だった。』
サムとロドニーは部屋へ入ります。
内部は乱雑で、ケーブルは天井から吊り下がり、設備はいたる所に置かれています。
それにもかかわらずサムは誇らしげに微笑みます。
ロドニーは自分のしなければならない仕事量のためうんざりした顔になります。
時間が経過し、サムは壁のパネルをはんだ付けしています。
『僕らは月の大半を彼女の戦いの準備のために費やした。』
サムが見回すと部屋の向こう側で疲れ切ったロドニーがコンソールの組み立てに取り組んでいました。
『僕達は昼夜共に働いた。
 ゼレンカがそこにいたかどうか、よく覚えてないけど。』
ゼレンカがロドニーのところに来るとコーヒーをコンソールに置いて歩き去ります。
『生涯の中であんなに疲れた事はなかった。』

その後、ロドニーは最後のクリスタルをトレーに挿入してコンソールを滑りこませます。
サムの持ているタブレットからビープ音が聞こえると、
彼女はタブレットを見てからロドニーに満足気に笑顔を向けます。
彼はホッとした溜息をついてコンソールに突っ伏します。
『やっとの事で彼女のオーダー通りに正常運転できる状態にした。』

後に、サムが船のブリッジに立っているとロドニーがやってきます。
「OKだ。全ての確認作業は終了した。
 武器、シールド、長距離センサー共にオールグリーンだよ。
 この船はもう飛べる。」
「お疲れ様、ロドニー。
 ラデク達と一緒にアトランティスに戻って、2、3日に休養して。
 休んだら都市のシールドを強化して。
 性能アップできるものは何でもやってみて。
 必ず必用になるから。」
「君はどうするんだ?」
「私はこの船を指揮するわ。
 当分の間、ローン少佐がアトランティスの指揮官よ。」
「君もある程度は休んだほうがいい。
 僕達と同じぐらい疲れてるはずだ。」
「情報ではマイケルがいくつかの星の人間に敵対行動をしようとしている。
 すぐに行ってあげないと。」
「それじゃ、他の者をやったらいい!」
サムは彼を見つめます。彼はため息をついて諦めます。
「分かったよ。」
彼は立ち去ろうと踵を返します。
「ねえ。」
ロドニーは振り向きます。
「ん?」
彼女は眉をあげます。
「あー、幸運を。」
サムは微笑みます。
「ありがと、ロドニー。」
彼女は彼に近づき抱擁します。
「頑張るわ。」
ロドニーは彼女が離すと、少し当惑して彼女を見て微笑みます。
「そうだな。」
彼がブリッジから出て行くのを彼女は見送り、フロントガラスに向いてじっと見つめます。

『彼女達はヒットアンドウェイを繰り返した。まさしくゲリラ戦法だ。』
宇宙空間で、二隻のハイブが併走して飛んでいます。
フェニックスはハイブの上方から三本のアスガードビームを一隻に発射するとハイブは爆発します。
そして二隻目のハイブに攻撃をかけます。
ブリッジでは兵器担当の女性がサムに報告します。
「ハイブ一隻は消滅しました。」
「もう片方は?」
「ほとんどダメージはありません。向こうの武器が動きだしてます。」
「そんな。」
「もう一度攻撃をしたほうが?」
「もういいわ。ここから離脱よ。」
ハイブがフェニックスに攻撃を仕掛けてくると、フェニックスは飛び去りハイパースペースにジャンプします。

未来のアトランティスでは、ジョンは床に座ったままで、ロドニーは彼の近くに立っています。
「しばらくは、効果はあった。
 相手にかなりの損害を出すことができた、一隻だけでね。
 でも結局、運を使い果たした。」

フラッシュバック。
フェニックスはある惑星のすぐ近くでハイパードライブから出てきます。
『マイケルは故意に情報を漏洩した。多くの人間が住む星を攻撃すると。
 サムは先回りできると考えたが、間違っていた。』
 フェニックスが惑星の軌道を回っていると、更に上空で待機していたハイブからの攻撃を受けます。
船が砲撃されると、ブリッジのコンソールは爆発します。
サムは損害箇所を確かめようと爆発したコンソールに走ります。
その時兵器担当者が報告します。
「ハイブが現れました、6時の方向。」
「待ち伏せだったのね。」
「もう一隻前方に、挟み撃ちです。」
「回避!」
フェニックスは目の前のハイブから離れますが、左側にのハイブが近づいて来ていました。
フェニックスはそれを避けるために大きく旋回しますが、三隻目のハイブから猛攻撃を受けます。
サムがブリッジ前方のコンソールに駆けつけると多くのコンソールやパネルが爆発します。
「囲まれました。」
「応戦して!」
大きな爆発がブリッジの中央に起き、パイロットは席から投げられ床に倒れます。
乗組員の別の者がパイロットの席に行って操縦しようとするとアラームが鳴り出します。
兵器担当者が入ってくる情報を報告します。
「アスガードのビームが使えません。」
「ミサイルに切り替えて。一斉射撃!」
彼女はパイロットのコンソールに駆けつけて、乗組員の肩を軽く叩き、
床に横たわるパイロットに向かって指差します。
「彼を。行って。」
乗組員が移動すると、彼女は操縦席に着きます。
フェニックスは正面二隻のハイブにミサイルを発射します。ハイブは応戦します。
「オーバーロード。ハイパードライブです!」
「パワーを別ルートで送って!」
「応答ありません。システム異常です。」
サムは立ち上がると急いで天井のパネルに行きます。
「全員を星に転送するわ。すぐにゲイトに向かって。」
「大佐は?」
「すぐに追いかける。」
しぶしぶと兵器担当員はコンソールから手を離し体を伸ばします。
アスガードのトランスポータビームが彼女を転送します。
サムを残し船内全ての乗組員達は転送されます。
彼女はメインコンソールに急いで戻ります。
『乗組員を転送した後、転送システムが壊れたんだろう。
 エンジンも壊れかけていた。彼女はもう覚悟を決めたんだろう。』
サムは煙の充満したブリッジで立っています。
三隻のハイブに囲まれていたフェニックスは飛び出します。
ブリッジは爆発し続け、サムはフロントガラス越しに外を睨み付けています。
フェニックスは一隻のハイブに向かって特攻をかけハイブの側面へ突入します。
ハイブは爆発し、その衝撃波が周りの空間に広がります。
他の二隻のハイブは衝撃波に巻き込まれて爆発しバラバラになります。
『最後に彼女はマイケルのハイブ三隻を道連れにしたんだ。』

未来のアトランティスでは、ロドニーが悲しげにジョンに微笑みます。
「そして僕らは又、空の棺を。」

後に。
ジョンが一人でドアの出口に立っています。
外は風が強く中にまで風鳴りが響いています。
ジョンの後ろで光がちらつくと、ロドニーのホログラムが現れます。
ジョンは振り向きます。
「どこに行ってたんだ?」
「新たなフレアの発生条件を長距離センサに入力してきたんだ…
 海に何が起きたのか見つけたよ。」
「話したいのか、話したくないのかどっちだ?」
「この太陽系の太陽は死に掛けてる。燃料を使い果たしているんだ。」
「それだったら寒くなるんじゃないのか?」
「いや、より重い元素を消費するのに従って、拡大し始める。
 基本的に赤色巨星に変わるんだ。」
「OK、謎は解けたようだな。それじゃ行くぞ。」
「ダメだ。行かせるわけにはいかない。
 これは単なる周期的な気候変動じゃないんだ。
 これは…片道切符だ。
 この星はどんどん熱くなっていく。最終的には大気が焼き尽くされる。」
「そうか。それは後どれぐらいで起こるんだ?」
「はっきりとは言い切れないけど、僕の見積もりだと500年以内だ。」
「お前は少なくとも700年はポッドにいる事になるって言わなかったか?」
「その通り。ポッドから出た途端に、君は死んでしまう。」
「ロドニー、何か考えてあるんだろうな!」
「考えてるさ。そう言っただろ…」
「変化の事は考えてなかっただろ。覚えてるぞ。」
ジョンは思案しながら歩き回ります。
「よし、マーク12のシールドは動かすことができるか?」
「理論上は、でも僕のシステムを維持するために残されたパワーは十分じゃない。
 長距離センサや冬眠ルームの…」
「都市には太陽電池式の発生装置があるだろ?」
ロドニーは皮肉を言います。
「ああ、多少ならね。数台の電動ゴルフカートを動かすぐらいなら。」
「おい、お前は年を取ってもマッケイと同じ考え方だな。」
「本当に僕じゃどうしようもないんだ!何が言いたいんだ?」
「太陽は赤色巨星化するんだろ?太陽エネルギーは増加し続ける。
 そうなればなるほど、発電する電力は大きくなるんじゃないのか。」
「そうか。その通りだよ!
 大気を保護するのにシールドが使える。」
「そうだ。」
ジョンはベストからスカーフを引き抜きます。
「無期限にはできないが、100年ぐらいは持つぞ。」
「それなら当分は大丈夫だろう。ドアを開けてくれ。」
ジョンはスカーフを三角形に折り、首の周りに結び始めます。
「嵐は?」
「もう7時間たってる。このままだと、ずっと話を続けてなくちゃならない。」
「まもなく暗くなる。」
「やらなきゃどうにもならない。俺がすることは、真っ直ぐに歩く事だ。」
「思うほど簡単じゃないかも!」
ジョンは袖を下ろします。
「簡単だと言った覚えはない。
 それに、俺は何も食べてないんだ。アトランティスに戻る途中で腹ペコだったんだ。
 長く待てば待つほど、弱っていく。」
ジョンはスカーフを引き上げ、鼻と口を覆います。
「分かった。僕は表に出ることはできないけど、無線で連絡しつづけられる。」
ジョンはサングラスを取り出しかけるとドアに歩きます。
ドアが開くと風がロドニーのホログラムに当たり、
ホログラムはその衝撃でさざ波のように揺らめきます。
ジョンは顔を保護するために顔の正面に手を挙げて嵐の中に向かいます。
ロドニーは彼を呼び止めます。
「君が言ったように、真っ直ぐに歩き続けて。
 反対側の建物に辿り着いたら、ドアはもうすぐだから。
 そこで君を待ってる!」
ドアはジョンの後ろで閉まります。
外は視界0で、彼は風によろめきます。
ロドニーのホログラムはジョンが着くはずの建物で再具体化します。
ロドニーは閉まっているドアに向きます。
「シェパード。シェパード、僕の声が聞こえるか?」
「ああ、聞こえてる。」
「調子はどうだい?」
「いいとは言えないな。」
ジョンはつまずいてひざまずき、再び体を起こします。
「ロドニー!」
「ああ、ここにいるよ。」
「ロノンの事を教えてくれ。
「何で、今?」
「ああ、今だからだ。話してくれ、ロドニー。」
「分かった。
 じゃあ、えーと、君とテイラがいなくなってから、彼は基地に居づらくなったんだと思う…」

フラッシュバック。
2人の男と一緒にロノンはテントの村に入ります。
20人程の男女がそこで彼を待っています。
『彼はオフワールドに行かせるようにサムを説得したんだ。
 そして攻撃部隊を編成する事を。
 それまで銀河内はパニックに陥っていた。
 世界はマイケルの策略のせいでレイスは壊滅された、それは人類も同じだった。
 ロノンはボランティアを見つけることに苦労はしなかった。』
その後、ロノンの率いる新たな者達がトレーニング場として造られた広場で対になって指導を受けています。
彼らはロノンの指導の下、戦いのテクニックを練習しています。
ロノンは号令をかけながら彼らを見ます。
「1!」
組んだ者たちは号令と共に行動を起こします。
「2!」
更に号令と共に次の行動に移ります。
「3!」
『彼らは軍隊経験もないただの村人だったが、ロノンは全ての戦闘形式を彼らに訓練した。』
後に、アトランティスから支給された装備品が新人に手渡されます。
装備を受け取った者は、C4ブロックを渡している者のエリアへと向かいます。
『ロノンはサムに装備の支援を要求してきた。
 無線、爆薬、P90。
 彼が実践的な戦闘部隊を作り上げるまで、それほど長くは掛からなかった。』
テント村の近くでは、新人がマネキンを標的にP-90を向けます。
弾丸は全てマネキンの胸に当たります。
男は嬉しそうに微笑み、彼の後ろにいたロノンも嬉しそうに微笑みます。
『彼らはマイケルの地上施設に対していくつか成功した作戦を行った。
 そしてある日、彼らは重要な情報を得たんだ。』

別の惑星では、大きなレイスの施設の中で、二人のハイブリッドが廊下を歩いています。
『マイケルはレイスの研究室を乗っ取り、ハイブリッドを創造するのに使っていたんだ。』
陰に隠れていたロノンは床にスタン弾を転がします。
スタン弾は爆発しハイブリッドは倒れます。
ロノンと数人の兵が走り出て、そのエリアを確認します。
ロノンが手信号を送ると4人がやってきます。
ロノンと2人の兵が先に進みます。
『彼らは施設を破壊しようとした。』
ロノン達は廊下を用心深く進みます。
『その時彼らは出くわしたんだ…予想だにしてなかった者に。』
ロノンが角を曲がるとレイスにブラスターを向けます。
レイスはロノンにスタナーを向けます。
すぐにロノンはそれがトッドである事を知ります。
ロノンはそれでもブラスターを向けたままにしています。
「ここで何をしてる?」
トッドもまた、スタナーを向けたままです。
「私も同じ事を聞きたい。マイケルは仲間を作るためにこの施設を使っている。
 私はここを破壊するつもりだ。」
「一人でか?」
「武力が無い以上、こっそりの方がやりやすい。」
ロノンの無線機から仲間の声が聞こえます。
「ロノン、聞こえるか?」
ロノンはベストから無線を取り出します。
「何だ?」
「誰かが信号を発したようだ、クルーザーが着陸した。制圧されるぞ。」
「私が言った通りだろ…」
トッドの言葉にロノンの後ろにいる仲間が言います。
「中止したほうが。」
ロノンは決してトッドから目を離さずに後ろの男に指示します。
「C4をくれ。」
男はバックパックごとC4をロノンの差し出した手に渡します。
「全員戻って、第2分隊と合流しろ。そしてゲイトに向かえ。
 到着したら俺に連絡をするんだ。」
男がためらうとロノンは向きを変え男を見ます。
「行け!」
仲間がその場を去るとロノンはトッドに向くとトッドはロノンに訊ねます。
「お前は任務を続行するのか?」
「お前はどうなんだ?」
「私もやる。」
やっと二人は銃を下げます。
「プライマリーコンデンサーをゆっくり致命的なエラーが出るように、
 プログラムを書き換えるつもりだったが、その時間もなくなったようだ。」
「俺は爆発させるつもりで来た。」
ロノンは踵を返し歩き去ります。トッドはため息まじりに言いながらついて行きます。
「お前らしいな。」
彼らはお互いの背後をかばいながら廊下を進んでいます。
陰から飛び出してきたハイブリッドがロノンの手からブラスターを蹴り落とします。
二人目のハイブリッドも同様にトッドのスタナーを蹴落とします。
二人は円形の部屋に後退して、素手でハイブリッドと戦います。
ロノンの相手がナイフを取り出すと彼も刀を引き抜いて反撃します。
トッドは相手のナイフをもぎ取り突き刺します。
ロノンは相手を倒し背中に乗ると男の髪を引っ張り首を上げ、
喉に刀を当て喉を切り裂きます。
そしてすぐに振り返りトッドの喉元に刀で切りつけようとしますが、直前で寸止めします。
二人とも動かずロノンは刀をトッドの喉に突きつけています。
しばらくロノンはトッドをにらみつけますが、わずかに笑みを浮かべ肩をすくめます。
「習慣だ。」
「私もだ。」
トッドがチラッと下を見るとロノンはトッドの視線に目を落とします。
ロノンの胸にはトッドがナイフの先を突きつけていました。
少し後、彼らは施設の制御室に進んでいます。
制御室に入るとトッドが言います。
「ここだ。ここでそれを爆発させれば、間違いなく二次爆発で全体が誘爆するだろう。」
ロノンはメインコンソールに急いで行って、
バッグを開けると中にはC4ブロックの塊が入っています。彼は起爆装置を取り出します。
「よし。ここからの脱出口は?」
「ついて来い。」
トッドはドアへと行きますがレイスのスタナーが遠くの方から彼らに向かって放たれます。
トッドはロノンに言います。
「後ろへ下れ!」
彼らは制御室に走って戻ります。
ハイブリッドは仲間に大声で叫びます。
「こっちだ!」
ロノンとトッドはコンソールの後ろに隠れます。
「起爆するなら、チャンスのある今のうちだぞ。」
「仲間の無事を確認してからだ。」
「なるほど。」
数人のハイブリッドが視界に入ってくると、ロノンとトッドは銃で侵入を阻止します。
トッドはハイブリッドの数の多さに呟きます。
「いつまでも食い止められんぞ。」
「撃ち続けろ。」
彼らがハイブリッドを銃撃していると、無線に声が聞こえてきます。
「ロノン。ゲイトにたどり着いた。」
ロノンは無線をひったくって起動します。
「分かった。すぐに引き返せ。
 何も聞くな。分かったか?」
「了解。」
ロノンが話している間、トッドはハイブリッドを打ち倒していました。
床に無線を放るとロノンはハイブリッドを一人撃ちます。
二人はコンソールの後ろに隠れ、トッドはロノンに向きます。
「もういいだろう?」
彼らはちらっとお互いを見ると、ロノンは起爆装置の安全スイッチのカバーを開けます。
「ああ。」
二人はお互い微笑むと、多くの足音が近づいてくるのが聞こえます。
ロノンはにやりと笑ってボタンを押します。施設は爆発します。

未来のアトランティス。
「残念だ。僕はもっといい結末があると思っていたんだ。」
ジョンは返事をしません。
「シェパード?シェパード?聞こえてるかい?」
回答はまだありません。
ロドニーはドアに向きます。
「シェパード?」
突然ドアが開きジョンがよろめきながら滑り込んできます。
ジョンはロドニーのホログラムに倒れ掛かりますがそのまま床にうつ伏せに倒れこみます。
ドアが閉まるとロドニーは彼を見つめ顔をパニックにゆがめます。
「バイタルがほとんどない!シェパード!」
ジョンは動きません。ロドニーは恐怖に目を見張ります。
「何てことだ!」

後に。
うめきながらジョンは意識を回復して頭を上げます。
彼の横でしゃがんでいるロドニーは安堵してため息をつきます。
「その調子だ。頑張ってくれ。」
ジョンは唸りながら仰向けになり、スカーフを引き下げます。
「よう、ロドニー。」
「ああ、ここにいるよ。君を起こしてあげたいけど…僕は…」
痛々しそうにジョンは壁に頭を寄りかからせます。
「どれぐらい気を失ってた?」
「一晩中だ!具合が悪そうだ。
 できるだけ早く、冬眠ポッドに連れて行かないと。」
ジョンはうんざりして応えます。
「そうだな。」

冬眠ポッドルーム。
ジョンとロドニーが入ります。
「既にソーラー・パネルは準備しておいた。後は君が入るだけにしてある。」
ロドニーは冬眠ポッドの前にジョンを導いて、脇の壁に手を伸ばします。
ポッドの横のパネルが開きます。
「これ。最初のクリスタルを取って。
 僕らがテイラを見つけたアドレスや君の失踪後に得たマイケルの情報を全て収めてある。」
ジョンはクリスタルを取って、ロドニーに向きます。
「なあ、お前の事は聞いてないけど?つまり、過去の事を。」
「ああ、それは君が聞きたがってなかったから。」
「じゃあ、どうしてだ?そうやってお前は生き残ったんだ?」
「僕はやめたからさ。」
「やめたとは?」
「アトランティスにスターゲイトコマンド全部だ。」
「お前らしくないな。」
「ああ、僕らは新したな管理下にいたんだ…」

フラッシュバック。
アトランティス医務室では、医療従事者達が医療品のパックや木箱を準備しています。
『僕は医務室に行ったんだ、大怪我を、いや、少し怪我をしてね。』
ジェニファーがロドニーの指を調べている間、ロドニーはベッドの上に横たわっています。
「棘ね。」
「痛くないわけじゃないよ。」
「そうだけど、今はちょっと悪い時に来たから。
 今、忙しくなってきたところなのよ。」
「ああ、見れば分かるよ。」
よく知る男の声が少し遠くから聞こえます。
「ケラー先生?マッケイ博士?」
二人がその声の主にロドニーはベッドを出てジェニファーと振り返ります。
声の主はリチャード・ウールジーです。ウールジーはアトランティスのユニフォームを着ています。
「ウールジーさん。あなたが僕らの新しい司令官に任命したのは聞いてます。」
「その通り。」
彼は不愉快そうにユニフォームの襟をいじくりまわします。
「もっといい状況ならよかったのだがね。」
ロドニーとジェニファーは不幸そうに頷きます。
「何をここでしてるのか尋ねても?」
「オフワールドの難民キャンプに持って行く医療品を整理しています。」
ジェニファーが応えます。
「そうですか。ならば、もうそれはやめてもらおう。」
「どうして?」
「I.O.A.は新たな政策に着手している。
 基地内の民間人の即時帰還だ。
 これから先、我々はこの都市の守備だけに焦点を合わせる。」
ウールジーはジェニファーを見ます。
「それに、先生、あなたの部門は縮小になります。
 ゲイトブリッジのない状態で、
 自衛目的で軌道に船を置いておくとなれば再供給は難しくなるでしょう。
 我々のほうが優先順位が高い。」
「理解できません。私はそのために人員を配置しています。」
「それは単にあなたが人員を人道的支援に必要以上に人を裂いたからです。
 そして、ホフ薬の解毒剤を見つけようとする継続的な試み。
 あなたがこの基地のためだけに医療を行えば問題がないと思いますがね。」
彼は出て行こうと踵を返します。
「ちょっと待ってください!人が大勢亡くなってるんですよ!」
ウールジーは振り返り、哀れそうに彼女を見ます。
「それは分かっている、私を信じなさい。私にできる事があればやりましょう。」
「マイケルはどうするんだ?」
ロドニーが訊ねます。
「マイケルはこの基地と船の防衛能力を知っている。
 I.O.A.は、彼が無闇に攻撃する事はないと思っている。」
「それでだけなんですか?
 ただ黙って彼に銀河を乗っ取らせる気?」
ジェニファーが口を挟みます。
「さらに仲間を死なせたいんですか、先生?
 シェパード中佐、カーター大佐、ロノン、テイラ-、彼らはあなたの友人だったのでは?」
「シェパードは死んでない。」
ロドニーが反論します。
「そうだったね。彼は4万8000年の未来に行ってしまったんだった。
 彼にとってはそれが幸運だったのかもしれない。」
ウールジーは歩き去ります。

その後、ジェニファーは部屋で小さなケースに衣服をつめています。
『銀河の後の事を考えると、何もしないでそこに残る事はジェニファーにとって辛かったんだろう。』
彼女はテーブルに近づき載せてあった私物を箱に入れます。
ジェニファーは父親と一緒に写った額入りの写真を手に取り、優しい目で見るとため息をついて箱に入れます。
『よくよく考えてみると、彼女の考えが正しい事に気づいたんだ。』
部屋のドアが開きロドニーが入ってきて、彼女は彼に向きます。
「留まるように説得しに来たのなら、ロドニー。時間の無駄よ。
 私はもう決心したの。」
「いや、僕もここを出て行くと言いに来たんだ。」
『僕達はダイダロスで帰還する三週間、今まで起きた出来事を話し合った。』
ダイダロスの食堂でロドニーとジェニファーはテーブルに着き話し合っています。
『僕らは何度も話し合った。
 間違った事をしたんではないかって想像してしまってね。
 あの時はひどかった。』
ロドニーが話し続けていると、ジェニファーは同情して彼に微笑み彼の手を取ります。
『少しは分かり合えたよ。地球に戻った頃には…』
ダイダロスは地球にたどり着き、窓の外には地球が見えます。
その前に立ったロドニーとジェニファーは見つめあいます。
彼女は彼の腕に手を置き、次に彼らはより近づきキスをします。
『…僕達はもうただの同僚じゃなくなってた。』

未来のアトランティス。
ジョンはベストを脱ぎながら顔をしかめます。
「ちょっと待てよ。お前とケラーが?」
「どうしてそんなに驚くんだ?」
「俺が言いたいのは、このタイムラインをいじったら、
 お前らが同じ道をたどる保障は全くできないんだぞ。」
「ああ、そうなって欲しいんだ。」
「どうして?お前は生き残り、彼女を手に入れた。いい話じゃないか。」
「ああ。」
彼は微笑みます。
「最初は、本当によかった。」

フラッシュバック。
腕を組んだロドニーとジェニファーは地球の道を楽しそうに歩いています。
『僕は航空宇宙建設の会社に高給で雇われた。
 ジェニファーは自分で診療所を始めた。
 色々な事が始まりだしたんだ。』
ジェニファーは咳をし始めこぶしで口を覆います。
何度か咳をすると苦しそうに体をくの字に曲げます。
ロドニーは心配そうに彼女を支えます。
彼女の咳が止まると彼女は手を見ます。
掌には血が着いていました。
『あまりに簡単に考えていた。』

後に。
SGCの病室で医師がジェニファーの胸のエックス線写真をロドニーに示し説明をしています。
「残念としか言いようがありません、彼女は全ての臓器が機能していません。」
『もちろん、どんな医者でも彼女の診断は下せなかった。』
「…ホフ薬の影響です。」
医師は淡々と説明をします。
『1年も経たないうちに、スターゲイトコマンドに逆戻りだ。』
医師は話し続けていますが、ロドニーは悲しみにほとんど聴いていません。
『ホフ薬を扱ったことによる合併症だった。』
「とても残念です。」
医師は手の施しようのない事を謝ります。
『治療法はなかった。』
ロドニーはゆっくり振り向いて、ジェニファーが寝ているベッドに向きます。
彼女は酸素マスクをつけていました。

後に、ロドニーは呆然としながらS.G.C.の廊下に立っています。
『僕は気が狂うんじゃないかと思った。僕は何をしたらいいのか分からなかった。
 これからだという時に、こんな事になるなんて、あまりにも残酷だった。』
突然、ロドニーの目が大きく見開かれます。
『その時、考えが浮かんだ。』
ロドニーは急いで駆け出します。

後に、彼は医務室に戻ります。
ジェニファーはもう酸素マスクをつけてなく彼に微笑みます。
「あら。」
「やあ。」
「どこに行ってたの?」
ロドニーは彼女にノートを見せます。
「仕事をしていたんだ。」
「仕事?何の?」
「全てを解決するためさ。君や、色んなこと、
 つまり、アトランティス、ペガサス、マイケル、 全てさ。」
「何の話をしてるの?」
「タイムラインを変えるんだよ。
 こんな事が起こらない流れに変えるんだ。
 つまり、君は病気にならず、テイラも死なない、マイケルの研究も完成しない。」
ジェニファーはため息をつきます。
「ねえ、ロドニー。」
「OK、もう基本的なプランは考えたんだ。
 詳細はもう少し複雑になるけど、
 計算をするために新しい公式を作らないとならない、だけど僕にはできる。」
「もう終わった事よ。」
ロドニーは彼女を見つめ、微笑を色あせさせます。
「過去を変えることはできないわ。」
「できるさ。僕にはできる、これが残りの人生を賭してでも完成させる。」
ジェニファーは手を伸ばし彼の手を取ります。
「私がそうして欲しいと思ってるの?」
「どうして?」
ジェニファーは涙ぐみます。
「アトランティスで過ごした日々、私は誰も夢にも思わなかった多くの事を見てきたわ。
 少しの後悔もない。」
「僕もだよ、色んな事を体験した。だからそれを何とかをしたいんだ。」
「ダメよ、約束して、残りの人生を無駄に過ごさないって。」
『でも、僕にはできなかった。』
ロドニーは彼女の手をつかんで深い悲しみで彼女を見ます。
『彼女は3日後に死んだ。』

その後、ロドニーは小さな散らかったアパートでホワイトボードに書き続けます。
『僕は会社をやめた。地方の大学で物理学を教える事にした。
 給料は安かったけど、時間が有効に使えた。』
彼はホワイトボードから机に歩いて座り、メモ帳に書き続け続けています。
時間は経過し。ロドニーは再びホワイトボードに書き込んでいます。
『それが大した人生ではなかったと認めるよ。』
その部屋にはロドニーの妹のジーニーが彼を見ながら座っていました。
『ジーニーは時々、僕の様子を見にやって来た。』
彼がボードに計算式を書くと、
ジーニーは立ち上がって彼からペンを取って計算式の最後の部分を消します。
『妹は僕に止めるよう説得できないと分かると、手伝ってくれるようになった。』
ジーニーは兄の計算の終わりに数字を書きます。
「それは昨日僕がやった。」
「ちょっと…やってないわよ!」
「おいおい、これは僕の考えだ。僕が思いついたんだ。」
彼らは論争し続けています、そしてロドニーはボードの彼女の計算を指で消します。
ジーニーはかんしゃくを起こしてため息をつきます。
『でも結局、妹も諦めてしまった。でも僕は決して諦めなかった。』
長い年月が経ち、年を取ったロドニーがまだ同じアパートにいます。
しかし技術は進歩していました。
計算式で埋め尽くされたホワイトボードはまだ部屋の片隅にありましたが、
主となっているボードはスタンド式の背面の透けたガラスのようなモニターになっていました。
ロドニーは右手に黒い操作用の手袋をつけています。
彼がスクリーンの前で指を振ると、ボードの計算式はモニタから流れ、新たな数式が現れます。
『何年も過ぎてしまった、25年だ、正確に言えば。』
ロドニーは指を動かしモニタ上の数字を変化させます。
『そして突然、閃いたんだ。』
彼は驚いた顔でモニタを見つめます。
『1つ問題があった。アトランティスに戻る必要があったんだ。』
スターゲイトコマンドで。
技術者はブリーフィング・ルームの向こう側、将軍のオフィスの開いているドアにロドニーを案内します。
ロドニーは将軍の注目を引き付けるために咳払いをします。
『僕には多くの友人がスターゲイトコマンドにいなかった。』
オフィスの中で将軍が振り向き彼を見ると微笑みます。
『でも一人いればいい。』
「マッケイ博士。久しぶりです。」
将軍はかつてのローン少佐で、彼は机から立ち上がって近づきロドニーと握手します。
「ローン将軍。」
「さあ、入って。座って。」
彼らは机を挟み座ります。
「あなたの提案は読みましたよ。」
「他には誰も言わなかったよね?」
「私だってそんなに愚かじゃありませんよ、博士。」
ロドニーはホッとしてため息をつきます。
「だが、申し訳ない。これは絶対に許可はできない。」
「どうしてできないんだ?本当の事を話す必要なんてない。
 研究でと言えばいい。何があっても必用な事だと。」
「ロドニー、これにはタイムラインを修正する事が書いてある。
 歴史を変える事は、全てを変える事だ。
 あなたは我々がその運命を変えてしまってもいいと本気で考えてるんですか?」
「思い出してくれ。君は何がペガサスで起こったかを見てきた、あそこで起きた事を。
 あれが本当に辿るべき道だと本気で思ってるのか?」
ローンはそれを考えます。

未来のアトランティス。
「多分彼は僕を哀れんだんだろう。
 うまく行くはずはないと思ったんだろうが、彼は許可してくれた。
 後は知っての通りだ。」
「そうか。俺の今日も大変な日だったが、お前の25年も大変だったんだな。」
ロドニーはちらっと微笑みます。
「OK。準備はできた。」
冬眠ポッドはシュッと音をたてます。
そしてジョンは中に入り前に向きます。
「もしうまく行ったら、僕はここで待ってるから。
 ゲイトに君を送り出す時間はあまり無いけど、絶対にできる。」
「もしうまくいかなっかたら?」
「まあ、君は何も感じないさ、基本的に…眠り続けるだけだ。」
「分かった。」
ジョンはしかめつらをします。ロドニーは気まずぞうに見ます。
ジョンは彼を見ます。
「過去25年でどこのチームがスーパーボウルに勝った?」
「えっ、あー、知らない。」
「そっか。スタンリーカップは?ワールドシリーズは?」
「僕はスポーツに興味が無くて。」
「そうだな。聞いただけだ。」
ロドニーは頷くと手を彼に向けます。
「幸運を祈るよ、ジョン。」
ジョンが頷くと、冬眠ポッドが起動し始めて、ゆっくりとジョンを覆います。
ジョンの体が完全に包まれるとロドニーのホログラムは消えていきます。

現代のアトランティス。
スターゲイトがダイヤルインし始めると、チャックはコンソールに急ぎます。
「予定外のオフワールド接続!」
サムはオフィスから急いで出てきます。
「信号は?」
ロドニーがチャックに近づくとゲイトの接続音がします。
「IDシグナルを受信。」
彼は驚いて顔を上げます。
「シェパード中佐です!」
「シールドを下ろして。」
彼女とロドニーは階段に急いで降りていきます。
サムは大声で叫びます。
「警備員!」
海兵隊員はゲイトルームに急ぎライフル銃をゲイトに向けます。
数秒後、ジョンがイベントホライゾンを通り抜けて出てきます。
彼は武器を向けられているのを見て慌てて立ち止まり、手を上げます。
「ワオ!」
「ジョン!」
「大佐!」
彼はゲイトルームを見回します。
「やった!うまく行ったぞ。ロドニー、お前は天才だ。」
ジョンがロドニーに向かって言うと彼はジョンの言葉に不安そうに応えます。
「OK。」
「ジョン、何があったの?」
サムはジョンに尋ねます。
「どのぐらい経ってる?」
「あなたが行方不明になってから12日よ。」
「12日、12日。OK、彼女はまだ赤ん坊を生んでない。」
彼はサムを見ます。
「変に聞こえるかもしれないが、まだ間に合う。」
「ジョン、一体何の話?」
「テイラがどこにいるのか知ってるんだ。」

後に。
ジョンは隔離室の中を怒って歩き回っています。
サムは彼と共にいます。
「時間が無いんだ。」
「ジョン、手続きには従わなければならないわ。
 分かってるでしょ。」
「俺はクローンじゃない。そんな事を心配してるのか?」
「検査では何でもなかった、テロメアも含めてね。でも他に話し合う事がある。
 つまり、あなたを認めるには、その変な話をしないと、この場所でね。」
「それはもう話した!作り話をしてるとでも?」
ロドニーがコントロールルームから通信をしてきます。
「サム。まさかと思うかもしれないけど、見つけたよ。
 センサーログにあった。
 ローンがダイヤルした瞬間、M4S-587からのワームホールにフレアが影響してた。」
「それはどうして?、ゲイトには安全装置でワームホールにロックが掛かるはずよ。」
ロドニーは気まずそうにします。
「まあ、以前ちょっとした不具合があって、そのー、システムをアップデートした時に。」
「おい、ちょっとした「不具合」だ?」
ジョンが苛ッとして聞き返します。
「分かってる、君の言いたい事は。ゼレンカに厳しく言っておくよ。」
ジョンはサムに向きます。
「もう行ってもいいだろ?」

後に。
スターゲイトはダイヤルをしています。
ゲイトルームでは、ジョン、ローン、および海兵隊員のグループがギヤの最終チェックをしています。
ロドニーとロノンが入ってきます。
ロドニーはジョンに向かって小さな声で話しかけます。
「なあ、未来の出来事は報告を聞いて分かった。
 回避しなきゃいけないこともね。
 でも一つだけどうしても聞いておきたい。」
「何だ?」
「僕の髪はまだあった?」
ジョンは目を逸らします。
「いいや。」
ジョンはチームに大声で叫びます。
「行くぞ!」

ワームホール旅行。
オフワールド惑星。
チームは未来のローン、ロドニー、ロノンがテイラを見つけた建物に到着しました。
ローンのチームとロドニーは、別の方向を調べ、2人の海兵隊員と一緒にジョンとロノンは建物の中を進みます。
ジョンがジェスチャーを送ると海兵隊員はそちらへと向かい。ロノンは前進をしています。
近くで、ローンとロドニー達はドアの前に来て開けます。
ジョンは無線でロドニーに呼びかけます。
「ロドニー、何か見つけたか?」
「待ってくれ。」
ロドニーが部屋の中に入ると、
他の者達も後に続きます。
そしてT.V.モニタが近くにある大きなレイスの装置に近づきます。
「あった。データ端末のような機械がある。
 動かしてハックできるかどうかやってみる。」
ロドニーが作業を始めると、ジョンとロノンは未来でテイラの遺体のあった部屋にたどり着きます。
「ここだ。ここで彼女を見つけたんだ。」
ジョンの言葉を理解できないロノンが訊ねます。
「どうして知ってる?」
「あいつに話を聞いたからさ。」
ロノンは話が見えず唸ると、戸口まで走りブラスターを構えます。
ジョンも後から追いつき、彼らは中に入ります。
誰もそこにいませんが、ロノンはサイドテーブルの上の何かに気付きます。
「おい。」
ロノンはナイフを手に取りジョンに示します。
「これを見ろ。」
もう片方の部屋では、ロドニーが手をレイスのコンソールに入れています。
ジョンは無線でロドニーに呼びかけます。
「マッケイ、こっちで何か見つけたぞ。」
「何をだ?」
「レイスの産科処置室のようだ。」
ジョンはレイスの孵卵器と同じようなものを見ています。
「俺達が早く着き過ぎたとは思うが、奴はここで赤ん坊を生ませるために彼女を連れて来る。」
「待ってくれ。もう少しなんだ。」
ロドニーは手をコンソールから取り出すと、情報を表示しているモニターを見ます。
「ワォ!ジャックポットだ!」
「どうした?」
「全部手に入れたぞ!ゲイトアドレスや、亜空間通信コードもある。
 奴のハイブリッドの研究施設も全部だ!」
ロドニーは振り返りローンににやりと笑います。
「奴の記録だ!」
ちょうどその時、モニターがちらつきます。
少しの間何も映っていませんでしたが、画面の右隅に記号が一つ現れます。
「そんな。何でだよ。何が起きたんだ?」
記号は別の記号と差し換わります。
そしてまた一秒よりは遅いスピードで次の記号に変わっていきます。
ローンはモニターを指し示します。
「それは何だ?」
「まさか。」
「博士?」
「カウントダウンだ!」
分娩室では、ジョンとロノンは爆発の音に顔を上げます。
別の部屋から、ローンは無線に叫びます。
「中佐、これは罠です!」
建物は揺れ始めます。
「ここから脱出しないと、今すぐ!」
ローンはドアに走り出します。
ロドニーは彼を追いますが、天井の一部が大きな音を立ててロドニーの前に落ちてきます。
分娩室では、大きな金属製のパイプが落ちてきて、ジョンとロノンは辛うじて避けます。
彼らはすぐに部屋から走り出し廊下に出ますが、天井が剥がれ落ち立ち往生します。
別の部屋でも、ロドニー達は上から落ちてくる残骸にすくんでいます。
そして大きな爆発が起こり、建物全体が崩壊します。
外壁は内部へ落ちて、建物は地面を崩れ去ります。
外にあった二本の煙突も建物の倒壊と共に倒れてしまいます。
 

シーズン5に続く。